JP5384900B2 - クレーン装置 - Google Patents
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Description
また、多くの場合、ディーゼルエンジンにはターボチャージャが搭載されていることから、エンジン回転速度の増加から過給圧の上昇までに、いわゆるターボラグといわれる遅れが生じる。このため、燃料投入量が急増してもエンジン回転速度の上昇に遅れが生じ、上記のようなスムーズな燃焼を妨げる要因ともなる。
[第1の実施の形態の構成]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるクレーン装置について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかるクレーン装置の構成を示す機能ブロック図である。
このクレーン装置は、エンジン駆動で発電した駆動電力を共通母線へ供給することにより、共通母線に接続された電動機を駆動して荷物の積み降ろしを含む各種クレーン動作を行う装置であり、主な構成として、エンジン発電装置1、整流器21、電圧昇圧装置22、主巻電動機30、走行電動機31,32、横行電動機33、インバータ(INV)41〜44、補機設備5、蓄電装置6、コントローラ7、および共通母線9が設けられている。
エンジン発電装置1は、ディーゼルエンジン(DE)11と発電機(G)12を有し、ディーゼルエンジン11で発電機12を駆動することにより交流の発電電力PGを発電する装置であり、コントローラ7からの運転指示10に基づいて、ディーゼルエンジン11のエンジン回転速度Nを制御する機能を有している。
電圧昇圧装置22は、例えば交流昇圧チョッパからなり、発電電力PGの発電電圧VGを昇圧して得られた直流の補助電力PSを共通母線9へ供給する機能を有している。
共通母線9には、これら整流電力PDと補助電力PSとが合成され、直流の駆動電力PMとして供給される。
インバータ41は、共通母線9上の駆動電力PMを交流電力に変換して主巻電動機30および走行電動機31へ供給するDC/AC変換器である。
インバータ42は、共通母線9上の駆動電力PMを交流電力に変換して主巻電動機30および走行電動機32へ供給するDC/AC変換器である。
インバータ43は、共通母線9上の駆動電力PMを交流電力に変換して横行電動機33へ供給するDC/AC変換器である。これらインバータ43や横行電動機33は、クレーン頂部のトロリー構造に応じて複数設けられている。
補機設備5は、クレーン装置に搭載されている、照明装置、空調装置、あるいはコントローラ7などの制御装置を含む、各種の補助的装置である。
したがって、電力供給状況確認機能により、例えばエンジン発電装置1から共通母線9までの電力配線上に設けた検出器からの検出値に基づいて共通母線9の駆動電圧VMを検出し、予めメモリに保存しておいた下限しきい値や上限しきい値を読み出して比較し、その比較結果に応じてエンジン回転速度Nを制御することにより、電力供給状況の過不足を制御できる。
次に、図2および図3を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるクレーン装置の動作について詳細に説明する。図2は、エンジン発電装置のエンジン回転速度と発電電圧との関係を示す動作特性である。図3は、エンジン発電装置のエンジン回転速度と補助電圧との関係を示す動作特性である。
したがって、クレーン装置の動作状況に応じてエンジン回転速度Nを大幅に低下させることができ、結果として、エンジン発電装置1の燃費を効果的に削減でき、環境への影響も削減することが可能となる。
したがって、コントローラ7からの運転指示10に応じてエンジン回転速度Nが上昇する際、低回転領域では発電電圧VGが低いため、整流器21からの整流電圧VDも低く、クレーン動作に必要となる十分な駆動電圧VMを得ることができない。
このため、ディーゼルエンジン11のエンジン回転速度が動作回転速度Nbより低く、例えば図2に示すように、エンジン回転速度Nがアイドリング回転速度Naで発電電圧VGaであり、クレーン動作に必要な動作回転速度Nbに達していない場合でも、補助電圧VSは、定格補助電圧VSaに維持される。したがって、定格補助電圧VSaとしてクレーン動作に必要となる電圧を設定しておくことにより、クレーン動作の開始時における駆動電力PMの電圧不足を補うことが可能となる。
したがって、ディーゼルエンジン11のエンジン回転速度Nが動作回転速度Nbに達しておらず、クレーン動作に十分な駆動電力PMが供給されていない場合、蓄電装置6から共通母線9に対して蓄電電力PBが供給される。このため、クレーン動作の開始時における駆動電力PMの電力不足を補うことが可能となる。
これにより、クレーン動作が開始された後、蓄電装置6からの蓄電電力PBの供給量が制限量PBxに達した時点で、その蓄電電力PBの供給量が制限量PBx以下に制限されるため、これ以降、エンジン発電装置1に対してある程度の負荷が加わることになる。
次に、図4を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるクレーン装置の動作例について説明する。図4は、本発明の第1の実施の形態にかかるクレーン装置の動作例を示すタイミングチャートである。ここでは、荷物の巻き上げ動作の開始に応じてエンジン発電装置1のエンジン回転速度Nが増加した後、当該クレーン動作に応じた動作回転速度Nbで運転が維持される場合を例として説明する。
時刻T3以降、巻上げ速度は最大巻き上げ速度に維持されるため、主巻電動機30の増速に関与する電力分が不要となって定速負荷電力PLcまで低下し、その後、荷物の巻き上げ動作が停止するまで定速負荷電力PLcとなる。
蓄電装置6は、主巻電動機30の回転開始に応じて共通母線9の駆動電圧VMが低下するため、これに応じて共通母線9に対する蓄電電力PBの供給を開始する。
これにより、時刻T1以降において、負荷電力PLのさらなる増大に応じて発生する負荷が、エンジン発電装置1への負荷となり、電圧昇圧装置22の補助電力PSの増加分が大きくなる。
したがって、時刻T3以降は、エンジン回転速度Nのさらなる増速が行われないことから、主巻電動機30の増速に関与する電力分だけ不要となって定速負荷電力PLcまで低下し、これ以降、巻き上げ動作が停止するまで定速負荷電力PLcとなる。
このように、本実施の形態では、蓄電装置6において、共通母線9上の余剰電力を蓄電電力PBとして蓄電し、駆動電力PMの不足時には、予め設定されている制限量PBx以下の放電量で、当該蓄電電力PBを共通母線9へ供給するようにしたので、ディーゼルエンジン11が増速運転から定速運転へ移行して、蓄電電力PBの供給が停止された場合でも、ディーゼルエンジン11への負荷の急増が緩和される。これにより、ディーゼルエンジン11での負荷変動が抑制されるため、ディーゼルエンジン11から排出される黒煙量の一時的増加を抑制することが可能となる。
これにより、蓄電装置6に必要な蓄電容量を、時刻T1から時刻T3までの期間に供給すべき蓄電容量に削減することができ、蓄電装置6の小型化やコスト削減に繋がる。
次に、本発明の第2の実施の形態にかかるクレーン装置について説明する。
エンジン発電装置1のディーゼルエンジン11として、過給機(ターボチャージャー)が搭載されたものを用いる場合がある。
このようなディーゼルエンジン11では、時刻T1からの蓄電電力PBの制限により、時刻T3において、ある程度の負荷に耐えられるエンジン回転速度が得られているため、燃料供給量や吸気量が削減されて、過給機が有効に働いていない状態となる場合がある。
このように、本実施の形態では、第1の実施の形態において、ディーゼルエンジン11が増速運転から定速運転へ移行した時刻T3以降、蓄電電力PBの供給を徐々に低減するようにしたので、例えば、エンジン発電装置1のディーゼルエンジン11に過給機が搭載されている場合でも、時刻T3におけるターボラグの発生を回避して、ディーゼルエンジン11から排出される黒煙量の一時的増加を抑制することが可能となる。
以上の各実施の形態では、エンジン発電装置1から交流の発電電力PGを供給する場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、エンジン発電装置1から直流の駆動電力を供給する場合でも前述と同様に各実施の形態を適用でき、同様の作用効果を得ることができる。この際、発電機12として直流発電機を用いるとともに、電圧昇圧装置22として直流昇圧チョッパを用いればよい。
また、蓄電装置6の蓄電電力PBに対する制限量PBxが、クレー動作の内容に応じてあまり変化しない場合、蓄電装置6自体で制限量PBx予め設定するようにしてもよい。これにより、コントローラ7からの制限量設定指示は不要となる。
Claims (4)
- エンジンで発電機を駆動して得られた発電電力を駆動電力として共通母線へ供給するエンジン発電装置と、
前記共通母線を介して前記エンジン発電装置から供給された前記駆動電力により駆動されて、荷物の積み降ろしを含む各種クレーン動作を行うための複数の電動機と、
操作入力されたクレーン動作に対応する動作回転速度で前記エンジンを運転制御するコントローラと、
前記共通母線上の余剰電力を蓄電電力として蓄電し、前記駆動電力の不足時には、当該蓄電電力を前記共通母線へ供給する蓄電装置と
を備え、
前記コントローラは、前記エンジンの回転速度が前記動作回転速度に達する到達時点までの増速運転時において、当該クレーン動作に対して予め設定されている制限量以下の放電量で放電するよう前記蓄電装置へ指示することにより、前記到達時点よりも手前の増速運転中から前もって前記エンジン発電装置による前記駆動電力の供給を開始させる
ことを特徴とするクレーン装置。 - 請求項1に記載のクレーン装置において、
交流からなる前記発電電力を直流に整流して得られた直流電力を前記共通母線へ供給する整流器と、
前記整流器に対して並列に接続されて、前記発電電力の発電電圧を昇圧して得られた直流の補助電力を前記共通母線へ供給する電圧昇圧装置とをさらに備え、
前記電圧昇圧装置は、前記増速運転時において、前記駆動電力のうち直流電力と前記蓄電電力で不足する電力分を前記補助電力として供給する
ことを特徴とするクレーン装置。 - 請求項1または請求項2に記載のクレーン装置において、
前記蓄電装置は、前記エンジンが前記動作回転速度に達した時点で、前記共通母線に対する前記蓄電電力の供給を停止することを特徴とするクレーン装置。 - 請求項1または請求項2に記載のクレーン装置において、
前記蓄電装置は、前記エンジンが前記動作回転速度に達した時点以降、前記共通母線に対する前記蓄電電力の供給を徐々に削減することを特徴とするクレーン装置。
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