JP5386900B2 - 有機構造体を含む双極型リチウムイオン二次電池用集電体 - Google Patents

有機構造体を含む双極型リチウムイオン二次電池用集電体 Download PDF

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Description

本発明は、双極型リチウムイオン二次電池用の集電体に関する。本発明の集電体を用いた双極型リチウムイオン二次電池は、例えば、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等の駆動用電源として用いられる。
近年、環境保護のため二酸化炭素排出量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池の開発が鋭意行われている。二次電池としては、高エネルギー密度、高出力密度が達成できるリチウムイオン二次電池に注目が集まっている。
リチウムイオン二次電池は、一般に、バインダ(結着剤)を用いて正極または負極活物質等を正極用または負極用集電体にそれぞれ塗布して電極を構成している。また、双極型の電池の場合には、集電体の一方の面にバインダを用いて正極活物質等を塗布して正極活物質層を、反対側の面にバインダを用いて負極活物質等を塗布して負極活物質層を有する双極型電極を構成している。
このようなリチウムイオン二次電池においては、従来、集電体として金属箔(金属集電箔)が用いられてきた。近年、金属集電箔に代わって、樹脂100重量部に対して20〜200重量部の金属粉(導電性フィラー)が混合された導電性樹脂から構成される、いわゆる樹脂集電体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような樹脂集電体は、金属集電箔に較べて軽量であり、電池の出力向上が期待される。
特開昭61−285664号公報
特許文献1の樹脂集電体では、電子伝導性(以下、導電性または電気伝導性とも称する)を確保する上で相当量の金属粉を樹脂に添加、混合させる必要がある。しかしながら、相当量の金属粉(導電性フィラー)が混合された導電性樹脂を用いて、膜厚等を制御して薄膜の樹脂集電体を成形するのは困難であるという問題があった(参考例3参照)。一方、該金属粉(導電性フィラー)の混合量を少なくすれば成形性は向上するが、そうした場合には、樹脂集電体の内部抵抗が大きくなり、所望の集電性能を十分に発揮できない問題があった。
そこで本発明の目的は、集電体の電子伝導性を確保する上で必要となる導電材、特に金属粉等の導電性フィラーを保持させても任意の形状をとることのできる集電体を提供する。
上記目的を達成するための本発明は、骨格となる有機構造体に導電性材料を含ませることで少なくとも膜厚方向に電子伝導性を有する集電体である。
本発明によれば、骨格となる有機構造体を用いることにより、所望の形状(特に厚み)を規定することができる。即ち、骨格となる有機構造体は、有機構造体の成形時に、原料となる有機(高分子)材料に成形を困難にしていた相当量の金属粉を混合する必要がないため、所望の形状(特に厚み)を成形することができる。そして、樹脂集電体の膜厚方向に電子伝導性を持たせることで、樹脂集電体の膜厚方向の内部抵抗を低減し、集電性能を発揮することができる。
本実施の形態の集電体は、骨格となる有機構造体と、導電材とを有し、少なくとも膜厚方向に電子伝導性があることを特徴とするものである。
かかる構成とすることで、金属集電箔に較べて軽量であるとともに、集電体の電子伝導性を確保する上で必要となる導電材を保持させても任意の形状(形態)をとることができる。特に、本実施の形態では膜厚方向に電子伝導性がある構成だけでは、表面抵抗(面方向の抵抗)が高く、一般のリチウムイオン二次電池用の集電体としては有効に機能しにくい。一方、双極型電極用の集電体として利用する場合、該集電体の表面全体で膜厚方向に電子伝導性がなくともよく、有機構造体の膜厚方向に連通した空孔部分に導電パス(導電経路)を形成することで、双極型二次電池の集電機能を十分に果たせること。即ち、双極型二次電池の集電体では、最外層集電体以外は、膜厚方向に電流が流れればよく、上記導電パスを形成することで、集電体の膜厚方向の体積抵抗の増加を抑えることができ、集電体として有効に機能し得ることを見出し得たものである。かかる観点から、本実施の形態の集電体は、双極型二次電池の最外層集電体以外の集電体に好適に利用し得るものと言える。また、骨格となる導電性を有しない有機構造体の存在により、表面抵抗(面方向の抵抗)が高く、電池内部で微小短絡が生じたときに集電体表面を局所に向けて大量の電流が集中して流れて、更なる発熱を引き起こすのを極めて効果的に抑制することができる。また微小短絡の発生箇所周辺の有機構造体が溶融し、微小短絡の発生箇所の導電パス経路を素早く閉塞することができるという、いわゆる自己修復機能をも持たせることができ、微小短絡の発生による集電体や電極層へのダメージを最小限に留めることができる。そのため、微小短絡の発生後、速やかに正常な状態に自己修復(復旧)でき、その後も充放電使用できる点で優れている。
なお、本実施の形態では、少なくとも膜厚方向に電子伝導性があると規定したように、有機構造体の膜厚方向に垂直な面方向にも同様の導電パス(例えば、3次元網目構造の導電経路)を形成することで、双極型以外の二次電池の集電体や双極型二次電池の最外層集電体に利用することもできる。この場合でも、上記した有機構造体が溶融することで、微小短絡の発生箇所の導電パス経路を素早く閉塞することができる。
また、本実施の形態では、上記したように集電体の骨格に有機(高分子)材料を用いているため、集電体全体でみた場合、金属集電箔に較べて軽量であり、電池の出力が向上し得る双極型二次電池を提供できる。
さらに、本実施の形態では、骨格以外の集電体の構成として、導電材を用いて少なくとも膜厚方向に電子伝導性がある構成とすることで、安定した薄膜状の導電シートを形成でき、軽量化も可能である。即ち、導電材を用いた膜厚方向に電子伝導性がある構成として、例えば有機構造体の膜厚方向に連通した空孔(=骨格以外)に、導電材を偏在化させて充填したような構成とすることで、有機構造体の膜厚方向に連通した空孔部分に導電パス(導電経路)を形成することができる。これにより、樹脂集電体の膜厚方向の体積抵抗の増加を抑え、樹脂集電体の内部抵抗を低減することができ、双極型二次電池用の集電体として有効に機能させることができる。また導電材を偏在化して含有させることで、使用する導電材量の低減も可能となる。
以下、本実施の形態の集電体及びこれを用いた双極型二次電池の実施形態を図面を参照しながら説明するが、本実施の形態の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみには制限されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
<I>本実施の形態の双極型二次電池の一般的な基本構成について
本実施の形態の双極型二次電池は、一般的な基本構成として、複数の双極型電極と、これらの双極型電極の間に配置される電解質層とを備えてなる、双極型電極と電解質層とが交互に積層された構造を有する。そして、前記双極型電極は、集電体と、前記集電体の一方の面に電気的に結合した正極層と、前記集電体の他方の面に電気的に結合した負極層と、からなる構成を有する。
本実施の形態の双極型二次電池の種類は、特に制限されず、例えば、非水電解質を用いた双極型二次電池が挙げられ、好ましくは双極型リチウムイオン二次電池である。双極型リチウムイオン二次電池では、セル(単電池層)の電圧が大きく、高エネルギー密度、高出力密度が達成でき、車両の駆動電源用や補助電源用として優れているためである。また、電池の構造・形態で区別した場合には、積層型(扁平型)電池、巻回型(円筒型)電池など特に制限されず、従来公知のいずれの構造にも適用されうる。
双極型二次電池内の電気的な接続形態(電極構造)で見た場合、いわば内部直列接続タイプの二次電池であると言える。
同様に双極型二次電池の電解質の形態で区別した場合にも、特に制限はない。例えば、非水電解液をセパレータに含浸させた液体電解質型の電池、ポリマー電池とも称される高分子ゲル電解質型電池および固体高分子電解質(全固体電解質)型電池のいずれにも適用されうる。高分子ゲル電解質および固体高分子電解質に関しては、これらを単独で使用することもできるし、これら高分子ゲル電解質や固体高分子電解質をセパレータに含浸させて使用することもできる。
図1は、本実施の形態の双極型二次電池の代表的な一実施形態である双極型リチウムイオン二次電池(以下、単に「双極型二次電池」とも称する)の一般的な基本構成の概要を模式的に表した断面概略図である。なお、本明細書においては、双極型リチウムイオン二次電池を例に挙げて詳細に説明するが、本実施の形態の技術的範囲はかような形態のみに制限されない。
図1に示す双極型二次電池10は、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電要素(電池要素)21が、電池外装材29であるラミネートシートの内部に封止された構造を有する。
ここで、電池要素21は、集電体11の一方の面に正極活物質層13が形成され、他方の面に負極活物質層15が形成された複数の双極型電極16を有する。各双極型電極16は、電解質層17を介して積層されて発電要素(電池要素)21を形成する。この際、一の双極型電極16aの正極活物質層13と前記一の双極型電極16aに隣接する他の双極型電極16bの負極活物質層15とが電解質層17を介して向き合うように、各双極型電極16および電解質層17が交互に積層されている。即ち、一の双極型電極16aの正極活物質層13と前記一の双極型電極16aに隣接する他の双極型電極16bの負極活物質層15の間に電解質層17が挟まれている。
一の双極型電極16aの正極活物質層13、電解質層17、および隣接する他の双極型電極16bの負極活物質層15は、一つの単電池層(=電池単位ないし単セル)19を構成する。従って、双極型二次電池10は、単電池層19が複数積層されてなる構成を有するともいえる。また、電解質層17の漏れを防止するために単電池層19の周辺部にはシール部31が配置されている。該シール部31を設けることで隣接する集電体11間を絶縁することもできる。なお、発電要素(電池要素)21の最外層に位置する正極側の最外層集電体11aには、片面のみに正極活物質層13が形成されている。また、発電要素(電池要素)21の最外層に位置する負極側の最外層集電体11bには、片面のみに負極活物質層15が形成されている。
さらに、双極型二次電池10では、正極側の最外層集電体11aが延長されて正極タブ25とされ、電池外装材29であるラミネートシートから導出している。一方、負極側の最外層集電体11bが延長されて負極タブ27とされ、同様に電池外装材29であるラミネートシートから導出している。
双極型二次電池は、上記の構成により、厚さ方向(積層方向)に電流が流れるため、電子伝導のパスが非双極型の積層電池と比べて格段に短くなり、その分、高出力となる。
<II>本実施の形態の双極型二次電池の特徴部分である集電体の構成について
本実施の形態に係る双極型二次電池の特徴は、上記した一般的な基本構成を有する双極型二次電池において、集電体が、骨格となる有機構造体と、導電材とを有し、少なくとも膜厚方向に電子伝導性があることにある。かかる構成とすることで、金属集電箔に較べて軽量であるとともに、集電体の電子伝導性を確保する上で必要となる導電材を保持させても任意の形状(形態)をとることができ、電池の出力が向上した双極型二次電池を構築できる。電極活物質層との有機構造体との界面(接着)強度に優れる為、双極型二次電池の耐振動性能を向上することもできる。また、有機構造体の膜厚方向に連通した空孔部分に設けた導電パス(導電経路)のうち、正極活物質層側と負極活物質層側でそれぞれ充填させる導電材を変えることも可能となる。そのめた、導電パス(導電経路)のうち、正極活物質層側と負極活物質層側とで正極電位及び負極電位それぞれの電位に長期間耐えうる導電材を充填配置した集電体を形成することも可能である。その結果、より一層寿命特性が向上した長期信頼性に優れた双極型二次電池を構築することもできる。
(1)集電体の構成について
本実施の形態の双極型二次電池の特徴部分である集電体について、図面を用いて説明する。図2は、本実施の形態の双極型二次電池の双極型電極における集電体内の有機構造体と導電材との配置構成を模式的に表した、双極型二次電池内の任意の双極型電極の断面概略図である。
本実施の形態の双極型二次電池の双極型電極16における集電体11は、所望の厚さに形成された、膜厚方向に多数の連通した空孔を有する多孔質の有機構造体1と、該多孔質の有機構造体1の空孔部分に充填された導電材2とから構成されている。該多孔質の有機構造体1の空孔部分に充填された導電材2は、金属粉のような導電性フィラー2aと、該導電性フィラー2a同士を結着したり、導電性フィラー2aを有機構造体1に結着固定するための結着高分子(バインダ)2bとからなる。そして、集電体11の少なくとも膜厚方向に電子伝導性(導電性)があるように、該導電性フィラー2a同士が少なくとも膜厚方向に接触した状態となるように、いわば密に(高濃度に)充填された構成となっている(図2の部分拡大図を参照のこと)。
なお、導電性フィラー2aが結着性を有する材料であれば、結着高分子(バインダ)2bは不要である。
また、上記したように、導電性フィラー2aを正極活物質層13側と負極活物質層15側とで、正極電位及び負極電位それぞれの電位に長期間耐えうる導電材2(特に、導電性フィラー2a)を充填配置した集電体を形成することも可能である。
また、集電体11の大きさが、正極活物質層13や負極活物質層15よりも大きい場合には(図示せず)、当該正極活物質層13と負極活物質層15との間の充放電反応に関与しない集電体の周縁部には、膜厚方向の電子伝導性はなくてもよい。そのため、当該集電体の周縁部の有機構造体1の空孔(連通孔)には、導電材2を充填しなくてもよい(空孔のままでよい)。あるいは、集電体の周縁部の有機構造体1の空孔(連通孔)には、導電材2に代えて、導電性のない高分子材料(好ましくは、接着性に優れた有機構造体と同じ材料やシール部と同じ材料)を充填してもよい。こうした構成とすることで、より一層の軽量化が図れるほか、隣接する集電体の周縁部同士が接触して短絡(液絡)を生じるのを効果的に抑制することもできる。また、集電体11の面方向にも連通孔が形成されている場合には(図示せず)、集電体の有機構造体1の表面中央部の空孔と連通する周縁部の有機構造体1の空孔を通じて電解液や導電材(導電性フィラー)が流出(漏出)するおそれがない点でも優れている。また、図1で説明した単電池層19の周辺部に配置されるシール部31を配置する際に、該シール部と集電体11の周縁部との接着性か高まり、密着性(シール性)を向上させることができる点でも優れている。
以下、本実施の形態の集電体の各構成要件ごとに詳しく説明する。
(2)集電体の電子伝導性
本実施の形態の集電体は、膜厚方向の体積抵抗率が10Ω・cm以下のものであれば、少なくとも膜厚方向に電子伝導性があるといえる。好ましくは、膜厚方向の体積抵抗率が、10〜10−5Ω・cmの範囲である。集電体の膜厚方向の体積抵抗率がかような範囲にあれば、双極型二次電池の集電体として適切である。該体積抵抗率の測定方法は、JIS規格に適合した市販の測定機器を用いて行うことができる。
少なくとも膜厚方向の電子伝導性が発現されてなる構成としては、例えば図2のように、有機構造体1が布状やフィルム状の多孔質の構造体であって、膜厚方向に多数の連通する空孔を有する構造であり、該空孔の中に導電材2が充填されてなる構成が挙げられる。但し、本実施の形態では、これらの構成に何ら制限されるものではない。
(3)集電体内の導電材の分布
骨格となる有機構造体1の空孔に導電材2を充填する際に、充填する導電材2の種類および濃度を変更し、集電体の部分毎に電子伝導性の有無・多少を制御されていてもよい。こうした導電材2の種類および濃度の制御により、塗布した電極活物質層13、15の厚さ分布が生じやすい周辺部や構造上電流の集中しやすい箇所(中央部など)に応じて集電体11の電子伝導性を制御し、内部発熱の発生を緩和できる点で優れている。
(4)集電体の形状保持性能
本実施の形態では、電池の使用環境下で、集電体(シート)の形状保持性能が保持されているのが望ましい。詳しくは実施例に示す形状保持の評価試験を行った場合に、常温および80℃の環境下に1時間放置した後でも集電体(シート)の変形(円筒中央部のたれ)が見られないのが望ましい。これにより、有機構造体が、双極型二次電池の過酷な使用環境下でもその構造を保持することができるため、集電体(シート)が外部負荷などにより押し潰されることもなく、短絡などの問題を引き起こすのを有効に防止することができる。
(5)集電体の厚さ
集電体の厚さは、軽量化により電池の出力密度を高める上では、薄いほど好ましい。双極型二次電池においては、双極型電極の正極活物質層と負極活物質層の間に存在する集電体は、膜厚方向(積層方向)に垂直な面方向(水平方向)の電気抵抗が高くてもよいため、集電体の厚さを薄くすることが可能である(実施例1〜3と参考例3とを対比参照)。そのため、電池出力特性に優れ、長期信頼性に優れた電池を構築できる。
上記観点から、集電体の厚さは、10〜300μm、好ましくは20〜60μm、更に好ましくは20〜50μmである。かかる範囲であれば、集電体の少なくとも膜厚方向の電子伝導性を確保した上で、軽量化による電池の出力密度を高めることができる。
(6)集電体の抵抗値
集電体の抵抗値に関しては、双極型二次電池用の集電体に求められる膜厚方向(積層方向)の電子伝導性が十分に確保できれいればよく、特に制限されるものではない。かかる観点から、厚さ方向(膜厚方向)の抵抗率は、1014Ω以下、好ましくは10Ω以下であるのが好ましい。
なお、双極型二次電池用の集電体として用いる場合の面内方向の表面抵抗率は、電子伝導性が十分に確保されていなくともよく、何ら制限されるものではない。1016Ω/□以下、好ましくは1010Ω/□以下であればよい。一方、非双極型の二次電池用の集電体として用いる場合には、面方向の表面抵抗率は、電子伝導性が十分に確保されているのがよく、10−4Ω/□以下、好ましくは10−6Ω/□以下であるのが好ましい。
以上のことから、集電体が双極型二次電池用として用いられる場合には、面内方向よりも膜厚方向に対する電気抵抗が低いのが望ましい。即ち、面内方向の表面抵抗率よりも厚さ方向(膜厚方向)の体積抵抗率が小さく、異方性が見られるのが望ましい(表1の実施例1〜3参照)。これにより、膜厚方向に低抵抗にでき、双極型二次電池用の集電体に求められる膜厚方向(積層方向)の電子伝導性が十分に確保できる。更に面方向を高抵抗にできるため、微小短絡時に集電体の面方向に電流が流れて、微小短絡個所に電流が集中するのを防止でき、発熱現象を防止できる点で優れておる。
また、集電体の抵抗値に関しては、双極型二次電池用の集電体に求められる膜厚方向(積層方向)の電子伝導性が十分に確保できれいればよいことから、好ましくは、電池全体の抵抗値に対して、集電体の積層方向における抵抗値が、1/100以下、好ましくは1/1000以下となるように制御するのが望ましい。かかる抵抗値の制御には、例えば、集電体の有機構造体1が所望の空孔率やガーレー値を有するように膜厚方向に空孔(連通孔)を有する構成配置や該空孔に充填する導電材の種類や導電性フィラー濃度などを選定するのが望ましい。
なお、図1に示す正極層側の最外層集電体11a及び負極層側の最外層集電体11bは、該集電体表面に正極活物質層と負極活物質層を形成した双極型電極構造とする必要がないが(図1参照のこと)、積層方向に水平な方向(面方向)の抵抗値を低減し、導電性に優れた材料を用いるのが望ましい。そのため、これら最外層集電体に関しては、既存の金属集電箔を用いてもよい。あるいは、有機構造体の表面に高濃度の導電性フィラーを含有する導電性ペーストを塗布して、有機構造体の連通孔に導電材を充填すると共に、有機構造体の表面にも導電材からなる層を形成してもよい。
(7)集電体内の有機構造体及び導電材の各構成要
(7−1)有機構造体1
(a)有機構造体の構成材料
集電体内の有機構造体としては、特に制限されるものではなく、既存の多孔膜あるいは不織布あるいは織布などに用いる材料を利用できる。具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル;ポリイミド(PI);ポリアミド(PA);ポリフッ化ビニリデン(PVdF);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);スチレンブタジエンゴム(SBR);ポリアクリロニトリル(PAN);ポリメチルアクリレート(PMA);ポリメチルメタクリレート(PMMA);ポリ塩化ビニル(PVC)などが挙げられる。これらの有機(高分子)材料は、1種単独で用いてもよいし、2種併用してもよい。なかでも、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。これらの有機(高分子)材料は熱を加えることで融解し易く、活物質層に融着することが容易であり、さらに電位窓が非常に広く正極電位、負極電位双方に安定である。また軽量であるため、電池の高出力密度化が可能となる。
上記有機構造体としては、導電性を有し、電荷移動媒体として用いられるイオンに関して伝導性を有さない材料である導電性高分子を単独若しくは上記した有機(高分子)材料と併用してもよい。上記導電性高分子は、共役したポリエン系がエネルギー帯を形成し伝導性を示すと考えられている。導電性高分子の代表的な例としては電解コンデンサなどで実用化が進んでいるポリエン系導電性高分子を用いることができる。具体的には、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアクリロニトリル、ポリオキサジアゾール、またはこれらの混合物などが好ましい。電子伝導性および電池内で安定に使用できるという観点から、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレンがより好ましい。導電性高分子を用いた有機構造体でも、所望の形状(特に厚み)を規定することができる。即ち、骨格となる有機構造体では、成形を困難にしていた原因の相当量の金属粉を、有機構造体の原料となる有機(導電性高分子)材料に混合する必要がないため、所望の形状(特に厚み)を成形することができるものである。
また、充放電反応による発熱や炎天下に車両搭載して使用されことにより、電池内部温度60〜80℃程度まで昇温することもある。そこで、上記活物質層への融着が容易で、電位窓が非常に広く正極電位、負極電位双方に安定で、軽量である以外にも、電池内部温度が60〜80℃程度に上昇しても軟化せず有機構造体としての特性を損なわない素材を用いるのが望ましい。こうした観点からは、ポリエチレン以外のポリオレフィン、ポリエステル、セルロース、アラミド及びポリイミドよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種を20wt%以上、好ましくは30wt%以上、より好ましくは50wt%以上の範囲で用いるのが望ましい。これらの材料では、80℃で十分な形状保持が可能な耐熱性に優れた素材を用いるのが特に望ましい。ここで、ポリエチレン以外のポリオレフィンとしたのは、ポリプロピレンなどは80℃でも十分な形状保持が可能な耐熱性、機械強度に安定に存在し、構造を維持できるためである。その結果、機械強度、耐熱性が優れた集電体膜を形成できる。他の有機構造体の構成成分としては、上記した有機(高分子)材料を適当に組み合わせて用いるのが望ましい。なお、有機構造体に、本実施の形態の作用効果に影響を与えない範囲であれば導電性を有する高分子材料を併用してもよい。
(b)有機構造体の構成
上記した有機(高分子)材料で構成される有機構造体は、少なくとも膜厚方向に多数の連通した空孔(単に貫通孔ともいう)を有する布状またはフィルム状の多孔質の構造体を用いてもよいし、これらを適当に組み合わせて用いてもよい。布状および/またはフィルム状の多孔質の有機構造体としては、多孔質フィルム(多孔膜)、不織布、織布などを用いることができる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を積層し、更に必要があれば貼り合わせるなどして併用してもよい。尚、貼り合わせて用いる場合には、膜厚方向の多数の貫通孔が閉塞されないようにする必要がある。
好ましくは、布状および/またはフィルム状の多孔質の有機構造体であって、双極型二次電池用の集電体に適した、膜厚方向に多数の貫通孔を有する構造である。かかる構成により、膜厚方向の電子伝導性の確保、効率化を図ることができる。また膜厚方向に垂直な方向(面方向)にも多数の貫通孔を有する場合に比して、構成安定性がよく、微小短絡時に面方向に電流が流れ難く、発熱を効果的に抑制できる点でも優れている。
(c)有機構造体のガーレー値
有機構造体としては、ガーレー値が50sec/100cc以上1000sec/100cc以下である、膜厚方向に複数の貫通孔を有する、布状および/またはフィルム状の多孔質の有機構造体が用いられてなるのが望ましい。これにより、導電材を充填可能な貫通孔が存在し、構造を維持できる。その結果、膜厚方向に電子伝導性を示し、なおかつ使用する導電材の含有量を少なくでき、集電体の更なる軽量化が図れ、電池の出力向上に寄与することができる。ここで、ガーレー値とは、圧力0.879g/mで100ccの空気が多孔膜(あるいは不織布、織布)を透過するのに要する秒数をいう(JIS P8117規格に準拠)。上記ガーレー値としては、50sec/100cc以上800sec/100cc以下の範囲がより好ましい。
(d)有機構造体の空孔率
有機構造体としては、空孔率が10〜90%である、膜厚方向に複数の貫通孔を有する、布状および/またはフィルム状の多孔質の有機構造体が用いられてなるのが望ましい。これにより、導電材を充填可能な貫通孔が存在し、構造を維持できる。その結果、膜厚方向に電子伝導性を示し、なおかつ使用する導電材の含有量を少なくでき、集電体の更なる軽量化が図れ、電池の出力向上に寄与することができる。上記空孔率としては、30〜90%の範囲がより好ましい。
(e)有機構造体の軟化点
有機構造体の軟化点は、80〜250℃であることが好ましく、95〜200℃であることがより好ましい。かような範囲であれば、熱融着(熱硬化)が行いやすく製造時の生産性が向上するため好ましい。また、電池使用時(充放電時)の電池内部温度は、60〜80℃程度の高温になることもある。したがって製造段階で熱融着(熱硬化)した後の使用段階では、80℃でも十分な形状保持性能を有し、耐熱性、機械強度に優れる有機構造体を提供できるため好ましい。なお、本明細書において、軟化点は、JIS K7206(1999)ビカット軟化温度試験方法によって測定された値を採用する。有機構造体を構成する有機(高分子)材料が、2種以上の高分子材料の混合物である場合には、これら混合物の軟化点を測定し、この値を軟化点とする。
(7−2)導電材2
(a)構成材料
集電体11内の導電材2としては、各電池用途に応じた集電体に求められる導電性を有し、集電体全体を既存の金属集電箔に較べて軽量化できものであれば、特に制限されるものではなく、既存の樹脂集電体と同様の材料を用いて形成することができる。即ち、金属粉等の導電性フィラーと結着高分子(バインダ)とを含有する導電性ペーストや導電性を有する高分子(単に、導電性高分子ともいう)などの導電性を有する材料から構成することができる。これらは単独で用いてもよいし、併用してもよい。
具体的には、導電材2は、導電性を有し、結着高分子(バインダ)や導電性高分子といった高分子材料を含む。導電材2が導電性を有するには、具体的な形態として、1)導電材2が導電性を有する高分子である形態、2)導電材2が導電性フィラーと結着高分子材料(未硬化材料)とを含有する導電性ペーストを用いてなる形態、3)上記1)、2)の形態を組み合わせた形態などが挙げられる。ここで、結着高分子の原料を結着高分子材料(未硬化材料)として、熱硬化などにより結着(バインダ)機能を発現してなる状態を結着高分子としている。但し、硬化させずに、結着高分子を適当な溶剤に溶解した結着高分子のスラリー等を原料として用いる場合も含め、原料については結着高分子材料(未硬化材料)としている。
ここで、導電材2が、導電性を有するとは、絶縁体でなければよく、電気伝導率(導電率)が10−6S/m以上であればよい。一般に電気伝導率(導電率)がグラファイト(電気伝導率:10S/m)と同等以上のものが導体、10−6S/m以下のものを不導体(絶縁体)、その中間の値をとるものを半導体と分類されている。本実施の形態の導電材2では半導体の電気伝導率以上のものであればいいが、好ましくは導体の電気伝導率以上が望ましい。
(i)導電性を有する高分子(単に導電性高分子ともいう)の種類(材料)
上記1)の形態に用いられる導電性高分子は、導電性を有する材料から選択される。好ましくは、導電材2が充填される有機構造体1の膜厚方向の貫通孔内のイオン透過を抑制する観点から、電荷移動媒体として用いられるイオンに関して伝導性を有さない材料を用いるのが望ましい。これらの導電性高分子は、共役したポリエン系がエネルギー帯を形成し導電性を示すと考えられている。代表的な例としては、電解コンデンサなどで実用化が進んでいるポリエン系導電性高分子を用いることができる。具体的には、ポリフェニレンスルフィド、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアクリロニトリル、ポリオキサジアゾール、またはこれらの混合物などが好ましい。導電性(電子伝導性)および電池内で安定に使用できるという観点から、ポリフェニレンスルフィド、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレンがより好ましい。
なお、導電性高分子は、単独では印加される正極電位や負極電位に耐えうる良好な材料となるものが現段階では開発されていない為、後述する導電性フィラーと組み合わせて、印加される正極電位や負極電位に耐えうるようにするのが望ましい。
(ii)導電性フィラー2aの種類(材料)
上記2)の導電性ペースト使用形態に用いられ導電性フィラー2aは、カーボンブラックあるいは金属あるいは半導体などの導電性を有する材料から選択される。好ましくは、導電性樹脂層内のイオン透過を抑制する観点から、電荷移動媒体として用いられるイオンに関してイオン伝導性を有さない材料を用いるのが望ましい。
具体的には、グラファイトやカーボンブラックなどのカーボン;アルミニウム、ステンレス、銀、金、銅、チタンなどの金属;シリコン(バンドギャップ約1.1eV)、ゲルマニウム(同約0.67eV)、ガリウムヒ素化合物半導体(同約1.4eV等)の半導体などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。これらの導電性フィラーは1種単独で用いられてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金材が用いられてもよい。好ましくは銀、金、アルミニウム、ステンレス、カーボン、さらに好ましくはカーボンである。またこれらの導電性フィラーは、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料(上記導電性フィラー材料)をめっき等でコーティングしたものでもよい。こうしためっき等でコーティングした導電性フィラーでは、より一層の軽量化が図れる点で優れている。
(ii−1)導電性フィラー2aの形状
また、導電性フィラーの形状(形態)は、粒子形態で用いればよいが、粒子形態に限られず、カーボンナノチューブなど、いわゆるフィラー系導電性樹脂組成物として実用化されている粒子形態以外の形態であってもよい。
(ii−2)導電性フィラー2aの分布・配置
骨格となる有機構造体1の空孔に導電材2(導電性ペースト)を充填する際に、充填する導電材2(導電性ペースト)中の導電性フィラー2aの種類および濃度を変更し、集電体11の部分毎に電子伝導性の有無・多少を制御されていてもよい。こうした導電材中の導電性フィラーの種類および濃度の制御により、塗布した電極活物質層の厚さ分布が生じやすい周辺部や構造上電流の集中しやすい箇所に応じて集電体の電子伝導性を制御し、内部発熱の発生を緩和できる点で優れている。
例えば、有機構造体1の中央部の空孔(貫通孔)には、導電性フィラー2a(導電性ペースト)の種類に相対的に導電率の高い導電性材料を用いたり、濃度を高めるなどして、集中する電流を素早く活物質層に供給できるようにするのがよい。一方、電極活物質層13、15の厚さ分布が生じやすい周辺部には、導電性フィラー2a(導電性ペースト)の種類に相対的に導電率の低い導電性材料を用いたり、濃度を低減する(結着高分子2bを高める)などして制御してもよい。また、既に説明したように、電極活物質層13、15が集電体11上に形成されていない周縁部では、導電性フィラー2aを用いることなく(濃度をゼロまで低減し)、結着高分子2bのみを貫通孔に充填するようにしてもよい。
また、電性フィラー2aは、印加される正極電位や負極電位に耐えうる材料から選択されるのが望ましい。そのため、骨格となる有機構造体1の空孔に導電材2を充填する際に、充填する導電材2中の導電性フィラー2aの種類を、正極活物質層側と負極活物質層側で変えてもよい。
例えば、正極活物質層側に好適に充填する導電性フィラーとしては、印加される正極電位に耐えうる材料であって、導電性、高分散性の観点から粒子形態のアルミニウム粒子、SUS粒子、金粒子およびカーボン粒子が好ましい。またこれらの導電性フィラーは粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料をめっき等でコーティングしたものでもよい。なかでもカーボン粒子がより好ましい。
負極活物質層側に好適に充填される導電性フィラーとしては、印加される負極電位に耐えうる導電性、高分散性の観点から、銀粒子、金粒子、アルミニウム金属粒子、銅粒子、チタン粒子、SUS粒子、およびカーボン粒子が好ましい。またこれらの導電性フィラーは粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料をめっき等でコーティングしたものでもよい。なかでも、カーボン粒子がより好ましい。
上記好適な導電性フィラーの中でもカーボン粒子が望ましく、カーボンブラックやグラファイトなどが挙げられる。これらカーボンブラックやグラファイトなどのカーボン粒子は電位窓が非常に広く、正極電位および負極電位の双方に対して幅広い範囲で安定であり、さらに導電性に優れているためである。また、カーボン粒子は非常に軽量なため、質量の増加が最小限になる。さらに、カーボン粒子は、電極(特に正極活物質層)の導電助剤として用いられることが多いため、これらの導電助剤と接触しても、同じ材料であるがゆえに接触抵抗が非常に低くなる。一方、負極活物質層側にカーボン材を用いる場合には、充填する厚さを薄くしたり、他の導電フィラーの配合比率を増やすなどして、負極活物質層側の貫通孔内に充填されるカーボン材を低減するのが望ましい。すなわち、負極活物質層側の貫通孔内のカーボン材が負極活物質としても機能し得る。そのため充放電過程(特に初回充放電過程)で該カーボン材の一部がリチウムイオンとの不可逆反応により失活すると共に導電性能が低下するのを抑制する上で有効となる。なお、カーボン粒子を導電性フィラーとして用いる場合には、カーボンの表面に疎水性処理を施すことにより電解質のなじみ性を下げ、有機構造体1の空孔(貫通孔)に電解質が染み込みにくい状況を作ることも可能である。
(ii−3)導電性フィラー2aの平均粒子径
導電性フィラー2aの平均粒子径は、特に限定されるものではないが、0.01〜10μm程度であることが望ましい。なお、本明細書中において、「粒子径」とは、導電性フィラーの輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。後述する活物質粒子などの粒子径や平均粒子径も同様に定義することができる。
(iii)結着高分子(バインダ)2b
また、上記2)の形態のように導電材2(導電性ペースト)が導電性フィラー2aを含む形態の場合、併用される結着高分子(バインダ)2bは、当該導電性を付加する為の導電性フィラー2aを結着させる絶縁性の高分子(導電性のない高分子)を含む。
上記3)の形態では、導電性フィラー2aと併用される高分子は、導電性フィラー2aを結着させることができる結着高分子2bを含むものであればよく、絶縁性の高分子(導電性のない高分子)でも、上記1)の導電性高分子でもよく、これらを併用してもよい。よって、以下では、特に区別していない場合、上記2)、3)の形態に用いられる高分子を総称して結着高分子2bとする。
結着高分子2bを用いることで、導電性フィラー2a同士や有機構造体1との結着性を高め、電池の信頼性を高めることができる。結着高分子(バインダ)2bは、印加される正極電位および負極電位に耐えうる材料から選択されるのが望ましい。また、正極活物質層や負極活物質層に熱融着するために、有機構造体1のほか、当該導電材2に含まれる導電性のない高分子材料や上記1)の導電性高分子も、熱可塑性であることが好ましい。但し、集電体表面に、通常の正極、負極スラリー塗布による正極活物質層や負極活物質層の形成も可能であるため、必ずしも熱可塑性であるものに限られない。
上記結着高分子(バインダ)2bに用いられる導電性高分子の例としては、上記1)の形態で例示した導電性高分子を用いることができる。
上記結着高分子(バインダ)2bに用いられる導電性のない高分子の例としては、例えば、エポキシ樹脂;スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS);アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS);スチレンブタジエンゴム(SBR)などの合成ゴム材料のほか、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル;シリコーン、ポリイミド(PI);ポリアミド(PA);ポリフッ化ビニリデン(PVdF);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);ポリアクリロニトリル(PAN);ポリメチルアクリレート(PMA);ポリメチルメタクリレート(PMMA);ポリ塩化ビニル(PVC)などが挙げられる。これらの結着高分子に用いられる高分子材料は、1種単独で用いてもよいし、2種併用してもよい。なかでも、電解質(有機溶媒)に対して膨潤性がない点で、エポキシ樹脂が好ましい。また、以下の観点からは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。これらの材料は電位窓が非常に広く正極電位、負極電位のいずれに対しても安定である。また軽量であるため、電池の高出力密度化が可能となる。さらに熱を加えることで融解し易く、正極活物質層や負極活物質層に融着することが容易である。
(iii−1)導電材2中の導電性フィラー2aと結着高分子2bの配合比率
上記2)、3)の形態の場合、有機構造体1の空孔(貫通孔)に充填される導電材2中の導電性フィラー2aの含有比率は、導電性フィラー2aと結着高分子2bの合計に対して、5〜40wt%の範囲が好ましい。十分な量の導電性フィラー2aを空孔(貫通孔)に高濃度に含有させることにより、集電体の膜厚方向の電子伝導性を十分に確保できる。即ち、導電材2中の導電性フィラー2aの含有量が5wt%以上あれば、双極型二次電池用の集電体に必要な膜厚方向の電子伝導性能を有効に発現することができる。一方、導電性フィラー2aの含有量が40wt%以下であれば、結着高分子2bにより導電性フィラー2a同士や有機構造体1との結着性を高め、電池の信頼性を高めることができる。また導電性フィラー2aを含有する導電材2、ひいては集電体11全体の重量増加を抑制することができる。
(iv)他の添加剤
上記2)、3)の形態の場合、導電材2には、導電性フィラー2aおよび結着高分子2bの他、本実施の形態の作用効果に影響を与えない範囲内であれば、撥水剤などの他の添加剤を適量含有していてもよい。
<III>本実施の形態の双極型二次電池の集電体(特徴部分)以外の構成について
以上が、本実施の形態の双極型二次電池の特徴的な構成要件である集電体に関する説明であり、他の構成要件に関しては特に制限されるものではない。よって、以下では、本実施の形態の双極型二次電池の特徴的な構成要件である集電体以外の他の構成要件に関し、双極型リチウムイオン二次電池を例に取り説明するが、本実施の形態がこれらに制限されるものではない。
[正極活物質層及び負極活物質層]
電極活物質層(正極活物質層13および負極活物質層15)は活物質を含み、必要に応じてその他の添加剤をさらに含む。
正極活物質層13は、正極活物質を含む。正極活物質としては、例えば、LiMn、LiCoO、LiNiO、Li(Ni−Co−Mn)Oおよびこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたもの等のリチウム−遷移金属複合酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、リチウム−遷移金属硫酸化合物などが挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。好ましくは、容量、出力特性の観点から、リチウム−遷移金属複合酸化物が、正極活物質として用いられる。なお、上記以外の正極活物質が用いられてもよいことは勿論である。
負極活物質層15は、負極活物質を含む。負極活物質としては、例えば、グラファイト、ソフトカーボン、ハードカーボン等の炭素材料、リチウム−遷移金属複合酸化物(例えば、LiTi12)、金属材料、リチウム合金系負極材料などが挙げられる。場合によっては、2種以上の負極活物質が併用されてもよい。好ましくは、容量、出力特性の観点から、炭素材料またはリチウム−遷移金属複合酸化物が、負極活物質として用いられる。なお、上記以外の負極活物質が用いられてもよいことは勿論である。
各正極活物質層13、負極活物質層15に含まれるそれぞれの活物質の平均粒子径は特に制限されないが、高出力化の観点からは、好ましくは1〜20μmである。
電極活物質層(正極活物質層13および負極活物質層15)は、バインダを含む。
電極活物質層13、15に用いられるバインダとしては、特に限定されないが、例えば、以下の材料が挙げられる。ポリプロピレン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル;ポリイミド;ポリアミド;ポリフッ化ビニリデン(PVdF);エポキシ樹脂;スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS);アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS);スチレンブタジエンゴム(SBR)などの合成ゴム材料などが挙げられる。中でも、好適には、ポリプロピレン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル;ポリイミド;ポリアミド;ポリフッ化ビニリデン(PVdF);エポキシ樹脂;スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS);アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS);スチレンブタジエンゴム(SBR)などの合成ゴム材料などである。これらの好適なバインダは、耐熱性に優れ、さらに電位窓が非常に広く正極電位、負極電位双方に安定であり電極活物質層13、15に使用が可能となる。これらのバインダは、1種単独で用いてもよいし、2種併用してもよい。集電体と熱融着して結合される電極活物質層に用いられるバインダとしては、PVdF、エポキシ樹脂、SEBS、ABS、合成ゴム(SBRなど)等などが好ましい。これらの材料では、熱融着が行いやすく製造時の生産性が向上するためである。また、バインダが熱硬化性であっても熱融着が行いやすいため、好ましい。好適な熱硬化性バインダとしては、熱硬化性ポリイミド、熱硬化性ポリアミド、エポキシ樹脂、SEBS、ABS、合成ゴム(SBRなど)等が挙げられ、エポキシ樹脂などがより好ましい。
電極活物質層に含まれうるその他の添加剤としては、例えば、導電助剤、電解質塩(リチウム塩)、イオン伝導性ポリマー等が挙げられる。
導電助剤とは、正極活物質層または負極活物質層の導電性を向上させるために配合される添加物をいう。導電助剤としては、アセチレンブラック等のカーボンブラック、グラファイト、気相成長炭素繊維などの炭素材料が挙げられる。電極活物質層が導電助剤を含むと、電極活物質層の内部における電子ネットワークが効果的に形成され、電池の出力特性の向上に寄与しうる。
電解質塩(リチウム塩)としては、Li(CSON、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO等が挙げられる。
イオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)系およびポリプロピレンオキシド(PPO)系のポリマーが挙げられる。
正極活物質層13および負極活物質層15中に含まれる成分の配合比は、特に限定されない。配合比は、非水溶媒二次電池についての公知の知見を適宜参照することにより、調整されうる。
各電極活物質層13、15の厚さについても特に制限はなく、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して適宜決定すればよく、電池についての従来公知の知見が適宜参照されうる。一例を挙げると、各電極活物質層13、15の厚さは、2〜100μm程度である。
[電解質層]
電解質層17を構成する電解質としては、充放電時に正負極間を移動するリチウムイオンのキャリアーとしての機能を有するものであれば特に制限されず、液体電解質、ポリマー電解質、無機固体電解質(酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質)等が用いられうる。
液体電解質は、可塑剤である有機溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解した形態を有する。可塑剤として用いられうる有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)等のカーボネート類が例示される。また、支持塩(リチウム塩)としては、Li(CFSON、Li(CSON、LiPF、LiBF、LiAsF、LiTaF、LiClO、LiCFSO等の電極の合剤層に添加されうる化合物が同様に採用されうる。
一方、ポリマー電解質は、電解液を含むゲル電解質と、電解液を含まない真性(全固体)ポリマー電解質に分類される。
ゲルポリマー電解質は、マトリックスポリマー(ホストポリマー)に、上記の液体電解質が注入されてなる構成を有する。電解質としてゲルポリマー電解質を用いることで電解質の流動性がなくなり、集電体への電解質の流出をおさえ、各層間のイオン伝導性を遮断することが容易になる点で優れている。マトリックスポリマー(ホストポリマー)としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(PVdF−HFP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)およびこれらの共重合体等が挙げられる。
真性ポリマー電解質としては、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)等のポリエーテル系ポリマー電解質が挙げられる。通常、真性ポリマー電解質に支持塩(リチウム塩)が溶解してなる構成を有しており、可塑剤である有機溶媒を含まない。したがって、電解質として真性ポリマー電解質を用いることで電解質の流動性がなくなり、集電体への電解質の流出をおさえ、各層間のイオン伝導性を遮断することが容易になる。
ゲルポリマー電解質や真性ポリマー電解質のマトリックスポリマーは、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発現しうる。架橋構造を形成させるには、適当な重合開始剤を用いて、高分子電解質形成用の重合性ポリマー(例えば、PEOやPPO)に対して熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合等の重合処理を施せばよい。
なお、電解質層が液体電解質やゲル電解質から構成される場合には、電解質層にセパレータを用いてもよい。セパレータの具体的な形態としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンからなる微多孔膜が挙げられる。
[最外層集電体]
最外層集電体11aおよび11bとしては、上記した双極型電極用の集電体11を用いることができるほか、既存の金属集電箔を用いることができる。例えば、アルミニウム箔、ステンレス(SUS)箔、ニッケルとアルミニウムのクラッド材、銅とアルミニウムのクラッド材、あるいはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが挙げられる。中でも正極電位、負極電位に耐えうる最外層集電体とするためには、アルミニウム箔、ステンレス箔が好ましい。
さらに双極型電極用の集電体11を用いて形成された双極型電極16を最外層の電極にも適用してよい。この場合、例えば、正極タブに接続される最外層の双極型電極では、最外表面に位置する負極活物質層は実質的に充放電反応に寄与しない。同様に負極タブに接続される最外層の双極型電極では、最外表面に位置する正極活物質層は実質的に充放電反応に寄与しない。一方、最外層にも双極型電極を用いることで電池の構成部品点数が削減できる。また、わざわざ最外層電極専用の最外層集電体11a、11bを用いて正極活物質層13のみや負極活物質層15のみを形成するための製造ラインの組み替え(ないし切り替え)や生産管理(品質管理)を行う必要がない。さらに、最外層の電極とそれ以外の双極型電極とを取り違えるという不具合の発生も防止できる点などで優れている。
[シール部]
シール部(シーラントないし周辺絶縁層とも称されている)31は、電解質層17の漏れを防止するために単電池層19の周辺部に配置されている。この他にも電池内で隣り合う集電体同士が接触したり、積層電極の端部の僅かな不ぞろいなどによる短絡が起こったりするのを防止することもできる。該シール部31としては、例えば、PE、PPなどのポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ゴム、ポリイミドなどが使用でき、耐蝕性、耐薬品性、製膜性、経済性などの観点からは、ポリオレフィン樹脂が好ましい。ただし、これらに何ら制限されるものではない。
シール部31は、スパッタ、蒸着、CVD、PVD、イオンプレーティングおよび溶射のいずれかの方法により形成することもできる。こうした形成法に適したシール部31としては、アルミナ、シリカ、マグネシア、イットリアなどが好適に利用可能である。
[タブ(正極タブおよび負極タブ)]
電池外部に電流を取り出す目的で、各集電体に電気的に接続されたタブ(正極タブ25および負極タブ27)が電池外装材の外部に取り出されている。具体的には、図3に示すように最外層正極集電体11aに電気的に接続された正極タブ25と最外層負極集電体11bに電気的に接続された負極タブ27とが、電池外装材29であるラミネートシートの外部に取り出される。
タブ(正極タブ25および負極タブ27)を構成する材料は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池用のタブとして従来用いられている公知の高導電性材料が用いられうる。タブの構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましく、より好ましくは軽量、耐食性、高導電性の観点からアルミニウム、銅などが好ましい。なお、正極タブ25と負極タブ27とでは、同一の材質が用いられてもよいし、異なる材質が用いられてもよい。また、最外層集電体に導電性に優れた金属集電箔等を用いる場合には、当該集電体の一部を延長することにより正極タブ25および負極タブ27としてもよいし、別途準備した正極タブ25および負極タブ27を最外層集電体11aおよび11bに電気的に接続してもよい。
[正極および負極端子板]
正極および負極端子板は、必要に応じて使用する。例えば、最外部の集電体11a、11bから正極タブ25及び負極タブ27を直接取り出す場合には、正極および負極端子板は用いなくてもよい。また、電極端子板の一部を延長することにより正極タブ25および負極タブ27としてもよい。あるいは、別途準備した正極タブ25および負極タブ27や正極および負極端子リードを正極および負極端子板に接続してもよい。
正極および負極端子板の材料は、従来公知のリチウムイオン電池で用いられる材料を用いることができる。例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼、これらの合金を利用することができる。耐蝕性、作り易さ、経済性などの観点からは、アルミニウムを用いることが好ましい。さらに、端子部での内部抵抗を抑える観点から、正極および負極端子板の厚さは、通常、0.1〜2mm程度が望ましい。
[正極および負極端子リード]
正極端子リードおよび負極端子リードに関しても、必要に応じて使用する。例えば、最外層集電体11aおよび11bや電極端子板から出力電極端子となる正極タブ25および負極タブ27を直接取り出す場合には、正極端子リードおよび負極端子リードは用いなくてもよい。
正極端子リードおよび負極端子リードの材料は、公知のリチウムイオン二次電池で用いられる端子リードを用いることができる。なお、電池外装材29から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆するのが好ましい。
[電池外装材]
電池外装材29としては、公知の金属缶ケースを用いることができるほか、発電要素(電池要素)21を覆うことができる、アルミニウムを含むラミネートフィルムを用いた袋状のケースが用いられうる。該ラミネートフィルムには、例えば、PP、アルミニウム、ナイロンをこの順に積層してなる3層構造のラミネートフィルム等を用いることができるが、これらに何ら制限されるものではない。高出力化や冷却性能に優れ、EV、HEV用の大型機器用電池に好適に利用することができるラミネートフィルムが望ましい。
[双極型二次電池の外観構成]
図3は、本実施の形態に係る双極型二次電池の代表的な実施形態である積層型の扁平な双極型リチウムイオン二次電池の外観を表した斜視図である。
図3に示すように、積層型の扁平な双極型リチウムイオン二次電池50では、長方形状の扁平な形状を有しており、その両側部からは電力を取り出すための正極タブ58、負極タブ59が引き出されている。発電要素(電池要素)57は、双極型リチウムイオン二次電池50の電池外装材52によって包まれ、その周囲は熱融着されており、発電要素(電池要素)57は、正極タブ58及び負極タブ59を外部に引き出した状態で密封されている。ここで、発電要素(電池要素)57は、先に説明した図1に示す双極型リチウムイオン二次電池10の発電要素(電池要素)21に相当するものである。また、正極活物質層13、電解質層17および負極活物質層15で構成される単電池層(単セル)19が複数積層されたものである。
なお、本実施の形態の双極型二次電池は、図1に示すような積層型の扁平な形状のものに制限されるものではない。巻回型の双極型二次電池では、円筒型形状のものであってもよいし、こうした円筒型形状のものを変形させて、長方形状の扁平な形状にしたようなものであってもよい。上記円筒型の形状のものでは、その外装材に、ラミネートフィルムを用いてもよいし、従来の円筒缶(金属缶)を用いてもよいなど、特に制限されるものではない。
また、図3に示すタブ58、59の取り出しに関しても、特に制限されるものではない。正極タブ58と負極タブ59とを同じ辺から引き出すようにしてもよいし、正極タブ58と負極タブ59をそれぞれ複数に分けて、各辺から取り出しようにしてもよいなど、図4に示すものに制限されるものではない。また、巻回型の双極型二次電池では、タブに変えて、例えば、円筒缶(金属缶)を利用して端子を形成すればよい。
[組電池]
本実施の形態の組電池は、本実施の形態の双極型二次電池を複数個接続して構成した物である。詳しくは少なくとも2つ以上用いて、直列化あるいは並列化あるいはその両方で構成されるものである。直列、並列化することで容量および電圧を自由に調節することが可能になる。なお、本実施の形態の組電池では、本実施の形態の双極型二次電池と、他の非双極型リチウムイオン二次電池とを組み合わせて、これらを直列に、並列に、または直列と並列とに、複数個組み合わせて、組電池を構成することもできる。
また、図4は、本実施の形態に係る組電池の代表的な実施形態の外観図であって、図4Aは組電池の平面図であり、図4Bは組電池の正面図であり、図4Cは組電池の側面図である。
図4に示すように、本実施の形態に係る組電池300は、双極型リチウムイオン二次電池が複数、直列に又は並列に接続して装脱着可能な小型の組電池250を形成する。この装脱着可能な小型の組電池250をさらに複数、直列に又は並列に接続して、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に適した大容量、大出力を持つ組電池300を形成することもできる。図4Aは、組電池の平面図、図4Aは正面図、図4Cは側面図を示しているが、作成した装脱着可能な小型の組電池250は、バスバーのような電気的な接続手段を用いて相互に接続し、この組電池250は接続治具310を用いて複数段積層される。何個の双極型リチウムイオン二次電池を接続して組電池250を作製するか、また、何段の組電池250を積層して組電池300を作製するかは、搭載される車両(電気自動車)の電池容量や出力に応じて決めればよい。
[車両]
本実施の形態の車両は、本実施の形態の電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池を搭載したことを特徴とするものである。本実施の形態の双極型二次電池は高い出力であるから、電池を搭載するとEV走行距離の長いプラグインハイブリッド電気自動車や、一充電走行距離の長い電気自動車を構成できる。言い換えれば、本実施の形態の双極型二次電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池は、車両の駆動用電源として用いられうる。車両としては、例えば、自動車ならばハイブリット車、燃料電池車、電気自動車(いずれも四輪車(乗用車、トラック、バスなどの商用車、軽自動車など)のほか、二輪車(バイク)や三輪車を含む)が挙げられる。ただし、用途が自動車に限定されるわけではなく、他の車両、例えば、電車などの移動体の各種電源であっても適用は可能であるし、無停電電源装置などの載置用電源として利用することも可能である。
図5は、本実施の形態の組電池を搭載した車両の概念図である。
図5に示したように、組電池300を電気自動車400のような車両に搭載するには、電気自動車400の車体中央部の座席下に搭載する。座席下に搭載すれば、車内空間およびトランクルームを広く取ることができるからである。なお、組電池300を搭載する場所は、座席下に限らず、後部トランクルームの下部でもよいし、車両前方のエンジンルームでも良い。以上のような組電池300を用いた電気自動車400は十分な出力を提供しうる。
<IV>本実施の形態の双極型二次電池の製造方法について
次に、本実施の形態の双極型二次電池の製造方法としては、特に制限されるものではなく、従来公知の方法を適用して作製することができる。
本実施の形態の特徴部分である、双極型二次電池用の集電体を形成する方法としても、特に制限されるものではない。骨格となる多孔膜や不織布や織布などの多孔質の有機構造体の少なくとも膜厚方向に連通した空孔(貫通孔)に導電材を充填する手法としては、既存の細孔充填技術や成膜技術などを適宜組み合わせて利用することができる。
即ち、前記集電体は、(1)多孔膜や不織布や織布などの多孔質の有機構造体の一方の表面に、例えば、導電性ペーストや導電性高分子のプレポリマーを塗布する。次に、多孔質の有機構造体のもう一方の裏面側を減圧にするなどして有機構造体の少なくとも膜厚方向に連通した空孔(貫通孔)に導電性ペーストやプレポリマーを含浸(吸引)させ、裏面側に導電性ペーストやプレポリマーが出てくるまで行う。有機構造体の両面に付着する余分の導電性ペーストや導電性高分子のプレポリマーをブレードなどでとり除いた後に、乾燥(または熱硬化)する。これにより、有機構造体の少なくとも膜厚方向に連通した空孔(貫通孔)に導電材を充填することができる。また(2)上記(1)と同様に導電性ペーストや導電性高分子のプレポリマーを塗布後、有機構造体の表面側から圧力を加えて空孔内に圧入または含浸させたり、有機構造体の表面の導電性ペーストやプレポリマーをブレードなどを使って空孔内に圧入または含浸させて、裏面側に導電性ペーストやプレポリマーが出てくるまで行う。その後は上記(1)と同様にすればよい。これらの手法を用いる場合、必要に応じて、集電体表面、特に有機構造体の表面を導電材で被覆することもできる(導電材層を形成できる)。そのため、本実施の形態の集電体は、双極型二次電池用の集電体に制限されるものではなく、通常のリチウムイオン二次電池のような非双極型の二次電池用の集電体としても利用可能である。
さらに(3)上記手法により、導電材の種類、例えば、導電性フィラーの種類を変えた導電材を充填した2枚(2種類)以上の有機構造体(集電体)を形成する。次に、これらを積層(貼り合わせ)することで、正極活物質層側と負極活物質層側それぞれの電位にたえうる集電体を形成することもできる。但し、貼合せの際に膜厚方向の電子伝導性を確保するのが難しければ、貼り合わせ面には上記したような導電材層を形成しておいてもよい。あるいは、上記(1)、(2)の手法において、導電性ペーストやプレポリマーの量をコントロールしながら、複数回に分けて塗布し、最後回の塗布操作で導電性ペーストやプレポリマーが裏面側から出るように調節すればよい。この際に塗布の前半と後半で導電性ペーストやプレポリマーの種類や濃度を変えることで、正極活物質層側と負極活物質層側に充填される導電材の種類や濃度を容易に調整することもできる。
また、有機構造体(集電体)表面の中央部と周辺部とで、使用する導電材の種類や濃度を変えることも、上記(1)や(2)の方法を適用して作ることも容易である。
次に、本実施の形態の双極型二次電池の製造方法としては、集電体を上記にて説明した適当な手法にて形成すること以外は、特に制限されるものではなく、従来公知の製造方法を適用して作製することができる。
なお、所望の空孔率やガーレー値を有する多孔膜や不織布や織布は、従来公知の製造方法を用いて作製することができるほか、市販の多孔膜や不織布や織布を用いてもよい。また、こうした多孔膜や不織布や織布の製造メーカーに、所望の仕様に基づいて作らせた、所望の空孔率やガーレー値を有する多孔膜や不織布や織布を利用してもよいなど、特に制限されるものではない。同様に、上記した導電性フィラーや結着高分子材料(未硬化材料)に関しても、上記で説明した材料、大きさ、形状などの導電性フィラーや結着高分子の原料の結着高分子材料(未硬化材料)を従来公知の製造方法を用いて作製することができる。このほかにも、例えば、市販の導電性フィラーや結着高分子材料(未硬化材料)を用いて形成してもよい。また、こうした導電性フィラーや結着高分子材料(未硬化材料)の製造メーカーに、所望の仕様に基づいて作らせた導電性フィラーや結着高分子材料(未硬化材料)を利用してもよいなど、特に制限されるものではない。
(実施例1)
<集電体(集電シート1)の作製>
以下の材料で、集電体としての集電シート1を作製した。
○構成材料
・有機構造体として、フィルム状の多孔質の構造体であって、膜厚方向に多数の連通する空孔(貫通孔)を有する構造の有機構造体を用いた。具体的には、有機構造体として、膜厚25μm、空孔率80%、ガーレー値140sec/100ccのアラミド微多孔膜(多孔フィルム)を用いた。
・結着高分子材料として、硬化温度80℃の熱硬化性の液状エポキシ樹脂を用いた。
○作製方法
結着高分子材料に導電フィラーを20wt%濃度となるように添加し、導電性ペースト(スラリー)を作製した。この導電性ペーストをアラミド微多孔膜(多孔フィルム)に含侵させ、80℃にて熱硬化させることで、目的の集電シート1を得た。即ち、アラミド微多孔膜の空孔(貫通孔)に導電性ペーストを含浸後、硬化したエポキシ樹脂(結着高分子:バインダ)で導電フィラーが結着されてなる導電材が、該空孔(貫通孔)に充填された構造の集電シート1が得られた。ここで、アラミド微多孔膜と、エポキシ樹脂(結着高分子)材料との質量比は、アラミド微多孔膜/エポキシ樹脂=20/80であった(表1参照)。集電シート1の膜厚は28μmであった。
(実施例2)
<集電体(集電シート2)の作製>
以下の材料で、集電体としての集電シート2を作製した。
○構成材料
・有機構造体として、フィルム状の多孔質の構造体であって、膜厚方向に多数の連通する空孔(貫通孔)を有する構造の有機構造体を用いた。具体的には、有機構造体として、膜厚25μm、空孔率80%、ガーレー値140sec/100ccのアラミド微多孔膜(多孔フィルム)を用いた。
・導電性フィラーと結着高分子材料は、実施例1と同様のものを用いた。
○作製方法
実施例1と同様にして、結着高分子材料に導電フィラーを20wt%濃度となるように添加し、導電性ペースト(スラリー)を作製した。この導電性ペーストをアラミド微多孔膜(多孔フィルム)に含侵させ、80℃にて熱硬化させることで、目的の集電シート2を得た。即ち、アラミド微多孔膜の空孔(貫通孔)に導電性ペーストを含浸後、硬化したエポキシ樹脂(結着高分子:バインダ)で導電フィラーが結着されてなる導電材が、該空孔(貫通孔)に充填された構造の集電シート2が得られた。ここで、アラミド微多孔膜と、エポキシ樹脂(結着高分子)材料との質量比は、アラミド微多孔膜/エポキシ樹脂=50/50であった(表1参照)。集電シート2の膜厚は28μmであった。
(実施例3)
<集電体(集電シート3)の作製>
以下の材料で、集電体としての集電シート3を作製した。
○構成材料
・有機構造体として、フィルム状の多孔質の構造体であって、膜厚方向に多数の連通する空孔(貫通孔)を有する構造の有機構造体を用いた。具体的には、有機構造体として、膜厚25μm、空孔率60%、ガーレー値90sec/100ccのポリエチレン(PE)微多孔膜(多孔フィルム)を用いた。
・導電性フィラーと結着高分子材料は、実施例1と同様のものを用いた。
○作製方法
実施例1と同様にして、結着高分子材料に導電フィラーを20wt%濃度となるように添加し、導電性ペースト(スラリー)を作製した。この導電性ペーストをPE微多孔膜(多孔フィルム)に含侵させ、80℃にて熱硬化させることで、目的の集電シート3を得た。即ち、PE微多孔膜の空孔(貫通孔)に導電性ペーストを含浸後、硬化したエポキシ樹脂(結着高分子:バインダ)で導電フィラーが結着されてなる導電材が、該空孔(貫通孔)に充填された構造の集電シート3が得られた。ここで、PE微多孔膜と、エポキシ樹脂(結着高分子)材料との質量比は、PE微多孔膜/エポキシ樹脂=40/60であった(表1参照)。集電シート3の膜厚は28μmであった。
(参考例1)
<参考樹脂シート1の作製>
導電性ペースト(スラリー)を含浸させていない、実施例1と同様のアラミド微多孔膜(多孔フィルム)を用いて、参考樹脂シート1とした。
(参考例2)
<参考樹脂シート2の作製>
導電性ペースト(スラリー)を含浸させていない、実施例3と同様のポリエチレン(PE)微多孔膜(多孔フィルム)を用いて、参考樹脂シート2とした。
(参考例3)
<参考樹脂集電シート3(既存の樹脂集電体;特許文献1参照)の作製>
○構成材料
・有機構造体は使用せず。
・導電性フィラーと結着高分子材料は、実施例1と同様のものを用いた。
○作製方法
有機構造体(多孔フィルム)を用いずに、実施例1と同様にして、結着高分子材料に導電フィラーを20wt%濃度となるように添加し、導電性ペースト(スラリー)を作製した。この導電性ペーストを、離型性フィルム上に塗布し、80℃にて熱硬化させることで、目的の参考樹脂集電シート3(既存の樹脂集電体)を得た。ここで、参考樹脂集電シート3の膜厚は60μmであった。本参考例3では、導電フィラーの混合量を特許文献1に規定の最小値とした。しかしながら、該導電性フィラーが結着高分子(バインダ)で保持されている膜状物質として得られるが、膜厚等を制御して成型することが困難であった。そのため、他の実施例や参考例と同程度の膜厚を狙ったが、それよりもとても厚膜に形成されてしまい、十分な制御ができないことがわかった。また、高温での機械強度(膜構造)を維持させるのが難しいこともわかった。
(参考例4)
<参考金属集電シート4(既存の金属集電箔)の作製>
既存の金属集電箔として、厚さ20μmのアルミニウム箔を用いて、参考金属集電シート4とした。
(参考例5)
<参考金属集電シート5(既存の金属集電箔)の作製>
既存の金属集電箔として、厚さ12μmの銅箔を用いて、参考金属集電シート5とした。
(評価)
実施例1〜3及び参考例1〜5それぞれのシートについて、以下の評価を実施した。
○目視観察、膜厚
・集電シート1〜3は、導電フィラーが結着高分子(バインダ)で多孔フィルム(特に空孔内部)に固定(充填)され、柔軟性に富み、膜厚を制御したシート状構造物として得られていた。
・参考例1、2のシートは、微多孔構造のシートである。
・参考例3のシートは、導電フィラーが結着高分子(バインダ)で保持されている膜状物質として得られているが、膜厚等を制御して成型することが困難であルことがわかった。
・参考例4、5のシートは、金属箔のシートである。
なお、各シートの膜厚は、任意の10箇所を測定し、厚さにほとんどバラツキがないことを確認し、これらの値を平均したものをシートの膜厚として、表1に示した。
○形状保持
下記の方法にて評価した。
・図6に示すように、30mmφの円筒61に、50mmφに切り出した実施例1〜3及び参考例1〜5それぞれのシート(サンプル)63をかぶせ、常温および80℃の環境下に1時間放置した後におけるシート変形(円筒中央部のたれ)を観察した。
・集電シート1、2は、いずれも常温および80℃にて形状保持が確認できた。即ち、シート変形(円筒中央部のたれ)は見られなかった。
・集電シート3は、常温にて形状保持されていたが、80℃ではたれが見られた。
・参考例1のシートは、常温および80℃にて形状保持が確認できた。即ち、シート変形(円筒中央部のたれ)は見られなかった。
・参考例2、3は、常温にて形状保持されていたが、80℃ではたれが見られた。
・参考例4、5は、常温および80℃にて形状保持が確認できた。即ち、シート変形(円筒中央部のたれ)は見られなかった。
得られた形状保持の評価結果を表1に示す。
得られた形状保持の評価結果から、導電性フィラーとエポキシ樹脂(結着高分子;バインダ)で構成した参考例3のシートでは、80℃での形状保持はできず、たれが見られる。一方、同じ導電性フィラーとエポキシ樹脂を用いても、これらを構造体(多孔フィルム)であるアラミドの空孔(連通孔)に充填させたシート(実施例1、2)では、この構造体の持つ優れた耐熱性、機械強度により、80℃でも形状保持できることがわかった。但し、この構造体(多孔フィルム)に80℃で軟化するポリエチレンを用いたシート(実施例3)では、80℃での形状保持はできず、たれが見られることが確認できた。このことから、有機構造体に優れた耐熱性、機械強度を持つ材料を用いることで、エポキシ樹脂(結着高分子;バインダ)には、80℃での耐熱性や機械強度がなくとも十分利用できることが確認できた。即ち、本発明の導電材に用いる結着高分子(バインダ)では、既存の樹脂集電体に用いられていた高分子材料のように、80℃での耐熱性や機械強度のあるものに制限されず、幅広い選択肢の中から適宜選択することができる点で、優れている。
○電気抵抗
下記の測定方法にて評価した。
・面方向の表面抵抗率は、JIS K 7194(導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法)に従って実施した。実際には、所定サイズに切り出したシートを該JIS規格品の抵抗測定機で計測して求めたものである。
・厚さ方向の体積抵抗率は、電気抵抗測定器A(株式会社井元製作所製:製品仕様;測定対象:導電性高分子・ゴム、測定電極:Ф20・Ф10mm、電極荷重:1、2、3、4、5kg、電極材質:銅・試料接面金メッキ、厚さ計:デジタルゲージ、手動荷重:レバ操作により任意荷重印加可能)を用いて計測して求めたものである。
得られた電気抵抗の測定結果を表1に示す。
・得られた電気抵抗の測定結果から、参考例4、5のシート(金属箔)は、共に電気抵抗は低く、電気抵抗の面内および膜厚方向に対する異方性が見られなかった。
・集電シート1〜3および参考例3のシートは、面内方向よりも膜厚方向に対する電気抵抗が低く、異方性が見られた。20wt%の導電フィラー入りエポキシ樹脂の量(貫通孔に充填された導電材量)にかかわらず、低抵抗で、金属集電箔に比べて非常に軽量な集電体(樹脂シート)が得られた。また、集電シート1〜3は、同程度の低抵抗な樹脂集電体(参考例3)に比べて、半分以下の薄膜シートに成形でき、更に集電体(シート)全体に高濃度に導電性フィラーを含有させる必要がなく、集電体全体の軽量化も図れる。
・参考例1、2のシートは、いわば絶縁性の樹脂シート(絶縁体)であり、電気抵抗の面内および膜厚方向に対する電気抵抗が非常に高かった。
Figure 0005386900
本発明の双極型二次電池の代表的な一実施形態である双極型リチウムイオン二次電池の概要を模式的に表した断面概略図である。 本発明の双極型二次電池の双極型電極における集電体内の有機構造体と導電材との配置構成を模式的に表した、双極型二次電池内の任意の双極型電極の断面概略図である。 本発明に係る双極型二次電池の代表的な実施形態である積層型の扁平な双極型二次電池の外観を模式的に表した斜視図である。 本発明に係る双極型二次電池モジュールの代表的な実施形態を模式的に表した外観図であって、図4Aは双極型二次電池モジュールの平面図であり、図4Bは双極型二次電池モジュールの正面図であり、図4Cは双極型二次電池モジュールの側面図である。 本発明の双極型二次電池のモジュール(組電池)を搭載した車両の概念図である。 実施例で用いたシート(集電体)の形状保持の評価に用いた円筒装置と、これを用いたシートの形状保持の評価の様子(概要)を表した概略模式図である。
符号の説明
1 有機構造体、
2 導電材、
2a 導電性フィラー、
2b 結着高分子(バインダ)、
10 双極型リチウムイオン二次電池、
11 集電体、
11a 正極層側の最外層集電体、
11b 負極層側の最外層集電体、
13 正極活物質層、
15 負極活物質層、
16、16a、16b 双極型電極、
17 電解質層(ゲル電解質層)、
19 単電池層(=電池単位ないし単セル)、
25 正極タブ、
27 負極タブ、
29 電池外装材(たとえばラミネートフィルム)、
31 シール部、
50 双極型リチウムイオン二次電池、
61 円筒、
63 シート(実施例1〜3、参考例1〜5の各集電体のサンプルシート)、
250 装脱着可能な小型の双極型二次電池の組電池(モジュール)、
300 双極型二次電池の組電池(モジュール)、
310 接続治具、
400 電気自動車。

Claims (9)

  1. 骨格となる有機構造体と、導電材とを有する樹脂層からなり
    前記有機構造体が、多孔質の構造体であって、膜厚方向に多数の連通する空孔を有する構造であり、該空孔の中に前記導電材が充填されてなり、少なくとも膜厚方向に電子伝導性があることを特徴とする集電体。
  2. 有機構造体の空孔率が、10〜90%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の集電体。
  3. 前記有機構造体が、布状および/またはフィルム状の多孔質の構造体であることを特徴とする請求項1または2に記載の集電体。
  4. 前記有機構造体として、ガーレー値が50sec/100cc以上1000sec/100cc以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の集電体。
  5. 前記有機構造体が、ポリオレフィン、ポリエステル、セルロース、アラミド及びポリイミドよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種を20wt%以上含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の集電体。
  6. 前記導電材は、導電性を有する高分子材料であること、および/または導電性フィラーと結着高分子材料とを含有する導電性ペーストを用いてなることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の集電体。
  7. 前記空孔の中に充填される導電材中の導電性フィラーの含有比率は、導電性フィラーと結着高分子の合計に対して、5〜40質量%の範囲であることを特徴とする請求項6に記載の集電体。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の集電体の片面あるいは両面に電気的に結合した電極活物質層を有する電極。
  9. 請求項に記載の電極を用いた双極型二次電池。
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