JPH105478A - 脱水洗濯機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】洗濯時にクラッチばねとプーリボスの表面の摩
擦により、ゆるむ方向に働く力とクラッチばねの復元力
が釣り合う場合、クラッチばねの係合部がばねカラーの
係合部を叩くときでも、衝撃による異常音を防ぎ、より
静かな洗濯機を提供する。 【解決手段】外枠内に防振支持され外槽内に配置した洗
濯兼脱水槽と、前記洗濯兼脱水槽内に配置した回転翼
と、前記洗濯兼脱水槽と前記回転翼とを回転させる駆動
機構と、前記洗濯兼脱水槽を固定させるブレーキ機構
と、前記駆動機構の制御装置，前記外槽の下部に配置し
た前記駆動装置および前記ブレーキ機構と連結していな
い排水弁とを備えた脱水洗濯機において、前記駆動機構
のばねの締まりとゆるみにより洗濯のときの前記回転翼
と脱水のときの前記洗濯兼脱水槽の回転を切り換えるば
ねクラッチのばねの締まりとゆるみを制御するばねカラ
ーのばねとの結合部分又はその全体の表面に、樹脂製の
細かい毛を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、主として一般家庭
に使用する脱水洗濯機に関する。

【０００２】

【従来の技術】図３に示すように、駆動機構部のクラッ
チは、潤滑油を含浸させた円筒状の焼結合金のボス１１
６に締め代をもって巻きついたクラッチばね１２８と鋼
鉄製の円筒状のボス１２４に巻きついたクラッチばね１
２９を備えており、この二つのばねの締まりとゆるみに
より動力を伝達する軸を切り換えることにより、回転翼
あるいは、脱水兼洗濯槽を回転させることができ、洗濯
と脱水の切り換え及び洗濯兼脱水槽の停止（ブレーキ動
作）を行っている。

【０００３】クラッチばね１２８がゆるむと回転翼を駆
動させる軸のみに動力が伝達され、クラッチばね１２８
が締まると洗濯兼脱水槽を駆動させる軸に動力が伝達さ
れる。

【０００４】また、クラッチばね１２９が締まると圧縮
されたブレーキ板と洗濯兼脱水槽の軸とが連結され、脱
水時の洗濯兼脱水槽の停止および洗濯時の洗濯兼脱水槽
の回転防止の状態となる。クラッチばね１２８およびク
ラッチばね１２９の締まりとゆるみを切り換える部品の
一つにばねカラーがあり、このばねカラーはクラッチば
ね１２８およびクラッチばね１２９とそれぞれ係合部分
を有している。コイルカラーの側面部分には、鋼板製の
平板操作バンドが巻き付けられており、その一端はコイ
ルカラーの側面接線と垂直方向に伸びた部分を有してい
る。操作バンドの水平方向に伸びた部分は、その近傍に
取り付けられた電磁気の吸引作用により出入りする鋼材
製円筒状のプランジャにより係止，解放することができ
る。洗濯工程のとき、プランジャが飛び出ているため
に、操作バンドの一端は係止され、コイルカラーは固定
される。この時、クラッチばね１２８の一端は鋼鉄製の
円筒状のボス１２４の角状の孔固定され、他端はコイル
カラーの係合部分の壁に押しあてられるため、クラッチ
ばね１２８はゆるみ、潤滑油を含浸させた円筒状の焼結
合金のボス１１６は自由に正逆回転をし、回転翼を正逆
回転させることができる。

【０００５】この時、クラッチばね１２８は締め代をも
って前記潤滑油を含浸させた円筒状の焼焼合金のボス１
１６に巻き付いているためゆるみの状態となっても接触
する部分を有しており、その接触部分で潤滑油を含浸さ
せた円筒状の焼結合金のボス１１６がクラッチばね１２
８の巻き方向と反対方向つまり締まり方向に回転するク
ラッチばね１２８の両端部分は固定されているためばね
は締まることはない。一方、潤滑油を含浸させた円筒状
の焼結合金のボス１１６がクラッチばね１２８の巻き方
向と同じ方向つまりゆるみ方向に回転するとき、接触部
分で潤滑油を含浸させた円筒状の焼結合金のボス１１６
の表面の摩擦によりクラッチばね１２８はさらにゆるみ
方向に力が働き、コイルカラーの係合部分の壁に押し
あてられたクラッチばね１２８の一端は、コイルカラー
の壁を離れる。また、その一方でクラッチばね１２８が
戻ろうとする力（ばねの復元力）が合き、再びクラッ
チばね１２８の一端は、コイルカラーの壁に押しあてら
れる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】このようにゆるみ方向
に働く力と戻ろうとする力が微妙に釣り合おうとす
るとき、クラッチばね１２８の端部は、コイルカラーの
係合部分を叩き、異常音を発していた。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記クラッチばね１２８
の端部が、前記コイルカラーの係合部分を叩き、異常音
を発するのを防止するために、前記コイルカラーのコイ
ルばねとの係合部分または全体に静電植毛等により合成
樹脂を付着または硬度の低い合成樹脂を二色成形で配す
る。

【０００８】コイルカラーのクラッチばね１２８との係
合部分または全体の静電植毛等により合成樹脂を付着さ
せたまたは硬度の低い合成樹脂を配することにより、合
成樹脂製の細かい毛または硬度の低い合成樹脂が緩衝材
の役割を果たし、クラッチばね１２８の端部がコイルカ
ラーの係合部分を叩く時の音を軽減させ、異常音の発生
を抑えることができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】本発明の実施例を図面に基づいて
説明する。図１で、鋼板製でかつ箱形の外枠１内には、
吊り棒２および防振ばね３によって合成樹脂製の外槽４
を防振支持する。外槽４の側壁には、吊り棒２および防
振ばね３を取り付けるリブ４ａを形成する。外槽４内に
は、横断面形状がほぼ円形の洗濯兼脱水槽５を設ける。
洗濯兼脱水槽５内の側壁には、多数の脱水孔５ａを設け
る。洗濯兼脱水槽５の内底中央には、大形の回転翼７を
装着する凹部５ｃを形成する。外槽４の上端には、外槽
４と洗濯兼脱水槽５との間に洗濯物が落下するのを防止
するために、合成樹脂製の槽カバー８を固定する。外槽
４の外底部には、排水装置９と、回転翼７および洗濯兼
脱水槽５を回転させるための駆動装置１０とを、鋼板製
の支持金具１１を介して取り付ける。支持金具１１は、
図２に示すようにほぼ箱形になっており、ねじ等によっ
て外槽４の外底部に固定する。排水装置９は、外槽４の
内底部に連結した排水弁１２と、この排水弁に連結した
排水ホース１３とを備えている。排水弁１２の開閉は、
小形周期モータ１２ａによって作動するレバー１２ｂに
より行われる。排水弁１２は、図２に示すように、ねじ
１２ｃによって支持金具１１に取り付ける。排水ホース
１３は、外枠１の側壁下部あるいは、ＰＰベース301に
設けた孔１４を通して外枠１外に延在させる。

【００１０】駆動装置１０は、図１に示すように、洗濯
機用モータ１５と、クラッチ機構１６と、洗濯機用モー
タ１５の回転をクラッチ機構１６に伝える伝達機構１７
と、洗濯兼脱水槽５の回転を止めるブレーキ装置１８
と、洗濯機用モータ１５の回転を減速して回転翼７に伝
える減速機構１９とを備えている。洗濯機用モータ１５
は、図２に示すように、ねじ１５ａによって支持金具１
１に固定する。

【００１１】伝達機構１７は、図２に示すように、洗濯
機用モータ１５の回転軸に固定したプーリ１７ａと、ク
ラッチ機構１６の下方に配置したプーリ１７ｂと、プー
リ１７ａおよびプーリ１７ｂに巻き付けたベルト１７ｃ
とを備えている。

【００１２】クラッチ，ブレーキ関係の詳細は、図３な
いし図５を用いて説明する。上ケース１０１は上ベアリ
ング１０２を介して、洗濯槽シャフト１０３を軸支して
いる。ばね掛けピン１０４は、加締め等の手段により上
ケース１０１に固定されている。ブレーキ板１１４は、
外周に一体成形されたライニング１１５を有している。
ブレーキ板１１４は、ボス１１６と遊合部１１７で遊合
している。ブレーキ板１１４は、ブレーキ当板１１８，
ブレーキ押しばね１１９，ばね用ボルト１２０で、ブレ
ーキ当板１１８および下ケース１２１に圧接されてい
る。ブレーキ当板１１８より一体的に延設されている下
アーム部１２２には、ソレノイド１２３が係止されてい
る。ボス１２４は、下シャフト１２５とスプライン１２
６で係合している。

【００１３】ボス１２４は、逆Ｕ字状のばね係合部１２
７を有し、係合部１２７にはクラッチばね１２９の曲げ
部１３１が係合している。ボス１１６，ボス１２４の外
周にはクラッチばね１２９が係合している。クラッチば
ね１２９は（ボス１１６，ボス１２４に対しては）締め
代のない状態で係合している。ばねカラー１３０は、ク
ラッチばね１２９の外周に設けられ、外周部に操作バン
ド１３７を巻着している。操作バンド１３７の表面は静
電植毛等により、合成樹脂等を付着させ、操作バンド１
３７とばねカラー１３０の摺動トルクを安定させる。ば
ねカラー１３０の下部には、ばね係合溝１３３がありク
ラッチばね１２８の係合部１３５と係合し、ばねカラー
１３０の上部には、複数のばね係合溝１３４を有してい
る（クラッチばね１２８の係合部１３５の表面またはば
ねカラー１３０全体に、静電植毛等により、合成樹脂等
を付着させている。）。これはばねカラー１３０を組込
むとき、クラツチばね１２８の係合部１３５とクラッチ
ばね１２９の係合部１３６の立ち上がりを位置決めする
必要がないよう１５°間隔でばね係合溝１３４を設けク
ラッチばね１２９のばね係合部１３６と当接するばね係
合溝１３４と係合させ作業性を向上させる。クラッチば
ね１２８は、ボス１２４とプーリボス１３８に若干の締
め代を有しながら係合し、その上端は軸方向に立ち上げ
ボス１２４の孔１３９に係合されクラッチばね１２８の
スリップを防止する。

【００１４】次に駆動部の動作について洗濯物および水
が洗濯兼脱水槽５に入った状態から説明する。一般の衣
類を洗濯する場合、まずプーリ１７ｂがＬ方向に回転す
る場合にはクラッチばね１２８はゆるみ方向となるため
動力は伝達されず、プーリ１７ｂの回転はギャシャフト
１４１，減速ギャ１４２，羽根シャフト１４３を通して
回転翼７に伝達される。この時、洗濯兼脱水槽５も慣性
により回転しようとするが、洗濯兼脱水槽５は底部のフ
ランジ１４４を通して洗濯槽シャフト１０３にナット等
により固定されているため、回動を防止する。

【００１５】プーリ１７ｂがＲ方向に回転した場合に
は、クラッチばね１２８は締まり方向となるが、ソレノ
イド１２３のプランジャ１２３ａと操作バンド１３７の
立ち上がり部１３７ａが係合し、ばねカラー１３０を係
止させる。この時、クラッチばね１２８の係合部１３５
は、ばねカラー１３０のばね係合溝１３３の端部130aに
係合され、ばねゆるみ同様に回転翼７に伝達される。こ
の時コイルスプリング１０５はゆるみ方向となるため動
作しないが、洗濯槽シャフト１０３と一体的に結合され
たシャフト１２５、さらにスプライン部１２６を介して
ボス１２４に洗濯兼脱水槽５の回転力は伝達される。こ
の時クラッチばね１２９の折り曲げ部１３１とボス１２
４のばね係合部１２７が係合しているため、クラッチば
ね129はボス１２４，ボス１１６の外周に巻き付き、ボ
ス１１６の遊合部１１７を介してブレーキ板１１４に伝
達され回動を防止する。このようにして、洗濯兼脱水槽
５を固定し、回転翼７を反転させることによって、一般
の衣類を擦り洗い作用および回転翼７で発生する水流に
より洗濯できる。

【００１６】ソレノイド１２３のプランジャ１２３ａの
操作バンド１３７の立ち上がり部１３７ａが係合し、ば
ねカラー１３０を係合させ、洗濯用モータ１５の正逆回
転（Ｒ方向回転とＬ方向回転）がプーリ１７ａ，ベルド
１７ｃ及びプーリ１７ｂを介してボス１１６を回転させ
るとき、クラッチばね１２８は端部１３０ａに係止さ
れ、プーリボス１３８がクラッチばね１２８のゆるみ方
向に回転するときに、クラッチばね１２８とプーリボス
１３８の表面の摩擦力により、さらにゆるむ方向に働く
力とクラッチばね１２８が戻ろうとする復元力が微妙に
釣り合う場合にクラッチばね１２８の係合部１３５がば
ねカラー１３０の係合部分１３５を叩こうとするときで
も、ばねカラー係合部分１３０またはばねカラー１３０
全体に静電動毛等により合成樹脂を付着させているた
め、緩衝材となり、衝撃による異常音を防止することが
できる。また、ばねカラー１３０の係合部分１３５が二
色成形により硬度の低い合成樹脂を配したときも同様の
効果をもたらす。

【００１７】次に脱水時には、排水弁９を開き、水を抜
いた後、ソレノイド１２３に通電され、プランジャ１２
３ａを吸引し、操作バンド１３７の係合を解除し、ばね
カラー１３０をフリー状態とする。この時、プーリ１７
ｂをＲ方向に回転させることにより、クラッチばね１２
８は締まり方向となり、プーリボス１３８，ボス124を
介して下シャフト１２５，洗濯槽シャフト１０３に回転
は伝達され、洗濯兼脱水槽は５を高速回転させる。

【００１８】ブレーキ動作時は、まずソレノイド１２３
の通電を停止することにより、プランジャ１２３ａが突
出し、高速回転している操作バンド１３７の立ち上がり
部１３７ａを係止する。この時、操作バンド１３７とば
ねカラー１３０との間にすべりが発生し、ばねカラー１
３０の回転は直ちに停止しない。しかし、操作バンド１
３７とばねカラー１３０の摺動抵抗により、クラッチば
ね１２９が巻き付き、回転力がブレーキ板１１４に伝達
され、ブレーキ板１１４はブレーキ当板118,ブレーキ押
しばね１１９，ばね用ボルト１２０で、下ケース１２１
に圧接されているため、その摩擦力により減速，停止す
る。

【００１９】洗濯兼脱槽５の固定は、図２，図３，図４
に示すように、外槽下部の支持金具１１に固定されたク
ラッチ１６の外周部にねじを切った中空軸１６ａに、四
角形で真空を抜いたワッシュ３０を通し、洗濯兼脱水槽
５の底部にボルト３１で固定された支持金具フランジ３
２中央の孔部３２ａを通し、フランジ孔部の上面と接す
る部分に円形上の鍔部３３ａを備え、さらにその下部に
中空の円筒部３３ｂを備えた金属製のナッチ３３をクラ
ツチの中空軸１６ａ外周部のねじ部分に取り付け、ナッ
ト３３の回転による推進力でフランジを上下方向の締め
付けにより固定する。ナット３３の鍔部３３ａは、ナッ
トのねじ回転による推進力でフランジ３２の上面を均一
な面圧で直接支持するため、仲介する部品の締め付けロ
スをなくし、ナット３３の緩みも少なくできる。また、
中空の円筒部３３ｂクラッチ１６の外周部にねじを切っ
た中空軸１６ａとフランジ３２中央の孔部３２ａの組み
立て上の隙間をなくし、洗濯兼脱水槽５の回転中心がク
ラッチの中空軸１６ａの回転中心と一致するように補正
し、脱水時の洗濯兼脱水槽の高速回転の振れを少なくす
る。

【００２０】

【発明の効果】本発明によれば、洗濯時にクラッチばね
とプーリボスの表面の摩擦により、さらにゆるむ方向に
働く力とクラッチばねが戻ろうとする復元力が微妙に釣
り合う場合に、クラッチばねの係合部がばねカラーの係
合部分を叩こうとするときでも、衝撃による異常音を防
止し、より静かな洗濯機を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の脱水洗濯機の縦断面図。

【図２】本発明の脱水洗濯機の下部より見た正面図。

【図３】クラッチの縦断面図。

【図４】ばねカラー取付時の上部から見た平面図。

【符号の説明】

５…洗濯兼脱水槽、７…回転翼、１６…クラッチ、１６
ａ…クラッチの中空軸、１８…ブレーキ装置、１１６，
１２４…ボス、１２３ａ…プランジャ、１２８，１２９
…クラッチばね、１３０…ばねカラー、１３０ａ…ばね
カラーの係合部、１３５，１３６…クラッチばねの係合
部、１３７…操作バンド。

フロントページの続き (72)発明者 濱口 智雄 茨城県日立市東多賀町一丁目１番１号 株 式会社日立製作所電化機器事業部多賀本部 内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】外枠内に防振支持され外槽内に配置した洗
   濯兼脱水槽と、前記洗濯兼脱水槽内に配置した回転翼
   と、前記洗濯兼脱水槽と前記回転翼とを回転させる駆動
   機構と、前記洗濯兼脱水槽を固定させるブレーキ機構
   と、前記駆動機構の制御装置，前記外槽の下部に配置し
   た前記駆動装置および前記ブレーキ機構と連結していな
   い排水弁とを備えた脱水洗濯機において、前記駆動機構
   のばねの締まりとゆるみにより洗濯のときの前記回転翼
   と脱水のときの前記洗濯兼脱水槽の回転を切り換えるば
   ねクラッチのばねの締まりとゆるみを制御するばねカラ
   ーのばねとの結合部分又はその全体の表面に、樹脂製の
   細かい毛を設けたことを特徴とする脱水洗濯機。
2. 【請求項２】請求項１において、前記ばねカラーの前記
   ばねとの結合部分に前記ばねカラー全体の材質の異なる
   合成樹脂を配した脱水洗濯機。