JP5388887B2 - トルクコンバータの連結構造 - Google Patents
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Description
自動変速機のトルクコンバータ100では、ポンプインペラ110と、タービンランナ120とが、ステータ130を間に挟んで、同軸上で相対回転可能に設けられている(例えば、特許文献1)。
ポンプインペラスリーブ113は、入力軸170に沿って延びる筒状部113aを有しており、筒状部113aは、オイルポンプハウジング161の内周にブッシュ165を介して回転可能に支持されていると共に、先端部113a1がオイルポンプ160のインナギヤ163に嵌合している。
タービンハブ123は、入力軸170に沿って延びる筒状部123aを有しており、筒状部123aの内周は、入力軸170にスプライン嵌合している。
ステータシャフト190は、タービンランナ120側の端部190aが、ワンウェイクラッチ180のインナレース181にスプライン嵌合しており、オイルポンプ160側の端部191bが、オイルポンプカバー162に固定されている。
ここで、トランスミッションユニット200では、入力軸170とステータシャフト190とが、オイルポンプハウジング161を貫通してトルクコンバータ100側に突出しているので、トルクコンバータ100は、回転軸Xの軸方向から、入力軸170およびステータシャフト190に外挿されて、トランスミッションユニット200に組み付けられる。
特に、スプライン嵌合部Aでの嵌合と、スプライン嵌合部Bでの嵌合とが同時に行われるような場合には、組み付け性がいっそう悪くなってしまう。
そのため、従来のトルクコンバータでは、スプライン嵌合部A、Bでの嵌合が同時に行われることが無いように、スプラインの位置を設定する必要があり、このことが、トルクコンバータ100の軸方向の長さを短くすることに対する阻害要因となっていた。
しかし、自動変速機の場合、スプラインが設けられる部分(入力軸170、タービンハブ123、ステータシャフト190、インナレース181)の軸径は決められており、スプラインの面積を径方向に広げることが難しいので、スプラインを軸方向に長くする(スプラインの面積を軸方向に広げる)ことで対応していた。
そのため、従来のトルクコンバータでは、このことからも、軸方向の長さを短くすること、すなわちトルクコンバータの扁平化が困難であった。
ステータシャフトと、ワンウェイクラッチのインナレースとが一体に形成されると共に、
ステータシャフトは、
前記ステータシャフトの外周を覆うポンプインペラスリーブよりも長い軸方向長さを有しており、ステータシャフトの前記ポンプインペラスリーブで外周を覆われていない他端は、ポンプインペラスリーブよりも径方向内側で、固定側部材に固定されてステータシャフトと軸方向で重なる位置に設けられた嵌合部材に、二面幅嵌合または凹凸嵌合により回転不能に連結されている構成とした。
また、ステータシャフトとインナレースとを一体に形成して連結すると、トルクコンバータを備える自動変速機において、スプライン嵌合により連結される部分が少なくなるので、組み付け性が向上する。
図1に示すように、車両用自動変速機のトルクコンバータ1では、ポンプインペラ20と、タービンランナ30とが、共通の回転軸X上で相対回転可能に設けられており、ポンプインペラ20のポンプシェル21とフロントカバー10とから形成される本体ケース2内で、タービンランナ30のタービンシェル31が、ステータ40を間に挟んで、ポンプシェル21に対向している。
フロントカバー10とポンプシェル21との接続部分は、全周に亘って溶接されており、エンジンの回転駆動力がフロントカバー10に入力されると、フロントカバー10とポンプインペラ20とが、回転軸X周りに一体に回転するようになっている。
筒状部24は、オイルポンプハウジング71の開口71a内で、軸方向から見てリング状のブッシュ77を介して、回転可能に支持されており、筒状部24の先端部24aは、オイルポンプ70のインナギヤ75に内嵌している。
実施の形態では、エンジンの回転駆動力がポンプインペラ20に入力されて、ポンプインペラスリーブ23の筒状部24が回転軸X周りで回転すると、筒状部24の先端部24aが内嵌したインナギヤ75と、インナギヤ75が噛合するアウタギヤ76とが回転して、オイルポンプ70が駆動されるようになっている。
円板部35の外周部35aには、タービンシェル31の内周側の連結部31aが、リベットRで固定されている。
スプライン34aは、筒状部34の長手方向における略中央部から、フロントカバー10側の端部までの範囲に設けられており、図示しない変速機構部からトルクコンバータ1側に延びる入力軸3の外周に設けられたスプライン3aに、スプライン嵌合している。
インナレース53の内周には、入力軸3の軸方向に沿って延びるステータシャフト54の端部54aが一体形成されて連結されており、ステータシャフト54は、ポンプインペラスリーブ23の筒状部24と入力軸3との間を、オイルポンプ70側に延びている。
実施の形態では、オイルポンプカバー72の中央開口72aの内周に、軸方向から見てリング状の嵌合部材79が固定されており、ステータシャフト54の端部54bは、オイルポンプ70の径方向内側で、入力軸3の軸方向から嵌合部材79に回り止め嵌合している。
切欠き79aは、嵌合部材79を周方向から見た場合に、略コ字形状を有しており、回転軸X周りの周方向において、回転軸X(図3の(c)参照)を挟んで対称に位置している。
突出部54b1は、嵌合部材79の切欠き79aに対応する位置に設けられており、回転軸X周りの周方向において、回転軸X(図3の(c)参照)を挟んで対称に位置している。
そのため、図3の(c)に示すように、ステータシャフト54を回転させようとする力がステータシャフト54に作用しても、嵌合部材79がオイルポンプカバー72の内周に回転不能に固定されているので、切欠き79aに突出部54b1を嵌入させたステータシャフト54もまた回転不能となり、ステータシャフト54の回転軸X周りの回転が確実に阻止されることになる。
実施の形態では、図2に示すように、嵌合部材79とステータシャフト54の端部54bとが回り止め嵌合した部分における軸方向の嵌合長L1と、筒状部24のブッシュ77との嵌合部における軸方向の嵌合長L2と、タービンハブ33と入力軸3とのスプライン嵌合部における嵌合長L3とが、L1<L2<L3の関係が満たされるように設定されている。
そのため、トルクコンバータ1を入力軸3に外挿して組み付ける際に、タービンハブ33と入力軸3とのスプライン嵌合部での嵌合を行ったのちに、筒状部24とブッシュ77との嵌合が行われることになる。
よって、タービンハブ33と入力軸3とをスプライン嵌合させる際には、筒状部24とブッシュ77との嵌合が行われておらず、互いに嵌合されるスプライン34a、3a同士の位置調整を行うだけで、これらを嵌合させることができる。よって、タービンハブ33と入力軸3とのスプライン嵌合部における嵌合をスムーズに行うことができる。
ここで、筒状部24とブッシュ77との嵌合が行われた状態では、トルクコンバータ1には、回転軸X(入力軸170)周りでの回転しか自由度が残されていないが、ステータシャフト54の突出部54b1が、嵌合部材79の切欠き79aに、入力軸3の軸方向から嵌合するようになっているので、トルクコンバータ1を回転させつつ嵌合部材79の切欠き79aとステータシャフト54の突出部54b1との位置決めを行うだけで、ステータシャフト54と嵌合部材79とが容易に嵌合できる。
ステータシャフトとインナレースとをスプライン嵌合により連結していた場合には、スプライン嵌合部に作用するトルク応力に対応する面圧を確保するために、スプラインの軸方向長さを長くする必要があったが、ステータシャフトとインナレースとを一体に形成して連結すると、かかる連結部分における剛性強度が高くなるので、ステータシャフトとインナレースとの連結部分の軸方向長さを、スプライン嵌合の場合よりも短くしても必要な強度が確保できる。
よって、ステータシャフトとインナレースとの連結部分の軸方向長さを短くした分だけ、トルクコンバータの軸方向長さもまた短くできるので、トルクコンバータの扁平化が可能になる。
また、ステータシャフトとインナレースとを一体に形成して連結すると、自動変速機において、スプライン嵌合により連結される部分が少なくなるので、嵌合部の組み付け順序やスプラインを形成する位置についての縛りが、その分だけ少なくなるので、トルクコンバータの設計の自由度が向上する。
さらに、トルクコンバータの組み付け作業の阻害要因となるスプライン嵌合部の数が減ることで、組み付け作業をよりスムーズに行うことができる。
よって、組み付け不良に起因する組み付け作業のやり直しの発生回数が減少するので、組み付け作業時における工程ロスも減少する。さらに、組み付け作業がより短時間で行えるようになるので、作業効率が向上する。
これにより、ポンプインペラスリーブ23の筒状部24とブッシュ77との嵌合や、入力軸3とタービンハブ33とのスプライン嵌合よりも簡単な構成の嵌合方法で、ステータシャフト54の回り止め嵌合が行える。
よって、トルクコンバータ1を変速機ケース5側から延びる入力軸3に外挿して組み付ける際に、ステータシャフト54と嵌合部材79との嵌合を安定して、かつ簡単に行うことができるようになる。特に、凹凸嵌合のための加工は、スプライン嵌合のための加工よりも安価に行えるので、ステータシャフト54のスプライン嵌合を廃止して凹凸嵌合にしたことで、トルクコンバータの作成コストの低減が可能となる。
また、インナレース53とステータシャフト54とを一体に形成したことで、ステータシャフト54の端部54b側は、プリアッセンブリされたトルクコンバータ1において、変速機構部側に突出した状態となる。よって、トルクコンバータ1を組み付ける際に、ステータシャフト54の突出部54b1と、変速機ケース5側の嵌合部材79の切欠き79aとの位相合わせを行うことができるので、組み付けがよりスムーズに行えるようになる。
図4は、ステータシャフトと嵌合部材との回り止め嵌合の変形例を説明する図であって、(a)は、嵌合部材79におけるステータシャフト54側の端部の形状を示す斜視図であり、(b)は、ステータシャフト54における嵌合部材79側の端部の形状を示す斜視図であり、(c)は、図1におけるA−A断面図であって、ステータシャフト54と嵌合部材79とが、二面幅嵌合により回り止め嵌合された部分の断面形状を示した図である。
また、図4(b)、(c)に示すように、ステータシャフト54の端部54b側の先端には縮径部55が設けられており、縮径部55の外周にも、回転軸Xを挟んで互いに平行な二面幅部55aが、回転軸Xの軸方向に沿って設けられている。
そのため、図4の(c)に示すように、ステータシャフト54を回転させようとする力がステータシャフト54に作用しても、嵌合部材79がオイルポンプカバー72の内周に回転不能に固定されているので、嵌合部材79に縮径部55を嵌入させたステータシャフト54もまた、回転不能となり、ステータシャフト54の回転軸X周りの回転が確実に阻止される。
かかる場合、前記した実施の形態およびその変形例の場合と同様の効果が奏されると共に、部品点数の減少によるコストダウンが可能になる。
2 本体ケース
3 入力軸
3a スプライン
5 変速機ケース
6 コンバータハウジング
10 フロントカバー
20 ポンプインペラ
21 ポンプシェル
22 ポンプブレード
23 インペラスリーブ
24 筒状部
25 円板部
30 タービンランナ
31 タービンシェル
32 タービンブレード
33 タービンハブ
34 筒状部
34a スプライン
35 円板部
40 ステータ
41 基部
42 ステータブレード
50 ワンウェイクラッチ
51 アウタレース
52 クラッチ本体
53 インナレース
54 ステータシャフト
54a、54b 端部
54b1 突出部
55 縮径部
55a 二面幅部
70 オイルポンプ
71 オイルポンプハウジング
72 オイルポンプカバー
75 インナギヤ
76 アウタギヤ
77、78 ブッシュ
79 嵌合部材
80 平面部
100 トルクコンバータ
110 ポンプインペラ
120 タービンランナ
130 ステータ
140 フロントカバー
150 本体ケース
160 オイルポンプ
170 入力軸
180 ワンウェイクラッチ
190 ステータシャフト
200 トランスミッションユニット
B1、B2 スラストベアリング
R リベット
Claims (1)
- 回転力が入力されるポンプインペラと、
前記ポンプインペラから伝達される回転力を出力するタービンランナと、
ステータシャフトの一端にワンウェイクラッチを介して支持されたステータと、
前記ポンプインペラの回転力を伝達するポンプインペラスリーブと、
を備えるトルクコンバータにおいて、
前記ステータシャフトと、前記ワンウェイクラッチのインナレースとが一体に形成されると共に、
前記ステータシャフトは、
前記ステータシャフトの外周を覆う前記ポンプインペラスリーブよりも長い軸方向長さを有しており、
前記ステータシャフトの前記ポンプインペラスリーブで外周を覆われていない他端は、前記ポンプインペラスリーブよりも径方向内側で、固定側部材に固定されて前記ステータシャフトと軸方向で重なる位置に設けられた嵌合部材に、二面幅嵌合または凹凸嵌合により回転不能に連結されていることを特徴とする自動変速機におけるトルクコンバータの連結構造。
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