しかしながら、上述した(a)、(b)の各FBGセンサを用いた歪み測定システムにおいても、まだ改良すべき次のような課題があった。
特許文献1に記載された(a)の広波長帯域パルス光を印加する手法においては、広波長帯域のパルス光を使用するので、基準波長λS近傍以外の波長成分は、使用されないので、エネルギ効率が悪く、S/N比が低下する。
また、特許文献2に記載された(b)の波長λが各FBGセンサ1の基準波長λSに対して微小波長Δλだけずれた狭帯域のパルス測定光14を用いる場合においては、基準波長λSからの波長ずれ量Δλは受光器の検出レベルの差(LLーLS)で求めているが、このレベル(LLーLS)差がFBGセンサ1に印加された歪と、パルス測定光14自身のレベル変動とのいずれに起因するものであるか区別することが困難で測定精度が低下する。また、カプラ7をFBGセンサ1と同じ数量を必要とするので、この歪み測定システムの製造費が上昇する問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、たとえ基準波長を含む波長特性が等しい複数のFBGセンサを光ファイバで直列接続した場合においても、物理量の印加時における反射光の波長特性を短時間でかつ高い精度で検出でき、その結果、FBGセンサに印加される物理量を短時間でかつ高い精度で測定できる物理量測定システムを提供することを目的とする。
上記課題を解消するために、本発明の物理量測定システムは、互いに離間した複数の測定対象に設けられ、入射光に対する反射光の中心波長が測定対象から印加された物理量に応じて変化する複数のFBGセンサと、各FBGセンサを直列接続する光ファイバと、1回の波長掃引における波長掃引範囲内で波長が一定間隔で順次変化し光強度レベルが一定である複数のパルス光からなる入射パルス光列を、入射パルス光列における各パルス光の各波長が入射パルス光列毎に異なるように、波長掃引範囲内で繰返し前記光ファイバの入射端へ入射する波長掃引パルス光源と、光ファイバに順次入射された各入射パルス光列の各光パルスが各FBGセンサで反射されて光入射端方向へ伝搬する各反射パルス光を分岐するサーキュレータと、このサーキュレータで分岐された各反射パルス光列を受光する受光器と、各入射パルス光列を構成する各パルス光に対する各FBGセンサからの各反射パルス光の受光レベルを当該入射パルス光列の各パルス光の波長に対応して記憶保持する測定値記憶手段と、この測定値記憶手段に記憶された各反射パルス光の受光レベルから各FBGセンサの反射光の波長特性を算出する波長特性算出手段と、この算出された波長特性の中心波長から前記各FBGセンサに印加された物理量を求める物理量算出手段とを備えている。
このように構成された物理量測定システムにおいては、掃引光光源は、1回の波長掃引における波長掃引範囲(λL〜λH)内で、波長λがλLからλHにまで連続的に変化する掃引光を例えば、一定周期TRで繰返し出力する。入射パルス光列作成部は、この掃引光光源から繰返し出射される各掃引光から、波長λが1回の波長掃引における波長掃引範囲(λL〜λH)内において一定波長間隔ΔλP(時間間隔TP)で順次変化していく複数のパルス光からなる入射パルス光列を順次抽出して、光ファイバの入射端から光ファイバ内へ入射される。
第1回目の入射パルス光列を光ファイバに入射する場合を考える。光ファイバ内には、先頭波長λ11からΔλPづつ上昇していく各波長を有した各パルス光が伝搬する。各パルス光の出力時間間隔(出力周期TP)は掃引光の掃引速度(dλ/ds)にて定まる。FBGセンサは、物理負荷が印加されると、その中心波長λCが基準波長からずれる波長特性を有する。各FBGセンサからの反射光の受光器における受光時刻の入射パルス光列の出力時刻からの経過時間は、各距離位置Lに対応した時刻tとなる。そして、各FBGセンサに物理量が印加されると、反射光の波長特性が波長軸方向にシフトするので、各距離位置Lに対応した時刻tのレベルFBが物理量に対応して変化する。
入射パルス光列における出力時間間隔(出力周期TP)が経過して波長がΔλPだけ移動した波長λ12(=λ11+ΔλP)のパルス光を光ファイバに入力させると、時刻tに出力周期TPを順次加算した各時刻に物理量に対応した各レベルFBが得られる。さらに、出力周期TP経過して波長がΔλPだけ移動した波長λ13(=λ11+2ΔλP)のパルス光を光ファイバに入力させると、時刻tに期間TP×2を加算した各時刻に物理量に対応したレベルFBが得られる。
1番目のFBGセンサの反射光の波長特性における各波長λ11、λ12、λ13における各レベルFBが求まるので、これらのレベルの包絡線を求めることによって、1番目のFBGセンサの反射光の波長特性が求まる。
同様に、2番目のFBGセンサの反射光の波長特性における各波長λ11、λ12、…の各FBが、光パルスが1番目のFBGセンサから2番目のFBGセンサへの伝搬に要する時間Δtだけ遅れた各時刻で求まる。これらのレベルの包絡線を求めることによって、2番目のFBGセンサの反射光の波長特性が求まる。
このようにして、光ファイバに直列介挿された各FBGセンサの反射光の波長特性が求まる。
以上が、第1回目の入射パルス光列を光ファイバに入射することによって、光ファイバに直列介挿された各FBGセンサの反射光の波長特性が求まる。これに加えて本発明においては、この入射パルス光列を光ファイバに対して、複数回入射するとともに、各入射パルス光列における各パルス光の各波長を入射パルス光列毎に異なる値に設定している。
その結果、1番目のFBGセンサには、1回目の入射パルス光列に各パルス光の各波長λ11、λ12、λ13、…が対応する各時刻t111、t121、t131、…にレベルFB111、FB121、FB131、が現れる。
なお、波長λijは,i番目の入射パルス光列中のj番目のパルス光の波長を示す。時刻tijxは、波長λij のパルス光に対するx番目のFBGセンサからの反射パルス光の到着時刻を示す。
さらに、2番目のFBGセンサには、1回目の入射パルス光列に各パルス光の各波長λ11、λ12、λ13、が対応する各時刻t112、t122、t132にレベルFB112、FB122、FB132、が現れる。
この1回目の入射パルス光列の各レベルに加えて、2回目の入射パルス光列の各レベルが現れる。すなわち、図8(a)に示すように、1番目のFBGセンサには、2回目の入射パルス光列に各パルス光の各波長λ21、λ22、λ23が対応する各時刻t211、t221、t231にレベルFB211、FB221、FB231、が現れる。
さらに、2番目のFBGセンサには、2回目の入射パルス光列に各パルス光の各波長λ21、λ22、λ23が対応する各時刻t212、t222、t232にレベルFB212、FB222、FB232、FB242、…、FB2j2が現れる。
同様に、図8(b)に示す、3回目の入射パルス光列によるレベル測定、4回目の入射パルス光列によるレベル測定を繰り返していくと、一つのFBGセンサの反射光の波長特性に含まれる測定値(波長、レベル)が繰り返し数に比例して増加するので、この一つのFBGセンサの反射光の波長特性の算出精度を大幅に向上できる。
各FBGセンサの反射光の波長特性が求まると、この反射光の波長特性における中心波長λCが求まり基準波長λSからの波長ずれ量が求まる。したがって、当該FBGセンサに印加されている歪み量(物理量)を測定できる。
このように、各入射パルス光列の各パルス光の波長を入射パルス光列毎に異なる値に設定することによって、各パルス間隔が広い場合であっても、入射パルス光列を重ねることによって、波長特性を得るための測定値が増加し、波長特性の測定精度を向上できる。
また、別の発明においては、波長掃引パルス光源を、1回の波長掃引範囲内で波長が連続的に変化し光強度レベルが一定である掃引光を繰返し出射する掃引光光源と、この掃引光光源から繰返し出射される各掃引光から、入射パルス光列を抽出して、光ファイバの入射端へ順次入射する入射パルス光列作成部と、この入射パルス光列作成部で各掃引光から順次抽出される入射パルス光列における各パルス光の各波長を入射パルス光列毎に異なる値に設定するパルス光波長設定手段とで構成している。
このような構成においては、波長が連続的に変化するCW光から間接的にパルス光を生成する構成にすることで、異なる波長であっても光強度レベルが安定した入射パルス光列を出射することができる。また、光源を直接変鯛する場合と比較してパルス光のパルス幅を狭くできるので、FBGセンサの反射パルス光の波長特性を高分解能で測定でき物理量の測定精度を向上できる。
また、別の発明においては、上記発明の物理量測定システムに対して、さらに、掃引光光源から順次出射される各掃引光の掃引開始時刻を検出する掃引開始検出手段と、光ファイバの入射端近傍に光カプラを介して接続され、入射パルス光列作成部から出力された各入射パルス光列を受光する校正用受光器と、検出された掃引開始時刻から校正用受光器で最初に検出された入射パルス光列の検出時刻までの初期経過時間を求めて、当該入射パルス光列を特定する特定手段と、この特定された入射パルス光列によって測定値記憶手段における各測定値の各波長に対する対応付を行う対応付け手段と付加している。
含まれる各パルス光の各波長が各入射パルス光列毎に異なる各入射パルス光列は、掃引光光源から一定周期で繰り返し出力される掃引光から抽出して作成されるので、各入射パルス光列は、各掃引光の掃引開始時刻からそれぞれ異なる時間だけ遅延されて出力される。したがって、この掃引開始時刻から入射パルス光列の検出時刻までの初期経過時間を求めて、当該入射パルス光列を何回目に出力されたものであるかを特定している。すなわち、この入射パルス光列に含まれる各パルス光の各波長が定まるので、受光器で受光された各時刻の反射パルス光の波長が特定されるので、以後の解析処理効率を向上できる。
また、別の発明においては、上記発明の物理量測定システムに対して、さらに、光ファイバに対して接続され、測定対象から物理量が印加されない校正用FBGセンサと、入射パルス光列作成部から出力された各入射光パルス光列の校正用FBGセンサの各反射パルス光で算出された波長特性から入射した入射パルス光列を特定する特定手段と、この特定された入射パルス光列によって測定値記憶手段における各測定値の各波長に対する対応付を行う対応付け手段とを付加している。
校正用FBGセンサは物理量が印加されないので、例えば、各パルス光の各波長が不明の入射パルス光列で作成された波長特性の中心波長は校正用FBGセンサの基準波長であるので、波長特性を算出するために用いた測定値(波長、レベル)の波長が定まる。よって、先の校正用受光器を用いた発明と同様の作用効果を奏することが可能となる。
もちろん、校正用FBGセンサを光共振器に置き換えても、同様の効果を奏することは言うまでもない。
また、別の発明においては、上記発明の物理量測定システムにおける掃引光光源を、波長が連続的に変化し光強度レベルが一定である連続光を繰返し出射する波長可変光源と、この波長可変光源から繰返し出射され連続光から予め定められた掃引範囲で波長が連続的に変化する掃引光を抽出する掃引光抽出手段とで構成している。さらに、波長可変光源は、一方の光出射端面がARコートされている半導体レーザと、この半導体レーザのAR(無反射)コートされている端面から出射された光をコリメートするコリメートレンズと、このコリメートレンズから出射されたコリメート光を受けて波長に応じた角度で回折させる回折格子と、反射体と反射体駆動部とを含んで構成され、前記半導体レーザの他方のARコートされていない出射端面から波長が連続的に変化する光を出射させるように反射体駆動部を制御するMEMSスキャナとを含む。なお、このMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)スキャナとは、マイクロ電気機械式構造体(電気信号の制御を受けて機械的に動作する構造体)によって形成されたスキャナを意味している。
このように、MEMSスキャナを採用することによって、掃引光の波長掃引速度(dλ/dt)を上昇でき、各FBGセンサに印加される物理量の測定効率を向上できる。
さらに、別の発明においては、上記発明の物理量測定システムにおける、パルス光波長設定手段は、順次出力される各掃引信号の出力周期と、各入射パルス光列における各パルス光の出力周期とは互いに素の関係を有する。
さらに、別の発明においては、上記発明の物理量測定システムにおける、波長掃引パルス光源は、半導体レーザを有し予め定められた波長範囲内でレーザ光を繰返し出射可能な可変波長光源と、入射パルス光列における各パルス光の各波長が入射パルス光列毎に異なった値となるようなパルス光を出射するように半導体レーザの出力波長に応じてこの半導体レーザの出力を制御する駆動電流を発生する駆動電源とを有する。
このような構成においては、半導体レーザの出力を駆動電源で直接制御しているので、波長掃引パルス光源の構成を簡素化できる。
さらに、別の発明においては、上記発明の物理量測定システムにおける、波長掃引パルス光源は、一方の光出射端面がARコートされている半導体レーザと、この半導体レーザのARコートされている端面から出射された光をコリメートするコリメートレンズと、このコリメートレンズから出射された光を受けて波長に応じた角度で回折させる回折格子と、反射体と反射体駆動部とを含んで構成され、半導体レーザの他方のARコートされていない出射端面から出射される光の波長が連続的に変化するように反射体駆動部を制御するMEMSスキャナとを備え、駆動電源は、MEMSスキャナにより制御された波長に応じて、前記半導体レーザからパルス光の出射を制御する。
このような構成においては、前述した発明と同様に、MEMSスキャナを採用することによって、掃引光の波長掃引速度を上昇でき、各FBGセンサに印加される物理量の測定効率を向上できる。
また、別の発明においては、上記発明の物理量測定システムにおける、波長掃引パルス光源は、さらに、回折格子から出射される0次光を受けて波長掃引パルス光源のパルス光の波長に応じたレベルの透過光を出射する光共振器と、この透過光を受けて信号に変換する受光器と、この電気信号のレベルに基づいてこの波長掃引パルス光源から出力されるパルス光の波長を特定する波長検出部とを付加している。
このような構成においては、エタロン等の光共振器は透過光の波長に応じた透過損失を有するので、光共振器を遜過した0次光の光強度を検出することでパルス光の波長を特定することができる。また、物理量の検査に用いられることの無い0次光を波長検出用に用いるので、物埋量検査用のパルス光を光カプラ等で分岐する必要が無く、SNの低下を避けることができる。
このように構成された物理量測定システムにおいては、波長が一定波長間隔で順次変化していく複数のパルス光からなる入射パルス光列を、入射パルス光列毎に各パルス光の波長を変更して複数のFBGセンサが直列介挿された光ファイバに伝搬させることによって、波長特性が等しい複数のFBGセンサを光ファイバで直列接続した場合においても、物理量の印加時における反射光の波長特性を短時間でかつ高い精度で検出でき、しかして、FBGセンサに印加される物理量を短時間でかつ高い精度で測定できる。
以下、本発明の各実施形態を図面を用いて説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係わる物理量測定システムの概略構成図である。図17、図18に示す従来の歪測定システムと同一部分には、同一符号を付して重複する部分の詳細説明を省略する。
掃引光光源20は波長可変光源21と掃引範囲設定部22と光スイッチ23とで構成されている。この掃引光光源20は、図2に示すように、一定の波長範囲(λL〜λH)内で、波長λがλLからλHにまで連続的に変化するとともに、光強度(レベル)が一定の掃引光aを一定周期TRで繰返し出力する。なお、各掃引光aの継続期間はTGである。
この掃引光光源20から一定周期TRで出力された一定の継続期間TGを有する各掃引光aは入射パルス光列作成部24の光スイッチ25に入射される。入射パルス光列作成部24のパルス発生器26は、図2、及び図3の拡大図に示すように、パルス幅が約20nsと非常に狭く、すなわち、デューティー比が小さく、周期TPのパルス信号bを光スイッチ25へ駆動信号として印加する。光スイッチ25は、各掃引光aにおけるパルス信号bがハイレベル期間のみ規定レベルを有する各入射パルス光列cを、この掃引光aから順次抽出して、この入射パルス光列作成部24から光ファイバ5の一端(入射端)5aに入射する。
なお、掃引光光源20及び入射パルス光列作成部24は、予め定められた波長範囲で波長が順次変化していく複数のパルス光からなる入射パルス光列cを光ファイバ5へ出力する波長掃引パルス光源70を構成する。
したがって、各掃引光a毎の入射パルス光列cは、波長λが波長範囲(λL〜λH)内において一定波長間隔ΔλP(パルス信号bの周期TP)でλ1からλnまで、順次変化していくn個のパルス光で構成されている。この場合、入射パルス光列cのパルス信号bの周期TPで示されるパルス光の周期TPは、例えば、掃引光aの周期TRに対して、公約数を有さない、素の関係に有る。
その結果、各掃引光aから作成される各入射パルス光列cの先頭のパルス光の波長λ1は、順次出力される各入射パルス光列c毎に、順次λ11(1回目)、λ21(2回目)、λ31(3回目)、λ41(4回目)、…とずれていく。そのため、図2に示すように、各入射パルス光列cの出力時刻の掃引光aの掃引開始時刻(t=0)からの遅延時間を示す初期経過時間ΔTが、ΔT1、ΔT2、ΔT3、ΔT4、…と順次変化していく。
光ファイバ5における一端(入射端)5aからの各距離位置L1、L2、L3、L4、…Lmにそれぞれ基準波長λS及び反射光3の波長特性が等しいm個のFBGセンサ1が挿入されている。この光ファイバ5の長さL(=Lm)を各入射パルス光列cの一つのパルス光が往復する所要時間は、光ファイバ5の屈折率n、光速度Cを用いて、(2nL/C)で示されるので、前述したパルス信号bの周期TP、すなわち、入射パルス光列cにおけるパルス光の間隔TPは、
TP>(2nL/C)
に設定されている。光ファイバ5の入射端5aの近傍に、カプラ7、及びサーキュレータ11が設けられている。
ここで、光ファイバ5に入射される入射パルス光列cの作成に用いる掃引光aを一定周期TRで繰返し出力する掃引光光源20の詳細構造を説明する。この掃引光光源20は、前述したように、波長可変光源21と掃引範囲設定部22と光スイッチ23とで構成されている。図4〜図7を用いて説明する。
図4に示すように、波長可変光源21内において、半導体レーザ(LD)27のAR(無反射)コートされている端面から出射された光をコリメートレンズ28によってコリメート光に変換して回折格子29へ入射し、その入射光に対して回折格子29が出射する回折光をMEMSスキャナ30に入射する。
MEMSスキャナ30は、反射体31と反射体駆動手段32とで構成され、回折格子29から入射されるコリメート光に対する回折光が、反射体31の反射面で回折格子29へ反射されて、再び回折格子29で回折され、それによって得られた回折光がコリメートレンズ28を介してLD27に入射されるとき、LD27に入射される回折光が所望の波長の光となるようにするとともに、図7(b)に示すように、この波長λが前述した波長範囲[λL(=1520nm)〜λH(=1570nm)]を含んで往復掃引されるように、図7(a)に示すように、反射体31の反射面の角度を反射体駆動手段32により所定の周期(掃引光aの周期)TRで繰り返し変化(往復回転)させている。
このような構成によって、波長がサイン波形状に掃引された連続光dが発振されて、LD27のARコートされていない端面から出力さる。波長可変光源21から出力さるサイン波形状の連続光dは光スイッチ23へ入力される。光スイッチ23は、波長λがサイン波形状に変化する連続光dのなかから、図7(b)に示すように、波長λが前述した波長範囲[λL(=1520nm)〜λH(=1570nm)]の部分のみを通過させて、前述した掃引光aとして、周期TRで次の入射パルス光列作成部24へ送出する、
また、回折格子29の0次光は、エタロン等の光共振器33に入射されて所定の波長の光のみが透過される。この実施形態システムにおいては、光共振器33の通過波長は、掃引光aの波長範囲[λL(=1520nm)〜λH(=1570nm)]の中に複数のピークを有する。
波長λLの透過光は受光器(PD)34で電気信号に変換されて、掃引範囲設定部22へ掃引開始信号fとして入力される。掃引範囲設定部22は、受光器(PD)34から、波長λLの掃引開始信号fが入力すると、連続光dの波長が掃引光aの波長範囲[λL(=1520nm)〜λH(=1570nm)]の上限波長(掃引終了波長)λHに到達する迄の時間TGにおいて、ハイレベルを維持する図2、図3に示すゲート信号eを光スイッチ23へ送出する。したがって、光スイッチ23から、前述した掃引光aが出力される。さらに、この掃引範囲設定部22は、入力された掃引開始信号fを初期経過時間算出部35及びデータ判定部47へ送出する。さらに、波長可変光源21には、測定制御部35が接続されている。
ここで、MEMSスキャナ30による波長掃引について説明する。図6に示す駆動信号Da、Dbを印加してMEMSスキャナ30を所定の掃引周期(掃引光aの周期)TRで往復掃引する(上述の反射体31を往復回転させる)と、図7(a)に示すように、MEMSスキャナ30の往復回転角度はほぼ正弦波的に変化する。その結果、掃引される波長λも正弦波状に変化する。
LD27から出力される波長λにおける正弦波状に変化する連続光dにおける中心周波数を各FBGセンサ1の基準波長λSに設定する。そして、この基準波長λSを含む波長範囲[λL(=1520nm)〜λH(=1570nm)]が、図7(b)に示すように波形の直線に近い部分に位置するように、MEMSスキャナ30の往復掃引の波長範囲(往復回転角度の範囲)が設定される。つまり、駆動信号Da、Dbの振幅の調整により設定される。なお、上述の駆動信号Da、Dbのいずれか一方はトリガ信号Trとして測定制御部69へ出力される。
次に、MEMSスキャナ30の反射体31及び反射体駆動手段32の構成及び動作を図5を用いて説明する。
反射体31は、横長矩形で互いに平行に配置された一対の固定基板36、37と、この一対の固定基板36、37の長辺側縁部の中央からこの固定基板36、37と直交する方向に所定幅、所定長さで延設され、その長さ方向に沿って捩じれ変形可能な一対の軸部38、39と、横長矩形で一方の長辺側縁部の中央部で軸部38の先端に連結され、他方の長辺側縁部の中央部で軸部39の先端に連結された反射板40とを有している。
この反射板40は、捩じれ変形可能な軸部38、39に中心部が支持されているので、この軸部38、39を結ぶ線を中心軸として固定基板36、37に対して回転することができる。また、軸部38、39と反射板40とからなる部分の固有振動数f0は、反射板40自体の形状や質量及び軸部38、39のバネ定数によって決まる。また、反射板40の一面側には、光を反射するための反射面41が形成されている。
支持基板42は絶縁性を有する材料からなり、その一面側の上部と下部には、前方へ突出する支持台42a、42bが形成されており、反射体31の固定基板36、37は、この上下の支持台42a、42bに接した状態で固定されている。また、支持基板42の一面側中央部の両端には、反射体31の反射板41の両端にそれぞれ対向する電極板43a、43bがパターン形成されている。
この電極板43a、43bは、駆動信号発生器44とともに反射体駆動手段32(図4参照)を構成するものであり、反射板41の両端部に静電力を交互にかつ周期的に印加して、反射板41を、軸部38、39を結ぶ線を中心に往復回転運動させる。なお、反射板41の回転軸は回折格子29の回折溝と平行となるように設定されている。
このように構成された反射体31は、回折格子29からの回折光を反射板40の反射面41で受けて、その反射光を回折格子29へ入射させて、再度回折させる。
一方、反射体駆動手段32(図4参照)の一部を構成する駆動信号発生器44は、前述したように、電極板43a、43bに対して、固有振動数f0に対応した周波数を有し、位相が180°ずれた駆動信号Da、Dbを印加して、電極板43aと反射板40の一端側との間及び電極板43bと反射板40の他端側との間に、交互にかつ周期的に静電力(引力)を与え、反射板40を固有振動数f0あるいはその近傍の振動数で所定角度範囲を往復回転させる。
このような反射体31及び反射体駆動手段32によって構成されたMEMSスキャナ30では、反射体31を、一対の固定基板36、37と、その縁部から所定幅で所定長さ延設され、その長さ方向に沿って捩じれ変形可能な軸部38、39と、軸部38、39の先端に自身の縁部で連結され、軸部38、39に対して対称な形状に形成され、一面側に反射面41が形成された反射板40とによって構成するとともに、反射体31の軸部38、39と反射板41とからなる部分の固有振動数f0に対応した周波数の駆動信号によって反射板40に力を与えて、この反射板40を固有振動数f0の振動数で往復回転させている。
このため、僅かな電気エネルギで反射板40を高速に往復回転させることができ、しかも、その回転中心が反射板40の内部(この場合、中央部)にあるので、反射板40の反射面41への入射光の反射角の変化量を大きくすることができる。なお、軸部38、39のバネ定数は、軸部38、39の長さ、幅、厚み、材質によって決まり、このバネ定数と、反射板40の形状、厚み、材質等で固有振動数f0が決定され、これらのパラメータを選ぶことにより、固有振動数f0を数100Hz〜数10kHzの範囲内で設定することができる。
すなわち、連続光d及びこの連続光dから切出される各掃引光aにおける波長掃引速度(dλ/ds)を上昇できる。
測定制御部69の測定開始指示に基づいて、波長可変光源21が組込まれた掃引光光源20から出力された各掃引光aを用いて、入射パルス光列作成部24で作成された各入射パルス光列cは、光ファイバ5の一端(入射端)5aへ入射して、サーキュレータ11を透過して、各距離位置L1、L2、L3、L4、…Lmに設けられたFBGセンサ1を経て光ファイバ5の遠端に到達する。そして、各距離位置L1、L2、L3、L4、…Lmに設けられた各FBGセンサ1の各入射パルス光列cに対する各反射パルス光列gはサーキュレータ11で分岐され、受光器45で電気信号に変換されて、A/D変換器46でデジタルの反射パルス信号列に変換されて、データ判定部47へ入力される。
一方、入射パルス光列作成部24で作成された各入射パルス光列cは、光ファイバ5の一端(入射端)5a近傍に設けられたカプラ7を介して校正用受光器48へ入力されて電気信号に変換されて、初期経過時間算出部35へ入力される。初期経過時間算出部35は、掃引光光源20から、掃引開始信号fが入力した掃引開始時刻t=0から、校正用受光器48で検出された入射パレス光列cの先頭のパルス光の検出時刻までの図2に示す初期経過時間ΔTを算出する。
この算出された初期経過時間ΔTは、前述したように、掃引光光源20が測定制御部69にて、起動されてから、各入射パレス光列cの出力順序によって、掃引光aの周期TRとパルス光の周期TPとの関係にて一義的に定まる各値(1回目=ΔT1、2回目=ΔT2、3回目=ΔT3、4回目=ΔT4、…)へと順次変化していく。入射パルス光列特定部49は、算出された初期経過時間ΔTから、今回出力された入射パルス光列cが何番目に出力された入射パレス光列cであるかを判定して、データ判定部47へ送出する。
入力時刻・波長・FBG対応メモリ50において、例えば、1回目から4回目までの各回の入射パレス光列cの1番からn番までの各パルス光における、出力時刻の掃引開始時刻t=0からの経過時間、各波長、1番からm番までの各FBGセンサ1で反射してサーキュレータ11を経由して受光器45で受光するまでの所要時間を示す掃引開始時刻t=0からの時刻tは、図8(a)、図8(b)に示すように、光ファイバ5における光速C、各各FBGセンサ1までの距離位置L1、L2、L3、L4、…Lmにて既知である。
なお、図8(a)は、掃引開始時刻t=0、2回目の入射パレス光列cの先頭のパルス光(λ21)、2番目のパルス光(λ22)、先頭のパルス光(λ21)に対する各FBGセンサからの反射光の受光部45への入力時刻(t211、t212、t213、…)、2番目のパルス光(λ22)に対する各FBGセンサからの反射光の受光部45への入力時刻(t221、t222、t223、…)を示すタイムチャートである。図8(b)は、3回目の入射パレス光列cにおける同様のタイムチャートである。
この入力時刻・波長・FBG対応メモリ50には、各時刻tで入力される各反射光の測定値(光強度レベル)の各入射パルス光列cにおける何番目のパルス光であるかを示す番号(j)、何番目のFBGセンサであるかを示す番号(x)、何回目に送出した入射パルス光列cであるかを示す番号(i)が、[tijx]の形式で記憶されている。
データ判定部47は、A/D変換器46から出力された各測定値(レベル)の入力時刻t(掃引開始からの時刻)を算出して、入射パレス光列特定部49で特定された入射パレス光列cと、入力時刻・波長・FBG対応メモリ50内に記憶された該当時刻tの前述した各番号(i)、(j)、(x)を特定して、[測定値FBijx]のフォーマットでデータ書込部51へ送出する。
データ書込部51は、データ判定部47でパルス光の番号(j)、FBGセンサの番号(x)、入射パルス光列cの番号(i)が判別された各[測定値FBijx]を図9に示す入射パルス光列測定値テーブル52の(i)、(j)、(x)に対応する各領域52aに書込む。1回目から3回目までの各入射パルス光列cの1番目からn番目までの各パルス光の各波長λ11、λ12、λ13、λ14、…、λ1nは既知である。
予め定められた1回目から3回目までの3つの入射パルス光列cに対する[全部の波長、全部のFBGセンサ]の測定値データの取得、の測定が終了し、入射パレス光列別測定値テーブル52への書込が終了すると、データ編集部53が起動して、入射パルス光列別測定値テーブル52に記憶された入射パルス光列別の各[測定値FBGijx]を、FBGセンサ別の各測定値のデータ(グループ)に編集して、図10に示す、FBG別各測定値テーブル54の各領域54aに書込む。
次に、波長特性算出部55は、FBG別各測定値テーブル54内の縦1列の1つのFBGセンサ1の1回目の入射パルス光列cの各波長λ11、λ12、λ13、λ14、…λ1nの測定値(データ)FB111、FB121、FB131、…、FB1n1、2回目の入射パルス光列cの各波長λ21、λ22、λ23、λ24、…λ2nの測定値(データ)FB211、FB221、FB231、…、FB2n1、及び3回目の入射パルス光列cの各波長λ31、λ32、λ33、λ34、…λ3n
の測定値(データ)FB311、FB321、FB331、…、FB3n1を用いて、図11に示す当該FBGセンサ1の反射光の波長λを横軸とする波長特性56を算出する。具体的には、各波長λ11〜λ3nの測定値(データ)FB111〜FB3n1における包絡線を求める。
中心波長算出部57は、算出された1番からm番の各FBGセンサ1における反射光の波長特性56の各中心波長λC1、λC2、λC3、λC4、…、λCmを求めて、物理量算出手段58のずれ波長算出部59へ送出する。
ずれ波長算出部59は、図12に示すように、各FBGセンサ1の中心波長λC1、λC2、λC3、λC4、…λCmの基準波長メモリ60に記憶されているFBGセンサ1の基準波長λSからの波長ずれΔλ1、Δλ2、Δλ3、Δλ4、…Δλmを算出する。
物理量算出部61は、各波長ずれΔλ1、Δλ2、Δλ3、Δλ4、…Δλmに、定数Kを乗算して、1番からm番の各FBGセンサ1に印加された歪み(物理量)ε1、ε2、ε3、ε4、…εmを算出して表示器62に表示出力する。
このように構成された第1実施形態の物理量測定システムにおいては、たとえ基準波長λSを含む波長特性が等しい複数のFBGセンサ1を光ファイバ5で直列接続した場合においても、物理量の印加時における反射光の波長特性56を短時間でかつ高い精度で検出できる。
さらに、同一規格の複数のFBGセンサ1を直列接続した光ファイバ5の一端(入射端)5aに入射する測定用の光として、波長λが順次変化していく複数のパルス光からなる入射パルス光列cを採用し、かつ、各パルス光の時間間隔TPを互いに等しく設定され、かつ、当該パルス光が光ファイバ5を往復するに要する時間(2nL/C)より長く設定している。
したがって、図8(a)、(b)に示すように、入射パルス光列cを構成する1つの波長λのパルス光の出力時刻から次の波長(λ+ΔλP)のパルス光の出力時刻までの期間T内に、先の波長λのパルス光に対する1番からm番までの全部のFBGセンサ1からの反射パルスが互いに時間をずらして受光される。したがって、各FBGセンサ1の反射光の波長特性56を図11に示すように、反射パルス光を、重ねることができ、各入射パルス光列cの出射周期を短縮できる。
さらに、この発明においては、光ファイバ5へ繰り返し入射する入射パルス光列cの出力時刻の掃引光aの掃引開始時刻からの経過時間ΔTを故意にずらせることによって、入射パルス光列c毎に、含まれる複数のパルス光の波長を変更しているので、図9に示すように、FBGセンサ1の波長特性56の算出に用いる「測定値」をより広い波長範囲のなかから、より多くの波長値における測定値を採用しているので、FBGセンサ1の波長特性56の算出精度を大幅に向上できる。
さらに、この手法を、MEMSスキャナ30を採用することによって、掃引速度(dλ/ds)を大幅に上昇させた、掃引光光源21に応用することにより、FBGセンサ1を用いた物理量の測定処理時間を大幅に短縮できる。
ここで、MEMSスキャナ30を採用する際の実施例を述べる。例えば、光源からFBGセンサまでの距離がL=100mとすると、FBGセンサからの反射戻り光の所要時間は、(2nL/C)=1×10-6=1μs以上のパレス間隔が必要である。一方、MEMSスキャナ30を利用した可変波長光源の場合は、波長掃引速度が100nm/msのとき、FBGセンサの反射光の波長特性の半値幅が約0.3nmである場合は、この半値幅を掃引する時間は(0.3/100)=3μsとなる。
したがって、この3μsの間に、1つの入射パルス光列cでは3個の測定値はとれないが、順次出力する入射パルス光列cの出力タイミングを順次ずらすことによって、前記波長特性の半値幅内に、3X(X;入射パルス光列cの数)個の測定値を設定できるので、各FBGセンサの反射光の波長特性の測定精度を向上できると共に、測定速度を向上できる。
(第2実施形態)
図13は本発明の第2実施形態に係わる物理量測定システムの概略構成図である。図1に示す第1実施形態の物理量測定システムと同一部分には、同一符号を付して重複する部分の詳細説明を省略する。
この第2実施形態の物理量測定システムにおいては、光ファイバ5のサーキュレータ11の近傍に校正用FBGセンサ65が図示しない光分岐器を介して接続されている。そして、第1実施形態で採用されていた校正用受光器48、初期経過時間算出部35は削除されている。校正用FBGセンサ65は、他の各FBGセンサ1と基準波長λS、波長特性を含む仕様が等しく設定されている。しかしながら、この校正用FBGセンサ65には、測定対象から負荷が印加されることはない。
このような構成の物理量測定システムにおいて、波長掃引パルス光源70aを構成する掃引光光源20を起動して、入射パルス光列作成部24から、各入射パルス光列cを順次光ファイバ5に送出すると、この各入射パルス光列cは光ファイバ5内を伝搬する過程で、各FBGセンサ1でその一部が反射されてその反射光はサーキュレータ11を介して、受光器で受光され、A/D変換器45でデジタルの反射パルス信号に変換されて、データ判別部47へ入力される。
入射パルス光列作成部24から出力された各入射パルス光列cは各FBGセンサ1へ入力されるとともに、校正用FBGセンサ65に入力させ、この校正用FBGセンサ65の反射光は、サーキュレータ11を介して、受光器で受光され、A/D変換器45でデジタルの反射パルス信号に変換されて、データ判定部47、及び入射パルス光列判定部66に入力される。
入射パルス光列判定部66の動作を説明する。校正用FBGセンサ66は物理量が印加されないので、例えば、受光器45で受光された各パルス光の各波長λが不明の受信パルス光列の各反射パルスの値(レベル)で作成された波長特性の中心波長は校正用FBGセンサの基準波長λSであるので、この基準波長λSから波長特性を算出するために用いた各測定値(波長、レベル)の各波長λ1、λ2、λ3、λ4、…、λnが定まる。よって、今回、入射パルス光列作成部24から出力された入射パルス光列cの出力順番を示す番号(j
)が特定されるので、この情報をデータ判定部47へ送出する。
なお、この入射パレス光列cの判定には、入射パルス光列aを1回出力して、当該入射パルス光列aの番号を特定する。すると、2回目以降は、入力すべき入射パルス光列aの番号が特定されるので、この番号をデータ判定部47へ送信する。
データ判定部47は、A/D変換器46から出力された各測定値(レベル)の入力時刻t(掃引開始からの時刻)を算出して、入射パレス光列特定部66で特定された入射パレス光列cと、入力時刻・波長・FBG対応メモリ50内にされた該当時刻tの前述した各番号(i)、(j)、(x)を特定して、[測定値FBijx]のフォーマットでデータ書込部51へ送出する。
これ以降は、先に説明した、第1実施形態の物理量測定システムとほぼ同一処理で、各FBGセンサ1に印加された歪み等の物理量の測定が可能となる。
したがって、前述した第1実施形態の物理量測定システムとほぼ同様の作用効果を奏することができる。
(第3実施形態)
図14は本発明の第3実施形態に係わる物理量測定システムから波長掃引パルス光源を抽出して示す模式図である。図1及び図4に示す第1実施形態の物理量測定システムと同一部分には、同一符号を付して重複する部分の詳細説明を省略する。
この第3実施形態の物理量測定システムに組込まれた波長掃引パルス光源80には、波長可変光源81は設けられているが、第1実施形態や第2実施形態で採用した入射パルス光列作成部24は設けられていない。この入射パルス光列作成部24が行う入射パルス光列cを作成する処理は、半導体レーザ27を直接オンオフ制御する駆動電源82が実施する。
すなわち、測定制御部69は、MEMSスキャナ30の往復掃引動作を制御すると供に、この自らが制御するMEMSスキャナ30の振れ角の情報に基づいて、半導体レーザ27が所望の波長のパルス光を出射するように、当該半導体レーザ27に供給する駆動電流のタイミングを駆動電源82に指示することによって、光ファイバ5に入射する入射パルス光列cを生成する。
また、測定制御部69は波長掃引パルス光源80に指示したパルス光の波長λの情報と入力時刻をデータ判定部47へ与える。データ判定47は、この波長情報と入力時刻とに基づいて、第1実施形態で述べたのと同様に、入射パルス光列cと、入力時刻・波長・FBG対応メモリ50内に記憶された該当時刻tの前述した各番号(i)、(j)、(x)を特定して、[測定値FBijx]のフォーマットでデータ書込部51へ送出する。
このように、第3実施形態の物理量測定システムにおいては、半導体レーザ27を直接パルス変調する構成なので複雑な外部変調が不要であり、また、測定制御部69が各パルス光の発振波長を把握しているので第1実施形態のようにパルス光を特定するための手段を設ける必要が無く、構成を簡素化できる。
さらに、この第3実施形態においては、回折格子29から出射される0次光を受けて波長掃引パルス光源80のパルス光の波長に応じたレベルの透過光を出射する光共振器83と、その透過光を受けて電気信号に変換する受光器(PD)84と、電気信号のレベルに基づいて波長掃引パルス光源80から出力されるパルス光の波長を特定する波長検出部85から構成される波長校正手段が設けられている。
すまわち、図15に示すように、エタロン等の光共振器83は透過光に対して共振器長と共振面の反射率で決まる等間隔の透過スパイクを有する透過特性を持つ。受光器84で検出した0次光の透過光の光強度を波長検出部85が予め記億している基準値と比較することでパルス光の波長を高精度に測定し、この実測したパルス光の波長をもとにデータ判定部47は反射パルス光の波長を校正する。この構成により、FBGセンサ1の波長特性をさらに高精度に評価し物理量を精度良く測定できる。
1…FBGセンサ、5…光ファイバ、7…カプラ、11…サーキュレータ、20…掃引光光源、21,81…波長可変光源、22…掃引範囲設定部、23,25…光スイッチ、24…入射パルス光列作成部、26…パルス発生器、27…半導体レーザ(LD)、28…コリメートレンズ、29…回折格子、30…MEMSスキャナ、31…反射体、32…反射体駆動手段、33,83…光共振器、34,45,84…受光器(PD)、35…初期経過時間算出部、36,37…固定基板、38,39…軸部、40…反射板、41…反射面、42…支持基板、42a,42b…支持台、43a,43…電極板、44…駆動信号発生器、46…A/D変換器、47…データ判定部、48…校正用受光器、49,66…入射パルス光列特定部、50…入力時刻・波長・FBG対応メモリ、51…データ書込部、52…入射パルス光列測定値メモリ、53…データ編集部、54…FBG別測定値テーブル、55…波長特性算出部、56…波長特性、57…中心波長算出部、58…物理量算出手段、59…ずれ波長算出部、60…基準波長メモリ、61…物理量算出部、62…表示器、65…校正用FBGセンサ、69…測定制御部、70,70a,80…波長掃引パルス光源、82…駆動電源、85…波長検出部