JP5387496B2 - 動力伝達機構および動力伝達機構におけるベルト組み付け方法 - Google Patents

動力伝達機構および動力伝達機構におけるベルト組み付け方法 Download PDF

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Description

本発明は、複数のプーリとこれらプーリ間に掛け渡される伝動ベルトとを備えた動力伝達機構に関する。また、本発明は、そのような動力伝達機構のプーリ間に伝動ベルトを組み付けるベルト組み付け方法に関する。
車両等に搭載されるエンジン(内燃機関)には、一般に、ウォータポンプ、オルターネータ、パワーステアリングポンプ、エアコンディショナのコンプレッサなどの各種の補機が装備されている。これらの補機は、動力伝達機構によりエンジン出力が伝達されて駆動されるようになっている。動力伝達機構は、エンジンのクランクシャフトに取り付けられたクランクプーリと、各補機に取り付けられた補機プーリと、これらプーリ間に掛け渡される伝動ベルトとを備えた構成となっている。
このような動力伝達機構では、伝動ベルトがプーリから滑落してしまうことを防止するために、プーリおよび伝動ベルトとして、例えば、VプーリおよびVリブドベルトが用いられる。また、伝動ベルトの張力を一定に維持する必要があることから、オートテンショナが用いられている。オートテンショナを備えた動力伝達機構においては、伝動ベルトをプーリ間に組み付ける際、例えば、一般工具にてオートテンショナをフリーにした状態で、クランクプーリ、補機プーリ、オートテンショナのテンショナプーリ(アイドラプーリ)などに伝動ベルトを巻き掛け、その後、オートテンショナを調節して伝動ベルトに一定の張力を付与する。
また、オートテンショナを備えない動力伝達機構も知られている。この場合、伝動ベルトとして、低弾性ベルト(いわゆる、ストレッチベルト)が用いられ、伝動ベルト自体の弾性力(伸縮力)によって張力を維持するようになっている。しかし、伝動ベルトとして低弾性ベルトを用いた動力伝達機構では、オートテンショナは不要になるものの、プーリ間に伝動ベルトを組み付ける際、伝動ベルトを伸ばしながらプーリに巻き掛ける必要がある。このため、伝動ベルトをプーリ間に組み付けるための専用の治具(特殊工具)が必要になり、一般工具(例えば、ラチェットハンドル、めがねレンチなど)だけでは伝動ベルトの組み付け作業を行うことができないといった問題がある。
従来では、伝動ベルトの組み付け作業を専用の治具を用いることなく行うことを可能とした動力伝達機構が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、プーリのフランジに伝動ベルトを誘導する切欠部を設け、伝動ベルトをプーリ間に組み付ける際、その切欠部を利用して伝動ベルトをプーリ間に掛け渡すことが示されている。しかし、エンジンの運転時、その切欠部を起点として、伝動ベルトの山とびや、ベルト外れが発生する可能性がある。また、プーリ間のアライメントにずれ(ミスアライメント)が生じていると、エンジンの運転時、伝動ベルトが切欠部で擦れて損傷する可能性がある。
特開2005−195041号公報
本発明は、上述のような技術的課題を考慮してなされたものであり、専用治具を用いることなく伝動ベルトを組み付け可能であり、伝動ベルトの山とびや、ベルト外れなどの発生を防止可能な動力伝達機構、および、そのような動力伝達機構におけるベルト組み付け方法を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、本発明は、複数のプーリとこれらプーリ間に掛け渡される伝動ベルトとを備えた動力伝達機構であって、上記複数のプーリのうち、1つのプーリの軸方向一方側の面には、伝動ベルトをプーリ間に組み付ける際にこの伝動ベルトを引っ掛けるための突起が、軸方向一方側へ向けて突出して設けられ、上記突起が、上記1つのプーリと同心状に配置され、上記1つのプーリの軸方向一方側には、上記伝動ベルトが嵌め込まれるプーリ溝よりも外径側に突出するフランジが設けられ、上記フランジの軸方向一方側の外周縁が、R形状とされていることを特徴としている。
ここで、突起を利用した伝動ベルトのプーリ間への組み付け作業について説明する。まず、伝動ベルトをプーリ間にセットする。この際、伝動ベルトを複数のプーリのうち、上記1つのプーリ以外のプーリ(他のプーリ)に巻き掛けるとともに、伝動ベルトを上記1つのプーリに巻き掛けながら突起の外周面に引っ掛ける。
この場合、上記1つのプーリの伝動ベルトを巻き掛け可能な領域の中央位置よりもプーリ回転方向(組み付け作業時の回転方向)の上流側の位置において、伝動ベルトを上記1つのプーリのフランジ上に乗り上げさせる。そして、フランジ上に乗り上げさせた伝動ベルトをフランジよりも内径側にある突起の外周面に引っ掛ける。
次に、上記1つのプーリへの伝動ベルトの巻き掛け長さを確保するように伝動ベルトを押さえながら(押圧しながら)、複数のプーリのうちいずれかのプーリを、例えばラチェットハンドル等を用いて回転させる。この際、一方の手で、伝動ベルトを押さえ、他方の手で、ラチェットハンドル等を操作していずれかのプーリを回転させればよい。これにより、上記1つのプーリの回転にともなって、伝動ベルトが徐々に伸ばされ、上記1つのプーリへの伝動ベルトの巻き掛け長さが徐々に大きくなり、やがて伝動ベルトが上記1つのプーリに完全に巻き掛けられる。
上記構成によれば、上記1つのプーリに設けた突起を利用することで、伝動ベルトをプーリ間に容易に組み付けることができる。これにより、専用治具(特殊工具)を用いることなく、一般工具(例えばラチェットハンドル、めがねレンチなど)のみで伝動ベルトの組み付け作業を行うことができる。
具体的には、突起は、上記1つのプーリへの伝動ベルトの巻き掛け長さを確保するために必要な伝動ベルトへの押圧力を軽減する役割を担っており、突起に作用する伝動ベルトの張力の分だけ、その必要な伝動ベルトへの押圧力が軽減される。このように、突起によって上記1つのプーリへの伝動ベルトの巻き掛け長さを確保するために必要な伝動ベルトへの押圧力が小さくて済むので、伝動ベルトをプーリ間に容易に組み付けることができる。
しかも、上述した従来の構成(フランジに切欠部を設ける構成)とは異なり、エンジンの運転時、伝動ベルトの山とびや、ベルト外れなどの発生を防止することができる。つまり、上記1つのプーリのフランジに切欠きなどの凹凸を設けなくても伝動ベルトをプーリ間に組み付けることができるので、エンジンの運転時、伝動ベルトの山とびや、ベルト外れなどの発生を未然に防ぐことができる。また、プーリ間にミスアライメントがあったとしても、エンジンの運転時、その切欠きなどの凹凸による伝動ベルトの損傷を未然に防ぐことができる。また、鋳造や、プレス加工によって突起を形成できるので、上記1つのプーリのフランジに切欠き加工を行う場合に比べて、上記1つのプーリに突起を容易に設けることができ、コスト削減を図ることができる。
上記構成では、フランジの軸方向一方側の外周縁がR形状とされているので、伝動ベルトがフランジ上をスムーズに乗り越えて、上記1つのプーリに組み付く。これにより、伝動ベルトの損傷等を防止することができる。また、フランジの外周縁をR形状としない場合に比べて、伝動ベルトがフランジ上を乗り越える際の移動経路が短くなるので、伝動ベルトが過度に伸ばされることを回避できる。これにより、複数のプーリのうちいずれかのプーリを回転させる際の操作荷重を低減することができ、伝動ベルトの組み付け作業を容易に行うことができる。
本発明の動力伝達機構において、上記突起は、伝動ベルトの張力が大きいほど小径に形成されることが好ましい。
伝動ベルトとして低弾性ベルト(ストレッチベルト)を用いる場合、動力伝達機構において要求される張力は、伝動ベルトの長さを変更することによって管理される。動力伝達機構において要求される張力が低い場合には、長さの長い伝動ベルトが用いられる。この場合、突起を大径にすることで、伝動ベルトをプーリ間に組み付ける際、伝動ベルトのたるみを抑制することができる。
逆に、動力伝達機構において要求される張力が高い場合には、長さの短い伝動ベルトが用いられる。この場合、突起を小径にすることで、伝動ベルトをプーリ間に組み付ける際、伝動ベルトをプーリ間にセットしたときの上記1つのプーリへの伝動ベルトの巻き掛け長さをできるだけ大きく確保することができる。
本発明の動力伝達機構において、上記伝動ベルトが、ベルト長さ方向に延びる複数のリブを有するVリブドベルトとされ、上記外周縁の曲率半径が、上記伝動ベルトの隣り合うリブ間の間隔よりも大きく設定されていることが好ましい。
この構成によれば、伝動ベルトが上記1つのプーリのフランジ上を乗り越える際、上記1つのプーリのフランジの外周縁が、伝動ベルトの隣り合うリブ間に入り込むことを防止することができ、伝動ベルトのリブの欠損を確実に回避することができる。
本発明の動力伝達機構において、上記1つのプーリが、エンジンのクランクシャフトの一端部に取り付けられたクランクプーリであることが好ましい。
クランクプーリの場合、ウォータポンププーリなどの補機プーリに比べ、フランジの幅(軸方向の幅)が大きいので、フランジの外周縁の曲率半径をできるだけ大きくすることができる。これにより、伝動ベルトがクランクプーリのフランジ上を乗り越える際の伝動ベルトの伸びを低減でき、複数のプーリのうちいずれかのプーリを回転させる際の操作荷重を低減することができる。
また、本発明は、複数のプーリとこれらプーリ間に掛け渡される伝動ベルトとを備えた動力伝達機構において、複数のプーリ間に伝動ベルトを組み付けるベルト組み付け方法であって、上記複数のプーリのうち、1つのプーリの軸方向一方側の面には、軸方向一方側へ向けて突出する突起がこの1つのプーリと同心状に配置され、上記伝動ベルトを複数のプーリのうち、上記1つのプーリ以外のプーリに巻き掛けるとともに、この伝動ベルトを上記1つのプーリに巻き掛けながら上記突起の外周面に引っ掛け、上記1つのプーリへの伝動ベルトの巻き掛け長さを確保するように伝動ベルトを押さえながら、複数のプーリのうちいずれかのプーリを回転させることを特徴としている。
上記方法によれば、上記1つのプーリに設けた突起を利用することで、伝動ベルトをプーリ間に容易に組み付けることができる。これにより、専用治具(特殊工具)を用いることなく、一般工具(例えばラチェットハンドル、めがねレンチなど)のみで伝動ベルトの組み付け作業を行うことができる。
この場合、上記1つのプーリの軸方向一方側には、上記伝動ベルトが嵌め込まれるプーリ溝よりも外径側に突出するフランジが設けられ、上記伝動ベルトを突起の外周面に引っ掛ける際、上記1つのプーリの伝動ベルトを巻き掛け可能な領域の中央位置よりもプーリ回転方向の上流側の位置において、伝動ベルトを上記フランジ上に乗り上げさせ、このフランジ上に乗り上げさせた伝動ベルトをフランジよりも内径側にある突起の外周面に引っ掛けることが好ましい。また、上記複数のプーリのうちいずれかのプーリを回転させる際、上記伝動ベルトのフランジに乗り上げた部分を押さえることが好ましい。このように、伝動ベルトのフランジに乗り上げた部分を押圧することで、伝動ベルトへの押圧力が小さくても、伝動ベルトと上記1つのプーリとの間に効果的に摩擦力を発生させることができる。これにより、上記1つのプーリへの伝動ベルトの巻き掛け長さを確保するために必要な伝動ベルトへの押圧力が小さくて済むので、伝動ベルトをプーリ間に容易に組み付けることが可能になる。
本発明によれば、複数のプーリのうち、1つのプーリに設けた突起を利用することで、伝動ベルトをプーリ間に容易に組み付けることができる。これにより、専用治具を用いることなく、一般工具のみで伝動ベルトの組み付け作業を行うことができる。
本発明の実施形態に係る動力伝達機構の概略構成を模式的に示す正面図である。 図1のX1−X1線断面図である。 図1の動力伝達機構における伝動ベルトの組み付け作業の手順1を模式的に示す正面図である。 図3の動力伝達機構のウォータポンププーリおよび伝動ベルトをY1方向から見た図である。 図1の動力伝達機構における伝動ベルトの組み付け作業の手順2を模式的に示す正面図である。 図1の動力伝達機構における伝動ベルトの組み付け作業の手順3を模式的に示す正面図である。 他の実施形態1に係る動力伝達機構の図1に対応する図である。 図7の動力伝達機構における伝動ベルトの組み付け作業1を示す図3に対応する図である。 図7の動力伝達機構における伝動ベルトの組み付け作業2を示す図5に対応する図である。 図7の動力伝達機構における伝動ベルトの組み付け作業3を示す図6に対応する図である。 図7の動力伝達機構のクランクプーリのフランジの変形例を模式的に示す断面図である。
本発明を具体化した実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
この実施形態では、車両等に搭載されるエンジン(内燃機関)の出力軸であるクランクシャフトの回転駆動力を、補機としてのウォータポンプの回転軸に伝達する動力伝達機構を例に挙げて説明する。
図1、図2に示すように、動力伝達機構10は、エンジンのクランクシャフト11の一端側(前端側)に回転一体に取り付けられるクランクプーリ12と、ウォータポンプの回転軸21の一端側(前端側)に回転一体に取り付けられるウォータポンププーリ22と、これらクランクプーリ12とウォータポンププーリ22との間に掛け渡された伝動ベルト31とを備えている。動力伝達機構10は、エンジンの駆動にともなうクランクシャフト11の回転駆動力が、クランクプーリ12から伝動ベルト31を介してウォータポンププーリ22に伝達されて、ウォータポンプが駆動されるように構成されている。
次に、動力伝達機構10の各部について、図1、図2を参照して説明する。
クランクプーリ12は、エンジンの前面側に設けられており、エンジンのクランクシャフト11の前端部にセットボルト13を用いて締結されている。クランクシャフト11は、ウォータポンプの回転軸21よりも下方に配置されている。クランクプーリ12の外周面には、伝動ベルト31のリブ31aが嵌め込まれるプーリ溝12aが形成されている。プーリ溝12aは、周方向に延びる複数のV型の溝からなる。プーリ溝12aの軸方向の両側には、プーリ溝12aよりも外径側に突出するフランジ(突出部)12bがそれぞれ設けられている。
ウォータポンププーリ22は、エンジンの前面側に設けられており、クランクプーリ12と所定の間隔を隔てて配置されている。ウォータポンププーリ22は、ウォータポンプの回転軸21の前端部に取り付けられたプーリシート23に固定されている。ウォータポンププーリ22の外周面には、伝動ベルト31のリブ31aが嵌め込まれるプーリ溝22aが形成されている。プーリ溝22aは、周方向に延びる複数のV型の溝からなる。プーリ溝22aの軸方向の両側には、プーリ溝22aよりも外径側に突出するフランジ(突出部)22bがそれぞれ設けられている。
ウォータポンププーリ22には、円筒状の突起24が一体的に設けられている。この突起24は、伝動ベルト31の組み付け作業の際に伝動ベルト31を引っ掛けるために設けられている。突起24は、ウォータポンププーリ22の前面25に前方へ向けて突出するように形成されている。突起24の外径は、ウォータポンププーリ22の外径よりも小径に形成されており、ウォータポンププーリ22と同心状に配置されている。突起24の前面25に対する突出量は、伝動ベルト31の軸方向の幅と略同じに設定されている。なお、突起24の前面25に対する突出量は、伝動ベルト31の組み付け作業の際に突起24の外周面24aに伝動ベルト31を引っ掛けることが可能であれば特に限定されない。
突起24は、鋳造や、プレス加工によって形成することが可能である。鋳造により突起24を形成する場合、突起24の形状に対応する形状の凹部を鋳型に設けておくことによって、ウォータポンププーリ22と一体的に突起24を成形することが可能である。なお、鋳造や、プレス加工によって形成された突起24をそのまま利用することも可能であるが、突起24に、例えば旋盤加工などの後加工を施してもよい。
伝動ベルト31には、低弾性ベルト(ストレッチベルト)が用いられている。この実施形態では、伝動ベルト31として、長手方向(ベルト長さ方向)に延びる複数のV型のリブ31aを有するVリブドベルトが用いられている。既に述べたように、伝動ベルト31として低弾性ベルトを用いた場合、伝動ベルト31自体の弾性力(伸縮力)によって張力を維持するようになっている。このため、オートテンショナが不要となっている。
次に、動力伝達機構10において、伝動ベルト31をプーリ12,22間に組み付ける組み付け作業の手順について、図3〜図6を参照して説明する。
まず、作業者は、図3、図4に示すように、伝動ベルト31をプーリ12,22間にセットする。具体的には、作業者は、伝動ベルト31をクランクプーリ12に巻き掛けるとともに、伝動ベルト31をウォータポンププーリ22に巻き掛けながら突起24の外周面24aに引っ掛ける。
このとき、伝動ベルト31は、弛んでいない状態で、かつ、伸びていない状態(張力がかかっていない状態)でプーリ12,22間に配置される。詳細には、クランクプーリ12に対しては、伝動ベルト31は、巻き掛け可能な全領域に巻き掛けられており、クランクプーリ12への伝動ベルト31の巻き掛け長さが最大となっている。一方、ウォータポンププーリ22に対しては、伝動ベルト31は、巻き掛け可能な領域のうち一部の領域だけにしか巻き掛けられておらず、残りの領域に対しても、伝動ベルト31を巻き掛けるには、伝動ベルト31を伸ばす必要がある。つまり、伝動ベルト31を伸ばしながら、ウォータポンププーリ22への伝動ベルト31の巻き掛け長さ(伝動ベルト31のウォータポンププーリ22に巻き掛けられた部分の長さ)C1を徐々に大きくしていく必要がある。
この実施形態では、ウォータポンププーリ22よりも小径の突起24を設け、伝動ベルト31の組み付け作業の際、この突起24の外周面24aに伝動ベルト31を引っ掛けるようにしている。図3、図4に示すように、ウォータポンププーリ22のプーリ溝22a上にある伝動ベルト31を曲げ、その向きを斜め前方へ変えて、伝動ベルト31を突起24の外周面24aに引っ掛けている。
この場合、ウォータポンププーリ22の伝動ベルト31を巻き掛け可能な領域の中央位置A0よりもプーリ回転方向(組み付け作業時の回転方向)の上流側の位置(図3では位置A1)において、伝動ベルト31をウォータポンププーリ22のフランジ22b上に乗り上げさせている。そして、フランジ22b上に乗り上げた伝動ベルト31をフランジ22bよりも内径側にある突起24の外周面24aに引っ掛けるようにしている。
作業者は、フランジ22bに引っ掛かった伝動ベルト31が位置A1からずれないように、伝動ベルト31を押さえておく(押圧しておく)。この場合、伝動ベルト31のフランジ22bに乗り上げている(引っ掛かっている)部分31bを押さえればよい。位置A1は、伝動ベルト31が、弛んでいない状態で、かつ、伸びていない状態でプーリ12,22間にセットされたときに、伝動ベルト31がフランジ22bに引っ掛かる位置となっている。なお、位置A1は、ウォータポンププーリ22の回転方向の位置であり、ウォータポンププーリ22の回転とともに移動する。一方、上記中央位置A0は、両プーリ12,22の中心を結ぶ直線L1上の位置であり、ウォータポンププーリ22が回転しても不動である。
次に、作業者は、図5に示すように、伝動ベルト31のフランジ22bに乗り上げた(引っ掛かった)部分31bを押さえながら、ラチェットハンドル40によって、クランクプーリ12のセットボルト13をクラッチし、クランクプーリ12を回す。この場合、作業者は、一方の手で、伝動ベルト31を押さえ、他方の手で、ラチェットハンドル40を操作してクランクプーリ12を回転させればよい。すると、伝動ベルト31とウォータポンププーリ22との間の摩擦力によってウォータポンププーリ22も同じ方向に回転し、このウォータポンププーリ22の回転にともなって上記位置A1が移動する。この場合、ウォータポンププーリ22への伝動ベルト31の巻き掛け長さC1が大きくなる方向にクランクプーリ12を回転させる。ここでは、上記位置A1が上記中央位置A0に近づく方向(図5では時計周り)にクランクプーリ12を回転させる。
このウォータポンププーリ22の回転中、作業者は、伝動ベルト31を押さえている一方の手を、上記位置A1の移動に追随させて移動させる。つまり、ウォータポンププーリ22への伝動ベルト31の巻き掛け長さC1を確保するように、伝動ベルト31のフランジ22bに引っ掛かった部分31bを一方の手で押さえながら、その一方の手を上記位置A1の移動に追随させて移動させる。この場合、ウォータポンププーリ22が回転しても、ウォータポンププーリ22に対して伝動ベルト31が滑らないように、伝動ベルト31を押さえる。言い換えれば、上記位置A1で伝動ベルト31がフランジ22bに引っ掛かっている状態を維持するように、伝動ベルト31を押圧して、伝動ベルト31とウォータポンププーリ22との間の摩擦力を付与する。
これにより、ウォータポンププーリ22の回転にともなって、伝動ベルト31が徐々に伸ばされ、ウォータポンププーリ22への伝動ベルト31の巻き掛け長さC1が徐々に大きくなる。詳細には、伝動ベルト31の押圧位置である上記位置A1が、ウォータポンププーリ22の回転により上記中央位置A0に近づくことで、ウォータポンププーリ22への伝動ベルト31の巻き掛け長さC1が徐々に大きくなる。一方、ウォータポンププーリ22の回転にともなって、突起24の外周面24aへの伝動ベルト31の引っ掛かり長さが徐々に小さくなる。このように、大径のウォータポンププーリ22への伝動ベルト31の巻き掛け長さC1が増大する一方、小径の突起24の外周面24aへの伝動ベルト31の引っ掛かり長さが減少するため、伝動ベルト31は、ウォータポンププーリ22の回転にともなって徐々に伸ばされる。
そして、作業者は、クランクプーリ12を時計周りに回転させ、例えば図6に示す位置までウォータポンププーリ22を回転させた後、一方の手を伝動ベルト31から離し、上記位置A1における伝動ベルト31への押圧を解除する。なお、上記位置A1が上記中央位置A0を通過した後であれば、一方の手を離しても伝動ベルト31がウォータポンププーリ22から外れる可能性がないので、伝動ベルト31への押圧を解除する位置は、上記中央位置A0よりもプーリ回転方向の下流側の位置であればどこでもよい。
図6に示す状態の後、作業者は、さらにクランクプーリ12を時計周りに回転させ、ウォータポンププーリ22を回転させる。これにより、ウォータポンププーリ22への伝動ベルト31の巻き掛け長さC1が、図6に示す状態からさらに増大していき、やがて伝動ベルト31がウォータポンププーリ22に完全に巻き掛けられる。この際、伝動ベルト31のウォータポンププーリ22に巻き掛けられていない部分が、ウォータポンププーリ22の回転にともなってフランジ22bに徐々に近づいていき、最終的にはその部分31cがフランジ22bを滑るようにして乗り越え、ウォータポンププーリ22に組み付く。その後、ラチェットハンドル40をクランクプーリ12から取り外し、ベルト組み付け作業を完了する。
以上のように、この実施形態によれば、ウォータポンププーリ22に設けた突起24を利用することで、伝動ベルト31をプーリ12,22間に容易に組み付けることができる。これにより、専用治具(特殊工具)を用いることなく、ラチェットハンドル40のような一般工具のみで伝動ベルト31の組み付け作業を行うことができる。
ここで、ウォータポンププーリ22に突起24が設けられていなければ、ウォータポンププーリ22への伝動ベルト31の巻き掛け長さC1を確保するために必要となる伝動ベルト31への押圧力が大きくなる。すなわち、伝動ベルト31の伸張にともなって増大する張力に起因して、伝動ベルト31がウォータポンププーリ22から外れたり、伝動ベルト31がウォータポンププーリ22に対して滑ったりする可能性がある。このため、ウォータポンププーリ22への伝動ベルト31の巻き掛け長さC1を確保するには、伝動ベルト31への押圧力を高めて、伝動ベルト31の張力に相当する分だけの摩擦力を伝動ベルト31とウォータポンププーリ22との間に発生させる必要がある。
これに対し、この実施形態では、ウォータポンププーリ22に設けた突起24の外周面24aに伝動ベルト31を引っ掛けているので、ウォータポンププーリ22への伝動ベルト31の巻き掛け長さC1を確保するために必要となる伝動ベルト31への押圧力が軽減される。突起24は、伝動ベルト31への押圧力を軽減する役割を担っており、突起24に作用する伝動ベルト31の張力の分だけ、伝動ベルト31への押圧力が軽減される。また、伝動ベルト31のフランジ22bに引っ掛かった部分31bを押圧するので、伝動ベルト31への押圧力が小さくても、伝動ベルト31とウォータポンププーリ22との間に効果的に摩擦力を発生させることができる。このように、ウォータポンププーリ22への伝動ベルト31の巻き掛け長さC1を確保するために必要な伝動ベルト31への押圧力が小さくて済むので、伝動ベルト31をプーリ12,22間に容易に組み付けることができる。また、伝動ベルト31への押圧力が小さくて済むので、エンジンルーム内のような限られたスペースの中での伝動ベルト31の交換作業も容易に行うことができる。
しかも、この実施形態では、上述した従来の構成(フランジに切欠部を設ける構成)とは異なり、エンジンの運転時、伝動ベルト31の山とびや、ベルト外れなどの発生を防止することができる。つまり、ウォータポンププーリ22のフランジ22bには、切欠きなどの凹凸が設けられていないので、エンジンの運転時、伝動ベルト31の山とびや、ベルト外れなどの発生を未然に防ぐことができる。また、プーリ12,22間にミスアライメントがあったとしても、エンジンの運転時、その切欠きなどの凹凸による伝動ベルト31の損傷を未然に防ぐことができる。
また、上述したように、鋳造や、プレス加工によってウォータポンププーリ22に突起24を形成することができるので、ウォータポンププーリ22のフランジ22bに切欠き加工を行う場合に比べて、ウォータポンププーリ22に突起24を容易に設けることができ、コスト削減を図ることができる。
なお、伝動ベルト31をプーリ12,22間にセットした後、ラチェットハンドル40をクランクプーリ12に取り付けたが、ラチェットハンドル40をクランクプーリ12に取り付けた後、伝動ベルトをプーリ12,22間にセットしてもよい。
ここで、突起24の外径は、伝動ベルト31の長さ(周長)に応じて設定することが好ましい。具体的には、伝動ベルト31の長さが長いほど、突起24の外径を大きく設定すればよい。この点について説明する。
低弾性ベルト(ストレッチベルト)を伝動ベルト31として用いる場合、動力伝達機構10において要求される張力は、伝動ベルト31の長さを変更することによって管理される。動力伝達機構10において要求される張力が低い場合には、長さの長い伝動ベルト31が用いられる。この場合、突起24の外径を大きくすることで、伝動ベルト31をプーリ12,22間に組み付ける際、伝動ベルト31のクランクプーリ12と突起24間に配置される部分のたるみを抑制することができる。
逆に、動力伝達機構10において要求される張力が高い場合には、長さの短い伝動ベルト31が用いられる。この場合、突起24の外径を小さくすることで、伝動ベルト31をプーリ12,22間に組み付ける際、伝動ベルト31をプーリ12,22間にセットしたときのウォータポンププーリ22への伝動ベルト31の巻き掛け長さC1をできるだけ大きく確保することができる。
−他の実施形態−
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲で包含されるすべての変形や応用が可能である。
上述した突起24の形状は一例であって、突起24の形状をそれ以外の形状(例えば円柱状)に形成してもよい。
上述したプーリシート23を用いた回転軸21へのウォータポンププーリ22の取り付けは一例であって、プーリシート23を用いずに他の手段によってウォータポンププーリ22を回転軸21に取り付けてもよい。
また、上記実施形態では、ウォータポンププーリ22に突起24を設けたが、この構成に替えて、図7に示すように、クランクプーリ12に突起14を設けてもよい。図7に示す動力伝達機構100について説明する。この動力伝達機構100は、突起14の配設箇所、突起14を利用した伝動ベルト31の組み付け作業に関する点が、上記実施形態とは異なっているが、それ以外の点は、上記実施形態の動力伝達機構10と略同様となっている。
図7に示すように、クランクプーリ12には、円筒状の突起14が一体的に設けられている。この突起14は、伝動ベルト31の組み付け作業の際に伝動ベルト31を引っ掛けるために設けられている。突起14は、クランクプーリ12の前面15に前方へ向けて突出するように形成されている。突起14の外径は、クランクポンププーリ12の外径よりも小径に形成されており、クランクプーリ12と同心状に配置されている。突起14の前面15に対する突出量は、伝動ベルト31の軸方向の幅と略同じに設定されている。
次に、動力伝達機構100において、伝動ベルト31をプーリ12,22間に組み付ける組み付け作業の手順について、図8〜図10を参照して説明する。なお、上記実施形態と同様の手順については、詳しい説明を省略する。
まず、作業者は、図8に示すように、伝動ベルト31をプーリ12,22間にセットする。具体的には、作業者は、伝動ベルト31をクランクプーリ12に巻き掛けるとともに、伝動ベルト31をクランクプーリ12に巻き掛けながら突起14の外周面14aに引っ掛ける。このとき、伝動ベルト31は、弛んでいない状態で、かつ、伸びていない状態(張力がかかっていない状態)でプーリ12,22間に配置される。
そして、クランクプーリ12のプーリ溝12a上にある伝動ベルト31を曲げ、その向きを斜め前方へ変えて、伝動ベルト31を突起14の外周面14aに引っ掛けている。この場合、クランクプーリ12の伝動ベルト31を巻き掛け可能な領域の中央位置B0よりもプーリ回転方向(組み付け作業時の回転方向)の上流側の位置(図8では位置B1)において、伝動ベルト31をクランクプーリ12のフランジ12b上に乗り上げさせている。そして、フランジ12b上に乗り上げた伝動ベルト31をフランジ12bよりも内径側にある突起14の外周面14aに引っ掛けるようにしている。
作業者は、フランジ12bに引っ掛かった伝動ベルト31が位置B1からずれないように、伝動ベルト31を押さえておく(押圧しておく)。この場合、伝動ベルト31のフランジ12bに乗り上げている(引っ掛かっている)部分31dを押さえればよい。位置B1は、伝動ベルト31が、弛んでいない状態で、かつ、伸びていない状態でプーリ12,22間にセットされたときに、伝動ベルト31がフランジ12bに引っ掛かる位置となっている。なお、位置B1は、クランクプーリ12の回転方向の位置であり、クランクプーリ12の回転とともに移動する。一方、上記中央位置B0は、両プーリ12,22の中心を結ぶ直線L2上の位置であり、クランクプーリ12が回転しても不動である。
次に、作業者は、図9に示すように、伝動ベルト31のフランジ12bに引っ掛かった部分31dを押さえながら、ラチェットハンドル40によって、クランクプーリ12のセットボルト13をクラッチし、クランクプーリ12を回す。この場合、作業者は、一方の手で、伝動ベルト31を押さえ、他方の手で、ラチェットハンドル40を操作してクランクプーリ12を回転させればよい。すると、伝動ベルト31とウォータポンププーリ22との間の摩擦力によってウォータポンププーリ22も同じ方向に回転する。クランクプーリ12の回転にともなって上記位置B1が移動する。この場合、クランクプーリ12への伝動ベルト31の巻き掛け長さC2が大きくなる方向にクランクプーリ12を回転させる。ここでは、上記位置B1が上記中央位置B0に近づく方向(図9では時計周り)にクランクプーリ12を回転させる。
このクランクプーリ12の回転中、作業者は、伝動ベルト31を押さえている一方の手を、上記位置B1の移動に追随させて移動させる。つまり、クランクプーリ12への伝動ベルト31の巻き掛け長さC2を確保するように、伝動ベルト31のフランジ12bに引っ掛かった部分31dを一方の手で押さえながら、その一方の手を上記位置B1の移動に追随させて移動させる。この場合、クランクプーリ12が回転しても、クランクプーリ12に対して伝動ベルト31が滑らないように、伝動ベルト31を押さえる。言い換えれば、上記位置B1で伝動ベルト31がフランジ12bに引っ掛かっている状態を維持するように、伝動ベルト31を押圧して、伝動ベルト31とクランクプーリ12との間の摩擦力を付与する。
これにより、クランクプーリ12の回転にともなって、伝動ベルト31が徐々に伸ばされ、クランクプーリ12への伝動ベルト31の巻き掛け長さ(伝動ベルト31のクランクプーリ12に巻き掛けられた部分の長さ)C2が徐々に大きくなる。詳細には、伝動ベルト31の押圧位置である上記位置B1が、クランクプーリ12の回転により上記中央位置B0に近づくことで、クランクプーリ12への伝動ベルト31の巻き掛け長さC2が徐々に大きくなる。一方、クランクプーリ12の回転にともなって、突起14の外周面14aへの伝動ベルト31の引っ掛かり長さが徐々に小さくなる。このように、大径のクランクプーリ12への伝動ベルト31の巻き掛け長さC2が増大する一方、小径の突起14の外周面14aへの伝動ベルト31の引っ掛かり長さが減少するため、伝動ベルト31は、クランクプーリ12の回転にともなって徐々に伸ばされる。
そして、作業者は、例えば図10に示す位置までクランクプーリ12を回転させた後、一方の手を伝動ベルト31から離し、上記位置B1における伝動ベルト31への押圧を解除する。なお、上記位置B1が上記中央位置B0を通過した後であれば、一方の手を離しても伝動ベルト31がクランクプーリ12から外れる可能性がないので、伝動ベルト31への押圧を解除する位置は、上記中央位置B0よりもプーリ回転方向の下流側の位置であればどこでもよい。
図10に示す状態の後、作業者は、さらにクランクプーリ12を時計周りに回転させる。これにより、クランクプーリ12への伝動ベルト31の巻き掛け長さC2が、図10に示す状態からさらに増大していき、やがて伝動ベルト31がクランクプーリ12に完全に巻き掛けられる。この際、伝動ベルト31のクランクプーリ12に巻き掛けられていない部分31eが、クランクプーリ12の回転にともなってフランジ12bに徐々に近づいていき、最終的にはその部分31eがフランジ12b上を滑るようにして乗り越え、クランクプーリ12に組み付く。その後、ラチェットハンドル40をクランクプーリ12から取り外し、ベルト組み付け作業を完了する。
以上のように、この実施形態によれば、上記実施形態の場合と同様の効果が得られる。すなわち、クランクプーリ12に設けた突起14を利用することで、伝動ベルト31をプーリ12,22間に容易に組み付けることができる。これにより、専用治具を用いることなく一般工具(例えばラチェットハンドル、めがねレンチなど)のみで伝動ベルト31の組み付け作業を行うことができる。なお、この実施形態においても、伝動ベルト31の長さが長いほど、突起14の外径を大きく設定することが好ましい。
ここで、図11に示すように、クランクプーリ12の前方側(軸方向一方側)のフランジ12bの前方側の外周縁12cにR加工を施すことが好ましい。この変形例について説明する。
上述したように、伝動ベルト31をプーリ12,22間に組み付ける際、伝動ベルト31がクランクプーリ12に組み付く直前に、伝動ベルト31は、クランクプーリ12の前方側のフランジ12b上を滑るように乗り越える。しかし、この際、フランジ12bの外周縁12cにRが付けられていなければ、伝動ベルト31のリブ31aがフランジ12bの外周縁12cに強く擦れるため、リブ31aが損傷する可能性がある。また、場合によっては、伝動ベルト31のリブ31aがフランジ12bの外周縁12cに引っ掛かり、リブ31aが欠けてしまう可能性もある。さらに、伝動ベルト31が過度に伸ばされることになり、過大な張力が発生するため、クランクプーリ12を回転させる際の操作荷重が高くなるという問題がある。
これに対し、この実施形態では、図11に示すように、クランクプーリ12の前方側のフランジ12bの前方側の外周縁12cがR形状とされている。このため、伝動ベルト31をプーリ12,22間に組み付ける際、伝動ベルト31がクランクプーリ12の前方側のフランジ12b上をスムーズに乗り越えて、クランクプーリ12に組み付く。これにより、伝動ベルト31のリブ31aの損傷、欠損(山欠け)等を防止することができる。ここで、フランジ12bの外周縁12cの曲率半径が、伝動ベルト31の隣り合うリブ31a,31a間の間隔W1(例えば、2.5mm)よりも大きく設定することが好ましい。こうすれば、フランジ12bの外周縁12cが、伝動ベルト31の隣り合うリブ31a,31a間に入り込むことを防止することができ、伝動ベルト31のリブ31aの欠損を確実に回避することができる。
また、伝動ベルト31がフランジ12b上を乗り越える際の移動経路が短くなるので、伝動ベルト31が過度に伸ばされることを回避できる。これにより、クランクプーリ12を回転させる際の操作荷重を低減することができ、伝動ベルト31の組み付け作業を容易に行うことができる。したがって、伝動ベルト31の信頼性の向上、および、組み付け性の向上を図ることができる。この場合、フランジ12bの外周縁12cの曲率半径が大きいほど、伝動ベルト31の伸びを低減でき、クランクプーリ12を回転させる際の操作荷重を低減ができるので、フランジ12bの幅(軸方向の幅)W2を最大限利用してRを設けることが好ましい。
なお、上記実施形態においても、突起24が設けられたウォータポンププーリ22のフランジ22bの外周縁をR形状とすることが好ましい。この場合、ウォータポンププーリ22のフランジ22bの幅は、クランクプーリ12のフランジ12bの幅W2に比べて小さいので、上述した伝動ベルト31の伸びの低減効果、および、クランクプーリ12を回転させる際の操作荷重の低減効果は小さくなる。しかし、フランジ22bの外周縁の曲率半径を、伝動ベルト31の隣り合うリブ31a,31a間の間隔W1よりも大きく設定することによって、伝動ベルト31のリブ31aの欠損を防止することが可能である。
以上では、補機の一例としてウォータポンプを挙げたが、補機は、オルターネータ、パワーステアリングポンプ、エアコンディショナのコンプレッサなどであってもよい。
また、以上では、2軸間で動力を伝達する動力伝達機構に本発明を適用した場合について説明したが、3軸以上の間で動力を伝達する動力伝達機構にも本発明を適用することができる。つまり、本発明は、1つのクランクプーリと2以上の補機プーリとこれらプーリ間に掛け渡される伝動ベルトとを備えた動力伝達機構にも適用することができる。
以上では、伝動ベルトの組み付け作業の際、ラチェットハンドルを用いてクランクプーリを回転させたが、クランクプーリ以外のプーリを回転させて伝動ベルトの組み付けを行ってもよい。
以上では、伝動ベルトの一例としてVリブドベルトを挙げたが、伝動ベルトは、Vベルト(断面形状が台形のベルト)であってもよい。
以上では、車両に搭載されるエンジンの補機類を駆動するための動力伝達機構に本発明を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば駆動源を電動モータとする動力伝達機構にも本発明を適用することが可能であり、さらに、駆動プーリと従動プーリとの間に低弾性の伝動ベルトが掛け渡される構造のものであれば、他の種々の動力伝達機構にも本発明を適用することができる。
本発明は、複数のプーリとこれらプーリ間に掛け渡される伝動ベルトとを備えた動力伝達機構に利用できる。また、本発明は、複数のプーリとこれらプーリ間に掛け渡される伝動ベルトとを備えた動力伝達機構において、プーリ間に伝動ベルトを組み付けるベルト組み付け方法に利用できる。
10 動力伝達機構
12 クランクプーリ
12a プーリ溝
12b フランジ
22 ウォータポンププーリ
22a プーリ溝
22b フランジ
24 突起
24a 外周面
25 前面(軸方向一方側の面)
31 伝動ベルト
31a リブ
40 ラチェットハンドル

Claims (7)

  1. 複数のプーリとこれらプーリ間に掛け渡される伝動ベルトとを備えた動力伝達機構において、
    上記複数のプーリのうち、1つのプーリの軸方向一方側の面には、伝動ベルトをプーリ間に組み付ける際にこの伝動ベルトを引っ掛けるための突起が、軸方向一方側へ向けて突出して設けられ、上記突起が、上記1つのプーリと同心状に配置され
    上記1つのプーリの軸方向一方側には、上記伝動ベルトが嵌め込まれるプーリ溝よりも外径側に突出するフランジが設けられ、
    上記フランジの軸方向一方側の外周縁が、R形状とされていることを特徴とする動力伝達機構。
  2. 請求項1に記載の動力伝達機構において、
    上記突起は、伝動ベルトの長さが長いほど大径に形成されることを特徴とする動力伝達機構。
  3. 請求項1に記載の動力伝達機構において、
    上記伝動ベルトが、ベルト長さ方向に延びる複数のリブを有するVリブドベルトとされ、
    上記外周縁の曲率半径が、上記伝動ベルトの隣り合うリブ間の間隔よりも大きく設定されていることを特徴とする動力伝達機構。
  4. 請求項3に記載の動力伝達機構において、
    上記1つのプーリが、エンジンのクランクシャフトの一端部に取り付けられたクランクプーリであることを特徴とする動力伝達機構。
  5. 複数のプーリとこれらプーリ間に掛け渡される伝動ベルトとを備えた動力伝達機構において、複数のプーリ間に伝動ベルトを組み付けるベルト組み付け方法であって、
    上記複数のプーリのうち、1つのプーリの軸方向一方側の面には、軸方向一方側へ向けて突出する突起がこの1つのプーリと同心状に配置され、
    上記伝動ベルトを複数のプーリのうち、上記1つのプーリ以外のプーリに巻き掛けるとともに、この伝動ベルトを上記1つのプーリに巻き掛けながら上記突起の外周面に引っ掛け、
    上記1つのプーリへの伝動ベルトの巻き掛け長さを確保するように伝動ベルトを押さえながら、複数のプーリのうちいずれかのプーリを回転させることを特徴とする動力伝達機構におけるベルト組み付け方法。
  6. 請求項5に記載の動力伝達機構におけるベルト組み付け方法において、
    上記1つのプーリの軸方向一方側には、上記伝動ベルトが嵌め込まれるプーリ溝よりも外径側に突出するフランジが設けられ、
    上記伝動ベルトを突起の外周面に引っ掛ける際、上記1つのプーリの伝動ベルトを巻き掛け可能な領域の中央位置よりもプーリ回転方向の上流側の位置において、伝動ベルトを上記フランジ上に乗り上げさせ、このフランジ上に乗り上げさせた伝動ベルトをフランジよりも内径側にある突起の外周面に引っ掛けることを特徴とする動力伝達機構におけるベルト組み付け方法。
  7. 請求項6に記載の動力伝達機構におけるベルト組み付け方法において、
    上記複数のプーリのうちいずれかのプーリを回転させる際、上記伝動ベルトのフランジに乗り上げた部分を押さえることを特徴とする動力伝達機構におけるベルト組み付け方法。
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