JP5384352B2 - オーステナイト系鋳鉄とその製造方法およびオーステナイト系鋳鉄鋳物および排気系部品 - Google Patents
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Description
このため、高温雰囲気等の過酷な環境下で使用される部材にオーステナイト系鋳鉄が多用される。例えば、自動車分野でいえば、ターボチャージャーハウジング、エキゾーストマニホルド、触媒ケースなどである。いずれの部材も、高温の排気ガスに曝され、長期耐久性が要求される部品等である。
また、オーステナイト組織の他に層状炭化物等が存在する不安定な組織構造であると、切削加工時に非常に硬い加工誘起マルテンサイトが現れ、加工性が悪くなるとういう欠点も有している。
(1)すなわち、本発明のオーステナイト系鋳鉄は、
炭素(C)、ケイ素(Si)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)および銅(Cu)からなる基本元素と、
残部が鉄(Fe)と不可避不純物および/または特性改善に有効な微量の微量改質元素とからなり、
常温域でオーステナイト相を主相とするFe合金からなる基地で組織された鋳鉄であるオーステナイト系鋳鉄であって、
前記基本元素は、前記鋳鉄全体を100質量%(以下単に「%」と表示する。)としたとき、下記の条件を満足する組成範囲内にあることを特徴とするオーステナイト系鋳鉄。
C :1〜5 %
Si :2〜6 %
Ni :7〜15 %
Mn :0.1〜8 %
Cu :2.5 %以下
Cr :6 %以下
Cr+Cu:0.5 %以上
ここでCrは、オーステナイト系鋳鉄の表面付近に緻密なクロム酸化物からなる不働態皮膜を形成して、その耐酸化性を向上させたと考えられる。また、Crは、鋳鉄基地中で炭素と結合して炭化物を析出させ、基地の析出強化により鋳鉄の高温耐力を向上させ得る。もっとも、Crが過多になると炭化物が増加して、シャルピー衝撃値等により指標される靱性や加工性が低下して好ましくない。そこで、本発明のオーステナイト系鋳鉄は、Cr量が0.5〜4%であると好ましい。
さらにCrが含有されていると、ギブスの自由エネルギー表からも解るように、組織が安定して層状・針状炭化物が出現し難いという効果がある。
また、CuはNiと同様に基地に固溶してオーステナイト組織を安定化させる他、基地組織の結晶粒を微細化して高温耐力の向上させるのに有効な元素である。さらに、本発明者が鋭意研究した結果、Cuは硬さを減少させる効果もあることが解り、Cuを含有させることでオーステナイト系鋳物の加工性の向上を図れる。
もっとも、Cuが過多になるとCuの包晶組織が出現して黒鉛球状化が妨げられ、鋳鉄の強度等が低下したり、Cuの包晶組織が出現して高温時の伸び性能が悪化する。従って、高温時の延性が悪化しない範囲でCuを含有すると好ましい。そこでCuの上限を例えば2.5%にするとよい。
本発明では、耐酸化性を向上させることを一つの目的としており、耐酸化性を向上させるCuとCrを足して0.5%以上入れることが好ましい。このCu+Crの下限は、1%、1.5%さらには2%であると好ましい。
そして、本発明のように、強度、耐熱性(耐酸化性を含む)、伸び、延性、靱性、加工性等をバランスよく備えたオーステナイト系鋳鉄を低コストで得る上で、Ni量を8〜14%とすると好適である。
(1)本発明は、上述したオーステナイト系鋳鉄としてのみならず、そのオーステナイト系鋳鉄からなるオーステナイト系鋳物としても把握できる。本発明のオーステナイト系鋳物の一例として、排気系部品などの高温環境下に曝される部材が挙げられる。
すなわち、本発明は、前述した組成範囲の溶湯を調製する溶湯調製工程と、該溶湯を鋳型に注湯する注湯工程と、該鋳型に注湯された溶湯を冷却して凝固させる凝固工程とからなり、上述した本発明のオーステナイト系鋳鉄からなる鋳物が得られることを特徴とするオーステナイト系鋳物の製造方法であっても良い。
本発明のオーステナイト系鋳鉄(オーステナイト系鋳物を含む)またはその製造方法は、下記に示すような内容であってもよい。また、下記に列挙した構成中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成を上記の本発明にさらに付加されてもよい。
なお、下記から選択された構成は、複数の発明に重畳的かつ任意的に付加可能であることを断っておく。また、下記に示したいずれの構成もカテゴリーを越えて相互に適宜組合わせ可能である。例えば、オーステナイト系鋳鉄の組成に関する構成であれば、オーステナイト系鋳物にも、その製造方法にも関連することはいうまでもない。また、一見、「方法」に関する構成のように見えても、プロダクトバイプロセスとして理解すれば、「物」に関する構成ともなり得る。
常温域でオーステナイト相を主相とするFe合金からなる基地で組織された鋳鉄であるオーステナイト系鋳鉄であって、
前記基本元素は、
前記鋳鉄全体を100質量%(以下単に「%」と表示する。)としたとき、
CおよびSiの各含有量により与えられる下式の炭素当量(以下単に「Ceq」と表示する。)が下式の第1条件を満足すると共にNiの含有量が下式の第2条件を満足し、Cuの含有量が下式の第3条件を満足し、
さらに、前記基地全体を100%としたときに、
Ni、MnおよびCuの各含有量とFe中に固溶したCである固溶炭素量(Cs)とにより与えられる下式のニッケル当量(以下単に「Nieq」と表示する。)と、CrおよびSiの各含有量により与えられる下式のクロム当量(以下単に「Creq」と表示する。)とが下式の第4条件および第5条件を満足する、組成範囲内にあることを特徴とする。
第1条件 : 2 ≦ Ceq ≦ 5
第2条件 : 7 ≦ Ni ≦ 15 (%)
第3条件 : 0 ≦ Cu ≦ 2.5 (%)
第4条件 :A1・Creq+B1 ≦ Nieq ≦ 30
(A1 = −0.8:B1=21.6)
第5条件 : Creq ≦ 13.5
炭素当量 :Ceq =C+Si/3
ニッケル当量:Nieq=Ni+30・Cs+0.5・Mn+Cu
クロム当量 :Creq=Cr+1.5Si
しかし、本発明では、その少量のNi量を前提としつつも、それ以外の合金元素であるC(特にCs)、Si、Cr、MnおよびCuの各含有量を上記の各条件を満足する適切な範囲とすることで、オーステナイト相を得ることに成功した。以下、本発明を規定する各条件について説明する。
次に、本発明は、Niを低減したオーステナイト系鋳鉄であるから、Ni量を第2条件のように規定した。鋳鉄全体の組成として、第1条件を前提に第2条件を考えるだけでも、本発明のオーステナイト系鋳鉄は、従来の多くのオーステナイト系鋳鉄と区別され得る。
なお、本発明のオーステナイト系鋳鉄が、その組織および組成からオーステナイト鋳鉄のその他の優れた特性を示すことは勿論である。
例えば、Ceqの下限を2.1%さらには2.5%、その上限を4.5%さらには4.3%等としても良い。また、Cの下限を2.1%さらには2.5%、その上限を4.5%さらには4.3%、Siの下限を2%さらには3%、その上限を6%、5%さらには4.5%等としても良い。
Cuの下限を0%、0.1%、0.2%、0.3%、0.5%、0.7%、1%、その上限を2%、1.7%、1.5%、1.3%等としても良い。なお、本願明細書でCuの下限を0%というときは、0%≦Cuのみならず0%<Cuをも意味する。
Mnの下限を3%、4%、5%、その上限を15%、10%、9%、8%、7%としても良い。これら各元素の作用および組成の詳細は後述する。
前記基本元素は、前記鋳鉄全体を100%(以下単に「%」と表示する。)とした
とき、CおよびSiの各含有量により与えられる下式の炭素当量(以下単に「Ceq」と表示する。)並びに、Ni、Cu、Siが下記に示す組成範囲内にあることを特徴とするオーステナイト系鋳鉄としても規定される。
2 ≦ Ceq ≦ 5 (%)
7 ≦ Ni ≦ 15 (%)
0 ≦ Cu ≦ 2.5 (%)
3 ≦ Si ≦ 6 (%)
前記基本元素は、前記鋳鉄全体を100%(以下単に「%」と表示する。)としたとき、CおよびSiの各含有量により与えられる下式の炭素当量(以下単に「Ceq」と表示す
る。)並びに、Ni、Cu、Crが下記に示す組成範囲内にあることを特徴とするオーステナイト系鋳鉄としても規定される。
2 ≦ Ceq ≦ 5 (%)
7 ≦ Ni ≦ 15 (%)
0 ≦ Cu ≦ 2.5 (%)
0.5 ≦ Cr ≦ 9 (%)
敢えていうなら、基地全体を100体積%としたときに、オーステナイト単相が50体積%超、60体積%以上、70体積%以上、80体積%以上、90体積%以上さらには95体積%以上であればよい。
基地組織がオーステナイト相であるか否かは、前述した第4条件によって実質的に規定される。すなわち、前記第4条件中でNieqの下限を区画する境界線の切片を21.6とすることで、得られる金属組織をオーステナイト単相へと絞り込むことができる。なお、本発明で示した境界線の切片を示すBxのインデックスは便宜上のものであることを断っておく。
もっとも、Ni以外の元素も、Fe中の固溶量には限度がある。また、それらの元素が多くなると、Ni量の低減を図れてもコストが上昇するし、所望の鋳鉄組織も得難くなって好ましくない。そこで本発明ではNieqの上限を30%としたが、Nieqの上下限は、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%さらには20%のいずれかであると好ましい。
これと同様のことはCreqについても該当するので、本発明では、Creqの上限を疲労強度低下の原因と考えられる炭化物生成状況を考慮して、13.5%とした。もっともCreqの上下限は、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%または4%のいずれかであると好ましい。
特に、Creqが5〜8%でNieqが18%以上であるか、Creqが7〜9%でNieqが13%以上である場合、層状炭化物(針状炭化物含む)の析出がないか、または抑制されるので好ましい。
「不可避不純物」には、原料中に含まれる不純物、鋳造時に混入等する不純物等があり、コスト的または技術的な理由等により除去することが困難な元素である。例えば、このような不可避不純物としてリン(P)等がある。
さらに、本発明で用いる成分組成には、鋳鉄全体としての成分組成と、それを構成する一部である基地全体としての成分組成とがある。もっとも、基地全体としての成分組成は、基本的に基地組織に影響するNieqおよびCreqに関する部分である。従って、特に断らない限り、NieqおよびCreqに関する部分以外について、本明細書中で規定する組成は鋳鉄全体としての成分組成を意味する。
図2は、組成の異なる種々の鋳鉄について示したCreq−Nieq相関図である。
図3は、板厚のみ異なる鋳鉄(試験片No.2−2)のXRD図である。
図4Aは、鋳物試料(試験片No.3−1)の表面および内部の各位置における金属組織を示す顕微鏡写真である。
図4Bは、鋳物試料(試験片No.3−2)の表面および内部の各位置における金属組織を示す顕微鏡写真である。
図5は、ベース材(JIS FCDANiMn137)およびそれにCuを添加したCu添加材からなるそれぞれの鋳鉄について、金属組織を示す顕微鏡写真とシェフラーの組織図上の位置を併せて示した図である。
図6は、鋳物試料(試験片No.6−1〜6−12)の金属組織を示す顕微鏡写真である。
図7は、第4試験におけるCu添加量と伸びの関係を示したグラフである。
図8は、第4試験におけるCr添加量と耐力の関係を示したグラフである。
図9は、成分組成の異なる鋳鉄のXRD図である。
図10は、各種鋳鉄の温度と線膨張係数との相関図であり、同図(a)の相関図は試験片No.6−5に、同図(b)の相関図は試験片No.4−3に、同図(c)の相関図は試験片No.R3に、同図(d)の相関図は試験片No.R4に、同図(e)の相関図は試験片No.R6にそれぞれ対応する。
図11は、各種試験片の酸化減量を示す棒グラフである。
図12は、各種試験片に関する酸化減量と含有元素量の相関を示す図であり、同図(a)はCrの含有量に関するものであり、同図(b)はNiの含有量に関するものである。
図13は、各種試験片に関する酸化減量と含有元素量の相関を示す図であり、同図(a)はMnの含有量に関するものであり、同図(b)はCuの含有量に関するものである。
図14は、各種試験片のシャルピー衝撃値を示す棒グラフである。
図15は、各種試験片に関するシャルピー衝撃値とCr含有量の相関を示す図である。
図16は、各種試験片の800℃における0.2%耐力と破断伸びを示す棒グラフおよび分散図である。
図17は、各種試験片に関する破断伸びと含有元素量の相関を示す図であり、同図(a)はCrの含有量に関するものであり、同図(b)はCuの含有量に関するものである。
図18は、各種試験片の硬さを示す棒グラフである。
図19は、各種試験片の湯廻り性の評価指標となる湯廻り欠陥部を示す写真である。
図20は、各種試験片の湯廻り性を相対評価した棒グラフであり、試験片No.7−1を「1」として示したものである。
図21は、各種試験片の熱疲労寿命を示す棒グラフである。
図22は、各種試験片の熱疲労寿命を示す棒グラフである。
図23は、各種元素を1%添加したときの硬さの上昇値と試験片の板厚の相関を示すグラフである。
図24は、各種試験片の引け量の定量化方法を説明する写真である。
図25は、各種試験片の引け量を相対評価した棒グラフであり、試験片No.R3を「1」として示したものである。
図26は、各種試験片の平均線膨張係数と加熱温度幅との相関を示すグラフである。
図27は、各種試験片の平均線膨張係数を示す棒グラフである。
図28は、各種試験片の熱伝導率を示す棒グラフである。
図29は、各種試験片の各加熱温度における酸化減量を示す棒グラフである。
図30は、各種試験片の各温度における耐力を示す棒グラフである。
図31は、各種試験片の各温度における引張強度を示す棒グラフである。
図32は、各種試験片の各温度における破断伸び示す棒グラフである。
図33は、各種試験片の各条件下における熱疲労寿命を示す棒グラフである。
(1)基本元素
本発明のオーステナイト系鋳鉄は、基本元素と残部であるFeとからなり、基本元素はC、Si、Cr、Ni、MnおよびCuの6種の元素よりなる。もっとも、オーステナイト系鋳鉄が実質的にCuを含まない場合は、C、Si、Cr、NiおよびMnの5元素が基本元素となる。以下、これらの各元素の作用または機能と、好適な組成について説明する。
(a)Cは、Feの溶融温度を下げ、溶湯(元湯を含む)の流動性を高める。このため、鉄系鋳造には不可欠な元素である。鋳鉄は、Fe−C系合金中のCがγ鉄中の最大固溶限を超えて共晶凝固を伴うものであるから、Cの下限は基本的に1.7%、1.8%、1.9%、2%、2.1%、その上限は5%さらには4.3%であり、固溶限を超えるCが黒鉛として晶出する。
Cが過少では溶湯の流動性が低下して好ましい鋳造性が得られない。Cが過多では基地組織が減少し、オーステナイト系鋳鉄の機械的特性等が低下する。また、鋳造時に引け巣等の鋳造欠陥が発生し易くなる。そこで、Cの下限は2%、2.5%、その上限は5%、3.5%であるとより好ましい。
しかし、このCsは微量であり、正確な分析が困難である。また、Csはほぼ一定範囲にあることが経験上解っている。そこでNieqを算出する際に、Cs=0.03%と仮定して求めても、Nieqに生じる誤差は実質的に無視できる程度に小さいのが現実である。そこで、本発明では特に断らない限り、Cs=0.03%と仮定してNieqを求めることとした。
なお、0.03%は、Fe−C二元系状態図におけるα(フェライト)相のC固溶限である。γ(オーステナイト)相の固溶量は状態図から見てこれ以上の固溶量と推定されるため、固溶量の最小値としてCsの値を0.03%と仮定した。
Siが過少であると、このような効果が十分には得られず、Siが過多であると、伸びの低下や被削性の悪化を招き好ましくない。そこで、Siの下限は2%、3%さらには3.5%であると好ましく、Siの上限は6%、5.5%、5%さらには4.5%であると好ましい。
(d)ところで、SiはFe−C系共晶炭素量を低濃度側にずらす作用があり、C量にSi量を加味した炭素当量(Ceq=C+Si/3)が指標として用いられる。そこで、Ceqの下限を2.1%、2.5%さらには3%とし、その上限を5%またはFe−C系状態図の共晶点である4.3%さらには3.5%とするとより好ましい。
Crは、鋳鉄基地中で炭素と結合して炭化物を析出させ、基地の析出強化により鋳鉄の高温耐力を向上させる。また、鋳鉄の表面付近に緻密なクロム酸化物からなる不働態皮膜を形成して耐酸化性を向上させ得る。
また、Crが過多になると炭化物が増加して靱性や加工性が低下して好ましくない。そこで、Crの下限は0.1%、0.3%、0.5%、0.7%、1%、1.2%さらには1.5%であると好ましく、Crの上限は6%、5%、4%、3%、2.5%さらには2%であると好ましい。
Niは、基地組織のオーステナイト化に有効な元素である。Niが過少であると安定したオーステナイト相を得ることが難しい。一方、Niが過多になると本発明の目的であるNi量の低減によるオーステナイト系鋳鉄の低廉化を図れない。
そこでNiの下限は12%、11%、10%、9%、8%さらには7%であると好ましい。また、Niの上限は15%、14%、13%、12%、11%、10%さらには9%であると好ましい。
(a)CuおよびMnは、Niと共に基地組織のオーステナイト化に有効な元素である。
ここで、本発明のNieqの算出式から、0.5Mn+Cu=Nieq−Ni−30Csとなる。
そして本発明のNiは、その上限が高々15%である。また、Csは、Cの総含有量にかかわらず、ほぼ一定範囲内(0〜0.8%)にある。Cs量がこのような範囲となるのは、Fe−C二元系状態図において、γFeのC固溶量が温度低下に伴って最大2.1%から0.8%程度まで低下するためである。
ベース材の場合、その組成からNieq=18.2、Creq=4.1となる。これをシェフラーの組織図上にプロットすると、その位置からベース材はA+Mの準オーステナイト組織であると予想される。このことはベース材の組織写真からも確認された。すなわち、ベース材の基地が、オーステナイト相(γ相)と、鋳造時の冷却過程中にそのγ相から析出したと思われる炭化物層およびα相の2相から形成される層状炭化物とからなることが確認された。
なお、通常のJIS FCD4500等のフェライト系鋳鉄で見られるようなマルテンサイト組織に比べて、ベース材の炭化物層の厚みが大きく、層間隔が広くなっているのは、ベース材がFeと比べてより炭化物を生成しやすい(すなわち、自由エネルギーが低い)Mnを含有するためであると考えられる。
+0.5・Mn)=14.7、Creq(=Cr+1.5Si)=3.5となる。これをそ
のままシェフラーの組織図上にプロットすると、その位置はマルテンサイト領域(M領域
)になる。
しかし、Cu添加材の実際の組織写真中には、ベース材のような層状炭化物は見られなかった。すなわち、Cuを添加したことにより、基地がほぼオーステナイト単相になったと考えられる。これは、Cu添加により層状炭化物が無くなり、γ相が安定したためと推定される。
この結果からすると、Cu添加材の基地は、本来、シェフラーの組織図上でいえば、オーステナイト単相領域(A領域)に位置づけられるべきことになる。従来のシェフラーの組織図上で、Creq=3.5のときに、A領域に入るNieqは22.5以上である。
しかし、Cuが過多になるとCuの包晶組織が出現して黒鉛球状化が妨げられ、鋳鉄の強度等を低下させる。また、Cuが過多になるとCuの包晶組織が出現し、高温時の伸び性能が悪化するので好ましくない。そこで、Cuの下限は0%、0.1%、0.3%、0.5%、0.7%、1%さらには1.2%であると好ましく、Cuの上限は3%、2.5%、2%、1.8%さらには1.8%であると好ましい。なお、前述したように、本発明のオーステナイト系鋳鉄がCuを必須元素とする場合、Cuの下限が0%ということは0%<Cuを意味する。一方、Cuが必須元素でない場合、Cuの下限が0%ということは0%≦Cuを意味する。
Mnが過少ではこれらの効果が十分には得られず、Mnが過多になると、Mn炭化物が増加して、鋳鉄の靱性等の低下や耐熱性の低下を招く。また、ブローホール等のガス欠陥も発生し易くなり好ましくない。そこでMnの下限は0%、0.1%、0.5%、1%、2%、2.5%、3%、4%さらには5%であると好ましく、Mnの上限は9%、8%、7%さらには6%であると好ましい。
(a)オーステナイト系鋳鉄(鋳物)の金属組織、耐酸化性、耐腐食性、常温域または高温域における強度、靱性等の機械的特性、電気的特性等、種々の特性を改善するために、微量な元素を含有させると好ましい。このような改質元素を含むオーステナイト系鋳鉄も、基本元素が上述した範囲内にある限り、当然に本発明の範囲内である。
これら各元素の含有量は、オーステナイト系鋳鉄に要求される特性によって適宜調整される。もっとも、コストや基本元素の組成への影響等の観点から、微量改質元素は含有総量で1%以下、0.8%さらには0.6%以下程度が好ましい。
不可避的不純物として、例えば、リン(P)や硫黄(S)がある。Pは黒鉛の球状化に有害であり、また、結晶粒界に析出して耐酸化性と室温伸びを低下させる。Sも黒鉛球状化に有害である。従って、これらの各不可避不純物は0.02%以下さらには0.01%とするのが好ましい。
(1)本発明は、オーステナイト系鋳物の製造方法であるから、前述したような溶湯調製工程、注湯工程および凝固工程を備える。もっとも、自動車部品等の高い信頼が要求される部材を鋳物で製造する場合、本発明のオーステナイト系鋳鉄が球状黒鉛鋳鉄であることが要求される。そこで、オーステナイト相からなる基地中に、多数の球状黒鉛を微細に晶出させることが望まれ、接種剤や球状化剤等の助剤の配合や添加がされる。
なお、晶出する黒鉛の形状や粒数が所望範囲内である限り、いずれの接種剤や球状化剤をどの程度添加するかは任意である。
(1)本発明のオーステナイト系鋳物は、上述した本発明のオーステナイト系鋳鉄からなる所望形状の部材であるが、その形状や肉厚等を問わないことはいうまでもない。
一般的に、晶出する黒鉛の形態により鋳鉄は種々分類されるが、球状黒鉛鋳鉄であれば、他の鋳鉄と比較して機械的特性等、あらゆる特性に優れるので好ましい。そこで本発明のオーステナイト系鋳物も、球状黒鉛鋳鉄からなると好適である。
〈第1試験〉
(1)試験片の製造方法
C、Si、Cr、Ni、MnおよびCu(基本元素)と残部Feの少なくとも一種以上を含む原料を種々配合、混合し、それを高周波炉で大気溶解して47Kgの溶湯を得た(溶湯調製工程)。この溶湯を予め用意しておいた鋳型(砂型)に注湯した(注湯工程)。このとき、約1550℃で出湯し、約1450℃で注湯した。また、注湯後の溶湯は、自然冷却で(すなわち、鋳放しの状態で)凝固させ、前記形状の試験片(鋳物)を得た(凝固工程)。
なお、各試験片を鋳造する際、接種剤および球状化剤等の助剤の添加も行った。接種材の添加は、大阪特殊合金製カルバロイ(Si−Ca−Al−Ba含有)を元湯に対して0.2質量%添加して行った。球状化剤の添加は、元湯100%に対して、Mg単体4質量%、R.E.(ミッシュメタル)1.8質量%およびSb単体0.005質量%を、元湯に添加して行った。なお、Mg量が多いのは消失等を考慮したためである。
上記製造方法により、配合組成が異なる5種類の試験片(No.1−1〜1−5)を製造した。各試験片の厚さ5mmの部分から採取した試料を以下の分析に供した。
なお、表1A中の「−」は、未配合、未分析若しくは未測定、分析不可若しくは測定不可のいずれかを示す。これは本明細書中の他の表1B〜4Bについても同様である。
なお、図2に示すNieq−Creq相関図に基づいて、得られた鋳鉄がオーステナイト系鋳鉄であるか否か、すなわち、Fe基地のオーステナイト率が何%かを議論するには、厳格にいえば、炭化物や黒鉛を除いたFe基地の組成を分析する必要がある。そこで、試験片No.1−1〜1−5についてはこの考え方に沿ったNieqおよびCreqを算出して表1Aに示した。
そこで、表1Aの参考例R1〜R6とNo.1−1〜1−5以外の試験片については、便宜上、Fe基地の分析組成の代替として鋳鉄全体の分析組成を用いて算出したNieqおよびCreqを参考に示すこととした。
(i)表1Aおよび図1より、Ni量を低減した試験片No.1−1〜1−5のいずれの場合でも、従来のオーステナイト系鋳鉄であるR1やR2と同様に、オーステナイト相(γ相)が現れていることが解る。
特に試験片No.1−1〜1−3の場合、Ni含有量が高々10%前後で、基地組織がほぼオーステナイト単相になることが解った。
(1)試験片の製造方法
C、Si、Cr、Ni、MnおよびCu(基本元素)と残部Feの少なくとも一種以上を含む原料を種々配合、混合し、それを高周波炉で大気溶解して47Kgの元湯を得た(元湯調製工程)。この元湯を予め用意しておいた前述した鋳型(砂型)に注湯した(注湯工程)。本試験では、種々の組成からなる接種剤および球状化剤を、予め鋳型中に投入しておいた(助剤添加工程)。他の工程は、第1試験の場合と同様である。
上記製造方法により、配合組成が異なる13種類の試験片(No.2−1〜2−13)を製造した。各試験片の厚さ12mmの部分から採取した試料を以下の分析に供した。
その黒鉛の粒数は、粒径が10μm以上のものを4.8mm2の領域で数えて求めた。
さらに、鋳物の強度等の指標となる硬度(Hv20kgf)も測定した。これらの結果
を表2Bに併せて示した。
して表2Bに示した。これらのNieqおよびCreqを図2の組織図上に重ねて+印でプロ
ットした。Csは第1試験の場合と同様に取り扱った。
(i)表2Bを観ると解るように、Ni量が少なくてもほぼオーステナイト相の基地が得られることが解る。
従って、鋳鉄の基地組織をオーステナイト相としつつ、かつ、球状黒鉛が適切に晶出した共晶組織を得るには、溶湯または元湯中の基本元素組成を本発明の範囲内とするのみならず、鋳物形状や溶湯組成等に応じた個別的な対策が必要となる。例えば、助剤の種類や添加量等を、鋳物形状や溶湯組成等に応じて適宜選択することが望まれる。そこで、本発明者が共晶組織を個別に最適化した例を後述の第3試験で示す。
(1)試験片の製造方法
基本元素の組成および助剤の種類や添加量を変更し、他は第2試験と同様にして2種類の試験片No.3−1および試験片No.3−2を製造した。
試験片No.3−1で添加した接種剤は、東洋電化社製トヨバロンBIL(74.18Si−1.23Ca−0.55Ba−0.72Bi−0.51Al−Fe)である。これを元湯に対して0.2質量%の割合で添加した。
また、用いた球状化剤は、Mg単体を4質量%とR.E.(ミッシュメタル)を1.8質量%とSb単体を0.005質量%であり、各割合で元湯に対して添加した。なお、Mg量が多いのは消失等を考慮したためである。
(i)第2試験の場合と同様にして、各試料の分析組成とオーステナイト率を求めた。これらの結果を表3Aおよび3Bに示した。
(i)先ず、表3Bのオーステナイト率から、いずれの試験片も基地組織がオーステナイト相となっていることが解る。
特に、試験片No.3−2の場合は、溶湯が急速に凝固し易い厚さ3mmの試料であっても、球状化率が70%を超えている。また、いずれの厚さでも黒鉛の粒数が200個/mm2を超え、さらに硬度も場所によらず200Hv〜300Hv程度を維持できている。これらより、本発明のオーステナイト系鋳鉄(鋳物)は、機械的特性に優れ、また、適度な硬さにより鋳造後の機械加工性にも優れるといえる。
従って、試験片No.3−2のような鋳鉄を用いれば、耐熱性は勿論のこと、その他の特性においても形状に依る影響をあまり受けない安定した特性の鋳物が得られることがわかる。
(1)試験片の製造方法
基本元素の組成および助剤の種類や添加量を変更し、他は第2試験と同様にして12種類の試験片(No.4−1〜4−12)を製造した。
なお、各試験片を鋳造する際、接種材および球状化材等の助材の添加も行った。接種材の添加は、東洋電化社製トヨバロンBIL(74.18Si−1.23Ca−0.55Ba−0.72Bi−0.51Al−Fe)である。これを元湯に対して0.4質量%の割合で添加した。球状化材の添加は、元湯100%に対して、Mg単体4質量%、R.E.(ミッシュメタル)1.8質量%およびSb単体0.0005質量%を、元湯に添加して行った。なお、Mg量が多いのは消失等を考慮したためである。
上記製造方法により製造した配合組成が異なる12種類の試験片(No.4−1〜4−12)を以下の分析に供した。
(i)先ず、いずれの試験片も、X線解析の結果、表4Aのオーステナイト率が100%となっていることと、図6から解るように、Fe基地中に層状組織が見られないことが解る。なお、一見、層状組織と似ている組織が存在しているように見える試験片もある。しかし、その組織には縞模様は見られず、顕微鏡で拡大して見ると、実際には層状組織のように細長い棒状の構造体は存在せず、ところどころが切断されている構造体が存在しているだけである。そして、ところどころが切断されている構造体は、高温時に膨張しても、オーステナイトにクラックが発生する原因とはならない。
また、試験片No.4−1〜4−12のいずれの試験片についても、厚さ25mmおよび厚さ12mmの部分には磁石が反応せず、磁性が無いことが確認された。すなわち、磁性が無いということは、磁性体であるフェライトが存在しないということであり、オーステナイト単相であることが推測できる。
なお、厚さ3mmおよび5mmの部分に関しては磁石が反応する試験片もあったが、同じ試験片において厚さによってフェライトが存在する場合としない場合があるということは考えられないことから、厚さの薄い部分に関して磁性が有るのは、フェライトが存在するからではなく、厚さが薄くなると鋳造時に炭化物が増えるからだと推測される。
また、表4Bおよび図2から明らかなように、Fe基地中に層状組織が見られない試験片No.4−1〜4−12の場合はいずれも、Nieq≧A1・Creq+B1を満たしている(試験片4−9が一番切片の小さい直線上に存在し、この直線はNieq=A1・Creq+22.9で表される)。
従って、本明細書のようにNieqやCreqを定義し、それに基づいて第4条件および第5条件の適合性を考慮すれば、基地組織がオーステナイト単相のオーステナイト系鋳鉄(鋳物)であるか否かを的確に区画できることが解る。
よって、本明細書のようにCuの適合性を考慮すれば、伸びおよび絞りが優れたオーステナイト系鋳鉄(鋳物)であるか否かを的確に区画できることが解る。
(v)さらに図21および図22から分かるように、オーステナイト系鋳鉄である試験片No.4−3、4−7、4−8、4−11および4−12は、フェライト系鋳鉄である試験片No.R5、R6よりも遙かに熱疲労寿命が延びており、また、一般的なオーステナイト系鋳鉄と比較しても熱疲労寿命は同等以上であった。
また図21および図22から、オーステナイト系鋳鉄の中でもCr量が増加することで、いずれも熱疲労寿命が延びることが確認された。同様に図21から、そのCr量が同じでも、Cu量が増加することで、いずれも熱疲労寿命が延びることが確認された。
(1)試験片の製造方法
基本元素の組成および助剤の種類や添加量を変更し、他は第4試験と同様にして12種類の試験片(No.5−1〜5−12)を製造した。なお、各試験片を鋳造する際、接種材および球状化材等の助材の添加も行った。接種材の添加は、東洋電化社製トヨバロンBIL(74.18Si−1.23Ca−0.55Ba−0.72Bi−0.51Al−Fe)である。これを元湯に対して0.4質量%の割合で添加した。球状化材はMg単体4質量%、R.E.(ミッシュメタル)1.8質量%の含有量を有する球状化材を使用し、元湯100%に対して、Mgの残留量が0.04〜0.05質量%、Sb単体0.0005質量%となるように、元湯に添加して行った。
上記製造方法により製造した配合組成が異なる12種類の試験片(No.5−1〜5−12)を以下の分析に供した。
一部の試験片の厚さ25mmの部分から採取した試料をX線回折分析した分析図(XRD)を図9に示した。また、一部の試験片について測定した線膨張係数と温度との相関を図10に示した。
(iii)Cr、Mn、NiおよびCuをそれぞれ1質量%添加した厚さ25mm、12mm、5mmおよび3mmの試験片を用いて、各元素をそれぞれ単独で1質量%添加したときの硬さの上昇値と、その試験片の板厚との相関を調べた。この結果を図23に示す。なお、比較のベース(硬さの基準)となる試験片の組成は、Fe−3%C−4%Siである。
こうして求めたシャルピー衝撃値を表5Bに示した。また各試験片のシャルピー衝撃値を棒グラフで図14に示した。なお、図14中には、表5A、5Bに示した試験片のシャルピー衝撃値の他、表4A、4Bに示した一部の試験片のシャルピー衝撃値をも併せて示した。
また、図15には、図14に示した各試験片のシャルピー衝撃値と各試験片のCr含有量との相関を示した。
なお、耐力、引張強さ、伸び、絞り、ヤング率の測定には、鋳込みにより作成したJISA号Yブロックから採取したφ6mmの丸棒試験片を用いた。
さらに、前述した板厚5mmの試験片の硬さ((Hv20kgf))を棒グラフで図18に示した。
図20には、湯廻り性がもっとも良好であった試験片No.5−1、5−9、4−3の湯廻り部面積を「1」として、他の試験片の湯廻り性を相対評価した結果を棒グラフで示した。
(i)先ず、いずれの試験片も、X線解析の結果、表5Aのオーステナイト率が100%となっている。また、このことは、図9に示すXRD図および図10に示す温度と線膨張係数の相関図において、一般的にオーステナイト系鋳鉄として知られている試験片No.R3またはフェライト系鋳鉄として知られている試験片No.R6と試験片No.5−5等とのグラフ形態を比較することでも確認される。すなわち、図9からは、試験片No.5−1、No.5−5およびNo.5−9のXRD線図がオーステナイト相からなる他の試験片No.R3と同じ形態を示しており、フェライト相からなる試験片No.R6とは異なる形態を示していることがわかる。
図12および図15から、従来のオーステナイト系鋳鉄(試験片No.R3、R4)と同等以上の耐酸化性および靱性を確保する上で、Cr含有量は0.5〜2量%さらには0.5〜1.5質量%程度がより好ましいといえる。
また図17(a)から、オーステナイト系鋳鉄の高温での破断伸びはCrの含有量の増加により向上するが、その含有量が2.5質量%程度でほぼ飽和状態になることがわかる。一方、図17(b)から、オーステナイト系鋳鉄の高温での破断伸びはCuの含有量の増加により急減することがわかる。そこで、Crの含有量の上限は3質量%以下さらには2.5質量%程度が好ましく、Cuの含有量の上限は2質量%程度が好ましいといえる。
なお、図23から分かるように、試験片の硬さは添加元素と板厚の影響を受ける。すなわち、CrまたはMnを添加すると、試験片の硬さが上昇する傾向となる。逆に、NiまたはCuを添加すると硬さが低下する傾向となる。このことから、これらの添加元素の選択およびその添加量の調整により、所望する硬さのオーステナイト系鋳鉄が得られることがわる。
もっとも、得られる硬さは、試験片(鋳物)の厚さの影響も受ける。板厚の小さい部分では添加元素の影響が大きいが、その板厚が大きくなるほど、いずれの添加元素の影響も小さくなり、基準組成からなる試験片の硬さに収束する傾向を示すこともわかった。
(1)試験片の製造方法
基本元素の組成および助剤の種類や添加量を変更し、他は第4試験と同様にして6種類の試験片(No.6−1〜6−6)を製造した。なお、各試験片を鋳造する際、接種材および球状化材等の助材の添加も行った。
球状化材はMg単体4質量%、R.E.(ミッシュメタル)1.8質量%の含有量を有する球状化材を使用し、元湯100%に対して、Mgの残留量が0.04〜0.06質量%、Sb単体0.0005質量%となるように、元湯に添加して行った。
上記製造方法により製造した配合組成が異なる6種類の試験片(No.6−1〜6−6)を以下の分析に供した。
(i)先ず、X線解析の結果、表6Aのいずれの試験片(No.6−1〜6−6)も、オーステナイト率がほぼ100%であった。このことは表6Cに示すように、それらの試験片(No.6−1〜6−6)の線膨張係数が、一般的にオーステナイト系鋳鉄として知られている試験片No.R3と同等であることからも分かる。
特に試験片No.6−6は、Crを含有しているために耐酸化性がかなり向上している。しかも試験片No.6−6のCr含有量は、1.5%であって試験片No.6−3の2.5%よりも少ないため、比較的硬さが低いという優れた特性を発揮している。
Claims (22)
- 炭素(C)、ケイ素(Si)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)および銅(Cu)からなる基本元素と、
残部が鉄(Fe)と不可避不純物および特性改善に有効な微量の微量改質元素とからなり、
常温域でオーステナイト相を主相とするFe合金からなる基地で組織された鋳鉄であるオーステナイト系鋳鉄であって、
前記微量改質元素はマグネシウム、希土類元素、アルミニウム、カルシウム、バリウム、ビスマス、アンチモン、スズ、チタン、ジルコニウム、モリブデン、バナジウム、タングステン、ニオブ、窒素から選択され、少なくともマグネシウム、希土類元素、アンチモンから選択される黒鉛球状化剤、及び、アルミニウム、カルシウム、バリウム、ビスマス、スズから選択される接種剤を含み、且つ、前記微量改質元素は含有総量1%以下であり、
前記基本元素は、前記鋳鉄全体を100質量%(以下単に「%」と表示する。)としたとき、下記の条件を満足する組成範囲内にあることを特徴とするオーステナイト系鋳鉄。
C :1〜5 %
Si :2〜6 %
Ni :7〜15 %
Mn :0.1〜8 %
Cu :2.5 %以下
Cr :6 %以下
Cu+Cr:0.5 %以上 - 前記Niは、8〜12%である請求項1に記載のオーステナイト系鋳鉄。
- 前記Siは、3〜5%である請求項1または2に記載のオーステナイト系鋳鉄。
- 前記Mnは、5〜8%である請求項1〜3のいずれかに記載のオーステナイト系鋳鉄。
- 前記Crは、0.5〜4%である請求項1〜4のいずれかに記載のオーステナイト系鋳鉄。
- 前記Crは、1〜2%である請求項5に記載のオーステナイト系鋳鉄。
- 前記Cuは、0.1%以上である請求項1〜6のいずれかに記載のオーステナイト系鋳鉄。
- 前記Cuは、0.5%以上である請求項7に記載のオーステナイト系鋳鉄。
- 前記Cuは、1〜2%である請求項8に記載のオーステナイト系鋳鉄。
- 前記Crは0.1%以上であり、かつ、前記Cuは0.1%以上である請求項1〜4のいずれかに記載のオーステナイト系鋳鉄。
- 前記Crは0.5%以上であり、かつ、前記Cuは0.5%以上である請求項10に記載のオーステナイト系鋳鉄。
- さらにCreq(Creq=Cr+1.5Si)の値が5〜8%、Nieq(Nieq=Ni+30・Cs+0.5・Mn+Cu、Cs:固溶炭素量)が18%以上である請求項1に記載のオーステナイト系鋳鉄。
- 前記Creqの値が7〜9%、Nieqが13%以上である請求項1に記載のオーステナイト系鋳鉄。
- 前記基本元素は、さらに下記の条件を満足する組成範囲内にある請求項1に記載のオーステナイト系鋳鉄。
C :2.5〜3.5 %
Si :3.5〜5.5 %
Ni :9〜14 %
Mn :1〜6 %
Cr :1〜2 %
Cu :1〜2 % - 前記基本元素は、さらに下記の条件を満足する組成範囲内にある請求項1に記載のオーステナイト系鋳鉄。
C :2.5〜3.5 %
Si :3.5〜4.5 %
Ni :12〜14 %
Mn :5〜6 %
Cr :1〜2 %
Cu :1〜2 % - 前記基地中に前記晶出または析出した黒鉛の球状化率が70%以上である請求項1〜15のいずれかに記載のオーステナイト系鋳鉄。
- 前記晶出または析出した黒鉛は、鋳物の肉厚が5mm以下の部分において、粒径5μm以上の粒数が100個/mm2以上である請求項1〜16のいずれかに記載のオーステナイト系鋳鉄。
- 前記基地は、オーステナイト単相からなる請求項1〜17のいずれかに記載のオーステナイト系鋳鉄。
- 請求項1〜15のいずれかに記載した組成範囲の基本元素と鉄を含む溶湯を調製する溶湯調製工程と、
該溶湯を鋳型に注湯する注湯工程と、
該鋳型に注湯された溶湯を冷却して凝固させる凝固工程とからなり、
請求項16〜18のいずれかに記載のオーステナイト系鋳鉄からなる鋳物が得られることを特徴とするオーステナイト系鋳物の製造方法。 - 請求項1〜15のいずれかに記載した組成範囲の基本元素と鉄を含む溶湯からなる元湯を調製する元湯調製工程と、
晶出または析出する黒鉛の核となる接種剤と該黒鉛の球状化を促進する球状化剤との少なくとも一種を含む助剤を該元湯に直接または間接に添加する助剤添加工程と、
該助剤添加工程後または該助剤添加工程中の溶湯を鋳型に注湯する注湯工程と、
該鋳型に注湯された溶湯を冷却して凝固させる凝固工程とからなり、
基地中に略球状の黒鉛が晶出または析出した請求項16〜18のいずれかに記載のオーステナイト系鋳鉄からなる鋳物が得られることを特徴とするオーステナイト系鋳物の製造方法。 - 請求項19または20のいずれかに記載の製造方法により得られることを特徴とするオーステナイト系鋳物。
- 請求項19または20のいずれかに記載の製造方法により得られることを特徴とする排気系部品。
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