JP5382856B2 - 引留クランプおよび電線引留部の構造 - Google Patents
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この引留クランプ10は、径間側の電線4(本線)に圧縮接続されるクランプ本体1と、耐張式の鉄塔を迂回させるジャンパー線6に圧縮接続されるジャンパソケット2と、クランプ本体1に挿通されて圧縮接続される内蔵型クランプ3(「鋼クランプ」と呼ばれる)と、を備え、それらの部材が一体的に接続されて、引留クランプ10内のクランプ本体1とジャンパソケット2との接続部である板状接続部1bと凹形接続部2bとを介して、電線(本線)4とジャンパー線6とを電気的に接続する構成となっている。
また、クランプ本体1の円筒部1aには、引留め側の端部から内蔵型クランプ3が挿入され、他端側には電線4(本線)が挿入され、電線4の鋼心線を内蔵型クランプ3に予め圧縮接続された状態にして、クランプ本体1を外側から被せ、これを外周側から圧縮することにより、「本線4−内蔵型クランプ3−クランプ本体1」を一体的に圧縮接続して接合させている。
ここで、径間側電線4(本線)が挿入されるクランプ本体1の本線用圧縮接続部1cの挿入穴1c’、および、ジャンパソケット2のジャンパー線6が挿入されるジャンパー線用の圧縮接続部2aの挿入穴2a’は、いずれも電線に合わせた形状の円滑な円筒状に形成されている。
また、接触面(電接面)間の圧着接続は、ボルト・ナットを含む締結部材の締め付けによっているために、その締付施行時の締付力のバラツキや、環境の経年変化・振動などによっても、締め付け緩みを生ずることとなるので、雨水や塵埃の侵入も一層著しくなる。
その結果、上記のような引留クランプの凹凸接続方式の接触面(電接面)を持つ接続部では、腐食や酸化が促進され、接続部の電気抵抗も増えると共に電力ロスも大きくなり、しかも抵抗の増大によって過熱が発生するという問題点を有していた。
従来の引留クランプの改修方法としては、送電線の電力供給を停止させうえで、鉄塔上の宙乗り作業において、羽子板部の締め付け部材を外してその羽子板部を開放し、金属ブラシで羽子板部内の電接面を磨いて、絶縁被膜や汚れなどを取り除き、その後に再組み立てを行う、という改修方法が行われていた。
また、根本的な改修方法としては、異常箇所を切除し、正常品と交換することが望まれるが、このような改修工事には多くの時間や作業や費用などを要するため、停止時期選定等の問題もあって、速やかな対応が出来ないことがある。
張架される径間側電線に圧縮接続されるクランプ本体と、ジャンパー線に圧縮接続されるとともに前記クランプ本体とも接続されるジャンパソケットと、径間側が前記クランプ本体に挿通されて圧縮接続されるとともに引留め側に支持物との連結部を有する内蔵型クランプと、を備えた引留クランプであって、
前記クランプ本体は、前記径間側電線と内蔵型クランプとが挿入されて圧縮接続されるスリーブ状の円筒部と、前記ジャンパソケットに接続される板状接続部と、を備え、
前記板状接続部は、前記円筒部の引留め側の端部において、前記径間側電線と交わる平面と前記ジャンパー線の経路とに沿った板状電接面と、この板状電接面に交わる露出している側面と、を有する矩形立体形状を備え、
前記ジャンパソケットは、前記ジャンパー線との圧縮接続部と、前記クランプ本体の板状接続部を両側から挟み込み当該板状接続部の板状電接面に接続する凹形電接面およびそれに交わる露出している側面を有する凹形接続部と、を備え、
前記引留クランプは、前記クランプ本体の板状電接面と前記ジャンパソケットの凹形電接面とが接続される第1の導電経路とは別に、前記板状電接面と凹形電接面以外の接続箇所において前記クランプ本体とジャンパソケットとを電気的に接続する第2の導電経路を備え、
前記第2の導電経路は、前記クランプ本体の前記側面および前記ジャンパソケットの前記側面に重ねた金属体をそれぞれの側面に点接合することにより形成され、
前記点接合された箇所にはピンが押し込まれた跡があり、その周辺で前記クランプ本体又はジャンパソケットの材料と前記金属体の材料とが塑性流動現象により一体化されていることを特徴とする。
(2)(1)の引留クランプにおいて、
前記金属体は、前記クランプ本体との点接合箇所と前記ジャンパソケットとの点接合箇所との間に突出部を備えて構成される。
(3)(電線引留部の構造)
(1)の引留クランプによって、前記径間側電線を支持物に架設し、前記ジャンパー線を前記径間側電線と接続させるとともに前記支持物を迂回させた構成を備える、ことを特徴とする。
(1)の引留クランプの製造方法であって、
前記クランプ本体の前記側面および前記ジャンパソケットの前記側面に金属体を重ね、
前記クランプ本体と金属体および前記ジャンパソケットと金属体とを、それぞれフリクションスポット接合法により点接合することを特徴とする。
(5)(4)の引留クランプの製造方法において、
前記フリクションスポット接合法は、点接合する箇所に、回転するピンを押し込み、回転による摩擦熱でピン周辺のクランプ本体又はジャンパソケットの材料と金属体の材料とを軟らかくして塑性流動現象を起こして一体化する接合法であることを特徴とする。
(1)の引留クランプによって、前記径間側電線を支持物に架設し、前記ジャンパー線を前記径間側電線と接続させるとともに前記支持物を迂回させた構成を備える、電線引留部の構造の製造方法であって、
前記径間側電線を支持物に架設し、前記ジャンパー線を前記径間側電線と接続させた後に、
前記クランプ本体の前記側面および前記ジャンパソケットの前記側面に金属体を重ね、
前記クランプ本体と金属体および前記ジャンパソケットと金属体とを、それぞれフリクションスポット接合法により点接合することを特徴とする。
(7)(6)の電線引留部の構造の製造方法において、
前記フリクションスポット接合法は、点接合する箇所に、回転するピンを押し込み、回転による摩擦熱でピン周辺のクランプ本体又はジャンパソケットの材料と金属体の材料とを軟らかくして塑性流動現象を起こして一体化する接合法であることを特徴とする。
2.(突出部の効果)金属体を切り離す必要が生じた場合、容易に切断できる。
図1は本発明による引留クランプ100を説明するための図であり、図3に示した引留クランプ10と同一又は同等の構成部材については、同一の符号を用いている。
引留クランプ100は、張架される径間側電線4(本線)に圧縮接続されるクランプ本体1と、ジャンパー線6に圧縮接続されるとともにクランプ本体1とも電気的に接続されるジャンパソケット2と、径間側がクランプ本体1に挿通されて圧縮接続されるとともに引留め側に鉄塔などの支持物(図示せず)との連結部3aを有する内蔵型クランプ3と、を備えている。
ここで、クランプ本体1は、径間側電線4と内蔵型クランプ3とが挿入されて圧縮接続されたスリーブ状の円筒部1aと、ジャンパソケット2に接続される板状接続部1bと、を備えている。
このように、この引留クランプ100は、クランプ本体1の板状電接面(x1,x2)とジャンパソケット2の凹形電接面(y1,y2)とが接続される第1の導電経路を備えており、この第1の導電経路を介して、クランプ本体1とジャンパソケット2との電気的な接続が確保されている。
図1に示す第2の導電経路は、クランプ本体1の側面(sa,sa’)とジャンパソケット2の側面(sb,sb’)とをバイパス方式により電気的に接続させ、クランプ本体1とジャンパソケット2との間に新たな接続ルートを配設したものである。
図1の左図と中央図において、アルミ板などの金属体からなる導電性で細長薄厚板状体の導電部材αを用意しておく。そして、この導電部材αをクランプ本体1とジャンパソケット2との間を渡るように配置して、その所定箇所をクランプ本体1の側面saとジャンパソケット2の側面sbとの両方に接合し、クランプ本体1とジャンパソケット2との電気的な導通を確保することで、第2の導電経路を形成している。
ここで、引留クランプ100のクランプ本体1およびジャンパソケット2はアルミ材料ら製造されているので、導電部材αも同様のアルミ材料として、点接合(スポット接合)させることにより、歪みを最小に抑えて、短時間で容易に接合させることができる。
図1の右図は、導電部材α’を介して接続された引留クランプ100において、導電部材α’の接続箇所の中央を水平方向で切って下方向から見たときの断面図であり、2つの接合点α1’と接合点α2’とを点接合することにより、導電部材α’を介してクランプ本体1とジャンパソケット2とを電気的に導通させている。
導電部材α’の突出部αtは、クランプ本体1の板状電接面x1とジャンパソケット2の凹形電接面y1とが面接触して境界となっている箇所において外側に突出されており、その断面は略U字状または「コ」の字を成すような形状にされている。
なお、実施例では、「導電部材αや導電部材α’」として、板形状の導電性がある金属体を用いた例を示しているが、これに限らず、棒状導体、線状導体、撚線状導体、可撓性金属導体などの種々な形状の導体を用いることができ、そのような導体においても突出部αtを設けることは容易である。
「フリクションスポット接合手段(FSJ)」は、「摩擦攪拌接合法(FSW)」を改良・発展させたものであって、図2には「FSJにおける塑性流動の複式図」と「FSJプロセスの複式図」を示した。
図2に示すように、「FSJ」は、先端にネジ付きの突起(ピン)を持つ円柱状の接合ツールを1分間に2,000〜2,500回転させながら、400〜500kg/cm2の圧力で材料中に押し込むと、回転による摩擦熱で材料が柔らかくなり、ピンの周辺で塑性流動現象が起こって2枚の板が一体化する、というものである。
また、点接合手段によって、点接合された箇所は金属的に一体化した結合となり、その後に経年劣化することなく、簡単な点接合作業により実施容易のローコストの改修をすることができる。
そして、点接合手段として、「フリクションスポット接合法(FSJ)」を用いれば、一箇所の接合に要する時間は秒単位なので、従来の改修方法と比較し、作業時間の短縮および工事コストの低減を計ることができる。
1 クランプ本体
1a 円筒部
1b 板状接続部(通称:羽子板部)
x1、x1’ 板状接続部1bの外面の電接面
sa、sa’ 板状接続部1bの側面
2 ジャンパソケット
2a ジャンパー線の接続部
2b 凹形接続部
y1、y1’ 凹形接続部2bの内面の電接面
sb、sb’ 凹形接続部2bの側面
3 内蔵型クランプ(通称:鋼クランプ)
4 径間側の電線(本線)
5 締付部材
6 ジャンパー線(電線)
α 導電部材(板状導電部材)
α’ 突出部を備える導電部材
αt 突出部
α1、α1’、α2、α2’ 点接合部
Claims (7)
- 張架される径間側電線に圧縮接続されるクランプ本体と、ジャンパー線に圧縮接続されるとともに前記クランプ本体とも接続されるジャンパソケットと、径間側が前記クランプ本体に挿通されて圧縮接続されるとともに引留め側に支持物との連結部を有する内蔵型クランプと、を備えた引留クランプであって、
前記クランプ本体は、前記径間側電線と内蔵型クランプとが挿入されて圧縮接続されるスリーブ状の円筒部と、前記ジャンパソケットに接続される板状接続部と、を備え、
前記板状接続部は、前記円筒部の引留め側の端部において、前記径間側電線と交わる平面と前記ジャンパー線の経路とに沿った板状電接面と、この板状電接面に交わる露出している側面と、を有する矩形立体形状を備え、
前記ジャンパソケットは、前記ジャンパー線との圧縮接続部と、前記クランプ本体の板状接続部を両側から挟み込み当該板状接続部の板状電接面に接続する凹形電接面およびそれに交わる露出している側面を有する凹形接続部と、を備え、
前記引留クランプは、前記クランプ本体の板状電接面と前記ジャンパソケットの凹形電接面とが接続される第1の導電経路とは別に、前記板状電接面と凹形電接面以外の接続箇所において前記クランプ本体とジャンパソケットとを電気的に接続する第2の導電経路を備え、
前記第2の導電経路は、前記クランプ本体の前記側面および前記ジャンパソケットの前記側面に重ねた金属体をそれぞれの側面に点接合することにより形成され、
前記点接合された箇所にはピンが押し込まれた跡があり、その周辺で前記クランプ本体又はジャンパソケットの材料と前記金属体の材料とが塑性流動現象により一体化されていることを特徴とする引留クランプ。 - 請求項1に記載の引留クランプにおいて、
前記金属体は、前記クランプ本体との点接合箇所と前記ジャンパソケットとの点接合箇所との間に突出部を備えて構成される、ことを特徴とする引留クランプ。 - 請求項1の引留クランプによって、前記径間側電線を支持物に架設し、前記ジャンパー線を前記径間側電線と接続させるとともに前記支持物を迂回させた構成を備える、ことを特徴とする電線引留部の構造。
- 請求項1の引留クランプの製造方法であって、
前記クランプ本体の前記側面および前記ジャンパソケットの前記側面に金属体を重ね、
前記クランプ本体と金属体および前記ジャンパソケットと金属体とを、それぞれフリクションスポット接合法により点接合することを特徴とする引留クランプの製造方法。 - 前記フリクションスポット接合法は、点接合する箇所に、回転するピンを押し込み、回転による摩擦熱でピン周辺のクランプ本体又はジャンパソケットの材料と金属体の材料とを軟らかくして塑性流動現象を起こして一体化する接合法であることを特徴とする請求項4に記載の引留クランプの製造方法。
- 請求項1の引留クランプによって、前記径間側電線を支持物に架設し、前記ジャンパー線を前記径間側電線と接続させるとともに前記支持物を迂回させた構成を備える、電線引留部の構造の製造方法であって、
前記径間側電線を支持物に架設し、前記ジャンパー線を前記径間側電線と接続させた後に、
前記クランプ本体の前記側面および前記ジャンパソケットの前記側面に金属体を重ね、
前記クランプ本体と金属体および前記ジャンパソケットと金属体とを、それぞれフリクションスポット接合法により点接合することを特徴とする電線引留部の構造の製造方法。 - 前記フリクションスポット接合法は、点接合する箇所に、回転するピンを押し込み、回転による摩擦熱でピン周辺のクランプ本体又はジャンパソケットの材料と金属体の材料とを軟らかくして塑性流動現象を起こして一体化する接合法であることを特徴とする請求項6に記載の電線引留部の構造の製造方法。
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