JP5381051B2 - マルチスペクトルマスクおよびカラーフィルタの製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、このスリットは解像限界以下である必要があるため、当然のことながら、マスクの本体パターンよりも小さな寸法に仕上げる必要があり、マスク製造に対して大きな負荷となってしまうという問題があった。さらに、広い領域を半透明にするためには、多くのスリットを配置する必要があるため、パターンデータ容量が増え、パターン形成工程や、パターンの欠陥検査工程に対する負荷の増大という問題も生じ、製造・検査時間の増大、マスク製造コストの上昇につながってしまうという問題があった。
このような階調マスクの製造方法としては、上記透明基板、遮光膜形成用層、および半透明膜形成用層とが積層したマスクブランクを順次エッチングする方法を挙げることができる。このため、階調マスクは、上述したスリットマスクのような微細なスリットを形成する必要がなく、容易に形成することができるといった利点を有する。
しかしながら、上述した階調マスクではこのような要請を満たすことが困難であるといった問題があった。
上記半透明膜を介してネガ型の感光性樹脂を露光し、カラーフィルタの各部材を形成した場合において、上記半透明膜が、フラット半透明膜であることにより、高さの低いオーバーコート層等の部材を精度良く形成することができる。また、上記半透明膜が、正傾斜半透明膜であることにより、高さが精度良く制御されることが要求されるスペーサ等の部材を形成することができる。さらに、上記半透明膜が、短波長カット半透明膜であることにより、頂部が滑らかな半円形状である配向制御用突起等の部材を形成することができる。
このように、上記半透明膜のうちの少なくとも1種類が、フラット半透明膜、正傾斜半透明膜、および短波長カット半透明膜から選択されるものであることにより、高さが精度良く制御された部材や、頂部の形状が異なる部材等を形成することができる。その結果、高さおよび形状の異なる部材を高い自由度で精度良く効率的に形成することができるからである。
以下、本発明のマルチスペクトルマスク、およびカラーフィルタの製造方法について詳細に説明する。
まず、本発明のマルチスペクトルマスクについて説明する。本発明のマルチスペクトルマスクは、透明基板と、上記透明基板上に形成された異なる分光スペクトルを有する2種類以上の半透明膜とを具備し、複数の分光スペクトルを有するものであって、上記マルチスペクトルマスクは、上記透明基板からなる透過領域、および上記透明基板上に上記半透明膜が積層されてなる半透明領域を備え、上記半透明領域は、上記異なる分光スペクトルを有する異なる半透明膜が透明基板上にそれぞれ積層されてなることにより、異なる分光スペクトルを有する2種類以上の半透明領域からなることを特徴とするものである。
この例において、上記マルチスペクトルマスク10は、半透明膜2として、2種類の異なる分光スペクトルの半透明膜(2aおよび2b)を有するものである。また、上記正傾斜半透明膜は、厚みの薄い正傾斜半透明膜2a−1と、厚みの厚い正傾斜半透明膜2a−2とを有するものである。
また、上記透明基板1のみからなる領域は透過領域11であり、上記透明基板1および遮光膜3が少なくとも積層した領域は遮光領域13である。また、上記透明基板1および半透明膜2のみが積層した領域は半透明領域12である。さらに半透明領域12は上記透明基板1および正傾斜半透明膜2aのみが積層した正傾斜半透明領域12a、および上記透明基板および短波長カット半透明膜2bのみが積層した短波長カット半透明領域12bの異なる分光スペクトルを有する2種類の半透明領域を有するものである。
例えば、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタとしては、図2に例示するように、透明基板と、上記透明基板上に形成され、開口部を備える遮光部と、上記開口部に形成される着色層とを有するカラーフィルタ形成用基板20上に、高さ精度良く形成されたスペーサ(第1スペーサ31、第2スペーサ32)に加えて、スペーサとは形状が異なる部材である配向制御用突起34を有するカラーフィルタ30や、図3に例示するように、高さが僅かに異なるように調整されたスペーサ(第1スペーサ31、第2スペーサ32、第3スペーサ33)を有するカラーフィルタ30などが要求されている。このように、高さ等が高い精度で調整された部材の形成が求められている。
しかしながら、このように高い精度が要求される部材を、要求された高さ・形状で精度良く一括で形成することは、従来の階調マスクでは困難であった。
このようなスペクトル形状が異なる露光光により感光性樹脂を露光した場合には、そのスペクトル形状に応じて感光性樹脂の硬化状態を変化させることができる。
ここで、上記半透明膜を、部材に求められる形状や、高さ精度等に応じた分光スペクトルを有するものとすることにより、上記半透明領域に対応する位置に高さが精度良く制御された部材や、頂部の形状が異なる部材等を2種類以上一括で形成することができる。
なお、図4(a)〜(b)中の符号については、図1のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
なお、図5(a)〜(b)中の符号については、図4のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
以下、本発明のマルチスペクトルマスクの各構成について詳細に説明する。
本発明に用いられる半透明膜は、上記透明基板上に形成されるものであり、本発明のマルチスペクトルマスクには、異なる分光スペクトルを有する2種類以上が具備されるものである。
ここで、分光スペクトルとは、光を透過した際の、光の透過率の波長依存性をいうものであり、異なる分光スペクトルとは、波長300nm〜450nmの範囲内における各波長での光の透過率が異なることをいうものである。このため、種類の異なる分光スペクトルを有する半透明膜を透過した場合、透過後の光は、透過した半透明膜の分光スペクトルに応じて、そのスペクトル形状(波長範囲、ピーク波長、ピーク強度比、ピーク半値幅等)が異なるものとなる。
一方、分光スペクトルが同種で、膜厚の異なる半透明膜を透過した場合、透過後の光は、スペクトル形状が同じで、強度のみが異なるものとなる。
また、露光装置に一般的に用いられる高圧水銀ランプの発光スペクトルの端部がおおよそ300nmであり、I線の波長が365nm、H線の波長が405nm、G線の波長が436nmであることから、各波長を含む300nm〜450nmの範囲内における分光スペクトルが異なることにより、半透明膜を透過した露光光の発光スペクトル形状による感光性樹脂の硬化状態を効果的に変化させることができるのである。
本発明においては、なかでも、上記半透明膜のうちの少なくとも1種類が、上記フラット半透明膜、正傾斜半透明膜、および短波長カット半透明膜から選択されるものであることが好ましく、特に、上記半透明膜のうちの少なくとも2種類が、フラット半透明膜、正傾斜半透明膜、および短波長カット半透明膜から選択される2種類のものであることが好ましい。上記半透明膜を介してネガ型の感光性樹脂を露光し、カラーフィルタの各部材を形成した場合において、上記半透明膜が、フラット半透明膜であることにより、高さの低いオーバーコート層等の部材を精度良く形成することができる。また、上記半透明膜が、正傾斜半透明膜であることにより、高さが精度良く制御されることが要求されるスペーサ等の部材を形成することができる。さらに、上記半透明膜が、短波長カット半透明膜であることにより、頂部が滑らかな半円形状である配向制御用突起等の部材を形成することができる。
このように、上記半透明膜が、フラット半透明膜、正傾斜半透明膜、および短波長カット半透明膜から選択されるものであることにより、本発明のマルチスペクトルマスクを、高さおよび形状の異なる部材を高い自由度で精度良く形成することが可能なものとすることができるからである。
本発明において、分光スペクトルがフラット型の半透明膜であるフラット半透明膜は、波長300nm〜450nmの範囲内における透過率の波長依存性がフラットなものである。
また、上述した特性を示す材料は、通常、透過する露光光の位相変化が小さいものであるため、上記フラット半透明膜を透過した露光光同士の干渉が少ないものとすることができる。このため、膜厚を厚くし、透過率を低くしたフラット半透明膜を用いた場合であっても、所望の位置に精度良く部材を形成することができる。このようなことから、ネガ型の感光性樹脂を露光した場合には、高さの低い部材を精度良く形成することができる。
また、上記の最大透過率および最小透過率は、300nm〜450nmの範囲内における透過率のうちの最大値および最小値であり、上記の平均透過率は、300nm〜450nmの範囲内における透過率を平均した値である。
なお、透過率の測定方法としては、本発明のマルチスペクトルマスクに使用する透明基板の透過率をリファレンス(100%)として、半透明膜の透過率を測定する方法を採用することができる。装置としては、紫外・可視分光光度計(例えば日立U-4000等)、またはフォトダイオードアレイを検出器としている装置(例えば大塚電子MCPD2000等)を用いることができる。
一般に、液晶表示装置などの表示装置の製造工程において、パターン形成での露光条件として露光波長域を250nm〜600nmの範囲内で設定することが多いため、250nm〜600nmの範囲内における透過率分布が上記範囲であれば、広い波長域を有効に利用することができ、パターンの形成に有利となり、高さがより精度良く制御された部材を形成することができるからである。
また上述したように、上記フラット半透明膜は透過率が低い場合であっても所望の位置に精度良く部材を形成することができる。したがって、平均透過率が上記範囲内であることにより、上記フラット半透明膜を用いることの効果をより効果的に発揮することができるからである。
本発明においては、なかでも、クロム、窒化クロムであることが好ましい。クロムおよび窒化クロムは、波長300nm〜450nmの範囲内において透過率分布がフラットなフラット半透明膜を形成することを可能とするからである。
さらに、一般的に、後述する遮光膜の材料としてクロム系の材料が用いられるため、同じエッチング液等を用いてパターニングできるという利点があるからである。
具体的には、上記マルチスペクトルマスクを用いてカラーフィルタを構成する各部材を形成する場合、上記部材としては、所望の発色を有する顔料を含む着色層およびカーボン微粒子、金属酸化物等の遮光性粒子を含む遮光部を挙げることができる。また、カラーフィルタと薄膜トランジスタ(TFT)基板との間に配置され、液晶層の厚みを所望の厚みに設定するための部材であるスペーサ、近傍の液晶分子にプレチルト角を与える作用、および電気力線を所望の方向に歪ませる作用をなすことにより、液晶層の液晶分子の配向方向を複数方向に制御することを可能とする部材である配向制御用突起、着色層を保護するとともに、着色層表面を平坦化するための部材であり、通常透明である保護層(オーバーコート層)等を挙げることができる。
このため、通常、ネガ型の感光性樹脂により形成され、高さが低く、高い平坦性が求められるオーバーコート層の形成に適しているのである。
なお、上述したようなカラーフィルタの各部材については、カラーフィルタに一般的に用いられるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本発明において、分光スペクトルが正傾斜型の半透明膜である正傾斜半透明膜としては、波長300nm〜450nmの範囲内において、波長が長くなるにつれて透過率が高くなるものである。
一方、分光スペクトルが正傾斜型である場合、波長が長くなるにつれて透過率が高くなるものであることにより、感光性樹脂層の表面のみを先に硬化することなく露光することができる。このため、高さが精度良く制御された部材を形成することが可能となる。
また、長波長域(350nm〜450nm程度)だけでなく短波長域(300nm〜350nm程度)の光も所定の透過率で透過させることができるため、短波長域の光の、エネルギーが高く、硬化速度が速いという利点と、長波長域での光の、短波長域の光と比較して散乱し難く、感光性樹脂の深部まで到達することができ、感光性樹脂の内部の硬化および基板との密着性が良好なものとするという利点とを有するものとすることができる。
また、平均透過率が上記範囲未満では、本発明のマルチスペクトルマスクを用いたパターン形成において、上記正傾斜半透明領域と遮光領域との透過率の差が出にくくなる場合があるからである。また、上記正傾斜半透明膜を構成する材料は、一般的に透過する光の位相を変化させる性質を有するものである。このため、平均透過率が上記範囲未満であることにより、位相変化に伴う影響が大きくなり、精度良く部材を形成することが困難となるからである。
このようなことから、平均透過率が上記範囲内であることにより、精度良く部材を形成することができるからである。
なお、上記酸化クロム、および酸化窒化クロムとしては、酸素、窒素、炭素等を含んでいてもよいが、クロム含有量が80%未満であることが好ましく、なかでも30%〜60%の範囲内であることが好ましく、特に35%〜45%の範囲内であることが好ましい。上述した好適な透過率特性を満足する半透明膜とすることができるからである。
また、上記材料が酸化窒化クロム(CrxOyNz)である場合、CrとOとNとの元素比率はCr:60%以内、O:30%〜70%の範囲内、N:40%以内であることが好ましく、中でもCr:35%〜45%の範囲内、O:40%〜60%の範囲内、N:2%〜20%の範囲内であることが好ましい。
具体的には、上記マルチスペクトルマスクを用いてカラーフィルタを構成する各部材を形成する場合、上記部材としては、着色層、遮光部、スペーサ、配向制御用突起、オーバーコート層等を挙げることができる。
本発明においては、なかでも、スペーサであることが好ましい。上記正傾斜半透明膜は、上述したように、高さが精度良く制御された部材を形成することができる。このため、高さが精度良く制御されていることが要求されるスペーサの形成に適しているからである。
本発明において、分光スペクトルが短波長カット型の半透明膜である短波長カット半透明膜は、波長300nm〜450nmの範囲内において、短波長域における露光光の透過が遮断され、短波長域における透過率が極めて低いものである。
一方、上記短波長カット半透明膜は、短波長域における露光光の透過が遮断されるものであることにより、上記短波長カット半透明膜を透過後の露光光は、感光性樹脂層の表面で吸収されやすい短波長の含有率を少ないものとすることができる。このため、感光性樹脂層の表面の硬化を緩やかなものとすることができる。したがって、頂部が滑らかな半円形状の部材を形成することができる。
また、透明基板からなる透過領域により形成される部材との高さを十分に異なるものとすることができるからである。
本発明においては、なかでも、酸化インジウムすず(ITO)、TiおよびWを含む化合物、TiおよびMoを含む化合物、酸化チタン(TiO2)を好ましく用いることができ、特に、ITOおよびTiO2を好ましく用いることができる。上記短波長カット半透明膜が上述した材料からなるものであることにより、上述した分光スペクトルを備えるものとすることが容易だからである。
なお、TiおよびWを含む化合物、および、TiおよびMoを含む化合物におけるTiの含有量としては、40質量%以上であることが好ましい。上述した分光スペクトルを有するものとすることが容易だからである。
具体的には、上記マルチスペクトルマスクを用いてカラーフィルタを構成する各部材を形成する場合、上記部材としては、着色層、遮光部、スペーサ、配向制御用突起、オーバーコート層等を挙げることができる。
本発明においては、なかでも、配向制御用突起であることが好ましい。上記短波長カット半透明膜は、上述したように、頂部が滑らかな半円形状の部材を形成することができる。このため、通常、頂部が滑らかな半円形状の部材であることが要求される配向制御用突起の形成に適しているからである。
本発明に用いられる半透明膜としては、波長が長くなるにつれて透過率が低くなる負傾斜半透明膜を有するものであっても良い。
また、このような負傾斜半透明膜の形成に用いられる酸化窒化クロムのCrとOとNとの元素比率はCr:40%〜60%の範囲内、O:1%〜10%の範囲内、N:35%〜55%の範囲内であることが好ましく、中でもCr:45%〜55%の範囲内、O:1%〜5%の範囲内、N:40%〜50%の範囲内であることが好ましい。
本発明に用いられる半透明膜の膜厚としては、所望の透過率を有するものとすることができれば良く、材料等に応じて適宜設定されるものであるが、例えばクロム膜の場合は5nm〜20nm程度とすることができる。上記半透明膜の透過率はその膜厚により変わるので、膜厚を制御することで所望の透過率とすることができる。
また、上記半透明膜を構成する材料が酸素、窒素、炭素などを含む場合は、その透過率は組成により変わるので、膜厚と組成とを同時にコントロールすることで所望の透過率を実現できる。
本発明に用いられる透明基板は、一般にフォトマスクに用いられる基板を使用することができる。例えば、ホウ珪酸ガラス、アルミノホウ珪酸ガラス等の光学研磨された低膨張ガラス、石英ガラス、合成石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、ソーダライムガラス、ホワイトサファイアなどの可撓性のない透明なリジット材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂フィルムなどの可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。本発明においては、なかでも、石英ガラスであることが好ましい。石英ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり、寸法安定性および高温加熱処理における特性に優れているからである。
本発明のマルチスペクトルマスクにおいては、遮光膜を有するものとすることができる。
このような遮光膜としては、図1に例示するように透明基板1の表面に遮光膜3が形成されていても良く、図7に例示するように半透明膜2の表面に遮光膜3が形成されていても良い。ここで、図7においては、上記遮光膜3が短波長カット半透明膜2b上に形成されている。
なお、図7中の符号については、図1のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
本発明においては、上記遮光膜上に低反射層が形成されていても良い。低反射層を設けることにより、本発明のマルチスペクトルマスクの使用時において、ハレーションを防止することができる。
このような低反射層としては、例えば酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロム等の膜が挙げられる。遮光膜がクロム系膜である場合、これらの膜は遮光膜のエッチング時に同時にエッチングすることが可能である。
本発明のマルチスペクトルマスクは、上記透明基板からなる透過領域と、上記透明基板および上記半透明膜のみが積層する半透明領域とを備えるものである。また、上記半透明膜は、上記異なる分光スペクトルを有する異なる半透明膜が透明基板上にそれぞれ積層されてなることにより、異なる分光スペクトルを有する2種類以上の半透明領域からなるものであれば良く、さらに必要に応じて、透明基板上に異なる分光スペクトルを有する半透明膜が2種類以上積層した半透明領域を有するものであっても良い。
このようなマルチスペクトルマスクの製造方法としては、具体的には、図8に例示するように、透明基板1上に、マスクを介したスパッタリング法によりパターン状に遮光膜3を形成する(図8(a))。次いで、図8(b)に示すように、透明基板1および遮光膜3を覆うように、正傾斜半透明膜を形成することができる正傾斜半透明膜形成材料2a´の塗膜を形成した後、レジスト6をパターン状に配置し、上記遮光膜3を溶解せず、正傾斜半透明膜形成材料2a´を溶解することができるエッチング液を用いて、エッチングを行い、その後、レジスト6を剥離する。次いで、図8(c)に示すように、短波長カット半透明膜を形成することができる短波長カット半透明膜形成材料2b´の塗膜を形成し、レジスト6をパターン状に配置し、フラット半透明膜2aを溶解せず、上記遮光膜3および短波長カット半透明膜形成材料2b´を溶解することができるエッチング液を用いてエッチングを行った後、レジスト6を剥離する。このようにして、図8(d)に示すような透明基板1のみからなる透過領域11、透明基板1および遮光膜3を含む遮光領域13、および、透明基板1および半透明膜2のみからなる半透明領域12を有し、上記半透明領域12が、透明基板1および正傾斜半透明膜2aのみからなる正傾斜半透明領域12a、および、透明基板1および短波長カット半透明膜2bのみからなる短波長カット半透明領域12bを有するマルチスペクトルマスク10を得る方法を挙げることができる。
次に、本発明のカラーフィルタの製造方法について説明する。本発明のカラーフィルタの製造方法は、感光性樹脂からなる感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程と、上記感光性樹脂層を、上記マルチスペクトルマスクを用いて露光し、現像して、上記感光性樹脂からなる3種類以上の異種部材を同時に形成する異種部材形成工程と、を有することを特徴とするものである。
ここで、図9(b)が感光性樹脂層形成工程であり、(c)が異種部材形成工程である。また、上記マルチスペクトルマスクは、上記「A.マルチスペクトルマスク」の項に記載のマルチスペクトルマスクである。
以下、本発明のカラーフィルタの製造方法の各工程について詳細に説明する。
本発明における感光性樹脂層形成工程は、感光性樹脂からなる感光性樹脂層を形成する工程である。
ここで、上記基板、遮光部および着色層については、カラーフィルタに一般的に使用されるものと同様とすることができる。
本発明における異種部材形成工程は、感光性樹脂層を、上記マルチスペクトルマスクを用いて露光し、現像して、感光性樹脂からなる2種類以上の異種部材を同時に形成する工程である。
なお、上記マルチスペクトルマスクについては、上記「A.マルチスペクトルマスク」の項に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
ここで現像が行われることにより、感光性樹脂としてネガ型感光性樹脂を用いた場合には、露光により硬化した部分が残存し、その他の部分が選択的に除去される。透過領域から露光された部位では硬化反応が十分に進行するのに対し、半透明領域から露光された部位では硬化反応が不十分となるので、高さ等の異なる異種部材を同時に形成することができる。
また、感光性樹脂としてポジ型感光性樹脂を用いた場合には、露光により分解された部分が選択的に除去され、その他の部分が残存する。透過領域から露光された部位では酸発生反応が十分に進行するのに対し、半透明領域から露光された部位では酸発生反応が不十分となるので、高さ等の異なる異種部材を同時に形成することができる。
なお、異種部材の高さの差とは、一括で形成される異種部材間の高さの差のうち最大のものをいうものである。
本発明のカラーフィルタの製造方法は、必要に応じて、上記感光性樹脂層形成工程および異種部材形成工程以外に他の工程を有するものであっても良い。このような他の工程としては、一般的なカラーフィルタの製造に用いられる工程を用いることができ、基板上に遮光部を形成する遮光部形成工程、基板の遮光部が備える開口部内に着色層を形成する着色層形成工程、基板上に透明電極層を形成する透明電極層形成工程、上記オーバーコート層を形成するオーバーコート層形成工程、上記スペーサを形成するスペーサ形成工程、上記配向制御用突起を形成する配向制御用突起形成工程等を挙げることができる。
1.マルチスペクトルマスクの作製
光学研磨された390mm×610mmの合成石英基板上にクロム膜(遮光膜)が厚み100nmで成膜されている常用のマスクブランク上に、市販のフォトレジスト(東京応化工業社製 ip−3500)を厚み600nmで塗布し、120℃に加熱されたホットプレートで15分ベークした後、フォトマスク用レーザ描画装置(マイクロニック社製 LRS11000−TFT3)で、所望の遮光膜中間パターンを描画した。
次に、専用のデベロッパー(東京応化工業社製 NMD3)で現像し、遮光膜用レジストパターンを得た。
次に、レジストパターンをエッチング用マスクとし、クロム膜をエッチングし、さらに残ったレジストパターンを剥膜することで、所望のパターンの遮光膜を得た。クロム膜のエッチングには、市販の硝酸セリウム系ウェットエッチャント(ザ・インクテック社製 MR−ES)を用いた。クロム膜のエッチング時間は、60秒であった。
その後、遮光膜パターンが形成された基板について、パターン寸法検査、パターン欠陥検査、必要に応じてパターン修正を行い、よく洗浄した。
・ガス流量比 Ar:O2=4:1
・パワー:1.3kW
・ガス圧:3.5mTorr
短波長カット半透明膜形成用層の膜厚は65nmとした。
その後、短波長カット半透明膜および遮光膜が形成された基板について、パターン寸法検査、パターン欠陥検査、必要に応じてパターン修正を行った。
・ガス流量比 Ar:N2=4:1
・パワー:1.3kW
・ガス圧:3.5mTorr
フラット半透明膜形成用層の膜厚は10nmとした。
フラット半透明膜形成用層のエッチングには、市販の硝酸セリウム系ウェットエッチャント(ザ・インクテック社製 MR−ES)を用いた。フラット半透明膜形成用層のエッチング時間は、60秒であった。
その後、短波長カット半透明膜、フラット半透明膜および遮光膜が形成された基板について、パターン寸法検査、パターン欠陥検査、必要に応じてパターン修正を行うことによりマルチスペクトルマスクを得た。
ここで、得られたマルチスペクトルマスクの概略断面図を図10に示す。図10に示すように実施例で作製されたマルチスペクトルマスク10は、短波長カット半透明膜2bおよびフラット半透明膜2cを有し、さらに、透明基板1および短波長カット半透明膜からなる短波長カット半透明領域12bと、透明基板1およびフラット半透明膜2cからなるフラット半透明領域12cとを備えるものとなった。
なお、図10中の符号については、図1のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
基板として、大きさが300mm×400mm、厚みが0.7mmのガラス基板(コーニング社製1737ガラス)を準備した。この基板を定法にしたがって洗浄した後、基板の片側全面にスパッタリング法によりクロム薄膜(厚み1500Å)を形成した。このクロム薄膜上にポジ型感光性レジスト(東京応化工業(株)製 OFPR−800)を塗布し、所定のマスクを介して露光、現像してレジストパターンを形成した。次いで、このレジストパターンをマスクとして、クロム薄膜をエッチングして、線幅20μm、ピッチ100μmのブラックマトリックスを形成した。
・赤顔料(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 クロモフタルレッドA2B) 4.8重量部
・黄顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) 1.2重量部
・分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 3.0重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907) 1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
・緑顔料(アビシア社製 モナストラルグリーン9Y−C) 4.2重量部
・黄顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) 1.8重量部
・分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 3.0重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907) 1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
・青顔料(BASF社製 ヘリオゲンブルーL6700F) 6.0重量部
・顔料誘導体(アビシア社製 ソルスパース5000) 0.6重量部
・分散剤(ビックケミー社製ディスパービック161) 2.4重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) 4.0重量部
・ポリマーI 5.0重量部
・開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 イルガキュア907) 1.4重量部
・開始剤(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) 0.6重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート) 80.0重量部
次に、ブラックマトリックス、着色層を覆うように酸化インジウムスズ(ITO)からなる透明電極層(厚み1500Å)をスパッタリング法により形成した。
・露光量:100mJ/cm2(I線換算)
・露光ギャップ:150μm
1.階調マスクの作製
まず、光学研磨された390mm×610mmの合成石英基板上にチタン膜(遮光膜)が厚み100nmで成膜されている常用のマスクブランク上に、市販のフォトレジスト(東京応化工業社製 ip−3500)を厚み600nmで塗布し、120℃に加熱されたホットプレートで15分ベークした後、フォトマスク用レーザ描画装置(マイクロニック社製 LRS11000−TFT3)で、所望の遮光膜中間パターンを描画した。
次に、専用のデベロッパー(東京応化工業社製 NMD3)で現像し、遮光膜用レジストパターンを得た。
次に、レジストパターンをエッチング用マスクとし、チタン膜をエッチングし、さらに残ったレジストパターンを剥膜することで、所望のパターンの遮光膜を得た。チタン膜のエッチングには、水酸化カリウムと過酸化水素との混合溶液(水酸化カリウム水溶液と過酸化水素水と水を1:16:32で混合したもの)を用いた。チタン膜のエッチング時間は、60秒であった。
その後、遮光膜パターンが形成された基板について、パターン寸法検査、パターン欠陥検査、必要に応じてパターン修正を行い、よく洗浄した。
なお、成膜条件は、実施例1におけるフラット半透明膜形成用層作成時の条件と同様とした。また、第1フラット半透明膜形成用層の膜厚は6nmとした。
その後、パターン状の第1フラット半透明膜形成用層および遮光膜が形成された基板について、パターン寸法検査、パターン欠陥検査、必要に応じてパターン修正を行った。
その後、実施例1における遮光膜の形成と同様の方法により、第1フラット半透明領域および第2フラット半透明領域を形成したい領域にレジストパターンを形成した後、上記第2フラット半透明膜形成用層をエッチングし、さらに残ったレジストパターンを剥膜することで、所望のパターンの第2フラット半透明膜形成用層を得た。第2フラット半透明膜形成用層のエッチングには、上記第1フラット半透明膜形成用層のエッチングに用いたエッチャントと同一のエッチャントを用いた。
その後、パターン状の第1フラット半透明膜形成用層および第2フラット半透明膜形成用層と遮光膜とが形成された基板について、パターン寸法検査、パターン欠陥検査、必要に応じてパターン修正を行った。
また、得られた第1フラット半透明膜形成用層の厚みは6nmであり、i線(365nm)の透過率は50%であった。また、第2フラット半透明膜形成用層の厚みは10nmであり、i線(365nm)の透過率は30%であった。
なお、透明基板、第1フラット半透明膜形成用層、および第2フラット半透明膜形成用層が積層した第1フラット半透明領域のi線(365nm)の透過率は15%であり、透明基板および第2フラット半透明膜形成用層が積層した第2フラット半透明領域のi線(365nm)の透過率は30%であった。
実施例1と同様にして、透明電極上に凸形状の3種のパターンを有するカラーフィルタを作製した。
実施例1のマルチスペクトルマスク、および比較例1の階調マスクを用いて透明電極上に形成された凸状のパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡にて観察した。評価結果を下記表1に示す。
一方、比較例1では、透明電極上に形成された柱状スペーサは、高さを異なるものとすることができたが、同形状であった。
2 … 半透明膜
2a … 正傾斜半透明膜
2b … 短波長カット半透明膜
2c … フラット半透明膜
3 … 遮光膜
10 … マルチスペクトルマスク
11 … 透過領域
12 … 半透明領域
12a … 正傾斜半透明領域
12b … 短波長カット半透明領域
12c … フラット半透明領域
13 … 遮光領域
20 … カラーフィルタ形成用基板
24 … 感光性樹脂層
30 … カラーフィルタ
31 … 第1スペーサ
32 … 第2スペーサ
33 … 第3スペーサ
34 … 第1配向制御突起
35 … 第2配向制御突起
36 … オーバーコート層
Claims (4)
- 透明基板と、前記透明基板上に形成された異なる分光スペクトルを有する2種類以上の半透明膜とを具備し、複数の分光スペクトルを有するマルチスペクトルマスクであって、
前記マルチスペクトルマスクは、前記透明基板からなる透過領域、および前記透明基板上に前記半透明膜が積層されてなる半透明領域を備え、
前記半透明領域は、前記異なる分光スペクトルを有する異なる半透明膜が透明基板上にそれぞれ積層されてなることにより、異なる分光スペクトルを有する2種類以上の半透明領域からなり、
前記半透明膜のうちの少なくとも一種類が、波長300nm〜450nmの範囲内において波長が長くなるにつれて透過率が高くなる分光スペクトルを有する単層の正傾斜半透明膜であり、
前記正傾斜半透明膜は、波長365nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長365nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が6.5%〜12.5%の範囲内であるか、波長405nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長405nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が10.5%〜21.0%の範囲内であるか、波長436nmでの透過率が波長300nmでの透過率より大きく、波長436nmでの透過率と波長300nmでの透過率との差が13.5%〜27.0%の範囲内であることを特徴とするマルチスペクトルマスク。 - 透明基板と、前記透明基板上に形成された異なる分光スペクトルを有する2種類以上の半透明膜とを具備し、複数の分光スペクトルを有するマルチスペクトルマスクであって、
前記マルチスペクトルマスクは、前記透明基板からなる透過領域、および前記透明基板上に前記半透明膜が積層されてなる半透明領域を備え、
前記半透明領域は、前記異なる分光スペクトルを有する異なる半透明膜が透明基板上にそれぞれ積層されてなることにより、異なる分光スペクトルを有する2種類以上の半透明領域からなり、
前記半透明膜のうちの少なくとも一種類が、波長300nm〜450nmの範囲内において波長が長くなるにつれて透過率が高くなる分光スペクトルを有する単層の正傾斜半透明膜であり、
前記正傾斜半透明膜を用いて形成される部材が、スペーサであることを特徴とするマルチスペクトルマスク。 - 透明基板と、前記透明基板上に形成された異なる分光スペクトルを有する2種類以上の半透明膜とを具備し、複数の分光スペクトルを有するマルチスペクトルマスクであって、
前記マルチスペクトルマスクは、前記透明基板からなる透過領域、および前記透明基板上に前記半透明膜が積層されてなる半透明領域を備え、
前記半透明領域は、前記異なる分光スペクトルを有する異なる半透明膜が透明基板上にそれぞれ積層されてなることにより、異なる分光スペクトルを有する2種類以上の半透明領域からなり、
前記半透明膜のうちの少なくとも一種類が、波長300nm〜450nmの範囲内において波長が長くなるにつれて透過率が高くなる分光スペクトルを有する単層の正傾斜半透明膜であり、
前記半透明膜として、波長300nm〜450nmの範囲内における透過率の波長依存性がフラットである分光スペクトルを有するフラット半透明膜、および、波長300nm〜450nmの範囲内において短波長域における透過率が極めて低い分光スペクトルを有する短波長カット半透明膜の少なくとも一方をさらに有することを特徴とするマルチスペクトルマスク。 - 感光性樹脂からなる感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程と、
前記感光性樹脂層を、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のマルチスペクトルマスクを用いて露光し、現像して、前記感光性樹脂からなる3種類以上の異種部材を同時に形成する異種部材形成工程と、
を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
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