以下に、本発明の圧電電子部品の実施の形態の例について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1(a)は本発明の圧電電子部品の実施の形態の一例を示す、圧電電子部品を上方から見た平面図であり、図1(b)は図1(a)のA−A線における断面図である。
図1に示す例の圧電電子部品1は、圧電基板2に、上下面に互いに対向するように配置された一対の振動電極部3a、圧電基板2の両端部7に配置された、圧電基板2の上面または下面からそれぞれ異なる端面を経て対向する下面または上面に延出されている一対の接続電極部3c、ならびに圧電基板2の上下面にそれぞれ配置された、接続電極部3cの一方と振動電極部3aの一方とを、および接続電極部3cの他方と振動電極部3aの他方とをそれぞれ接続する一対の引き出し電極部3bから成る一対の電極3が形成された圧電振動素子4と、樹脂材料からなり、内側の対向する位置に一対のくぼみ5が形成されている枠体6とを有する圧電電子部品1であって、圧電振動素子4は、両端部7が一対のくぼみ5に支持されており、両端部7の両側面と端面と下面とが枠体6に当接している。
このような構成により、樹脂材料からなる枠体6は、セラミック材料等からなる場合と比較して薄型化が可能なので、圧電電子部品1全体の薄型化を図ることができる。
また、本発明の圧電電子部品1によれば、枠体6がセラミック材料等からなる場合と比較して、外部からの衝撃を樹脂材料からなる枠体6で吸収することができる。従って、圧電振動素子4に衝撃を伝わりにくくすることができる。
また、本発明の圧電電子部品1によれば、圧電振動素子4の両端部7の端面も枠体6に覆われているので、外部からの衝撃を枠体6で吸収することができる。従って、圧電振動素子4に衝撃を伝わりにくくすることができる。
なお、以下の説明において、圧電振動素子4の両端部7とは、例えば、図1において破線で囲んで示している部分7のことである。つまり、両端部7は、圧電振動素子4のうち枠体6の一対のくぼみ5に当接している部分とその近傍とを含む部分を示すものである。
また、以下の説明において、圧電振動素子4の両端面とは、両端部7にそれぞれ存在する端面のことであり、直方体形状である圧電振動素子4の全6面のうち、枠体6のくぼみ5と当接している両端の2面のことを示している。つまり、圧電振動素子4の厚み方向の辺および幅方向の辺で囲まれた面のことである。
圧電基板2は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT),チタン酸鉛(PT),ニオブ酸ナトリウム・カリウム(Na1−xKxNbO3),ビスマス層状化合物(例:MBi4Ti4O15、M:2価のアルカリ土類金属元素)等を基材とする圧電セラミックス、または水晶,タンタル酸リチウム等の圧電単結晶からなる。
なお、小型化および回路基板への実装性という観点からは、圧電基板2は、長さが0.5〜5mm、幅が0.2〜5mm、厚みが50μm〜0.5mmの直方体形状とすることが好ましい。
また、圧電基板2は全面で一様な厚みを有する必要はなく、厚み振動のエネルギー閉じ込めを良くして共振特性を向上する目的で、例えば、振動電極部3aが対向している部分の圧電基板2の厚みを周囲の領域よりも薄く形成したり、または厚く形成したりすることができる。
なお、圧電基板2の比誘電率の値は、高周波領域の共振特性に優れるという点から、1000以下であることが好ましい。
圧電基板2がセラミック材料から成る場合は、原料粉末にバインダを加えてプレスする方法、あるいは原料粉末を水や分散剤とともにボールミルを用いて混合した後に乾燥し、バインダ,溶剤,可塑剤等を加えてドクターブレード法により成型する方法等によってシート状とし、次に、1100〜1400℃のピーク温度で0.5〜8時間焼成して基板を形成し、これに80〜200℃の温度にて厚み方向に3〜6kV/mmの電圧をかけて分極処理を施すことによって、所望の圧電特性を有した圧電基板2が得られる。
また、圧電基板2が圧電単結晶材料からなる場合は、圧電基板2となる圧電単結晶材料のインゴット(母材)を所定の結晶方向となるように切断することによって、所望の圧電特性を有した圧電基板2が得られる。
電極3は、振動電極部3a,引き出し電極部3bおよび接続電極部3cからなる一対のものである。
振動電極部3aは、圧電基板2の上下面に互いに対向するように配置された一対の電極部である。
接続電極部3cは、圧電基板2の両端部7に配置された、圧電基板2の上面または下面からそれぞれ異なる端面を経て対向する下面または上面に延出されている一対の電極部である。
引き出し電極部3bは、圧電基板2の上下面にそれぞれ配置された、接続電極部3cの一方と振動電極部3aの一方とを、および接続電極部3cの他方と振動電極部3aの他方とをそれぞれ接続する一対の電極部である。
電極3は、導電性の観点からは金,銀,銅またはアルミニウム等の金属膜からなることが好ましい。電極3の厚みは0.1〜5μmの範囲とすることが好ましい。電極3となる金属膜を0.1μmよりも厚くすることにより、例えば、大気中において高温にさらされた場合に、酸化によって導電性が低下することを抑制することができる。また、金属膜を5μmよりも薄くすることにより、金属膜が応力で剥離するのを防ぐことができる。
このような電極3となる金属膜の被着には、真空蒸着法,PVD法またはスパッタリング法等が利用できる。
また、電極3は、例えば、銀または銅等の金属フィラーを含有し、低温ガラスをバインダとする導電性ペーストを、所定の温度で焼き付けて形成することもできる。この場合の電極3の厚みは5〜30μmの範囲とすることが好ましい。電極3となる電極膜を5μmよりも厚くすることにより、金属フィラー間の接触不良による導通抵抗の増大を抑制することができる。また、30μmよりも薄くすることにより、電極3の質量効果による圧電基板2の振動特性の劣化を防ぐことができる。
また、圧電基板2との密着性を高めるために、例えば、クロムのようにセラミック基板との密着性が高い金属からなる下地電極層を予め形成し、その上に所望の金属膜を形成してもよい。
振動電極部3aは、圧電基板2の両主面のほぼ中央に配置される。この振動電極部3aの寸法は、例えば、圧電基板2の寸法が、長さが2mm、幅が0.5mm、厚みが0.2mmの直方体形状である場合は、圧電基板2の長さ方向の寸法が0.8mmであり、圧電基板2の幅方向の寸法が0.5mmであり、厚みが1μmであるものとする。
引き出し電極部3bは、圧電基板2の両主面に配置される。この引き出し電極部3bの寸法は、例えば、圧電基板2の寸法が前述の例の通りである場合は、圧電基板2の長さ方向の寸法が0.4mmであり、圧電基板2の幅方向の寸法が0.5mmであり、厚みが1μmであるものとする。
接続電極部3cは、圧電基板2の両端部7に、上面または下面からそれぞれ異なる端面を経て対向する下面または上面にわたって配置される。この接続電極部3cの寸法は、例えば、圧電基板2の寸法が前述の例の通りである場合は、引き出し電極部3bと連なっている方の主面(上面または下面)の部分は、圧電基板2の長さ方向の寸法が0.2mmであり、圧電基板2の幅方向の寸法が0.5mmであり、厚みが1μmであるものとする。また、引き出し電極部3bと連なっていない方の主面の部分は、圧電基板2の長さ方向の寸法が0.2mmであり、圧電基板2の幅方向の寸法が0.5mmであり、厚みが1μmであるものとする。また、圧電基板2の両端面の部分は、圧電基板2の幅方向の寸法が0.5mmであり、圧電基板2の厚み方向の寸法が0.2mmであり、厚みが1μmであるものとする。
また、以下の説明においては、前述した電極3が表面に形成された圧電基板2を、圧電振動素子4という。
枠体6は、樹脂材料からなり、内側の対向する位置に一対のくぼみ5が形成されているものである。また、前述した圧電振動素子4は、両端部7が一対のくぼみ5に支持されており、両端部7の両側面と端面と下面とが枠体6に当接している。
このような構成により、樹脂材料からなる枠体6は、セラミック材料等からなる場合と比較して薄型化が可能なので、圧電電子部品1全体の薄型化を図ることができる。
また、枠体6がセラミック材料等からなる場合と比較して、外部からの衝撃を樹脂材料からなる枠体6で吸収することができる。従って、圧電振動素子4に衝撃を伝わりにくくすることができるので、圧電振動素子4を割れにくくすることができる。
また、圧電振動素子4の両端部7の端面も枠体6に覆われているので、外部からの衝撃をより枠体6で吸収することができる。従って、圧電振動素子4に衝撃を伝わりにくくすることができるので、圧電振動素子4を割れにくくすることができる。
枠体6の樹脂材料は、例えば、フェノール系樹脂,ポリイミド系樹脂またはエポキシ系樹脂等の紫外線硬化型や熱硬化型の樹脂材料が使用される。また、ポリエーテルエーテルケトン等の熱可塑性樹脂を用いることもできる。特に、絶縁性に優れるとともに、セラミックス材料との接着性が高く、耐湿性および耐熱性に優れるという点から、エポキシ系樹脂を使用することが好ましい。
エポキシ系樹脂は、好ましくは加水分解を起さない硬化型のものがよく、また、水の透湿性を低下する目的でルチル酸化チタンなどの粒子を添加したものや、絶縁性を高める目的で2−4ジアミノ−6ビニール−Sトリアミンとイソシアヌル酸とを添加したもの等を使用することができる。
なお、枠体6の樹脂材料は、シリカ等の無機材料からなる針形状または球形状のフィラーを5〜80質量%程度含むことが好ましい。これは、枠体6の材料となる樹脂材料の流動性を抑制するためである。ここで、圧電振動素子4を枠体6に配置する工程は、例えば、枠体6として熱硬化性樹脂からなる樹脂材料を使用する場合には、枠体6の樹脂材料を加熱によって軟化した状態としておき、圧電振動素子4の両端部7を枠体6の一対のくぼみ5に押し込んで配置した後、枠体6の樹脂材料を固化させるものである。従って、枠体6の樹脂材料が軟化した状態であるとき、圧電振動素子4の両端部7を一対のくぼみ5に押し込む際に、枠体6の樹脂材料は流動性を有しているため、枠体6の形状が変形しやすくなってしまう。従って、前述したように、枠体6の樹脂材料に適量の無機材料のフィラーを含ませることによって、枠体6の形状を変形させにくくして形成することができる。
また、枠体6の樹脂材料としては、ガラス繊維またはアラミド繊維からなる布にポリイミド系樹脂またはエポキシ系樹脂等を含浸させた樹脂シートを使用することもできる。
また、枠体6の全体の寸法は、長さが0.6〜6mmであり、幅が0.3〜6mmであり、厚みが20μm〜0.6mmであるものとする。また、枠体6の開口の寸法は、長さが0.4〜4mmであり、幅が0.3〜4mmであるものとする。
なお、枠体6に形成されたくぼみ5の寸法は、例えば、圧電基板2の寸法が、長さが2mmであり、幅が0.5mmであり、厚みが0.2mmであり、枠体6の全体の寸法が、長さが2.5mmであり、幅が1.3mmであり、厚みが0.25mmであり、枠体6の開口の寸法が、長さが1.6mmであり、幅が0.9mmである場合には、圧電基板2の長さ方向の寸法が0.2mmであり、圧電基板2の幅方向の寸法が0.5mmであり、圧電基板2の厚み方向の寸法が0.2mmであるものとする。
なお、図1に示す例の圧電電子部品1の変形例としては、枠体6の下面がスペーサーと当接しているものがある。このような構成の場合には、スペーサーの下面と圧電振動素子4の下面との間に高さの差が確保されるので、圧電振動素子4の下に空間が形成されることとなる。その結果、例えば、スペーサーの下面を実装用の基板の表面に当接させて実装した際に、通電時に振動する圧電振動素子4が実装用の基板に干渉することを防止できる。
次に、図2(a)は本発明の圧電電子部品の実施の形態の他の例を示す、圧電電子部品を上方から見た平面図であり、図2(b)は図2(a)のA−A線における断面図である。なお、図2において図1と同様の箇所には同じ符号を付してある。
図2に示す例において、本発明の圧電電子部品21は、枠体26のくぼみ5の下側の部分にスペーサー9が埋設されている。
図2に示す例のような構成とすると、スペーサー9の上面によって圧電振動素子4の下面を支持することができるので、スペーサー9の厚みによって枠体26の下面と圧電振動素子4の下面との間の間隔を確保して維持することができる。その結果、例えば、枠体26の下面を実装用の基板の表面に当接させて実装した際に、通電時に振動する圧電振動素子4が実装用の基板に干渉することを防止できる。
また、スペーサー9の上面が圧電振動素子4の下面を支持する構成は、図2(b)においてはスペーサー9の上面と圧電振動素子4の下面とが直接接触しているが、両者は直接接触していなくてもよい。つまり、スペーサー9の上面と圧電振動素子4の下面との間には、枠体26の樹脂材料が介在していてもよい。
なお、スペーサー9は、スクリーン印刷またはディスペンサー塗布等によって、樹脂材料を所定の形状にして形成される。この際、スペーサー9の材料となる樹脂材料としては、絶縁性または導電性の樹脂材料を使用することができる。また、塗布後の硬化が容易となることから、エポキシ系樹脂を使用することが好ましい。
また、スペーサー9の寸法は、スペーサー9の形状が略円錐形状であり、くぼみ5の寸法が、圧電基板2の長さ方向の寸法が0.2mmであり、圧電基板2の幅方向の寸法が0.5mmであり、圧電基板2の厚み方向の寸法が0.2mmであった場合には、円形状の底面の直径は0.15mmであり、圧電基板2の厚み方向の寸法が0.25mmであるものとする。
なお、スペーサー9の形状は、略円錐形状の他にも、円柱形状,半円柱形状,半楕円形状,台形形状または直方体形状等のいずれであってもよいものとする。
ここで、圧電振動素子4を枠体26に配置する工程は、例えば、枠体26として熱硬化性樹脂からなる樹脂材料を使用する場合であれば、枠体26の樹脂材料を加熱によって軟化させておき、圧電振動素子4の両端部7を枠体26の一対のくぼみ5に押し込んで配置した後、枠体26の樹脂材料を固化させるものである。従って、枠体26の樹脂材料が軟化した状態であるとき、圧電振動素子4の両端部7を一対のくぼみ5に押し込む際に、スペーサー9があることによって、圧電振動素子4を枠体26に押し込み過ぎることを抑制することができる。つまり、圧電振動素子4の下面を、枠体26の下面から浮かせた状態とすることが容易となる。
なお、圧電振動素子4を枠体26のくぼみ5に押し込み、スペーサー9の上面に当接させる工程においては、図2(b)に示すように、下面に予めスペーサー9が設けられた圧電振動素子4を枠体26のくぼみ5に押し込むとよい。または、圧電電子部品21を実装するための基板側に予めスペーサー9を設けておき、圧電振動素子4を枠体26の上側の開口に押し込むと同時に、スペーサー9が枠体26におけるくぼみ5の下側の部分に押し込まれるように、枠体26をスペーサー9が設けられた基板に実装するとよい。
次に、図3(a)は本発明の圧電電子部品の実施の形態の他の例を示す、圧電電子部品を上方から見た平面図であり、図3(b)は図3(a)のA−A線における断面図である。なお、図3において図1と同様の箇所には同じ符号を付してある。
図3に示す例の圧電電子部品31は、圧電基板2に、上下面に互いに対向するように配置された一対の振動電極部3a、圧電基板2の両端部7に配置された、圧電基板2の上面または下面からそれぞれ異なる端面を経て対向する下面または上面に延出されている一対の接続電極部3c、ならびに圧電基板2の両主面にそれぞれ配置された、接続電極部3cの一方と振動電極部3aの一方とを、および接続電極部3cの他方と振動電極部3aの他方とをそれぞれ接続する一対の引き出し電極部3bから成る一対の電極3が形成された圧電振動素子4と、樹脂材料からなり、内側の対向する位置に一対の切り欠き10が形成されている枠体36とを有する圧電電子部品31であって、圧電振動素子4は、両端部7が一対の切り欠き10に支持されており、両端部7の両側面と端面とが枠体36に当接しており、両端部7の下面にスペーサー39が当接している。
図3に示す例のような構成によれば、スペーサー39の下面および枠体36の下面と、圧電振動素子4の下面との間にスペーサー39の厚みによって高さの差が確保されるので、圧電振動素子4の下に空間が形成されることとなる。その結果、例えば、スペーサー39の下面および枠体36の下面を実装用の基板の表面に当接させて実装した際に、通電時に振動する圧電振動素子4が実装用の基板に干渉することを防止できる。
また、本例の圧電電子部品31によれば、樹脂材料からなる枠体36は、セラミック材料等からなる場合と比較して薄型化が可能なので、圧電電子部品31全体の薄型化を図ることができる。
また、本例の圧電電子部品31によれば、枠体36が樹脂材料からなることから、セラミック材料等からなる場合と比較して、外部からの衝撃を枠体36で吸収することができる。従って、圧電振動素子4に衝撃を伝わりにくくすることができる。
また、本例の圧電電子部品31によれば、圧電振動素子4の両端部7の端面も枠体36に覆われているので、外部からの衝撃をより枠体36で吸収することができる。従って、圧電振動素子4に衝撃を伝わりにくくすることができる。
なお、切り欠き10の寸法は、例えば、圧電基板2の寸法が、長さが2mmであり、幅が0.5mmであり、厚みが0.2mmであり、枠体36の全体の寸法が、長さが2.5mmであり、幅が1.3mmであり、厚みが0.25mmであり、枠体36の開口の寸法が、長さが1.6mmであり、幅が0.9mmである場合であれば、圧電基板2の長さ方向の寸法が0.2mmであり、圧電基板2の幅方向の寸法が0.5mmであり、圧電基板2の厚み方向の寸法が0.25mmであるものとする。
また、スペーサー39の寸法は、例えば、スペーサー39が直方体形状であり、切り欠き10の寸法が、圧電基板2の長さ方向の寸法が0.2mmであり、圧電基板2の幅方向の寸法が0.5mmであり、圧電基板2の厚み方向の寸法が0.25mmであった場合であれば、圧電基板2の長さ方向の寸法が0.1mmであり、圧電基板2の幅方向の寸法が0.3mmであり、圧電基板2の厚み方向の寸法が50μmであるものとする。
ここで、圧電振動素子4を枠体36に配置する工程は、例えば、枠体36として熱硬化性樹脂からなる樹脂材料を使用する場合であれば、枠体36の樹脂材料を加熱によって軟化させておき、圧電振動素子4の両端部7を枠体36の一対の切り欠き10に押し込んで配置した後、枠体36の樹脂材料を固化させる。このとき、枠体36の樹脂材料が軟化した状態であるとき、圧電振動素子4の両端部7を一対の切り欠き10に押し込む際に、スペーサー39があることによって、圧電振動素子4を枠体36に押し込み過ぎることを抑制することができる。つまり、圧電振動素子4の下面をスペーサー39の下面および枠体36の下面から浮かせた状態とすることが容易となる。
なお、圧電振動素子4を枠体36の切り欠き10に押し込み、スペーサー39の上面に当接させる工程においては、下面に予めスペーサー39が設けられた圧電振動素子4を枠体36の切り欠き10に押し込むとよい。または、圧電電子部品31を実装するための基板側に予めスペーサー39を設けておき、圧電振動素子4を枠体36の切り欠き10の上側の開口に押し込むと同時に、スペーサー39が枠体36の切り欠き10の下側の開口に押し込まれるように、枠体36をスペーサー39が設けられた基板に実装するとよい。
次に、図4(a)は本発明の圧電電子部品の実施の形態の他の例を示す、圧電電子部品を上方から見た平面図であり、図4(b)は図4(a)のA−A線における断面図である。なお、図4において図1と同様の箇所には同じ符号を付してある。
図4に示す例において、本例の圧電電子部品41は、上面に枠体6の下面が取着された保護基板8を有する。
図4に示す例のような構成とすると、圧電電子部品41全体の機械的強度を向上させることができるため、圧電電子部品41の運搬時または実装時等の取り扱い中に起こり得る、製品の破損を抑制することができるので好ましい。
また、保護基板8を樹脂材料によって作製した場合は、セラミック材料等によって作製した場合と比較して、樹脂材料からなる保護基板8は薄型化が可能なので、圧電電子部品41全体の薄型化を図ることができる。
なお、保護基板8の材料は、例えば、フェノール系樹脂,ポリイミド系樹脂もしくはエポキシ系樹脂等の樹脂材料、またはガラス繊維,アラミド繊維等からなる布にポリイミド系樹脂またはエポキシ系樹脂等を含浸させた樹脂シート材が用いられる。なお、保護基板8としてこれらの材料を使用することによって、その厚みを、セラミック材料では比較的割れが発生しやすい20〜100μmの範囲へと薄くすることが容易となる。
また、本発明の圧電電子部品の外部機器との電気的な接続のために、図5に示すような構成としてもよい。図5(a)は本発明の圧電電子部品の実施の形態の他の例を示す、圧電電子部品を上方から見た平面図であり、図5(b)は図5(a)のA−A線における断面図である。なお、図5において図1と同様の箇所には同じ符号を付してある。
図5に示す例において、本例の圧電電子部品51は、圧電振動素子4の一対の接続電極部3cのそれぞれ上面に位置する部位に接続パッド11が形成されており、接続パッド11の上面は、枠体6の上面より上方に位置している。
この例のような構成とすると、例えば、表面に電極パッドが形成された実装用の基板に、本発明の圧電電子部品51を実装する際に、接続パッド11を実装用の基板の電極パッドに接続させて、圧電電子部品51を実装用の基板に実装することができる。その結果、ワイヤボンディング等を用いることなく、容易に圧電電子部品51を実装用の基板に電気的に接続させることができる。
また、本例の圧電電子部品51によれば、実装用の基板の電極パッドと、圧電振動素子4との間に接続パッド11を介在させることができる。その結果、通電時に振動する圧電振動素子4が実装用の基板に干渉することを防止できる。
なお、接続パッド11の材料は、例えば銀,銅またはニッケル等の導電性フィラーを75〜95質量%含有したエポキシ系の導電性樹脂を用いて形成することができる。
また、接続パッド11の接続電極部3cのそれぞれ上面への配置に、スクリーン印刷を用いる場合には、導電性樹脂の印刷性を考慮して、導電性フィラーの平均粒径は0.5〜10μmのものを使用することが好ましい。この大きさの範囲は、接続パッド11の配置にディスペンサーを用いた場合の塗布性の点でも好ましい。
また、印刷または塗布後の形状を維持するため、導電性樹脂は、印刷または塗布後に仮硬化させておくことが好ましい。そして、このような導電性樹脂からなる接続パッド11を外部機器の電極に接続させる際に、接続パッド11を加熱しながら電極に密着させることで、接続パッド11が電極の形状に変形して接続されるので、接合力が高まり、好ましい。
また、接続パッド11の寸法は、例えば、接続電極部3cの寸法が、引き出し電極部3bと連なっている方の主面の部分は、圧電基板2の長さ方向の寸法が0.2mmであり、圧電基板2の幅方向の寸法が0.5mmであり、厚みが20μmであり、また、引き出し電極部3bと連なっていない方の主面の部分は、圧電基板2の長さ方向の寸法が0.2mmであり、圧電基板2の幅方向の寸法が0.5mmであり、厚みが20μmである場合に、圧電基板2の長さ方向の寸法が0.2mmであり、圧電基板2の幅方向の寸法が0.5mmであり、厚みが50μmであるものとする。
また、接続パッド11の上面は、枠体6の上面より10〜50μm程度、上方に位置しているものである。
また、本発明の圧電電子部品の圧電振動素子4を外気と触れさせない構成とするために、図6に示すような構成としてもよい。図6(a)は本発明の圧電電子部品の実施の形態の他の例を示す、圧電電子部品を上方から見た平面図であり、図6(b)は図6(a)のA−A線における断面図である。なお、図6において図1と同様の箇所には同じ符号を付してある。
図6に示す例において、本例の圧電電子部品61は、圧電振動素子4の一対の接続電極部3cのそれぞれ上面に位置する部位に接続パッド11が形成されており、接続パッド11の上面と枠体66の上面とが同じ高さに位置しており、上下面の間で互いに電気的に接続されている接続電極12が両端部に形成された封止基板13が、接続電極12が接続パッド11の上面および枠体66の上面に当接するように、枠体66に取着されている。
図6に示す例のような構成とすると、接続電極12と接続パッド11の上面および枠体66の上面との間には隙間が生じない構成とすることができる。また、封止基板13の枠体66への取着は、封止基板13を枠体66に加熱圧着させることによって行なうので、封止基板13の周縁部であって接続電極12が形成されていない部分は、枠体66の上面に当接して接着することとなる。従って、封止基板13と枠体66との間にも隙間が生じない構成とすることができる。その結果、封止基板13と枠体66との間に隙間がなく、封止性が高い構造とすることができるので、湿度やガス等の侵入による電極3の劣化を抑制でき、また、浮遊物により圧電振動素子4の正確な振動が阻害されることを抑制することができる。
また、本例の圧電電子部品61によれば、圧電振動素子4と枠体66との境界が外部に露出していない構成とすることができる。よって、圧電振動素子4と枠体66との熱膨張率の差により、両者の接触面で部分的に剥離が起こったとしても、外気が枠体66の内部に侵入しないので、圧電電子部品61の封止性を維持することができる。
また、封止基板13を樹脂材料によって作製した場合には、セラミック材料等によって作製した場合と比較して、樹脂材料からなる封止基板13は薄型化が可能なので、圧電電子部品61全体の薄型化を図ることができる。
なお、封止基板13の材料は、例えば、フェノール系樹脂,ポリイミド系樹脂もしくはエポキシ系樹脂等の樹脂材料、またはガラス繊維,アラミド繊維等からなる布にポリイミド系樹脂またはエポキシ系樹脂等を含浸させた樹脂シート材が用いられる。
特に、これらの樹脂シート材を使用した場合には、封止基板13を薄く形成することができることに加えて、封止基板13の熱変形を抑制して、確実に封止空間を形成することができ、機械的強度にも優れたものとすることができる。
なお、封止基板13は、単層構造ではなく多層構造としてもよい。この場合には、封止基板13である多層基板を構成する各層に、容量,抵抗その他の電気的機能を有する電子部品素子を内在させることができるので、圧電電子部品61の周辺における電子回路の省スペース化を図ることができる点で好ましい。
なお、接続電極12は、封止基板13の上下面の間で互いに電気的に接続されており、封止基板13の両端部に形成されている。また、封止基板13のそれぞれの端部における、封止基板13の上下面の間での接続電極12同士の電気的な接続は、封止基板13の側面に上下の両電極を電気的に繋ぐ引き出し電極(図示せず)を設けるとよい。または、上下の両電極を電気的に繋ぐ貫通導体(図示せず)を、封止基板13の両端部にそれぞれ形成してもよい。
また、接続電極12の材料は、導電性に優れる金属材料であればよいが、安価で入手しやすいという点から銅であることが好ましい。さらに、半田による実装性を向上するため、接続電極の表面にニッケル,スズまたは金等のメッキを施すことが好ましい。
また、接続電極12の寸法は、例えば、枠体66のくぼみ5の寸法が、圧電基板2の長さ方向の寸法が0.2mmであり、圧電基板2の幅方向の寸法が0.5mmである場合には、圧電基板2の長さ方向の寸法が0.4mmであり、圧電基板2の幅方向の寸法が1.3mmであるものとする。また、接続電極12の厚みは5〜50μmとする。
なお、図6に示す例の圧電電子部品61の変形例としては、スペーサーが接続パッド11に埋設されている構成が好ましい。このような構成とした場合には、両端部に接続電極12が形成された封止基板13を枠体66の上部に取り付ける際に、スペーサーが接続電極12を介して封止基板13を支持するので、封止基板13が圧電振動素子4の振動部の上面に接近し過ぎないようにすることができる。従って、封止基板13と圧電振動素子4の振動部の上面との間に十分な空間を形成することができる。その結果、封止基板13が圧電振動素子4の振動に干渉することを防ぐことができる。
なお、このようなスペーサーは、断面形状が半円または半楕円である柱形状(いわゆる、板付きかまぼこ形状)であることが好ましい。スペーサーをこのような形状とした場合には、断面形状が半円または半楕円となっている曲面が接続電極12と線接触し、平面が圧電振動素子4と接触するようにスペーサーを接続パッド11内部に埋設することができる。その結果、スペーサーの平面を接続パッド11と接続電極部3cとの接触面の全面と直接接触させない限り、接続パッド11は接続電極部3cと接続電極12とを電気的に接続している状態とすることができる。
また、このスペーサーと圧電振動素子4および接続電極12とは、直接接触していてもよいし、接続パッド11の一部が間に介在していてもよい。
なお、スペーサー9の平面が接続電極12と接触し、曲面が圧電振動素子4と接触するように、スペーサー9が接続パッド11に埋設されていてもよいものである。
次に、本発明の電子装置14の実施の形態の例について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図7は本発明の電子装置の実施の形態の一例を示す断面図である。なお、図7において図1と同様の箇所には同じ符号を付してある。
図7に示す例の電子装置14は、図1に示す例の圧電電子部品1が多層基板15に形成されたキャビティ16の内部に実装されており、圧電電子部品1の一対の電極3がキャビティ16の底部に設けられたキャビティ内電極17にそれぞれ電気的に接続されている。
図7に示す例においては、電極3とキャビティ内電極17との電気的な接続は、ボンディングワイヤ18によってなされている。
このような構成によれば、多層基板15の上面に圧電電子部品1を実装する場合と比較して、電子装置14を小型にすることができる。
また、本例の電子装置14によれば、多層基板15の上面に別の基板を実装してキャビティ16を密封するようにすれば、圧電電子部品1が存在するキャビティ16内の空間には外気が侵入しないようになる。その結果、湿度やガス等の侵入による電極3の劣化を抑制でき、また、浮遊物によって圧電振動素子4の正確な振動が阻害されることを抑制することができる。
圧電電子部品1のキャビティ16の底部への実装方法の一例は、枠体6の樹脂材料がポリイミド樹脂またはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂である場合には、加熱することにより樹脂材料が流動性を有する状態となった枠体6をキャビティ16の底部に実装して溶着し、さらに加熱することによって、枠体6を硬化させると同時に圧電電子部品1をキャビティ16の底部に固定するというものである。
なお、多層基板15の材料は、ポリイミド系樹脂またはエポキシ系樹脂等の樹脂材料が用いられる。特に、枠体6にエポキシ系樹脂を使用した場合には、枠体6との接着が容易であり、接着強度に優れるという点から、多層基板15の材料は、エポキシ系樹脂を用いることが好ましい。
また、多層基板15に形成されたキャビティ16の寸法は、例えば、圧電電子部品1の寸法が、長さ方向の寸法が2.5mmであり、幅方向の寸法が1.3mmであり、高さが0.25mmである場合には、圧電電子部品1の長さ方向の寸法が5mmであり、圧電電子部品1の幅方向の寸法が5mmであり、圧電電子部品1の高さ方向の寸法が0.3mmであるものとする。
また、キャビティ16の底部に設けられたキャビティ内電極17の寸法は、圧電電子部品1の長さ方向の寸法が0.1〜2mm程度であり、圧電電子部品1の幅方向の寸法が0.2〜6mm程度であり、厚みが5〜50μm程度であるものとする。
次に、図8は本発明の電子装置の実施の形態の他の例を示す断面図である。なお、図8において図1と同様の箇所には同じ符号を付してある。
図8に示す例の電子装置24は、図5に示す例の圧電電子部品51が多層基板15に形成されたキャビティ16の内部に実装されており、圧電電子部品51の一対の接続パッド11がキャビティ16の底部に設けられたキャビティ内電極17にそれぞれ電気的に接続されているものである。
なお、図8に示す例においては、接続パッド11とキャビティ内電極17との電気的な接続は、両者を直接接触させるように、圧電電子部品51をキャビティ16の底部に実装することによってなされている。
このような構成によれば、多層基板15の表面に圧電電子部品51を実装する場合と比較して、電子装置24を小型にすることができる。
また、本例の電子装置24によれば、多層基板15の上面に別の基板を実装してキャビティ16を密封するようにすれば、圧電電子部品51が存在するキャビティ16内の空間には外気が侵入しないこととなる。その結果、湿度やガス等の侵入による電極3の劣化を抑制でき、また、浮遊物によって圧電振動素子4の正確な振動が阻害されることを抑制することができる。
また、本例の電子装置24によれば、接続パッド11とキャビティ内電極17とは直接接触することによって電気的に接続されているので、両者の接続にワイヤボンディングが不要になり、製造工程を減少させることができる。
次に、図9は本発明の電子装置の実施の形態の他の例を示す断面図である。なお、図9において図1と同様の箇所には同じ符号を付してある。
図9に示す例の電子装置34は、図6に示す例の圧電電子部品61が多層基板15に形成されたキャビティ16の内部に実装されており、圧電電子部品61の一対の接続電極12がキャビティ16の底部に設けられたキャビティ16内電極にそれぞれ電気的に接続されている。
なお、図9に示す例においては、電極3とキャビティ内電極17との電気的な接続は、ボンディングワイヤ18によってなされている。
図9に示す例のような構成によれば、多層基板15の表面に圧電電子部品61を実装する場合と比較して、電子装置34を小型にすることができる。
圧電電子部品61のキャビティ16の底部への実装方法の一例は、保護基板8の樹脂材料がポリイミド樹脂またはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂である場合には、加熱することにより樹脂材料が流動性を有する状態となった保護基板8をキャビティ16の底部に実装して溶着し、さらに加熱することによって、保護基板8を硬化させると同時に圧電電子部品61をキャビティ16の底部に固定するというものである。
また、圧電電子部品61のキャビティ16の底部への実装方法の他の例として、図6に示す例の圧電電子部品61が多層基板15に形成されたキャビティ16の内部に実装されており、圧電電子部品61の一対の接続電極12がキャビティ16の底部に設けられたキャビティ内電極17に、両者を直接接触させるようにしてそれぞれ電気的に接続されていてもよい。つまり、接続電極12を下側にして、圧電電子部品61をキャビティ16の底部に実装してもよい。この場合には、図9に示すボンディングワイヤ18が不要となるので好ましい。
本発明の圧電電子部品の実施例を以下に説明する。なお、本実施例においては、図6に示す例の圧電電子部品61を作製した。
まず、圧電基板2を準備した。ここで、圧電基板2は、チタン酸ジルコン酸鉛の粉末にバインダを加えてプレスする方法によって作製した基板形状の成形体を、1200℃のピーク温度で2時間焼成し、所望の厚みになるよう加工して、圧電基板2となる焼結体の上下面に分極用の電極を形成した後、100℃の温度にて厚み方向に5kV/mmの電圧をかけて分極処理を施し、しかる後、所望の寸法にカットすることによって作製した。この圧電基板2の寸法は、長さが2mm、幅が0.5mm、厚みが0.2mmの直方体形状とした。
次に、圧電基板2の表面に、マスクを用いた真空蒸着法によって、電極3を形成した。なお、この電極3は、振動電極部3aと引き出し電極部3bと接続電極部3cとからなるものであり、厚みは1μmとした。また、電極3の材料は銀を用いた。以上の工程によって、圧電振動素子4を作製した。
ここで、振動電極部3aは、圧電基板2の両主面のほぼ中央に配置され、圧電基板2の長さ方向の寸法は0.8mmであり、圧電基板2の幅方向の寸法は0.5mmであるものとした。
引き出し電極部3bは、圧電基板2の両主面に配置され、圧電基板2の長さ方向の寸法が0.4mmであり、圧電基板2の幅方向の寸法が0.5mmであるものとした。
接続電極部3cは、圧電基板2の両端部7にわたって配置され、引き出し電極部3bと連なっている方の主面の部分は、圧電基板2の長さ方向の寸法が0.2mmであり、圧電基板2の幅方向の寸法が0.5mmであるものとした。また、引き出し電極部3bと連なっていない方の主面の部分は、圧電基板2の長さ方向の寸法を0.2mmとし、圧電基板2の幅方向の寸法を0.5mmとした。また、圧電基板2の両端面の部分は、圧電基板2の幅方向の寸法を0.5mmとし、圧電基板2の厚み方向の寸法を0.2mmとした。
次に、内側の対向する位置に一対のくぼみ5が形成されている枠体66を準備した。枠体66の樹脂材料としてはエポキシ樹脂に球形状のシリカからなるフィラーを80%含むものを使用した。
また、枠体66の全体の寸法は、長さが2.5mmであり、幅が1.3mmであり、厚みが0.25mmであるものとした。また、枠体66の開口の寸法は、長さが1.6mmであり、幅が0.9mmであるものとした。
なお、枠体66に形成されたくぼみ5の寸法は、圧電基板2の長さ方向の寸法が0.2mmであり、圧電基板2の幅方向の寸法が0.5mmであり、圧電基板2の厚み方向の寸法が0.2mmであるものとした。
次に、圧電振動素子4を枠体66に配置した。その際、枠体66が軟化する温度に保持しつつ、流動性のある状態の枠体66の一対のくぼみ5に、圧電振動素子4の両端部7を押し込んで配置して、圧電振動素子4を固化した枠体66に固定するものとした。
次に、圧電振動素子4の一対の接続電極部3cのそれぞれ上面に位置する部位に、銀フィラーを含有するエポキシ系の導電性樹脂をディスペンサーで塗布し、その導電性樹脂を仮硬化させて接続パッド11を形成した。接続パッド11の上面は、枠体66の上面より上方に位置するよう配置した。なお、この導電性樹脂に含まれる銀フィラーの平均粒径は8μmであり、含有割合は82質量%であった。
次に、圧電振動素子4を支持した枠体66を保護基板8に配置した。この保護基板8として、ガラス繊維からなる布にエポキシ樹脂を含浸させた樹脂シート材を使用した。保護基板8の寸法は、圧電基板2の長さ方向の寸法が2.5mmであり、圧電基板2の幅方向の寸法が1.3mmであり、圧電基板2の厚み方向の寸法が40μmであるものとした。
次に、上下面の間で互いに電気的に接続されている接続電極12が両端部に形成されている封止基板13を準備した。
この封止基板13の材料としては、ガラス繊維からなる布にエポキシ樹脂を含浸させた樹脂シート材を用いた。封止基板13の寸法は、圧電基板2の長さ方向の寸法が2.5mmであり、圧電基板2の幅方向の寸法が1.3mmであり、圧電基板2の厚み方向の寸法が0.1mmであるものとした。
この封止基板13の上下面には、接続電極12を導体パターンとして形成しており、上下面の接続電極12は、封止基板13の側面に形成した上下の両電極を電気的に繋ぐ引き出し電極を設けて接続した。また、接続電極12の材料としては、銅を用いた。
また、接続電極12の寸法は圧電基板2の長さ方向の寸法が0.4mmであり、圧電基板2の幅方向の寸法が1.3mmであるものとした。また、厚みは20μmとした。
しかる後に、上方から10MPaの圧力を封止基板13に加えながら、150℃で30分間加熱しつつ圧着して、実施例の圧電電子部品61を得た。その際、接続電極12と接続パッド11の上面および枠体66の上面とを接着し、封止基板13の周縁部であって接続電極12が形成されていない部分は、枠体66の上面に当接して接着するものとした。そして、保護基板8と枠体66と封止基板13とによって、圧電振動素子4の振動部を密封した。
また、比較例として、圧電振動素子の両端部それぞれの両側面を、圧電振動素子の中央部が振動可能なように挟持している、セラミック材料からなる枠体を有する圧電電子部品を作製した。なお、このような圧電振動素子と枠体とからなる構造体の上下の面に、セラミック材料からなる板材をそれぞれ貼り合わせたものとした。
得られた実施例および比較例の圧電振動素子を用いて、−40℃および+125℃の各温度に制御した恒温槽に15分ずつ保持することを1サイクルとして1000サイクル繰り返す熱サイクル加速試験を行なった。そして、熱サイクル加速試験が終わった圧電電子部品の封止性が維持されているか否かを確認した。
封止性が維持されているか否かの確認は、熱サイクル加速試験後に、室温の状態から130℃の温度に保った液槽に浸漬するリーク試験によって行なった。
その結果、実施例の圧電電子部品61では、リーク試験での気泡の発生は認められなかった。従って、接続電極12と接続パッド11の上面および枠体66の上面との間には隙間が生じておらず、封止基板13と枠体66との間にも隙間が生じておらず、封止性が保たれていることが分かった。しかしながら、比較例の圧電電子部品では、圧電振動素子と枠体との境界部で剥離が生じており、その部分において気泡の発生が認められ、封止性が維持できていないことが分かった。
この結果から、圧電振動素子4の一対の接続電極12のそれぞれ上面に位置する部位に接続パッド11が形成されており、接続パッド11の上面と枠体66の上面とが同じ高さに位置しており、上下面の間で互いに電気的に接続されている接続電極12が両端部に形成された封止基板13が、接続電極12が接続パッド11の上面および枠体66の上面に当接するように、枠体66に取着されていることによって、外気が枠体66の内部に侵入しないので、圧電電子部品61の封止性を維持することができることが分かった。