JP5387087B2 - 風力発電装置 - Google Patents

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Description

本発明は、風力によって風車を回転させて発電する風力発電装置に関するものである。
従来の風力発電装置に用いられるクラッチ装置は、特許文献1に示す遠心クラッチを用いたものが知られている。
以下、その風力発電装置の一例について図を参照しながら説明する。
図5及び図6に示すように、風車101に備えたハブ102に固定したクラッチボス103に、一端をピン104を中心として揺動可能にしたウェイト105を回転中心に接する面に対して対称となるように2個備え、ウェイト105の他端同士をバネ106で連結することにより半径方向内側へウェイト105を引張る構成であり、ウェイト105が遠心力によりピン104を中心として半径方向外側へ揺動する際にウェイト105と接触するクラッチドラム106を発電機107に備えることで風車の回転を発電機に伝達する構成となっている。
特開2002ー327678号公報
このような従来の風力発電装置に用いられるクラッチ装置は、ウェイトがピンを中心に揺動する際にクラッチ装置の重心位置が回転中心からずれることによるアンバランスが発生し、振動が大きくなるという課題があり、また、ウェイトとクラッチドラムとの接触面が小さく、磨耗による劣化が生じやすいという課題がある。
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、クラッチ装置の重心位置が回転中心からずれないようにすることでアンバランスによる振動が発生せず、且つ、部品の劣化を抑制し、耐久性を向上させることで長寿命とすることができる風力発電装置を提供することを目的としている。
また、必要に応じて適切に保守、メンテナンスを行うことで長期間使用することができる風力発電装置を提供することを目的としている。
本発明の風力発電装置は、上記目標を達成するために、屋外に設置した支柱の上部に設けた風車と、風車の回転力により発電する発電機を備えた風力発電装置において、風車を回転可能に支持する風車側回転軸と、発電機に具備した発電機側回転軸は、クラッチ装置により風車側回転軸の回転を発電機側回転軸に伝達及び遮断できる構成であり、クラッチ装置は、風車側回転軸の半径方向に移動可能なウェイトと、風車側回転軸に固定され、ウェイトを保持するクラッチボスと、クラッチボスが回転することにより遠心力を受けて半径方向外側に移動するウェイトを受けて摩擦により回転するクラッチドラムを備え、且つウェイトは軸対称に複数備えたものである。この手段によりクラッチ装置の重心位置が回転中心からずれないためアンバランスによる振動が発生せず、且つ、部品の劣化を抑制することにより耐久性を向上させることで長寿命とすることができる風力発電装置が得られる。また、風車の回転異常を検知する回転検知手段と、外部に異常を報知する報知手段を備え、回転検知手段により回転の異常を検知した場合は、報知手段により異常を報知するものである。または、時間を計測できるタイマー装置を備え、回転計により風車側回転軸が停止した時間からあらかじめ設定された時間内に風車側回転軸が回転しない場合に回転異常を検知するものである。
本発明によればクラッチ装置の重心位置を回転中心からずれないようにすることでアンバランスによる振動を発生することなく、且つ部品の劣化を抑制することにより耐久性を向上させることで長寿命とするという効果のある風力発電装置を提供できる。
また、必要に応じて適切に保守、メンテナンスを行うことにより長期間使用できる風力発電装置を提供できる。
本発明の請求項1記載の発明は、屋外に設置した支柱の上部に設けた風車と、風車の回転力により発電する発電機を備えた風力発電装置において、風車を回転可能に支持する風車側回転軸と、発電機に具備した発電機側回転軸は、クラッチ装置により風車側回転軸の回転を発電機側回転軸に伝達及び遮断できる構成であり、クラッチ装置は、風車側回転軸の半径方向に移動可能なウェイトと、風車側回転軸に固定され、ウェイトを保持するクラッチボスと、クラッチボスが回転することにより遠心力を受けて半径方向外側に移動するウェイトを受けて摩擦により回転するクラッチドラムを備え、且つウェイトは軸対称に複数備えたものであり、風車が回転してウェイトが半径方向に移動しても、軸対称に配置された複数のウェイトの重心を合成した位置は回転中心にあるため、クラッチ装置の重心位置が回転中心からずれることがなく、アンバランスによる振動を発生させないようにするという作用を有する。また、風車の回転異常を検知する回転検知手段と、外部に異常を報知する報知手段を備え、回転検知手段により回転の異常を検知した場合は、報知手段により異常を報知するものであり、迅速にメンテナンスや修理を行うことができるという作用を有する。また、時間を計測できるタイマー装置を備え、回転計により風車側回転軸が停止した時間からあらかじめ設定された時間内に前記風車側回転軸が回転しない場合に回転異常を検知するものであり、風車がロック状態となったことを検知し、迅速にメンテナンスや修理を行うことができるという作用を有する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1に風力発電装置の構成を示す断面図、図2にクラッチ装置8の構成を示す斜視図、図3(a)にクラッチ装置8の回転を伝達しない状態を示す正面図、図3(b)にクラッチ装置8の回転を伝達する状態を示す正面図、図4に外風の風速と風車側回転軸4及び発電機側回転軸7の回転数を示すグラフを示して説明する。
図1に示すように、風力発電装置1は、屋外の地面に埋設されて固定された支柱2の上部に設置した風車3(一例としてサボニウス型風車)は、風車側回転軸4と固着され、風車側回転軸4は支柱2に保持された軸受5によって回転自在に支持されている。一方、発電機6(一例として直流モータ)は支柱2内部に固定され、発電機6に具備された発電機側回転軸7は、風車側回転軸4と同軸上に配置されている。この風車側回転軸4と発電機側回転軸7の間には風車側回転軸4の回転を発電機側回転軸7に伝達及び遮断するクラッチ装置8が備えられている。
図2に示すようにクラッチ装置8は、風車側回転軸4に固定した円盤状のクラッチボス9と、発電機側回転軸7に固定した円筒状のクラッチドラム10で構成されている。
クラッチボス9は、軸対称位置となるように2個のウェイト11を備えており、クラッチボス9に半径方向に向かって一定幅の溝形状のガイド部12を備え、ウェイト11にはガイド部12に挟まれるキー部13を備えることでウェイト11がガタ無く風車側回転軸4の半径方向に移動可能になっている。
ここで、ウェイト11位置を軸対称とすることでウェイト11が半径方向に移動してもクラッチ装置8の重心位置は回転中心からずれないため、アンバランスによる振動を発生させず、長寿命とすることができるという効果がある。
また、ウェイト11は2個に限らず、3個以上であっても軸対称となるように回転角度に対して等配となるようにすることで、同様の効果がある。
クラッチドラム10は、金属製(一例としてステンレス)で、クラッチボス9を覆うような円筒状となっており、クラッチボス9に備えたウェイト11が遠心力により半径方向外側に移動した際にクラッチドラム10の円筒内側である摺動部14に接触するように配置している。また、摺動部14には磨耗抑制手段15(一例としてメタル又はフッ素樹脂)が備えられている。
ここで、図3(a)に示すようにウェイト11のキー部13同士をバネ16(一例としてコイルバネ)で接続することにより半径方向内側に常に引張力が加えられている。このバネ16は回転中心と交差するように設置することでバネ16自身の重心位置を回転軸中心と合致させることができ、アンバランスによる振動を発生させず、長寿命とすることができるという効果がある。
またさらに、バネ16の代わりにウェイト11を磁力により引き付けられる金属製(一例としてS45C)とし、回転中心位置にウェイト11を磁力により引張力を与える磁石17(図示せず)とすると、アンバランスによる振動を発生させない作用に加えて非接触で引張力を与えられるため、機械的に引っ張ることによる部品の劣化が発生せず、長寿命となる効果がある。
ウェイト11の外周部18の形状は、クラッチドラム10の内周で且つウェイト11が遠心力により半径方向外側に移動した際に接触する摺動部14と同一径となるような円弧状となっており、外周部18の円弧長さをキー部13の幅よりも大きくすることで、ウェイト11がバネ16により半径方向内側に引っ張られる際は、外周部18の半径方向内側とクラッチボス9のガイド部12のエンドが接触して半径方向の位置が決まるストッパーの機能を備えている。
また、図1に示すように風車側回転軸4には回転異常を検知する回転検知手段としての振動センサ19(一例として加速度ピックアップ)、又は回転数を測定できる回転計20(一例として反射式回転センサ)を備えており、回転異常が発生した場合は、外部に異常を報知する報知手段としての外観から目視できる表示ランプ21(一例としてLEDランプ)、又は報知音を発生させるブザー22により異常を報知することができる。
また、時刻を計測できるタイマー装置23(一例としてタイムカウンタ)を備えている。
上記構成において、外風によって風車3が回転を開始すると風車側回転軸4に固定されたクラッチボス9が回転を始める。図3(a)に示すように、初期の低回転時は、クラッチボス9のウェイト11にかかる遠心力に対してバネ16による引張力が大きいため、ウェイト11は半径方向内側に寄ったままとなり、クラッチドラム10の摺動部14に接触しないため、発電機側回転軸7へ回転力が伝達しない状態となっている。次に、外風が強くなるに従って風車3の回転が速くなり、風車側回転軸4のクラッチボス9の回転も速くなると図3(b)に示すようにウェイト11にかかる遠心力がバネ16による引張力を超えるため、ウェイト11が半径方向外側に移動し、ウェイト11の外周部18とクラッチドラム10の摺動部14が接触してすべりによる摩擦が発生し、回転力が発電機側回転軸7に伝達され始める。この時、摺動部14には、摩擦によってクラッチドラム10を回転させようとする回転力Fr(N:()は単位を示す)が回転方向に発生し、一方で発電機6の負荷トルクT(N・m)による回転抑止力Ft(N)が回転方向とは逆方向に発生している。ここで、それぞれの力を数式で表すと、回転力Fr(N)は、ウェイト11の外周部18とクラッチドラム10の摺動部14との摩擦係数をμ、ウェイト11にかかる遠心力をF(N)とすると、Fr(N)=μ*Fとなる。遠心力F(N)は、ウェイト11の重量をM(kg)、回転中心からウェイト11の重心までの距離をr(m)、回転数をN(r/min)とするとF(N)=M*r*(2π*N/60)2となる。従って回転数が早くなればなるほど遠心力F(N)が大きくなり、回転力Fr(N)が増大する。一方、回転抑止力Ft(N)は、回転中心から摺動部14までの距離をR(m)とすると、Ft(N)=T/Rとなる。
よって、図4に風車側回転軸4の回転数を実線、発電機側回転軸7の回転数を破線で示して説明すると、外風の風速が遅く、風車3が低速で回転する場合はウェイト11に発生する遠心力F(N)が小さく、ウェイト11の外周部18とクラッチドラム10の摺動部14が接触しない、すなわち回転力Fr(N)=0となる領域は風車側回転軸4のみが回転するA領域となり、風速が速くなって風車側回転軸4の回転数が上昇してくると、遠心力F(N)によりウェイト11の外周部18とクラッチドラム10の摺動部14が接触してFr<Ftの状態となり、ウェイト11の外周部18とクラッチドラム10の摺動部14ですべりが発生して発電機側回転軸7の回転数は風車側回転軸4の回転数に比べて遅くなるB領域となり、さらに風速が速くなるとウェイト11に発生する遠心力F(N)が増大し、Fr>Ftの状態となると、ウェイト11が摺動部14に押し付けられて風車側回転軸4の回転数と発電機側回転軸7の回転数が同一となるC領域となる。
このように、外風の風速が遅い場合に風車3のみが回転するようにすることは特許文献にも記載されているが、風車3の起動時のトルクを小さくすることができるため、発電機6を回転させる際のコギングによる負荷トルクを風車3の回転による慣性力を利用して回転させることにより、風車3と発電機6を連結した状態で起動させるよりも低い風速から発電機6を回転させることができ、効率良く発電することができるという効果がある。
また、図3(a)に示すように本発明の実施の形態1ではウェイト11の外周部18とクラッチドラム10の摺動部14の摩擦によって磨耗が生じるため、これを抑制すべく、ウェイト11の外周部18を円弧形状としクラッチドラム10の摺動部14の内径と同一径とすることで、ウェイト11の外周部18が遠心力によってクラッチドラム10の摺動部14に押し当てられる際の接触面を広くし、面圧を小さくすることができる。これにより、磨耗を抑制でき、耐久性を向上させることで長寿命とすることができる。
さらに、クラッチドラム10の摺動部14に磨耗抑制手段15として潤滑油を含浸させたメタルを入れることにより、摺動部14は常に潤滑油によって潤滑されるため、磨耗が発生しにくく、耐久性を向上させることができるため、同様の効果がある。また、メタルの代わりにフッ素樹脂としても同様の効果があり、フッ素樹脂の自己潤滑機能により摺動部14が潤滑されるため、磨耗が発生しにくく、耐久性を向上させることができるため、同様の効果が得られる。
次に、本発明の実施の形態1では、風車側回転軸4の回転異常を検知する回転検知手段を備え、外部に異常を報知する報知手段により、回転異常発生時に報知することにより、迅速に保守、メンテナンスを行うことができるため、長期間使用できる風力発電装置1を提供することができる。
一例として、回転検知手段としての振動センサ19により、例えば風速20m/sまでの外風によって風車3が回転する際の振動レベルが100GAL未満である場合、100GAL以上の振動を検知した場合に回転異常と判断して報知手段により報知する動作を行う。これにより、外風が想定以上の風速となり、風車3が高速回転している時や、外的要因などによって風車3のバランスが崩れてアンバランスになっている時を検知することができ、迅速に且つ適切に保守、メンテナンスを行うことができるため、同様の効果がある。
また、別の一例として、回転以上を検知する回転検知手段は風車側回転軸4の回転数を測定できる回転計20としたものであり、例えば風速20m/sまでの回転数が2000r/min未満であるとき、回転計20により2000r/min以上の回転数を検知した場合に回転異常と判断して報知手段により報知する動作を行う。これにより、上記動作と同様に外風が想定以上の風速となり、風車3が高速回転している時に報知手段により報知することで迅速に保守、メンテナンスを行うことができるため、同様の効果がある。
ここで、回転計20により2000r/min以上の回転数を検知した場合に、発電機6に備えた発電回路(図示せず)を短絡させて、回生電流を流すことにより回生ブレーキを生じさせることもでき、風車3の回転数上昇を抑制することで、回転負荷を軽減して部品の劣化を抑制することができるため、耐久性を向上させて長寿命とすることができるという効果がある。
また、別の一例として、時間を計測できるタイマー装置23によって、例えば風車側回転軸4が停止した時間からあらかじめ設定された時間として1ヶ月間、風車側回転軸4が回転しない場合に回転異常と判断して報知手段により報知する動作を行う。これにより、外的要因などによって風車3がロック状態となったことを検知することができるため、迅速に且つ適切に保守、メンテナンスを行うことができるため、同様の効果がある。
また、別の一例として、タイマー装置23により、風力発電装置1を設置してから一定期間としての例えば3年間を経過した場合に報知手段により定期メンテナンスを報知する。これにより、定期的に保守、メンテナンス時期を認知して適切に実施することができるため、同様の効果がある。
以上の動作について、報知手段の一例について記述する。
報知手段の一例として、外部から目視できるように支柱2の側面に光を発光する表示ランプ21を備えることにより、回転検知手段によって回転異常を検知した場合は表示ランプ21を点灯又は点滅させることにより報知することができる。
また、報知手段の別の一例として、支柱2内部に報知音を発生するブザー22を備えることで回転検知手段によって回転異常を検知した場合はブザー22を鳴らすことにより、聴感により異常を報知することができる。
家庭用の小型風力発電装置から業務用の大型風力発電装置に適用できる。
本発明の実施の形態1の風力発電装置の構成を示す断面図 同クラッチ装置の構成を示す斜視図 (a)同クラッチ装置の回転を伝達しない状態を示す正面図、(b)同クラッチ装置の回転を伝達する状態を示す正面図 同外風の風速と風車側回転軸及び発電機側回転軸の回転数を示すグラフ 従来の風力発電装置の構成を示す側面断面図 従来のクラッチ装置を示す正面図
1 風力発電装置
2 支柱
3 風車
4 風車側回転軸
5 軸受
6 発電機
7 発電機側回転軸
8 クラッチ装置
9 クラッチボス
10 クラッチドラム
11 ウェイト
12 ガイド部
13 キー部
14 摺動部
15 磨耗抑制手段
16 バネ
17 磁石
18 外周部
19 振動センサ
20 回転計
21 表示ランプ
22 ブザー
23 タイマー装置

Claims (1)

  1. 屋外に設置した支柱の上部に設けた風車と、前記風車の回転力により発電する発電機を備えた風力発電装置において、前記風車を回転可能に支持する風車側回転軸と、前記発電機に具備した発電機側回転軸は、クラッチ装置により前記風車側回転軸の回転を前記発電機側回転軸に伝達及び遮断できる構成であり、前記クラッチ装置は、前記風車側回転軸の半径方向に移動可能なウェイトと、前記風車側回転軸に固定され、前記ウェイトを保持するクラッチボスと、前記クラッチボスが回転することにより遠心力を受けて半径方向外側に移動する前記ウェイトを受けて摩擦により回転するクラッチドラムを備え、且つ前記ウェイトは軸対称に複数備え、
    風車の回転異常を検知する回転検知手段と、外部に異常を報知する報知手段を備え、前記回転検知手段により回転の異常を検知した場合は、前記報知手段により異常を報知し、
    時間を計測できるタイマー装置を備え、回転計により風車側回転軸が停止した時間からあらかじめ設定された時間内に前記風車側回転軸が回転しない場合に回転異常を検知する風力発電装置。
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