JP2016065578A - 自動変速機のハブ部材固定構造 - Google Patents

自動変速機のハブ部材固定構造 Download PDF

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Abstract

【課題】コストアップを抑えた自動変速機のハブ部材固定構造を提供すること。
【解決手段】自動変速機ATのハブ部材固定構造Hは、サンギア1と、ブレーキハブ9と、サンギア1とブレーキハブ9を連結固定するとともに、ブレーキハブ9側に先端部8aが突出するピン8と、ワッシャ10と、を有する。ワッシャ10は、ブレーキハブ9と、ブレーキハブ9と相対回転するトランスミッションケース6との間に設けられるとともに、ピン8のブレーキハブ9側に突出した先端部8aの内周側に当接して位置決めされる。
【選択図】図1

Description

本発明は、スラスト受け部材により軸方向に支持されるハブ部材をギアに連結固定する自動変速機のハブ部材固定構造に関する。
従来、自動変速機のハブ部材固定構造としては、サンギア(6)とブレーキドラム(20)とを溶接にて固定するとともに、ブレーキドラム(20)と他の部品(ハブ部材(4)、キャリア(9))との間にベアリングを配置した構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−141662号公報
しかしながら、従来の自動変速機のハブ部材固定構造にあっては、ベアリングを位置決めするためにベアリングレースを複雑な形状にする必要がある。または、ベアリングレースを位置決めするためにブレーキドラムやその他の部品を複雑な形状にする必要がある。このように、ベアリングレース、または、ブレーキドラムやその他の部品の形状が複雑化するため、コストアップする、という問題がある。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、コストアップを抑えた自動変速機のハブ部材固定構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の自動変速機のハブ部材固定構造は、ギアと、ハブ部材と、ギアとハブ部材を連結固定するとともに、ハブ部材側に先端部が突出するピン部材と、スラスト受け部材と、を有する。そして、スラスト受け部材は、ハブ部材と、ハブ部材と相対回転する他の部材との間に設けられるとともに、ピン部材のハブ部材側に突出した先端部の内周側に当接して位置決めされる。
よって、ギアとハブ部材とを連結固定するピン部材のうち、ハブ部材側に突出した先端部によりスラスト受け部材の位置決めが行われる。
すなわち、ピン部材に、ギアとハブ部材の連結固定機能とスラスト受け部材の位置決め機能の二つの機能を持たせている。このため、スラスト受け部材を位置決めするための新たな部材を追加する必要が無いし、スラスト受け部材を位置決めするための複雑な形状を、スラスト受け部材、またはハブ部材や他の部材に施す必要が無い。
この結果、コストアップを抑えた自動変速機のハブ部材固定構造にすることができる。
実施例1のハブ部材固定構造が適用された自動変速機のパワートレーンの一部を示す断面図である。 実施例1のハブ部材固定構造においてサンギアとブレーキハブとの連結固定部を示す拡大断面図である。 実施例1のハブ部材固定構造においてワッシャ(スラスト受け部材)の位置決め構成を示す図1の矢印Aによる軸方向矢視図である。
以下、本発明の自動変速機のハブ部材固定構造を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
実施例1における自動変速機ATのハブ部材固定構造Hの構成を、「全体構成」、「要部構成」に分けて説明する。
[全体構成]
図1は実施例1のハブ部材固定構造Hが適用された自動変速機ATのパワートレーンの一部を示す。以下、図1に基づき全体構成を説明する。
前記自動変速機ATは、図1に示すように、遊星ギア列PG(サンギア1、ピニオンキャリア2、リングギア3)と、多板ブレーキ4と、変速機軸5と、トランスミッションケース6と、を備えている。
前記遊星ギア列PGは、シングルプラネタリー型であり、回転メンバとして、サンギア1と、サンギア1に噛み合うピニオン7を支持するピニオンキャリア2と、ピニオン7に噛み合うリングギア3と、を有する。
前記サンギア1は、トランスミッションケース6に対して回転可能に支持されるとともに、ピン8により連結固定されたブレーキハブ9及び多板ブレーキ4を介し、トランスミッションケース6に固定可能に設けられる。サンギア1の軸方向端面のうち、ブレーキハブ9が連結固定される側は、ブレーキハブ9とトランスミッションケース6との間にワッシャ10が介装される。この部分の構成が、ブレーキハブ9(ハブ部材)のハブ部材固定構造Hであり、詳しくは後述する。
前記ピニオンキャリア2は、第1キャリア2aと、第2キャリア2bと、両キャリア2a,2bに対して両端固定されたピニオンピン2cと、を有して構成される。第1キャリア2aは、中心軸CLの周りに回転する変速機軸5に対してスプライン結合により連結され、第1キャリア2aのギア側側面とサンギア1の軸方向端面の間には、相対回転を吸収するスラストベアリング11が介装される。ピニオンピン2cには、サンギア1とリングギア3に噛み合うピニオン7が回転可能に支持される。
前記リングギア3は、ピニオン7に噛み合うとともに、ブレーキハブ9の内側位置を軸方向に延びるハブ部材12が溶接により連結される。
前記多板ブレーキ4は、ブレーキ油室4aと、ブレーキピストン4bと、ハブ側プレート4cと、ケース側プレート4dと、リテーナプレート4eと、スナップリング4fと、を有して構成される。つまり、ブレーキ締結時、ブレーキ油室4aにブレーキ油圧が供給されると、ブレーキピストン4bがストロークし、ギア側プレート4cとケース側プレート4dを締結し、ブレーキハブ9及びサンギア1をトランスミッションケース6に固定する。
[要部構成]
図2は実施例1のハブ部材固定構造Hにおいてサンギア1とブレーキハブ9との連結固定部を示し、図3はワッシャ10の位置決め構成を示す。以下、図1〜図3に基づき、ハブ部材固定構造Hの要部構成を説明する。
前記ハブ部材固定構造Hは、図1〜図3に示すように、サンギア1(ギア)と、トランスミッションケース6(他の部材)と、ピン8(ピン部材)と、ブレーキハブ9(ハブ部材)と、ワッシャ10(スラスト受け部材)と、を備えている。
前記ピン8は、図1及び図2に示すように、円柱形状によるピン部材であり、サンギア1のケース側端面1aと、ブレーキハブ9の内周連結部9aを連結固定する。このピン8は、図3に示すように、ブレーキハブ9側に先端部8aが突出した状態で環状に複数配列(例えば、等間隔で8個配列)される。サンギア1のケース側端面1aは、中心軸CLに垂直な平面であり、ブレーキハブ9の内周連結部9aは、中心軸CLに垂直に延びる等厚プレート部である。ピン8の先端部8aは、ブレーキハブ9の内周連結部9aのケース側面からトランスミッションケース6の内面に向かって突出するもので、その突出量は、ワッシャ10の厚みの半分程度とされる。
前記ピン8の連結固定手法は、図2に示すように、ブレーキハブ9側に先端部8aが突出した状態で、サンギア1に設けられた圧入穴1bと、ブレーキハブ9に設けられた貫通穴9bと、に圧入する圧入固定とされる。ここで、ピン8のピン径をd1とし、貫通穴9bの穴径をd2とし、圧入穴1bの穴径をd3とするとき、d1>d2>d3という関係に設定している。つまり、ピン8と圧入穴1bとの圧入代(d1−d3)を、ピン8と貫通穴9bとの圧入代(d1−d2)よりも大きく設定している。
前記ワッシャ10は、スラスト力を受けるリング部材であり、ブレーキハブ9の内周連結部9aと、ブレーキハブ9と相対回転するトランスミッションケース6のケース内面6aとの間に設けられる。このワッシャ10の外周面10aは、図3に示すように、複数のピン8のブレーキハブ9側に突出した先端部8aの内周側に当接し、外周面10aを複数点支持(例えば、8点支持)により拘束した状態にて位置決めされる。トランスミッションケース6のケース内面6aは、中心軸CLに垂直な平面である。
次に、作用を説明する。
上記のように、実施例1では、サンギア1とブレーキハブ9を連結固定するとともに、ブレーキハブ9側に先端部8aが突出するピン8と、ワッシャ10と、を有する。そして、ワッシャ10は、ブレーキハブ9と、ブレーキハブ9と相対回転するトランスミッションケース6との間に設けられるとともに、ピン8のブレーキハブ9側に突出した先端部8aの内周側に当接して位置決めされる構成とした。
すなわち、ピン8に、サンギア1とブレーキハブ9の連結固定機能とワッシャ10の位置決め機能の二つの機能を持たせている。このため、ワッシャ10を位置決めするための新たな部材を追加する必要が無いし、ワッシャ10を位置決めするための複雑な形状を、ワッシャ10、またはブレーキハブ9やトランスミッションケース6等に施す必要が無い。
この結果、ハブ部材固定構造Hのコストアップが抑えられる。
実施例1では、ピン8は、ブレーキハブ9側に先端部8aが突出した状態で、サンギア1に設けられた圧入穴1bと、ブレーキハブ9に設けられた貫通穴9bと、に圧入される構成とした。
すなわち、サンギア1とブレーキハブ9を連結固定する場合、ネジ止めやボルト止めする場合には、穴加工後に雌ネジ加工等が必要になる。また、溶接固定する場合、盛り上がった溶接部を削り取って平らな表面にする後加工等が必要である。
これに対し、サンギア1とブレーキハブ9を連結固定する場合、圧入固定とすることで、穴加工後にピン8を圧入するだけで、雌ネジ加工や後加工等を要さない。
したがって、サンギア1とブレーキハブ9を連結固定の際、加工工数が低減され、ハブ部材固定構造Hのコストアップがさらに抑えられる。
実施例1では、ピン8と圧入穴1bとの圧入代(d1−d3)を、ピン8と貫通穴9bとの圧入代(d1−d2)よりも大きく設定する構成とした。
すなわち、ピン8とサンギア1の圧入固定強度が、ピン8とブレーキハブ9の圧入固定強度より高くなる。
したがって、ピン8による連結固定部に外力が加わったとき、ピン8が抜けづらくなり、サンギア1とブレーキハブ9の高い連結固定機能が確保される。
実施例1では、サンギア1とブレーキハブ9を、ブレーキハブ9側に先端部8が突出した状態で環状に配列された複数のピン8により連結固定し、スラスト受け部材を、複数のピン8のブレーキハブ9側に突出した先端部8aの内周側に当接して位置決めされるワッシャ10とする構成とした。
すなわち、環状に配列された複数のピン8によりサンギア1とブレーキハブ9の連結固定機能が高められる。加えて、環状に配列された複数のピン8によりスラスト受け部材の安定した位置決め機能が発揮される。このため、スラスト受け部材として、ベアリングレースの無い廉価なワッシャ10を用いることができる。
したがって、サンギア1とブレーキハブ9の高い連結固定機能とワッシャ10の安定した位置決め機能が発揮されるとともに、ブレーキハブ9を固定するハブ部材固定構造Hが低コストに抑えられる。
次に、効果を説明する。
実施例1の自動変速機ATのハブ部材固定構造Hにあっては、下記に列挙する効果が得られる。
(1) ギア(サンギア1)と、
ハブ部材(ブレーキハブ9)と、
ギア(サンギア1)とハブ部材(ブレーキハブ9)を連結固定するとともに、ハブ部材(ブレーキハブ9)側に先端部8aが突出するピン部材(ピン8)と、
ハブ部材(ブレーキハブ9)と、ハブ部材(ブレーキハブ9)と相対回転する他の部材(トランスミッションケース6)との間に設けられるとともに、ピン部材(ピン8)のハブ部材(ブレーキハブ9)側に突出した先端部8aの内周側に当接して位置決めされるスラスト受け部材(ワッシャ10)と、を有する(図1)。
このため、コストアップを抑えた自動変速機ATのハブ部材固定構造Hを提供することができる。
(2) ピン部材(ピン8)は、ハブ部材(ブレーキハブ9)側に先端部8aが突出した状態で、ギア(サンギア1)に設けられた圧入穴1bと、ハブ部材(ブレーキハブ9)に設けられた貫通穴9bと、に圧入される(図2)。
このため、(1)の効果に加え、サンギア1とブレーキハブ9を連結固定の際、加工工数が低減され、ハブ部材固定構造Hのコストアップをさらに抑えることができる。
(3) ピン部材(ピン8)と圧入穴1bとの圧入代(d1−d3)を、ピン部材(ピン8)と貫通穴9bとの圧入代(d1−d2)よりも大きく設定した(図2)。
このため、(2)の効果に加え、ピン8による連結固定部に外力が加わったとき、ピン8が抜けづらくなり、サンギア1とブレーキハブ9の高い連結固定機能を確保することができる。
(4) ギア(サンギア1)とハブ部材(ブレーキハブ9)を、ハブ部材(ブレーキハブ9)側に先端部8aが突出した状態で環状に配列された複数のピン部材(ピン8)により連結固定し、
スラスト受け部材を、複数のピン部材(ピン8)のハブ部材(ブレーキハブ9)側に突出した先端部8aの内周側に当接して位置決めされるワッシャ10とした(図3)。
このため、(1)〜(3)の効果に加え、サンギア1とブレーキハブ9の高い連結固定機能とワッシャ10の安定した位置決め機能を発揮できるとともに、ブレーキハブ9を固定するハブ部材固定構造Hを低コストに抑えることができる。
以上、本発明の自動変速機のハブ部材固定構造を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、ギアとして、遊星ギア列PGの回転メンバの一つであるサンギア1とする例を示した。しかし、ギアとしては、遊星ギア列の回転メンバの他の一つであるリングギアであっても良いし、また、自動変速機のギアトレーンに有する他のギアの例であっても良い。
実施例1では、ハブ部材として、サンギア1と多板ブレーキ4を連結するブレーキハブの例を示した。しかし、ハブ部材としては、自動変速機のギアトレーンに有するギアと多板クラッチを連結するクラッチハブやクラッチドラムの例であっても良く、また、自動変速機のギアトレーンに有するギアと多板ブレーキを連結するブレーキドラムであっても良い。
実施例1では、サンギア1とブレーキハブ9を連結固定するピン部材として、サンギア1とブレーキハブ9に圧入するピン8の例を示した。しかし、ギアとハブ部材を連結固定するピン部材としては、ギアとハブ部材にネジ込み固定するボルトピンとする例であっても良いし、また、ギアとハブ部材を連結するだけで、溶接やキー等により固定する連結ピンとする例であっても良い。
実施例1では、スラスト受け部材として、ワッシャ10を用いる例を示した。しかし、スラスト受け部材としては、ニードルベアリングを用いる例であっても良い。
実施例1では、本発明のハブ部材固定構造Hを、遊星ギア列PGと多板ブレーキ4を有する自動変速機ATに適用する例を示した。しかし、本発明のハブ部材固定構造は、ギアトレーンに遊星ギア列を有さない自動変速機に対しても適用することができる。
AT 自動変速機
H ハブ部材固定構造
1 サンギア(ギア)
1a ケース側端面
1b 圧入穴
6 トランスミッションケース(ハブ部材と相対回転する他の部材)
8 ピン(ピン部材)
8a 先端部
9 ブレーキハブ(ハブ部材)
9a 内周連結部
9b 貫通穴
10 ワッシャ(スラスト受け部材)

Claims (4)

  1. ギアと、
    ハブ部材と、
    前記ギアと前記ハブ部材を連結固定するとともに、前記ハブ部材側に先端部が突出するピン部材と、
    前記ハブ部材と、該ハブ部材と相対回転する他の部材との間に設けられるとともに、前記ピン部材の前記ハブ部材側に突出した先端部の内周側に当接して位置決めされるスラスト受け部材と、を有する
    ことを特徴とする自動変速機のハブ部材固定構造。
  2. 請求項1に記載された自動変速機のハブ部材固定構造において、
    前記ピン部材は、前記ハブ部材側に先端部が突出した状態で、前記ギアに設けられた圧入穴と、前記ハブ部材に設けられた貫通穴と、に圧入される
    ことを特徴とする自動変速機のハブ部材固定構造。
  3. 請求項2に記載された自動変速機のハブ部材固定構造において、
    前記ピン部材と前記圧入穴との圧入代を、前記ピン部材と前記貫通穴との圧入代よりも大きく設定した
    ことを特徴とする自動変速機のハブ部材固定構造。
  4. 請求項1から請求項3までの何れか一項に記載された自動変速機のハブ部材固定構造において、
    前記ギアと前記ハブ部材を、前記ハブ部材側に先端部が突出した状態で環状に配列された複数のピン部材により連結固定し、
    前記スラスト受け部材を、前記複数のピンの前記ハブ部材側に突出した先端部の内周側に当接して位置決めされるワッシャとした
    ことを特徴とする自動変速機のハブ部材固定構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US11421772B2 (en) 2018-11-27 2022-08-23 Jatco Ltd Power transmission device and method for manufacturing power transmission device

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