JP5377941B2 - 衛生用薄葉紙包装体及び衛生用薄葉紙包装体用の外装フィルム製造方法 - Google Patents
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ローションティシューは、需用者において一般のティシューと比較して高級品として認識されていることから、これを内包したポケットティシューでは、外観等についても高級感のあるものとすることが行われる。
そのような高級感のある外観とすり方法としては、例えば、ティシュペーパー束を包む外装フィルムとして、梨地フィルムを用いることが行われる。
この梨地フィルムは、微細なエンボス加工を施して表面を粗面化したつや消し半透明の外観をなし、これを使用することで製品は独特な手触り感と磨りガラス様の上品な外観となる。
そして、その際に特に梨地フィルムの外装であると、表面の粗面化によって印刷が剥げやすいこともあり、印刷が剥げて見栄えが悪化したり、鞄やポケットにその剥げたインキが付着して鞄などを汚すことがある。
また、ポケットティシューは、座布団様の偏平形状をなし、その一方面の中央部に長手方向全長にわたるスリット状の取出口が形成された形状をなしているのが一般的形状であるが、梨地フィルムは、表面の粗面化によってコシが低くなっているために、開封後にスリット状開封部が閉じた形状を維持し難く、バッグ内やポケット内でもまれているうちに、開封口から内部のティシュペーパーが外に出てきてしまうことがあった。特に、この現象は、残存するティシュペーパーの枚数が少なくなったときに顕著であった。
しかしながら、ドライラミネート法は酢酸エチル等の溶剤を含有する接着剤をフィルム同士の接着に用いるために、この溶剤の残存分が積層フィルムから経時的に発散して包装体自体から或いは内包する薄葉紙に移って、使用時に不快な臭いが感じられることがあった。さらには人体へ悪影響を及ぼすおそれもあった。
そして、このような溶剤等による臭気などの問題点は、特にティシュペーパーが主に鼻をかむことに利用されることから、使用者が気になるところであり、また、もちろん通常のポケットティシューでもそうであるが、特にローションティシューを内包して梨地フィルムの意匠に起因する高級感を付与した比較的価格の高い製品においては、需用者における品質要求が高く改善が求められるところであった。
そこで、本発明の主たる課題は、バッグや被服のポケット等にいれて持ち運んでも、印刷が剥げる等の外観の悪化の問題がなく、また、開封後において内包される衛生薄葉紙が開封口から意図せずに飛びでることがなく、さらに外装フィルムの臭気等の問題点を改善した衛生薄葉紙包装体及びこれに用いる外装フィルムの製造方法を提供することにある。
前記外装フィルムは、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム又はポリイミド樹脂フィルムの少なくとも一方面が粗面化処理された梨地フィルムと、その粗面化処理された面に形成された印刷層と、その印刷層を被覆する梨地処理されていない透明フィルムと、が積層された積層フィルムであり、
前記透明フィルムが、衛生薄葉紙に面して包装されている、
ことを特徴とする衛生薄葉紙包装体である。
この本発明によれば、印刷層が梨地フィルムと透明フィルムとの間に位置しているので、印刷が剥がれることがない。
なお、梨地フィルムはヘイズ値が20〜100%、透明フィルムはヘイズ値が0.1〜20%であるのが望ましい。
この範囲であると梨地フィルムが磨りガラス様の乳白色、半透明の意匠性に優れた外観となる。
フィルムのコシが確実に発現して、取出口のスリット形状がいっそう維持されやすくなる。
梨地フィルムと透明フィルムとの積層が、押し出し成形法によって形成される樹脂層のよってなされている本発明は、ドライラミネート法による接着剤層によって梨地フィルムと透明フィルムとの積層されている従来の積層フィルムと比較して、人体に害を与えるおそれがありまた嫌悪感を与える臭気成分が格段に低減されている。
これは、ドライラミネート法による接着剤層を有する従来積層フィルムは、接着剤層形成に用いる接着剤中に酢酸エチルに代表される溶剤を含有するため、この接着剤中に含まれる溶剤が積層フィルムとされたのちにも経時的に発散するのに対して、接着剤を用いずに溶融樹脂から直接的に樹脂層が形成される本発明ではこのような溶剤の発散がないからである。
他方、前記透明樹脂層は特に低臭樹脂により形成されているのが望ましい。低臭樹脂は、例えば、臭気成分を吸着等するゼオライト等の他孔性物質を樹脂中に練りこんだものなど、臭気成分の発散の抑制或いは吸着性能を発揮するもの、或いは揮発成分含有量が1%未満のものである。
他方、外装フィルムの地の部分のヘイズ値が20〜100%であるのが望ましい。外装フィルム全体として梨地フィルムに起因する高級感が発現されたものとなる。
少なくとも一方面が粗面化処理され、その粗面化処理された面に印刷層が形成された梨地フィルムと、前記印刷層を被覆する透明フィルムとを、押し出しラミネート法によって透明溶融樹脂を介して積層一体化することにより製造される。
この方法では、溶剤を含有する接着剤を用いないために形成される溶剤の発散のおそれがない外装フィルムが製造できる。
さらに、前記梨地フィルムの厚さが20〜70μmであり、前記透明フィルムの厚さが10〜50μmであるのが望ましく、透明溶融樹脂がポリエチレン樹脂であるのが望ましい。さらには、前記透明溶融樹脂が低臭樹脂であるのが望ましい。
図1は、本発明にかかるポケットティシュー1の斜視図である。図2は、その外装フィルム10の断面を示す概略図である。図3は、外装フィルム10の断面のより詳細な例を示す概略図である。
図1に示されるように、本形態のポケットティシュー1は、折り畳まれたティシュペーパーが複数枚積層された束20を、外装フィルム10によって包装したものである。
また、ティシュペーパーの原料パルプは、特に限定されない。例えば、NBKPとLBKPとを配合したものが好ましい。適宜古紙パルプが配合されていてもよいが、風合いなどの点で、NBKPとLBKPのみから構成されているのがよく、その場合、配合割合としては、NBKP:LBKP=30:70〜50:50がよく、特に、NBKP:LBKP=40:60が望ましい。
ティシュペーパー自体の製造は、公知の抄紙工程、具体的には、ワイヤパート、プレスパート、ドライヤパート、サイズプレス、カレンダパート等を経るなどして製造すればよい。本発明において限定するところはない。
他方、上記ティシュペーパーの好適な米坪は、プライ構造に関係なく全体として20〜80g/m2、好ましくは26〜40g/m2である。なお、ここでの米坪は、JIS P 8124の米坪測定方法によるものをいう。
このローションティシューは、高級品として認識されており、外装フィルムを高級感のあるものとする意義が高い。また、ローションティシューは、一般のティシュペーパーと比較して、柔らかくコシがないために、擦れによる毛羽立ちが発生しやすいとともに開封口から飛び出しやすい傾向にある。従って、本発明における毛羽立ち防止効果や飛び出し防止効果といった本発明の効果は、このローションティシューを採用した場合によりいっそう顕著となる。
その他、ティシュペーパーの水解性等、他の性質に関しては適宜の設計事項であり本発明においては限定されない。
この折り畳み形状を一応例示すると、まず方形のティシュペーパーの対向する両縁を折り返して外三つ折り形状にした後、さらにその縁を外側に折り返してジグザグ折りとし、さらにその折り返し縁に直行する方向で二つ折りにした形状である。
他方、上述のとおり本形態のポケットティシュー1におけるティシュペーパーの枚数が限定されないが、一般的には6枚、8枚、10枚程度である。
他方、本発明にかかるポケットティシューの包装方法は、上記ティシュペーパー束20を、外装フィルム20でその縁が一部重なり合うように巻き包み、次いで両端開口部をヒートシール、超音波シール等の融着し処理して封止する(図1においてヒートシール部分は符号2で示す)。
他方、梨地フィルム11に対する印刷は、従来の梨地フィルムに対する印刷技術が使用できる。印刷により形成する模様、柄、文字等は特に限定されない。適宜の模様等を印刷すればよい。
この透明フィルム13は、梨地フィルムの外観を阻害しないようにヘイズ値が0.1〜20%の範囲のものとするのが望ましく、さらにフィルム全体としてのコシを発現させるために、厚さとして10〜50μmであるのが望ましい。
また、透明フィルム13は、少なくともティシュペーパー束20に接する面は、粗面化処理などされていない平滑度の高い状態とする。梨地フィルムを採用しない一般的なポケットティシューに採用されるフィルムと同程度の平滑度があればよい。
この透明樹脂層14を介して接着されている外装フィルム10は、押し出しラミネート法によって形成することができる。より具体的には、Tダイ法溶融押出成型設備を用いて、梨地フィルム11の印刷層12形成面若しくは透明フィルム13上に溶融樹脂を溶出した後或いは溶出しつつ両フィルム11,13を積層一体化する押し出しラミネート法によって形成することができる。その他、梨地フィルム11の印刷層12形成面に共押出しによって透明樹脂層14と透明フィルム層11とを同時に形成することもできる。
ここで、上記透明樹脂層14は、既知の透明樹脂を用いて形成することができるが、透明ポリエチレン樹脂、透明ポリプロピレン樹脂であるのが望ましく、特に透明ポリエチレン樹脂であるのが望ましい。
低臭樹脂は、樹脂中に含まれる揮発性有機成分量が極めて少なくなるように設計された樹脂である。ここで、本発明においては、少なくとも揮発性有機物質の含有量が1%未満の樹脂は本発明では低臭樹脂とする。
なお、外装フィルム10の地の部分のヘイズ値は、上記梨地フィルムのヘイズ値により磨りガラス様の高級感が発現するように、梨地フィルムと同様に20〜100%であるのが望ましい。上述のヘイズ値の梨地フィルム及び透明フィルムを用いれば、通常は外装フィルムはこのヘイズ値になる。ここで、地の部分とは、印刷による模様等がない部分を意味する。
本発明の外装フィルムである実施例1及び2と、本発明の外装フィルムではない比較例1及び2とについて臭気の感じ方について官能試験を行なった。
実施例1は、梨地ポリエチレンフィルム/通常のポリエチレン樹脂/ポリエチレンフィルムの構造であって押し出しラミネート法によって作成したものである。
実施例2は、梨地ポリエチレンフィルム/低臭のポリエチレン樹脂/ポリエチレンフィルムの構造であって押し出しラミネート法によって作成したものである。
比較例1は、表面マット印刷加工ポリプロピレンフィルムとポリプロピレンフィルムをドライラミネート法によって積層したものである。
比較例2は、表面印刷ポリエチレン樹脂とマットコートフィルムをドライラミネート法によって積層したものである。
Claims (12)
- 折り畳まれた複数枚の衛生薄葉紙が積層されて外装フィルムによって包装されている、少なくとも一方面にスリット状の取出口部又は取出口形成部を有する衛生薄葉紙包装体であって、
前記外装フィルムは、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム又はポリイミド樹脂フィルムの少なくとも一方面が粗面化処理された梨地フィルムと、その粗面化処理された面に形成された印刷層と、その印刷層を被覆する梨地処理されていない透明フィルムと、が積層された積層フィルムであり、
前記透明フィルムが、衛生薄葉紙に面して包装されている、
ことを特徴とする衛生薄葉紙包装体。 - 前記梨地フィルムのヘイズ値が20〜100%、透明フィルムのヘイズ値が0.1〜20%である請求項1記載の衛生薄葉紙包装体。
- 前記梨地フィルムの厚さが20〜70μmであり、前記透明フィルムの厚さが10〜50μmである請求項1記載の衛生薄葉紙包装体。
- 印刷層が形成された梨地フィルムと透明フィルムとが透明樹脂層を介して積層接着されている請求項1〜3の何れか1項に記載の衛生薄葉紙包装体。
- 前記透明樹脂層がポリエチレン樹脂により形成されている請求項4記載の衛生薄葉紙包装体。
- 前記透明樹脂層が低臭樹脂により形成されている請求項4又は5記載の衛生薄葉紙包装体。
- 外装フィルムの地の部分のヘイズ値が20〜100%である請求項1〜5記載の衛生薄葉紙包装体。
- 折り畳まれた複数枚の衛生薄葉紙が積層されて外装フィルムによって包装されている、少なくとも一方面にスリット状の取出口部又は取出口形成部を有する衛生薄葉紙包装体における前記外装フィルムの製造方法であって、
ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム又はポリイミド樹脂フィルムの少なくとも一方面が粗面化処理され、その粗面化処理された面に印刷層が形成された梨地フィルムと、前記印刷層を被覆する透明フィルムとを、押し出しラミネート法によって透明溶融樹脂を介して積層一体化することを特徴とする衛生用薄葉紙包装体用の外装フィルム製造方法。 - 前記梨地フィルムのヘイズ値が20〜100%、透明フィルムのヘイズ値が0.1〜20%である請求項8記載の衛生用薄葉紙包装体用の外装フィルム製造方法。
- 前記梨地フィルムの厚さが20〜70μmであり、前記透明フィルムの厚さが10〜50μmである請求項8記載の衛生用薄葉紙包装体用の外装フィルム製造方法。
- 前記透明溶融樹脂がポリエチレン樹脂である請求項8記載の衛生用薄葉紙包装体用の外装フィルム製造方法。
- 前記透明溶融樹脂が低臭樹脂である請求項8記載の衛生用薄葉紙包装体用の外装フィルム製造方法。
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