JP4508997B2 - 圧電共振部品 - Google Patents

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本発明は負荷容量を内蔵した圧電共振部品に関し、特に信頼性に優れた負荷容量内蔵型の圧電共振部品に関するものである。
従来から通信機器や電子機器にはマイクロコンピュータが広く用いられており、このようなマイクロコンピュータのクロック源として負荷容量を内蔵した圧電共振部品が知られている。これらの圧電共振部品は圧電共振素子の入力端子および出力端子とアース電位との間に発振回路を構成する負荷容量を接続した構造を有している。
このような圧電共振部品としては、誘電体基板の下面にアース電極および一対の入出力電極が形成され、上面にそれぞれ入出力電極に電気的に接続されるとともに誘電体基板を挟んでアース電極との間で容量を形成する一対の容量形成電極が形成された容量素子と、圧電基板の上下面に圧電基板を介して一部が互いに対向するように一対の主面電極が形成され、一対の主面電極が一対の容量形成電極に電気的に接続されて容量素子の上に取り付けられた圧電共振素子とを備えた圧電共振部品が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。このような構造とすることによって、負荷容量を内蔵した圧電共振部品を構成することが可能となる。
特開平5−14109号公報
しかしながら、特許文献1にて提案された圧電共振部品においては、圧電共振部品を実装基板に実装する際や実装後に温度変化が繰り返し生じた際などに、熱膨張係数の差違などによって実装面に発生する応力や機械的・熱的な衝撃によって誘電体基板にクラック等が発生することがあるという問題があった。この問題は負荷容量を大きくするためや圧電共振部品の薄型化のために誘電体基板を薄型化した場合に深刻なものとなる。
本発明はこのような従来の技術における問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、実装時や温度変化による問題が生じ難い、信頼性の高い圧電共振部品を提供することにある。
本発明の圧電共振部品は、誘電体基板の下面にアース電極および該アース電極の両側に配置された一対の入出力電極が形成され、上面にそれぞれ側面電極を介して前記入出力電極に電気的に接続されるとともに前記誘電体基板を挟んで前記アース電極との間で容量を形成する一対の容量形成電極が形成された容量素子と、圧電基板の上下面に該圧電基板を介して一部が互いに対向するように一対の主面電極が形成され、該一対の主面電極が前記一対の容量形成電極に電気的に接続されて前記容量素子の上に取り付けられた圧電共振素子とを備えた圧電共振部品において、前記アース電極,前記入出力電極,前記容量形成電極および前記側面電極は導電性樹脂からなり、前記容量形成電極は一部の側面が前記誘電体基板の側面と並んでいるとともに前記一部の側面の一部分が前記側面電極に覆われており、かつ前記一部の側面の他部分から前記側面電極にかけて金属膜で被覆されていることを特徴とするものである。
本発明の圧電共振部品によれば、アース電極および入出力電極が導電性樹脂からなるので、圧電共振部品を実装基板に実装する際や実装後に温度変化が生じた際などに誘電体基板と実装基板との熱膨張係数の差違によって発生する応力や、機械的な衝撃などを、弾性を有する導電性樹脂からなるアース電極および入出力電極がある程度吸収するため、誘電体基板へのクラック等の発生を抑制することができ、信頼性の高い圧電共振部品を得ることができる。
また、本発明の圧電共振部品は、誘電体基板の下面に形成されたアース電極および入出力電極と誘電体基板の上面に形成された容量形成電極とがどちらも導電性樹脂からなることから、アース電極および入出力電極と容量形成電極とが異なる材質からなる場合と比較して、温度変化が生じた場合に誘電体基板の上面と下面とで発生する応力が等しくなるので、温度変化による誘電体基板への反りやクラックの発生を抑制することができ、さらに信頼性の高い圧電共振部品を得ることができる。
さらに、本発明の圧電共振部品は、容量形成電極は一部の側面が誘電体基板の側面と並んでいるとともに一部の側面の一部分が側面電極に覆われており、かつ一部の側面の他部分から側面電極にかけて金属膜で被覆されているので、容量形成電極と側面電極との電気的な接続状態が改善されたものとなり、さらに信頼性の高い圧電共振部品を得ることができる。
すなわち、容量形成電極および側面電極はどちらも導電性樹脂からなるが、この導電性樹脂は絶縁樹脂中に多数の導電性粒子が含有された構造をしている。そのため、容量形成電極と側面電極との界面においては、それぞれの導電性樹脂中に存在する導電性粒子同士が限られた数だけ接触することによって電気的に接続されている。よって、容量形成電極と側面電極との界面において実際に電気的に接続されている領域はごく僅かであり、しかも導電性粒子同士が結合しているのではなく、導電性粒子の周囲に存在する樹脂や他の導電性粒子から加えられる外力によって押しつけられて接触しているだけである。よって、容量形成電極と側面電極との界面に温度変化による応力が繰り返し加わると、幾つかの導電性粒子同士の界面に微小な剥離が発生して接触が解かれてしまい、容量形成電極と側面電極との界面における電気抵抗が増加するという問題が生じる。
これに対して、容量形成電極と金属膜との界面においては、界面に存在する全ての導電性粒子と金属膜とが接触するため、容量形成電極と金属膜との界面において実際に電気的に接続されている領域は容量形成電極と側面電極との界面における領域よりも遙かに大きくなり、容量形成電極と金属膜との界面における電気的な接続は充分なものとなる。しかも、導電性粒子と金属膜とは、外力によって押さえつけられて接触しているのではなく、お互いに直接結びついている。よって、容量形成電極と金属膜との界面に温度変化による応力が繰り返し加わった場合においても、容量形成電極の導電性粒子と金属膜との界面に剥離が発生することはなく、容量形成電極と金属膜との界面における電気抵抗が増加するという問題も発生しない。
また、側面電極と金属膜との界面は容量形成電極と金属膜との界面と同様であるため、側面電極と金属膜との電気的な接続は充分なものであり、温度変化による応力が繰り返し加わった場合においても、側面電極と金属膜との界面における電気抵抗が増加することはない。
このように、容量形成電極および側面電極は両者とも同一の金属膜と良好に電気的に接続されている。よって、繰り返し生じた温度変化などに起因して導電性樹脂からなる容量形成電極と側面電極との接合界面における電気抵抗が増加する事態が生じても、金属膜を介した良好な電気的経路が確保されているため、容量形成電極と側面電極との間の電気抵抗が増加する問題の発生を防止することができる。ゆえに、温度変化等による電気特性の悪化が抑制された信頼性の高い圧電共振部品を得ることができる。
以下、本発明の圧電共振部品を添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
(実施の形態の第1の例)
図1は本発明の圧電共振部品の実施の形態の一例を模式的に示す外観斜視図である。図2は図1に示す圧電共振部品のケース10を取り除いた状態を模式的に示す外観斜視図である。図3は図1に示す圧電共振部品の模式的な分解斜視図である。図4は図1に示す圧電共振部品の模式的な縦断面図である。図5(a)は図1に示す圧電共振部品を模式的に示す側面図であり、図5(b)は図5(a)に示す圧電共振部品から金属膜22a,22b,22cを取り除いた状態を模式的に示す側面図であり、図5(c)は図5(b)に示す圧電共振部品から側面電極21a,21b,21cを取り除いた状態を模式的に示す側面図である。図6(a)は図1に示す圧電共振部品の等価回路図であり、図6(b)は図1に示す圧電共振部品のさらに詳細な等価回路図である。
本例の圧電共振部品は、誘電体基板31の下面にアース電極32およびアース電極32の両側に配置された一対の入出力電極33a,33bが形成され、上面にそれぞれ接続電極20a,20bを介して入出力電極33a,33bに電気的に接続されるとともに誘電体基板31を挟んでアース電極32との間で容量を形成する一対の容量形成電極34a,34bが形成された容量素子30と、圧電基板41の上下面に圧電基板41を介して一部が互いに対向するように一対の主面電極42a,42bが形成され、一対の主面電極42a,42bが一対の容量形成電極34a,34bに電気的に接続されて容量素子30の上に取り付けられた圧電共振素子40とを備えた構造であり、容量素子30の上には、下面に形成された凹部11内に圧電共振素子40を収容するようにケース10が取り付けられている。
また、圧電共振素子40は導電性接合部材50a,50bによって容量形成電極34a,34bの上に取り付けられており、主面電極42a,42bはそれぞれ導電性接合部材50a,50bを介して容量形成電極34a,34bと接続されている。さらに、接続電極20cはアース電極32と接続されている。
そして、図5に示すように、接続電極20aは側面電極21aおよび金属膜22aによって構成され、接続電極20bは側面電極21bおよび金属膜22bによって構成され、接続電極20cは側面電極21cおよび金属膜22cによって構成されている。したがって、一対の容量形成電極34a,34bは側面電極21a,21bを介して入出力電極33a,33bに電気的に接続されている。
主面電極42a,42bは圧電基板41を介して一部が互いに対向するように形成されており、主面電極42a,42bの間に電界が印加されることによってエネルギー閉じ込め型の厚み振動が励起されて特定周波数で共振する圧電共振素子40が構成されている。
また、容量形成電極34aとアース電極32との間で図6(a)および(b)に示す等価回路図における負荷容量CL1が、容量形成電極34bとアース電極32との間で図6(a)および(b)に示す等価回路図における負荷容量CL2がそれぞれ形成されており、全体として図6(a)および(b)に示す等価回路図で表されるような、圧電共振素子40と負荷容量CL1,CL2とを内蔵した圧電共振部品が構成されている。
圧電基板41は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT),チタン酸鉛(PT),ニオブ酸ナトリウム・カリウム(Na1−xNbO),ビスマス層状化合物(例:MBiTi15、Mは2価のアルカリ土類金属元素)等を基材とする圧電セラミックスや、水晶,タンタル酸リチウム,ニオブ酸リチウム等の圧電単結晶から成る。小型化および回路基板への実装性という観点からは、圧電基板41は長さが0.4〜4mm、幅が0.2〜4mm、厚みが40μm〜1mmの四角形状であることが望ましい。
また、圧電基板41は全面で一様な厚みを有する必要はなく、厚み振動のエネルギー閉じ込めを良くして共振特性を向上する目的で、例えば、振動領域の厚みを薄くしたり、また、厚く形成したりすることができる。また、さらに共振特性を優れたものにする目的で、例えば、Ag−Pd等からなる内部電極を振動電極として設けた圧電基板41を用いることもできる。なお、圧電基板41の比誘電率の値は、高周波領域の共振特性に優れるという点から、1000以下であることが望ましい。
圧電基板41がセラミック材料から成る場合は、原料粉末にバインダを加えてプレスする方法、あるいは原料粉末を水や分散剤と共にボールミルを用いて混合した後に乾燥し、バインダ,溶剤,可塑剤等を加えてドクターブレード法により成型する方法等によってシート状とし、次に、1100〜1400℃のピーク温度で0.5〜8時間焼成して基板を形成した後、例えば厚み方向に80〜200℃の温度にて3〜6kV/mmの電圧をかけて分極処理を施すことによって、所望の圧電特性を有した圧電基板41が得られる。また、圧電基板41が圧電単結晶材料から成る場合は、圧電基板41となる圧電単結晶材料のインゴット(母材)を所定の結晶方向となるように切断することにより、所望の圧電特性を有した圧電基板41が得られる。
主面電極42a,42bは、圧電基板41のほぼ中央において圧電基板41を介して一部が互いに対向するように圧電基板41の両主面に配置されており、その形状や寸法は共振特性やその他所望の電気特性によって決められる。また、主面電極42a,42bの一部分は圧電基板41の側面まで達しており、側面電極21a,21bおよび金属膜22a,22bと接続されている。また、主面電極42a,42bの材質は、導電性の観点からは金,銀,銅,アルミニウム等の金属から成ることが好ましく、厚みは0.1〜3μmの範囲とすることが望ましい。厚みが0.1μmよりも薄い場合には、例えば、大気中において高温にさらされると酸化によって導電性が低下しやすくなり、また、厚みが3μmよりも厚くなると剥離しやすくなるからである。
このような主面電極42a,42bは、真空蒸着法,PVD法,スパッタリング法等によって形成することができる。例えば、真空蒸着法,PVD法,スパッタリング法等によって圧電基板41の両主面に金属からなる膜を被着させた後に、その上にスピンコート法等で厚みが1〜10μmのフォトレジスト膜を形成し、フォトエッチングによってパターニングすることによって主面電極42a,42bを形成することもできる。
誘電体基板31は、容量形成電極34a,34b,入出力電極33a,33b,アース電極32と共に負荷容量CL1,CL2を形成する機能に加え、外力から圧電基板41を保護する機能を有する。誘電体基板31の材質としては、フォルステライト,アルミナ,酸化チタン,酸化マグネシウム,チタン酸バリウム,チタン酸鉛,チタン酸ジルコン酸鉛等の誘電体セラミック材料を用いることができ,高容量化の観点からはチタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸鉛,チタン酸バリウム等の強誘電体セラミック材料を用いることが望ましい。また、誘電体基板31の形状は、回路基板への実装性の観点からは、縦が0.6〜5mm、横が0.5〜5mm、厚みが0.1〜1mmの四角形状の単板とされる。
このような誘電体基板31は、原料粉末にバインダを加えてプレスする方法、あるいは原料粉末を水,分散剤と共にボールミルを用いて混合および乾燥し、バインダ,溶剤,可塑剤等を加えてドクターブレード法により成型する方法等によってシートを作製し、そのシートを1100〜1400℃のピーク温度で数10分〜数時間焼成することにより形成される。ここで、誘電体基板31の材料をチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)やチタン酸鉛(PT),チタン酸バリウム(BT)等の強誘電体セラミック材料からなるものとすることで、誘電体基板31の比誘電率を大きくできるため、充分な大きさの静電容量を有する容量素子30を構成できる。なお、誘電体基板31の比誘電率としては200〜5000とすることが望ましい。
入出力電極33a,33bおよびアース電極32は、圧電共振部品を実装基板等へ機械的に固定するとともに電気的に接続する作用をなすものであるが、さらに、実装基板等から誘電体基板31へ加わる応力を緩和する機能を併せ持っている。このため、入出力電極33a,33bおよびアース電極32は導電性樹脂から成り、誘電体基板31との接続強度の観点からはエポキシ系の導電性樹脂を用いて形成するのが好ましく、導電性の観点からは銀,銅,ニッケル等の導電性粒子を75〜95質量%含有したものが好適に用いられる。適度な弾性を有する導電性樹脂を用いることによって、実装基板からの応力および衝撃を緩和する機能を持たせることが可能となり、信頼性に優れた圧電共振部品とすることができる。
導電性樹脂の表面を平滑にして実装性を良好にするという観点からは導電性粒子の粒径は小さい方がよいが、印刷性も考慮して、平均粒径は0.5〜5μmのものを使用することが望ましい。また、入出力電極33a,33bおよびアース電極32の厚みは、薄すぎると導電性が悪化し、厚すぎると実装時に働く応力によって剥離しやすくなるので、10〜60μmの範囲とすることが望ましい。このような導電性樹脂の被着形成には、例えば、スクリーン印刷法やローラー転写等を用いて塗布し、加熱や紫外線照射によって硬化させればよい。所望により、さらに導電性樹脂の表面に銅,ニッケル,錫,金等を用いた少なくとも1種類のメッキ膜を形成してもよく、それによって半田付け性を向上させることができる。
容量形成電極34a,34bは、アース電極32との間で所定の静電容量を形成する機能を有し、誘電体基板31の側面に引き出されて側面電極21a,21bおよび金属膜22a,22bと接続されている。そして、容量形成電極34a,34bは、側面電極21a,21bおよび金属膜22a,22bを介して入出力電極33a,33bと接続されている。また、容量形成電極34a,34bは導電性接合部材50a,50bを介して主面電極42a,42bと接続されている。また、容量形成電極34a,34bは導電性樹脂によって形成されており、これによって誘電体基板31の反りを抑制する機能と誘電体基板31から圧電共振素子40に伝わる応力を緩和する機能とが付与されている。
また、容量形成電極34a,34bは導電性樹脂から成り、誘電体基板31との接続強度の観点からはエポキシ系の導電性樹脂を用いて形成するのが好ましく、導電性の観点からは銀,銅,ニッケル等の導電性粒子を75〜95質量%含有したものが好適に用いられる。このような容量形成電極34a,34bは、例えば、導電性樹脂を従来周知のスクリーン印刷法等により塗布し、紫外線照射や加熱により硬化することで形成される。容量形成電極34a,34bの膜厚は8〜15μmとするのが望ましい。
導電性接合部材50a,50bは、圧電共振素子40を振動空間を確保した状態で容量素子30の上面に取り付ける機能を有するとともに、導電性接合部材50aは主面電極42aと容量形成電極34aとを電気的に接続する機能を有し、導電性接合部材50bは主面電極42bと容量形成電極34bとを電気的に接続する機能を有している。
また、導電性接合部材50a,50bは、例えばエポキシ系の導電性樹脂等も使用可能であるが、弾性に優れる点からはシリコン系の樹脂からなる導電性樹脂が好ましく、導電性に優れるという観点からは銀,銅,ニッケル等の導電性粒子を75〜95質量%含有したものが好適に用いられる。このような導電性接合部材50a,50bは、例えば、スクリーン印刷法やローラー転写等を用いて導電性樹脂を塗布し、加熱や紫外線照射によって硬化させることによって形成できる。
ケース10は、下面に圧電共振素子40を収容する凹部11を有しており、誘電体基板31の上面に接着剤等によって取り付けられることによって、圧電共振素子40を気密封止し外部環境から保護する機能を有する。また、ケース10は無機フィラーを25〜80質量%の割合で含有した樹脂材料からなり、これによって、ケース10と誘電体基板31との熱膨張差を小さくし、温度変化によってケース10と誘電体基板31との間に発生する応力を低減して、誘電体基板31に加わる応力を小さくすることができる。ケース10に使用する樹脂としては熱硬化性の樹脂を用いることが望ましく、特に、吸湿性と水分透過性が低いという点から、エポキシ系樹脂を用いることが望ましい。
このようなケース10は、例えば、熱硬化性樹脂の射出成型によって作製し、圧電共振素子40を実装した誘電体基板31に絶縁性の接着剤を用いて接着する。接着剤には熱硬化性のエポキシ系樹脂を用いるとよい。
側面電極21a,21b,21cは、誘電体基板31の側面とケース10の側面とに跨るように配置されており、側面電極21aは入出力電極33aと容量形成電極34aとを接続し、側面電極21bは入出力電極33bと容量形成電極34bとを接続し、側面電極21cはアース電極32と接続されている。また、側面電極21a,21b,21cは導電性樹脂によって形成されている。
側面電極21a,21b,21cが金属からなる膜によって形成されている場合は、誘電体基板31の下面に形成される入出力電極33a,33bおよびアース電極32と接続したときに、誘電体基板31の側面と下面との間のエッジ部分において、温度変化による膨張収縮が繰り返されることによってクラック等が発生し、それによって導通不良が発生しやすい。これを防止するためには、バレル等の処理を行なってエッジ部分を丸める必要があり、そのために工数が増加するという問題があった。これに対し、本発明の圧電共振部品によれば、側面電極21a,21b,21cが適度な弾性を有する導電性樹脂によって形成されていることにより、側面電極21a,21b,21cが温度変化による膨張収縮にも追従するため、温度変化によって誘電体基板31の側面と下面との間のエッジ部分においてクラック等が発生する問題の発生を防止することができる。
また、本発明の圧電共振部品を実装基板に半田を用いて実装する場合には、側面電極21a,21b,21cにも半田のフィレットが形成され、その半田からの応力が側面電極21a,21b,21cにも加わるが、本発明の圧電共振部品によれば、側面電極21a,21b,21cが適度な弾性を有する導電性樹脂によって形成されていることにより、その応力を緩和し、誘電体基板31やケース10に伝わる応力を低減することができ、圧電共振部品の周波数変化や誘電体基板31の損傷を抑制することができる。
これら側面電極21a,21b,21cの厚みは、10μmよりも薄くなると弾性を有する効果が低下し、80μmよりも厚くなると応力が加わった際に剥離が起こり易い傾向があることから、10〜80μmの範囲が望ましく、20〜60μmの範囲が特に望ましい。
側面電極21a,21b,21cを形成する導電性樹脂としては、誘電体基板31との接続強度の観点からは、エポキシ系の導電性樹脂を用いて形成するのが好ましく、導電性の観点からは、銀,銅,ニッケル等の導電性粒子を75〜95質量%含有したものが好適に用いられる。このような側面電極21a,21b,21cは、例えば、誘電体基板31の側面からケース10の側面にかけて導電性樹脂をスクリーン印刷法等により電極のパターン形状に塗布し、紫外線照射や加熱により硬化することで形成される。
金属膜22a,22b,22cは、側面電極21a,21b,21cを被覆するように形成されており、金属膜22a,22bはさらに容量形成電極34a,34bと接続されている。金属膜22a,22bは、容量形成電極34a,34bおよび側面電極21a,21bの両方と強固に接続することによって、容量形成電極34a,34bと側面電極21a,21bとの電気的な接続を確実なものにする機能を有する。また、金属膜22a,22b,22cは、圧電共振部品を実装基板に半田を用いて実装する場合には、半田の塗れ性を向上させる機能も有している。
金属膜22a,22b,22cは1〜10μm程度の厚みであることが望ましく、その材質としては、導電性の観点からは金,銀,銅,ニッケル,錫等が好ましく、複数種類の金属の積層構造としてもかまわない。このような金属膜22a,22b,22cの形成にはメッキ法,真空蒸着法,スパッタリング法等が使用可能であるが、容量形成電極34a,34bの圧電共振部品の側面への露出部および側面電極21a,21b,21cのみに簡単に形成できることから、メッキ法を用いることが望ましい。また、金属膜22a,22b,22cをメッキ法を用いて形成すると、容量形成電極34a,34bおよび側面電極21a,21bの導電性接着剤中の導電性粒子と金属膜22a,22bのメッキ膜とが金属結合して強固に接合するという利点もある。
本発明の圧電共振部品によれば、アース電極32および入出力電極33a,33bが導電性樹脂からなるので、圧電共振部品を実装基板に実装する際や実装後に温度変化が生じた際等に誘電体基板31と実装基板との熱膨張係数の差違によって発生する応力や、機械的な衝撃等を、弾性を有する導電性樹脂からなるアース電極32および入出力電極33a,33bがある程度吸収するため、誘電体基板31へのクラック等の発生が抑制された信頼性の高い圧電共振部品を得ることができる。
また、本発明の圧電共振部品は、誘電体基板31の下面に形成されたアース電極32および入出力電極33a,33bと誘電体基板31の上面に形成された容量形成電極34a,34bとが、どちらも導電性樹脂からなる。このような本発明の圧電共振部品によれば、アース電極32および入出力電極33a,33bと容量形成電極34a,34bとが異なる材質からなる場合と比較して、温度変化が生じた場合に誘電体基板31の上面と下面とで発生する応力が等しくなるので、温度変化による誘電体基板31への反りやクラックの発生を抑制することができ、さらに信頼性の高い圧電共振部品を得ることができる。
さらに、本発明の圧電共振部品によれば、図2および図3に示すように、容量形成電極34a,34bの一部の側面が誘電体基板31の側面と並んでいるとともに、図5(a)〜(c)に示すように、容量形成電極34a,34bの一部の側面の一部分が側面電極21a,21bに覆われており、かつ容量形成電極34a,34bの一部の側面の他部分から側面電極21a,21bにかけて金属膜22a,22bで被覆されているので、容量形成電極34a,34bと側面電極21a,21bとの電気的な接続状態が改善された、さらに信頼性の高い圧電共振部品を得ることができる。この理由を以下に説明する。
まず、図7は容量形成電極34aと側面電極21aとの界面および容量形成電極34bと側面電極21bとの界面の一領域を模式的に示した断面図である。容量形成電極34a,34bおよび側面電極21a,21bはどちらも導電性樹脂からなり、図7に示すように、絶縁樹脂61a,61b中に多数の導電性粒子62a,62bが含有された構造をしている。そのため、容量形成電極34a,34bと側面電極21a,21bとの界面においては、容量形成電極34a,34b中に存在する導電性粒子62aと側面電極21a,21b中に存在する導電性粒子62bとが限られた数だけ接触することによって電気的に接続されている。よって、容量形成電極34a,34bと側面電極21a,21bとの界面において実際に電気的に接続されている領域はごく僅かであり、しかも導電性粒子62aと導電性粒子62bとは、結合しているのではなく、導電性粒子62a,62bの周囲に存在する絶縁樹脂61a,61bや他の導電性粒子62a,62bから加えられる外力によって押しつけられて接触しているだけである。よって、容量形成電極34a,34bと側面電極21a,21bとの界面に温度変化による応力が繰り返し加わると、幾つかの導電性粒子62aと導電性粒子62bとの界面に微小な剥離が発生して接触しなくなり、容量形成電極34a,34bと側面電極21a,21bとの界面における電気抵抗が増加するという問題が生じる。
次に、図8は容量形成電極34aと金属膜22aとの界面および容量形成電極34bと金属膜22bとの界面の一領域を模式的に示した断面図である。図8に示すように、容量形成電極34a,34bと金属膜22a,22bとの界面においては、界面に存在する全ての導電性粒子62aと金属膜22a,22bとが接触するため、容量形成電極34a,34bと金属膜22a,22bとの界面において実際に電気的に接続されている領域は、容量形成電極34a,34bと側面電極21a,21bとの界面における領域よりも遙かに大きくなり、容量形成電極34a,34bと金属膜22a,22bとの界面における電気的な接続は充分なものとなる。しかも、導電性粒子62aと金属膜22a,22bとは、外力によって押さえつけられて接触しているのではなく、お互いに直接結びついている。よって、容量形成電極34a,34bと金属膜22a,22bとの界面に温度変化による応力が繰り返し加わった場合においても、容量形成電極34a,34bの導電性粒子62aと金属膜22a,22bとの界面に剥離が発生することはなく、容量形成電極34a,34bと金属膜22a,22bとの界面における電気抵抗が増加するという問題も発生しない。
また、側面電極21a,21b,21cと金属膜22a,22b,22cとの接合界面は導電性樹脂と金属膜との界面であるであるため、容量形成電極34a,34bと金属膜22a,22bとの界面と同じである。よって、側面電極21a,21b,21cと金属膜22a,22b,22cとの電気的な接続も充分なものであり、温度変化による応力が繰り返し加わった場合においても、側面電極21a,21b,21cと金属膜22a,22b,22cとの界面における電気抵抗が増加することはない。
このように、容量形成電極34a,34bおよび側面電極21a,21bは、両者とも同一の金属膜22a,22bと良好に電気的に接続されている。よって、繰り返し生じた温度変化等に起因して容量形成電極34a,34bと側面電極21a,21bとの界面における電気抵抗が増加する事態が生じても、金属膜22a,22bを介した良好な電気的経路が確保されているため、容量形成電極34a,34bと側面電極21a,21bとの間の電気抵抗が増加する問題の発生を防止することができる。ゆえに、温度変化等による電気特性の悪化が抑制された信頼性の高い圧電共振部品を得ることができる。
また、本発明の圧電共振部品によれば、圧電共振素子40が導電性樹脂からなる容量形成電極34a,34bの上に取り付けられているので、圧電基板41と誘電体基板31との熱膨張係数が異なっている場合においても、温度変化等によって誘電体基板31から圧電基板41に加えられる応力が弾性を有する導電性樹脂によって緩和されるため、圧電共振素子40に生じる周波数変化を減少させることができ、温度変化等による電気特性の変化が抑制された信頼性の高い圧電共振部品を得ることができる。
(実施の形態の第2の例)
図9(a)は本発明の圧電共振部品の実施の形態の他の例を模式的に示す外観斜視図であり、図9(b)は図9(a)に示す圧電共振部品から金属膜22a,22b,22cを取り除いた状態を模式的に示す外観斜視図であり、図9(c)は図9(b)に示す圧電共振部品から側面電極21a,21b,21cを取り除いた状態を模式的に示す外観斜視図である。図10は図9(a)に示す圧電共振部品の模式的な分解斜視図である。なお、本例においては前述した例と異なる点についてのみ説明し、同様の構成要素については同一の参照符号を用いて重複する説明を省略するものとする。
本例の圧電共振部品における特徴的な部分は、容量形成電極34a,34bが、それぞれ誘電体基板31の3つの側面に向けて引き出されており、そのうちの2つの側面において容量形成電極34a,34bと側面電極21a,21bとが接続され、3つの側面の全てにおいて容量形成電極34a,34bと金属膜22a,22bとが接続されていることである。これによって、容量形成電極34a,34bと金属膜22a,22bとの接触面積が増加するため、容量形成電極34a,34bと金属膜22a,22bとの機械的および電気的な接続をより良好なものにすることができ、より信頼性の高い圧電共振部品を得ることができる。
(実施の形態の第3の例)
図11(a)は本発明の圧電共振部品の実施の形態のさらに他の例を模式的に示す外観斜視図であり、図11(b)は図11(a)に示す圧電共振部品から金属膜22a,22b,22cを取り除いた状態を模式的に示す外観斜視図であり、図11(c)は図11(b)に示す圧電共振部品から側面電極21a,21b,21cを取り除いた状態を模式的に示す外観斜視図である。図12は図11(a)に示す圧電共振部品の模式的な分解斜視図である。なお、本例においても前述した例と異なる点についてのみ説明し、同様の構成要素については同一の参照符号を用いて重複する説明を省略するものとする。
本例の圧電共振部品における第1の特徴的な部分は、実施の形態の第2の例と同様に、容量形成電極34a,34bが、それぞれ誘電体基板31の3つの側面に向けて引き出されており、そのうちの2つの側面において容量形成電極34a,34bと側面電極21a,21bとが接続され、3つの側面の全てにおいて容量形成電極34a,34bと金属膜22a,22bとが接続されていることである。
そして、本例の圧電共振部品における第2の特徴的な部分は、誘電体基板31の4つの側面のうち、一組の対向する2側面の両方に接続電極20cが形成されており、別の一組の対向する2側面の一方に接続電極20aが形成され、他方に接続電極20bが形成されていることである。これによって、誘電体基板31の4つの側面にはそれぞれ一つの接続電極しか存在しないことになるため、誘電体基板31の一つの側面に複数の接続電極20a,20b,20cが存在する場合と比較して、接続電極20a,20b,20c同士の間隔を広くすることができるので、圧電共振部品が小型化して誘電体基板31が小型化した場合においても、接続電極20a,20b,20c相互の電気的短絡が生じにくいものとすることができ、信頼性の高い圧電共振部品を得ることができる。
(実施の形態の第4の例)
図13(a)は本発明の圧電共振部品の実施の形態のさらに他の例を模式的に示す外観斜視図であり、図13(b)は図13(a)に示す圧電共振部品から金属膜22a,22bを取り除いた状態を模式的に示す外観斜視図であり、図13(c)は図13(b)に示す圧電共振部品から側面電極21a,21bを取り除いた状態を模式的に示す外観斜視図である。図14は図13(a)に示す圧電共振部品の模式的な分解斜視図である。なお、本例においても前述した例と異なる点についてのみ説明し、同様の構成要素については同一の参照符号を用いて重複する説明を省略するものとする。
本例の圧電共振部品における第1の特徴的な部分は、実施の形態の第2の例および第3の例と同様に、容量形成電極34a,34bが、それぞれ誘電体基板31の3つの側面に向けて引き出されており、そのうちの2つの側面において容量形成電極34a,34bと側面電極21a,21bとが接続され、3つの側面の全てにおいて容量形成電極34a,34bと金属膜22a,22bとが接続されていることである。
そして、本例の圧電共振部品の第2の特徴的な部分は、接続電極20cが形成されておらず、誘電体基板31の一組の対向する2側面の一方に接続電極20aが形成され、他方に接続電極20bが形成されていることと、接続電極20a,20bがケース10の側面には形成されておらず、誘電体基板31の側面のみに形成されていることである。接続電極20cが形成されていないことにより、接続電極同士の間隔をさらに広げることができるので、接続電極20aと接続電極20bとの間の電気的短絡の発生をさらに抑制することができる。また、接続電極20a,20bが誘電体基板31の側面のみに形成されていることにより、接続電極20a,20bの形状が小さくなるため、圧電共振部品を実装基板に半田を用いて実装した際に半田のフィレットが形成され難くなり、半田のフィレットが形成されたとしてもその形状は小さくなる。よって、圧電共振部品の半田のフィレットと近接配置された他の実装部品の半田のフィレットとの間で半田ブリッジが発生することが抑制されるため、圧電共振部品を他の実装部品に近接させて実装基板に実装することが可能になり、高密度実装に対応した圧電共振部品を得ることができる。なお、接続電極20a,20bの幅を50〜200μm程度に狭くすると、さらに半田のフィレットが形成されにくくなり望ましい。
次に、本発明の弾性表面波装置の具体例について説明する。
(容量素子30の作製)
初めに、チタン酸バリウムの原料粉末にバインダを加えてプレス成型し、ピーク温度を1250℃として3時間焼成することにより、分割されて誘電体基板31となる誘電体セラミック基板を得た。次に、この誘電体セラミック基板を0.2mmの厚みになるようにラップ研磨した。次に、ラップした誘電体セラミック基板の上面に容量形成電極34a,34bを、下面に入出力電極33a,33bおよびアース電極32を、それぞれ導電性樹脂をスクリーン印刷し、オーブンを用いた200℃で30分間の加熱により硬化させることによって形成した。
(圧電共振素子40の作製)
初めに、チタン酸鉛の原料粉末にバインダを加えてプレス成型を行なった後、ピーク温度を1230℃として3時間焼成して、分割されて圧電基板41となる圧電セラミック基板を得た。次に、圧電セラミック基板を150℃に設定した分極槽に投入し、圧電セラミック基板の主面と平行な方向に3kV/mmの直流電界を30分印加して分極処理を行なった。次に、この圧電セラミック基板を厚みが0.15mmになるようにラップ装置を用いて研磨した。次に、この圧電セラミック基板の両主面に、主面電極42a,42bの形状になるようにマスキングをした状態で真空蒸着装置を用いてCrとAgの膜をこの順序で形成した。次に、この圧電セラミック基板を、長さが2.3mmで幅が0.5mmの個片になるようにダイシング装置を用いて分割し、複数の圧電共振素子40を同時に得た。なお、主面電極42aと主面電極42bとの対向長さを0.8mmとし、厚み滑りモード基本波を使用するエネルギー閉じ込め型の圧電共振素子40とした。
(圧電共振素子40の誘電体セラミック基板への搭載)
初めに、硬化して導電性接合部材50a,50bとなるシリコーン系の導電性樹脂を、圧電共振素子40の両端にディッピングによって塗布した。次に、両端にシリコーン系の導電性樹脂が塗布された圧電共振素子40を誘電体セラミック基板に搭載し、150℃の温度で30分間保持してシリコーン系の導電性樹脂を硬化させて、圧電共振素子40を誘電体セラミック基板へ取り付けた。
(ケース10の作製)
下面に複数の凹部11が形成された、分割されて複数のケース10となる樹脂基板を、エポキシ樹脂の射出成形によって作製した。樹脂基板の厚みは0.6mmとし、凹部11の寸法は長さ2.8mm,幅0.9mm,高さは0.4mmとした。エポキシ樹脂には、無機フィラーとして二酸化珪素が80質量%およびアルミナ珪酸ガラスが3質量%含有されているものを用いた。
(ケース10の誘電体セラミック基板への搭載)
初めに、複数の凹部11が形成された樹脂基板の下面に対して凹部11の周囲の枠状の部分にエポキシ系の接着剤を印刷により塗布し、この接着剤をBステージ状態に固化させた。次に、誘電体セラミック基板に搭載された複数の圧電共振素子40がそれぞれ凹部11に収容されるように、樹脂基板を誘電体セラミック基板に搭載し、樹脂基板の上面に0.1MPaの圧力を加えながら90℃で5分間保持して仮接着を行なった。次に、樹脂基板の上面に0.2MPaの圧力を加えながら150℃で30分間保持して接着剤を本硬化させ、樹脂基板と誘電体セラミック基板の積層体を形成した。
(積層体の分割)
得られた積層体を、長さが3.2mmで幅が1.3mmの個片となるようにダイシング装置を用いて分割した。
(側面電極21a,21b,21cの形成)
得られた個片の側面に、ローラー転写によって導電性樹脂を塗布し、200℃で30分間保持して硬化させて、側面電極21a,21b,21cを形成した。導電性樹脂にはエポキシ樹脂に銀からなる導電性粒子が85質量%含有されているものを用いた。側面電極21a,21b,21cの平均的な厚みは25μmとした。
(金属膜22a,22b,22cの形成)
容量形成電極34a,34bの圧電共振部品の側面への露出部および側面電極21a,21b,21cを被覆するように、ニッケルの層とそれを被覆する錫の層とからなる金属膜22a,22b,22cをバレルメッキを用いて形成した。初めにニッケルの層を2μmの厚みで形成した後に、その上に錫の層を6μmの厚みで形成し、圧電共振部品を完成させた。
(効果の確認)
このようにして作製した本発明の圧電共振部品および従来品の圧電共振部品に対してヒートサイクル試験を実施して本発明の効果を確認した。試験条件は低温側の温度を−40℃,高温側の温度を150℃,キープ時間をそれぞれ30分間とし、10サイクル,50サイクル,100サイクル,500サイクル,1000サイクル終了後に、圧電共振部品の厚み滑りモード基本波の共振周波数における共振抵抗を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 0004508997
表1に示すように、従来品の圧電共振部品では試料番号1〜10のいずれにおいても50サイクルを超えると共振抵抗が増加し始め、500サイクル終了後には、試料番号1,10のように初期値の10倍以上の共振抵抗を示すものも見られるようになり、接続部の導通性が低下することによって共振特性が劣化することがわかった。このような共振抵抗の増加は次のようなメカニズムで生じると推定される。
図6(b)に示す圧電共振部品の詳細な等価回路図において、L1は圧電共振素子40の等価インダクタンス,C1は圧電共振素子40の等価キャパシタンス,R1は圧電共振素子40の等価抵抗,Cは圧電共振素子40の主面電極42a,42b間の容量であるが、共振振周波数では等価インダクタンスL1と等価キャパシタンスC1とで直列共振するため、入出力電極33a,33b間の抵抗値はR1に等しくなる。ところが、繰り返される温度変化によって容量形成電極34a,34bと側面電極21a,21bとの界面における電気抵抗が増加すると、電気抵抗の増加分が入出力電極33aと等価インダクタンスL1との間および入出力電極33bと等価抵抗R1との間に挿入されることになるため、そのぶんだけ共振抵抗が増加することになる。
これに対して本発明の圧電共振部品においては、表1に示すように、試料番号1〜10のいずれにおいても大きな共振抵抗の増加は全く見られず、本発明によれば、繰り返し生じた温度変化等に起因して容量形成電極34a,34bと側面電極21a,21bとの界面における電気抵抗が増加しても、金属膜22a,22bを介した良好な電気的経路が確保されているため、容量形成電極34a,34bと側面電極21a,21bとの間の電気抵抗の増加を防止することができるので、温度変化等による電気特性の悪化が抑制された信頼性の高い圧電共振部品を得ることができるという顕著な効果を得られることが確認できた。
(変形例)
なお、本発明は上述した実施の形態の第1〜第4の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更,改良が可能である。
図15は本発明の第1の変形例における容量素子30を模式的に示す外観斜視図である。図16は本発明の第2の変形例を模式的に示す縦断面図である。図17は本発明の第3の変形例を模式的に示す縦断面図である。図18は本発明の第4の変形例を模式的に示す分解斜視図である。なお、これらの変形例においても、上述した実施の形態の例と異なる点についてのみ説明し、同様の構成要素については同一の参照符号を用いて重複する説明を省略するものとする。
例えば、上述した実施の形態の例においては、容量素子30の上面にそのままケース10を接着剤で接合したが、図15に示すように、容量素子30の上面の周縁部における容量形成電極34a,34bが形成されていない領域に、容量形成電極34a,34bの形成領域と高さを揃えるように絶縁性樹脂71を形成した後に、容量形成電極34a,34bおよびこの絶縁性樹脂71の上にケース10を接着剤で接合するようにしても構わない。これによってケース10を接合する部分の平坦度が向上するため、ケース10の凹部11内の気密性の確保が容易になる。
また、上述した実施の形態の例においては、主面電極42a,42bのそれぞれは圧電基板41の一方の主面のみに形成したが、図16に示すように、主面電極42a,42bのそれぞれを圧電基板41の一方の主面から側面を介して他方の主面に跨るように形成しても構わない。これによって、導電性接合部材50a,50bを圧電共振素子40の下面のみに付着させればよくなるため、圧電共振素子40が小型化した場合においても導電性接合部材50a,50bによる圧電振動の減衰が生じ難くなり、小型で電気特性に優れた圧電共振部品を得ることができる。
さらに、上述した実施の形態の例においては、容量形成電極34a,34bとアース電極32とが誘電体基板31を介して部分的に対向するような形状としたが、必要とする負荷容量CL1,CL2が小さい場合には、図17に示すように、容量形成電極34a,34bとアース電極32とが誘電体基板31を介して対向しないような形状としても構わない。
またさらに、上述した実施の形態の例においては、容量形成電極34a,34bの長手方向における端部付近を誘電体基板31の側面へ引き出した構造としたが、図18に示すように、容量形成電極34a,34bの長手方向における中央部付近から誘電体基板31の側面へ引き出すような構造としても構わない。
本発明の圧電共振部品の実施の形態の一例を模式的に示す外観斜視図である。 図1に示す圧電共振部品のケース10を取り除いた状態を模式的に示す外観斜視図である。 図1に示す圧電共振部品を模式的に示す分解斜視図である。 図1に示す圧電共振部品を模式的に示す縦断面図である。 (a)は図1に示す圧電共振部品を模式的に示す側面図であり、(b)は(a)に示す圧電共振部品から金属膜22a,22b,22cを取り除いた状態を模式的に示す側面図であり、(c)は(b)に示す圧電共振部品から側面電極21a,21b,21cを取り除いた状態を模式的に示す側面図である。 (a)は図1に示す圧電共振部品の等価回路図であり、(b)は図1に示す圧電共振部品のさらに詳細な等価回路図である。 容量形成電極34a,34bと側面電極21a,21bとの界面の一領域を模式的に示す断面図である。 容量形成電極34a,34bと金属膜22a,22bとの界面の一領域を模式的に示す断面図である。 (a)は本発明の圧電共振部品の実施の形態の他の例を模式的に示す外観斜視図であり、(b)は(a)に示す圧電共振部品から金属膜22a,22b,22cを取り除いた状態を模式的に示す外観斜視図であり、(c)は(b)に示す圧電共振部品から側面電極21a,21b,21cを取り除いた状態を模式的に示す外観斜視図である。 図9に示す圧電共振部品を模式的に示す分解斜視図である。 (a)は本発明の圧電共振部品の実施の形態のさらに他の例を模式的に示す外観斜視図であり、(b)は(a)に示す圧電共振部品から金属膜22a,22b,22cを取り除いた状態を模式的に示す外観斜視図であり、(c)は(b)に示す圧電共振部品から側面電極21a,21b,21cを取り除いた状態を模式的に示す外観斜視図である。 図11に示す圧電共振部品を模式的に示す分解斜視図である。 (a)は本発明の圧電共振部品の実施の形態のさらに他の例を模式的に示す外観斜視図であり、(b)は(a)に示す圧電共振部品から金属膜22a,22bを取り除いた状態を模式的に示す外観斜視図であり、(c)は(b)に示す圧電共振部品から側面電極21a,21bを取り除いた状態を模式的に示す外観斜視図である。 図13に示す圧電共振部品を模式的に示す分解斜視図である。 本発明の圧電共振部品の第1の変形例における容量素子30を模式的に示す外観斜視図である。 本発明の圧電共振部品の第2の変形例を模式的に示す縦断面図である。 本発明の圧電共振部品の第3の変形例を模式的に示す縦断面図である。 本発明の圧電共振部品の第4の変形例を模式的に示す分解斜視図である。
符号の説明
10:ケース
11:凹部
20a,20b,20c:接続電極
21a,21b,21c:側面電極
22a,22b,22c:金属膜
30:容量素子
31:誘電体基板
32:アース電極
33a,33b:入出力電極
34a,34b:容量形成電極
40:圧電共振素子
41:圧電基板
42a,42b:主面電極
50a,50b:導電性接合部材
61a,61b:絶縁性樹脂
62a,62b:導電性粒子
71:絶縁性樹脂

Claims (1)

  1. 誘電体基板の下面にアース電極および該アース電極の両側に配置された一対の入出力電極が形成され、上面にそれぞれ側面電極を介して前記入出力電極に電気的に接続されるとともに前記誘電体基板を挟んで前記アース電極との間で容量を形成する一対の容量形成電極が形成された容量素子と、圧電基板の上下面に該圧電基板を介して一部が互いに対向するように一対の主面電極が形成され、該一対の主面電極が前記一対の容量形成電極に電気的に接続されて前記容量素子の上に取り付けられた圧電共振素子とを備えた圧電共振部品において、
    前記アース電極,前記入出力電極,前記容量形成電極および前記側面電極は導電性樹脂からなり、前記容量形成電極は一部の側面が前記誘電体基板の側面と並んでいるとともに前記一部の側面の一部分が前記側面電極に覆われており、かつ前記一部の側面の他部分から前記側面電極にかけて金属膜で被覆されていることを特徴とする圧電共振部品。
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