JP2820255B2 - 熱間加工性の優れた高a1オーステナイト系耐熱鋼 - Google Patents

熱間加工性の優れた高a1オーステナイト系耐熱鋼

Info

Publication number
JP2820255B2
JP2820255B2 JP63266225A JP26622588A JP2820255B2 JP 2820255 B2 JP2820255 B2 JP 2820255B2 JP 63266225 A JP63266225 A JP 63266225A JP 26622588 A JP26622588 A JP 26622588A JP 2820255 B2 JP2820255 B2 JP 2820255B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
steel
ppm
hot
hot workability
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP63266225A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH02115348A (ja
Inventor
雅之 天藤
幹雄 山中
雅光 槌永
晴己 坪井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP63266225A priority Critical patent/JP2820255B2/ja
Publication of JPH02115348A publication Critical patent/JPH02115348A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2820255B2 publication Critical patent/JP2820255B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は高温で優れた耐酸化性、耐高温腐食性を有
し、かつ熱間加工性の良好な高Alオーステナイト系耐熱
鋼に関する。
〔従来の技術〕
合金中にAlを添加し、高温酸化性雰囲気中で表面にAl
2O3を主体とする酸化皮膜を形成させると、非常に優れ
た耐酸化性を示すことが知られており、例えば、Fe−Cr
−Al合金鋼は、電熱線あるいは燃焼器具用部材等、1200
℃程度までの雰囲気に曝される部材の材料として使用さ
れている。しかし上記鋼種は、フェライト相であるため
高温での強度が根本的に低く、高温での強度を必要とす
る部位には使用できず適用範囲が限られていた。
一方、Fe−Ni−Cr、あるいはNi−Cr等のオーステナイ
ト系耐熱鋼は、高温強度、常温での機械的性質が優れて
いるため、高温部材として一般的に使用されてきたが、
これら鋼種は、高温で表面にCr2O3を形成し、この皮膜
によって耐酸化性を良好に維持しているため皮膜がCrO3
として蒸発を始める1000−1100℃以上では、急激に耐酸
化性が劣化する。また酸化皮膜の耐スポーリング性も悪
く、断続加熱やエロージョンを受ける場合は酸化による
材料のやせ細りの傾向が大きい。
このオーステナイト系耐熱鋼の欠点を改善するために
上記鋼種にAlを添加する試みは、現在まで多く行われて
きた。しかしAlの添加量が少ないと合金表面にAl2O3
酸化皮膜が形成されず、スピネル系のFe,Ni,Crの酸化膜
が主体となる。この酸化膜はポーラスで酸素や窒素を比
較的透過しやすいため酸化膜直下のマトリックスの酸化
速度は大きく、さらにその下にAlNが角状に析出し、Al
が消費されるため添加の効果は少ない。オーステナイト
系の合金表面に均一なAl2O3の皮膜を形成させ、優れた
耐酸化性を発揮させるためには合金中に重量パーセント
で最低4.0%以上添加しなければならない。このことは
例えば、特公昭55−43498等に記載されている。
しかしAlをオーステナイト鋼中に添加すると急激に熱
間加工性が劣化し、熱間圧延、熱間鍛造、熱間押し出し
等の加工等に激しい割れを生じ、さらには加工不可能と
なる場合も発生する。この割れは表面近傍の粒界で発生
し、粒界に沿って伝播し大きな割れに発展する。これは
オーステナイト相中にAlが固溶することによって、熱間
での粒内変形抵抗が著しく上昇し、相対的に粒界強度が
低下し割れ感受性が増大したことと、凝固中あるいは熱
間変形中にNiAl系の金属間化合物が粒内および粒界に析
出したために粒界の延性が低下するためである。
この高濃度Alを含有するオーステナイトステンレス鋼
の熱間加工性を向上させるために、特公昭55−43498、
特公昭55−11302では、従来のステンレス鋼での考え方
を踏襲して、凝固時オーステナイト相中に若干デルタフ
ェライトを析出することにより、またはLa,Ce等の希土
類元素を添加することにより、熱間加工性が向上するこ
とを記載しているが、高Alオーステナイトステンレス鋼
は上記の如く、従来のステンレス鋼に比べ根本的に熱間
での割れ感受性が高く、デルタフェライトの析出、ある
いは単なる希土類元素の添加だけでは、充分な熱間加工
性を得ることはできず、厳密に熱間加工性を劣化させる
不純物元素の濃度を制御しなければ、熱間での加工中に
生じる割れを防止することは出来ない。また特開昭60−
262945では1000℃以上、1200℃以下の温度範囲で熱間圧
延することを提唱しているが、微量不純物濃度を正確に
制御しなければ、熱延方法を工夫しても、熱間圧延初期
に耳割れ、疵等が多数発生し十分な効果があるとは言え
ない。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、耐酸化性が優れ、かつ熱間加工性の良好な
高Alオーステナイト系耐熱鋼を提供することを目的とす
るものである。
〔課題を解決するための手段〕
以下に本発明の構成成分について説明する。本発明の
第一の発明は C 0.2〜0.01%、Si 1%以下、Mn 2%以下、Ni 15〜25
%、Cr 12〜25%、Al 4%超6%以下、Mg 100ppm以下 を含み、更にCa,YまたはREMの1種あるいは2種以上を
下記(1)式で示された範囲を満足するように含有さ
せ、残部はFe及び不可避的不純物からなるものである。
式中のREMとはLa,Ce等の希土類元素を意味する。
(以下、REMと称する。) −50<(S)+(O)−0.8×(Ca)−0.2×(Y)−0.
1×(REM)<30 (単位:ppm)…(1) すなわち、上記発明の特徴はAlを上記成分範囲含有す
るオーステナイト鋼に、上記(1)式を満足するようC
a,Y,REMの1種又は2種以上を添加することによって、
熱間加工性を改善したことにある。
通常のオーステナイト系ステンレス鋼または超合金に
Ca,REM等を添加することにより、高温で生じる酸化皮膜
の密着性を向上し耐熱性を改善すると同時に、熱間加工
性も向上することは公知の事実である。これは粒界に偏
析し粒界の延性を低下させるSおよびOを精練の段階で
低減させるとともに、鋼塊中に残存するこれら元素と強
く結合し固定するため、不安定に粒界に偏析し粒界強度
を下げることを抑制するためである。
Alを重量パーセントで4%超6%以下含有するオース
テナイト系耐熱鋼においても不純物SとOの含有量によ
って熱間加工性は変化するが、通常のステンレス鋼より
敏感である。従って鋼中のSとOの含有量を可能な限り
低減するとともに、SとOを低減、固定するCa,Y,REMを
添加する必要がある。しかもCa,Y,REMを無添加で、熱間
加工割れの生じないSおよびO含有量を安定的に実現す
ることは工業上難しく、コストも上昇するためCa,Y,REM
の添加は工業上必須と考えて良い。
このように、Ca,Y,REMは、高Alオーステナイト系耐熱
鋼の熱間加工性を向上させる重要な添加元素であり、溶
鋼中のS,Oの除去のみならず、冷却中粒界に偏析するS,O
を固定し、熱間加工性が劣化するのを抑制するために最
も有効な元素である。
ところが、高Alオーステナイト系耐熱鋼において、C
a,Y,REM等を加えても熱間加工性を必ずしも満足しない
場合があることが分った。本発明者等はこの原因につい
て追求したところ、上記元素の添加量が過剰の場合でも
かえって熱間加工性が劣化し、S,O量に関連して適正な
範囲があることが分った。
即ち、本発明の成分範囲のオーステナイト系耐熱鋼に
おいては、根本的に熱間での割れ感受性が高いために、
粒界に偏析し延性を低下させる元素を厳密に抑制しなけ
ればならないからである。
つまりSおよびO含有量に対してCa,Y,REMの添加量が
不足しても急激に熱間加工性が劣化するとともに、Sお
よびO含有量に対して過剰に添加しても熱間加工性は急
激に劣化する。これはCa,Y,REMは原子半径が大きく、鋼
中に殆ど固溶しないため、過剰に添加されたこれらの原
子は不安定な状態で粒界に偏析し、粒界の延性を低下さ
せるためと考えられる。つまり過剰なCa,Y,REMが熱間加
工性に悪影響を及ぼす不純物元素として作用するのであ
る。従ってSおよびO含有量に関係してCa,Y,REMの添加
量の上限が決定するのである。
即ち、上記(1)式において、SおよびOの含有量と
Ca,Y,REMの含有量の差の値が30ppm超であると、Sおよ
びOに対しCa,Y,REMの含有量が少なくなり過ぎてその添
加効果を減少し、固定されないSおよびOの影響により
急激に熱間加工は劣化する。
従って、この添加不足を防止するため、前記(1)式
の上限を30ppmに限定した。
一方、両者の差が−50ppm超となるような過剰な添加
を行うと、耐酸化性は更に向上するが、粒界部に不安定
なCa,Y,REMが偏析し、粒界延性を低下させるため逆に熱
間加工性を悪化させる。この過剰添加を防止するために
前記(1)式の下限を−50に限定した。以上の関係を示
したのが第1図である。即ち第1図は前記(1)式と熱
間衝撃平均評点の関係を示したもので、耳割れ等を発生
せずに通常の熱間加工を可能にするためには熱間衝撃平
均評点を2以下にしなければならず、この条件を満たす
ため(1)式の上限を30、下限を−50とした。連続熱間
圧延のように圧下率あるいは歪速度が大きい等、厳しい
熱間加工を行う場合は第1図で熱間衝撃平均評点が1以
下となる範囲が望ましい。
なお、有害なS,Oを固定するために有効な添加範囲
は、Ca:5〜150ppm、Y:10〜750ppm、REM:50ppm〜1500ppm
であり、上記(1)式中の各元素にかゝる係数は、本発
明の成分範囲内で夫々の元素の含有量を変化させた鋼塊
の熱間加工性を評価し、各元素の効果が等しくなるよう
に実験的に求めたものである。
また、SおよびOは熱間加工性の点から、極力低い方
が望ましく、本鋼種のようにAlを多く含有する鋼ではS
およびOの含有量に敏感に影響される。これは凝固時あ
るいは冷却時にSおよびOが粒界に偏析し、粒界の延性
を低下させるためで、本鋼種は高温での粒内の変形抵抗
が従来のステンレス鋼に比べて高く、粒界割れが発生し
やすくなる。
一方、上述のようにCa,Y,REMの添加量も効果のある範
囲でできるだけ低減する方がよい。従って(S)+
(O)の値を100ppm以下に抑制することが望ましい。
更に、本発明の第一の発明は上記成分範囲において著
しく熱間加工性を害するMgの許容量を100ppmに制限した
ことを特徴とする。
従来の汎用ステンレス鋼あるいは超合金においては、
Mg添加は熱間加工性を向上させる効果を有するが、Alを
重量パーセントで4.0超6%以下含有するオーステナイ
トステンレス鋼においては、添加効果はなく、逆に熱間
加工性を劣化させる傾向が強く、許容される含有量が非
常に低いことを本発明者は見出し、その許容量を明確に
した。高濃度Alを含有するオーステナイト鋼がMg不純物
によって、熱間加工性が劣化するのは、オーステナイト
相中に殆ど固溶しないMgがAlとともに粒界に高濃度濃縮
し粒界延性を低下させるためである。Alを含有しないオ
ーステナイト鋼においては、Mg不純物は溶鋼中にほとん
ど混入せず、凝固後に鋼中に残存するMg不純物は極めて
低い。しかし高濃度Alを含有するオーステナイト鋼にお
いては、Alの原料、あるいは鋼中のAlが炉材またはスラ
グ中のMgOを還元して溶鋼中に侵入してくる可能性は十
分にある。つまり工業用Al原料中には不純物として数百
ppm含有することは一般的であり、またMgはAlに添加す
る合金元素であるため、再生Al原料を使用した場合はさ
らに高濃度のMg不純物を含むことも考えられる。また溶
鋼温度である1500℃付近ではAl2O3とMgOの熱力学的安定
度がほぼ同じであるため、次の平衡式が成り立ち、MgO
を含むレンガあるいはスラグを溶鋼中のAlが還元し溶鋼
中に混入してくる。
3MgO+2Al Al2O3+3Mg しかも原料あるいは炉材、スラグより混入してきたMg
不純物は熱力学的平衡を保っているため、溶鋼中に安定
的に存在する。しかしMgはオーステナイト固相中に殆ど
固溶しないため凝固中に粒界あるいはNiAl系の金属間化
合物中に濃縮し、熱間加工性を劣化させる原因となる。
従ってMgの許容量を決定することは、Alを重量パーセン
トで4%超6%以下含有するオーステナイトステンレス
鋼の熱間加工性を確保し、製造可能にするために重要で
ある。
第2図は、Mgの含有量と熱間衝撃平均評点の関係を示
したものである。この図からMgの含有量が100ppmを越え
ると熱間加工が困難になることが判る。熱延での微小な
耳割れ、疵等を防ぐには、Mgの含有量を50ppmに抑制し
熱間衝撃平均評点を1以下にすることが望ましい。
本発明の第二の発明は第一の発明に加え、上記成分範
囲において著しく熱間加工性を害するPbおよびBiの含有
量を各々10ppm以下、5ppm以下に厳しく抑制することを
特徴とする。Pb,Biは通常のオーステナイトステンレス
鋼においても熱間加工性を害する元素であるが、Alを重
量パーセントで4%超6%以下含有するオーステナイト
系耐熱鋼においては非常に敏感である。これら元素は鋼
中には殆ど固溶せず、粒界に偏析し粒界の延性を著しく
低下させる。本発明鋼は熱間での割れ感受性が本来高
く、割れを防止するためには、PbおよびBiの含有量を各
々10ppm以下、5ppm以下に厳しく制限しなければならな
い。この許容量は従来のステンレス鋼に比較し、非常に
厳しい値である。Pb不純物は原料となる工業用鉄合金含
まれ、その濃度は数十ppmが普通である。また再生Al原
料中にも数十ppm以上含まれる場合がある。またBiにつ
いてもPbに比べその含有量の低いものの工業用鉄合金中
に不可避的に含まれる不純物である。従ってこれら元素
の積極的な低減を行わないと上記許容量以下に常に抑え
ることは不可能である。PbおよびBiの低減はまず、これ
ら元素の少ない原料を厳密に選択することと、減圧下雰
囲気での精練が有効である。
このように、不純物として鋼中に混入してくるPb,Bi
は本発明鋼の熱間加工性を極端に劣化させる。第3図
は、Pb,Biの含有量と熱間衝撃平均評点の関係を示した
ものである。この図からPbおよびBiの許容量は各々10pp
m,5ppmとなることが判る。熱延での微小な耳割れ、疵等
を防ぐには、PbおよびBiを各々5ppm,3ppm以下に抑制し
熱間衝撃平均評点を1以下にすることが望ましい。
次に、本発明の成分範囲で凝固時に生成するデルタフ
ェライトについて説明する。
デルタフェライト相はオーステナイト相よりAlを多く
含有するため、オーステナイト相中のAl濃度が低下し、
冷却時に粒界あるいは粒内にNi−Al系の金属間化合物が
析出するのを遅らせる。またS,O等の不純物を吸収する
効果も有するため、圧下率あるいは歪速度の大きい、よ
り厳しい熱間加工においても耳割れ等が生じない。さら
に溶接時の高温割れを抑制する効果もある。しかしデル
タフェライト相を10%以上析出させると冷間での加工性
あるいは高温強度が劣化するため、析出量は10%未満と
することが望ましい。なお、この析出量は市販のフェラ
イトメーターを用いて実測した値である。凝固時に析出
するデルタフェライト量は、化学組成から下記に示す式
にて推測できる。但しその適用範囲は特許請求の範囲に
記載された成分範囲である。
δ−Ferr(%)=3×(Cr+1.5×Si+8×Al−24.
7)−2.8×(Ni+0.5×Mn+30×C+16.5×N)−19.8
(各成分の単位は重量%) …(2) (2)式で求めたδ−Ferr(%)が10%未満であれ
ば、実際の凝固時に析出するデルタフェライトの実測値
は10%未満となる。しかし(2)式で0%以下であって
も−15%超であれば実際の凝固時にはデルタフェライト
相を析出するため、10%未満のデルタフェライト相を析
出させるためには(2)式で与えられる値を−15%超、
10%未満とすればよい。
次に、本発明の上記成分以外の成分について説明す
る。
Cは鋼中に不可避的に含有される元素であるが、含有
量が多いと600〜900℃で使用中にクロム炭化物、σ相を
多量に析出し材料を脆化させるほか、高温での変形抵抗
が上昇し、熱間加工性が劣化する。従ってその上限を0.
2%とした。
Siは鋼中に不可避的に含有される元素であり、一般的
に耐酸化性を向上させる効果を有するが、表面にAl2O3
皮膜を形成する本発明鋼種ではその添加効果はほとんど
なく、逆にSi含有量が1%を越えるとAl2O3皮膜の形成
を阻害する。従ってSiの含有量の上限を1%とした。
Mnも鋼中に不可避的に含有される元素であるが、含有
量が2%を越えるとAl2O3皮膜の形成を阻害するため、
その上限を2%とした。
Niは本発明鋼をオーステナイト鋼たらしめる基本的な
元素であり、Cr,Alの含有量からNiは15%以上必要であ
る。しかしNiの含有量が35%を越えると、Ni−Al系の金
属間化合物の析出が著しくなり熱間加工が困難となる。
従ってNiの範囲は15〜35%とした。
CrはAlと同様、高度の耐酸化性を得るには必要不可欠
な元素であり、Crの含有量が12%未満であると使用初期
に異常酸化し、鋼材表面に耐酸化性を維持すべくAl2O3
皮膜が形成されない。Crは使用初期のAl2O3皮膜形成に
重要な役割を果たす元素である。しかしCrの含有量が25
%を越えると、使用中σ相が析出し脆化しやすくなる
上、オーステナイト形成元素であるNiを多量に添加しな
くてはならず、Ni−Al系の金属間化合物の析出を促進す
る。従ってCrの含有量は12〜25%とした。
Alは本発明鋼の表面にAl2O3皮膜を形成させ、耐熱性
を維持する最も重要な元素である。Al2O3皮膜を安定的
に形成させるためには、Alの含有量は4%超でなければ
ならない。4%以下であるとAl2O3皮膜を形成されず、C
rが主体の酸化物が形成されAl2O3皮膜が形成した場合に
比べ耐酸化性が著しく低下する。しかしAlの含有量が6
%を越えると熱間での変形抵抗がさらに高くなり、粒内
および粒界にNi−Al系の金属間化合物の析出が著しくな
り、本発明に記載されている不純物の厳密な制御を行っ
ても熱間加工が実質不可能となる。
その他に熱間加工性に影響する不純物元素としてZn,S
b,Sn,Asがあるが、これら元素は通常のオーステナイト
ステンレス鋼で不可避的に含まれる濃度では、熱間加工
性を害する元素ではないが、過度に混入すると熱間加工
性の劣化が著しいため、これらが混入しないよう溶解原
料やスラグ組成を充分に吟味した溶製法が望ましい溶製
法である。
またクリーブ強度あるいは耐酸化性をさらに向上させ
るためにMo,W,Co,Ti,Nb,Zrを添加することは可能である
が、これらの元素を過剰に添加すると熱間での変形抵抗
が上昇し、熱間加工性を劣化させる。
〔実施例〕
次に実施例により本発明の効果を更に具体的に示す。
第1表のNo.1〜24に示す各成分の鋼を真空中あるいは
大気中(溶解後AOD精練)にて溶製し、真空中で溶解し
たものはインゴットで、大気中で溶解したものは連続鋳
造で造塊した。
いずれの鋼塊もZn及びSnが夫々200ppm以下、Sb及びAs
が夫々100ppm以下で通常のオーステナイトステンレス鋼
で含まれる程度の含有量である。
熱間加工性の評価は、熱間衝撃試験と上記方法にて溶
製した鋼塊の熱延実験で行った。熱間衝撃試験は、鋼塊
肌下5mmよりノッチ無しのシャルピー試験片を切り出
し、1250℃に加熱し10分保持した後、所定の打撃温度ま
で空冷し打撃を行った。打撃温度は900,1000,1050,110
0,1150,1200℃で、評価は第2表に示すように割れの状
況より5段階にランク分けを行い、全ての打撃温度での
結果を平均した値を採用した。平均評点が大きいほど高
温での延性が乏しく熱間加工性が悪く、通常の熱延で耳
割れが生じないためにはこの値が2以下でなければなら
ない。熱延実験は表面を面削した鋼塊を1250℃で1時間
保持した後、5パスで計90%圧下し耳割れの状況を観察
した。
熱間加工性の評価結果を第3表に示す。この結果から
本発明の成分範囲を満足すれば、熱間加工性の優れたオ
ーステナイト系耐熱鋼を得ることができる。また上記
(2)式を満足した鋼種相を10%未満析出した鋼種は、
熱間衝撃試験の平均評点が1以下で、さらに熱間加工性
が優れていることが判る。
第1表の鋼塊の一部を熱延−冷延−焼鈍−表面研削を
施し酸化試験を行った。試験片のサイズは1mmt×20mmW
×50mmLで、1200℃の大気中および自動車エンジン排ガ
ス中に挿入し30分保持した後10分空冷する断続加熱を20
0回繰り返し、その後重量変化を測定した。その結果を
第4表に示す。この結果から本発明鋼が優れた耐酸化性
を有していることが判る。
〔発明の効果〕 本発明はAlを添加したオーステナイト系耐熱鋼におい
て、高温での耐熱性が優れていると共に、熱間圧延、熱
間鍛造、熱間押出し等の加工時に、割れ、疵の発生しな
い熱間加工性が特に優れている鋼種を提供するものであ
るから、工業上多方面にわたり有用な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係わる(1)式と、熱間衝撃平均評点
の関係を示すグラフであり、図中の点はMg50ppm、Pb
5ppm、Bi3ppmのものから得られたデーターである。
縦軸の上方で熱間加工性が良好で、下方で熱間加工性が
不良である。第2図は鋼中のMg含有量と熱間衝撃平均評
点の関係を示すグラフで、図中の点は(1)式を満た
し、Pb5ppm、Bi3ppmの鋼塊から得られたデータであ
る。第3図は鋼中のPb,Bi含有量と熱間衝撃平均評点の
関係を示すグラフで、このグラフは(1)式を満たし、
Mg5ppmの鋼塊から得られたデータに基づいて作成され
たものである。
フロントページの続き (72)発明者 坪井 晴己 山口県光市大字島田3434番地 新日本製 鐵株式会社光製鐵所内 (56)参考文献 特開 昭57−39159(JP,A) 特開 昭60−92454(JP,A) 特公 昭55−43498(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量パーセントで、 C:0.2%以下、 Si:1%以下、 Mn:2%以下、 Ni:15〜35%、 Cr:12〜25%、 Al:4%超6%以下、 Mg:100ppm以下を含み、さらに、 Ca,Y,REMの1種あるいは2種以上を下記式で示された範
    囲内で含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるこ
    とを特徴とする熱間加工性の優れた高Alオーステナイト
    系耐熱鋼。 −50<(S)+(O)−0.8×(Ca)−0.2×(Y)−0.
    1×(REM)<30 (単位:ppm)
  2. 【請求項2】重量パーセントで、 Pb:10ppm以下 Bi:5ppm以下を、さらに、含有することを特徴とする請
    求項1に記載の熱間加工性の優れた高Alオーステナイト
    系耐熱鋼。
  3. 【請求項3】重量パーセントで、 C:0.2%以下、 Si:1%以下、 Mn:2%以下、 Ni:15〜35%、 Cr:12〜25%、 Al:4%超6%以下、 Mg:50ppm以下を含み、さらに、 Ca,Y,REMの1種あるいは2種以上を下記式で示された範
    囲内で含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるこ
    とを特徴とする熱間加工性の優れた高Alオーステナイト
    系耐熱鋼。 −50<(S)+(O)−0.8×(Ca)−0.2×(Y)−0.
    1×(REM)<30 (単位:ppm)
  4. 【請求項4】重量パーセントで、 Pb:5ppm以下、 Bi:3ppm以下を、さらに、含有することを特徴とする請
    求項3に記載の熱間加工性の優れた高Alオーステナイト
    系耐熱鋼。
  5. 【請求項5】前記Alオーステナイト系耐熱鋼において下
    記式を満足することにより、凝固時のデルタフェライト
    相を10%未満析出させることを特徴とする請求項2また
    は4に記載の熱間加工性の優れた高Alオーステナイト系
    耐熱鋼。 −15<3×(Cr+1.5×Si+8×Al−24.7)−2.8×(Ni
    +0.5×Mn+30×C+16.5×N)−19.8<10 (各成分の単位は重量%)
JP63266225A 1988-10-24 1988-10-24 熱間加工性の優れた高a1オーステナイト系耐熱鋼 Expired - Lifetime JP2820255B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63266225A JP2820255B2 (ja) 1988-10-24 1988-10-24 熱間加工性の優れた高a1オーステナイト系耐熱鋼

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63266225A JP2820255B2 (ja) 1988-10-24 1988-10-24 熱間加工性の優れた高a1オーステナイト系耐熱鋼

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH02115348A JPH02115348A (ja) 1990-04-27
JP2820255B2 true JP2820255B2 (ja) 1998-11-05

Family

ID=17428005

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP63266225A Expired - Lifetime JP2820255B2 (ja) 1988-10-24 1988-10-24 熱間加工性の優れた高a1オーステナイト系耐熱鋼

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2820255B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20190010565A1 (en) 2016-01-05 2019-01-10 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation Austenitic Heat Resistant Alloy and Method for Producing the Same
CA3028610A1 (en) * 2016-06-29 2018-01-04 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation Austenitic stainless steel

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE2840847A1 (de) * 1978-09-20 1980-04-03 Behringwerke Ag Verfahren zum nachweis und zur bestimmung komplementbindender antikoerper
JPS5940219B2 (ja) * 1980-08-19 1984-09-28 新日本製鐵株式会社 表面にAl↓2O↓3皮膜を生成するオ−ステナイト系耐酸化耐熱鋳造合金
JPS6092454A (ja) * 1983-10-24 1985-05-24 Aichi Steel Works Ltd 熱間加工性,耐酸化性の優れたオ−ステナイト系耐熱鋼

Also Published As

Publication number Publication date
JPH02115348A (ja) 1990-04-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR950008377B1 (ko) 용접가능한 개선된 페라이트 스텐레스강
US4204862A (en) Austenitic heat-resistant steel which forms Al2 O3 film in high-temperature oxidizing atmosphere
JP6723210B2 (ja) ニッケル基合金
WO2022220242A1 (ja) 耐溶接高温割れ性に優れた高Ni合金
US5045404A (en) Heat-resistant stainless steel foil for catalyst-carrier of combustion exhaust gas purifiers
EP0392011B1 (en) HEAT-RESISTANT HIGH-Al AUSTENITIC STEEL HAVING EXCELLENT HOT WORKING PROPERTIES
JPS6327418B2 (ja)
JP2820255B2 (ja) 熱間加工性の優れた高a1オーステナイト系耐熱鋼
EP2738281A1 (en) Method for producing high si-content austenitic stainless steel
JP7187604B2 (ja) 耐溶接高温割れ性に優れた高Ni合金
JP7223210B2 (ja) 耐疲労特性に優れた析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼板
JP7187605B2 (ja) 耐溶接高温割れ性に優れた高Ni合金
US5126107A (en) Iron-, nickel-, chromium base alloy
WO2022210651A1 (ja) 二相ステンレス鋼線材および二相ステンレス鋼線
JP2970432B2 (ja) 高温用ステンレス鋼とその製造方法
JP2001049322A (ja) 耐リジング性に優れたフェライト系ステンレス鋼の製造方法
US20230398644A1 (en) Ferritic stainless steel welding wire and welded part
JP4683712B2 (ja) 熱間加工性に優れたNi基合金
KR100825630B1 (ko) 용접부의 가공성이 우수한 페라이트계 스테인리스강 및 그제조방법
JP7187606B2 (ja) 耐溶接高温割れ性に優れた高Ni合金
JPH06271993A (ja) 耐酸化性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼
WO2022138194A1 (ja) 耐疲労特性に優れた析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼
JPS6214626B2 (ja)
JPH0717988B2 (ja) 靱性および耐食性がともに優れるフェライト系ステンレス鋼
JPH057458B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080828

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090828

Year of fee payment: 11

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090828

Year of fee payment: 11