JP5381362B2 - インクジェット製版方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット製版方法に関し、特にコンピューター・トゥー・プレート(CTP)方式により画像を形成するインクジェット製版方法に関するものである。
印刷データのデジタル化に伴い、安価で取扱いが容易でPS版と同等の印刷適性を有したCTPが求められている。特に近年、赤外線レーザー記録による種々の方式のCTPが提案されている。それらの中でも特別な現像処理を必要としない、いわゆるドライCTP(印刷機上での現像を含む)が注目されている。しかしながら、これらの方式は画像形成に必要とするエネルギーが非常に高く、露光装置も高価なものとなっている。
一方、親水性表面を有する基材にインクジェット方式により直接親油性画像を形成し、特別な現像処理なしで印刷版を製造するCTPも提案されており、例えば、油性インクを印刷版材の上に付着させ、乾燥後に残存する樹脂を像に対応させた版とする方法(例えば、特許文献1参照。)があるが、耐刷性が不十分であり、また刷版上に付着したインク滴が乾燥する前に、所謂ビーディングを起こし解像力が低下するという問題があった。
その他に、特開平11−139016号、同11−139017号に記載されているソリッドインク方式や、光硬化性モノマーを用いた光硬化性インクを印刷版材に付与して像形成し、光照射により像部分を硬化させるUV硬化方式の製版方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、ソリッドインク方式やこれらのUV方式のような蒸発成分の無い無溶媒タイプで、インク全体を固化させる方式では、画線部が非画線部に対し盛り上がった構造となり、そのためドットの周囲についたインクまで転写してしまうドットゲイン現象が生じやすいという問題を有している。
特開昭56−62157号公報 特開昭56−62157号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、インクジェット方式の特徴である利便性と高い生産性を活かし、保存性に優れた版形成用インクを用い、インクジェット方式の製版で問題であった液滴の合一による液寄りを改良したインクジェット製版方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.少なくとも、水と水溶性有機溶剤と樹脂微粒子を含有する版形成用インクを用い、加熱した印刷用版材上に版形成用インクを付着させ、該版形成用インク中の溶剤を蒸発、乾燥することにより像形成を行うインクジェット製版方法において、該樹脂微粒子の酸価が10mgKOH/g以上であり、該樹脂微粒子の最低造膜温度(MFT)以上の温度に加熱した版材に印画する工程を有し、該版形成用インクが、主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより、側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物を含有し、該高分子化合物の含有量がインク全質量に対して、0.8質量%以上、5.0質量%以下であることを特徴とするインクジェット製版方法。
2.前記樹脂微粒子の酸価が、30mgKOH/g以上であることを特徴とする前記1記載のインクジェット製版方法。
3.前記樹脂微粒子の酸の対塩が、アルカリ金属塩であることを特徴とする前記1又は2記載のインクジェット製版方法。
4.前記アルカリ金属塩が、ナトリウム塩であることを特徴とする前記3記載のインクジェット製版方法。
5.前記高分子化合物の主鎖がポリ酢酸ビニルのケン化物であり、かつケン化度が77%以上、99%以下で、重合度が200以上、4000以下であることを特徴とする前記1から4のいずれか1項に記載のインクジェット製版方法。
6.印刷用版材上に前記版形成用インクを付着させた後、活性エネルギー線を照射して、像形成を行うことを特徴とする前記5記載のインクジェット製版方法。
本発明により、インクジェット方式の特徴である利便性と高い生産性を活かし、保存性に優れた版形成用インクを用い、インクジェット方式の製版で問題であった液滴の合一による液寄りを改良したインクジェット製版方法を提供することができた。
本発明のインクジェット製版方法に用いられるフラットベッド型インクジェットプリンタの一例を示す概略斜視図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明において、特徴的に液寄りが防止できる原因については、鋭意検討中であり未だ不明確な点が多いが、現段階においては以下のような2段階の現象を推測している。即ち、1段階目として印刷時に版材を加熱することにより、着弾したインク液滴は、その周辺部から水分の蒸発が短時間で進行する。そのために、局所的に水分が減少し水溶性有機溶剤の比率が高まる。その時、一定以上の酸価を有する樹脂微粒子を使用した場合は、有機溶剤に対する溶解性が著しく低下し、凝集・増粘するためにビーディングが防止され、液寄りが発生しなくなるものと思われる。また、2段階目として、版材をあらかじめ樹脂微粒子の最低造膜温度(MFT)以上の温度で加熱して、樹脂微粒子の膜形成を行うことで、更に重ねて着弾するときのインク液滴の混合を避けるものと考えられる。しかしながら、多量の無機塩を含有すると、インクの保存性が悪くなることから、好ましい範囲が有ることを見いだしたものである。
以下、本発明の詳細について説明する。
はじめに、本発明のインクジェット製版方法に係る版形成用インク(以下、単にインクともいう)について説明する。
本発明に係る版形成用インクには、少なくとも、水と水溶性有機溶剤と樹脂微粒子を含有する。
〔樹脂微粒子〕
先ず、本発明に係る樹脂微粒子について説明する。
本発明に係る樹脂微粒子としては、造膜性を有する樹脂微粒子であれば特に限定されないが、最低造膜温度(以下、MFTと呼ぶ。)が40℃以上であることが好ましく、樹脂材料としては、ポリウレタン、ポリスチレン−アクリル、ポリスチレン−ブタジエン、ポリスチレン−マレイン酸、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、アクリル変性シリコーン樹脂、アクリル変性フッ素樹脂などからなる樹脂微粒子、またはこれらの共重合体及びこれらの塩からなる樹脂微粒子が挙げられ、好ましくは、ポリウレタン、ポリスチレン−アクリル、ポリスチレン−ブタジエン、ポリスチレン−マレイン酸の中の少なくとも一つから選ばれる共重合体が挙げられる。
本発明に係る版形成用インクにおいて、樹脂微粒子の平均粒径は5nm以上、150nm以下が好ましい。5nm以上とすることによりインキの着肉性が良好となり、150nm以下の粒子径とすることによりインクジェットヘッドからの出射性が安定になり、高い着弾制度を要求される刷版の製造では細線の再現性や小さい文字の再現性などが良好となる。樹脂微粒子の平均粒径は、光散乱法、電気泳動法、レーザードップラー法等を用いた市販の粒径測定機器により求めることができる。
また、本発明に係る版形成用インクにおいて、本発明に係る樹脂微粒子の含有量としては、インク全質量に対して0.1質量%以上、7質量%以下であることが好ましいが、5質量%以下であることが更に好ましい。0.1質量%以上では着肉性が良好となり、7質量%以下とすることにより十分な着肉性が得られ、間欠出射時におけるノズル目詰まりを防止することができる。更には、樹脂微粒子の添加によりインクの粘度が上昇する。インクの粘度が高くなると高い駆動周波数での射出が不可能になり、生産性の低下を招く原因になる。インク粘度も考慮すると5質量%以下が好ましい。
本発明に係る樹脂微粒子は、乳化剤を用いて強制的に乳化した強制乳化型、樹脂に親水性基または親水性セグメントを付与し分散させた自己乳化型のいずれであってもよい。乳化剤としては界面活性剤が多く用いられるが、スルホン酸基、カルボン酸基等の親水性基を有するポリマー(例えば、親水性基がグラフト結合しているポリマー、親水性部分を持つ単量体と疎水性部分を持つ単量体とから得られるポリマー)を用いることも好ましい。
近年、ラテックスのポリマー粒子として、粒子全体が均一であるポリマー粒子を分散したラテックス以外に、粒子の中心部と外縁部で組成を異にしたコア・シェルタイプのポリマー粒子を分散したラテックスも存在するが、このタイプのラテックスも好ましく用いることができる。
本発明に係る樹脂微粒子の酸価は、10mgKOH/g以上であることを特徴とし、好ましくは30mgKOH/g以上である。更に、保存性の観点からはノニオン性またはアニオン性であることが好ましい。
(酸価)
本発明でいう酸価とは、一般的にサンプル1g中の遊離脂肪酸を水酸化カリウムで中和する際のmg量(mgKOH/g)を示すが、本発明における酸価としては、樹脂微粒子合成時に原料モノマーとして使用した中和可能なカルボキシル基量から計算で求めることもできる。
(アルカリ金属)
本発明における樹脂微粒子が有する酸の対塩としてはアルカリ金属塩であることが好ましく、アルカリ金属とは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムを差し、すべて水溶液中では1価のカチオンイオンとして存在することができる。本発明においては、ナトリウム、カリウム、リチウムの使用が好ましいく、特にナトリウムが好ましい。
インク中のアルカリ金属の添加量は、インク全質量の0.1質量%〜0.2質量%が好ましい。
(最低造膜温度)
本発明でいう最低造膜温度(MFT)は、樹脂粒子が加熱により造膜するのに必要な最低温度のことを表し、温度勾配をつけた熱伝導性プレート上に,エマルジョンを拡げ乾燥皮膜をつくる最低造膜温度測定装置を用いて容易に測定することができる。
〔水溶性有機溶剤〕
本発明に係るインクを構成する溶剤としては、少なくとも水を含有し、更に水溶性有機溶剤を含有する。
本発明に係るインクに適用可能な水溶性有機溶剤の例としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)等が挙げられる。
本発明に係るインクが含有する溶媒(水単独あるいは水と水溶性有機溶剤の混合物)の総量としては、インク全質量に対して50質量%以上、98質量%以下が好ましく、80質量%以上、98質量%以下が更に好ましい。更には、水がインク全量に対して50質量%以上、80質量%以下含有することが好ましい。
特に、25℃における蒸気圧が1.33Pa以上である有機溶剤を用いることが好ましく、それらの有機溶剤の例としては、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
〔活性エネルギー線架橋性高分子化合物〕
次に、本発明に好ましく用いられる活性エネルギー線架橋性高分子化合物について説明する。
本発明に係る主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物とは、ポリ酢酸ビニルのケン化物、ポリビニルアセタール、ポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、または前記樹脂の誘導体、ならびにこれらの共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂に対して、側鎖に光二量化型、光分解型、光重合型、光変性型、光解重合型等の変性基を導入したものである。光重合型の架橋性基が感度、生成される画像の性能の観点から望ましい。
主鎖においては、側鎖の導入に対する簡便性や、取り扱いの観点からポリ酢酸ビニルのケン化物が好ましく、その重合度は200以上、4000以下が好ましく、200以上、2000以下がハンドリングの観点からより好ましい。主鎖に対する側鎖の変性率は0.3モル%以上、4モル%以下が好ましいが、0.8モル%以上、4モル%以下が反応性の観点からより好ましい。主鎖に対する側鎖の変性率が0.3モル%未満になると架橋性が不足し本発明の効果が小さくなり、4モル%超になると架橋密度が大きくなり硬くてもろい膜となり、膜の強度が落ちてしまう。
光二量化型の変性基としては、ジアゾ基、シンナモイル基、スチルバゾニウム基、スチルキノリウム基等を導入したものが好ましく、例えば、特開昭60−129742号公報等の公報に記載された感光性樹脂(組成物)が挙げられる。
特開昭60−129742号公報記載の感光性樹脂は、ポリビニルアルコール構造体中にスチルバゾニウム基を導入した下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 0005381362
上記一般式(1)において、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、Aはカウンターアニオンを表す。
特開昭56−67309号公報記載の感光性樹脂は、ポリビニルアルコール構造体中に、下記一般式(2)で表される2−アジド−5−ニトロフェニルカルボニルオキシエチレン構造、または、下記一般式(3)で表され、4−アジド−3−ニトロフェニルカルボニルオキシエチレン構造を有する樹脂組成物である。
Figure 0005381362
また、下記一般式(4)で表される変性基も好ましく用いられる。
Figure 0005381362
上記一般式(4)において、Rはアルキレン基または芳香族環を表す。好ましくはベンゼン環である。
光重合型の変性基としては、例えば、特開2000−181062号、特開2004−189841号の各公報に示される下記一般式(5)で表される樹脂が反応性との観点から好ましい。
Figure 0005381362
上記一般式(5)において、Rはメチル基または水素原子を表し、nは1または2を表し、Xは−(CH−COO−または−O−を表し、Yは芳香族環または単結合手を表し、mは0〜6までの整数を表す。
また、特開2004−161942号公報に記載されている光重合型の下記一般式(6)で表される変性基を、従来公知の水溶性樹脂に用いることも好ましい。
Figure 0005381362
上記一般式(6)において、Rはメチル基または水素原子を表し、Rは炭素数2〜10の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表す。
このような活性エネルギー線架橋型の樹脂は、インク全質量に対して0.8質量%から5.0質量%含有することが好ましい。0.8質量%以上存在することで、架橋効率が向上し、架橋後のインク粘度の急激な上昇によりビーディングやカラーブリードがより好ましくなる。5.0質量%以下の場合は、インク物性やインクヘッド内状態に悪影響しにくくなり、出射性やインク保存性の観点で好ましい。
本発明に係る活性エネルギー線架橋型の高分子化合物においては、元々ある程度の重合度をもった主鎖に対して側鎖間で架橋結合を介して架橋をするため、一般的な連鎖反応を介して重合する活性エネルギー線硬化型の樹脂に対して光子一つ当たりの分子量増加効果が著しく大きい。一方、従来公知の活性エネルギー線硬化型の樹脂においては架橋点の数は制御不可能であるため硬化後の膜の物性をコントロールすることができず、硬くてもろい膜となりやすい。
本発明に用いられる樹脂においては、架橋点の数は主鎖の長さと、側鎖の導入量で完全に制御でき、目的に応じたインク膜の物性制御が可能である。
更に、従来公知の活性エネルギー線硬化型インクが色剤以外のほぼ全量が硬化性分であり、そのため硬化後のドットが盛り上がることにより、版の厚みが厚くなり、ドットゲインを発生するのに対して、本発明に用いられる樹脂を用いたインクによる製版方法においては、樹脂の添加量が少量ですみ、乾燥成分が多いため硬化後にドットが不必要に盛り上がることなく、刷り上がりが良好な刷版が形成できる。
〔光重合開始剤、増感剤〕
本発明においては、光重合開始剤や増感剤を添加するのも好ましい。これらの化合物は溶媒に溶解、または分散した状態か、もしくは感光性樹脂に対して化学的に結合されていてもよい。
適用される光重合開始剤、光増感剤について特に制限はなく、従来公知の物を用いることができる。
適用される光重合開始剤、光増感剤について特に制限はないが、水溶性の物が混合性、反応効率の観点から好ましい。特に4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(HMPK)、チオキサントンアンモニウム塩(QTX)、ベンゾフェノンアンモニウム塩(ABQ)が水系溶媒への混合性という観点で好ましい。
更に、樹脂との相溶製の観点から下記一般式(7)で表される4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(n=1、HMPK)や、そのエチレンオキシド付加物(n=2〜5)がより好ましい。
Figure 0005381362
式中、nは1〜5の整数を表す。
また、他には一例としベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ビス−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、ビス−N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類。チオキサトン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントン等のチオキサントン類。エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、アミノアントラキノン、クロロアントラキノン等のアントラキノン類。アセトフェノン類。ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類。2,4,6−トリハロメチルトリアジン類、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール2量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体の2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、ベンジルジメチルケタール、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェナントレンキノン、9,10−フェナンスレンキノン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等ベンゾイン類、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、ビスアシルフォスフィンオキサイド、及びこれらの混合物等が好ましく用いられ、上記は単独で使用しても混合して使用してもかまわない。
これらの光重合開始剤に加え、促進剤等を添加することもできる。これらの例として、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。これらの光重合開始剤は主鎖に対して、側鎖にグラフト化されていても好ましい。
〔着色剤〕
本発明の製版方法に用いられるインクは、着色剤を含有しないクリアインクでも構わないが、刷版に描いた図柄を簡単に識別する目的から着色剤を含有することが好ましい。
着色剤の含有量は、画像形成用に用いられるインクジェットインクよりも少量で良く、インク全量に対して0.1質量%以上、3質量%以下が好ましい。また、着色剤の種類としては、染料、顔料のいずれでも良い。
(染料)
本発明で用いることのできる染料としては、特に制限はなく、酸性染料、直接染料、反応性染料等の水溶性染料、分散染料等が挙げられる。
以下、本発明に係るインクに適用可能な染料の具体例を列挙するが、本発明では、これら例示する染料にのみ限定されるものではない。
〈水溶性染料〉
本発明で用いることのできる水溶性染料としては、例えば、アゾ染料、メチン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料、フタロシアニン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料等を挙げることができる。
更に、染料として、下記一般式(8)で表される化合物または一般式(9)で表される化合物を用いることもできる。
Figure 0005381362
上記一般式(8)において、Rは水素原子または置換可能な置換基を表し、水素原子またはフェニルカルボニル基が好ましい。Rは異なってもよく水素原子または置換可能な置換基を表し、水素原子が好ましい。Rは水素原子または置換可能な置換基を表し、水素原子またはアルキル基が好ましい。Rは水素原子または置換可能な置換基を表し水素原子、アリールオキシ基が好ましい。Rは異なってもよく水素原子または置換可能な置換基を表し、スルホン酸基が好ましい。nは1〜4の整数を表し、mは1〜5の整数を表す。
上記一般式(9)において、Xはフェニル基またはナフチル基を表し、置換可能な置換基で置換されていてもよく、スルホン酸基またはカルボキシル基で置換されていることが好ましい。Yは水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、アンモニウムイオンまたはアルキルアンモニウムイオンを表す。Rは異なってもよく水素原子またはナフタレン環に置換可能な置換基を表す。qは1または2を表す。pは1〜4の整数を表す。ただし、q+p=5である。Zは置換可能な置換基を表し、カルボニル基、スルホニル基または下記一般式(10)で表される基を表し、特に、下記一般式(10)で表される基が好ましい。
Figure 0005381362
上記一般式(10)において、W、Wはそれぞれ異なっていてもよいハロゲン原子、アミノ基、水酸基、アルキルアミノ基またはアリールアミノ基を表し、ハロゲン原子、水酸基またはアルキルアミノ基が好ましい。
〈分散染料〉
また、分散染料としては、アゾ系分散染料、キノン系分散染料、アントラキノン系分散染料、キノフタロン系分散染料等種々の分散染料を用いることができる。
(顔料)
本発明において使用できる顔料としては、従来公知のものを特に制限なく使用でき、水分散性顔料、溶剤分散性顔料等何れも使用可能であり、例えば、不溶性顔料、レーキ顔料等の有機顔料及び、カーボンブラック等の無機顔料を好ましく用いることができる。この顔料は、インク中で分散された状態で存在させ、この分散の方式としては、自己分散、界面活性剤を用いた分散、ポリマー分散、マイクロカプセル分散の何れでも良い。
不溶性顔料としては、特に限定するものではないが、例えば、アゾ、アゾメチン、メチン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリン、アジン、オキサジン、チアジン、ジオキサジン、チアゾール、フタロシアニン、ジケトピロロピロール等が好ましい。
好ましく用いることのできる具体的顔料としては、以下の顔料が挙げられる。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド222、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー15:3、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
また、ブラック用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
本発明に係るインクが含有する顔料の分散状態の平均粒子径は、50nm以上、200nm未満であることが好ましい。
顔料分散体の粒子径測定は、動的光散乱法、電気泳動法等を用いた市販の粒径測定機器により求めることが出来るが、動的光散乱法による測定が簡便でこの粒子径領域の精度が良く多用される。
本発明に係るインクに用いられる顔料は、分散剤及びその他所望する諸目的に応じて必要な添加物と共に分散機により分散して用いることが好ましい。分散機としては従来公知のボールミル、サンドミル、ラインミル、高圧ホモジナイザー等が使用できる。中でもサンドミルによる分散により製造されるインクの粒度分布がシャープであり好ましい。また、サンドミル分散に使用するビーズの材質はビーズ破片やイオン成分のコンタミネーションの点から、ジルコニアまたはジルコンが好ましい。更に、このビーズ径としては0.3mm〜3mmが好ましい。
本発明に係るインクが含有する顔料の分散には、上記分散剤として界面活性剤または高分子分散剤を単独または併用して使用することができる。
〔界面活性剤〕
本発明に係るインクは、界面活性剤を含有しても良い。
本発明に係るインクに好ましく適用される界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
これらの界面活性剤は、顔料の分散剤としても用いることができ、特にアニオン性及びノニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。
〔各種添加剤〕
本発明においては、その他に従来公知の添加剤を含有することができる。例えば、蛍光増白剤、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤、水溶性多価金属塩、酸塩基、緩衝液等pH調整剤、酸化防止剤、表面張力調整剤、非抵抗調整剤、防錆剤、無機顔料等である。
〔インク物性値〕
本発明に係るインクは、高精細な刷版をインクジェット方法により安定に製造するために、好ましいインクの物性値の範囲が存在する。
インクの粘度は1mPa・s以上、15mPa・s以下が好ましく、特に2mPa・s以上、8mPa・s以下が好ましい。粘度が1mPa・s未満では安定な射出が出来ず、15mPa・s超の粘度では、サテライトが発生し易く、刷版としては問題となる。また早い繰り返し周期でインクを射出することが不可能になり生産速度が低下する。
インクの表面張力は、25mN/m以上、50mN/m以下が好ましく、30mN/m以上、45mN/m以下が特に好ましい。25mN/m未満では印刷版材上に着弾したドットの濡れ広がりが大きく、解像度が低下する。また50mN/m超になるとインクジェット記録ヘッド内での気泡の抜けが悪くなり、射出安定性が乏しくなる。
〔インクの製造方法〕
本発明に係るインクは従来公知の方法により製造することができるが、製造工程の中で濾過を行うことが好ましい。濾過の方法としては例えば金属製のメッシュフィルターにより行うが、これと組み合わせてポリプロピレン等の樹脂製の体積濾過フィルターによる濾過を行うことも好ましい。
更に、本発明に係るインクは脱気処理を行うことが好ましい。脱気の方法としては例えば、真空槽中で攪拌することにより脱気を行う方法、インクを加熱した後に密封し脱気を行う方法、中空糸を用いた脱気モジュールを用いる方法などがあるが、脱気モジュールを用いる方法が特に好ましい。
〔印刷版材〕
本発明のインクジェット製版方法に用いられる印刷版材は、表面が親水性であることが好ましい。印刷版材に用いられる支持体としては、従来公知の、平版印刷版に使用される版材を限定無く用いることができる。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)がラミネートされた紙、金属版(例えば、アルミニウム等)、プラスチックフィルム(例えば、三酢酸セルロース、酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)である。
特に好ましい支持体としては、紙、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートまたはアルミニウム板が挙げられる。
これらの支持体の上に親水性を付与するために、プラズマ処理やコロナ放電のような物理的処理、親水性樹脂等のコーティングや界面活性剤溶液への浸漬といった化学的処理を単独または併用して施すことが好ましい。更に、湿し水がのりやすいように表面が粗面化されていることが好ましい。粗面化の方法としては有機、無機微粒子をコーティングなどにより表面に付着させ、このネットワーク構造によりミクロな凹凸を付与する方法などがある。その他好ましい例として、任意の支持体上に表面層として耐水性の親水性層を設けたものも挙げることができる。このような表面層としては、例えば、米国特許第3,055,295号や、特開昭56−13168号記載の無機顔料と結着剤とからなる層、特開平9−80744号記載の親水性膨潤層、特表平8−507727号記載の酸化チタン、ポリビニルアルコール、珪酸類からなるゾルゲル膜等を挙げることができる。
また、印刷版材として広く用いられているアルミニウム板を支持体として用いる場合には、粗面化処理、珪酸ソーダ、フッ化ジルコニウム酸カリウム、リン酸塩などの水溶液への浸漬処理、あるいは陽極酸化処理などの表面処理がなされていることが好ましい。
アルミニウム板の表面の粗面化は種々の方法により行うことができる。例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法および化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ、磨法等の公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸、硝酸等の電解液中で交流または直流により行う方法がある。また、アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するために、例えば、界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
更に、これらの処理を行った後に、水溶性の樹脂、例えばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えば硼酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等を下塗りしたものも好適である。
〔インクジェット記録方法〕
本発明のインクジェット製版方法においては、版形成用インクを装填したインクジェットプリンタにより、画像情報に基づきインクジェット記録ヘッドからインクを液滴として射出させ、印刷版材に付着させ、活性エネルギー線により硬化、インク溶媒の蒸発乾燥を経て印刷用刷版を形成する。
本発明のインクジェット製版方法で使用するインクジェット記録ヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)等などいずれの吐出方式を用いても構わない。
ヘッドから射出されるインク液滴量は、0.5ピコリットル以上、7ピコリットル以下が好ましく、0.8ピコリットル以上、4ピコリットル以下が特に好ましい。0.5ピコリットル未満ではヘッドから射出された液滴が空気抵抗により飛翔中に速度低下し易く着弾位置がばらつきやすくなる。また、7ピコリットルを超えるインク液適量では1つのドットサイズが大きくなり、当然ながら刷版としての解像度が低下する。
また、射出を工夫して複数の液適量を1つのヘッドから射出したり、複数の液滴を連続的に射出させ飛翔中に合一させた後に着弾させることもできる。
本発明に適用可能なインクジェットプリンタの形態は如何なる方式でも構わないが、高画質の刷版製造にあたってはフラットベッド方式、ドラム方式とすることが好ましい。また、印刷機の中に本発明のプリンタを組み込み印刷機上で製版する方法も好ましい。
〔印刷用版材の加熱〕
印刷用版材の加熱方法としては、インクジェットプリンタの版材を保持搬送する手段に加熱手段、温度測定手段、温度制御手段等を内蔵するにより加熱、温度調整することが好ましい。加熱温度としては、用いられるインクのMFTよりも高い温度に保つことが必要であり、好ましくは40℃以上、200℃以下であるが、実用上の観点からは、40℃以上、80℃の温度範囲で印刷用版材を加熱することがより好ましい。
〔活性エネルギー線、照射方法〕
本発明でいう活性エネルギー線とは、例えば電子線、紫外線、α線、β線、γ線、エックス線等が上げられるが、人体への危険性や、取り扱いが容易で、工業的にもその利用が普及している電子線や紫外線が好ましい。
電子線を用いる場合には、照射する電子線の量は0.1〜30Mradの範囲が望ましい。0.1Mrad未満では十分な照射効果が得られず、30Mradを越えると支持体等を劣化させる可能性があるため、好ましくない。
紫外線を用いる場合は、光源として、例えば、0.1kPaから1MPaまでの動作圧力を有する低圧、中圧、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプや紫外域の発光波長を持つキセノンランプ、冷陰極管、熱陰極管、LED等従来公知の物が用いられる。
〔インク着弾後の光照射条件〕
活性エネルギー線の照射条件として、インク着弾後0.001〜1.0秒の間に活性エネルギー線が照射されることが好ましく、より好ましくは0.001〜0.5秒である。高精細な像を形成するためには、照射タイミングができるだけ早いことが特に重要となる。
〔ランプの設置〕
活性エネルギー線の照射方法として、その基本的な方法が特開昭60−132767号に開示されている。これによると、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射は、インク着弾後、一定時間を置いて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。米国特許第6,145,979号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明の画像形成方法においては、これらの何れの照射方法も用いることができる。
また、活性エネルギー線の照射を2段階に分け、まずインク着弾後0.001〜2.0秒の間に前述の方法で活性エネルギー線を照射し、更に活性エネルギー線を照射する方法も好ましい態様の1つである。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《樹脂微粒子の対塩交換》
表1、2に記載の市販の各樹脂微粒子を、固形分量が10%になるようにイオン交換水で希釈した。次に、日東電工(株)製メンブレンマスターRUM−2小型ポンプユニットとメンブレンマスターC10−T薄層流式平膜テストセルを用いて、脱塩精製を行った。この際、適宜過剰量のアルカリ金属(Na、K、Li)の塩化物あるいはアンモニアとイオン交換水を添加することで対塩をアルカリ金属またはアミンに置換した。アルカリ金属の塩化物あるいはアンモニアを添加後に十分な時間の脱塩精製を行い、最終的には対塩がアルカリ金属あるいはアミンに置換された表1、表2に記載の樹脂微粒子溶液を得た。
《高分子化合物1の合成》
グリシジルメタクリレート56g、p−ヒドロキシベンズアルデヒド48g、ピリジン2g、及びN−ニトロソ−フェニルヒドロキシアミンアンモニウム塩1gを反応容器に入れ、80℃の湯浴中で8時間攪拌した。
次に、重合度300、ケン化率88%のポリ酢酸ビニルケン化物45gをイオン交換水225gに分散した後、この溶液にリン酸4.5gと上記反応で得られたp−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ベンズアルデヒドをポリビニルアルコールに対して変性率が3モル%になる様に加え、90℃で6時間攪拌した。得られた溶液を室温まで冷却した後、塩基性イオン交換樹脂30gを加え1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過し、ここに光重合開始剤として、イルガキュア2959(チバ・ジャパン社製)を15%水溶液100gに対して0.1gの割合で混合し、その後イオン交換水にて希釈して10%の高分子化合物1の水溶液を得た。
《像形成用インクの調製》
(インク1の調製)
10%の高分子化合物1水溶液 固形分量として3質量部
樹脂微粒子:ジョンクリル537(BASF社製、酸価:40mgKOH/g、MFT:42℃、対塩種:Na、全アルカリ量:86) 固形分量として5質量部
エチレングリコール 40質量部
シアン顔料分散液:Cab−o−jet250C(キャボット社製) 6質量部
以上にイオン交換水を加え全量を100質量部として攪拌混合した。
続いて、#3500メッシュの金属フィルターによる濾過、中空糸モジュールによる脱気を行いインク1を調製した。
(インク2〜12の調製)
上記インク1の調製において、高分子化合物1と樹脂微粒子の種類を、表1、表2に記載の各化合物に代えた以外は同様にして、インク2〜インク12を調製した。
《刷版の作製》
(インクジェットプリンタ)
図1に記載のインクジェットプリンタを使用した。ノズル口径20μm、ノズル数512ノズル、ノズル解像度300dpi(本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。)のピエゾ方式のインクジェットヘッドをキャリッジ1に搭載し、キャリッジ1の両脇にはUV照射光源2を有し、これらをキャリッジ移動ガイド5に取り付けられたインクジェットプリンタである。キャリッジ1は図1のX方向に移動し、搬送ユニット3には砂目立てしたアルミ版材4が固定され、搬送ユニット3をY方向に移動させることにより全面走査を行った。
また、搬送ユニット3には加熱手段(不図示)、版材の温度を測定する温度測定手段(不図示)及び温度制御手段(不図示)を有し、版材を一定温度に保つことが可能である。
版材の温度は、40℃、60℃に加熱したものと、加熱せず室温25℃の3種類とした。
(刷版1〜30の作製)
版材とする砂目立てしたアルミ基材上に、インクを液適量1ピコリットルで解像度1400dpi×1400dpiで像形成を行った。画像は目視評価用に10cm×10cmのベタ画像、細線画層、3ポイントから14ポイントの明朝体抜き文字画像、自然画(写真)の画像を組み合わせたものを作成して用いた。
活性エネルギー線の照射は、キャリッジの両脇に設置したメタルハライドランプ(日本電池社製 MAL 400NL 電源電力3kW・hr)から120W/cmの条件で照射した。
キャリッジの移動速度として、400mm/sec(表1)と800mm/sec(表2)の2通りの条件で刷版1〜30を作製し、下記の評価を行った。
各インクで粘度が異なるので、それぞれのインクで液適量1ピコリットルとなるようにプリンタのピエゾ素子に付加する電圧を調整した。
《刷版画像の評価》
〔液寄り耐性1の評価〕
上記各画像記録方法に従って、ベタ画像部のまだらの有無を目視観察し、下記の基準に従って液寄り耐性1の評価を行った。
◎:まだらが全くなし
○:まだらが僅かに認められる
△:一部で弱いまだらが認められるが、実用上許容範囲にある
×:やや強いまだらの発生が認められる
××:全面に強いまだらが認められ、実用に耐えない品質である
〔液寄り耐性2の評価〕
上記各画像記録方法に従って、抜き文字画像部を目視観察し、判別可能な文字ポイント数により液寄り耐性2の評価を行った。表中、数値はポイント数を示す。
〔インク保存性の評価〕
調製した各インクを40℃条件で4週間保存したあと、目視観察ならびにインクの粘度を測定し、下記の基準に従ってインク保存性の評価を行った。
◎:沈殿が認められず、粘度変化5%未満
○:沈殿が認められず、粘度変化5%以上、10%未満
△:沈殿が認められず、粘度変化10%以上
×:やや沈殿物が認められる
××:明確に沈殿物が認められる
以上により得られた結果を、表1、2に示す。
Figure 0005381362
Figure 0005381362
本発明のインクは、液寄り、インク保存性に優れることがわかる。
1 キャリッジ
2 UV照射光源
3 搬送ユニット
4 アルミ版材
5 キャリッジ移動ガイド

Claims (6)

  1. 少なくとも、水と水溶性有機溶剤と樹脂微粒子を含有する版形成用インクを用い、加熱した印刷用版材上に版形成用インクを付着させ、該版形成用インク中の溶剤を蒸発、乾燥することにより像形成を行うインクジェット製版方法において、
    該樹脂微粒子の酸価が10mgKOH/g以上であり、該樹脂微粒子の最低造膜温度(MFT)以上の温度に加熱した版材に印画する工程を有し、
    該版形成用インクが、主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより、側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物を含有し、該高分子化合物の含有量がインク全質量に対して、0.8質量%以上、5.0質量%以下であることを特徴とするインクジェット製版方法。
  2. 前記樹脂微粒子の酸価が、30mgKOH/g以上であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット製版方法。
  3. 前記樹脂微粒子の酸の対塩が、アルカリ金属塩であることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット製版方法。
  4. 前記アルカリ金属塩が、ナトリウム塩であることを特徴とする請求項3記載のインクジェット製版方法。
  5. 前記高分子化合物の主鎖がポリ酢酸ビニルのケン化物であり、かつケン化度が77%以上、99%以下で、重合度が200以上、4000以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェット製版方法。
  6. 印刷用版材上に前記版形成用インクを付着させた後、活性エネルギー線を照射して、像形成を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェット製版方法。
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