JP5383052B2 - シリンダ圧測定装置 - Google Patents

Description

本発明は内燃機関用のシリンダ圧測定装置に関する。

例えば大型ディーゼルエンジンまたはさらにガスエンジンのような内燃機関の最適な動作を保証するには、内燃機関のシリンダ内のシリンダ圧を測定技術的に検出し、例えば内燃機関の点火特性を調節するためにそれを利用する必要がある。そのためには、内燃機関のシリンダ内のシリンダ圧を恒常的に検出することが必要である。

実際に公知のシリンダ圧測定装置は、内燃機関のシリンダのシリンダ圧を直接にすなわちシリンダの燃焼室内で測定する。このような燃焼室内に取り付けたシリンダ圧測定装置は高い熱負荷および機械的負荷を受ける。さらに、このような測定装置は燃焼残滓の堆積による悪影響にさらされる。その結果、実際に公知の燃焼室内に取り付けたシリンダ圧測定装置は耐久時間が僅かしかなく、したがって比較的長い動作期間にわたってシリンダ圧を確実に検出するのには適していない。したがって、それを利用して内燃機関のシリンダ内のシリンダ圧を恒常的に測定することができ、しかも内燃機関の構造的な変更を必要とせずに比較的低コストで実現することのできるシリンダ圧測定装置が必要とされる。

上記に基づいて、本発明は新規のシリンダ圧測定装置を提供することを課題としている。

上記の課題は、請求項１に記載のシリンダ圧測定装置によって解決される。本発明によるシリンダ圧測定装置は、支持スリーブがタイロッドを部分的に取り囲むように少なくとも１つの固定機構を介してシリンダのタイロッドに固定可能である、径方向および軸線方向に分割された支持スリーブを備えており、分割によって径方向に互いに分離された支持スリーブの少なくとも２つのセグメントに、容量性測定システムのコンポーネントが割り当てられ、それにより、測定されるシリンダ圧によって引き起こされるタイロッドの長さの変化が、分割によって径方向に分離されたセグメントの、したがって容量性測定システムのコンポーネントの軸線方向移動を引き起こすようになっている。

本発明によるシリンダ圧測定装置を用いて、内燃機関のシリンダ内のシリンダ圧が間接的に、すなわちシリンダの燃焼室の外部で検出される。そのために、シリンダ圧が監視されるシリンダのタイロッドの、シリンダ圧に比例する伸長が利用される。本発明によるシリンダ圧測定装置は監視されるシリンダの燃焼室と直接連結されていないので、シリンダには高い熱負荷および機械的負荷がかからない。さらに、本発明によるシリンダ圧測定装置の機能は燃焼残滓の堆積によって損なわれない。その上、内燃機関の構造の変更は必要ない。本発明によるシリンダ圧測定装置は、内燃機関に簡単に取り付け、取り外すことができる。本発明によるシリンダ圧測定装置は、比較的低いコストならびに長い耐久時間の点で優れている。本発明によるシリンダ圧測定装置に容量性測定システムが使用されるならば、内燃機関のシリンダ内のシリンダ圧のパワーレスの測定原理が確立され、したがって、本発明によるシリンダ圧測定装置が固定されるタイロッドに擦過腐食が生ずる恐れはない。

シリンダ圧測定装置とタイロッドとの接触圧が僅かしか必要ないので、シリンダ圧測定装置はタイロッドの腐食防止層上に取り付けることができる。したがって、擦過腐食の恐れのほかに、湿気の集結による腐食も生じない。本発明によるシリンダ圧測定装置はいつでもタイロッドに取り付け、かつそれから取り外すことができる。既存の内燃機関に簡単に追加装備することができる。

本発明の好ましい変形形態は、従属請求項および以下の記載から明らかになる。図面を参照して本発明の非限定的な例示的実施形態をより詳細に説明する。

図１から１１は、本発明によるシリンダ圧測定装置１０の好ましい実施形態を示す。すなわちシリンダ圧測定装置１０は、内燃機関のシリンダ内のシリンダ圧をシリンダの燃焼室の外部で間接的に測定する働きをし、シリンダ圧の測定には、シリンダ圧が監視されるシリンダのタイロッドの比例する伸長が利用される。

本発明によるシリンダ圧測定装置１０は支持スリーブ１１を備えており、この支持スリーブ１１は一方では軸線方向、すなわち矢印１２の方向に、他方では径方向、すなわち矢印１３の方向に分割されている。好ましくは、支持スリーブ１１は径方向および軸線方向での分割もしくは分離によって４つのセグメント１４、１５、１６および１７に分割される。図１１は支持スリーブ１１の４つのセグメントのうち２つを示している。

図１および２の例示的実施形態では、径方向に互いに分離された支持スリーブ１１の２つのセグメント１４および１５に、それぞれ容量性測定システムのコンポーネント１８および１９が割り当てられている。コンポーネント１８（図９をも参照）は、容量性センサ２９を収容するためのいわゆるセンサホルダである。コンポーネント１９（図１０をも参照）はいわゆるセンサの相手方部品である。

測定システムのセンサホルダとして形成されたコンポーネント１８は、容量性センサ２９をそれも切り欠き部３１（図９を参照）内に収容する。容量性センサ２９はセンサの相手方部品として形成された容量性測定システムのコンポーネント１９からの間隔２１を容量的に測定する。

容量性測定システムのコンポーネント１８および１９は、図３によればドエルピン２０を介してそれぞれ支持スリーブ１１のセグメント１４および１５と連結され、ドエルピン２０は容量性測定システムのコンポーネント１８、１９の傾倒を防止している。

図１から３の例示的実施形態では、支持スリーブ１１のセグメント１４、１５、１６および１７の位置がリング状要素３０を介して規定される。リング状要素３０は図３によれば断面の輪郭がＨ字形であり、支持スリーブ１１のセグメント１４、１５、１６および１７は好ましくはナット・ばね連結を介して要素３０に嵌合している。したがって、支持スリーブ１１のセグメント１４、１５、１６および１７は、リング状要素３０を介して互いに位置合わせされる。

好ましくはプラスチック板として形成された要素３２は、容量性測定システムのコンポーネント１８と１９との間の規定された間隔２１もしくはスリットを調整し、したがってコンポーネント１８内に収容されたセンサ２９とセンサの相手方部品として形成されたコンポーネント１９との間の規定された間隔２１もしくはスリットを調整する働きをする。

図１および２の本発明によるシリンダ圧測定装置はさらに、支持スリーブ１１がタイロッドを部分的に取り囲みもしくは包囲するように、本発明によるシリンダ圧測定装置１０をシリンダのタイロッドに固定するための、２つの固定機構２２を備えている。その際、支持スリーブ１１の両方の軸線方向端部に、それぞれ１つの固定機構２２が割り当てられる。

各固定機構２２は、Ｕ字形締付けリング２３（図５をも参照）、溝ナット２４（図６をも参照）、締付け部材２５（図７をも参照）および締付け板２６（図８をも参照）を含んでいる。各締付け板２６は、ねじ２７を介して対応する締付け部材２５ならびに溝ナット２４にねじ止めされ、それによって締付けリング２３は最終的に支持スリーブ１１を対応するタイロッドに押し付けもしくは押圧する。

締付けリング２３を用いることによって、スペースが狭い場合でもシリンダ圧測定装置１０をタイロッドに取り付けることが可能になる。ねじ２７の引っ張りモーメントによって支持スリーブ１１のタイロッドとの接触圧が規定される。

支持スリーブ１１の各セグメント１４、１５、１６および１７は、外端部に、取り付け状態ではタイロッドに当接するそれぞれ１つの突起部２８を備えている。支持スリーブ１１のセグメント１４、１５、１６および１７の内表面に形成されている突起部２８の寸法、ならびにねじ２７の引っ張りモーメントによって、支持スリーブ１１とタイロッドの間の接触圧が決まる。その際、セグメント１４、１５、１６および１７の内表面に形成された突起部２８の内径は、シリンダ圧測定装置が固定される予定のタイロッドの外径に適合する。

前述のとおり、支持スリーブ１１は軸線方向だけではなく径方向にも分割もしくは分離されている。支持スリーブ１１は、容量性測定システムもしくは容量性センサを取り付ける案内支持構造を提供する。その際、支持スリーブ１１の軸線方向の分割によって、タイロッドを取り付けもしくは組み付けた状態で本発明によるシリンダ圧測定装置を取り付けることが可能になる。支持スリーブ１１の径方向の分割は、パワーレスもしくはパワーフリーの容量性測定を確立するために必要である。

タイロッドに、したがって支持スリーブ１１に引っ張り応力がかかると、支持スリーブ１１のセグメント１４、１５、１６および１７は互いに自由に移動することができる。熱伸長の影響で発生することがある圧縮応力がかかっても、要素３０によって吸収される力だけに打ち勝てばよい。したがって、測定されるシリンダ圧によって引き起こされるタイロッドの長さの変化の結果、径方向の分割によって互いに分離されているセグメント、特に容量性測定システムのコンポーネント１８、２９および１９を担持するセグメント１４および１５の軸線方向移動が生じる。

したがって、このような軸線方向移動が、容量性センサ２９とセンサの相手方部品として形成された容量性測定システムのコンポーネント１９との間隔２１を、したがって最終的には供給される測定信号を変化させる。容量性センサ２９は、パッキン（図示せず）によって汚れから保護されている。

既存の内燃機関に本発明によるシリンダ圧測定装置を追加装備することが可能である。本発明によるシリンダ圧測定装置の取り付けおよび取り外しは、取り付けられたタイロッドで行われる。タイロッドのもしくは内燃機関の構造的な変更は全く必要ない。

この測定原理はパワーレスであり、したがって、タイロッドとシリンダ圧測定装置の間の連結部から、全くまたはごく僅かしか力が伝達されない。したがってタイロッドには擦過腐食の恐れがない。

本発明によるシリンダ圧測定装置の斜視図である。 本発明による図１のシリンダ圧測定装置の平面図である。 本発明によるシリンダ圧測定装置の、図２のＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿った断面図である。 本発明による図１のシリンダ圧測定装置の側面図である。 本発明によるシリンダ圧測定装置の固定機構の締付けリングを示す図である。 本発明によるシリンダ圧測定装置の固定機構の溝ナットを示す図である。 本発明によるシリンダ圧測定装置の固定機構の締付け部材を示す図である。 本発明によるシリンダ圧測定装置の固定機構の締付け板を示す図である。 本発明によるシリンダ圧測定装置の容量性測定システムの第１のコンポーネントを示す図である。 本発明によるシリンダ圧測定装置の容量性測定システムの第２のコンポーネントを示す図である。 本発明によるシリンダ圧測定装置の支持スリーブの２つのセグメントを示す図である。

符号の説明

１０ シリンダ圧測定装置
１１ 支持スリーブ
１２ 軸線方向
１３ 径方向
１４ セグメント
１５ セグメント
１６ セグメント
１７ セグメント
１８ コンポーネント
１９ コンポーネント
２０ ドエルピン
２１ 間隔
２２ 固定機構
２３ 締付けリング
２４ 溝ナット
２５ 締付け部材
２６ 締付け板
２７ ねじ
２８ 突起部
２９ 容量性センサ
３０ 要素
３１ 切り欠き部
３２ 要素

Claims (5)

1. 支持スリーブがタイロッドを部分的に取り囲むように少なくとも１つの固定機構を介してシリンダのタイロッドに固定可能である、径方向および軸線方向に分割された支持スリーブを備える、内燃機関のシリンダの燃焼室内の圧力を燃焼室の外部で測定するための内燃機関用シリンダ圧測定装置であって、
   前記支持スリーブのうち分割によって径方向に互いに分離された少なくとも２つのセグメントに容量性測定システムのコンポーネントが割り当てられ、それにより、測定されるシリンダ圧によって引き起こされるタイロッドの長さの変化が、分割によって径方向に分離された前記セグメントの、したがって前記容量性測定システムの前記コンポーネントの軸線方向移動を引き起こすようになっており、
   前記支持スリーブの前記セグメントが、リング状要素によって互いに位置合わせされ、
   前記リング状要素が径方向に分離された前記セグメント間に配置されるシリンダ圧測定装置。
2. 前記支持スリーブが、径方向および軸線方向での分割により４つのセグメントに分離される、請求項１に記載のシリンダ圧測定装置。
3. 前記支持スリーブの前記セグメントが、その外端部に、内面に設けられたそれぞれ１つの突起部を備え、前記突起部が、前記タイロッドに取り付けられた状態で、前記タイロッドの外表面を押圧する、請求項１または請求項２に記載のシリンダ圧測定装置。
4. 前記シリンダ圧測定装置が、複数の前記固定機構を介して前記シリンダのタイロッドに固定可能であり、前記固定機構それぞれが、Ｕ字形の締付けリング、溝ナット、締付け部材および締付け板を含み、前記締付けリングが、その外端部で、前記締付け板、前記締付け部材および前記溝ナットを介して前記締付けリングに加えられる力が前記支持スリーブの前記セグメントを前記タイロッドに押しつけるように、前記支持スリーブのセグメントを取り囲む、請求項１から請求項３までのいずれか１項に記載のシリンダ圧測定装置。
5. 前記容量性測定システムの前記コンポーネントが、ドエルピンを介して前記支持スリーブの径方向に分離された前記セグメントと連結される、請求項１から請求項４までのいずれか１項に記載のシリンダ圧測定装置。

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