上記した、矩形のCu壁を形成し、Cu壁内に樹脂を注入する方法では、壁部分が矩形形状であることからウェハの周縁の部分に無駄となる部分が生じるという問題がある。
また、上記した、積層ウェハの全周から接着剤を注入する方法では、矩形のCu壁を形成することによるウェハ周縁における無駄部分の発生を防ぐことができるが、この工程はウェハの大面積部分に樹脂を注入し浸漬するために、引き続いて行う後工程において、樹脂拭き取り工程が必要となり、工程数が増加するという問題がある。
そこで、本出願人は、他の特許出願において積層ウェハの端面部分にシールを形成することを提案している。
図16は円形の積層ウェハの外周面にシール材を塗布することによって端面部分にシールを形成する方法の一例を示している。図16に示す方法では、円形の積層ウェハ130を回転させながらディスペンサ140からシール材の樹脂を滴下させることによって、積層ウェハ130の外周の端面131にシール材の樹脂134を塗布する。このシール材の樹脂134の塗布において、外周の一部に非塗布部を設けこの部分への塗布を避けることによって、積層ウェハ130のウェハ間に接着剤を注入するための注入口137を形成する必要がある。この例では、注入口137を形成するために、積層ウェハ130の回転角度を制御している。
この積層ウェハの端面部分にシールを形成する際に、円形の積層ウェハがその外周面にノッチやオリフラ等を設け構成である場合には、種々の課題が生じることが予想される。
このノッチやオリフラ等により生じる問題の一つとして、塗布工程が複雑となるという点がある。
積層ウェハの外形形状が円形であるため、積層ウェハの外周面にシール材の樹脂を塗布するには、積層ウェハと塗布機構の少なくも一方を回転させる必要がある。
図17は、積層ウェハ130を回転させながら、ディスペンサ140から吐出したシール材の樹脂をウェハ端面131に塗布させる例を示している。この塗布においては、均一な塗布を行うにために、ディスペンサ140とウェハ端面131との距離を一定に保持させる必要がある。
積層ウェハ130の外周面にノッチやオリフラ等の不均等な形状が形成されている場合には、このノッチやオリフラの部分と、ウェハ端面131の他の部分とは積層ウェハの中心からの距離が異なるため、ノッチやオリフラ部分を塗布するときには、ディスペンサ140と積層ウェハ130との距離が一定と成るように、ディスペンサ140あるいは積層ウェハ130の位置を制御する機構が必要である。
この制御機構は、図17(a)〜(c)に示すように、ノッチ132やオリフラの形状に合わせてディスペンサ140の高さを制御する必要があり、ディスペンサの駆動制御が複雑となる他、ノッチやオリフラの形状が変化した場合には、その形状に合わせてディスペンサの駆動制御を変更する必要がある。
ノッチやオリフラ等により生じる他の問題として、ノッチやオリフラの機能低下の点がある。
ノッチやオリフラは、積層ウェハの回転方向を確認するために設けられる形状であり、シール材の樹脂を塗布した後の、例えば、接着剤の注入工程においても使用される。したがって、接着剤の注入工程の前後において、ノッチやオリフラの形状が変化することは望ましくない。
図18(a)はノッチ132内にシール材の樹脂134が入り込み、ノッチ132内がシール材135で埋められた状態を示している。この状態では、ノッチ132の凹部とウェハ端面131との識別が困難となり、積層ウェハの回転方向を確認することが困難となる。また、オリフラ133とウェハ端面131の円形部分との境界では、変曲点を形成し法線方向が異なるため、シール材の樹脂134の塗布が不均一となるおそれがあり、積層ウェハの方向のずれの発生を招き、最終製品の歩留まりにも影響することになる。
そのため、ノッチの凹部を埋めたシール材や、オリフラ部分で不均一に塗布されたシール材は除去しておく必要がある。しかしながら、ノッチやオリフラに付着した不要なシール材の樹脂を除去することは、工程の増加を招く他、外力を加える工程であるため、積層ウェハに形成された半導体素子を損傷する危険性もあるという問題がある。特に、シール材の樹脂を硬化させた後に不要なシール材の樹脂を除去する場合には、半導体素子が損傷される危険性が高まることになる。
また、ノッチやオリフラ等により生じるさらに別の問題として、シールの機能低下の点がある。ノッチやオリフラは、ウェハ端面131との境界部分で変曲点を形成しているため、図18(b)に示すように、シール材の樹脂134の塗布が不十分となってシール材の樹脂が不足して、抜け部分136が発生するおそれがある。
上記したように、円形の積層ウェハの外周面にシール材を塗布することによって端面部分にシールを形成する方法では、塗布工程が複雑となるという問題点、ノッチやオリフラの機能やシールの機能が低下するという問題点等が想定される。
そこで、本発明は、前記した円形の積層ウェハの外周面にシール材を塗布することによって端面部分にシールを形成する方法に想定される問題点を解決することを目的とする。
本発明は、円形の積層ウェハの外周面にシール材を塗布することによって端面部分にシールを形成する方法に想定される塗布工程の複雑さの問題を解決して、簡易な方法で円形の積層ウェハの外周面にシール材の樹脂を塗布することを目的とする。
本発明は、円形の積層ウェハの外周面にシール材を塗布することによって端面部分にシールを形成する方法に想定されるノッチやオリフラの機能の低下の問題を解決して、ノッチやオリフラの機能低下を招くことなく、円形の積層ウェハの外周面にシール材の樹脂を塗布することを目的とする。
本発明は、円形の積層ウェハの外周面にシール材を塗布することによって端面部分にシールを形成する方法に想定されるシールの機能の低下の問題を解決して、シールの機能低下を招くことなく、円形の積層ウェハの外周面にシール材の樹脂を塗布することを目的とする。
本発明は、複数層からなる円形平板状の基板の端面にシール材の樹脂を塗布する方法であって、ウェハが備えるノッチやオリフラの部分をシール材の樹脂の非塗布部分として塗布を行い、この非塗布部分を接着剤の注入口とする。
これによって、シール材の樹脂の塗布において、中心からの距離が円形の外周面と異なる共に、変曲点を伴うノッチやオリフラの部分を避けることができるため、シール材の樹脂の塗布を簡易なものとすることができ、また、ノッチやオリフラの機能の低下やシール機能の低下を防ぐことができる。
本発明のシール形成方法は、少なくとも2枚の積層ウェハ間に接着剤を注入するための空間を形成するために、積層ウェハの外周端面にシールを形成するシール形成方法である。積層ウェハは円形形状であり、この積層ウェハを位置決めするためのノッチ又はオリフラを外周端面に有する。このシール形成において、積層ウェハの外周端面にシール材の樹脂を塗布する塗布工程を備える。この塗布工程は、少なくともノッチ又はオリフラを内側に含む範囲を非塗布部として積層ウェハの外周端面にシール材の樹脂を塗布し、シール材の樹脂を塗布しない非塗布部分により形成される開口部を、接着剤を注入するための注入口とする。
塗布工程を行う塗布手段は、塗布ローラやディスペンサ等、種々の手段を適用することができる。塗布ローラを用いて塗布を行う場合には、積層ウェハの外周端面にシール材の樹脂を浸透させた塗布ローラを接触させ、積層ウェハを軸回転させることによって塗布位置を移動させることによって、積層ウェハの外周端面にシール材の樹脂を塗布する。塗布ローラと積層ウェハの外周端面とを分離することによって、非塗布部分への塗布を止めることができる。
また、ディスペンサを用いて塗布を行う場合には、積層ウェハの外周端面にディスペンサからシール材の樹脂を連続的に線引き滴下させ、積層ウェハを軸回転させることによって塗布位置を移動させることによって、積層ウェハの外周端面にシール材の樹脂を塗布する。ディスペンサと積層ウェハの外周端面とを距離を大きくすることによって線引き滴下を停止させ、非塗布部分への塗布を止めることができる。
また、塗布工程において、シール材の樹脂を塗布する前に、積層ウェハが備えるノッチ又はオリフラを指標として積層ウェハの回転位置の位置決めを行い、この位置決めに基づいて、積層ウェハの外周端面に樹脂を塗布する塗布部分と、樹脂を塗布しない非塗布部分の位置を定める。
さらに、シール形成方法は、塗布したシール材の樹脂を硬化させる硬化工程を含む構成とすることができる。硬化工程において、積層ウェハの外周端面に塗布した樹脂の硬化は複数の形態により行うことができる。
硬化の一形態は、樹脂を紫外線硬化性樹脂とし、塗布工程で塗布した樹脂に紫外線を照射して硬化させる。また、硬化の他の形態は、樹脂を熱硬化性樹脂とし、塗布工程で塗布した樹脂を加熱して熱硬化させる。
本発明によれば、円形の積層ウェハの外周面にシール材を塗布することによって端面部分にシールを形成する方法に想定される問題点を解決することができる。
より詳細には、本発明によれば、円形の積層ウェハの外周面にシール材を塗布することによって端面部分にシールを形成する方法に想定される塗布工程の複雑さの問題を解決して、簡易な方法で円形の積層ウェハの外周面にシール材の樹脂を塗布することができる。
本発明によれば、円形の積層ウェハの外周面にシール材を塗布することによって端面部分にシールを形成する方法に想定されるノッチやオリフラの機能の低下の問題を解決して、ノッチやオリフラの機能低下を招くことなく、円形の積層ウェハの外周面にシール材の樹脂を塗布することができる。
本発明によれば、円形の積層ウェハの外周面にシール材を塗布することによって端面部分にシールを形成する方法に想定されるシールの機能の低下の問題を解決して、シールの機能低下を招くことなく、円形の積層ウェハの外周面にシール材の樹脂を塗布することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
図1は、3次元の積層型半導体装置の製造の概略を説明するための概略図である。図1において、積層型半導体装置は、積層ウェハの外周端面にシールを形成するシール形成工程を行う部分と、シールを形成した積層ウェハのウェハ間の隙間に接着剤を充填する注入工程を行う部分とを備える。
図1では、シール形成工程と注入工程をインライン状に配列した例を示している。シール形成工程は、シール塗布部2と樹脂硬化部3を含むシール形成装置1によって行われる。注入工程は、シール形成装置1の下流側に配置して樹脂注入部4によって行われる。シール塗布部2はシール塗布室5内に塗布装置を備え、樹脂硬化部3は樹脂硬化室6内に硬化装置を備え、および樹脂注入部4は樹脂注入室7内にウェハ接着装置を備える。シール塗布室5、樹脂硬化室6、および樹脂注入室7の各部間には仕切弁8b,8cが設けられる。また、シール塗布室5と外気との間、および樹脂注入室7と外気との間には仕切弁8a,8dが設けられる。
シール塗布部2は、仕切弁8aを通して積層ウェハ10をシール塗布室5内に導入し、導入した積層ウェハ10の外周端面にシール材の樹脂を塗布してシールを形成する。
樹脂硬化部3は、仕切弁8bを通してシールを形成した積層ウェハ10を樹脂硬化室6内に導入し、導入した積層ウェハ10のシール材の樹脂を硬化装置60によって硬化する。塗布してシールを形成する。
樹脂注入部4は、仕切弁8cを通してシールを硬化させた積層ウェハ10を樹脂注入室7内に導入し、導入した積層ウェハ10のウェハ間の隙間に、接着剤70を注入する。接着剤70が導入された積層ウェハ10は、樹脂注入室7の仕切弁8dを通して外気側に導出される。樹脂注入部4は、樹脂注入室7内を真空排気する真空ポンプ71、樹脂注入室7内を大気に戻すためにN2ガス等のガスを導入するガス導入部72を備える。樹脂注入部4は、真空ポンプ71の真空排気による真空状態と、ガス導入部72のガス導入による大気圧あるいは大気圧を越える圧力による圧力状態との圧力差を利用した真空差圧法によって、積層ウェハ10のウェハ間の隙間に接着剤を導入する。
以下、シール形成装置1のシール塗布部2の構成について、第1の構成例を図2〜図8を用いて説明し、第2の構成例を図9〜図12を用いて説明する。第1の構成例は、積層ウェハの外周端面にシール材の樹脂を浸透させた塗布ローラを接触させ、積層ウェハを軸回転させることによって、積層ウェハの外周端面を連続的にシールする例であり、また、第2の構成例は、積層ウェハの外周端面にディスペンサからシール材の樹脂を連続的に線引き滴下させ、積層ウェハを軸回転させることによって、積層ウェハの外周端面を連続的にシールする例である。
はじめに、シール形成装置1のシール塗布部2の第1の構成例について説明する。図2は第1の構成例の概略平面図であり、図3は第1の構成例の概略斜視図である。
図2、図3において、シール塗布部2は、積層ウェハ10を支持すると共に、積層ウェハ10を軸回転させる駆動ローラ23と従動ローラ24を備える他、積層ウェハ10を下方に押圧する押さえローラ25を備える。押さえローラ25は、例えば押さえバネ26によって積層ウェハ10を下方に押させる。なお、従動ローラ24は駆動ローラとしてもよい。
また、シール塗布部2は、積層ウェハ10の外周端面11と接触してシール材の樹脂を塗布する塗布ローラ22を備える。また、シール材の樹脂20を保持する容器21を備える。塗布ローラ22の一部は、容器21内に保持されるシール材の樹脂20に漬すことによって、ローラ面にシール材の樹脂を含浸あるいは付着させる。
シール塗布部2は、駆動ローラ23、従動ローラ24、および押さえローラ25によって積層ウェハ10を回転させると共に、積層ウェハ10の外周端面11の一部に塗布ローラ22を押し当てる。塗布ローラ22のローラ面には、シール材の樹脂が含浸あるいは付着されているため、塗布ローラ22を積層ウェハ10の外周端面11の接触させることによって、シール材の樹脂はローラ面上から外周端面11に転写され、外周端面11には樹脂が塗布される。
なお、塗布ローラ22の外周面にスクレーバ27を当接あるいは近接することによって、ローラ面に余剰に付着した樹脂を取り除き、積層ウェハ10の外周端面11と接触する塗布面での樹脂量を一定に保持させることができる。
次に、本発明のシール形成方法によって形成した塗布例について、図4を用いて説明する。
図4(a)は積層ウェハ10にノッチ14が設けられた場合の塗布例を示し、図4(b)は積層ウェハ10にオリフラ15が設けられた場合の塗布例を示している。
図4(a)において、積層ウェハ10は、外周面のウェハ端面11にノッチ14を有している。本発明のシール形成方法では、このノッチ14を含む範囲をシール材の樹脂を塗布しない非塗布部13とし、その他の外周面にシール材の樹脂を塗布して塗布部12を形成する。塗布部12は、非塗布部13を除いて積層ウェハ10の外周面をシールし、積層ウェハ10の内部に接着剤を注入する空間を形成する。また、非塗布部13は、この積層ウェハ10の内部に接着剤を注入するための注入口16を形成することになる。
非塗布部13は、積層ウェハ10の外周面において、積層ウェハ10の内部に接着剤を注入するに十分な所定幅に設定することができる。また、ノッチ14はこの非塗布部13の範囲内の任意の位置に設定することができ、非塗布部13の範囲の端部から均等位置、あるいは不均等な位置に配置することができる。
少なくともノッチ14の部分にシール材の樹脂を塗布しないことによって、ノッチによるシール材の樹脂が不均一に塗布されることを防ぐことができ、ノッチ部分にシール材の樹脂が塗布されることによるノッチ機能の低下や、シールの機能の低下を抑制することができる。
図4(b)において、積層ウェハ10は、外周面のウェハ端面11にオリフラ15を有している。本発明のシール形成方法では、このオリフラ15を含む範囲をシール材の樹脂を塗布しない非塗布部13とし、その他の外周面にシール材の樹脂を塗布して塗布部12を形成する。塗布部12は、非塗布部13を除いて積層ウェハ10の外周面をシールし、積層ウェハ10の内部に接着剤を注入する空間を形成する。また、非塗布部13は、この積層ウェハ10の内部に接着剤を注入するための注入口16を形成することになる。
非塗布部13は、積層ウェハ10の外周面において、積層ウェハ10の内部に接着剤を注入するに十分な所定幅に設定することができる。また、非塗布部13の幅は、少なくともオリフラ15の幅よりも広く設定し、非塗布部13の範囲内において任意の位置に設定することができ、非塗布部13の範囲の端部から均等位置、あるいは不均等な位置に配置することができる。
少なくともオリフラ15の部分にシール材の樹脂を塗布しないことによって、オリフラによるシール材の樹脂が不均一に塗布されることを防ぐことができ、オリフラ部分にシール材の樹脂が塗布されることによるオリフラ機能の低下や、シールの機能の低下を抑制することができる。
次に、第1の構成例によるシール材に樹脂の塗布動作について、図5のフローチャートおよび図6の動作を説明する図を用いて説明する。
はじめに、積層ウェハ10をシール塗布部2に取り付け(S1)、積層ウェハ10の位置決めを行う。積層ウェハ10の位置決めは、積層ウェハ10の設けたノッチ14あるいはオリフラ15を用いて行うことができる。
図6(a)、(b)は、積層ウェハ10の位置決めを行う状態を示している。積層ウェハ10には、ノッチ14あるいはオリフラ15が設けられている。なお、図6では、ノッチ14とオリフラ15とを併設した例を示しているが、何れか一方を備える構成とすることができる。
積層ウェハ10の外周端面11に設けるシールは、真空差圧法による圧力差によってウェハ間の隙間に接着剤を注入するためにウェハの外周部分を囲む構成部材である。このシールは、この囲み部分を形成するために、シール材の樹脂を塗布する部分(塗布部12)と、接着剤を内部に注入する注入口16を形成するために、シール材の樹脂を塗布しない部分(非塗布部13)とを備える。そのため、積層ウェハ10は、シール材の樹脂を塗布する部分と塗布しない部分を区分けするために、積層ウェハ10の位置決めを行う必要がある。
この位置決めは、ノッチ14あるいはオリフラ15と駆動機構側に設けた対応部分とを位置合わせすることによって行う他に、ノッチ14あるいはオリフラ15を用いて積層ウェハの位置を検出することで行うことができる。
なお、図6では、ノッチ14あるいはオリフラ15の位置を、注入口16あるいは非塗布部13の位置とする例を示しているが、ノッチ14あるいはオリフラ15と、注入口16あるいは非塗布部13との位置関係は任意に定めることができる。図6は、ノッチ14の位置をシール材の塗布の開始点28aとする例を示している。
図6(b)において、積層ウェハ10を駆動ローラ23によって回転させ、シール材の塗布の開始点28aが塗布ローラ22の上方位置となるように、積層ウェハ10の回転位置を位置決めする(S2)。
積層ウェハ10の回転位置を位置決めした後、塗布ローラ22を図示していない上昇機構によって上昇させて、積層ウェハ10の開始点28aに接触させる(S3)。
積層ウェハ10の開始点28aに接触させた後、駆動ローラ23によって積層ウェハ10を回転させ、シール材の樹脂20を塗布ローラ22から積層ウェハ10の外周端面11に転写させる。図5(d)は、塗布ローラ22から積層ウェハ10の外周端面11にシール材の樹脂20を転写する途中状態を示している(S4)。
積層ウェハ10を回転させながらシール材の樹脂20を所定角度まで塗布する。図6(e)は、積層ウェハ11を終点28bまで回転させた状態を示している。これによって、積層ウェハ10の外周端面11において、塗布部12にシール材の樹脂20が塗布され、非塗布部にはシール材の樹脂20は塗布されない(S5)。
シール材の樹脂20を塗布した後、図示しない昇降機構によって、塗布ローラ22を積層ウェハ10の外周端面11から移動させて、塗布ローラ22を積層ウェハ10の外周端面11から切り離す(S6)。
このシール材の樹脂の塗布を、積層ウェハの外周端面において注入口を除く全周に亘って連続して行い、これによってウェハの隙間内部を気密状態とする。
シール塗布部2において、積層ウェハ10の外周端面11にシール材の樹脂を塗布した後、積層ウェハ10を樹脂硬化部3に移動させる。樹脂硬化部3において、積層ウェハ10に塗布した樹脂を硬化させる。この樹脂の硬化は、例えば樹脂が紫外線硬化性樹脂である場合には紫外線を照射することで硬化させ、また、樹脂が熱硬化性樹脂である場合には加熱することで硬化させる(S7)。シール材の樹脂を硬化させた後、積層ウェハをシール形成装置から取り出し(S8)、その後、積層ウェハのウェハ間の隙間に接着剤を注入してウェハを接着させる。
図7,8は複数の積層ウェハにシールを形成する構成例を示している。複数の積層ウェハ10a,10b,…10nを軸方向に配置し、各積層ウェハを保持ローラ29で保持すると共に、前記した構成と同様に、駆動ローラ23,従動ローラ24,および押さえローラ25によって回転駆動可能とする。
前記した構成と同様に、複数の積層ウェハ10a,10b,…10nの一端に塗布ローラ22を接触させることによって、複数の積層ウェハ10の外周端面11に同時にシール形成する。
次に、シール形成装置1のシール塗布部2の第2の構成例について説明する。図9は第2の構成例の概略斜視図である。
図9において、シール塗布部2は、積層ウェハ10を支持すると共に、積層ウェハ10を軸回転させる駆動ローラ23と従動ローラ24を備える。
また、シール塗布部2は、積層ウェハ10の外周端面11にシール材の樹脂を線引き滴下するディスペンサ30を備える。
シール塗布部2は、ディスペンサ30から積層ウェハ10の外周端面11にシール材の樹脂を滴下させ、この状態で駆動ローラ23、従動ローラ24によって積層ウェハ10を回転させることによって、外周端面11にシール材の樹脂を線引きする。これによって、外周端面11には樹脂が連続して塗布される。
次に、第2の構成例によるシール材に樹脂の塗布動作について、図10のフローチャートおよび図11の動作を説明する図を用いて説明する。
はじめに、積層ウェハ10をシール塗布部2に取り付け(S11)、積層ウェハ10の位置決めを行う。積層ウェハ10の位置決めは、積層ウェハ10の設けたノッチ14あるいはオリフラ15を用いて行うことができる。
図11(a)、(b)は、積層ウェハ10の位置決めを行う状態を示している。積層ウェハ10には、ノッチ14あるいはオリフラ15が設けられている。なお、図11では、ノッチ14とオリフラ15とを併設した例を示しているが、何れか一方を備える構成とすることができる。
積層ウェハ10の外周端面11に設けるシールは、真空差圧法による圧力差によってウェハ間の隙間に接着剤を注入するためにウェハの外周部分を囲む構成部材である。このシールは、この囲み部分を形成するために、シール材の樹脂を塗布する部分(塗布部12)と、接着剤を内部に注入する注入口16を形成するために、シール材の樹脂を塗布しない部分(非塗布部13)とを備える。そのため、積層ウェハ10は、シール材の樹脂を塗布する部分と塗布しない部分を区分けするために、積層ウェハ10の位置決めを行う必要がある。
この位置決めは、ノッチ14あるいはオリフラ15と駆動機構側に設けた対応部分とを位置合わせすることによって行う他に、ノッチ14あるいはオリフラ15を用いて積層ウェハの位置を検出することで行うことができる。
なお、図11では、ノッチ14あるいはオリフラ15の位置を、注入口16あるいは非塗布部13の位置とする例を示しているが、ノッチ14あるいはオリフラ15と、注入口16あるいは非塗布部13との位置関係は任意に定めることができる。図11は、ノッチ14の位置をシール材の塗布の開始点28aとする例を示している。
図11(b)において、積層ウェハ10を駆動ローラ23によって回転させ、シール材の塗布の開始点28aがディスペンサ30の下方位置となるように、積層ウェハ10の回転位置を位置決めする(S12)。
積層ウェハ10の回転位置を位置決めした後、ディスペンサ30を図示していない上昇機構によって下降させて、積層ウェハ10の開始点28aに接触させる(図11(c))(S13)。
ディスペンサ30を積層ウェハ10の開始点28aに接触させた後、ディスペンサ30からシール材の樹脂20の吐出を開始し(S14)、ディスペンサ30を積層ウェハ10から離す。樹脂は粘度を有しているため、シール材の樹脂は、糸を引くようにして積層ウェハ10のウェハ端面11に繋がっている(S15)。
ディスペンサ30の吐出口からシール材の樹脂20を吐出されながら、駆動ローラ23によって積層ウェハ10を回転させると、外周端面11にはシール材の樹脂20が線引き滴下される。図11(d)は、ディスペンサ30から積層ウェハ10の外周端面11にシール材の樹脂20を線引き滴下する途中状態を示している(S16)。
積層ウェハ10を回転させながら樹脂20を所定角度まで塗布する。図11(e)は、積層ウェハ11を終点28bまで回転させた状態を示している。これによって、積層ウェハ10のウェハ端面11において、塗布部12にシール材の樹脂20が塗布され、非塗布部13にはシール材の樹脂20は塗布されない(S17)。
シール材の樹脂20を塗布した後、図示しない昇降機構によって、ディスペンサ30を積層ウェハ10のウェハ端面11から移動させて、ディスペンサ30を積層ウェハ10のウェハ端面11に一端接触させ(図11(e))(S18)、ディスペンサ30からの樹脂の吐出を停止した後(S19)、切り離す(図11(f))。ディスペンサ30を一端接触させた後に、ディスペンサ30を遠ざけて切り離すことによって、シール材の樹脂20の終点位置28bを位置決めすることができる(S20)。
シール塗布部2において、積層ウェハ10のウェハ端面11にシール材の樹脂20を塗布した後、積層ウェハ10を樹脂硬化部3に移動させる。樹脂硬化部3において、積層ウェハ10に塗布したシール材の樹脂を硬化させる。このシール材の樹脂の硬化は、例えば樹脂が紫外線硬化性樹脂である場合には紫外線を照射することで硬化させ、また、樹脂が熱硬化性樹脂である場合には加熱することで硬化させる(S21)。シール材の樹脂20を硬化させた後、積層ウェハ10をシール形成装置から取り出し(S22)、その後、積層ウェハ10のウェハ間の隙間に接着剤を注入してウェハを接着させる。
図12は複数の積層ウェハにシールを形成する構成例を示している。複数の積層ウェハ10a,10b,…10nを軸方向に配置し、各積層ウェハを保持ローラ29で保持すると共に、前記した構成と同様に、駆動ローラ23,従動ローラ24によって回転駆動可能とする。
前記した構成と同様に、複数の積層ウェハ10a,10b,…10nの外周端面にディスペンサ30に線引き滴下させることによって、複数の積層ウェハ10のウェハ端面11にシール形成する。
なお、図12に示す構成では、一つのディスペンサ30を複数の積層ウェハの積層方向に移動させることでシールを形成する他、複数のディスペンサを複数の積層ウェハの積層方向に配列することによって複数の積層ウェハ10のウェハ端面11に同時にシール形成することができる。
1…シール形成装置、2…シール塗布部、3…樹脂硬化部、4…樹脂注入部、5…シール塗布室、6…樹脂硬化室、7…樹脂注入室、8…仕切弁、10,10a〜10n…積層ウェハ、10A,10B…ウェハ、10C…間隔、11…ウェハ端面、12…塗布部、13…非塗布部、14…ノッチ、15…オリフラ、16…注入口、20…シール材の樹脂、21…容器、22…塗布ローラ、23…駆動ローラ、24…従動ローラ、25…押さえローラ、26…押さえバネ、27…スクレーバ、28…シール材塗布部、28a…塗布開始点、28b…塗布終了点、29…保持ローラ、30…ディスペンサ、50…昇降部、60…硬化装置、70…接着剤、71…真空ポンプ、72…ガス導入部。