JP7085142B2 - リチウムイオンキャパシタ - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオンキャパシタに関する。
リチウムイオンキャパシタは、出力特性に優れることから、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両駆動用電源への応用が期待されている。
リチウムイオンキャパシタは、負極にリチウムイオンをドープすることにより負極電位を低くして高いセル電圧を得ることができるため、従来の電気二重層キャパシタに比べてエネルギー密度の向上を図ることができる。典型的なリチウムイオンキャパシタの電極は、リチウムイオンをプレドープする際に負極全体に均一にリチウムイオンがドープされるように、電解液が通過可能な貫通孔を備えた集電箔上に、活物質層が設けられた構成を有する。
リチウムイオンキャパシタの特性を向上させるために、集電箔の貫通孔に粒子を充填する技術が知られている。例えば、特許文献1には、負極集電箔の貫通孔に樹脂粒子を充填し、リチウムイオンをプレドープした後、加熱処理により樹脂粒子を溶融させて貫通孔を閉塞することにより、急速な充放電を繰り返しても容量低下が少ないサイクル特性に優れたリチウムイオンキャパシタが得られることが開示されている。例えば、特許文献2には、イオン伝導性物質であるホウ酸を集電箔の貫通孔に充填することにより、リチウムイオンのプレドープに必要な時間を短縮できることが開示されている。
特開2012-059396号公報 特開2013-206705号公報
リチウムイオンキャパシタの電極(特に正極)に用いられる活物質は、かさ密度が大きいため、電極のセル容量が小さいという課題がある。電極のセル容量を高める方法としては、集電箔の厚さを小さくする方法、およびプレス処理により電極の活物質層の密度を高める方法が考えられる。活物質層の密度を高めるために高い圧力でプレスすると、集電箔が薄い穴あき箔の場合には、強度が足りずにプレス時に箔が破断する、箔が伸長するために十分に圧力がかからず活物質層の密度が向上しない等の問題が発生する。また、箔が伸長して貫通孔が塞がり、リチウムイオンのプレドープが均一に行われ難くなるという問題も生じる。集電箔の強度を上げるために孔径を小さくしたり、貫通孔の数を減らした場合にも、リチウムイオンのプレドープが均一に行われ難くなるという問題がある。
そこで本発明は、電極をプレス処理した際に破断することなく活物質層の密度を向上させることができ、かつリチウムイオンのプレドープを均一に行うことが可能なリチウムイオンキャパシタを提供することを目的とする。
ここに開示されるリチウムイオンキャパシタは、集電箔と、活物質層とを備える電極、および電解液を含む。前記集電箔は、貫通孔を有する。前記貫通孔には、セラミック粒子が充填されている。前記貫通孔の体積に対する前記セラミック粒子の体積の割合は、0.39以上0.65以下である。
このような構成によれば、電極をプレス処理した際に破断することなく活物質層の密度を向上させることができ、かつリチウムイオンのプレドープを均一に行うことが可能なリチウムイオンキャパシタが提供される。
本発明の一実施形態に係るリチウムイオンキャパシタの内部構造を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係るリチウムイオンキャパシタの電極の厚さ方向に垂直な断面を模式的に示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明による実施の形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けないリチウムイオンキャパシタの一般的な構成および製造プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
以下、扁平角型のリチウムイオンキャパシタを例にして、本発明について詳細に説明するが、本発明をかかる実施形態に記載されたものに限定することを意図したものではない。
図1に示すリチウムイオンキャパシタ100は、扁平形状の電極体20と電解液(図示せず)とが扁平な角形の電池ケース30に収容されている構成を有する。電池ケース30には外部接続用の正極端子42および負極端子44と、電池ケース30の内圧が所定レベル以上に上昇した場合に該内圧を開放するように設定された薄肉の安全弁36が設けられている。また、電池ケース30には、電解液を注入するための注入口(図示せず)が設けられている。正極端子42は、正極集電板42aと電気的に接続されている。負極端子44は、負極集電板44aと電気的に接続されている。電池ケース30の材質としては、例えば、アルミニウム等の軽量で熱伝導性の良い金属材料が用いられる。
電極体20は、図1に示すように、正極集電箔52の片面または両面(ここでは両面)に正極活物質層54が形成されたシート状の正極50と、負極集電箔62の片面または両面(ここでは両面)に負極活物質層64が形成されたシート状の負極60とが、シート状のセパレータ70を介して重ね合わされた形態を有する。
電極体20は、1枚のシート状の正極50と1枚のシート状の負極とが2枚のセパレータ70と共に積層され捲回されてなる捲回電極体であってよく、複数のシート状の正極50と複数のシート状の負極60と、複数のシート状のセパレータ70とが積層されてなる積層型電極体であってもよい。
正極50の一端部には、正極活物質層非形成部分52a(即ち、正極活物質層54が形成されずに正極集電箔52が露出した部分)が設けられている。負極60の一端部には、負極活物質層非形成部分62a(即ち、負極活物質層64が形成されずに負極集電箔62が露出した部分)が設けられている。正極活物質層非形成部分52aおよび負極活物質層非形成部分62aには、それぞれ正極集電板42aおよび負極集電板44aが接合されている。
正極50は、図2に示すように、正極集電箔52上に、正極活物質層54が設けられた構成を有する。
正極集電箔52の材質は、充放電電位において反応、溶出等の起こり難いものであれば特に制限はなく、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられ、好ましくはアルミニウムまたはアルミニウム合金である。正極集電箔52として特に好ましくは、アルミニウム箔である。
正極集電箔52は、貫通孔58を有する。よって電解液は、この貫通孔58を通過して、正極集電箔52の一方の面に設けられた正極活物質層54から、他方の面に設けられた正極活物質層54に移動することが可能である。貫通孔58の孔径、数、配置等については、公知のリチウムイオンキャパシタに用いられる正極集電箔と同様であってよい。正極集電箔52の厚さも、公知のリチウムイオンキャパシタに用いられる正極集電箔と同様であってよい。
本実施形態においては、正極集電箔52の貫通孔56に、セラミック粒子58が充填されている。
セラミック粒子58の材質としては、アルミナ(Al)、ベーマイト、水酸化アルミニウム、チタニア(TiO)、ジルコニア(ZrO)、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ナトリウム等が挙げられ、なかでも、アルミナ、チタニア、およびジルコニアが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
セラミック粒子58の形状には特に制限がなく、球状、板状、不定形等であってよく、好ましくは球状である。
セラミック材料は、集電箔を構成する材料よりも強度が大きい。言い換えると、セラミック材料は、圧縮に対して集電箔を構成する材料よりも変形が起こりにくい。そのため、貫通孔56にセラミック粒子58を充填することにより、正極集電箔52全体での強度が向上し、プレス処理時に箔が伸長して破断することや、箔が伸長してプレス圧を吸収することを抑制することができる。その結果、プレス処理によって正極活物質層54を効果的に圧縮して、正極活物質層54の密度を大きくすることができる。また、セラミック粒子58によってプレス処理時に正極集電箔52が伸長して貫通孔56が塞がることも抑制されているため、従来の貫通孔の設計を変更することなく、正極50へのリチウムイオンのプレドープを均一に行うことができる。
一方で、従来技術の中には上述のように、集電箔の貫通孔に樹脂粒子およびホウ酸を充填するものがあるが、樹脂粒子およびホウ酸は、強度が不十分であり、このような効果を得ることができない。また、ホウ酸は、水や一部の有機溶媒に可溶であるため、活物質層をペーストを用いて作製する場合には、ホウ酸が溶解して貫通孔から流出するおそれがある。また、従来技術においては、ホウ酸を貫通孔に密に充填しているが、この場合、ホウ酸のイオン伝導性が電解液と比べて低いため、負極へのリチウムイオンのプレドープを均一に行い難くなる。
ここで、貫通孔56に充填されるセラミック粒子58の量が少な過ぎると、正極集電箔52全体の強度を十分に向上させることができない。そこで、貫通孔56の体積に対するセラミック粒子58の体積の割合は、0.39以上であり、容量維持率が高くなる(容量劣化耐性が高くなる)ことから、好ましくは0.44以上である。また、貫通孔56に充填されるセラミック粒子58の量が多すぎると、電解液が貫通孔56を通過する妨げとなり、負極60へのリチウムイオンのプレドープを均一に行い難くなる。そこで、貫通孔56の体積に対するセラミック粒子58の体積の割合は、0.65以下である。
なお、「セラミック粒子58の体積」は、一つの貫通孔56に充填されている全セラミック粒子58の体積の合計である。「貫通孔56の体積」は、セラミック粒子58が充填されていない状態での貫通孔56の体積であり、よって貫通孔56に充填されている全セラミック粒子58の体積の合計と貫通孔56内のセラミック粒子58が充填されていない部分の全体積との和に等しい。
またなお、貫通孔56の体積に対するセラミック粒子58の体積の割合は、粒子径および粒子形状を適宜選択することにより、調整することができる。
正極活物質層54は、正極活物質を含有する。
正極活物質の好適例としては活性炭が挙げられる。活性炭としては、典型的には、以下に挙げる原料を炭化処理および賦活処理したものを使用することができ、リチウムイオンキャパシタの正極活物質として用いられている公知ものを使用してよい。
活性炭の原料としては、例えば、木材、木粉、ヤシ殻、パルプ廃液等の植物系原料;石炭系ピッチ、石油系ピッチ、コークス、コールタール等の化石系原料;フェノール樹脂等の合成樹脂などが挙げられる。
炭化処理の方法としては、例えば、不活性ガス雰囲気下で、上記原料を焼成する方法などが挙げられる。
賦活処理の方法としては、例えば、水蒸気賦活等のガス賦活法、アルカリ賦活等の薬品賦活法などが挙げられる。
活性炭の平均粒子径は、特に限定されないが、20μm以下が好ましく、1μm以上15μm以下がより好ましく、1μm以上8μm以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、平均粒子径とは、レーザ回折法によって測定される粒度分布より求まる50%体積累積径D50のことをいう。
活性炭の比表面積は、特に限定されないが、800m/g以上3000m/g以下が好ましく、1500m/g以上2800m/g以下がより好ましい。活性炭の比表面積は、例えば、BET法により求めることができる。
正極活物質層54中の活性炭の含有量は、特に限定されないが、70質量%以上が好ましく、75質量%以上98質量%以下がより好ましく、80質量%以上96質量%以下がさらに好ましい。
正極活物質層54は、バインダ、導電材等の正極活物質以外の成分を含有していてもよい。
バインダとしては、充放電電位に酸化還元分解域を有しない高分子バインダを好適に用いることができる。その具体例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂;カルボキシメチルセルロース(CMC)などのセルロース誘導体;スチレンブタジエンゴム(SBR)などのゴム状重合体;アクリル系バインダ;ポリビニルアルコール(PVA);ポリエチレンオキシド等が挙げられる。
導電材としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック;黒鉛などを用いることができる。
正極活物質層54中のバインダの含有量は、特に限定されないが、0.5質量%以上15質量%以下が好ましく、1質量%以上12質量%以下がより好ましく、2質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。
正極活物質層54中の導電材の含有量は、特に限定されないが、0.5質量%以上15質量%以下が好ましく、1質量%以上12質量%以下がより好ましく、2質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。
負極60は、負極集電箔62上に、負極活物質層54が設けられた構成を有する。
負極集電箔62の材質としては、例えば、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられ、好ましくは銅である。よって、負極集電箔62としては、銅箔が好適に用いられる。
負極集電箔62は、貫通孔を有する。よって電解液は、この貫通孔を通過して、負極集電箔62の一方の面に設けられた負極活物質層64から、他方の面に設けられた負極活物質層64に移動することが可能である。貫通孔の孔径、数、配置等については、公知のリチウムイオンキャパシタに用いられる負極集電箔と同様であってよい。
本実施形態においては、正極集電箔52と同様に、負極集電箔62の貫通孔に、セラミック粒子が充填されている。貫通孔56の体積に対するセラミック粒子58の体積の割合は、0.39以上0.65以下であり、好ましくは0.44以上0.65以下である。
なお、本実施形態では、正極50および負極60の両方において、貫通孔にセラミック粒子が特定の体積割合で充填されているが、ここに開示されるリチウムイオンキャパシタにおいては、正極および負極の少なくとも一方のみが、貫通孔にセラミック粒子が特定の体積割合で充填されている構成であってもよい。好ましくは、少なくとも正極が、貫通孔にセラミック粒子が特定の体積割合で充填されている構成を有する。
負極活物質層64は、負極活物質を含有する。
負極活物質には、リチウムイオンキャパシタ用負極に用いられる公知の負極活物質を用いてよい。負極活物質の例としては、黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等のリチウムを吸蔵および放出可能な炭素材料が挙げられる。また、負極活物質として、リチウムチタン酸化物、ケイ素酸化物等を用いることもできる。
負極活物質層64中の負極活物質の含有量は、特に限定はないが、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上99質量%以下である。
負極活物質層64は、導電材、バインダ、増粘剤等の負極活物質以外の成分を含有していてもよい。
導電材の例としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラックなどが挙げられる。
バインダの例としては、スチレンブタジエンラバー(SBR)等が挙げられる。
増粘剤の例としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)等が挙げられる。
負極活物質層64中の導電材の含有量は、特に限定はないが、好ましくは0.5質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上8質量%以下である。
負極活物質層64中のバインダの含有量は、特に限定はないが、好ましくは0.1質量%以上8質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以上3質量%以下である。
負極活物質層64中の増粘剤の含有量は、特に限定はないが、好ましくは0.3質量%以上3質量%以下であり、より好ましくは0.4質量%以上2質量%以下である。
セパレータ70としては、リチウムイオンキャパシタに用いられている公知のセパレータを用いてよい。
セパレータ70として例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂から成る多孔性シートなどを用いることができる。かかる多孔性シートは、単層構造であってもよく、二層以上の積層構造(例えば、PE層の両面にPP層が積層された三層構造)であってもよい。セパレータ70の厚みは特に限定されず、例えば、10μm~100μmである。セパレータ70の平均孔径は特に限定されず、例えば、0.01μm~5μmである。
電解液としては、リチウムイオンキャパシタに用いられている公知のものを用いてよい。電解液は典型的に、電解質塩と、非水溶媒とを含有する。電解液は、必要に応じて添加剤等を含んでいてもよい。
電解質塩としては、リチウム塩が好適であり、その具体例としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、Li(CSO、LiN(CFSO等が挙げられる。なかでも、イオン伝導性が高く、低抵抗であることから、電解質塩は、電解質塩の全質量に対し、LiPFを80質量%以上100質量%以下含むことが好ましく、LiPFであることがより好ましい(すなわち、LiPF100質量%)。
非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、メチルブチルカーボネート(MBC)等の鎖状カーボネートなどが挙げられる。また、非水溶媒として、γ-ブチロラクトン等の環状エステル、スルホラン等の環状スルホン、ジオキソラン等の環状エーテル、プロピオン酸エチル等の鎖状カルボン酸エステル、ジメトキシエタン等の鎖状エーテルなどを用いることもできる。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、粘度が低く、解離度が高く、イオン伝導度が高い電解液が得られることから、環状カーボネートおよび鎖状カーボネートを含む混合溶媒を用いることが好ましい。
電解液におけるリチウム塩の濃度は、0.1mol/L以上であることが好ましく、0.5mol/L以上1.5mol/L以下であることがより好ましい。
リチウムイオンキャパシタ100の製造方法には特に制限はない。好適な製造方法は、電極を作製する工程と、当該作製した電極と、セパレータを用いて電極体を作製する工程と、電解液と、当該作製した当該電極体とを用いて、リチウムイオンキャパシタを作製する工程と、を包含する。当該製造方法において、当該集電箔は貫通孔を有する。正極集電箔と負極集電箔の少なくとも一方において、当該貫通孔には、セラミック粒子が充填されており、当該貫通孔の体積に対する当該セラミック粒子の体積の割合は、0.39以上0.65以下である。当該電極を作製する工程において、活物質を含有する電極ペーストを、当該集電箔に塗布する工程、当該塗布した電極ペーストを乾燥して活物質層を形成する工程を行う。少なくとも当該集電箔の貫通孔にセラミック粒子が充填されている電極については、形成した活物質層にプレス処理を行う工程をさらに行う。
このような方法は、貫通孔にセラミック粒子が特定の体積割合で充填されている集電箔を用いる以外の点は、公知方法に従って行うことができる。
以上、例として扁平形状の電極体20を備える角型のリチウムイオンキャパシタ100について説明した。しかしながら、本実施形態に係るリチウムイオンキャパシタの構成は上記に限られない。例えば、本実施形態に係るリチウムイオンキャパシタは、円筒型リチウムイオンキャパシタ、ラミネート型リチウムイオンキャパシタ等として構成することができる。
以上のようにして構成されるリチウムイオンキャパシタ100によれば、電極をプレス処理した際に破断することなく活物質層の密度を向上させることができ、かつリチウムイオンのプレドープを均一に行うことができる。
リチウムイオンキャパシタ100は、蓄電デバイスが利用されている各種用途に適用することができる。好適な用途としては、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両に搭載される駆動用電源が挙げられる。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<実施例1>
正極活物質としての活性炭と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデンと、導電材としてのカーボンブラックとを、所定の質量割合でN-メチルピロリドン中で混合して、負極ペーストを得た。
また、貫通孔(穴径100μm)を有する厚さ20μmのアルミニウム箔を用意した。この貫通孔にアルミナ粒子を、貫通孔の全体積に対する体積割合が0.39となるように充填し、正極集電箔を準備した。
得られた正極合材ペーストを、上記の正極集電箔の両面に塗布し、乾燥することにより正極活物質層を形成した。なお、目付量は、両面の合計で10mg/cmとした。続いて、正極活物質層をプレスすることにより、正極を作製した。
負極活物質としての天然黒鉛と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロースと、バインダとしてのスチレンブタジエンラバーとを、所定の質量割合で水中で混合して、負極ペーストを得た。
得られた負極ペーストを、貫通孔を有する銅箔の両面に塗布し、乾燥することにより負極活物質層を形成した。なお、目付量は、両面の合計で12mg/cmとした。続いて、負極活物質層をプレスすることにより、負極を作製した。この負極の負極活物質層の密度は、1.5g/cmであった。
また、セパレータとして厚さ20μmのポリオレフィン多孔質フィルムを準備した。
正極10枚および負極11枚とセパレータを積層した電極体を作製した。この電極体の一方の主面上にセパレータを介して金属Li塗布箔を積層した。
これを電解液と共にケースに収容した。なお、電解液には、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを1:1:1の体積比で含む混合溶媒に、LiPFを1.0mol/Lの濃度で溶解させたものを用いた。
以上のようにして、実施例1のリチウムイオンキャパシタを得た。
<実施例2~5および比較例1、2>
正極集電箔として、貫通孔に表1に記載のセラミック粒子を、貫通孔の体積に対する体積割合が表1に記載の値となるように充填し、正極集電箔を準備した。
この正極集電箔を用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオンキャパシタを作製した。
<比較例3>
実施例1で用いた貫通孔を有するアルミニウム箔を、正極集電箔としてそのまま用いた(すなわち、貫通孔にセラミック粒子を充填しなかった)以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオンキャパシタを作製した。
<正極密度の差>
各実施例および各比較例のリチウムイオンキャパシタの製造において、プレス処理して作製した正極の正極活物質層の密度を求めた。そして、比較例3における正極活物質層の密度を基準とし、各実施例および比較例1,2における正極の正極活物質層の密度と、比較例3における正極活物質層の密度との差(すなわち、各実施例および比較例1,2における正極の正極活物質層の密度から比較例3における正極活物質層の密度を引いた値)を求めた。結果を表1に示す。
<プレス時の破断>
各実施例および各比較例のリチウムイオンキャパシタの製造において、正極をプレス処理して作製する際の、正極集電箔の破断の有無を調べた。結果を表1に示す。
<プレドープの均一性>
各実施例および各比較例のリチウムイオンキャパシタを作製後、24時間放置することによりプレドープを行った。リチウムイオンキャパシタを解体し、電極体において金属Li塗布箔が置かれた側の負極と、金属Li塗布箔が置かれなかった側の負極とを取り出した。この2つの負極について、リチウムイオンのプレドープ量を測定し、比較を行った。2つの負極間でプレドープ量の違いが5%未満のものを合格、プレドープ量の違いが5%以上のものを不合格とした。結果を表1に示す。なお、表1において合格を「○」、不合格を「×」で示した。
Figure 0007085142000001
表1が示すように、集電箔の貫通孔にセラミック粒子を0.39以上0.65以下の体積割合で充填した実施例1~5では、正極密度が基準よりも高くなり、プレス時の破断も見られず、プレドープも均一に行うことができた。
一方、セラミック粒子の貫通孔に対する体積割合が0.39未満となる比較例1では、比較例3に対して、プレス時の破断を抑制することはできたが、正極密度を高めることができなかった。これはセラミック粒子による集電箔の強度向上効果が不十分にしか得られなかったためと考えられる。
ラミック粒子の貫通孔に対する体積割合が0.65を超える比較例2では、プレドープを均一に行うことができなかった。これは、セラミック粒子の体積割合が高くなったことにより、リチウムイオンの貫通孔の透過が大きく阻害されたためと考えられる。
以上のことから、ここに開示されるリチウムイオンキャパシタによれば、電極をプレス処理した際に破断することなく活物質層の密度を向上させることができ、かつリチウムイオンのプレドープを均一に行うことが可能であることがわかる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
20 電極体
30 電池ケース
36 安全弁
42 正極端子
42a 正極集電板
44 負極端子
44a 負極集電板
50 正極
52 正極集電箔
52a 正極活物質層非形成部分
54 正極活物質層
56 貫通孔
58 セラミック粒子
60 負極
62 負極集電箔
62a 負極活物質層非形成部分
64 負極活物質層
70 セパレータ
100 リチウムイオンキャパシタ

Claims (1)

  1. 集電箔と、活物質層とを備える電極、および
    電解液
    を含む、リチウムイオンキャパシタであって、
    前記集電箔は、貫通孔を有し、
    前記貫通孔には、セラミック粒子が充填されており、
    前記貫通孔の体積に対する前記セラミック粒子の体積の割合は、0.39以上0.65以下である、
    リチウムイオンキャパシタ。
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