JP5386900B2 - 有機構造体を含む双極型リチウムイオン二次電池用集電体 - Google Patents
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Description
本実施の形態の双極型二次電池は、一般的な基本構成として、複数の双極型電極と、これらの双極型電極の間に配置される電解質層とを備えてなる、双極型電極と電解質層とが交互に積層された構造を有する。そして、前記双極型電極は、集電体と、前記集電体の一方の面に電気的に結合した正極層と、前記集電体の他方の面に電気的に結合した負極層と、からなる構成を有する。
本実施の形態に係る双極型二次電池の特徴は、上記した一般的な基本構成を有する双極型二次電池において、集電体が、骨格となる有機構造体と、導電材とを有し、少なくとも膜厚方向に電子伝導性があることにある。かかる構成とすることで、金属集電箔に較べて軽量であるとともに、集電体の電子伝導性を確保する上で必要となる導電材を保持させても任意の形状(形態)をとることができ、電池の出力が向上した双極型二次電池を構築できる。電極活物質層との有機構造体との界面(接着)強度に優れる為、双極型二次電池の耐振動性能を向上することもできる。また、有機構造体の膜厚方向に連通した空孔部分に設けた導電パス(導電経路)のうち、正極活物質層側と負極活物質層側でそれぞれ充填させる導電材を変えることも可能となる。そのめた、導電パス(導電経路)のうち、正極活物質層側と負極活物質層側とで正極電位及び負極電位それぞれの電位に長期間耐えうる導電材を充填配置した集電体を形成することも可能である。その結果、より一層寿命特性が向上した長期信頼性に優れた双極型二次電池を構築することもできる。
本実施の形態の双極型二次電池の特徴部分である集電体について、図面を用いて説明する。図2は、本実施の形態の双極型二次電池の双極型電極における集電体内の有機構造体と導電材との配置構成を模式的に表した、双極型二次電池内の任意の双極型電極の断面概略図である。
本実施の形態の集電体は、膜厚方向の体積抵抗率が102Ω・cm以下のものであれば、少なくとも膜厚方向に電子伝導性があるといえる。好ましくは、膜厚方向の体積抵抗率が、102〜10−5Ω・cmの範囲である。集電体の膜厚方向の体積抵抗率がかような範囲にあれば、双極型二次電池の集電体として適切である。該体積抵抗率の測定方法は、JIS規格に適合した市販の測定機器を用いて行うことができる。
骨格となる有機構造体1の空孔に導電材2を充填する際に、充填する導電材2の種類および濃度を変更し、集電体の部分毎に電子伝導性の有無・多少を制御されていてもよい。こうした導電材2の種類および濃度の制御により、塗布した電極活物質層13、15の厚さ分布が生じやすい周辺部や構造上電流の集中しやすい箇所(中央部など)に応じて集電体11の電子伝導性を制御し、内部発熱の発生を緩和できる点で優れている。
本実施の形態では、電池の使用環境下で、集電体(シート)の形状保持性能が保持されているのが望ましい。詳しくは実施例に示す形状保持の評価試験を行った場合に、常温および80℃の環境下に1時間放置した後でも集電体(シート)の変形(円筒中央部のたれ)が見られないのが望ましい。これにより、有機構造体が、双極型二次電池の過酷な使用環境下でもその構造を保持することができるため、集電体(シート)が外部負荷などにより押し潰されることもなく、短絡などの問題を引き起こすのを有効に防止することができる。
集電体の厚さは、軽量化により電池の出力密度を高める上では、薄いほど好ましい。双極型二次電池においては、双極型電極の正極活物質層と負極活物質層の間に存在する集電体は、膜厚方向(積層方向)に垂直な面方向(水平方向)の電気抵抗が高くてもよいため、集電体の厚さを薄くすることが可能である(実施例1〜3と参考例3とを対比参照)。そのため、電池出力特性に優れ、長期信頼性に優れた電池を構築できる。
集電体の抵抗値に関しては、双極型二次電池用の集電体に求められる膜厚方向(積層方向)の電子伝導性が十分に確保できれいればよく、特に制限されるものではない。かかる観点から、厚さ方向(膜厚方向)の抵抗率は、1014Ω以下、好ましくは100Ω以下であるのが好ましい。
(7−1)有機構造体1
(a)有機構造体の構成材料
集電体内の有機構造体としては、特に制限されるものではなく、既存の多孔膜あるいは不織布あるいは織布などに用いる材料を利用できる。具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル;ポリイミド(PI);ポリアミド(PA);ポリフッ化ビニリデン(PVdF);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);スチレンブタジエンゴム(SBR);ポリアクリロニトリル(PAN);ポリメチルアクリレート(PMA);ポリメチルメタクリレート(PMMA);ポリ塩化ビニル(PVC)などが挙げられる。これらの有機(高分子)材料は、1種単独で用いてもよいし、2種併用してもよい。なかでも、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。これらの有機(高分子)材料は熱を加えることで融解し易く、活物質層に融着することが容易であり、さらに電位窓が非常に広く正極電位、負極電位双方に安定である。また軽量であるため、電池の高出力密度化が可能となる。
上記した有機(高分子)材料で構成される有機構造体は、少なくとも膜厚方向に多数の連通した空孔(単に貫通孔ともいう)を有する布状またはフィルム状の多孔質の構造体を用いてもよいし、これらを適当に組み合わせて用いてもよい。布状および/またはフィルム状の多孔質の有機構造体としては、多孔質フィルム(多孔膜)、不織布、織布などを用いることができる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を積層し、更に必要があれば貼り合わせるなどして併用してもよい。尚、貼り合わせて用いる場合には、膜厚方向の多数の貫通孔が閉塞されないようにする必要がある。
有機構造体としては、ガーレー値が50sec/100cc以上1000sec/100cc以下である、膜厚方向に複数の貫通孔を有する、布状および/またはフィルム状の多孔質の有機構造体が用いられてなるのが望ましい。これにより、導電材を充填可能な貫通孔が存在し、構造を維持できる。その結果、膜厚方向に電子伝導性を示し、なおかつ使用する導電材の含有量を少なくでき、集電体の更なる軽量化が図れ、電池の出力向上に寄与することができる。ここで、ガーレー値とは、圧力0.879g/m2で100ccの空気が多孔膜(あるいは不織布、織布)を透過するのに要する秒数をいう(JIS P8117規格に準拠)。上記ガーレー値としては、50sec/100cc以上800sec/100cc以下の範囲がより好ましい。
有機構造体としては、空孔率が10〜90%である、膜厚方向に複数の貫通孔を有する、布状および/またはフィルム状の多孔質の有機構造体が用いられてなるのが望ましい。これにより、導電材を充填可能な貫通孔が存在し、構造を維持できる。その結果、膜厚方向に電子伝導性を示し、なおかつ使用する導電材の含有量を少なくでき、集電体の更なる軽量化が図れ、電池の出力向上に寄与することができる。上記空孔率としては、30〜90%の範囲がより好ましい。
有機構造体の軟化点は、80〜250℃であることが好ましく、95〜200℃であることがより好ましい。かような範囲であれば、熱融着(熱硬化)が行いやすく製造時の生産性が向上するため好ましい。また、電池使用時(充放電時)の電池内部温度は、60〜80℃程度の高温になることもある。したがって製造段階で熱融着(熱硬化)した後の使用段階では、80℃でも十分な形状保持性能を有し、耐熱性、機械強度に優れる有機構造体を提供できるため好ましい。なお、本明細書において、軟化点は、JIS K7206(1999)ビカット軟化温度試験方法によって測定された値を採用する。有機構造体を構成する有機(高分子)材料が、2種以上の高分子材料の混合物である場合には、これら混合物の軟化点を測定し、この値を軟化点とする。
(a)構成材料
集電体11内の導電材2としては、各電池用途に応じた集電体に求められる導電性を有し、集電体全体を既存の金属集電箔に較べて軽量化できものであれば、特に制限されるものではなく、既存の樹脂集電体と同様の材料を用いて形成することができる。即ち、金属粉等の導電性フィラーと結着高分子(バインダ)とを含有する導電性ペーストや導電性を有する高分子(単に、導電性高分子ともいう)などの導電性を有する材料から構成することができる。これらは単独で用いてもよいし、併用してもよい。
上記1)の形態に用いられる導電性高分子は、導電性を有する材料から選択される。好ましくは、導電材2が充填される有機構造体1の膜厚方向の貫通孔内のイオン透過を抑制する観点から、電荷移動媒体として用いられるイオンに関して伝導性を有さない材料を用いるのが望ましい。これらの導電性高分子は、共役したポリエン系がエネルギー帯を形成し導電性を示すと考えられている。代表的な例としては、電解コンデンサなどで実用化が進んでいるポリエン系導電性高分子を用いることができる。具体的には、ポリフェニレンスルフィド、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアクリロニトリル、ポリオキサジアゾール、またはこれらの混合物などが好ましい。導電性(電子伝導性)および電池内で安定に使用できるという観点から、ポリフェニレンスルフィド、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレンがより好ましい。
上記2)の導電性ペースト使用形態に用いられ導電性フィラー2aは、カーボンブラックあるいは金属あるいは半導体などの導電性を有する材料から選択される。好ましくは、導電性樹脂層内のイオン透過を抑制する観点から、電荷移動媒体として用いられるイオンに関してイオン伝導性を有さない材料を用いるのが望ましい。
また、導電性フィラーの形状(形態)は、粒子形態で用いればよいが、粒子形態に限られず、カーボンナノチューブなど、いわゆるフィラー系導電性樹脂組成物として実用化されている粒子形態以外の形態であってもよい。
骨格となる有機構造体1の空孔に導電材2(導電性ペースト)を充填する際に、充填する導電材2(導電性ペースト)中の導電性フィラー2aの種類および濃度を変更し、集電体11の部分毎に電子伝導性の有無・多少を制御されていてもよい。こうした導電材中の導電性フィラーの種類および濃度の制御により、塗布した電極活物質層の厚さ分布が生じやすい周辺部や構造上電流の集中しやすい箇所に応じて集電体の電子伝導性を制御し、内部発熱の発生を緩和できる点で優れている。
導電性フィラー2aの平均粒子径は、特に限定されるものではないが、0.01〜10μm程度であることが望ましい。なお、本明細書中において、「粒子径」とは、導電性フィラーの輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。後述する活物質粒子などの粒子径や平均粒子径も同様に定義することができる。
また、上記2)の形態のように導電材2(導電性ペースト)が導電性フィラー2aを含む形態の場合、併用される結着高分子(バインダ)2bは、当該導電性を付加する為の導電性フィラー2aを結着させる絶縁性の高分子(導電性のない高分子)を含む。
上記2)、3)の形態の場合、有機構造体1の空孔(貫通孔)に充填される導電材2中の導電性フィラー2aの含有比率は、導電性フィラー2aと結着高分子2bの合計に対して、5〜40wt%の範囲が好ましい。十分な量の導電性フィラー2aを空孔(貫通孔)に高濃度に含有させることにより、集電体の膜厚方向の電子伝導性を十分に確保できる。即ち、導電材2中の導電性フィラー2aの含有量が5wt%以上あれば、双極型二次電池用の集電体に必要な膜厚方向の電子伝導性能を有効に発現することができる。一方、導電性フィラー2aの含有量が40wt%以下であれば、結着高分子2bにより導電性フィラー2a同士や有機構造体1との結着性を高め、電池の信頼性を高めることができる。また導電性フィラー2aを含有する導電材2、ひいては集電体11全体の重量増加を抑制することができる。
上記2)、3)の形態の場合、導電材2には、導電性フィラー2aおよび結着高分子2bの他、本実施の形態の作用効果に影響を与えない範囲内であれば、撥水剤などの他の添加剤を適量含有していてもよい。
以上が、本実施の形態の双極型二次電池の特徴的な構成要件である集電体に関する説明であり、他の構成要件に関しては特に制限されるものではない。よって、以下では、本実施の形態の双極型二次電池の特徴的な構成要件である集電体以外の他の構成要件に関し、双極型リチウムイオン二次電池を例に取り説明するが、本実施の形態がこれらに制限されるものではない。
電極活物質層(正極活物質層13および負極活物質層15)は活物質を含み、必要に応じてその他の添加剤をさらに含む。
電解質層17を構成する電解質としては、充放電時に正負極間を移動するリチウムイオンのキャリアーとしての機能を有するものであれば特に制限されず、液体電解質、ポリマー電解質、無機固体電解質(酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質)等が用いられうる。
最外層集電体11aおよび11bとしては、上記した双極型電極用の集電体11を用いることができるほか、既存の金属集電箔を用いることができる。例えば、アルミニウム箔、ステンレス(SUS)箔、ニッケルとアルミニウムのクラッド材、銅とアルミニウムのクラッド材、あるいはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが挙げられる。中でも正極電位、負極電位に耐えうる最外層集電体とするためには、アルミニウム箔、ステンレス箔が好ましい。
シール部(シーラントないし周辺絶縁層とも称されている)31は、電解質層17の漏れを防止するために単電池層19の周辺部に配置されている。この他にも電池内で隣り合う集電体同士が接触したり、積層電極の端部の僅かな不ぞろいなどによる短絡が起こったりするのを防止することもできる。該シール部31としては、例えば、PE、PPなどのポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ゴム、ポリイミドなどが使用でき、耐蝕性、耐薬品性、製膜性、経済性などの観点からは、ポリオレフィン樹脂が好ましい。ただし、これらに何ら制限されるものではない。
電池外部に電流を取り出す目的で、各集電体に電気的に接続されたタブ(正極タブ25および負極タブ27)が電池外装材の外部に取り出されている。具体的には、図3に示すように最外層正極集電体11aに電気的に接続された正極タブ25と最外層負極集電体11bに電気的に接続された負極タブ27とが、電池外装材29であるラミネートシートの外部に取り出される。
正極および負極端子板は、必要に応じて使用する。例えば、最外部の集電体11a、11bから正極タブ25及び負極タブ27を直接取り出す場合には、正極および負極端子板は用いなくてもよい。また、電極端子板の一部を延長することにより正極タブ25および負極タブ27としてもよい。あるいは、別途準備した正極タブ25および負極タブ27や正極および負極端子リードを正極および負極端子板に接続してもよい。
正極端子リードおよび負極端子リードに関しても、必要に応じて使用する。例えば、最外層集電体11aおよび11bや電極端子板から出力電極端子となる正極タブ25および負極タブ27を直接取り出す場合には、正極端子リードおよび負極端子リードは用いなくてもよい。
電池外装材29としては、公知の金属缶ケースを用いることができるほか、発電要素(電池要素)21を覆うことができる、アルミニウムを含むラミネートフィルムを用いた袋状のケースが用いられうる。該ラミネートフィルムには、例えば、PP、アルミニウム、ナイロンをこの順に積層してなる3層構造のラミネートフィルム等を用いることができるが、これらに何ら制限されるものではない。高出力化や冷却性能に優れ、EV、HEV用の大型機器用電池に好適に利用することができるラミネートフィルムが望ましい。
図3は、本実施の形態に係る双極型二次電池の代表的な実施形態である積層型の扁平な双極型リチウムイオン二次電池の外観を表した斜視図である。
本実施の形態の組電池は、本実施の形態の双極型二次電池を複数個接続して構成した物である。詳しくは少なくとも2つ以上用いて、直列化あるいは並列化あるいはその両方で構成されるものである。直列、並列化することで容量および電圧を自由に調節することが可能になる。なお、本実施の形態の組電池では、本実施の形態の双極型二次電池と、他の非双極型リチウムイオン二次電池とを組み合わせて、これらを直列に、並列に、または直列と並列とに、複数個組み合わせて、組電池を構成することもできる。
本実施の形態の車両は、本実施の形態の電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池を搭載したことを特徴とするものである。本実施の形態の双極型二次電池は高い出力であるから、電池を搭載するとEV走行距離の長いプラグインハイブリッド電気自動車や、一充電走行距離の長い電気自動車を構成できる。言い換えれば、本実施の形態の双極型二次電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池は、車両の駆動用電源として用いられうる。車両としては、例えば、自動車ならばハイブリット車、燃料電池車、電気自動車(いずれも四輪車(乗用車、トラック、バスなどの商用車、軽自動車など)のほか、二輪車(バイク)や三輪車を含む)が挙げられる。ただし、用途が自動車に限定されるわけではなく、他の車両、例えば、電車などの移動体の各種電源であっても適用は可能であるし、無停電電源装置などの載置用電源として利用することも可能である。
次に、本実施の形態の双極型二次電池の製造方法としては、特に制限されるものではなく、従来公知の方法を適用して作製することができる。
<集電体(集電シート1)の作製>
以下の材料で、集電体としての集電シート1を作製した。
・有機構造体として、フィルム状の多孔質の構造体であって、膜厚方向に多数の連通する空孔(貫通孔)を有する構造の有機構造体を用いた。具体的には、有機構造体として、膜厚25μm、空孔率80%、ガーレー値140sec/100ccのアラミド微多孔膜(多孔フィルム)を用いた。
結着高分子材料に導電フィラーを20wt%濃度となるように添加し、導電性ペースト(スラリー)を作製した。この導電性ペーストをアラミド微多孔膜(多孔フィルム)に含侵させ、80℃にて熱硬化させることで、目的の集電シート1を得た。即ち、アラミド微多孔膜の空孔(貫通孔)に導電性ペーストを含浸後、硬化したエポキシ樹脂(結着高分子:バインダ)で導電フィラーが結着されてなる導電材が、該空孔(貫通孔)に充填された構造の集電シート1が得られた。ここで、アラミド微多孔膜と、エポキシ樹脂(結着高分子)材料との質量比は、アラミド微多孔膜/エポキシ樹脂=20/80であった(表1参照)。集電シート1の膜厚は28μmであった。
<集電体(集電シート2)の作製>
以下の材料で、集電体としての集電シート2を作製した。
・有機構造体として、フィルム状の多孔質の構造体であって、膜厚方向に多数の連通する空孔(貫通孔)を有する構造の有機構造体を用いた。具体的には、有機構造体として、膜厚25μm、空孔率80%、ガーレー値140sec/100ccのアラミド微多孔膜(多孔フィルム)を用いた。
実施例1と同様にして、結着高分子材料に導電フィラーを20wt%濃度となるように添加し、導電性ペースト(スラリー)を作製した。この導電性ペーストをアラミド微多孔膜(多孔フィルム)に含侵させ、80℃にて熱硬化させることで、目的の集電シート2を得た。即ち、アラミド微多孔膜の空孔(貫通孔)に導電性ペーストを含浸後、硬化したエポキシ樹脂(結着高分子:バインダ)で導電フィラーが結着されてなる導電材が、該空孔(貫通孔)に充填された構造の集電シート2が得られた。ここで、アラミド微多孔膜と、エポキシ樹脂(結着高分子)材料との質量比は、アラミド微多孔膜/エポキシ樹脂=50/50であった(表1参照)。集電シート2の膜厚は28μmであった。
<集電体(集電シート3)の作製>
以下の材料で、集電体としての集電シート3を作製した。
・有機構造体として、フィルム状の多孔質の構造体であって、膜厚方向に多数の連通する空孔(貫通孔)を有する構造の有機構造体を用いた。具体的には、有機構造体として、膜厚25μm、空孔率60%、ガーレー値90sec/100ccのポリエチレン(PE)微多孔膜(多孔フィルム)を用いた。
実施例1と同様にして、結着高分子材料に導電フィラーを20wt%濃度となるように添加し、導電性ペースト(スラリー)を作製した。この導電性ペーストをPE微多孔膜(多孔フィルム)に含侵させ、80℃にて熱硬化させることで、目的の集電シート3を得た。即ち、PE微多孔膜の空孔(貫通孔)に導電性ペーストを含浸後、硬化したエポキシ樹脂(結着高分子:バインダ)で導電フィラーが結着されてなる導電材が、該空孔(貫通孔)に充填された構造の集電シート3が得られた。ここで、PE微多孔膜と、エポキシ樹脂(結着高分子)材料との質量比は、PE微多孔膜/エポキシ樹脂=40/60であった(表1参照)。集電シート3の膜厚は28μmであった。
<参考樹脂シート1の作製>
導電性ペースト(スラリー)を含浸させていない、実施例1と同様のアラミド微多孔膜(多孔フィルム)を用いて、参考樹脂シート1とした。
<参考樹脂シート2の作製>
導電性ペースト(スラリー)を含浸させていない、実施例3と同様のポリエチレン(PE)微多孔膜(多孔フィルム)を用いて、参考樹脂シート2とした。
<参考樹脂集電シート3(既存の樹脂集電体;特許文献1参照)の作製>
○構成材料
・有機構造体は使用せず。
有機構造体(多孔フィルム)を用いずに、実施例1と同様にして、結着高分子材料に導電フィラーを20wt%濃度となるように添加し、導電性ペースト(スラリー)を作製した。この導電性ペーストを、離型性フィルム上に塗布し、80℃にて熱硬化させることで、目的の参考樹脂集電シート3(既存の樹脂集電体)を得た。ここで、参考樹脂集電シート3の膜厚は60μmであった。本参考例3では、導電フィラーの混合量を特許文献1に規定の最小値とした。しかしながら、該導電性フィラーが結着高分子(バインダ)で保持されている膜状物質として得られるが、膜厚等を制御して成型することが困難であった。そのため、他の実施例や参考例と同程度の膜厚を狙ったが、それよりもとても厚膜に形成されてしまい、十分な制御ができないことがわかった。また、高温での機械強度(膜構造)を維持させるのが難しいこともわかった。
<参考金属集電シート4(既存の金属集電箔)の作製>
既存の金属集電箔として、厚さ20μmのアルミニウム箔を用いて、参考金属集電シート4とした。
<参考金属集電シート5(既存の金属集電箔)の作製>
既存の金属集電箔として、厚さ12μmの銅箔を用いて、参考金属集電シート5とした。
実施例1〜3及び参考例1〜5それぞれのシートについて、以下の評価を実施した。
・集電シート1〜3は、導電フィラーが結着高分子(バインダ)で多孔フィルム(特に空孔内部)に固定(充填)され、柔軟性に富み、膜厚を制御したシート状構造物として得られていた。
下記の方法にて評価した。
下記の測定方法にて評価した。
2 導電材、
2a 導電性フィラー、
2b 結着高分子(バインダ)、
10 双極型リチウムイオン二次電池、
11 集電体、
11a 正極層側の最外層集電体、
11b 負極層側の最外層集電体、
13 正極活物質層、
15 負極活物質層、
16、16a、16b 双極型電極、
17 電解質層(ゲル電解質層)、
19 単電池層(=電池単位ないし単セル)、
25 正極タブ、
27 負極タブ、
29 電池外装材(たとえばラミネートフィルム)、
31 シール部、
50 双極型リチウムイオン二次電池、
61 円筒、
63 シート(実施例1〜3、参考例1〜5の各集電体のサンプルシート)、
250 装脱着可能な小型の双極型二次電池の組電池(モジュール)、
300 双極型二次電池の組電池(モジュール)、
310 接続治具、
400 電気自動車。
Claims (9)
- 骨格となる有機構造体と、導電材とを有する樹脂層からなり、
前記有機構造体が、多孔質の構造体であって、膜厚方向に多数の連通する空孔を有する構造であり、該空孔の中に前記導電材が充填されてなり、少なくとも膜厚方向に電子伝導性があることを特徴とする集電体。 - 有機構造体の空孔率が、10〜90%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の集電体。
- 前記有機構造体が、布状および/またはフィルム状の多孔質の構造体であることを特徴とする請求項1または2に記載の集電体。
- 前記有機構造体として、ガーレー値が50sec/100cc以上1000sec/100cc以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の集電体。
- 前記有機構造体が、ポリオレフィン、ポリエステル、セルロース、アラミド及びポリイミドよりなる群から選ばれてなる少なくとも1種を20wt%以上含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の集電体。
- 前記導電材は、導電性を有する高分子材料であること、および/または導電性フィラーと結着高分子材料とを含有する導電性ペーストを用いてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の集電体。
- 前記空孔の中に充填される導電材中の導電性フィラーの含有比率は、導電性フィラーと結着高分子の合計に対して、5〜40質量%の範囲であることを特徴とする請求項6に記載の集電体。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の集電体の片面あるいは両面に電気的に結合した電極活物質層を有する電極。
- 請求項8に記載の電極を用いた双極型二次電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008240019A JP5386900B2 (ja) | 2008-09-18 | 2008-09-18 | 有機構造体を含む双極型リチウムイオン二次電池用集電体 |
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