以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。尚、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」や「右」などの方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、何ら本発明を限定するものではない。また、以下の説明において、「シート」との用語は、コピー用紙、コート紙、OHPシート、厚紙、葉書、トレーシングペーパや画像形成処理を受ける他のシート材料を意味する。以下の説明で用いられる「上流」、「下流」及びこれらに類する用語は、シートの搬送方向における「上流」、「下流」及びこれらに類する概念を意味する。「シートの幅方向」との用語は、シートの搬送方向に直交する方向を意味する。
図1は、本発明の一実施形態に係る駆動機構の原理を説明する斜視図である。尚、後述されるように、以下に説明される駆動機構の原理は、画像形成処理を行う画像形成装置や他の所定の処理を行う装置に好適に適用される。
駆動機構800Aは、筐体820Aと、筐体820Aに支持されるシャフト827Aとを含む。駆動機構800Aは更に、シャフト827Aの先端部に回転可能に支持される第1ギア834Aと、第1ギア834Aに隣接して、シャフト827Aに回転可能に支持される第2ギア839Aとを含む。本実施形態において、第2ギア839Aは、モータといった駆動源(図示せず)が発生させた駆動力が入力される入力要素として用いられる。また、第1ギア834Aは、第2ギア839Aに入力された駆動力を出力する出力要素として用いられる。尚、本実施形態として、入力要素及び出力要素としてギア要素が用いられているが、他の実施形態において、駆動源(例えば、モータやエンジン)からの駆動力を入出力可能な他の要素(例えば、カム構造体やプーリ)が用いられてもよい。
第1ギア834Aは、シャフト827Aの先端部に留まるように取り付けられる一方で、第2ギア839Aは、シャフト827Aに案内され、第1ギア834Aに近接する第1位置と第1ギア834Aから離間する第2位置との間で移動可能である。駆動機構800Aは、第2ギア839Aと筐体820Aとの間に、シャフト827Aを取り巻くコイルバネ930Aを更に含む。コイルバネ930Aは、第2位置に存する或いは第2位置に向けて移動する第2ギア839Aによって圧縮され、弾撥力を生じさせる。かくして、コイルバネ930Aは、第1ギア834Aから離間した第2ギア839Aを第1ギア834Aに向けて付勢する付勢部材として用いられる。第2ギア839Aが第1位置にあるとき、コイルバネ930Aは自由長であり、第2ギア839Aに力を加えない。本実施形態において、付勢部材として、コイルバネ930Aが用いられているが、他の実施形態において、第1位置に存する第2ギア839Aに力を加えず、第2位置に存する第2ギア839Aを第1ギア834Aに向かわせる力を与える任意の部材が付勢部材として用いられてもよい。
駆動機構800Aは、第1ギア834Aと第2ギア839Aとの間で構築されるラチェット機構900Aを含む。ラチェット機構900Aは、第1位置に存する第2ギア839Aと第1ギア834Aとを連結させ、第2ギア839Aに入力された駆動力を第1ギア834Aへ伝達させる。本実施形態において、駆動力が入力された第2ギア839Aは、図1中、矢印で示されるように、第1ギア834Aに対向する第2ギア839Aの面が時計回りに回転する。以下の説明において、図1中、駆動力が入力された第2ギア839Aの回転方向は、第1回転方向と便宜的に称される。第1回転方向と逆方向の回転方向は、第2回転方向と便宜的に称される。第1回転方向及び第2回転方向との用語は、第1ギア834Aやコイルバネ930Aといった他の要素の回転方向或いは周回方向に対しても適用される。尚、他の実施形態において、図1に示される矢印と反対方向の回転方向が第1回転方向とされてもよい。
図2は、ラチェット機構900Aの概略的な部分展開図である。図2(a)は、第2ギア839Aが第1回転方向に回転するときのラチェット機構900Aを示す。図2(b)は、第1ギア834Aが第1回転方向に回転するときのラチェット機構900Aを示す。図2と併せて、図1を参照しつつ、ラチェット機構900Aが更に説明される。
ラチェット機構900Aは、第1ギア834Aから第2ギア839Aに向けて突出する環状の第1ラチェット環910Aと、第2ギア839Aから第1ギア834Aに向けて突出する環状の第2ラチェット環920Aとを含む。第1ラチェット環910Aの先端縁及び第2ラチェット環920Aの先端縁は互いに相補的な鋸刃形状をなす。第1ラチェット環910Aは、複数の略三角板状の第1ラチェット歯911Aを円環状に整列してなる。第2ラチェット環920Aは、第1ラチェット環910Aと同様に、複数の略三角板状の第2ラチェット歯921Aを円環状に整列してなる。第1ラチェット歯911Aは、第1位置と第2位置との間での第2ギア839Aの移動方向(即ち、シャフト827Aの延出方向)に沿って延びる第1伝達縁912Aと、第1伝達縁912Aに対して傾斜した第1案内縁913Aとを含む。同様に、第2ラチェット歯921Aは、第1位置と第2位置との間での第2ギア839Aの移動方向(即ち、シャフト827の延出方向)に沿って延びる第2伝達縁922Aと、第2伝達縁922Aに対して傾斜した第2案内縁923Aとを含む。
駆動力の入力を受けた第2ギア839Aが、第1回転方向に回転するとき、第1ラチェット環910A(第1ラチェット歯911A)と第2ラチェット環(第2ラチェット歯921A)は互いに噛み合う。第1ラチェット環910Aと第2ラチェット環920Aが互いに噛み合っている間、第1伝達縁912Aは第2伝達縁922Aに対向する。また、第1案内縁913Aは第2案内縁923Aに対向する。
駆動力の入力を受けた第2ギア839Aが、第1回転方向に回転するとき、第2ラチェット環920Aの第2伝達縁922Aは、第1伝達縁912Aに圧接される。第2伝達縁922Aは、駆動力を、第1伝達縁912Aを介して、第1ギア834Aへ伝達する。結果として、第1ギア834Aは、第2ギア839Aと一体的に回転する。
一方、駆動機構800Aが駆動源からの駆動力を受けていない間、第1ギア834Aが外力を受け、第1回転方向に回転しようとすると、第1案内縁913は、第1ギア834Aに加えられた外力を、第2案内縁923を通じて、第1ギア834から離間する第2位置へ向かう力として伝達する。かくして、第1ラチェット環910が、第1案内縁913を第2案内縁923上で摺動させつつ移動している間、第2ギア839は第2位置に向けて移動し、第1ギア834Aから離間する。
図3は、シャフト827Aを巻回するコイルバネ930Aの拡大斜視図である。図3と併せて、図1を参照しつつ、コイルバネ930Aが説明される。
コイルバネ930Aは、筐体820Aに近接する基端部931Aと、第2ギア839Aに近接する先端部932Aとを含む。図3に明瞭に示される如く、コイルバネ930Aを形成する線材は、シャフト827Aを第1回転方向に螺旋状に取り巻きながら、基端部931Aから先端部932Aに向けて延びる。かくして、第2ギア839Aが回転している間、コイルバネ930Aを構成する線材の端部に過度に大きな力が加わらず、筐体820A及び/又は第2ギア839Aと基端部931A及び/又は先端部932Aとの間での異音の発生が抑制されることとなる。
図4は、第2ギア839Aの周面の概略的な部分展開図である。図4と併せて、図1を参照しつつ、第2ギア839Aが説明される。
本実施形態において、第2ギア839Aにはヘリカルギアが好適に用いられる。第2ギア839Aの歯の向きは、第2ギア839Aが第1回転方向に回転する間、第1ギア834Aに向かう方向のスラスト力Ftが生ずるように決定される。例えば、コイルバネ930A側に存する第2ギア839Aの歯840Aの第1端部841Aは、第1回転方向において、第1ギア834A側に存する第2ギア839Aの歯840Aの第2端部842Aより先行するように、第2ギア839Aの歯840Aが設計されてもよい。
図5は、図1乃至図4に関連して説明された駆動機構を用いて動作する画像形成装置を概略的に示す。尚、図5に示される画像形成装置は、複写機であるが、他の実施形態において、プリンタ、ファクシミリ、これらの機能を備える複合機やシートに画像を形成可能な他の装置であってもよい。また、図1乃至図4に関連して説明された駆動機構の原理は、画像形成処理以外の所定の処理を行う任意の装置にも適用可能である。
画像形成装置100は、トナー画像を形成するのに必要とされる機器を収容する主筐体110と、主筐体110の上面に配設される原稿送り装置120とを含む。主筐体110は、下部筐体111と、下部筐体111の上方に配設される上部筐体112と、下部筐体111と上部筐体112との間に配設される連結筐体113とを含む。下部筐体111、上部筐体112及び連結筐体113に取り囲まれてなる空間Rには、印刷処理がなされたシートSが排出される。
上部筐体112は、主に、トナー画像の基となる原稿を読み取るための機器を収容する。下部筐体111は、トナー画像を形成するための機器を収容する。連結筐体113は、トナー画像が形成されたシートSを排出するための機器を収容する。主筐体110の外面には、画像形成装置100を操作するための操作パネル(図示せず)が配設される。使用者は、操作パネルを通じて、画像形成装置100に所望の指示を与える。
原稿送り装置120は、上下に回動するように主筐体110に取り付けられる。使用者は、原稿送り装置120に所望の原稿を設置する。その後、操作パネルを操作し、原稿送り装置120を動作させ、原稿送り装置120の下面と主筐体110の上面との間に送り込むことができる。代替的に、使用者は、原稿送り装置120を上方に回動させ、主筐体110の上面に原稿を載置し、その後、原稿送り装置120を下方に回動させることで、原稿を主筐体110の上面と原稿送り装置120の下面との間に配設することができる。
上部筐体112内には、主筐体110の上面と原稿送り装置120の下面との間に配設された原稿を走査して読み取る走査機構113が構築される。走査機構113は、光学的に原稿に付された像を走査して読み取る。その後、走査機構113は、読み取った像をデジタル信号として出力する。
下部筐体111内には、走査機構113から出力されたデジタル信号に基づくトナー画像が形成されるシートSを収容するカセット210が配設される。カセット210は、リフト板211と、リフト板211の下流端(図5中、右端)をカセット210内で上下に回動させるための昇降機構212とを含む。使用者は、複数のシートが積層されてなるシートSの束をリフト板211上に載置する。リフト板211の下流端が昇降機構212によって押し上げられることにより、カセット210からシートが搬送されることとなる。
下部筐体111の左側板には、手差しトレイ220が回動可能に取り付けられる。使用者は、下部筐体111の左側板から突出するように回動された手差しトレイ220にシートSを載置してもよい。手差しトレイ220上のシートは、下部筐体111内に引き込まれ、その後、トナー画像の形成処理がなされることとなる。
カセット210及び手差しトレイ220は、シートSの供給源として用いられる。使用者は、操作パネルの操作を通じて、所望の大きさのシートSを収容するカセット210或いは手差しトレイ220を選択することができる。選択されたシート供給源210,220に配設されたシートSは、下部筐体111内で搬送され、画像形成処理を受けることとなる。
リフト板211の上方には、ピックアップローラ311が配設される。昇降機構212がリフト板211の下流端を上昇させると、リフト板211上のシートSはピックアップローラ311に接触する。ピックアップローラ311は、シートSをカセット外へ送り出すように回転する。
ピックアップローラ311の下流には、給紙ローラ312及び給紙ローラ312に近接して配設される捌きローラ313が配設される。給紙ローラ312は捌きローラ313の上側に配設される。ピックアップローラ311によってカセット210から送り出されたシートSは、給紙ローラ312と捌きローラ313との間に送り込まれる。給紙ローラ312は、シートSを更に下流に送り出すように回転し、捌きローラ313は逆に、シートSをカセット210へ戻すように回転する。この結果、ピックアップローラ311が複数枚重なったシートSをカセット210から送り出したとき、給紙ローラ312と接触するシートS(最も上側に存するシート)のみが下流に送られ、他のシートSはカセット210に戻されることとなる。かくして、シートSは1枚ずつ下流へ送り込まれることとなる。
手差しトレイ220の基端部付近に、給紙ローラ316及び給紙ローラ316に圧接される捌きローラ317が配設される。手差しトレイ220上に載置されたシートSは、給紙ローラ316によって下部筐体111内に引き込まれる。給紙ローラ316によって下部筐体111内に引き込まれるシートSは、給紙ローラ316と捌きローラ317との間を通過する。給紙ローラ316が複数枚のシートを下部筐体111内に引き込もうとするとき、捌きローラ313は逆に、シートSを手差しトレイ220へ戻すように回転する。この結果、給紙ローラ316と接触するシートS(最も上側に存するシート)のみが下部筐体111内に引き込まれることとなる。かくして、手差しトレイ220からシートSが1枚ずつ下部筐体111内に送り込まれることとなる。
上述の如く、カセット210又は手差しトレイ220から送り出されたシートSは、レジストローラ対318へ向かう。レジストローラ対318の下流には、画像形成部400が構築される。画像形成部400は、走査機構113から出力されたデジタル信号に基づいてトナー画像を形成し、シートSにトナー画像を転写する。レジストローラ対318は、画像形成部400の画像形成工程にタイミングを合わせて、シートSを画像形成部400へ送り込む。かくして、シートSの所定位置にトナー画像が形成されることとなる。
本実施形態において、ピックアップローラ311、給紙ローラ312,316、捌きローラ313、317、レジストローラ対318は、シートSを画像形成部400へ供給する供給部として用いられる。
画像形成部400は、円筒形状の感光体ドラム410を含む。感光体ドラム410は、シートSに形成されるトナー画像を担持する像担持体として用いられる。感光体ドラム410は、後述される如く、回転シャフトを含み、下部筐体111内で回転可能に支持される。感光体ドラム410の周面に静電潜像が形成された後、静電潜像に合致するトナー画像が形成される。その後、感光体ドラム410はトナー画像を担持しつつ回転し、レジストローラ対318によって画像形成部400に送り込まれたシートSにトナー画像を転写する。
画像形成部400は、帯電器411と露光装置412とを含む。帯電器411は、感光体ドラム410の周面を一様に帯電させる。露光装置412は、走査機構113から出力されたデジタル信号に基づいて、レーザ光を感光体ドラム410の周面に照射する。レーザ光が照射された部分の電荷が消失することによって、原稿に表された像に合致する静電潜像が感光体ドラム410の周面に形成される。
画像形成部400は、トナーを収容するトナーコンテナ413と、トナーコンテナ413から供給されたトナーを感光体ドラム410に供給する現像装置414とを含む。感光体ドラム410は、静電潜像を担持しつつ回転し、現像装置414からトナーを供給される。現像装置414から感光体ドラム410へ供給されたトナーは、感光体ドラム410の周面に静電的に付着する。この結果、感光体ドラム410の周面にトナー画像が形成されることとなる。
画像形成部400は、感光体ドラム410に圧接される転写ローラ415を含む。レジストローラ対318は、感光体ドラム410と転写ローラ415との間にシートSを送り込む。転写ローラ415は、感光体ドラム410が担持するトナーとは逆のバイアスをシートSに与える。この結果、感光体ドラム410上のトナーは電気的にシートSの表面に引き剥がされることとなり、トナー画像がシートSに転写される。その後、感光体ドラム410及び転写ローラ415は、下流へシートSを送り出す。
画像形成部400はクリーニング装置416を含む。クリーニング装置416は、シートSへのトナー画像の転写後の感光体ドラム410の周面に残存するトナーを除去する。その後、清浄化された感光体ドラム410の周面は、除電器417によって除電処理がなされる。その後、感光体ドラム410は、帯電器411によって再度一様に帯電され、新たな画像形成処理を受けることとなる。
画像形成部400の下流には、画像形成部400で形成されたトナー画像をシートSに定着させる定着部500が配設される。定着部500は、ヒータ511を内蔵する加熱ローラ510と、加熱ローラ510に圧接される加圧ローラ520とを含む。感光体ドラム410及び転写ローラ415は、加熱ローラ510と加圧ローラ520との間にシートSを送り込む。
加熱ローラ510からの熱エネルギによって、シートS上のトナーが溶融され、加熱ローラ510と加圧ローラ520との間で生ずる圧力によって、トナー画像がシートSに定着されることとなる。加熱ローラ510及び加圧ローラ520は、その後、シートSを下流へ送り出す。
定着部500の下流には、排出部600が形成される。排出部600は、排出ローラ対610を含む。使用者が操作パネルを通じて、片面印刷の指示を画像形成装置100に与えると、排出ローラ対610は、定着部500から送られたシートSを空間Rに排出する。使用者が操作パネルを通じて、両面印刷の指示を画像形成装置100に与えると、排出ローラ対610は、シートSを空間Rへ排出する方向と、シートSを、再度、連結筐体113内へ引き戻す方向との間で回転方向を切り換えるスイッチバック動作を行う。
主筐体110の左側板に沿って、戻し搬送路319が形成される。戻し搬送路319の下端(下流端)は、カセット210及び/又は手差しトレイ220からのシートSをレジストローラ対318へ案内する供給搬送路320に接続される。使用者からの両面印刷の指示を受け、スイッチバック動作により連結筐体113内に引き戻されたシートSは、戻し搬送路319を通じて、レジストローラ対318の上流へ送られる。その後、シートSは、画像形成部400及び定着部500を通過する。この結果、シートSの両面にトナー画像が形成されることとなる。両面印刷処理がなされたシートは、排出ローラ対610によって、空間Rに排出される。
図6は、主筐体110に組み付けられた現像装置414の拡大斜視図である。図1乃至図4に関連して説明された駆動機構800Aの原理は、本実施形態において、現像装置414に対する駆動に適用される。図6と併せて、図5を参照しつつ、主筐体110に対する現像装置414の組み付けが説明される。
図6に示される現像装置414は、図6に概略的に示された感光体ドラム410に近接した位置で、位置決めされている。図6に示される位置において、現像装置414は感光体ドラム410に適切にトナーを供給することができる。
下部筐体111は、現像装置414を支持するための支持床壁141を含む。また、下部筐体111は、現像装置414の正面で上下方向に延びる正面壁142を含む。正面壁142は、支持床壁141に接続され、支持床壁141を支持する。正面壁141には、略J字形状の開口部143が形成される。開口部143の上端部分を介して、感光体ドラム410が概略的に示されている。感光体ドラム410の左下に配設された現像装置414の左方に向けて、開口部143は延びる。図5に示されるように、現像装置414の左方にトナーコンテナ413が配設される。
トナーコンテナ413が除去されると、現像装置414は、左右に移動可能となる。この現像装置414の移動方向は、シートSの幅方向に延びる感光体ドラム410の回転中心軸Cの延接方向に直交する方向である。以下の説明において、感光体ドラム410に近接して、位置決めされる位置に向かう現像装置414の移動方向は、第1方向と便宜的に称される。また、第1方向と反対方向(即ち、感光体ドラム410から離間する現像装置414の移動方向)は、第2方向と便宜的に称される。
図7は、現像装置414が除去された下部筐体111を示す。図7と併せて、図6を参照しつつ、現像装置414の移動が説明される。
支持床壁141上には、スライド台144が配設される。図6に示される現像装置414は、スライド台144上に取り付けられる。スライド台144は、レバーユニット145を操作することにより、第1方向及び第2方向に移動可能である。レバーユニット145によって第1方向に移動された現像装置414及びスライド台144は、支持床壁141上に押圧バネ145によって、第1方向に向けて押圧され、感光体ドラム410に近接した位置で位置決めされる。感光体ドラム410に近接して位置決めされた現像装置414は、正面壁142と反対側に配設された駆動機構800と接続される。駆動機構800は、図1乃至図4に関連して説明された駆動機構800Aの原理に基づき構築される。
図8は、現像装置414の斜視図である。図8と併せて、図5及び図6を参照しつつ、現像装置414が更に説明される。
図5に示される如く、現像装置414は、筐体146と、感光体ドラム410へ筐体146内のトナーを供給する現像ローラ147と、トナーコンテナ413から筐体146内へ送られたトナーを攪拌する一対の攪拌ローラ148とを含む。筐体146は、現像ローラ147及び攪拌ローラ148を回転可能に支持する。
図8に示される如く、筐体146の外部には、ギア149が取り付けられる。ギア149は、筐体146から外方に突出する円筒形状のボス150に挿通されたボルト等の固定具151を介して、筐体146に取り付けられる。ギア149が回転すると、筐体146の現像ローラ147及び攪拌ローラ148が連動して回転する。
図9は、現像装置414と駆動機構800との間の接続に用いられるフレームの斜視図である。図9と併せて、図7及び図8を参照しつつ、フレーム710が説明される。
フレーム710は、図7に示される駆動機構800に隣接して配設される。フレーム710は、現像装置414と駆動機構800との間に配置される。フレーム710は、略矩形状の主板711と、主板711の周縁から現像装置414が取り付けられる側と反対方向に突出する側板712とを含む。以下の説明において、現像装置414に対向する主板711の面(即ち、現像装置414が取り付けられる面)は、便宜的に、第1面713と称される。また、第1面713と反対側の面は、便宜的に、第2面714と称される。
フレーム710の主板711には、水平方向に延びる長穴750が形成される。長穴750には、図8に関連して説明された現像装置414のボス150が挿通される。長穴750の右上には、感光体ドラム410の回転シャフトが挿通される貫通穴715が形成される。長穴750の端部のうち、貫通穴715に近接する端部751に現像装置414のボス150が到達したとき、第1方向へ向かう現像装置414の移動が停止されることとなる。かくして、図7に関連して説明された押圧バネ145による押圧と、長穴750とボス150との間の係合とにより、現像装置414の位置決めがなされる。主板711には、長穴750及び貫通穴715の他、多数の開口部が設けられているが、これら開口部は、画像形成装置100の下部筐体111内に配設される様々な装置(例えば、図5に関連して説明された各種装置)の取付或いは駆動に用いられる。
図10は、主板711側から見た駆動機構800の外観斜視図である。図11は、図10と反対側から見た駆動機構800の外観斜視図である。図10及び図11と併せて、図5及び図9を参照しつつ、駆動機構800が説明される。上述の如く、駆動機構800は、図1乃至図4に関連して説明された駆動機構800Aの原理に基づき構築される。
駆動機構800は、感光体ドラム410及び現像装置414への駆動力を発生させる駆動源として用いられるモータ810と、モータ810から感光体ドラム410及び現像装置414へ駆動力を伝達する伝達部(後述される)と、伝達部を収容する筐体820とを備える。筐体820は、図1乃至図4に関連して説明された筐体820Aに相当する。筐体820は、第1外殻体821と、第2外殻体822とを含む。第1外殻体821は、フレーム710の主板711と第2外殻体822との間に配設される。第1外殻体821及び第2外殻体822は、互いに重なり合って、伝達部を収容するための内部空間を形成する。モータ810は、第2外殻体822の外面に取り付けられる。モータ810のシャフトは、第1外殻体821及び第2外殻体822が形成する内部空間内に挿通され、伝達部へ駆動力を伝達する。
図12は、駆動機構800が取り付けられたフレーム710の斜視図である。図12と併せて、図5、図8乃至図10を参照しつつ、フレーム710への駆動機構800の取付が説明される。
第1外殻体821の外面から複数のギアやシャフトが露出する。複数のギアやシャフトのうち最下位置のギア831は、手差しトレイ220から下部筐体111内へシートSを給紙するための給紙ローラ316を駆動するために用いられる。ギア831の斜め上方の回転シャフト832には、カセット210からのシートSを給紙するための給紙ローラ312が接続される。回転シャフト832の上方に配設されるギア833は、画像形成部400の上流に配設されるレジストローラ318を駆動するために用いられる。ギア833の左斜め上方に位置する第1ギア834は、図8に関連して説明された現像装置414のギア149と噛み合い、現像装置414を駆動するために用いられる。第1ギア834は、図1乃至図4に関連して説明された駆動機構800Aの第1ギア834Aに相当する。第1ギア834の右方に配設されるギア835は、戻し搬送路319の下流側に配設される搬送ローラ対321を駆動するために用いられる。第1外殻体821は、第1ギア834及びギア835の上方に位置する略円筒状の位置決め筒823を含む。位置決め筒823に感光体ドラム410の回転シャフトが挿入される。位置決め筒823の上方に位置するギア836は、加熱ローラ510を駆動するために用いられる。
図9に示される如く、主板711には、上述の長穴750及び貫通穴715に加えて、ギア831を第1面713側に突出させるための貫通穴716、シャフト832を第1面713側に露出させるための貫通穴717、ギア833を第1面713側に突出させるための貫通穴718、第1ギア834を第1面713側に突出させるための貫通穴719、ギア835を第1面713側に突出させるための貫通穴720及びギア836を第1面713側に突出させるための貫通穴721が形成される。第1外殻体821の外面から突出するように形成された位置決め筒823は、貫通穴715を通じて、主板711を貫通し、第1面713側に突出する。
図13は、第2外殻体822の内部構造を示す斜視図である。図14は、第2外殻体822の内面側に構築された伝達部の斜視図である。図13及び図14と併せて、図10を参照しつつ、第2外殻体822及び伝達部が説明される。
第2外殻体822は、ギア831を支持するシャフト824、シャフト832を回転させるためのギア837を収容するための空間825、ギア833へ駆動力を伝達するためのギア838を収容する空間826、第1ギア834を支持するシャフト827、ギア835を支持するシャフト828、ギア836を支持するシャフト829を含む。シャフト827は、図1乃至図4に関連して説明された駆動機構800Aのシャフト827Aに相当する。第2外殻体822は、これらシャフトや空間の他、これらギアへ駆動力を伝達するための多数のギアを支持又は収容するための空間を含む。伝達部830は、第2外殻体822に取り付けられた複数のギアから構成される。伝達部830は、第2外殻体822に取り付けられる複数のギアの中で最も大きい直径の大径ギア850を含む。また、第2外殻体は、大径ギア850を収容するための空間を形成する隔壁851を含む。尚、図14に示される第2ギア839は、図1乃至図4に関連して説明された第2ギア839Aに相当し、シャフト827に沿って移動可能である。
図15及び図16は、第2外殻体822の外面へのモータ810の接続に用いられる支持板の斜視図である。図15は、モータ810が接続される外面側から見た支持板の斜視図である。図16は、第2外殻体822に対向する面側から見た支持板の斜視図である。図15及び図16と併せて、図11、図13及び図14を参照しつつ、支持板が説明される。
モータ810は、支持板860を介して、第2外殻体822の外面に取り付けられる。支持板860は、例えば、金属製の板材からなり、モータ810を支持するとともに第2外殻体822の剛性を向上させる。モータ810のシャフト811は、支持板860を貫通する。モータ810のシャフト811の先端には、駆動ギア812が取り付けられる。モータ810のシャフト811は更に、第2外殻体822を貫通し、伝達部830に接続される。駆動ギア812は、大径ギア850及び大径ギア850以外の他のギアへ駆動力を伝達するためのギア899と噛み合う。第1ギア834へ駆動力を伝達するための第2ギア839は、ギア899と噛み合い、第1ギア834へ駆動力を伝達する。かくして、伝達部830へモータ810の駆動力が伝達される。
支持板860には略円筒状の支持筒861が、かしめて取り付けられる。支持筒861は、第2外殻体822を貫通し、大径ギア850を回転可能に支持する。感光体ドラム410の回転シャフトは、位置決め筒823を通じて、筐体820内に挿入される。回転シャフト420の先端部は、筐体820内で突出する支持筒861内に挿入され、支持筒861によって回転可能に支持される。感光体ドラム410の回転シャフトは、カップリングといった適切な手段を用いて、大径ギア850に接続され、大径ギア850とともに回転する。
図17は、現像装置414のギア149と噛み合う第1ギア834及び第1ギア834へモータ810からの駆動力を伝達する第2ギア839を示す斜視図である。尚、図17には、現像装置414のギア149と第1ギア834との噛み合いを明瞭に示すため、図9に関連して説明されたフレーム710及び図10に関連して説明された第1外殻体821は示されていない。図17と併せて、図5、図8及び図14を参照しつつ、第1ギア834及び第2ギア839が説明される。
第1ギア834と第2ギア839との間にはラチェット機構900が構築される。ラチェット機構900は、図1乃至図4に関連して説明された駆動機構800Aのラチェット機構900Aと同様に、第1ギア834から第2ギア839に向けて突出する環状の第1ラチェット環910と、第2ギア839から第1ギア834に向けて突出する環状の第2ラチェット環920とを含む。第1ラチェット環910は、図1乃至図4に関連して説明された駆動機構800Aの第1ラチェット環910Aに相当する。第2ラチェット環920は、図1乃至図4に関連して説明された駆動機構800Aの第2ラチェット環920Aに相当する。また、第2外殻体822と第2ギア839との間には、図1乃至図4に関連して説明された駆動機構800Aのコイルバネ930Aと同様のコイルバネ930が配設される。尚、図17において矢印で示される方向は、図1乃至図4に関連して説明された第1回転方向に相当する。
図1乃至図4に関連して説明された如く、モータ810が回転すると、第2ギア839が第1回転方向に回転し、第1ギア834にラチェット機構900を介してモータ810の駆動力が現像装置414に好適に伝達される。現像装置414が感光体ドラム410の近傍に位置決めされるとき、現像装置414のギア149は、第1ギア834を第1回転方向に回転させる力を加える。この結果、図1乃至図4に関連して説明された如く、第2ギア839はラチェット機構900によって、第1ギア834から離間することとなる。