JP5381555B2 - 板状ワーク研磨装置および板状ワーク研磨方法 - Google Patents

板状ワーク研磨装置および板状ワーク研磨方法 Download PDF

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Description

本発明は、サンギアと、インターナルギアと、外周部に形成された歯が前記両ギアに噛合して自転しながら公転するキャリアとを有し、該キャリアに形成されたホールに板状ワークを保持して、該板状ワークの表裏両面を同時に研磨するようにした研磨装置および研磨方法に関する。
周知のように、CCD或いはCMOS等の固体撮像素子を収納するパッケージ用のガラス板や、電子部品光学レンズ用途のマイクロレンズアレーに適したガラス板などは、その製造工程において研磨処理に附される。この研磨処理に附されるガラス板は、非円形、例えば矩形の薄板であって、その製造過程における加熱冷却時或いは成形時に生じる不可避的な問題に起因して肉厚の偏り度合いや平坦性さらには面性状を最適化できない。そのため、この種のガラス板は、これらの特性を優れたものとするために当該研磨処理に附されるのが通例である。
この種のガラス板を研磨する装置としては、例えば特許文献1に、上側研磨定盤と下側研磨定盤とを有すると共に、サンギアとインターナルギアとの間に、これらの両ギアに外周部の歯が噛合して自転しながら公転するキャリアを介在させ、このキャリアに、ウェーハ等の板状ワークを保持する円形ホールを形成し、キャリアの公転および自転に伴って板状ワークの表裏両面を同時に研磨する構成が開示されている。
そして、同文献の図3には、キャリアの自転および公転時に、キャリアの一部および円形ホールの一部が下側研磨定盤の上面部外周端から食み出した状態が記載されているが、この事項について考察すると、キャリアの円形ホールの一部が下側研磨定盤の上面部外周端から食み出したならば、円形ホールに保持される板状ワークの一部も必然的に下側研磨定盤の上面部外周端から食み出すことになる。
特開2003−175456号公報
しかしながら、上記の特許文献1に開示された研磨装置のように、キャリアの円形ホールの一部ひいては板状ワークの一部が下側研磨定盤の上面部外周端から食み出すようになっていると、板状ワークの食み出し部に不当な曲げ応力が発生すると共に、当該板状ワークが薄肉である場合には、その食み出し部が垂れ下がり或いは破損に至る等の不具合を招く。このような問題は、板状ワークが上記例示した用途に使用されるガラス板(特にこの種の薄肉のガラス板)の場合に顕著となって現れる。
このような問題に対しては、板状ワークの一部が下側研磨定盤の上面部外周端から食み出さないようにすればよいのであるが、そのようにしたならば、板状ワークにおけるキャリアの自転中心に近い部位よりも遠い部位の方が、周速度が速くなって研磨量が多くなるため、均一な肉厚の板状ワークに仕上げる上で不利となる。すなわち、板状ワークの全域の中でキャリアの自転中心から遠い部位を、キャリアの自転および公転に伴って下側研磨定盤の上面部外周端から食み出させれば、その遠い部位の研磨量が食み出しに起因して周速度が速いにも拘わらず一時的に研磨されない時期が存在することになるため、その部位の研磨量がトータルとして適度な量となり、板状ワークの肉厚が全域に亘って均一化されると考えられる。したがって、上述の如く板状ワークを食み出させることは、肉厚均一化の観点から重要な意義があると考えられる。
また、キャリアの円形ホールの一部ひいては板状ワークの一部を、上記の如く下側研磨定盤の上面部外周端から食み出させるようにすれば、搬送ロボット等を使用して、板状ワークをキャリアの円形ホールに搬入および搬出させる上で、利便性を確保できるという利点が得られる(特許文献1参照)。したがって、このような観点からも、上記の如き板状ワークの食み出しは重要な意義があると考えられる。
以上のような事項を勘案すれば、板状ワークを食み出させることによる上述の曲げ応力の発生に伴う研磨不良や、食み出し部の垂れ下がりひいては破損等の招来は、この種の両面研磨装置においては、避けることのできない問題点であって、これを避けるべく板状ワークの食み出しをなくした場合の方が、より致命的な問題を招き、もはや改良の余地がなくなってしまうものと解される。
そして、以上のような問題は、板状ワークが非円形ガラス板である場合に、特に顕著となって現れるものと推認できる。
上記技術的課題を解決するために創案された本発明に係る装置は、サンギアと、インターナルギアと、これらの両ギア間に介設され且つ外周部に形成された歯が前記両ギアに噛合して自転しながら公転するキャリアと、該キャリアに形成されたホールに保持される板状ワークと、前記キャリアの移動経路の上方および下方にそれぞれ配置された上側研磨定盤および下側研磨定盤とを備え、前記板状ワークの上面および下面の両面を同時に研磨するように構成した板状ワーク研磨装置において、前記板状ワークがガラス板であって、前記キャリアのホールに該ガラス板が保持され、前記キャリアの自転および公転時に前記キャリアの一部および前記ガラス板の一部が前記下側研磨定盤の上面部の外周端から食み出すと共に、該下側研磨定盤の上面部の外周端の外周側に、研磨スラリーが流通する周溝が形成され、該周溝に、少なくとも前記ガラス板の食み出し部を下方より支持する受け部が、前記研磨スラリーの流通を許容するように形成されていることに特徴づけられる。ここで、ガラス板の研磨に際しては、下側研磨定盤の上面とガラス板の下面との間および上側研磨定盤の下面とガラス板の上面との間に、研磨材を溶媒に混濁させてなる研磨スラリーを供給して、この研磨スラリーによりガラス板の両面について研磨を行うように構成するのが一般的であるが、下側研磨定盤の上面および上側研磨定盤の下面を砥面とし且つそれらの砥面によりガラス板の両面について研磨を行うことを排除するわけではない。なお、上記の「受け部」は、下側研磨定盤と一体的に回転するように構成されることが好ましい。
上記技術的課題を解決するために創案された本発明に係る装置は、サンギアと、インターナルギアと、これらの両ギア間に介設され且つ外周部に形成された歯が前記両ギアに噛合して自転しながら公転するキャリアと、該キャリアに形成されたホールに保持される板状ワークと、前記キャリアの移動経路の上方および下方にそれぞれ配置された上側研磨定盤および下側研磨定盤とを備え、前記板状ワークの上面および下面の両面を同時に研磨するように構成した板状ワーク研磨装置において、前記板状ワークがガラス板であって、前記キャリアのホールに該ガラス板が保持され、前記キャリアの自転および公転時に前記キャリアの一部および前記ガラス板の一部が前記下側研磨定盤の上面部の外周端から食み出すと共に、該下側研磨定盤の上面部の外周端の外周側に、少なくとも前記ガラス板の食み出し部を下方より支持する受け部を配設したことに特徴づけられる。ここで、ガラス板の研磨に際しては、下側研磨定盤の上面とガラス板の下面との間および上側研磨定盤の下面とガラス板の上面との間に、研磨材を溶媒に混濁させてなる研磨スラリーを供給して、この研磨スラリーによりガラス板の両面について研磨を行うように構成するのが一般的であるが、下側研磨定盤の上面および上側研磨定盤の下面を砥面とし且つそれらの砥面によりガラス板の両面について研磨を行うことを排除するわけではない。なお、上記の「受け部」は、下側研磨定盤と一体的に回転するように構成されることが好ましい。
このような構成によれば、サンギアとインターナルギアとに噛合してキャリアが自転しながら公転することにより、キャリアの一部およびガラス板の一部が下側研磨定盤の上面部の外周端から食み出しても、ガラス板の食み出し部は、下側研磨定盤の上面部外周端の外周側に配設された受け部によって下方から支持される状態となる。したがって、研磨時にガラス板の食み出し部に不当な曲げ応力が発生するという事態、およびその食み出し部が垂れ下がり或いは破損に至る等の事態が、効果的に回避される。しかも、研磨によるガラス板の肉厚の均一化や、その搬入および搬出の利便性については、有効に確保することができる。そして、以上のような利点は、ガラス板が薄肉である場合に特に顕著となって現れる。なお、この受け部は、キャリアの食み出し部をも受ける役割を果たすことができるため、キャリアの薄肉化にも寄与することができる。
この場合、前記下側研磨定盤の上面部と前記上側研磨定盤の下面部との内周端から外周端までの径方向寸法が実質的に同一であって、その径方向寸法Wと、前記キャリアの自転中心から前記ガラス板の最大離反部位までの距離の二倍値Dとが、D/W=1.27±0.1の関係式の範囲内に設定されていることが好ましい。
このようにすれば、自転しながら公転するキャリアのホールに保持されたガラス板が適正な両面研磨を受けることができると共に、ガラス板の下側研磨定盤の上面部外周端からの食み出し部が最適な食み出し寸法になり(上側研磨定盤の下面部外周端からの食み出し部も同様)、その食み出し部が受け部により下方から適正に支持されつつ研磨処理を受けることが可能となる。すなわち、D/Wが1.27+0.1を超えると、ガラス板の食み出し部が広くなり過ぎて、その食み出し部を受け部が確実に支持できなくなるおそれがあると共に、食み出し部の研磨不足によりガラス板の肉厚均一化が損なわれるおそれもある。これに対して、D/Wが1.27−0.1未満であると、ガラス板の食み出し部が狭くなり過ぎて、食み出し部の研磨過多によりガラス板の肉厚均一化や搬入搬出に支障を来たすおそれがある。したがって、D/Wが上記の数値範囲にあると、これらの不具合は生じ難い。なお、以上の事項を勘案すれば、D/W=1.27±0.05の関係式の範囲内にあることがより好ましい。
本発明に係る装置は、既述のように、前記下側研磨定盤の上面部の外周端の外周側に、研磨スラリーが流通する周溝が形成され、該周溝に前記研磨スラリーの流通を許容するように前記受け部が形成されている
このようにすれば、研磨スラリーは、遠心力によって下側研磨定盤の上面を外周側に向かって流れた後、周溝を流通して排出されることになるが、この周溝に形成される受け部の態様が適切でなければ、研磨スラリーは受け部によって堰き止められて、下側研磨定盤の上面に不当な量の研磨スラリーが残留し、ガラス板に対する適正な研磨が阻害される。しかしながら、この受け部は、研磨スラリーの流通を許容することによりその堰き止めを阻止できるように周溝に形成されているため、上記のような不具合は生じ難くなる。
この場合、前記受け部は、前記周溝の底部から上方に突出すると共に該周溝の周方向に間欠的に配列された複数の受ペレットで構成することができる。
このようにすれば、受け部を構成する複数の受ペレットは、周溝の底部から上方に突出し且つ周溝の周方向に間欠的に(所定間隔ずつを介在させて)配列されているので、受け部によって研磨スラリーが堰き止められて不当な量の研磨スラリーが下側研磨定盤の上面に残留するという不具合が効率良く回避される。
また、前記複数の受ペレットは、前記下側研磨定盤の下部に取り付けられていることが好ましい。
このようにすれば、下側研磨定盤と複数の受ペレットとが、下側研磨定盤の軸心廻りに一体回転することになるため、ガラス板の食み出し部と受ペレットとの間に不必要な摺動が生じなくなり、ガラス板の研磨作業時に邪魔な擦れ等が生じなくなる。
以上の構成において、前記キャリアの自転および公転時に前記キャリアの一部および前記ガラス板の一部を前記下側研磨定盤の内周端の上面部から食み出させると共に、該下側研磨定盤の上面部の内周端の内周側に、少なくとも前記ガラス板の食み出し部を下方より支持する第2の受け部を配設するようにしてもよい。
このようにすれば、下側研磨定盤の上面部外周端の外周側に配設された上記の受け部の役割を、第2の受け部によって内周側で補助できると共に、上記の受け部と第2の受け部とによってガラス板の支持の調整を行うことができ、ガラス板の研磨を最適な状態に調整し得ることになる。
以上の構成において、前記ガラス板は、前記キャリアのホールに拘束して保持されていることが好ましい。
このようにすれば、上側研磨定盤と下側研磨定盤との間にガラス板を挟み込んで両面研磨を行う場合に、ガラス板がキャリアのホール内でがたつく等の事態が生じなくなり、研磨作業の阻害要因を低減させることができる。
この場合、前記ガラス板が非円形ガラス板、特に矩形ガラス板であると共に、前記キャリアのホールが、該ガラス板が嵌め合わされる矩形等、ガラス板と相似形の形状を呈していることが好ましい。
このようにすれば、CCD或いはCMOS等の固体撮像素子を収納するパッケージ用のガラス板や、電子部品光学レンズ用途のマイクロレンズアレーに適したガラス板などの研磨を、円滑に行うことが可能となる。
以上の構成において、前記キャリアのホールが、該キャリアの自転の中心から偏心して形成されていることが好ましい。
このようにすれば、仮にキャリアのホールが該キャリアの自転中心に存在していれば、その自転中心は単一の円軌道に沿って移動していくため、そのホールに保持されているガラス板は、一箇所については極端に研磨量が少なくなるが、そのホールがキャリアの自転中心から偏心していれば、均等な研磨を行う上で有利となる。
一方、上記技術的課題を解決するために創案された本発明に係る方法は、サンギアと、インターナルギアと、これらの両ギア間に介設され且つ外周部に形成された歯が前記両ギアに噛合して自転しながら公転するキャリアと、該キャリアの移動経路の上方および下方にそれぞれ配置された上側研磨定盤および下側研磨定盤とを有し、該キャリアに形成されたホールに板状ワークを保持して該板状ワークの上面および下面の両面を同時に研磨する板状ワーク研磨方法において、前記板状ワークがガラス板であって、前記キャリアのホールに該ガラス板を保持し、前記キャリアの自転および公転時に前記キャリアの一部および前記ガラス板の一部が前記下側研磨定盤の外周端から食み出すと共に、該下側研磨定盤の外周端の外周側に形成した周溝を研磨スラリーが流通し、且つ、該周溝に形成した受け部が、前記周溝での研磨スラリーの流通を許容した状態で少なくとも前記ガラス板の食み出し部を下方より支持することに特徴づけられる。
このような方法についての作用効果を含む説明事項は、上述の本発明に係る装置について冒頭で説明した事項と実質的に同一である。
以上のように本発明によれば、サンギアとインターナルギアとに噛合してキャリアが自転しながら公転することにより、キャリアの一部およびガラス板の一部が下側研磨定盤の上面部の外周端から食み出しても、ガラス板の食み出し部は、下側研磨定盤の上面部外周端の外周側に配設された受け部によって下方から支持される状態となるため、研磨時にガラス板の食み出し部に不当な曲げ応力が発生するという事態、およびその食み出し部が垂れ下がり或いは破損に至る等の事態が、効果的に回避される。
本発明の実施形態に係る板状ワーク研磨装置の概略構成を示す分解配列斜視図である。 本発明の実施形態に係る板状ワーク研磨装置であって上側研磨定盤を取り払った状態を示す概略平面図である。 図2のA−A線に従って切断した拡大縦断正面図である。 本発明の実施形態に係る板状ワーク研磨装置の要部を示す拡大平面図である。
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態においては、CCD或いはCMOS等の固体撮像素子を収納するパッケージ用のガラス板や、電子部品光学レンズ用途のマイクロレンズアレーに適したガラス板を対象とする。
図1に示すように、この実施形態に係る板状ワーク研磨装置(以下、単に研磨装置という)1は、中央部に配設され且つ軸心廻りに回転するサンギア2と、該サンギア2の外周側に配設され且つ軸心廻りに回転するリング状のインターナルギア3と、サンギア2およびインターナルギア3の相互間に介設され且つ外周部の歯4aがそれらの両ギア2、3に噛合して自転しながら公転する複数(図例では5個)のキャリア4とを有する。これらのキャリア4の下方には円形(詳しくは円環形状)の下側研磨定盤5が配置されると共に、それらキャリア4の上方には上側研磨定盤6が配置されている。この場合、下側研磨定盤5の上面部と上側研磨定盤6の下面部とは実質的に同形状(円環形状)とされ、これらの両研磨定盤5、6の相互間にキャリア4が介在する構成とされている。
図2に示すように、各キャリア4には、実質的に矩形をなす複数個(図例では5個)のホール7が形成され、これらのホール7に実質的に同形状をなす矩形ガラス板8が拘束して保持されている。すなわち、各キャリア4の各ホール7には、各矩形ガラス板8が当該各ホール7との相対回転を規制された状態でそれぞれ保持されている。また、各ホール7は、各キャリア4の自転中心xから等距離だけ偏心した位置にそれぞれ形成されており、したがって各矩形ガラス板8も各キャリア4の自転中心xから等距離だけ偏心した位置に保持されている。この場合、各矩形ガラス板8(各ホール7も同様)は、平面視で一つの角部のみがキャリア4の外周端に最接近するように、キャリア4の公転軌道の接線に対して傾斜するように配置され、キャリア4が自転した場合には、全ての矩形ガラス板8が同一の条件で下側研磨定盤5の上面部外周端5aおよび上面部内周端5bから食み出すように設定されている。
この場合、図3に示すように、矩形ガラス板8の肉厚(板厚)は、キャリア4の肉厚よりも厚く、したがって下側研磨定盤5の上面と上側研磨定盤6の下面との間には、矩形ガラス板8のみが当該両面に接触し得る状態で挟み込まれている。そして、下側研磨定盤5の上面部外周端5aおよび上面部内周端5bと、上側研磨定盤6の下面部外周端6aおよび下面部内周端6bとは、径方向において同一位置とされており、したがって各矩形ガラス板8は、上側研磨定盤6の下面部外周端6aおよび下面部内周端6bから、上記の下側研磨定盤5における態様と同一の条件で食み出すように設定されている。更に、この研磨装置1は、下側研磨定盤5と全ての矩形ガラス板8との間、および上側研磨定盤6と全ての矩形ガラス板8との間に、酸化セリウム等からなる研磨材を溶媒に混濁させてなる研磨スラリーが供給されるように構成されている。
詳述すると、図4に示すように、各キャリア4の自転中心xから矩形ガラス板8の最大離反部位(角部8x)までの距離の二倍値(矩形ガラス板8の角部8xを通るピッチ円の直径)Dと、下側研磨定盤5の上面部内周端5bから上面部外周端5aまでの径方向寸法Wとは、D/W=1.27±0.1(好ましくは、D/W=1.27±0.05)の関係式の範囲を満たすように設定されている。なお、この実施形態では、各キャリア4は、ポリエチレン樹脂等の樹脂や硬質ゴム或いは金属等で形成されると共に、矩形ガラス板8は、板厚が1〜5mmであって且つ互いに直角な一辺および他辺が100〜500mmの正方形または長方形を呈している。
一方、図2に示すように、下側研磨定盤5の上面部外周端5aとインターナルギア3との間には第1周溝9が形成されていると共に、下側研磨定盤5の上面部外周端5bとサンギア2との間には第2周溝10が形成されている。したがって、各キャリア7および各矩形ガラス板8は、下側研磨定盤5の上面部外周端5aから第1周溝9の上方に食み出すと共に、下側研磨定盤5の上面部内周端5bから第2周溝10の上方に食み出している。そして、第1周溝9および第2周溝10には、それらの底部から上方に突出する受け部としての複数の第1受ペレット11および第2受ペレット12が周方向に間欠的にそれぞれ配列されている。
詳述すると、図3に示すように、下側研磨定盤5の下部には、外周側にせり出す外側せり出し部5cと、内周側にせり出す内側せり出し部5dとが形成され、外側せり出し部5cの上面に第1受ペレット11が突設されると共に、内側せり出し部5dの上面に第2受ペレット12が突設されている。したがって、第1受ペレット11および第2受ペレット12は、上下の研磨定盤5、6と同一軸心廻りに一体的に回転するようになっている。更に、これらの第1受ペレット11および第2受ペレット12の上面は、それぞれ平坦面であり、且つ下側研磨定盤5の上面と同一高さまたは略同一高さとされている。
したがって、第1受ペレット11および第2受ペレット12は、各キャリア4の食み出し部の重量を受けると同時に、矩形ガラス板8の食み出し部(図4にクロスハッチングを付した部位)の重量をも受ける役割を果たすように構成されている。この実施形態では、第1受ペレット11および第2受ペレット12は、円柱状に形成され、それらの直径は、第1周溝9および第2周溝10のそれぞれの幅よりも短尺とされている。なお、第1受ペレット11および第2受ペレット12の形状は、三角柱状、四角形状、または多角柱状等でもよく、さらにはそれらの構造等も特に限定されるものではないが、遠心力により外周側に流動した研磨スラリーの流通路(流出路)を第1周溝9および第2周溝10に確保できる事および研磨スラリーの堰き止めを生じさせない事が条件とされる。なお、第1周溝9および第2周溝10の底部には、研磨スラリーを下方に流下させるための隙間が形成されている。
ここで、図1、2を参酌して、この研磨装置1は、上側研磨定盤6が矢印a方向に、下側研磨定盤5が矢印b方向に、サンギア2が矢印c方向に、インターナルギア3が矢印d方向に回転すると共に、キャリア4は、矢印e方向に公転しながら矢印f方向(時計回り又は反時計回り)に自転するように構成されている。そして、このような各構成要素の回転に伴って、各ホール7内の矩形ガラス板8は、上側研磨定盤6と下側研磨定盤5とによって挟み込まれた状態で研磨スラリーによって両面研磨されるようになっている。なお、この実施形態では、キャリア7のe方向への回転速度(公転速度)は、上側研磨定盤6のa方向への回転速度と同一で、下側研磨定盤5のb方向への回転速度の1/3倍に設定されている。
以上のような構成を備えた研磨装置1によれば、図1に示すように、上側研磨定盤6および下側研磨定盤5がそれぞれ矢印a、b方向に回転すると共に、サンギア2およびインターナルギア3がそれぞれ矢印c、d方向に回転することにより、キャリア4が矢印e方向に公転しながら矢印f方向に自転する。これにより、全ての矩形ガラス板9は、各キャリア4のホール8内に拘束して保持された状態で遊星運動に伴う回転移動をしながら、上下の研磨定盤5、6に挟まれて研磨スラリーの供給を受けつつ両面が研磨される。この場合、全ての矩形ガラス板8は、一時的に下側研磨定盤5の上面部外周端5aから食み出すことになるが、この食み出し部は、下側研磨定盤5の上面部外周端5aの外周側に配設された第1受ペレット11によって下方から支持される状態となる。したがって、研磨時に各矩形ガラス板8の食み出し部に不当な曲げ応力が発生する事態が回避されると共に、食み出し部が垂れ下がり或いは破損に至る等の事態も効果的に回避される。そして、研磨時に供給される研磨スラリーは、遠心力によって外周側に流れて下側研磨定盤5の上面部外周端5aから第1周溝9に流れ込むことになる。この場合、第1周溝9には複数の第1受ペレット11が配列されているが、それらの第1受ペレット11が研磨スラリーの流れを堰き止めるという事態は生じない。したがって、研磨スラリーは、第1周溝9に流れ込んだ後、円滑にその下方に排出されることになり、各矩形ガラス板8の研磨に支障が生じなくなる。また、上記のように各矩形ガラス板8の一部が食み出すことにより、その搬入や搬出が効率良く行われる。しかも、各矩形ガラス板8の一部が食み出すことにより、研磨後の矩形ガラス板8に不当な肉厚の不均一は生じなくなる。
なお、以上の実施形態では、ガラス板を矩形ガラス板8としたが、このガラス板は、円形、楕円形や多角形などの他の形状のガラス板であってもよい。
1 板状ワーク研磨装置
2 サンギア
3 インターナルギア
4 キャリア
5 下側研磨定盤
5a 下側研磨定盤の上面部の外周端
5b 下側研磨定盤の上面部の内周端
5c 下側研磨定盤の下部(外側せり出し部)
6 上側研磨定盤
7 ホール
8 ガラス板(矩形ガラス板)
9 周溝(第1周溝)
11 受け部(第1受ペレット)
12 第2の受け部(第2受ペレット)
D キャリアの自転中心からガラス板の最大離反部位までの距離の二倍値
W 下側研磨定盤の上面部の内周端から外周端までの径方向寸法
x キャリアの自転の中心

Claims (9)

  1. サンギアと、インターナルギアと、これらの両ギア間に介設され且つ外周部に形成された歯が前記両ギアに噛合して自転しながら公転するキャリアと、該キャリアに形成されたホールに保持される板状ワークと、前記キャリアの移動経路の上方および下方にそれぞれ配置された上側研磨定盤および下側研磨定盤とを備え、前記板状ワークの上面および下面の両面を同時に研磨するように構成した板状ワーク研磨装置において、
    前記板状ワークがガラス板であって、前記キャリアのホールに該ガラス板が保持され、前記キャリアの自転および公転時に前記キャリアの一部および前記ガラス板の一部が前記下側研磨定盤の上面部の外周端から食み出すと共に、該下側研磨定盤の上面部の外周端の外周側に、研磨スラリーが流通する周溝が形成され、該周溝に、少なくとも前記ガラス板の食み出し部を下方より支持する受け部が、前記研磨スラリーの流通を許容するように形成されていることを特徴とする板状ワーク研磨装置。
  2. 前記下側研磨定盤の上面部と前記上側研磨定盤の下面部との内周端から外周端までの径方向寸法が実質的に同一であって、その径方向寸法Wと、前記キャリアの自転中心から前記ガラス板の最大離反部位までの距離の二倍値Dとが、D/W=1.27±0.1の関係式の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の板状ワーク研磨装置。
  3. 前記受け部は、前記周溝の底部から上方に突出すると共に該周溝の周方向に間欠的に配列された複数の受ペレットで構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の板状ワーク研磨装置。
  4. 前記複数の受ペレットは、前記下側研磨定盤の下部に取り付けられていることを特徴とする請求項に記載の板状ワーク研磨装置。
  5. 前記キャリアの自転および公転時に前記キャリアの一部および前記ガラス板の一部が前記下側研磨定盤の内周端の上面部から食み出すと共に、該下側研磨定盤の上面部の内周端の内周側に、少なくとも前記ガラス板の食み出し部を下方より支持する第2の受け部を配設したことを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の板状ワーク研磨装置。
  6. 前記ガラス板は、前記キャリアのホールに拘束して保持されていることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の板状ワーク研磨装置。
  7. 前記ガラス板が、矩形ガラス板であると共に、前記キャリアのホールが、該矩形ガラス板が嵌め合わされる矩形の形状を呈していることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の板状ワーク研磨装置。
  8. 前記キャリアのホールが、該キャリアの自転の中心から偏心して形成されていることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の板状ワーク研磨装置。
  9. サンギアと、インターナルギアと、これらの両ギア間に介設され且つ外周部に形成された歯が前記両ギアに噛合して自転しながら公転するキャリアと、該キャリアの移動経路の上方および下方にそれぞれ配置された上側研磨定盤および下側研磨定盤とを有し、該キャリアに形成されたホールに板状ワークを保持して該板状ワークの上面および下面の両面を同時に研磨する板状ワーク研磨方法において、
    前記板状ワークがガラス板であって、前記キャリアのホールに該ガラス板を保持し、前記キャリアの自転および公転時に前記キャリアの一部および前記ガラス板の一部が前記下側研磨定盤の外周端から食み出すと共に、該下側研磨定盤の外周端の外周側に形成した周溝を研磨スラリーが流通し、且つ、該周溝に形成した受け部が、前記周溝での研磨スラリーの流通を許容した状態で少なくとも前記ガラス板の食み出し部を下方より支持することを特徴とする板状ワーク研磨方法。
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