JP4787789B2 - Fbgセンサシステム - Google Patents

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Description

本発明は、ファイバを介して遠隔地の測定対象に設けられたFBG(ファイバブラッググレーティング)に高速波長掃引の可能な波長可変光源と受光器とを組み合わせて、測定対象の歪測定や温度測定等を行うFBGセンサシステムに関し、特にFBGに入射する測定光に光パルスを用いて、ファイバ内で発生するレイリー散乱光の影響を低減することによって、例えFBGまでのファイバ長が80kmを越えるような場合であっても、その測定対象の測定を精度良く行えるFBGセンサシステムに関する。
FBGは、ファイバの所定長さ範囲のコア部の屈折率を一定間隔で周期的に変化させたもので、このFBGの一端側に光を入射すると、その入射光のうち特定波長(ブラッグ波長という)の光だけが反射されて、他の波長の光は透過する。このブラッグ波長は、屈折率が一定間隔で周期的に変化している部分が受ける軸方向の歪み(圧縮、伸長)に応じて変化する。したがって、このFBGの一端側に光を入射して反射してくる光の波長(反射波長)あるいは透過してくる光の波長を測定することで、FBGに加わった歪みを測定することができる。
従来、このようなFBGの性質を利用して測定対象の歪測定や温度測定等を行うFBGセンサシステムとして、FBGの反射波長の測定を、リットマン型の波長可変光源と受光器を組み合わせて行うものがあった。近年、本出願人は、そのリットマン型の波長可変光源に代えて、MEMSスキャナを利用した高速波長掃引の可能な波長可変光源を用いて測定の高速化を図ったFBGセンサシステムを提案した(特許文献1参照)。なお、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)スキャナとは、マイクロ電気機械式構造体(電気信号の制御を受けて機械的に動作する構造体)によって形成されたスキャナである。
この従来の高速波長掃引の可能な波長可変光源を用いたFBGセンサシステムの概略構成を図12に示す。波長可変光源10において、半導体レーザ(LD)1のARコートされている端面から出射された光をコリメートレンズ2によってコリメート光に変換して回折格子3へ入射し、その入射光に対して回折格子3が出射する回折光をMEMSスキャナ60に入射する。MEMSスキャナ60は、反射体35と反射体駆動手段50で構成され、回折格子3から入射されるコリメート光に対する回折光が、反射体35の反射面で回折格子3へ反射されて、再び回折格子3で回折され、それによって得られた回折光がコリメートレンズ2を介してLD1に入射されるとき、LD1に入射される回折光が所望の波長の光となるようにするとともに、この所望の波長が所定の波長範囲を含んで往復掃引されるように反射体35の反射面の角度を反射体駆動手段50により所定の掃引周期で往復回転させている。
このような構成によって、波長掃引された光が発振されて、LD1のARコートされていない端面から出射されて出力光(測定光)となる。なお、反射体駆動手段50は、反射体35の反射面の角度を往復回転させるために自身で発生している駆動信号(波長範囲、掃引周期を決めている)を、掃引信号aとして処理手段17へ出力する。
また、回折格子3の0次光は、エタロン等の光共振器4に入射されて所定の波長の光のみが透過される。そして、その透過光は受光器(PD)5で電気信号bに変換されて処理手段17へ出力される。すなわち、出力光(測定光)の波長掃引に対応して所定の波長間隔、例えば周波数で15GHz間隔の透過光を発生し、受光器5で電気信号bに変換される。この透過光の波長(周波数)は既知である。したがって、その透過光を光電変換して得られた電気信号bと上述の掃引信号aとを用いて、波長可変光源10の発振波長(波長掃引された測定光の波長)を求めることができる。
次に、光サーキュレータ13は、波長可変光源10からの測定光を、ファイバ14を介してFBG15に入射するとともに、FBG15で反射されて戻ってきたその測定光の反射光(反射スペクトル)を受けて受光器(PD)16に出射する。受光器16は、その反射光を電気信号cに変換して処理手段17へ出力する。
処理手段17は、受光器16からの電気信号cと、波長可変光源10からの掃引信号a及び電気信号bとに基づいて、FBG15の反射波長の測定を行う。
特開2006−49785号公報
このような従来のFBGセンサシステムにおいては、例えば、反射波長が1550nmのFBG15に対して1520〜1580nmの波長範囲(測定波長範囲)についてその反射波長を測定する場合、図10(a)、(b)に示すように、この測定波長範囲を含んだ1500〜1600nmの波長範囲(掃引波長範囲)の光が、掃引周期1.4ms(714Hz)の駆動信号(掃引信号a)によって正弦波状に波長掃引される。そして、その正弦波状に波長掃引された光が、測定光として連続的にファイバ14へ入射される。
ところで、FBG15で反射されて戻ってきた測定光の反射光(反射スペクトル)のノイズフロアは、ファイバ14内で発生されるレイリー散乱光に起因する。レイリー散乱光の強度はファイバ14に入射される測定光の強度に比例する。したがって、FBG15の反射スペクトルのS/Nは、ファイバ14に入射される測定光の強度には依存しない。
その結果、図10(b)に示した測定光が連続的にファイバ14へ入射された場合、FBG15の反射スペクトルのS/Nは、(1)式で与えられる反射スペクトルの強度P及び(2)式で与えられるレイリー散乱光の強度Pによって、(3)式のように表される。なお、FBG15の反射率は100%としている。
=P−2αL (1)
=RP(1−e−2αL)/2 (2)
S/N=P/P=2e−2αL/{R(1−e−2αL) } (3)
ここで、Pはファイバ14に入射される測定光の強度、Lはファイバ長、αはファイバの減衰率、Rはレイリー散乱光の発生率である。通常の光通信用ファイバの場合、α=0.046/km(=0.2dB/km)、R=0.0022となる。
(3)式から求められるファイバ長(L)に対するS/Nの計算値と、それに係わる測定値を図11に従来例として示す。図11から分かるように、S/Nはファイバ長が長いほど低下し、60〜70km程度で0dBとなる。実際には、FBG15の反射波長(反射スペクトルの波長)の変化を精度良く測定するためには、10〜20dB程度のS/Nが必要である。その結果、図11から分かるように、測定できるファイバ長の限界が30km程度に制限されるという問題を生じる。
本発明は、FBGに入射する測定光に光パルスを用いて、ファイバ内で発生するレイリー散乱光の影響を低減することによって、この課題を解決し、例えFBGまでのファイバ長が80kmを越えるような場合であっても、その測定対象の測定を精度良く行えるFBGセンサシステムを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の請求項1のFBGセンサシステムでは、ファイバ(14)を介して測定対象に設けられた各々の反射波長が異なる複数のFBG(15)に当該複数のFBGの反射波長を含む所定の波長範囲の光を測定光として前記ファイバの一方端から入射し、前記ファイバの前記一方端から出射される該測定光の反射光から当該FBGの反射波長を測定するFBGセンサシステムにおいて、前記所定の波長範囲の光を含んで所定の掃引周期で波長掃引された光を半導体レーザ(1)で発振させることを可能にさせた波長可変光源(10)と、該波長可変光源から出力される前記波長掃引を行うための掃引信号を受け、該掃引信号に基づいて、前記波長可変光源で発振される前記所定の波長範囲の光を前記測定光として前記FBGに入射させるための所定の周期のパルスを発生させるパルス発生器(11)と、前記FBGに入射された前記測定光の該FBGからの反射光を受けて電気信号に変換する受光器(16)と、該受光器から出力される前記電気信号に基づいて前記FBGの反射波長を測定する処理手段(17)とを備え、前記パルスで前記波長可変光源の前記半導体レーザの駆動電流をオン/オフさせることによって、前記所定の波長範囲の光でなる1つの光パルスを発生させ、該光パルスを前記測定光として前記ファイバに入射させるようにし、かつ、前記波長可変光源の前記波長掃引を行うための掃引信号の前記所定の掃引周期は、前記測定光としての前記光パルスに対する前記FBGからの反射光の前記受光器での受光時間が該光パルスの前記ファイバへの入射の終了後となるような掃引周期であり、さらに、前記パルスの前記所定の周期は、前記測定光としての前記光パルスの次の光パルスの前記ファイバへの入射時間が前記光パルスに対する前記FBGからの反射光の前記受光器での受光後となるような周期であり、前記ファイバ内で発生するレイリー散乱光の影響を低減してファイバ長に起因するS/Nの低下を抑止するようにした。
また、本発明の請求項2のFBGセンサシステムでは、ファイバ(14)を介して測定対象に設けられた各々の反射波長が異なる複数のFBG(15)に当該複数のFBGの反射波長を含む所定の波長範囲の光を測定光として前記ファイバの一方端から入射し、前記ファイバの前記一方端から出射される該測定光の反射光から当該FBGの反射波長を測定するFBGセンサシステムにおいて、前記所定の波長範囲の光を含んで所定の掃引周期で波長掃引された光を半導体レーザ(1)で発振させる波長可変光源(10)と、該波長可変光源から出射されて前記FBGに入射される光をオン/オフする光スイッチ(12)と、前記波長可変光源から出力される前記波長掃引を行うための掃引信号を受け、該掃引信号に基づいて、前記波長可変光源で発振される前記所定の波長範囲の光を前記測定光として前記FBGに入射させるための所定の周期のパルスを発生させるパルス発生器(11)と、前記FBGに入射された前記測定光の該FBGからの反射光を受けて電気信号に変換する受光器(16)と、該受光器から出力される前記電気信号に基づいて前記FBGの反射波長を測定する処理手段(17)とを備え、前記パルスで前記光スイッチをオン/オフさせることによって、前記所定の波長範囲の光でなる1つの光パルスを発生させ、該光パルスを前記測定光として前記ファイバに入射させるようにし、かつ、前記波長可変光源の前記波長掃引を行うための掃引信号の前記所定の掃引周期は、前記測定光としての前記光パルスに対する前記FBGからの反射光の前記受光器での受光時間が該光パルスの前記ファイバへの入射の終了後となるような掃引周期であり、さらに、前記パルスの前記所定の周期は、前記測定光としての前記光パルスの次の光パルスの前記ファイバへの入射時間が前記光パルスに対する前記FBGからの反射光の前記受光器での受光後となるような周期であり、前記ファイバ内で発生するレイリー散乱光の影響を低減してファイバ長に起因するS/Nの低下を抑止するようにした。
また、本発明の請求項3のFBGセンサシステムでは、ファイバ(14)を介して測定対象に設けられた各々の反射波長が異なる複数のFBG(15)に当該複数のFBGの反射波長を含む所定の波長範囲の光を測定光として前記ファイバの一方端から入射し、前記ファイバの前記一方端から出射される該測定光の反射光から当該FBGの反射波長を測定するFBGセンサシステムにおいて、前記所定の波長範囲の光を含んで所定の掃引周期で波長掃引された光を半導体レーザ(1)で発振させる波長可変光源(10)と、該波長可変光源から出射されて前記FBGに入射される光の増幅をオン/オフする光増幅器(18)と、前記波長可変光源から出力される前記波長掃引を行うための掃引信号を受け、該掃引信号に基づいて、前記波長可変光源で発振される前記所定の波長範囲の光を前記測定光として前記FBGに入射させるための所定の周期のパルスを発生させるパルス発生器(11)と、前記FBGに入射された前記測定光の該FBGからの反射光を受けて電気信号に変換する受光器(16)と、該受光器から出力される前記電気信号に基づいて前記FBGの反射波長を測定する処理手段(17)とを備え、前記パルスで前記光増幅器をオン/オフさせることによって、前記所定の波長範囲の光でなる1つの光パルスを発生させ、該光パルスを前記測定光として前記ファイバに入射させるようにし、かつ、前記波長可変光源の前記波長掃引を行うための掃引信号の前記所定の掃引周期は、前記測定光としての前記光パルスに対する前記FBGからの反射光の前記受光器での受光時間が該光パルスの前記ファイバへの入射の終了後となるような掃引周期であり、さらに、前記パルスの前記所定の周期は、前記測定光としての前記光パルスの次の光パルスの前記ファイバへの入射時間が前記光パルスに対する前記FBGからの反射光の前記受光器での受光後となるような周期であり、前記ファイバ内で発生するレイリー散乱光の影響を低減してファイバ長に起因するS/Nの低下を抑止するようにした。
また、本発明の請求項4のFBGセンサシステムでは、上述した請求項1〜3のいずれかのFBGセンサシステムにおいて、前記波長可変光源は、一方のレーザ光出射端面がARコートされている前記半導体レーザ(1)と、該半導体レーザのARコートされている端面から出射された光をコリメートするコリメートレンズ(2)と、該コリメートレンズから出射されたコリメート光を受けて波長に応じた角度で回折させる回折格子(3)と、反射体(35)と反射体駆動手段(50)とを含んで構成され、前記回折格子から入射される前記コリメート光に対する回折光が、前記反射体の反射面で該回折格子へ反射されて、再び該回折格子で回折され、それによって得られた回折光が前記コリメートレンズを介して前記半導体レーザに入射されるとき、該半導体レーザに入射される回折光が所望の波長の光となるようにするとともに、該所望の波長が前記所定の波長範囲を含んで往復掃引されるように前記反射体の反射面の角度を前記反射体駆動手段により前記所定の掃引周期で繰り返し変化させるMEMSスキャナ(60)とを備えた。
また、本発明の請求項5のFBGセンサシステムでは、上述した請求項4のFBGセンサシステムにおいて、前記MEMSスキャナの反射体は、固定基板(36、37)と、該固定基板の縁部から所定幅で所定長さ延設され、その長さ方向に沿って捩じれ変形可能な軸部(38、39)と、該軸部の先端に自身の縁部で連結されて形成され、一面側に前記回折格子からの回折光を反射させるための前記反射面が設けられた反射板(40)とを有しており、かつ、前記MEMSスキャナの反射体駆動手段は、前記反射体の軸部と反射板とからなる部分の固有振動数に対応した周波数の駆動信号によって前記反射板に力を与えて、該反射板を前記固有振動数又はそれに近い振動数の前記所定の掃引周期で往復回転させるように構成した。
本発明の請求項1〜3のFBGセンサシステムでは、所定の波長範囲の光でなる光パルスを発生させ、この光パルスを測定光としてFBGに入射させるようにしたので、図11に示す2つの測定値(従来例と本発明)の比較から分かるように、ファイバ内で発生するレイリー散乱光の影響を低減してファイバ長に起因するS/Nの低下を抑止することができる。その結果、例えFBGまでのファイバ長が80kmを越えるような場合であっても精度良く測定することができる。
本発明の請求項4及び5のFBGセンサシステムでは、波長可変光源の往復掃引をMEMSスキャナで行うようにしたので、高速波長掃引ができ、測定の高速化が可能である。
以下に本発明の実施形態を記載する。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態のFBGセンサシステムの構成を図1に示す。従来のFBGセンサシステムと同一要素には同一符号を付す。波長可変光源10において、半導体レーザ(LD)1のARコートされている端面から出射された光をコリメートレンズ2によってコリメート光に変換して回折格子3へ入射し、その入射光に対して回折格子3が出射する回折光をMEMSスキャナ60に入射する。MEMSスキャナ60は、反射体35と反射体駆動手段50で構成され、回折格子3から入射されるコリメート光に対する回折光が、反射体35の反射面で回折格子3へ反射されて、再び回折格子3で回折され、それによって得られた回折光がコリメートレンズ2を介してLD1に入射されるとき、LD1に入射される回折光が所望の波長の光となるようにするとともに、この所望の波長が所定の波長範囲を含んで往復掃引されるように反射体35の反射面の角度を反射体駆動手段50により所定の掃引周期で往復回転させている。
なお、上記の波長可変光源10の動作は、パルス発生器11からのパルスd(詳細は後述する)がLD1の駆動電流をオンにしてLD1が発振状態にされている場合である。また、MEMSスキャナ60を構成する反射体35及び反射体駆動手段50については、後に図4及び図5を用いて詳述する。
このような構成によって、パルスdでLD1の駆動電流をオンにしているときには、波長掃引された光が発振されて、LD1のARコートされていない端面から出射されて出力光(測定光)となる。なお、反射体駆動手段50は、反射体35の反射面の角度を往復回転させるために自身で発生している駆動信号(波長範囲、掃引周期を決めている)を、掃引信号aとしてパルス発生器11及び処理手段17へ出力する。
また、回折格子3の0次光は、エタロン等の光共振器4に入射されて所定の波長の光のみが透過される。そして、その透過光は受光器(PD)5で電気信号bに変換されて処理手段17へ出力される。すなわち、出力光(測定光)の波長掃引に対応して所定の波長間隔、例えば周波数で15GHz間隔の透過光を発生し、受光器5で電気信号bに変換される。この透過光の波長(周波数)は既知である。したがって、その透過光を光電変換して得られた電気信号bと上述の掃引信号aとを用いて、波長可変光源10の発振波長(波長掃引された測定光の波長)を求めることができる。
なお、図1において、波長可変光源10は、LD1のARコートされている端面から出射された光をコリメートレンズ2によってコリメート光に変換して回折格子3へ入射するようにしたが、LD1とコリメートレンズ2との間に集光レンズとファイバを設け、LD1のARコートされている端面から出射された光を集光レンズで集光してファイバに入射し、ファイバを通った光をコリメートレンズ2によってコリメート光に変換して回折格子3へ入射するようにしてもよい。また、図1において、波長可変光源10は、LD1のARコートされていない端面から出射された光を出力としたが、回折格子3の0次光を光カプラで分岐して出力としてもよい。
次に、パルス発生器11は、波長可変光源10からの掃引信号aに基づいて、波長可変光源10で発振される所定の波長範囲の光を測定光としてFBG15に入射させるための所定の周期のパルスdを発生させる。すなわち、[発明が解決しようとする課題]の項で述べた、反射波長が1550nmのFBG15の反射波長を測定する場合の図10に関係づけて、測定波長範囲を1520〜1580nm、掃引波長範囲を1500〜1600nm、掃引周期を1.4ms(714Hz)とすると、図6(b)に示す太線部分を測定光とするための、幅0.3ms、周期2.8ms(357Hz)のパルスd(図6(c))が掃引信号a(図6(a))に同期して発生される。そして、このパルスdでLD1の駆動電流がオン/オフされて、図6(d)に示すような、2.8ms周期で0.3ms間だけ1520から1580nmまで波長掃引されてなる光(すなわち光パルスといえる)が測定光として波長可変光源10から出射される。
光サーキュレータ13は、波長可変光源10から出射される測定光としての光パルスを、ファイバ14を介してFBG15に入射するとともに、FBG15で反射されて戻ってきたその光パルス(測定光)の反射光(反射スペクトル)を受けて受光器(PD)16に出射する。受光器16は、その反射光を電気信号cに変換して処理手段17へ出力する。
処理手段17は、受光器16からの電気信号cと、波長可変光源10からの掃引信号a及び電気信号bとに基づいて、FBG15の反射波長の測定を行う。
次に、FBG15の反射スペクトルのS/Nについて説明する。図6(d)、(e)に示すように測定光の出射開始時間をT、出射終了時間をTとすると、このT−T間のパルス状の測定光(光パルスという)が長さLのファイバ14へ入射されたときのレイリー散乱光の強度Pと時刻tとの関係は、(4)式で与えられる。この(4)式から、レイリー散乱光は時間とともに減衰することが分かる。
=(RP/2)[exp{−(αc/n)(t−T)}
−exp{−(αc/n)(t−T)}] (4)
ここで、Pはファイバ14に入射される測定光のT−T間の強度、nはファイバの屈折率、cは真空中の光速である。
FBG15の反射波長(上述した1550nm)をλとし、このλの波長が測定光として出射される時間をTとすると、波長λの測定光が長さLのファイバ14を介してFBG15で反射され、その反射スペクトルが受光器16で検出される時間Tは、(5)式で表される。
=T+2nL/c (5)
そして、受光器16で検出される反射スペクトルの強度Pは(6)式で与えられ、レイリー散乱光の強度Pは、上記(5)式をt=T=T+2nL/cとして(4)式に代入することによって(7)式のように求められる。
=P−2αL (6)
=(RP/2) e−2αL[exp{−(αc/n)( T−T)}
−exp{−(αc/n)( T−T)}] (7)
なお、以上の(4)〜(7)式に基づいて、受光器16で検出される反射スペクトルとレイリー散乱光の関係を示すと、図6(e)のようになる。
したがって、S/Nは(8)式のようになる。この(8)式から、S/Nはファイバ長(L)に依存せず、一定になることが分かる。
S/N=P/P
=2/[R[exp{−(αc/n)( T−T)}
−exp{−(αc/n)( T−T)}]] (8)
(8)式から求められるS/Nの計算値と、それに係わるファイバ長(L)に対する測定値を図11に本発明として示す。この図11から、ファイバ内で発生するレイリー散乱光の影響を低減した結果として、ファイバ長に起因するS/Nの低下を抑止し、ファイバ長が80kmの場合でも20dB以上のS/Nが確保できることが分かる。
ところで、FBG15の反射スペクトルの検出において、ファイバ内で発生するレイリー散乱光の影響を低減するためには、掃引信号a(図6(a))の掃引周期及びパルスd(図6(c))の周期を次のように決める必要がある。すなわち、掃引信号aの掃引周期は、測定光としての光パルス(図6(d)のS)に対するFBG15からの反射光の受光器16での受光時間(図6(e)のT)がこの光パルスのファイバ14への入射の終了(図6(e)のT)後となるような掃引周期にする。また、パルスdの周期は、測定光としての光パルス(図6(d)のS)の次の光パルス(図6(d)のS)のファイバ14への入射時間(図6(e)のTS1)が光パルス(図6(d)のS)に対するFBG15からの反射光の受光器16での受光(図6(e)のT)後となるような周期にする。
次に、図1に示した波長可変光源10の一部を構成するMEMSスキャナ60の反射体35及び反射体駆動手段50について詳述する。反射体35は、図4に示すように、横長矩形で互いに平行に配置された一対の固定基板36、37と、この一対の固定基板36、37の長辺側縁部の中央からこの固定基板36、37と直交する方向に所定幅、所定長さで延設され、その長さ方向に沿って捩じれ変形可能な一対の軸部38、39と、横長矩形で一方の長辺側縁部の中央部で軸部38の先端に連結され、他方の長辺側縁部の中央部で軸部39の先端に連結された反射板40とを有している。この反射板40は、捩じれ変形可能な軸部38、39に中心部が支持されているので、この軸部38、39を結ぶ線を中心軸として固定基板36、37に対して回転することができる。また、軸部38、39と反射板40とからなる部分の固有振動数fは、反射板40自体の形状や質量及び軸部38、39のバネ定数によって決まる。
また、反射板40の一面側には、光を反射するための反射面41が形成されている。この反射面41は、反射板40自体を鏡面仕上げして形成したり、反射率の高い膜(図示しない)を蒸着あるいは接着して形成したりしたものであってもよい。なお、この反射体35は、薄い半導体基板からエッチング処理等により一体的に切り出されたもので、金属膜の蒸着加工により高導電性を有している。
支持基板45は絶縁性を有する材料からなり、その一面側の上部と下部には、前方へ突出する支持台45a、45bが形成されており、反射体35の固定基板36、37は、この上下の支持台45a、45bに接した状態で固定されている。また、支持基板45の一面側中央部の両端には、反射体35の反射板40の両端にそれぞれ対向する電極板46、47がパターン形成されている。この電極板46、47は、後述する駆動信号発生器55とともに反射体駆動手段50(図1参照)を構成するものであり、反射板40の両端部に静電力を交互にかつ周期的に印加して、反射板40を、軸部38、39を結ぶ線を中心に往復回転運動させる。なお、反射板40の回転軸は回折格子3(図1参照)の回折溝と平行となるように設定されている。このように構成された反射体35は、回折格子3からの回折光を反射板40の反射面41で受けて、その反射光を回折格子3へ入射させて、再度回折させる。
一方、反射体駆動手段50(図1参照)の一部を構成する駆動信号発生器55は、例えば図5(a)、(b)に示すように、反射体35の電位を基準として電極板46、47に対して、固有振動数fに対応した周波数(あるいは固有振動数fの近傍の振動数に対応した周波数)を有し、位相が180°ずれた駆動信号Da、Dbを印加して、電極板46と反射板40の一端側との間及び電極板47と反射板40の他端側との間に、交互にかつ周期的に静電力(引力)を与え、反射板40を固有振動数fあるいはその近傍の振動数で所定角度範囲を往復回転させる。また、この駆動信号発生器55は、2つの駆動信号Da、Dbのいずれか一方を掃引信号aとしてパルス発生器11及び処理手段17(図1参照)に出力する。なお、図5では、2つの駆動信号Da、Dbがデューティ比50%の矩形波の場合を示しているが、両信号のデューティ比は50%以下であってもよく、また、波形も矩形波に限らず、正弦波、三角波等であってもよい。
このような反射体35及び反射体駆動手段50によって構成されたMEMSスキャナ60(図1参照)では、反射体35を、一対の固定基板36、37と、その縁部から所定幅で所定長さ延設され、その長さ方向に沿って捩じれ変形可能な軸部38、39と、軸部38、39の先端に自身の縁部で連結され、軸部38、39に対して対称な形状に形成され、一面側に反射面41が形成された反射板40とによって構成するとともに、反射体35の軸部38、39と反射板40とからなる部分の固有振動数fに対応した周波数の駆動信号によって反射板40に力を与えて、反射板40を固有振動数f又はその近傍の振動数で往復回転させている。
このため、僅かな電気エネルギーで反射板40を高速に往復回転させることができ、しかも、その回転中心が反射板40の内部(この場合、中央部)にあるので、反射板40の反射面41への入射光の反射角の変化量を大きくすることができる。なお、軸部38、39のバネ定数は、軸部38、39の長さ、幅、厚み、材質によって決まり、このバネ定数と、反射板40の形状、厚み、材質等で固有振動数fが決定され、これらのパラメータを選ぶことにより、固有振動数fを数100Hz〜数10kHzの範囲内で設定することができる。
したがって、本発明のFBGセンサシステムの波長可変光源10(図1参照)は、上記のような反射体35及び反射体駆動手段50を用いてMEMSスキャナ60を構成するようにしたので、掃引速度の高速化(最大数10kHz)ができる。
なお、上述の図4の説明では、反射体35を導電性の高い材料で構成していたが、反射体35を導電性の低い材料で構成する場合には、反射板40の反射面41と反対面の両側(全面でもよい)に電極板46、47と対向する電極板をそれぞれ設け、更に固定基板36、37の背面側にも電極板を設け、それらの電極板の間をパターン等によって接続する。そして、支持基板45の支持台45a、45bの表面に、固定基板36、37の背面側の電極板と接触する電極板をパターン形成して、その少なくとも一方を基準電位ラインとして上述した駆動信号発生器55に接続すればよい。
また、固定基板36、37の一端側同士の間あるいは両端の間を連結して、固定基板をコの字枠あるいは矩形枠状に形成してもよい。また、反射板40の形状も任意であり、上述の横長矩形の他に、円形、楕円形、長円形、菱形、正方形、多角形等であってもよい。また、高速往復回転時の空気抵抗を減らすために、反射板40の内側に大きな穴あるいは多数の小さな穴を設けてもよい。
また、上述の図4の説明では、反射体35の反射板40の両端にそれぞれ対向する2つの電極板46、47を設けていたが、一方側の電極板(例えば電極板46)だけによって静電力を印加してもよい。また、駆動方式についても、上述の静電力の他に、電磁力によって反射板40を往復回転させてもよい。この場合、例えば、上述の電極板46、47の代わりにコイルを用い、反射板40の両端部に磁性体あるいはコイルを設け、コイル間あるいはコイルと磁性体との間に発生する磁界による吸引力及び反発力によって、反射板40を往復回転させる。
また、上述の静電力や電磁力を反射板40に直接与える方法の他に、超音波振動子等によって上述の固有振動数f又はその近傍の振動を反射体35全体に加えて、その振動を反射板40に伝達させて往復回転させることも可能である。この場合、振動子を支持基板45の背面側や支持台45a、45bの部分に設けることで、その振動を反射板40に効率的に伝達することができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態のFBGセンサシステムの構成を図2に示す。図1に示した第1実施形態では、パルス発生器11から出力されるパルスdで波長可変光源10のLD1の駆動電流をオン/オフして測定信号としての光パルスを発生するようにしたが、第2実施形態では、波長可変光源10と光サーキュレータ13との間に光スイッチ(光SW)12を備え、この光スイッチ12をパルス発生器11から出力されるパルスdでオン/オフすることによって、波長可変光源10の波長掃引された出力光から測定信号としての光パルスを発生するようにした。第1実施形態とは、この点のみ異なり他は同一である。したがって詳細説明は省略する。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態のFBGセンサシステムの構成を図3に示す。図1に示した第1実施形態では、パルス発生器11から出力されるパルスdで波長可変光源10のLD1の駆動電流をオン/オフして測定信号としての光パルスを発生するようにしたが、第3実施形態では、波長可変光源10と光サーキュレータ13との間に光増幅器18を備え、この光増幅器18を通る光の増幅をパルス発生器11から出力されるパルスdでオン/オフすることによって、波長可変光源10の波長掃引された出力光から測定信号としての光パルスを発生するようにした。第1実施形態とは、この点のみ異なり他は同一である。したがって詳細説明は省略する。
なお、上述の第1〜3実施形態では、高速波長掃引の可能な波長可変光源10として、LD1、回折格子3、MEMSスキャナ60を組み合わせた外部共振器型の光源について説明したが、これに限定されるわけではなく、例えば、LD、単一キャビティ型波長可変バンドパスフィルタ、反射ミラを組み合わせた外部共振器型の光源における、その単一キャビティ型波長可変バンドパスフィルタの透過波長を可変するための印加電圧を高速掃引することによって波長掃引を行うようにした光源であってもよい(例えば特開2005−37762号公報参照)。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態のFBGセンサシステムの構成を図7に示す。第1〜3実施形態ではFBGを1個として説明してきたが、第1〜3実施形態において、図7に示すように、複数個のFBG15a〜15dをファイバ14a〜14dを用いて所定距離間隔で直列につないだ構成としてもよいことは言うまでもない(なお図7は、図1〜3における光サーキュレータ13、PD16、ファイバ14、FBG15の部分のみを抜き出して図示したものである)。この場合には、各FBGの反射波長が異なるように構成すれば、どのFBGからの反射波長であるかを特定することができる。
このような複数個のFBGを有する実施形態における、反射スペクトルとレイリー散乱光の関係図の一例を、図8に示す。これは、前述した図6(e)に対応するものであり、4つの反射スペクトル70a〜70dを有している。
反射スペクトル70aは、ファイバ14aの入射部14inからFBGまでが近距離(例えば、入射部14inからFBG15aまで1km)である場合の反射スペクトルである。入射部14inからFBG15aまでが近距離であるため、測定光である光パルスSの入射中に反射光を受光することとなっている。反射スペクトル70b、70c、70dは、それぞれ所定距離間隔(例えば、入射部14inから20km、40km、60km)で直列につないだFBG15b、15c、15dからの反射スペクトルである。
このような構成においては、掃引信号aの掃引周期は、測定光としての光パルス(図6(d)のS)に対するFBG15dからの反射光の受光器16での受光時間(図8のT)がこの光パルスのファイバ14aへの入射の終了(図8のT)後となるような掃引周期にする。また、パルスdの周期は、測定光としての光パルス(図6(d)のS)の次の光パルス(図6(d)のS)のファイバ14aへの入射時間(図8のTS1)が光パルス(図6(d)のS)に対するFBG15dからの反射光の受光器16での受光(図8のT)後となるような周期にする。つまり、ファイバ14aの入射部14inから最も遠い場所に位置するFBG15dからの反射光の受光時間Tを基準として、掃引信号aの掃引周期とパルスdの周期とを定めればよい。
なお、本発明はこれに限定されるものではない。実質的に最遠のFBGからの反射光の受光時間Tを基準とすればよい。例えば、図9に示す例では、実際にはセンサとして使用しないダミーとしてのFBG15dummyをFBG15d以降にさらに設け、FBG15dummyからの反射スペクトル70dummyを受光する前に次の光パルスSをファイバ14aに入射している。つまり、最遠のFBG15dummyの1つ手前のFBG15d(つまり最遠でないFBG)からの反射光の受光時間Tを基準として掃引信号aの掃引周期とパルスdの周期とを定めている。このような実施形態であっても、センサとして動作するFBG15dが実質的に最遠のFBGであり、本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の第1実施形態の構成を示す図 本発明の第2実施形態の構成を示す図 本発明の第3実施形態の構成を示す図 MEMSスキャナを説明するための分解斜視図 駆動信号を説明するための図 本発明の測定光と反射スペクトルの関係を説明するための図 本発明の第4実施形態の構成を示す図 本発明の測定光と反射スペクトルの関係を説明するための図 本発明の測定光と反射スペクトルの関係を説明するための図 従来の測定光を説明するための図 ファイバ長とS/Nの関係を説明するための図 従来例の概略構成を示す図
符号の説明
1・・・半導体レーザ(LD)、2・・・コリメートレンズ、3・・・回折格子、4・・・光共振器、5,16・・・受光器(PD)、10・・・波長可変光源、11・・・パルス発生器、12・・・光スイッチ(光SW)、13・・・光サーキュレータ、14・・・ファイバ、15・・・FBG、17・・・処理手段、18・・・光増幅器、35・・・反射体、36,37・・・固定基板、38,39・・・軸部、40・・・反射板、41・・・反射面、45・・・支持基板、45a,45b・・・支持台、46,47・・・電極板、50・・・反射体駆動手段、55・・・駆動信号発生器、60・・・MEMSスキャナ、70・・・反射スペクトル

Claims (5)

  1. ファイバ(14)を介して測定対象に設けられた各々の反射波長が異なる複数のFBG(15)に当該複数のFBGの反射波長を含む所定の波長範囲の光を測定光として前記ファイバの一方端から入射し、前記ファイバの前記一方端から出射される該測定光の反射光から当該FBGの反射波長を測定するFBGセンサシステムにおいて、
    前記所定の波長範囲の光を含んで所定の掃引周期で波長掃引された光を半導体レーザ(1)で発振させることを可能にさせた波長可変光源(10)と、
    該波長可変光源から出力される前記波長掃引を行うための掃引信号を受け、該掃引信号に基づいて、前記波長可変光源で発振される前記所定の波長範囲の光を前記測定光として前記FBGに入射させるための所定の周期のパルスを発生させるパルス発生器(11)と、
    前記FBGに入射された前記測定光の該FBGからの反射光を受けて電気信号に変換する受光器(16)と、
    該受光器から出力される前記電気信号に基づいて前記FBGの反射波長を測定する処理手段(17)とを備え、
    前記パルスで前記波長可変光源の前記半導体レーザの駆動電流をオン/オフさせることによって、前記所定の波長範囲の光でなる1つの光パルスを発生させ、該光パルスを前記測定光として前記ファイバに入射させるようにし、かつ、
    前記波長可変光源の前記波長掃引を行うための掃引信号の前記所定の掃引周期は、前記測定光としての前記光パルスに対する前記FBGからの反射光の前記受光器での受光時間が該光パルスの前記ファイバへの入射の終了後となるような掃引周期であり、さらに、
    前記パルスの前記所定の周期は、前記測定光としての前記光パルスの次の光パルスの前記ファイバへの入射時間が前記光パルスに対する前記FBGからの反射光の前記受光器での受光後となるような周期であり、
    前記ファイバ内で発生するレイリー散乱光の影響を低減してファイバ長に起因するS/Nの低下を抑止することを特徴とするFBGセンサシステム。
  2. ファイバ(14)を介して測定対象に設けられた各々の反射波長が異なる複数のFBG(15)に当該複数のFBGの反射波長を含む所定の波長範囲の光を測定光として前記ファイバの一方端から入射し、前記ファイバの前記一方端から出射される該測定光の反射光から当該FBGの反射波長を測定するFBGセンサシステムにおいて、
    前記所定の波長範囲の光を含んで所定の掃引周期で波長掃引された光を半導体レーザ(1)で発振させる波長可変光源(10)と、
    該波長可変光源から出射されて前記FBGに入射される光をオン/オフする光スイッチ(12)と、
    前記波長可変光源から出力される前記波長掃引を行うための掃引信号を受け、該掃引信号に基づいて、前記波長可変光源で発振される前記所定の波長範囲の光を前記測定光として前記FBGに入射させるための所定の周期のパルスを発生させるパルス発生器(11)と、
    前記FBGに入射された前記測定光の該FBGからの反射光を受けて電気信号に変換する受光器(16)と、
    該受光器から出力される前記電気信号に基づいて前記FBGの反射波長を測定する処理手段(17)とを備え、
    前記パルスで前記光スイッチをオン/オフさせることによって、前記所定の波長範囲の光でなる1つの光パルスを発生させ、該光パルスを前記測定光として前記ファイバに入射させるようにし、かつ、
    前記波長可変光源の前記波長掃引を行うための掃引信号の前記所定の掃引周期は、前記測定光としての前記光パルスに対する前記FBGからの反射光の前記受光器での受光時間が該光パルスの前記ファイバへの入射の終了後となるような掃引周期であり、さらに、
    前記パルスの前記所定の周期は、前記測定光としての前記光パルスの次の光パルスの前記ファイバへの入射時間が前記光パルスに対する前記FBGからの反射光の前記受光器での受光後となるような周期であり、
    前記ファイバ内で発生するレイリー散乱光の影響を低減してファイバ長に起因するS/Nの低下を抑止することを特徴とするFBGセンサシステム。
  3. ファイバ(14)を介して測定対象に設けられた各々の反射波長が異なる複数のFBG(15)に当該複数のFBGの反射波長を含む所定の波長範囲の光を測定光として前記ファイバの一方端から入射し、前記ファイバの前記一方端から出射される該測定光の反射光から当該FBGの反射波長を測定するFBGセンサシステムにおいて、
    前記所定の波長範囲の光を含んで所定の掃引周期で波長掃引された光を半導体レーザ(1)で発振させる波長可変光源(10)と、
    該波長可変光源から出射されて前記FBGに入射される光の増幅をオン/オフする光増幅器(18)と、
    前記波長可変光源から出力される前記波長掃引を行うための掃引信号を受け、該掃引信号に基づいて、前記波長可変光源で発振される前記所定の波長範囲の光を前記測定光として前記FBGに入射させるための所定の周期のパルスを発生させるパルス発生器(11)と、
    前記FBGに入射された前記測定光の該FBGからの反射光を受けて電気信号に変換する受光器(16)と、
    該受光器から出力される前記電気信号に基づいて前記FBGの反射波長を測定する処理手段(17)とを備え、
    前記パルスで前記光増幅器をオン/オフさせることによって、前記所定の波長範囲の光でなる1つの光パルスを発生させ、該光パルスを前記測定光として前記ファイバに入射させるようにし、かつ、
    前記波長可変光源の前記波長掃引を行うための掃引信号の前記所定の掃引周期は、前記測定光としての前記光パルスに対する前記FBGからの反射光の前記受光器での受光時間が該光パルスの前記ファイバへの入射の終了後となるような掃引周期であり、さらに、
    前記パルスの前記所定の周期は、前記測定光としての前記光パルスの次の光パルスの前記ファイバへの入射時間が前記光パルスに対する前記FBGからの反射光の前記受光器での受光後となるような周期であり、
    前記ファイバ内で発生するレイリー散乱光の影響を低減してファイバ長に起因するS/Nの低下を抑止することを特徴とするFBGセンサシステム。
  4. 前記波長可変光源は、
    一方のレーザ光出射端面がARコートされている前記半導体レーザ(1)と、
    該半導体レーザのARコートされている端面から出射された光をコリメートするコリメートレンズ(2)と、
    該コリメートレンズから出射されたコリメート光を受けて波長に応じた角度で回折させる回折格子(3)と、
    反射体(35)と反射体駆動手段(50)とを含んで構成され、前記回折格子から入射される前記コリメート光に対する回折光が、前記反射体の反射面で該回折格子へ反射されて、再び該回折格子で回折され、それによって得られた回折光が前記コリメートレンズを介して前記半導体レーザに入射されるとき、該半導体レーザに入射される回折光が所望の波長の光となるようにするとともに、該所望の波長が前記所定の波長範囲を含んで往復掃引されるように前記反射体の反射面の角度を前記反射体駆動手段により前記所定の掃引周期で繰り返し変化させるMEMSスキャナ(60)とを備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のFBGセンサシステム。
  5. 前記MEMSスキャナの反射体は、
    固定基板(36、37)と、
    該固定基板の縁部から所定幅で所定長さ延設され、その長さ方向に沿って捩じれ変形可能な軸部(38、39)と、
    該軸部の先端に自身の縁部で連結されて形成され、一面側に前記回折格子からの回折光を反射させるための前記反射面が設けられた反射板(40)とを有しており、かつ、
    前記MEMSスキャナの反射体駆動手段は、
    前記反射体の軸部と反射板とからなる部分の固有振動数に対応した周波数の駆動信号によって前記反射板に力を与えて、該反射板を前記固有振動数又はそれに近い振動数の前記所定の掃引周期で往復回転させるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のFBGセンサシステム。
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