基板の外周部分の一部分を除いてシールを形成し、このシールを形成していない部分を注入口とし、注入口に絶縁接着剤の樹脂を接液させることによって積層した基板間の隙間に絶縁接着剤の樹脂を注入する際、注入口の接液部分には絶縁接着剤の樹脂が付着する。また、絶縁接着剤の樹脂を脱泡した際に、この脱泡時に樹脂の泡が崩壊すると、崩壊で生じた樹脂の飛沫が飛散して基板の外側表面に付着する。
絶縁接着剤は、基板間の隙間に注入した後に硬化させることで基板を接合する。この絶縁接着剤を硬化する処理において、注入口部分や基板の外表面に付着した絶縁接着剤の樹脂は、絶縁接着剤の樹脂を硬化させる前の段階で除去しておく必要がある。基板の外側に絶縁接着剤の樹脂を付着したままの状態で硬化させると、基板面に凹凸が形成され、外径寸法や厚さが不均一となって寸法精度が低下するという問題がある。この基板の寸法精度の低下は、移行処理における基板の位置決め精度に影響することにもなる。
基板の外側に付着した絶縁接着剤の樹脂の除去は、一般的には、例えば拭き取り材等による機械的な除去方法が考えられるが、絶縁接着剤の樹脂は概して高粘度であるため、このような機械的な除去方法では、多数の工程を必要とするという問題がある。
また、基板に付着した絶縁接着剤の樹脂を除法する方法として、上記した機械的な方法の他に、薬液を用いた湿式洗浄が考えられる。しかしながら、湿式洗浄では、薬液が注入口を通して基板間の隙間に浸入し、基板間に注入した絶縁接着剤の樹脂を変質させるおそれがある。
そこで、本発明は前記した従来の問題点を解決し、基板に付着した剰余の絶縁接着剤を簡易な工程で除去することを目的とし、また、基板間に注入した絶縁接着剤に薬液等が浸入することなく除去することを目的とする。
本発明は、積層した基板間に絶縁接着剤を注入した後、この絶縁接着剤の注入に用いた注入口を封止する。このとき、基板間に注入した絶縁接着剤は硬化させない。注入口を封止した後に基板を洗浄液で洗浄し、注入口や基板の外側に付着した絶縁接着剤を除去する。この洗浄時には注入口は封止されているため、洗浄液が基板間に注入した絶縁接着剤に浸入することを防ぐことができる。余剰の絶縁接着剤を除去した後、基板間に注入した絶縁接着剤を硬化させる。
注入口を封止した状態で基板の外側を洗浄液で洗浄することによって、基板間に注入した絶縁接着剤に浸入することなく余剰の絶縁接着剤を除去することができる。
本発明は方法の態様と装置の態様とすることができる。
本発明の積層基板の形成方法は、少なくとも2枚の複数枚の基板を積層して積層基板を形成する積層基板の形成方法であり、積層基板は一部を除いて外周端面に外周シールが設けられている。
本発明の積層基板の形成方法は、積層基板の外周シールの一部に設けられた注入口から、基板間と外周シールとで囲まれる隙間内に、真空差圧法によって絶縁接着剤を注入する注入工程と、絶縁接着剤を注入した後に注入口を封止する封止工程と、積層基板を洗浄液を用いて湿式洗浄を行う洗浄工程と、絶縁接着剤を硬化させる絶縁接着剤硬化工程とを、順に備える。
図1、2は、本発明の積層基板の形成方法を説明するためのフローチャートおよび説明図である。なお、このフローチャートでは、積層基板の外周部分に外周シールを形成する工程から説明しているが、積層基板の外周部分に外周シールが形成された状態からはじめても良い。
積層基板10の外周部分に外周シール28を形成する(S1)。このとき、外周部分の一部に外周シール28を設けない部分を設け、この部分を絶縁接着剤の基板間への注入口16とする(図2(a))。注入工程によって外周シール28と基板10間とで囲まれる空間内に絶縁接着剤41を注入する。空間内に注入した絶縁接着剤44を硬化させることで基板10は接着される。この注入時において、注入前の絶縁接着剤41を脱泡した際に、絶縁接着剤の樹脂の泡が崩壊すると、飛散した樹脂45が基板10の外側に付着する。また、注入口16の付近には、絶縁接着剤41を接液した際に付着した絶縁接着剤46が残る(S2)。
絶縁接着剤41を注入した後、封止工程によって封止シール29を形成し、注入口16を封止する。この封止によって、内部の絶縁接着剤44への浸入は抑制される(S3)。
次に、洗浄工程によって洗浄液を用いて積層基板10の外側を湿式洗浄する。封止工程によって注入口16は封止されているため、基板10間に注入した絶縁接着剤44に洗浄液が浸入することによる絶縁接着剤の変質を防ぐことができる(S4)。洗浄工程によって、積層基板の外側に付着した余剰の絶縁接着剤は除去されるため、絶縁接着剤硬化工程は基板間に注入された絶縁接着剤のみを硬化する(S5)。
注入口を封止する封止工程は、注入口にシール材を塗布する塗布工程と、塗布したシール材を硬化させるシール材硬化工程とを含む。塗布工程は、シール材を含浸あるは付着させたローラを注入口に接触させることにより注入口にシール材を塗布する他、ディスペンサによって塗布することができる。
シール材と絶縁接着剤とは異なる硬化特性とし、シール材の硬化特性は絶縁接着剤の硬化条件に含まれない硬化条件を有している。シール材硬化工程は、絶縁接着剤の硬化条件に含まれないシール材の硬化条件でシール材を硬化する。
シール材と絶縁接着剤とを異なる硬化特性とするものとして、例えば、シール材および絶縁接着剤を熱硬化性樹脂とする。これらの硬化特性は、シール材の硬化温度を絶縁接着剤の硬化温度よりも低温とする。シール材硬化工程において、少なくともシール材の硬化温度以上で、かつ、絶縁接着剤の硬化温度よりも低温の温度でシール材を硬化させる。一方、絶縁接着剤硬化工程において、少なくとも絶縁接着剤の硬化温度以上の温度で絶縁接着剤を硬化させる。
また、シール材と絶縁接着剤とを異なる硬化特性とする他のものとして、シール材を紫外線硬化樹脂とし、絶縁接着剤を熱硬化性樹脂とする。シール材硬化工程において、シール材に紫外線を照射して硬化させる。一方、絶縁接着剤硬化工程において、少なくとも絶縁接着剤の温度以上の温度で絶縁接着剤を硬化させる。
シール材と絶縁接着剤とを上記にように異なる硬化特性とすることにより、シール材と絶縁接着剤とを個別に硬化させることができる。
洗浄工程は、例えば、積層基板を洗浄液中に浸漬することで行う他に、積層基板を軸回転させ、軸回転する積層基板の面に洗浄液を滴下することで行うことができる。
また、本発明の積層基板の形成装置は、少なくとも2枚の複数枚の基板を積層して積層基板を形成する積層基板の形成装置である。本発明の積層基板の形成装置は、積層基板の一部を除いて外周端面に外周シールを形成する外周シール形成部と、積層基板の外周シールの一部に設けた注入口から、基板間と前記外周シールとで囲まれる隙間内に、真空差圧法によって絶縁接着剤を注入する注入部と、絶縁接着剤を注入した後に注入口を封止する封止シール形成部と、積層基板を洗浄液を用いて湿式洗浄を行う洗浄部と、絶縁接着剤を硬化させる絶縁接着剤硬化部とを備える。
さらに、外周シール形成部は、積層基板の一部を除く外周端面にシール材を塗布する第1のシール塗布手段と、シール材を硬化する第1のシール材硬化手段とを有する構成とすることができる。
また、封止シール形成部は、注入口にシール材を塗布する第2の塗布手段と、塗布したシール材を硬化させる第2のシール材硬化手段とを含む構成とすることができる。
塗布手段は、例えば、シール材を含浸あるいは付着させたローラを有し、ローラを注入口に接触させることにより注入口にシール材を塗布する構成とする他、シール材を滴下するディスペンサの構成とすることができる。
第2のシール材硬化手段と絶縁接着剤硬化部とは異なる硬化条件で硬化させ、第2のシール材硬化手段は、絶縁接着剤の硬化条件に含まれない硬化条件で硬化させる。
シール材および絶縁接着剤として熱硬化性樹脂を用いる場合には、熱硬化の硬化条件として硬化温度を設定する。シール材の硬化温度は、絶縁接着剤の硬化温度よりも低温とする。第2のシール材硬化手段は、硬化条件として、少なくともシール材の硬化温度以上であり、かつ、絶縁接着剤の硬化温度よりも低温の温度とし、この硬化条件でシール材を硬化させる。一方、絶縁接着剤硬化部は、少なくとも絶縁接着剤の硬化温度以上の温度を硬化条件とし、この硬化条件で絶縁接着剤を硬化させる。
また、シール材として紫外線硬化樹脂を用い、絶縁接着剤として熱硬化性樹脂を用いる場合には、硬化条件として紫外線と熱硬化の硬化温度を設定する。
第2のシール材硬化手段は、シール材に紫外線を照射して硬化させる。一方、絶縁接着剤硬化部は、少なくとも絶縁接着剤の温度以上の温度で絶縁接着剤を硬化させる。
洗浄部の一構成として、洗浄液を収容した容器を有する。この容器の洗浄液中に積層基板を浸漬することで基板の外側に付着した余剰の絶縁接着剤を除去する。
また、洗浄部の他の構成として、積層基板を軸回転させる回転駆動手段と、積層基板の面上に洗浄液を滴下する洗浄液手段とを備える構成とすることができる。積層基板の面上に滴下された洗浄液は、回転する基板の遠心力によって面上を外周部に向かって拡がり、その間に基板面上に付着する絶縁接着剤を除去する。基板面上から除去された余剰の絶縁接着剤は、洗浄液と共に基板の外周端から放出される。
本発明によれば、基板に付着した剰余の絶縁接着剤を簡易な工程で除去することができ、また、基板間に注入した絶縁接着剤に浸入することなく除去することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
図3は、本発明の積層基板の形成方法を説明するためのフローチャートである。なお、このフローチャートにおいても、図1のフローチャートと同様に、積層基板の外周部分に外周シールを形成する工程から説明しているが、積層基板の外周部分に外周シールが形成された状態からはじめても良い。
S1の外周シールの形成工程では、注入口を除く積層基板の外周部分にシール材を塗布し(S1a)、このシールを硬化させて外周シールを形成する(S1b)。S2の絶縁接着剤の注入工程では、外周シールが設けられていない注入口から、外周シールと基板10間とで囲まれる隙間内に絶縁接着剤を注入する。
S3の封止シールの形成工程では、絶縁接着剤を注入した後、注入口にシール材を塗布し(S3a)、このシール材を硬化させて封止シールを形成する。
S4の基板の洗浄工程では、洗浄液を用いて積層基板の外側に付着する絶縁接着剤を除去する。洗浄工程で絶縁接着剤を除去した後、S5の絶縁接着剤硬化工程によって、基板間に注入した絶縁接着剤を硬化し、積層した基板を接着する。
以下、S1の外周シールの形成工程、およびS3の封止シールの形成工程で行うシール材の塗布について図4〜図9を用いて説明し、S2の絶縁接着剤の注入工程を図10〜図12を用いて説明し、S3〜S5の封止、洗浄、および硬化の各工程について図13〜図15を用いて説明し、S5の洗浄工程について図16,17を用いて説明する。
S1の外周シールの形成工程では積層基板の外周部分にシール材を塗布し、S3の封止シールの形成工程では積層基板の注入口にシール材を塗布する。以下、このシール材の塗布の例として、転写ロールを用いる塗布の例と、ディスペンサを用いる塗布の例について説明する。
転写ロールを用いた塗布は、積層基板の外周端面にシール材の樹脂を浸透させた塗布ローラを接触させ、積層基板を軸回転させることによって、積層基板の外周端面を連続的にシールする。また、ディスペンサを用いた塗布は、積層基板の外周端面にディスペンサからシール材の樹脂を連続的に線引き滴下させ、積層基板を軸回転させることによって、積層基板の外周端面を連続的にシールする。
はじめに、転写ロールを用いたシール材の塗布構成例について、図4〜図6を用いて説明する。図4は転写ロールを用いたシール材の塗布構成例の概略斜視図であり、図5、6は転写ロールを用いたシール材の塗布動作を説明するフローチャートおよび動作図である。
図4において、シール塗布部は、積層基板10を支持すると共に、積層基板10を軸回転させる駆動ローラ23と従動ローラ24を備える他、積層基板10を下方に押圧する押さえローラ25を備える。押さえローラ25は、例えば押さえバネ26によって積層基板10を下方に押させる。なお、従動ローラ24は駆動ローラとしてもよい。
また、シール塗布部は、シール材の樹脂20を保持する容器21と、積層基板10の外周端面11と接触してシール材の樹脂20を塗布する塗布ローラ22を備える。塗布ローラ22の一部は、容器21内に保持されるシール材の樹脂20に漬すことによって、ローラ面にシール材の樹脂を含浸あるいは付着させ、このシール材を積層基板10の外周端面11に付着させる転写ローラの役を成している。
シール塗布部は、駆動ローラ23、従動ローラ24、および押さえローラ25によって積層基板10を回転させると共に、積層基板10の外周端面11の一部に塗布ローラ22を押し当てる。塗布ローラ22のローラ面には、シール材の樹脂が含浸あるいは付着されているため、塗布ローラ22を積層基板10の外周端面11の接触させることによって、シール材の樹脂はローラ面上から外周端面11に転写され、外周端面11には樹脂が塗布される。
なお、塗布ローラ22の外周面にスクレーバ27を当接することによって、ローラ面に余剰に付着した樹脂を取り除き、積層基板10の外周端面11と接触する塗布面での樹脂量を一定に保持させることができる。
次に、第1の構成例によるシール材に樹脂の塗布動作について、図5のフローチャートおよび図6の動作を説明する図を用いて説明する。
積層基板10をシール塗布部に取り付ける(図6(a))(S11)。積層基板10の外周端面11に設けるシールは、真空差圧法による圧力差によって基板間の隙間に絶縁接着剤を注入するために基板の外周部分を囲む外周シールを構成する部材である。この外周シールは、この囲み部分を形成するために、シール材の樹脂を塗布する部分(塗布範囲12)と、接着剤を内部に注入する注入口16を形成するために、シール材の樹脂を塗布しない部分(塗布除外範囲13)とを備える。塗布ローラ22を図示していない上昇機構によって上昇させて、積層基板10の外周部分の任意の開始点28aに接触させる。図6(b)は上昇前の状態を示し、図6(c)は上昇後の状態を示している(S12)。
塗布ローラ22を積層基板10の開始点28aに接触させた後、駆動ローラ23によって積層基板10を回転させ、シール材の樹脂20を塗布ローラ22から積層基板10の外周端面11に転写させる。図6(d)は、塗布ローラ22から積層基板10の外周端面11にシール材の樹脂20を転写する途中状態を示している(S13)。
積層基板10を回転させながら樹脂20を所定位置まで塗布する。図6(e)は、積層基板10を終点28bまで所定角度回転させた状態を示している。これによって、積層基板10の外周端面11において、塗布範囲12にはシール材の樹脂20が塗布され、塗布除外範囲にはシール材の樹脂20は塗布されない(S14)。
樹脂20を塗布した後、図示しない昇降機構によって、塗布ローラ22を積層基板10の外周端面11から移動して、塗布ローラ22を積層基板10の外周端面11から切り離す(S15)。
シール塗布部において、積層基板10の外周端面11にシール材の樹脂を塗布した後、積層基板10を硬化部に移動させる。硬化部において、積層基板10に塗布した樹脂を硬化させる。この樹脂の硬化は、例えば樹脂が紫外線硬化性樹脂である場合には紫外線を照射することで硬化させ、また、樹脂が熱硬化性樹脂である場合には硬化温度に加熱することで硬化させる(S16)。シール材の樹脂を硬化させた後、積層基板をシール形成装置から取り出し(S17)、その後、積層基板の基板間の隙間に絶縁接着剤を注入して基板どうしを接着させる。
次に、ディスペンサを用いたシール材の塗布構成例について、図7〜図9を用いて説明する。図7はディスペンサを用いたシール材の塗布構成例の概略斜視図であり、図8、9はディスペンサを用いたシール材の塗布動作を説明するフローチャートおよび動作図である。
図7において、シール塗布部は、積層基板10を支持すると共に、積層基板10を軸回転させる駆動ローラ23、従動ローラ24および押えローラ25を備える。また、シール塗布部は、積層基板10の外周端面11にシール材の樹脂を線引き滴下するディスペンサ30を備える。
シール塗布部は、ディスペンサ30から積層基板10の外周端面11にシール材の樹脂を滴下させ、この状態で駆動ローラ23、従動ローラ24によって積層基板10を回転させることによって、外周端面11にシール材の樹脂を線引きする。これによって、外周端面11には樹脂が連続して塗布される。
次に、ディスペンサを用いた構成例によるシール材に樹脂の塗布動作について、図8のフローチャートおよび図9の動作を説明する図を用いて説明する。
はじめに、積層基板10をシール塗布部に取り付ける(図9(a))(S21)。積層基板10の外周端面11に設けるシールは、真空差圧法による圧力差によってウェハ間の隙間に絶縁接着剤を注入するためにウェハの外周部分を囲む構成部材である。このシールは、この囲み部分を形成するために、シール材の樹脂を塗布する部分(塗布範囲12)と、絶縁接着剤を内部に注入する注入口16を形成するために、シール材の樹脂を塗布しない部分(塗布除外範囲13)とを備える。
ディスペンサ30を図示していない上昇機構によって下降させて、積層基板10の任意の開始点28aに接触させる。図9(b)は下降前の状態を示し、図9(c)は下降後の状態を示している(S22)。
ディスペンサ30を積層基板10の開始点28aに接触させた後、ディスペンサ30からシール材の樹脂の吐出を開始し(S23)、ディスペンサ30を積層基板10から離す。樹脂は粘度を有しているため、樹脂は、糸を引くようにして積層基板10の外周端面11に繋がっている(S24)。
ディスペンサ30の吐出口から樹脂を吐出されながら、駆動ローラ23によって積層基板0を回転させると、外周端面11には樹脂が線引き滴下される。図9(d)は、ディスペンサ30から積層基板10の外周端面11にシール材の樹脂20を線引き滴下する途中状態を示している(S25)。
積層基板10を回転させながら樹脂20を所定位置まで塗布する。図9(e)は、積層基板10を終点28bまで所定角度回転させた状態を示している。これによって、積層基板10の外周端面11において、塗布範囲12にシール材の樹脂20が塗布され、塗布除外範囲にはシール材の樹脂20は塗布されない(S26)。
樹脂20を塗布した後、図示しない昇降機構によって、ディスペンサ30を積層基板10の外周端面11から移動させて、ディスペンサ30を積層基板10の外周端面11に一端接触させ(図9(e))(S27)、ディスペンサ30からの樹脂の吐出を停止した後(S28)、切り離す(図9(f))。ディスペンサ30を一端接触させた後に、ディスペンサ30を遠ざけて切り離すことによって、樹脂の終点位置28bを位置決めすることができる(S29)。
シール塗布部において、積層基板10の外周端面11にシール材の樹脂を塗布した後、積層基板10を硬化部に移動させる。硬化部において、積層基板10に塗布した樹脂を硬化させる。この樹脂の硬化は、例えば樹脂が紫外線硬化性樹脂である場合には紫外線を照射することで硬化させ、また、樹脂が熱硬化性樹脂である場合には加熱することで硬化させる(S30)。シール材の樹脂を硬化させた後、積層基板をシール形成装置から取り出し(S31)、その後、積層基板の基板間の隙間に絶縁接着剤を注入して基板を接着させる。
次に、接着剤注入部の構成例について説明する。図10は接着剤注入部の構成例の概略斜視図である。
図10において、接着剤注入部は、カセット100に保持された積層基板10を導入し、積層基板10の基板10a,10b間に絶縁接着剤を注入する。積層基板10は、カセット100内に注入口を下方位置に位置あわせた状態で接着剤注入室内に取り付けられる。接着剤注入部は、積層基板10の注入口と接液して絶縁接着剤を注入するために、絶縁接着剤41の絶縁樹脂を保持する容器42を備える。接着剤注入室は、内部を真空に減圧する真空ポンプと、内部を大気圧に戻すあるいは加圧するためにガスを導入するガス導入部を備える。
容器42は昇降部(図示していない)によって上下動自在である。容器42を上昇させることによって、絶縁接着剤41を積層基板10の注入口16に接液させることができ、一方、容器42を下降させることによって、絶縁接着剤41を積層基板10の注入口から離すことができる。
次に、絶縁接着剤の樹脂の注入動作について、図11のフローチャート、および図12の注入動作を説明するための図を用いて説明する。
はじめに真空ポンプによって接着剤注入室内を真空に排気する(S41)。外周端面にシールを形成した積層基板10を接着剤注入室内に導入し(S42)、接着剤注入室内でカセット100を位置決めすることによって積層基板10の位置決めを行う(図12(a))(S43)。
真空状態の接着剤注入室内に導入された積層基板10は、積層基板10の基板間の隙間も真空状態となっている。昇降部43を駆動して容器42を上昇させ、積層基板10の注入口16に絶縁接着剤41の液を接液させる(図12(b))(S44)
その後、ガス導入部(図示していない)によって接着剤注入室内にN2ガスを導入し、接着剤注入室内の圧力を、大気圧あるいは大気圧以上の圧力に高める。このガス導入による容器内の圧力上昇によって、積層基板10の内外に圧力差を生じさせる。この圧力差によって、絶縁接着剤41の樹脂は積層基板10の基板間の隙間に浸透し、絶縁接着剤の注入を行うことができる。このとき、絶縁接着剤41を加熱して粘性を下げることによって、絶縁接着剤41の注入を容易とすることができる(図12(c))(S45)。
絶縁接着剤41の注入が完了した後、昇降部を駆動して容器を下降させ、絶縁接着剤41を積層基板0の注入口16から離す(S46)。
次に、S3〜S5の封止、洗浄、および硬化の各工程において、封止用のシール材を先に硬化させ、次に絶縁接着剤を硬化させるための手順について、図13〜図15を用いて説明する。
図13(a)は封止用のシール材と絶縁接着剤とが共に熱硬化性樹脂である場合を示し、図13(b)は封止用のシール材は紫外線硬化樹脂であり、絶縁接着剤は熱硬化性樹脂である場合を示している。図14は図13(a)の場合のフローチャートを示し、図15は図13(b)の場合のフローチャートを示している。
封止用のシール材と絶縁接着剤とが共に熱硬化性樹脂である場合、加熱することによって封止用のシール材を硬化させたとき絶縁接着剤も同時に硬化してしまい、剰余の絶縁接着剤を除去することが困難となる。
そこで、封止用のシール材と絶縁接着剤とが共に熱硬化性樹脂である場合には、封止用のシール材の硬化温度と熱硬化性樹脂の硬化温度とを異ならせることによって、封止用のシール材を熱硬化した際に、絶縁接着剤が熱硬化しないようにする。より詳細には、封止用のシール材の硬化温度を熱硬化性樹脂の硬化温度よりも低温とし、シール材硬化工程には、シール材の硬化温度以上であって、かつ、絶縁接着剤の硬化温度よりも低温の温度に加熱することでシール材を硬化させ、その後の絶縁接着剤硬化工程において、絶縁接着剤の硬化温度以上の温度に加熱することで絶縁接着剤を硬化させる。
はじめに、積層基板の注入口から基板間の隙間内に絶縁接着剤を注入する(図13(a)中の1)(S51)。
シール材の硬化温度T1以上であって絶縁接着剤の硬化温度T2よりも低い温度まで加熱する。この加熱によって、絶縁接着剤を硬化することなくシール材のみを硬化することができる。これによって、積層基板の注入口は封止シールによって封止される(図13(a)中の2)(S52)。
次に、基板を洗浄する。この洗浄時には、注入口は封止シールでふさがれているため、基板間に注入した絶縁接着剤に洗浄液が侵入することはない(図13(a)中の3)(S53)。基板を洗浄して余剰の絶縁接着剤を除去した後、絶縁接着剤の硬化温度T2以上まで加熱する。この加熱によって絶縁接着剤は硬化され、基板は接着される(図13(a)中の4)(S54)。
封止用のシール材が紫外線硬化性樹脂であり、絶縁接着剤が熱硬化性樹脂である場合には、硬化条件が一方は紫外線照射であり、他方は加熱であるため、それぞれ個別の硬化条件を適用することによって、封止用のシール材を熱硬化した際に、絶縁接着剤が熱硬化しないようにする。シール材硬化工程には、シール材に紫外線を照射することによりシール材を硬化させ、その後の絶縁接着剤硬化工程において、絶縁接着剤の硬化温度以上の温度に加熱することで絶縁接着剤を硬化させる。
はじめに、積層基板の注入口から基板間の隙間内に絶縁接着剤を注入する(図13(b)中の1)(S61)。
シール材に紫外線を照射する。この紫外線照射によって、絶縁接着剤を硬化することなくシール材のみを硬化することができる。これによって、積層基板の注入口は封止シールによって封止される(図13(b)中の2)(S62)。
次に、基板を洗浄する。この洗浄時には、注入口は封止シールでふさがれているため、基板間に注入した絶縁接着剤に洗浄液が侵入することはない(図13(b)中の3)(S63)。基板を洗浄して余剰の絶縁接着剤を除去した後、絶縁接着剤の硬化温度T2以上まで加熱する。この加熱によって絶縁接着剤は硬化され、基板は接着される(図13(b)中の4)(S64)。
次に、S5の洗浄工程について図16,17を用いて説明する。ここでは、2つの洗浄形態について説明する。
第1の洗浄の形態は、積層基板を洗浄液中に浸漬するものである。図16は第1の洗浄の形態を説明するための図である。
洗浄槽50に洗浄液を貯めておき、この洗浄液中に積層基板10を浸漬することで、積層基板10の外側に付着する絶縁接着剤を除去する。このとき、積層基板10を揺動させることで、洗浄効率を高めることができる。積層基板10は、基板カセット100に保持した状態で、基板カセット100と共に洗浄液内に浸漬することができる。洗浄液は、例えば界面活性剤を用いることができる。
第2の洗浄の形態は、遠心力を利用して積層基板上に洗浄液を拡散させるものである。図17は第2の洗浄の形態を説明するための図である。
容器52内において、積層基板10をモータ53によって軸回転自在とし、この積層基板10上に洗浄液51を滴下させる構成である。回転中の積層基板10に面上に洗浄液51を滴下させると、洗浄液51は回転する基板と接触することで遠心力を受け、積層基板10の外周端方向に向かって移動し、基板面上に拡散する。これによって、基板面上に付着した絶縁接着剤は洗浄液によって除去される。また、注入口の近傍に付着した絶縁接着剤についても、洗浄液によって除去される。この第2の形態によれば、洗浄液の消費量を低減させることができる。
上記した第1の洗浄形態では、洗浄液内に積層基板の全体を浸漬しているが、積層基板の一部を接液させた状態で積層基板を回転させる構成としてもよい。
次に、図18〜図24を用いて本発明の積層基板の形成装置の構成例について説明する。積層基板形成装置は、積層基板の外周端面にシールを形成する外周シール形成工程を行う部分と、外周シールを形成した積層基板の基板間の隙間に絶縁接着剤を注入する注入工程を行う部分と、外周シールの一部に設けた注入口を封止する封止シール形成工程を行う部分と、基板の外側を洗浄する洗浄工程を行う部分と、積層基板の基板を接着するために絶縁接着剤を硬化させる硬化工程を行う部分とを備える。
図18は、積層基板を形成する構成例の概略を説明するための概略図である。図18に示す構成例は、外周シール形成工程、絶縁接着剤の注入工程、封止シールの形成工程、洗浄工程、および絶縁接着剤の硬化工程の各工程に対応する部位をライン状に配置したインライン形式の例を示している。
外周シール形成工程は第1シール材塗布部2Aと第1シール材硬化部3Aによって行われ、絶縁接着剤の注入工程は注入部4によって行われ、封止シールの形成工程は第2シール材塗布部2Bと第2シール材硬化部3Bによって行われ、洗浄工程は洗浄部5によって行われ、硬化工程は硬化部6によって行われる。各部は仕切弁を介して連接されるチャンバによって構成される。
第1シール材塗布部2Aは、シール材塗布室2Aa内にシール材2Abを貯めた容器を昇降部2Acによって昇降自在に備える。仕切弁を通して積層基板10を基板カセット100と共にシール材塗布室2Aa内に導入し、導入した積層基板10の外周端面にシール材の樹脂を塗布する。
第1シール材硬化部3Aは、第1シール材硬化室3Aa内にシール材を硬化させる硬化装置3Abを備える。硬化装置3Abは、シール材が熱硬化性樹脂である場合には加熱装置とし、シール材が紫外線硬化性樹脂である場合には紫外線照射装置とすることができる。積層基板10を基板カセット100と共に、仕切弁を通してシール材塗布室2Aaから第1シール材硬化室3Aa内に導入し、導入した積層基板10の外周端面に塗布したシール材を硬化して外周シールを形成する。
注入部4は、注入室4a内に絶縁接着剤4bを貯めた容器を昇降部4cによって昇降自在に備える。注入部4は、注入室4aを真空排気する真空ポンプ4d、注入室4aを大気に戻すためにN2ガス等のガスを導入するガス導入部4eを備える。注入部4は、真空ポンプ4dの真空排気による真空状態と、ガス導入部4eのガス導入による大気圧あるいは大気圧を越える圧力による圧力状態との圧力差を利用した真空差圧法によって、積層基板10の基板間の隙間に絶縁接着剤を導入する。
積層基板10を基板カセット100と共に、仕切弁を通してシール材硬化室3Aaから注入室4a内に導入し、導入した積層基板10の基板間の隙間に絶縁接着剤を注入する。
第2シール材塗布部2Bは、シール材塗布室2Ba内にシール材2Bbを貯めた容器を昇降部2Bcによって昇降自在に備える。仕切弁を通して積層基板10を基板カセット100と共に注入室4aからシール材塗布室2Ba内に導入し、導入した積層基板10の注入口にシール材の樹脂を塗布する。
第2シール材硬化部3Bは、第2シール材硬化室3Ba内にシール材を硬化させる硬化装置3Bbを備える。硬化装置3Bbは、シール材が熱硬化性樹脂である場合には加熱装置とし、シール材が紫外線硬化性樹脂である場合には紫外線照射装置とすることができる。積層基板10を基板カセット100と共に、仕切弁を通してシール材塗布室2Baから第2シール材硬化室3Ba内に導入し、導入した積層基板10の注入口に塗布したシール材を硬化して封止シールを形成する。
洗浄部5は、洗浄室5a内に、洗浄液5cを貯めた容器5bを備える。積層基板10を基板カセット100と共に、仕切弁を通して第2シール材硬化室3Baから洗浄室5a内に導入し、導入した積層基板10の基板の外側に付着した絶縁接着剤を除去する。
硬化部6は、硬化室6a内に絶縁接着剤を硬化させる硬化装置6bを備える。硬化装置6bは、絶縁接着剤の熱硬化性樹脂を加熱して硬化させる加熱装置を備える。積層基板10を基板カセット100と共に、仕切弁を通して洗浄室5aから硬化室6a内に導入し、導入した積層基板10の基板間に注入した絶縁接着剤を硬化して基板を接着する。
図19は、図18に示したインライン配置の構成を概略的に示している。各部の配置は、図19に示すインライン配置に限らず他の配置とすることができる。以下、他の配置例について図20〜図24を用いて説明する。
図20,21は、第2,3の配置例を説明するための図である。第2,3の配置例は、一つのシール材塗布部2によって外周シールのシール材塗布と封止シールのシール材塗布とを行い、一つのシール材硬化部3によって外周シールのシール材硬化と封止シールのシール材の硬化を行う構成である。図20の構成では、シール材硬化部3は加熱によってシール材を硬化させる。図21の構成では、シール材硬化部3は紫外線照射によってシール材を硬化させる。
この第2,3の配置例の構成では、シール材塗布部2とシール材硬化部3とに併設させて絶縁接着剤注入部4を備える。はじめに、シール材塗布部2とシール材硬化部3とによって外周シールを形成した後、絶縁接着剤注入部4で絶縁接着剤を注入し、その後、再びシール材塗布部2とシール材硬化部3によって封止シールを形成する。この構成によれば、シール材塗布部2とシール材硬化部3の構成を簡略化することができる。
なお、図20のシール材硬化部3の加熱温度はシール材の硬化温度に対応して設定し、絶縁接着剤硬化部6の加熱温度は絶縁接着剤の硬化温度に対応して設定する。
図22は、第4の配置例を説明するための図である。第4の配置例は、図20に示した構成において、シール材の硬化と絶縁接着剤の硬化とを一つの一つのシール材硬化部3に行う構成である。絶縁接着剤の硬化は、絶縁接着剤洗浄部5で洗浄した後の積層基板を硬化部3に導入し、絶縁接着剤の硬化温度T2以上に加熱することで絶縁接着剤を硬化させる。この構成によれば、シール材硬化部の構成をより簡略化することができる。
図23,24は、中央に配置した搬送室9の周囲に各工程部を配置する構成である。図23に示す構成は、シール材塗装部2,硬化部7,絶縁接着剤注入部4、絶縁接着剤洗浄部5、および搬出入部8を配置する構成であり、図24に示す構成は、シール材塗装部2,シール材硬化部3,絶縁接着剤注入部4、絶縁接着剤洗浄部5、絶縁接着剤硬化部6,および搬出入部8を配置する構成である。
図23,24の構成では、各処理部に対して積層基板を搬送する搬送装置(図示していない)を搬送室9内に備える。積層基板を搬出入部8から搬送室9内に導入した後、搬送装置によって各処理部に搬入し、処理が終了した積層基板は再度搬送室9内に戻す。この搬出入の動作を順次繰り返すことによって、積層基板の形成を行う。
1…積層基板形成装置、2,2A,2B…シール材塗布部、2Aa…シール材塗布室、2Ab…シール材、2Ac…昇降部、2Ba…シール材塗布室、2Bb…シール材、2Bc…昇降部、3…シール材硬化部,3A,3B…シール材硬化部、3Ab…硬化装置、3Aa…シール材硬化室、3Ab…硬化装置、3Ba…シール材硬化室、3Bb…硬化装置、4…絶縁接着剤注入部、4a…注入室、4b…絶縁接着剤、4c…昇降部、4d…真空ポンプ、4e…ガス導入部、5…洗浄部、5a…洗浄室、5b…容器、5c…洗浄液、6…絶縁接着剤硬化部、6a…硬化室、6b…硬化装置、7…硬化部、8…搬出入部、9…搬送室、10…積層基板、10a,10b…基板、11…外周端面、12…塗布範囲、13…塗布除外範囲、14…下ステージ、16…注入口、20…樹脂、21…容器、22…塗布ローラ、23…駆動ローラ、24…従動ローラ、25…ローラ、26…バネ、27…スクレーバ、28…外周シール、28a…開始点、28b…終点、29…封止シール、30…ディスペンサ、41…絶縁接着剤、42…容器、43…昇降部、44…絶縁接着剤、45…樹脂、46…絶縁接着剤、50…洗浄槽、51…洗浄液、52…容器、53…モータ、100…基板カセット、200…接着剤注入装置、201…ウェハ、202…Cuバンプ、203…Cu壁、204…入り口、205…絶縁性接着剤、210…接着剤注入装置、211…容器、212…上治具、213…下治具、214…上ステージ、215…下ステージ、216…真空排気装置、217…不活性ガス導入部、218…接着剤供給部、219…真空チャンバ、220…積層ウェハ。