JP5387593B2 - ディファレンシャル装置 - Google Patents
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Description
また、上記目的を達成するため、この発明にかかるディファレンシャル装置は、ギア群を収容するデフ・ケースと、前記デフ・ケースに嵌め合わされて配置されるリング・ギアとを備えると共に、前記デフ・ケースおよび前記リング・ギアがドライブ・シャフトを軸として回転可能に支持されて成るディファレンシャル装置であって、前記リング・ギアが環状構造を有するはすば歯車から成り、且つ、前記リング・ギアが前記デフ・ケースに対して前記ドライブ・シャフトの軸方向から当接すると共に、前記リング・ギアと前記デフ・ケースとの当接部にて、前記リング・ギアの径方向外側から溶接され、前記リング・ギアは、ギア部を外周に有すると共に、前記デフ・ケースに嵌め合わされる嵌合部を内周に有し、前記ギア部は、前記ドライブ・シャフトの軸方向の両方向にスラスト荷重が作用するものであり、径方向において前記デフ・ケースよりも突出することを特徴とする。
また、上記ディファレンシャル装置において、前記リング・ギアは、前記ギア部と前記嵌合部とを連結する環状の環状部を有することが好ましい。
また、上記ディファレンシャル装置において、前記環状部は、前記デフ・ケースとは当接してないことが好ましい。
ディファレンシャル装置1は、例えば、自動車などの車両に適用され、エンジンにて発生した動力をドライブ・シャフトに伝達する機能を有する。このディファレンシャル装置1は、デフ・ケース2と、リング・ギア(デフ・リング)3と、ピニオン・ギア4およびサイド・ギア5と、ピニオン・シャフト6と、これらを収容するハウジング7とを含んで構成される(図1参照)。
ここで、この実施例では、デフ・ケース2とリング・ギア3とが以下の連結構造により連結されている(図1および図2参照)。まず、デフ・ケース2が、ギア群(ピニオン・ギア4およびサイド・ギア5)を収容する本体部21と、この本体部21の両端部からドライブ・シャフトに沿ってそれぞれ延出する円筒形状の端部22、23とを有している。また、リング・ギア3が環状構造を有するはすば歯車により構成されており、その外周にギア部31を有すると共にその内周に嵌合部32を有している。そして、リング・ギア3の嵌合部32とデフ・ケース2の一方の端部22とが圧入により嵌め合わされることにより、リング・ギア3がデフ・ケース2に組み付けられている。また、リング・ギア3の嵌合部32とデフ・ケース2の本体部21とが当接することにより、リング・ギア3の位置決めが行われている。また、リング・ギア3のギア部31とエンジン側のドライブ・ピニオンとが噛み合わされている。また、軸受81がデフ・ケース2の端部22に圧入により嵌め合わされ、この軸受81のインナーレースとデフ・ケース2の本体部21との間にリング・ギア3の嵌合部32が挟み込まれて保持されている。また、軸受81のアウターレースがハウジング7に保持されて、軸受81が固定されている。
以上説明したように、このディファレンシャル装置1では、リング・ギア3がはすば歯車から成るときに、リング・ギア3がデフ・ケース2に対してドライブ・シャフトの軸方向から当接し、また、ドライブ・シャフトの軸方向にかかるリング・ギア3とデフ・ケース2との当接部にてリング・ギア3とデフ・ケース2とが溶接される(図2参照)。かかる構成では、リング・ギア3に対してドライブ・シャフトの軸方向かつデフ・ケース2との当接部に向かう方向(デフ・ケース2の本体部21に向かう方向)にスラスト荷重Pthが作用したときに、溶接部Wの位置にスラスト曲げ応力が発生し難い(図3参照)。これにより、溶接部Wの強度が確保されて、溶接部Wの破損(例えば、溶接の剥離)が抑制される利点がある。また、これにより、溶接部Wの強度を確保するための肉厚化(リング・ギアあるいはデフ・ケースの肉厚化)が不要となるので、装置の軽量化が可能となる利点がある。また、かかる構成では、溶接部Wにおける溶接の溶け込み深さを短くできるので、溶接機のコストを低減できる利点がある。
ここで、ドライブ・シャフトの径方向にかかる位置を径方向位置と呼ぶ。このとき、このディファレンシャル装置1では、リング・ギア3とデフ・ケース2との溶接部Wの径方向位置Rwと、リング・ギア3と軸受81との当接部の径方向位置RxとがRw<Rxの関係を有することが好ましい(図5参照)。かかる構成では、溶接部Wの径方向位置Rwがリング・ギア3と軸受81との当接部の径方向位置Rxに対して適正化されるので、リング・ギア3に対してドライブ・シャフトの軸方向かつ軸受81との当接部に向かう方向へのスラスト荷重Pthが作用したときに、このスラスト荷重Pthが溶接部Wの径方向位置Rwよりもリング・ギア3の径方向外側にて支持される(図4参照)。これにより、溶接部Wにおけるスラスト曲げ応力の発生が抑制されて、溶接部Wの強度が確保される利点がある。
また、このディファレンシャル装置1では、ドライブ・シャフトの軸方向に位置するリング・ギア3の両面(前面および背面)のうちリング・ギア3とデフ・ケース2との溶接部Wに対して反対側に位置する面に、平面加工が施されることが好ましい(図6参照)。すなわち、リング・ギア3は、ドライブ・シャフトの軸方向に位置する両面のうち一方の面にてデフ・ケース2に当接して溶接され、他方の面にて平面加工が施される。ディファレンシャル装置1の製造時あるいは事後的なメンテナンス時には、検査プローブPが用いられて、リング・ギア3とデフ・ケース2との溶接部Wの探傷検査(例えば、超音波探傷検査)が行われる。このとき、リング・ギア3の両面のうちデフ・ケース2との溶接部Wに対して反対側に位置する面に平面加工が施されているので、検査プローブPの押し当て面が適正に確保される。これにより、溶接部Wの検査が適正に行われる利点がある。また、かかる構成では、例えば、デフ・ケース2が側面にリブ(図示省略)を有するときに、このリブに邪魔されることなく溶接部Wの検査をリング・ギア3の全周に渡って容易に行い得る利点がある。
また、このディファレンシャル装置1では、上記のように、デフ・ケース2内にピニオン・シャフト6が配置される(図7および図8参照)。このピニオン・シャフト6は、デフ・ケース2に設けられたシャフト用挿入孔25に挿入されて、デフ・ケース2とピニオン・ギア4とを連結する。これにより、デフ・ケース2とピニオン・ギア4とが一体となって回転する。また、ピニオン・シャフト6は、デフ・ケース2に対して固定ピン9を介して固定される。固定ピン9は、デフ・ケース2に設けられたピン挿入孔26に挿入されてピニオン・シャフト6に差し込まれる。これにより、シャフト用挿入孔25からのピニオン・シャフト6の抜けが防止される。
リング・ギア3がデフ・ケース2のフランジ部24に対してドライブ・シャフトの軸方向から当接すると共に、リング・ギア3とフランジ部24との嵌合面にてリング・ギア3とフランジ部24とが溶接されるので、溶接部Wの破損が抑制される。
2 デフ・ケース
21 本体部
22、23 端部
24 フランジ部
25 シャフト用挿入孔
26 ピン挿入孔
3 リング・ギア
31 ギア部
32 嵌合部
4 ピニオン・ギア
5 サイド・ギア
6 ピニオン・シャフト
7 ハウジング
81、82 軸受
9 固定ピン
10 油溝部
P 検査プローブ
W 溶接部
Claims (4)
- ギア群を収容するデフ・ケースと、前記デフ・ケースに嵌め合わされて配置されるリング・ギアとを備えると共に、前記デフ・ケースおよび前記リング・ギアがドライブ・シャフトを軸として回転可能に支持されて成るディファレンシャル装置であって、
前記リング・ギアが環状構造を有するはすば歯車から成り、且つ、前記リング・ギアが前記デフ・ケースに対して前記ドライブ・シャフトの軸方向から当接すると共に、前記リング・ギアと前記デフ・ケースとの当接部にて、前記リング・ギアの径方向外側から溶接され、
前記リング・ギアは、ギア部を外周に有すると共に、前記デフ・ケースに嵌め合わされる嵌合部を内周に有し、前記ギア部と前記嵌合部とを連結する環状の環状部を有し、
前記ギア部は、前記ドライブ・シャフトの軸方向の両方向にスラスト荷重が作用するものであり、径方向において前記デフ・ケースよりも突出することを特徴とするディファレンシャル装置。 - ギア群を収容するデフ・ケースと、前記デフ・ケースに嵌め合わされて配置されるリング・ギアとを備えると共に、前記デフ・ケースおよび前記リング・ギアがドライブ・シャフトを軸として回転可能に支持されて成るディファレンシャル装置であって、
前記リング・ギアが環状構造を有するはすば歯車から成り、且つ、前記リング・ギアが前記デフ・ケースに対して前記ドライブ・シャフトの軸方向から当接すると共に、前記リング・ギアと前記デフ・ケースとの当接部にて、前記リング・ギアの径方向外側から溶接され、
前記リング・ギアは、ギア部を外周に有すると共に、前記デフ・ケースに嵌め合わされる嵌合部を内周に有し、
前記ギア部は、前記ドライブ・シャフトの軸方向の両方向にスラスト荷重が作用するものであり、径方向において前記デフ・ケースよりも突出することを特徴とするディファレンシャル装置。 - 前記リング・ギアは、前記ギア部と前記嵌合部とを連結する環状の環状部を有する請求項2に記載のディファレンシャル装置。
- 前記環状部は、前記デフ・ケースとは当接してない請求項1または2に記載のディファレンシャル装置。
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