以下、適宜図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
<外観的構成>
(複合機10の構成)
図1を参照して、本発明の一実施形態である複合機10を説明する。なお、以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7を定義し、操作パネル40が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8を定義し、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9を定義する。
複合機10は、主に、下部に設けられたインクジェット記録方式のプリンタ部11と、上部に設けられたスキャナ部12と、正面上部に設けられた操作パネル40とを一体的に備えた多機能装置である。複合機10は、ファクシミリ機能、プリンタ機能、スキャナ機能、及び、コピー機能などの各種の機能を有している。プリンタ機能としては、記録用紙の表面(第1面)及び裏面(第2面)の両面に画像を記録する両面画像記録機能を有している。なお、プリンタ機能以外の機能は任意であり、例えば、スキャン機能やコピー機能、ファクシミリ機能を有しないプリンタ機能のみを有するプリンタとして本発明の画像記録装置が実施されてもよい。
プリンタ部11は、正面に開口13が形成されており、この開口13からプリンタ部11の内部に給紙トレイ78が装着されている。この給紙トレイ78は、開口13からプリンタ部11内に前後方向8に挿抜可能に構成されている。給紙トレイ78は、各種サイズの記録用紙(本発明の被記録媒体の一例)を収容可能とするものである。給紙トレイ78の前方側の上側に、排出された画像記録済みの記録用紙が保持される排紙トレイ79(本発明の排紙部の一例)が設けられている。
図2に示すように、給紙トレイ7の後方に分離傾斜板22が設けられている。分離傾斜板22は、給紙トレイ7から重層された記録用紙を分離して、最上位置の記録用紙を上方へ案内する。この上方へ案内された記録用紙は、後述する記録部24(本発明の記録部の一例)によって画像記録が行われた後、排紙トレイ79に排出される。
<内部構成>
(プリンタ部11の構成)
次に、図2を参照して、プリンタ部11の構成について説明する。なお、図2では、給紙トレイ78の前方側(紙面右側)の図示が省略されている。
プリンタ部11は、上述した給紙トレイ78に加えて、給紙トレイ78から記録用紙をピックアップして給紙(給送)する給送部15と、給送部15によって給紙された記録用紙にインク滴を吐出して記録用紙に画像を形成するインクジェット記録方式の記録部24(本発明の記録部の一例)と、裏面(第2面)に画像を記録するために表面(第1面)に画像が記録された記録用紙の搬送経路を切り換える経路切換部41(本発明の経路切換部の一例)とを備えている。なお、記録部24は、インクジェット方式に限られず、電子写真方式、或いは感熱記録方式など、種々の記録方式のものが適用され得る。
(搬送路65)
プリンタ部11の内部には、給紙トレイ78の先端(後方側の端部)から記録部24を経て排紙トレイ79に至る搬送路65が形成されている。搬送路65は、給紙トレイ78の先端から記録部24に至る間に形成された湾曲路65Aと、記録部24から排紙トレイ79に至る間に形成された排紙路65Bとに区分される。
図2に示されるように、湾曲路65Aは、給紙トレイ78に設けられた分離傾斜板22の上端付近から記録部24まで延設された通路であり、湾曲状に形成されている。湾曲路65Aは、プリンタ部11の内部側を中心とする円弧形状に概ね形成されている。湾曲路65Aは、所定間隔を隔てて互いに対向する外側ガイド部材18と内側ガイド部材19とによって区画されている。なお、外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19、更に後述する上側ガイド部材82、下側ガイド部材83、上側傾斜ガイド部材32、下側傾斜ガイド部材33は、いずれも、図2の紙面垂直方向(図1の左右方向9)へ延出されている。
排紙路65Bは、記録部24よりも搬送方向の下流側(以下、単に「下流側」と略称する。)に設けられた下側ガイド部材82と上側ガイド部材83とによって区画されている。ここで、搬送方向とは、記録用紙が搬送路65及び後述する反転搬送路67(本発明の反転案内部の一例)を搬送される向き(図2において矢印付きの二点鎖線で示される向き)を指す。
図3に示されるように、下側ガイド部材82は、後述する第2搬送ローラ62及び拍車ローラ63のニップ位置から前方側(図3の紙面右側)へ水平に延出されている。排紙路65Bは、第2搬送ローラ62によって搬送された画像記録済の記録用紙の下面を支持しつつ、下流側へ案内する。下側ガイド部材82の下流側端部よりも下流側に分岐口36が形成されている。両面画像記録の際は、排紙路65Bを搬送された記録用紙は、分岐口36の下流側でスイッチバックされた後に、分岐口36から下方へ向けて搬送される。
下側ガイド部材82には、前後方向8に長い細幅の凹部85が形成されている。この凹部85は、下側ガイド部材82の下流側端部に形成されている。凹部85は、前後方向8に長い細幅形状に形成されおり、その下流側は分岐口36に開放されている。凹部85のサイズ及び位置は、後述する補助ローラ47が凹部85の内部に没入可能に設計されている。なお、補助ローラ47については後述する。
上側ガイド部材83は、下側ガイド部材82よりも上方に配置されている。上側ガイド部材83と下側ガイド部材82とは、記録用紙が通過可能な所定間隔を隔てて互いに対向するように配置されている。上側ガイド部材83は、分岐口36を超えて、排紙トレイ79の上方まで延出されている。
(反転搬送路67)
図2に示されるように、プリンタ部11の内部には、反転搬送路67が形成されている。反転搬送路67は、分岐口36で排紙路65Bから分岐され、給紙トレイ78とその上方に配置された記録部24との間を通って、記録部24よりも搬送方向の上流側(以下、単に「上流側」と称する。)に接続されている。
反転搬送路67は、分岐口36から後方斜め下向きに傾斜する傾斜面を有する上側傾斜ガイド部材32と下側傾斜ガイド部材33とによって区画されている。上側傾斜ガイド部材32は、下側ガイド部材82と一体に形成されている。これらのガイド部材32,33は、記録用紙が通過可能な所定間隔を隔てて互いに対向するように配置されている。上側傾斜ガイド部材32は,下側傾斜ガイド部材33よりも上方に配置されている。これらのガイド部材32,33は、分岐口36から給紙ローラ25の方へ斜め下方へ延出されている。
このように搬送路65及び反転搬送路67が形成されているため、給送部15によって給紙トレイ78から給紙された記録用紙は、湾曲路65Aを通って、記録部24へ搬送される。このとき、記録用紙は、給送部15の給紙ローラ25が当接した面とは反対の面が記録部24と対向するように反転される。記録部24を通過した記録用紙は、排紙路65Bを通って排紙トレイ79へ搬送されるか、或いは、経路切換部41により搬送経路が切り換えられて、反転搬送路67を通って再び記録部24へ搬送される。なお、経路切換部41については後述する。
(給送部15)
給送部15は、給紙トレイ78に収容された記録用紙を湾曲路65Aへ向けて搬送するためのものであり、給紙ローラ25と給紙アーム26と駆動伝達機構27とを備えている。給紙ローラ25は、給紙トレイ78の上側に配置されている。給紙ローラ25は、給紙トレイ78に収容された記録用紙を湾曲路65Aへ給紙するものであり、給紙アーム26の先端に回転自在に軸支されている。給紙ローラ25は、給紙用モータ71(図4参照)を駆動源として駆動伝達機構27を介して回転駆動される。駆動伝達機構27は給紙アーム26に軸支されており、概ね直線状に並ぶ複数のギヤで構成されている。
給紙トレイ78と記録部24との間に基軸28が設けられている。給紙アーム26は、その基端部が基軸28に支持されており、基軸28を回動中心軸として回転可能に構成されている。このため、給紙アーム26は、給紙トレイ78に対して接離可能に上下動することができる。また、給紙アーム26は、自重により又はバネ等の弾性部材による弾性力により、図2の矢印29の方向へ回動付勢されている。このため、給紙ローラ25は、給紙トレイ78に収容された記録用紙の上面に圧接可能である。給紙アーム26は、給紙トレイ78がプリンタ部11に対して挿入される際に、給紙トレイ78の後端部(例えば、分離傾斜板22)に押圧されることによって、上方へ押し上げられるように構成されている。
(記録部24)
図2に示されるように記録部24は、給紙トレイ78の上方に配置されている。記録部24は、図2の紙面垂直方向(主走査方向)に延出されたガイドレール(不図示)に沿って往復動するように構成されている。記録部24の下方にプラテン42が設けられている。プラテン42は、記録部24によって画像記録が行われる際に、記録用紙を水平に支持するものである。記録部24は、主走査方向への往復移動過程において、図示しないインクカートリッジから供給されたインクをノズル39から微小なインク滴としてプラテン42上を搬送される記録用紙に吐出する。これにより、記録用紙に画像が記録される。
湾曲路65Aの終端、つまり湾曲路65Aにおける下流側の端部と記録部24との間には、第1搬送ローラ60及びピンチローラ61が設けられている。これらは対をなしている。ピンチローラ61は、第1搬送ローラ60の下方に配置されており、図示しないバネなどの弾性部材によって第1搬送ローラ60のローラ面に圧接されている。第1搬送ローラ60及びピンチローラ61は、湾曲路65Aを搬送してきた記録用紙を挟持してプラテン42上へ送る。
また、記録部24と排紙路65Bの始端、つまり排紙路65Bにおける上流側の端部との間には、第2搬送ローラ62及び拍車ローラ63が設けられている。これらは対をなしている。拍車ローラ63は、第2搬送ローラ62の上方に配置されており、自重若しくはバネなどによって第2搬送ローラ62のローラ面に圧接されている。第2搬送ローラ62及び拍車ローラ63は、記録済みの記録用紙を挟持してさらに下流側(排紙トレイ79側)へ搬送する。
第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62は、搬送用モータ73(図4参照)から駆動伝達機構を介して回転駆動力が伝達されて回転される。この駆動伝達機構は、遊星ギヤなどから構成されており、搬送用モータ73が正回転方向或いは逆回転方向のいずれに回転されても、記録用紙を一方向(図2の右側)へ搬送させるべく、第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62を一回転方向へ回転させる。なお、第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62は、画像記録時に間欠駆動される。そのため、画像用紙は所定の改行幅で送られながら画像記録がなされる。
(経路切換部41)
次に、図3を参照しながら、経路切換部41について説明する。経路切換部41は、排紙路65Bにおける分岐口36、すなわち排紙路65Bと反転搬送路67との接続部分付近に配置されている。経路切換部41は、図3に示されるように、第3搬送ローラ45(本発明の切換ローラの一例)と、拍車ローラ46と、補助ローラ47及び補助ローラ48を有するフラップ49とにより構成されている。
第3搬送ローラ45は、下側ガイド部材82よりも下流側に設けられている。第3搬送ローラ45と下側ガイド部材82との間に分岐口36が形成されている。第3搬送ローラ45は、プリンタ部11のフレームなどに回転可能に支持されている。拍車ローラ46は、第3搬送ローラ45の上方に配置されており、自重若しくはバネなどによって第3搬送ローラ45のローラ面に圧接されている。この拍車ローラ46は、上側ガイド部材83の下流側端部に回転可能に支持されている。第3搬送ローラ45は、搬送用モータ73(図4参照)から正逆回転方向の駆動力が伝達されて、正回転方向又は逆回転方向に回転駆動される。例えば、片面記録が行われる場合は、第3搬送ローラ45は正回転方向へ回転される。これにより、記録用紙は第3搬送ローラ45及び拍車ローラ46に挟持されて下流側へ搬送され、排紙トレイ79に排紙される。一方、両面記録が行われる場合は、第3搬送ローラ45及び拍車ローラ46が記録用紙の後端部を挟持した状態で、第3搬送ローラ45の回転方向が正回転方向から逆回転方向へ切り換えられる。なお、片面記録時及び両面記録時における経路切換部41及び記録用紙の動作については後述する。
第3搬送ローラ45及び拍車ローラ46は、第2搬送ローラ62及び拍車ローラ63から送られた記録用紙を挟持するものである。第3搬送ローラ45及び拍車ローラ46のニップ部に記録用紙が進入すると、記録用紙は第3搬送ローラ45及び拍車ローラ46によって挟持されつつ、第3搬送ローラ45の回転方向に対応する方向(排紙トレイ79側、又は、反転搬送路67側)へ搬送される。つまり、第3搬送ローラ45及び拍車ローラ46は、記録用紙を排紙路65Bに沿ってさらに下流側(排紙トレイ79側)へ搬送可能であるとともに、記録用紙を反転搬送路67に搬送可能である。
上側ガイド部材83に、図3の紙面垂直方向(図1の左右方向9)へ延びる支軸87が設けられている。支軸87は、分岐口36よりも上流側に設けられている。フラップ49は、支軸87から概ね下流側へ延出されている。フラップ49における延出端部49Bは、分岐口36の上方、詳細には、分岐口36の中央部36Aを超えて第3搬送ローラ45に近接した位置に達している。このフラップ49は、支軸87に軸支されている。具体的には、フラップ49における上流側の基端部49Aが支軸87に回動可能に支持されている。支軸87は、例えば、上側ガイド部材83、或いはプリンタ部11のフレームなどに設けることが可能である。なお、フラップ49の基端部49Aを例えばL字状に屈曲させ、更に支軸87を下側ガイド部材83に設けることにより、基端部49Aを下側ガイド部材83側で回動可能に支持する構成としてもよい。
フラップ49の基端部49A側には、その延出方向に隔てられた補助ローラ47及び補助ローラ48が軸支されている。補助ローラ47は、フラップ49の基端部49A側に軸支されている。補助ローラ48は、フラップ49の延出端部49Bに軸支されている。これらの補助ローラ47,48のローラ面は、記録用紙の記録面に当接されるので、拍車ローラ63及び拍車ローラ46と同様に拍車状に形成されている。
フラップ49は、下側ガイド部材82よりも上方に位置する第1姿勢(図3(B)に示される姿勢)と、延出端部49Bが分岐口36の下方へ進入する第2姿勢(図3(A)に示される姿勢)との間で回動する。なお、本実施形態では、上側ガイド部材83には、フラップ49が没入可能な開口89が形成されており、フラップ49は、上記第1姿勢にあるときに開口89に没入して、排紙路65Bから退避する。また、上記第2姿勢にあるときは、フラップ49は開口89から露出されて、補助ローラ48が下側傾斜ガイド部材33に当接する。また、補助ローラ47が下側ガイド部材82の凹部85に没入されることにより、補助ローラ47が下側ガイド部材82の支持面82Bよりも下方に退避する。
(シートセンサ50)
第2搬送ローラ62よりも下流側には、下側ガイド部材82の支持面82Bにおける記録用紙の有無を検知するためのシートセンサ50が設けられている。シートセンサ50は、2つの検出子52A,52Bを有する回転体52と、発光素子(例えば発光ダイオード)及びこの発光素子から発光された光を受光する受光素子(例えばフォトトランジスタ)を有するフォトインタラプタ51とにより構成されている。
回転体52は、プリンタ部11のフレームなどに設けられた支軸53を中心に回転可能に設けられている。支軸53は、下側ガイド部材82よりも下方であって、上側傾斜ガイド部材32よりも上方に配置されている。回転体52は、第1検出子52Aと、第2検出子52Bとを有する。
第1検出子52Aは、支軸53から上方へ延出されて排紙路65Bに対して垂直に交差するアーム状の部材である。この第1検出子52Aは、下側ガイド部材82に設けられた開口82Aから排紙路65Bへ突出している。第2検出子52Bは、支軸53から概ね前方側へ延出されている。下側ガイド部材82と上側傾斜ガイド部材32とに挟まれた空間にフォトインタラプタ51が設けられている。本実施形態では、回転体52に外力が加えられていない状態で、第2検出子52Bは、フォトインタラプタ51の発光素子から受光素子に至る光路に進入して、この光路を通る光を遮断している。
このように、回転体52は第1検出子52Aを有するため、第1検出子52Aに記録用紙が衝突するなどして外力が加えられると、図3(B)に示されるように、回転体52が記録用紙から押圧力を受けて支軸53を中心に時計回転方向(図3の右回転方向)へ回転する。また、第1検出子52Aの回転動作に伴って第2検出子52Bも回転する。これにより、第2検出子52Bは、フォトインタラプタ51の光路から退避するため、発光素子から発光された光は光路を通って受光素子で受光される。このとき、フォトインタラプタ51の受光素子から出力される出力信号が変動する。具体的には、出力信号の信号レベルがLOWからHIGHに変わる。この変動に基づいて、制御部90は、排紙路65Bを通る記録用紙の有無や、記録用紙の進行方向の先端の位置を検知する。
なお、回転体52が図3(B)に示される位置まで回転していたとしても、支軸53には、ネジリコイルバネなどの図示しない弾性部材が取り付けられているため、上記押圧力が解除されると、上記弾性部材による弾性力によって、回転体52は、図3(A)に示される元の状態に戻される。これにより、第2検出子52Bは、フォトインタラプタ51の光路に進入して、この光路を通る光を遮断する。このとき、フォトインタラプタ51の受光素子の出力信号の信号レベルがHIGHからLOWに変わる。この変動に基づいて、制御部90は、排紙路65Bを通る記録用紙の進行方向の後端の位置を検知する。
<電気的構成>
次に、図4を参照して、複合機10の電気的構成について説明する。制御部90は、複合機10の全体動作を制御するものであるが、スキャナ部12及び記録部24の制御についての詳細な説明は省略する。なお、本実施形態では、制御部90によって、本発明の回転制御手段が実現されている。
制御部90は、演算処理を行うCPU91、制御プログラム等が格納されたROM92、データの記憶領域又は作業領域として使用されるRAM93、設定情報などが記憶されるEEPROM94を主とするマイクロコンピュータとして構成されている。各構成要素は、バス95を介してASIC98に接続されている。
CPU91は、ROM92やRAM93に記憶されている所定値やプログラムに従って、複合機10が有している各種機能の制御や、ASIC98と接続された各部を制御するものである。
ROM92は、複合機10の各種動作を制御するためのプログラム等を格納している。例えば、図5及び図6のフローチャートで示す処理を実行するプログラムを含む各種制御プログラムや、それらの制御プログラムをCPU91により実行する上で必要なデータ等を格納している。また、ROM92には、判定表データメモリ92a、制御量データメモリ92bの記憶領域が割り当てられている。
判定表データメモリ92aには、図12に示す判定表が記憶されている。この判定表は、排紙トレイ79に排紙されている記録済み用紙のなかで、最上位の用紙P2の上面(排出面、M1)に使用されたインク量、記録済み用紙P2の下面(排出面の反対側、M2)及び記録済み用紙P2の直下に排出されている記録済み用紙P3の上面(M3)に使用されたインク量に基づいて、第3搬送ローラ45を制御して記録用紙P1を搬送する回転制御手段を実行するか否か、及び、回転制御手段を実行する場合にその制御量を、後述する制御量データメモリ92bに記憶されている制御量データ(1)〜(3)のどれにするのかの判定に使用されるものである。
制御量データメモリ92bには、上述した回転制御手段を実行する場合の、第3搬送ローラ45の回転量(X)及び速度(V)を記憶する図13に示す制御量データ(1)〜(3)が記憶されている。この制御量データは、回転制御手段の実行回数と、記録用紙P1を反転搬送路76側へ搬送する第3搬送ローラ45の逆回転量X1とその時の第3搬送ローラ45の回転速度V1と、記録用紙P1を排紙トレイ79側へ搬送する第3搬送ローラ45の正回転量X2とその時の第3搬送ローラ45の回転速度V2とを示すものである。尚、回転制御手段が実行される際には、第3搬送ローラ45の逆回転を実行した後に、正回転を実行するように設定されている。
RAM93は、CPU91が各種プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域として、また作業領域として用いられる。また、RAM93には、表面インク量データメモリ93a、裏面インク量データメモリ93bの記憶領域が割り当てられている。
表面インク量データメモリ93aは、記録用紙の表面の画像記録に使用されたインク量を記憶する領域である。裏面インク量データメモリ93bは、記録用紙の裏面の画像記録に使用されたインク量を記憶する領域である。
EEPROM94は、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
ASIC98には、駆動回路96が接続されている。駆動回路96は、第1搬送ローラ60、第2搬送ローラ62、第3搬送ローラ45などに接続された搬送用モータ73や、給紙ローラ25に接続された給紙用モータ71を駆動させるものである。駆動回路96には、搬送用モータ73及び給紙用モータ71を駆動するためのドライバが設けられており、搬送用モータ73及び給紙用モータ71は上記各ドライバによって独立に制御される。周知の駆動伝達機構を介して、搬送用モータ73の回転力は第1搬送ローラ60、第2搬送ローラ62、及び第3搬送ローラ45に伝達され、給紙用モータ71の回転力は給紙ローラ25に伝達される。
本実施形態に係る複合機10では、搬送用モータ73は、記録用紙をプラテン42へ向けて搬送したり、プラテン42上に位置する記録用紙や記録済みの記録用紙を排紙トレイ79側へ搬送したりする第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ62の駆動源となっており、更には、第3搬送ローラ45を正逆回転方向へ回転させるための駆動源にもなっている。
また、ASIC98には、フォトインタラプタ51や、搬送用モータ73により駆動される第3搬送ローラ45の回転量を検知するロータリーエンコーダ97などが接続されている。制御部90は、フォトインタラプタ51の出力信号のレベル及びロータリーエンコーダ97が検知するエンコーダ量に基づいて、排紙路65Bにおける記録用紙の有無、排紙路65Bにおける記録用紙の先端又は後端の通過位置、並びに記録用紙の搬送量を把握することができる。
<実施形態の動作>
次に、本実施形態の複合機10の動作について、図5及び図6のフローチャート、図7乃至図11の模式断面図、図12の判定表、図13の制御量データを参照して説明する。
まず、図5のフローチャートを参照して、複合機10のCPU91により実行されるメイン処理について説明する。このメイン処理は、ユーザによる操作パネル部40の操作を介して、プリンタ機能、スキャナ機能、及び、コピー機能等の各種機能の中で、プリント機能が選択された場合に実行される処理である。特に、メイン処理では、複数枚の記録用紙の印刷において、印刷枚数が所定量を超えた場合に、第3搬送ローラ45の回転方向を制御することで、両面印刷において、片面が印刷された用紙が反転経路部41に搬送される場合に、その記録用紙によって排紙トレイに排出されている記録済みの記録用紙も反転搬送路41に搬送されることを防ぐことができる処理を含んでいる。
このメイン処理では、まず、複数パージの記録用紙を印刷するかが判断される(ステップ1、以下ステップをSと記す)。本実施形態では、ユーザによってプリント機能が選択されると、表示部42には、印刷する記録用紙のページ数を指定する要求が表示され、操作パネル部40の操作を介して複数ページ指定されたかが判断される。尚、本実施形態において、複数ページとは記録用紙が2ページ以上である。複数ページ指定されない場合には(S1:NO)、1枚の記録用紙の印刷を実行する(S10)。具体的には、後述するS2、S3、S4、S7を実行し、本メイン処理を終了する。
複数ページの記録用紙の印刷が指定されると(S1:YES)、給紙用モータ71が駆動されて、給紙ローラ25によって給紙トレイ78から記録用紙P1が給紙される(S2)。給紙された記録用紙P1は、外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19によって案内されて、湾曲路65Aに沿って下方から上方へUターンするように記録部24側へ搬送される。記録用紙P1が第1搬送ローラ60及びピンチローラ61に到達すると、第1搬送ローラ60及びピンチローラ61によって記録用紙P1が記録部24とプラテン42との間に搬送される(S3)。そして、記録部24によって記録用紙P1の表面に画像記録が開始される(S4)。記録用紙P1の表面への画像記録が終了すると、記録用紙P1の表面への画像記録に使用されたインク量が表面インク量データメモリ93aに記憶される(S5)。この表面インク量データメモリ93aには、記録用紙P1の前に記録され、排紙トレイ79上に排紙されている記録済み記録用紙P2、P3等の表面の画像記録に使用されたインク量も記憶されている。記録部24によって表面に画像が記録された記録用紙P1は、第2搬送ローラ62及び拍車ローラ63によって排紙路65Bに搬送される。なお、記録用紙P1が第1搬送ローラ60及びピンチローラ61に到達すると、給紙ローラ25の回転が停止され、記録用紙P1は、第1搬送ローラ60及びピンチローラ61によって搬送される。
表面が記録された記録用紙P1に対して、裏面を記録する両面記録を行うか否かが判断される(S6)。両面記録を行わないと判断された場合は(S6:NO)、表面のみに画像記録が行われた記録用紙P1が第3搬送ローラ45及び拍車ローラ46によって排紙トレイ79へ排出される(S7)。尚、ステップS6において、両面記録を行わないと判断された場合は、裏面インク量データメモリ93bには、記録用紙P1の裏面への画像記録に使用されたインク量が「0」と記憶される。
両面記録を行うと判断された場合は(S6:YES)、両面記録制御処理が実行される(S8)。両面記録制御処理によって裏面に画像が記録された記録用紙P1は、上述したステップS7に進み、第3搬送ローラ45及び拍車ローラ46によって排紙トレイ79へ排出される(S7)。両面記録制御処理の詳細については、後述する。
表面又は表裏面に画像が記録された記録用紙P1が排紙トレイ79へ排出されると、指定されたページ数の記録用紙の全てに画像記録が行われたか判断する(S9)。まだ、指定されたページ数の記録用紙の全てに画像記録が行われていない場合は(S9:NO)、上述したステップS2に戻り、給紙用モータ71が駆動されて、給紙ローラ25によって給紙トレイ78から新たに記録用紙が給紙される。指定されたページ数の記録用紙の全てに画像記録が行われた場合は(S9:YES)、本メイン処理を終了する。
(両面記録制御処理)
複合機10の両面記録制御処理(図5のステップS8)の詳細について、図6のフローチャートを参照して説明する。
この両面記録制御処理では、ステップS6において、記録部24によって表面に画像が記録された記録用紙P1の後端が第1検出子52Aを通過したか否かが判断される(S20)。具体的には、記録用紙P1が排紙路65Bを搬送される際に、記録用紙P1の先端が第1検出子52Aに到達すると、回転体52が図7(A)に示すように時計回転方向へ回転する。このとき、回転体52の回転に伴って、同じ方向へ第2検出子52Bも回転し、フォトインタラプタ51の光路から退避する。これにより、フォトインタラプタ51の出力信号はLOレベルからHIGHレベルに変化する。制御部90は、このときの信号レベルの変化を検出して、排紙路65Bにおける記録用紙P1の先端の位置を検知する。つまり、制御部90は、記録用紙P1の先端が第1検出子52Aに到達したかどうかを検知する。
更に記録用紙P1が搬送されてその先端がフラップ49の下方に到達すると、記録用紙P1の先端が補助ローラ47に衝突する。このとき、フラップ49は、記録用紙P1からフラップ49を上方へ回動させる力を受ける。図7(A)に示されるように、この力を受けてフラップ49は、第2姿勢から第1姿勢に姿勢変化する。これにより、下側ガイド部材82から第3搬送ローラ45へ続く搬送経路が通じる。その後、記録用紙P1の先端が第3搬送ローラ45及び拍車ローラ46に到達すると、第3搬送ローラ45及び拍車ローラ46によって排紙トレイ79側へ搬送される。
更に記録用紙P1が排紙トレイ79側へ搬送されて、記録用紙P1の後端が第1検出子52Aを通過すると、第2検出子52Bは記録用紙P1による力の作用が解除されるため、支軸53に設けられた図示しない弾性部材によって回転体52は図7(B)の反時計回転方向へ回転して、図7(B)に示される初期姿勢に戻る。このとき、第2検出子52Bはフォトインタラプタ51の光路に進入するため、フォトインタラプタ51の出力信号はHIGHレベルからLOレベルに変化する。制御部90は、このときの信号レベルの変化を検出して、排紙路65Bにおける記録用紙P1の後端の位置を検知する。つまり、制御部90は、記録用紙P1の後端が第1検出子52Aを通過したかどうかを検知する。
記録用紙P1の後端が第1検出子52Aを通過した直後は、図7(B)に示されるように、記録用紙P1は、その後端が下側ガイド部材82で支持された第1支持状態にある。つまり、記録用紙P1は、実質的に、下側ガイド部材82及び第3搬送ローラ45の両方で支持されている。本実施形態では、記録用紙P1は、フラップ49による第2姿勢側への付勢力に耐えて上記第1支持状態を維持することにより、フラップ49の回動姿勢は第1姿勢を維持する。フラップ49による第2姿勢側への付勢力は、記録用紙P1が上記第1支持状態にあるときに記録用紙P1から受けるフラップ49を上方へ押し返す反力よりも小さく設定されている。これにより、上記第1支持状態においてフラップ49を第2姿勢に維持することが可能となる。また、記録用紙P1がフラップ49によって下方へ押し付けられても大きく撓まされることがない。
ステップS20において、記録用紙P1の後端が第1検出子52Aを通過したことが検知されると、制御部90は、記録用紙P1を所定量だけ搬送させた後に第3搬送ローラ45の回転を停止させる(S21)。この所定量は、第1検出子52Aから分岐口36の中央部36Aまでの距離に相当する第3搬送ローラ45の回転量である。ここで、分岐口36の中央部36Aは、下側ガイド部材82の下流側端部とフラップ49の補助ローラ48との間に位置している。すなわち、制御部90は、記録用紙P1の後端が分岐口36の中央部36Aに到達したときに記録用紙P1の搬送を停止させる。
記録用紙P1の後端が分岐口36の中央部36Aに到達したかどうかの判断は、フォトインタラプタ51の出力信号と、ロータリーエンコーダ97から入力される回転量信号とに基づいて行われる。具体的には、制御部90は、フォトインタラプタ51の出力信号に基づいて記録用紙P1の後端が第1検出子52Aを通過したことを検知すると、その後、ロータリーエンコーダ97から入力される回転量信号に基づいて、記録用紙P1の搬送量を随時求める。そして、この搬送量が上記所定量に達したときに、制御部90は、記録用紙P1の後端が分岐口36の中央部36Aに到達したと判断する。その後、制御部90は、搬送用モータ73を停止させる。これにより、記録用紙P1の後端が分岐口36の中央部36Aに位置する第2支持状態で記録用紙P1が一時停止する(図8(C)参照)。
上記第2支持状態は、記録用紙P1の後端が分岐口36の中央部36Aに位置する状態である。言い換えると、記録用紙P1が下側ガイド部材82で支持されていない状態で、且つ、補助ローラ48が記録用紙P1に当接している状態である。本実施形態では、フラップ49による第2姿勢側への付勢力は、上記第2支持状態にある記録用紙P1から受けるフラップ49を上方へ押し返す反力よりも大きく設定されている。したがって、記録用紙Sが上記第2支持状態にある場合は、記録用紙P1は、フラップ49による下方への付勢力に耐えきれなくなり、フラップ49が第1姿勢から第2姿勢へ回動する(図8(D)参照)。このとき、記録用紙P1の後端は、フラップ49の補助ローラ48によって下側傾斜ガイド部材33側へ押し付けられて、その姿勢を維持する。つまり、フラップ49が第2姿勢に維持されて、記録用紙P1の上流側の端部(反転搬送路67へ向けられた端部)が分岐口36から反転搬送路67側に進入する。
次に、記録用紙の記録枚数が所定枚数以上になったか否かが判断される(S22)。所定枚数以上でないと判断された場合は(S22:NO)、制御部90は、搬送用モータ73を逆回転させて、記録用紙P1の上流側の端部が第3搬送ローラ45及び拍車ローラ46に挟持された状態で、第3搬送ローラ45を逆回転する(S23、図8(D)参照)。これにより、記録用紙P1は、分岐口36付近でスイッチバックされて、反転搬送路67に沿って搬送される。
反転搬送路67に搬送された記録用紙P1が給紙ローラ25に到達すると(図9(E)参照)、制御部90は給紙ローラ25を再駆動させる(S24)。これにより、反転搬送路67の記録用紙P1が給紙ローラ25よって、湾曲路65Aへ向けて再給紙される(図9(F)参照)。そして、記録用紙P1が再び記録部24へ搬送されると、記録部24によって裏面に画像が記録される(S25)。記録用紙P1の裏面への画像記録が終了すると、記録用紙P1の裏面への画像記録に使用されたインク量が裏面インク量データメモリ93bに記憶され(S26)、本両面記録制御処理が終了する。尚、裏面インク量データメモリ93bには、記録用紙P1の前に記録され、排紙トレイ79上に排紙されている記録済み記録用紙P2、P3等の裏面の画像記録に使用されたインク量も記憶されている。
次に、ステップS22において、記録用紙の記録枚数が所定枚数以上になったと判断された場合について説明する。この場合は、図10に示すように、排紙トレイ79上には記録用紙P1に画像記録が行われる前に画像記録が行われた記録済みの記録用紙P2、P3等が排出されている。
ステップS22において、記録用紙P1に記録する前までの記録枚数が所定枚数以上になったと判断された場合は(S22:YES)、前回画像が記録され排紙トレイ79に排出された記録済み記録用紙の中で、最上位の記録用紙P2の記録用紙P1と接触する面M1に対して使用されたインク量から、判定表データメモリ92aに記憶されている図13に示す判定表に基づいて、回転制御手段を実行するか否かが判断される(S27)。すなわち、記録用紙P1の両面記録において、第3搬送ローラ45を制御して搬送を行うか否かを判定する。尚、記録用紙P2の面M1に使用されたインク量は、記録用紙P2が片面記録であれば表面インク量データメモリ93aに記憶されているインク量であり、記録用紙P2が両面記録であれば裏面インク量データメモリ93bに記憶されているインク量である。つまり、記録用紙P1の表面への記録の直前に記録されたページのインク量である。
例えば、図12に示すように、記録用紙P2の面M1に使用されたインク量が、記録用紙P2の領域に対して5パーセント(以下パーセントを%と記す)未満であれば、回転制御手段は実行されない。記録用紙P2の領域に対して5%以上であれば、回転制御手段が実行される。
第3搬送ローラ45を制御して記録用紙P1を搬送する回転制御手段を実行しないと判断された場合は(S27:NO)、上述したステップS23以降の処理に進む。回転制御手段を実行すると判断された場合は(S27:YES)、判定表データメモリ92aに記憶されている図13に示す判定表に基づいて、図13に示す制御量データメモリ92bに記憶されている回転制御手段における第3搬送ローラ45の制御量を決定する(S28)。例えば、図13に示すように、記録用紙P2に使用されたインク量が、記録用紙P2の面M1の領域に対して5%以上10%であれば、制御量が制御量データ(1)か制御量データ(2)に決定される。この場合、記録用紙P2の面M1(上面)とは反対の面M2(下面)に使用されたインク量と、記録用紙P2の直下にある記録用紙P3の記録用紙P2と接触する面M3(上面)に使用されたインク量とから決定される。記録用紙P2の面M2または記録用紙P3の面M3のどちらか一方に使用されたインク量が10%未満であれば制御量データ(1)に決定され、10%以上であれば制御量データ(2)に決定される。記録用紙P2の面M1が10%以上20%未満、20%以上の場合においても上述した方法と同様に、判定表データメモリ92aに記憶されている判定表に基づいて、第3搬送ローラ45の制御量が決定される。尚、本実施形態においては、第3搬送ローラ45の制御量は制御量データ(2)に決定されたとする。
ステップS28において決定された制御量データに基づいて第3搬送ローラ45の制御を実行する。本実施形態においては、回転制御手段における第3搬送ローラ45の制御量は制御量データ(2)であるため、制御量データ(2)に基づいた回転制御手段の実行回数及び第3搬送ローラ45の回転量(X)及び速度(V)で第3搬送ローラ45を制御する。例えば、制御量データ(2)における回転制御手段の1回目の第3搬送ローラの制御は、記録用紙P1を反転搬送路67側に搬送する方向に第3搬送ローラ45を40mmの回転量と8(inch/sec)の速度とで逆回転させる(S29)(図10(G)参照)。ステップS29の処理が終了すると、記録用紙P1を排紙トレイ79側に搬送する方向に第3搬送ローラ45を20mmの回転量と6(inch/sec)の速度とで正回転させる(S30)(図10(H)参照)。ステップS30の処理が終了すると、第3搬送ローラ45の制御が終了したか否かを判断がされる(S31)。制御量データ(2)では回転制御手段は2回実行されるので、2回目の第3搬送ローラ45の制御を実行するため、第3搬送ローラ45の制御が終了していないと判断される(S31:NO)。この場合ステップS30に進み、記録用紙P1を反転搬送路67側に搬送する方向に第3搬送ローラ45を60mmの回転量と12(inch/sec)の速度とで逆回転させる(図11(I)参照)。この処理が終了すると、記録用紙P1を排紙トレイ79側に搬送する方向に第3搬送ローラ45を35mmの回転量と8(inch/sec)の速度とで正回転させる(図11(J)参照)。制御量データ(1)、(3)の場合においても上述した方法と同様に実行される。尚、回転制御手段は1回目に比べ2回目の方が逆回転量X1、速度V1、正回転量X2、速度V2が大きくなっているが、これは1回目に比べ2回目の方が、記録用紙P1が記録用紙P2と接する面積が少なく摩擦も減少しており、1回目に比べ2回目の方が重送現象が発生しにくいため、大きく搬送できるからである。制御量データ(2)の回転制御量の実行回数は2回なので、第3搬送ローラ45の制御が終了したと判断され場合は(S31:YES)、上述したステップS23以降の処理に進む。
これにより、記録用紙P1の両面に画像を記録する場合に、記録用紙P1が排紙トレイ79上の記録済み記録用紙P2と摺接し、摩擦により記録用紙P1が記録用紙P2を引き連れて反転搬送路へ搬送されることが防止できる。
本実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、本実施形態では、複合機10をインクジェットプリンタで構成するものとしたが、レーザープリンタで構成するものとしても良い。
例えば、本実施形態では、回転制御手段を実行するか否か、及び、回転制御手段を実行する場合の制御量の決定を使用された記録剤の量に基づいて行ったが、記録用紙の種類によっても用紙間の摩擦が異なるため、図14(1)に示す判定表を判定表データメモリ92aに記憶しておき、記録用紙の種類に基づいて制御量の決定を行ってもよい。また、記録用紙のサイズによっても用紙間の摩擦が異なるため、図14(2)に示す判定表を判定表データメモリ92aに記憶しておき、記録用紙のサイズに基づいて制御量の決定を行ってもよい。また、記録剤の量と記録用紙の種類とから制御量を決定したり、記録剤の量と記録用紙のサイズとから制御量を決定したりしてもよい。これによって、記録済み被記録媒体P2の反転搬送路67への引き込みをより抑制することができる。
例えば、本実施形態では、実行する回転制御手段の第1回転量を、前回実行した回転制御手段の第1回転量よりも大きくしたが、第1回転量回転させた後に実行する第2回転量が当該第1回転量よりも小さければ、前回実行した第1回転量と同じまたは小さくしてもよい。
例えば、本実施形態では、実行する回転制御手段の第1速度を、前回実行した回転制御手段の第1速度よりも大きくしたが、第1速度で第1回転量回転させた後に実行する第2回転量の第2速度が当該第1速度よりも小さければ、前回実行した第1速度と同じまたは小さくしてもよい。