<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態について図1〜図7を参照しながら説明する。
まず、加熱調理器全体の概略的構成について述べる。図1及び図2において、加熱調理器の外郭を形成する筐体1は矩形箱状をなし、その内部には、正面である前面を開放した加熱庫2が設けられている。加熱庫2の前面部には、その前面開口部を開閉するドア3(図2参照)が回動可能に設けられている。
加熱庫2を形成する周壁面としては、天井壁2a、底壁2b、左側壁2c、右側壁2d、及び奥壁2eとから構成されている。これら各周壁面2a〜2eにおいて、天井壁2aは正面視にて「かまぼこ型」をなし、庫内側が凹となる(庫外側へ凸となる)曲面であって、アーチ状の非平面形状部として構成されている。
図1に示すように、奥壁2eには、パンチング孔からなる複数の透孔10が形成されている。詳細には、奥壁2eは、その上部の左右に形成された上段吹出口5と、上下方向の中間部の左右に形成された中段吹出口6と、下部に形成された下段吹出口7とを有すると共に、中央部に形成された吸込口(吸気孔)8を有する。これら上段吹出口5、中段吹出口6、下段吹出口7及び吸込口8は何れも複数の透孔10であって、吸込口8の透孔10以外の透孔10は、本発明の第1の通風部に相当する。
図3及び図4にも示すように、奥壁2eの下部には、前記下段吹出口7を形成した部分が、加熱庫2内(庫内)側、この場合前方へ凸状となる凸状部11が形成されている。凸状部11は左右方向に長く延び、且つ側面視にて(図5参照)前方側が狭まる台形円錐状をなしており、下段吹出口7の透孔10は、その凸状部11の前面部11aに形成されている。即ち、下段吹出口7の透孔10は、凸状部11の上面部11b及び下面部11cには形成されておらず、前面部11aの左右方向の略全体にわたって形成されている。なお、加熱庫2を形成する各周壁面2a〜2eのうち、天井壁2aと奥壁2eの凸状部11以外はいずれも平坦面形状をなすが、加熱庫2としては、周壁面2a〜2eの全面について矩形箱状の庫内を構成すべく平坦面形状に形成してよい。
加熱庫2の奥壁2eの庫外側(背部)に熱風循環ユニット12が設けられている。図2に示すように、熱風循環ユニット12は、奥壁2eの背面に設けられた熱風ケーシング13と、この熱風ケーシング13内に配置されファンモータ14にて回転駆動される熱風ファン15と、この熱風ファン15の外周囲に配置された枠状の熱風ヒータ16とを具備して構成される。熱風ケーシング13は、奥壁2eに形成された前記各吹出口5,6,7及び吸込口8を後方から覆うように設けられ、奥壁2eとの間に熱風生成室17を形成している。熱風生成室17は、前記各吹出口5,6,7及び吸込口8を通して加熱庫2内と通気が可能で、この熱風生成室17内に熱風ファン15及び熱風ヒータ16が配置されている。
奥壁2eの背面、特に凸状部11の背面には、奥壁2eと熱風ケーシング13との間に位置させて、前記下段吹出口7を庫外側(後方)から覆うようにして、ダクト形成部材20が設けられている。このダクト形成部材20と前記奥壁2eの凸状部11との間に、通風空間21が形成されている。ダクト形成部材20は、平板状をなしていて、通風空間21に臨む部位に、パンチング孔からなる複数の透孔22によって形成された通風口(第2の通風部)23を有している。ダクト形成部材20及び凸状部11は、本発明の通風ダクト24を構成する。尚、ダクト形成部材20は下段吹出口7の少なくとも一部を覆うことにより、ダクト状の通風空間を形成するように構成されていればよい。また、通風口23は複数の透孔22でなく、又、孔である必要もなく、例えば1つの開口であってもよい。また、ダクト形成部材20を複数に分割することで、熱風ケーシング13から通風空間へ供給する経路を確保するように構成してもよい。
図4に示すように、通風ダクト24における下段吹出口7(第1の通風部)の横方向の形成領域は、熱風ケーシング13の左右方向の幅寸法よりも大きく設定されていて、下段吹出口7の透孔10は、熱風ケーシング13の外側にも存するように形成されている。これにより、詳しくは後述するように、熱風ケーシング13より外側の位置からも加熱庫2内に熱風を供給することができるようになっている。また、ダクト形成部材20は、熱風ケーシング13の左右方向の幅寸法よりも大きく設定されていて、ダクト形成部材20の少なくとも一部が、熱風ケーシング13よりも外側に位置するように設けられていると共に、通風口23の透孔22は、熱風ケーシング13の内側のみに存している。
通風ダクト24にあっては、凸状部11における下段吹出口7の開口面積の総和(合計)S1は、ダクト形成部材20における通風口23の開口面積の総和(合計)S2よりも小さくしている(S1<S2)。具体的には、例えば、通風空間21に臨む下段吹出口7における透孔10の数を、通風空間21に臨む通風口23における透孔22の数よりも少なくすることで、通風空間21に臨む下段吹出口7における透孔10の開口面積の総和を、通風空間21に臨む通風口23における透孔22の開口面積の総和よりも小さくしている。尚、図1及び図3に示す下段吹出口7における透孔10群は、中央の一部分を横1列の透孔とし、他は横2列の透孔を設けた配置構成としていて、中央部の開口面積を小さくしている。
図2に示すように、加熱庫2の庫外側の後部の下部には、熱風ケーシング13の下方に位置させてマイクロ波(高周波)加熱用の加熱手段としてマグネトロン28が設けられている。このマグネトロン28から発せられたマイクロ波は導波管29を通り、加熱庫2の底壁2bから加熱庫2内に供給されるようになっている。
尚、上記した加熱庫2を形成する各周壁面2a〜2e、熱風ケーシング13、ダクト形成部材20等は、同種の材料、例えばアルミめっき鋼板(ステンレス鋼板でもよい)から形成されることで、異種金属接合による電食(電気化学的腐食)が防止されている。因みに、本実施形態とは異なり、加熱庫2内に通風空間形成用のダクトを取り付ける構成としてもよい。その場合、当該ダクトと加熱庫2の壁との間の接合部分に微小な隙間ができると、マイクロ波加熱の際に、そこでスパークが発生する虞がある。本実施形態では、ダクト形成部材20が加熱庫2の奥壁2eの庫外側に配置されており、加熱庫2内に奥壁2eとは別体のダクトを取り付けることなく通風ダクト24を構成したので、マグネトロン28を用いたマイクロ波加熱の際にスパークが発生することを防止できる。
前記加熱庫2における左側壁2c及び右側壁2dには、左右一対の棚板支え部(皿支え部)25、26が上下2段に設けられており、これら棚板支え部25,26に、例えば図6に示す調理皿27等の棚板が上下2段に配置可能となっている。加熱庫2内に調理皿27を上下2段に配置した状態では、加熱庫2内がそれら調理皿27により上下3段の空間に区分された状態となる。このとき、上段の調理皿27は、上段吹出口5と中段吹出口6及び吸込口8との間に配置され、下段の調理皿27は、中段吹出口6及び吸込口8と下段吹出口7との間に配置される。
さて、本実施形態の調理皿27は、上記のように加熱庫2内に配置された場合でも、庫内全体で良好な熱風の循環状態が得られるよう、少なくとも通風ダクト24と対向する位置に孔部31が形成されている。この調理皿27について図6、図7も参照しながら詳述する。
調理皿27は、例えば金属板製のホーロー仕上げを施したもので、全体として左右に長い浅底な矩形の角皿状をなしている。詳細には、調理皿27の周縁部は屈曲形成により段状をなし、その調理皿27の周壁27b(図2参照)の上端には、外側へ張出すフランジ部27cが一体に設けられている。調理皿27は、オーブン調理の際、棚板としてフランジ部27cの左右両側で棚板支え部25,26に支持されることで載置され、もって加熱庫2に対し、その前面開口から容易に着脱可能としている。調理皿27は、金属材料としてアルミニウムから形成してもよく、これによれば、比較的軽量であるため扱い易く、且つ加工性に優れる等の効果を奏する。
図6に示すように、調理皿27は、平面視にて矩形の四隅の角(かど)部を夫々切り欠いた形状をなしており、当該フランジ部27cの四隅のカット部分は、調理皿27の周辺に対し45度傾斜したコーナー部30とされている。また、フランジ部27cには、調理皿27の周辺に沿って延びるスリット状の孔部31が、調理皿27の各辺ごとに複数(例えば2つ)並べて形成されている。図7に示すように、孔部31は、調理皿27が棚板支え部25,26に支持された状態で当該支え部25,26により覆われない(遮蔽されない)寸法形状を有する。
この調理皿27にあっては、コーナー部30寄りの孔部31の端部31aが当該コーナー部30に沿うように並行に形成されることで、孔部31の端部31a近傍(周縁部)に応力集中が生じないように構成されている。また、調理皿27の各辺ごとに、その長さ方向に孔部31,31を隔てる繋ぎ部32が存することで、フランジ部27cにおいて、孔部31の開口面積を極力大きく設定しながらも、調理皿27の強度が確保されている。尚、孔部31は、ユーザの手指が入り込まないよう所定のスリット幅に形成されており、後述するように、孔部31の寸法形状等、適宜変更することができる。また、孔部31に代えて、フランジ部27cの外周側が開放された切欠き部(図示せず)を設けるようにしてもよい。
また、調理皿27の底壁27aには、図6に示すように、反りを防止するための凹部33と、使用者に注意を喚起するための表示部34とが形成されている。平面視にて長円状をなす凹部33は、例えばプレス加工により調理皿27の底壁27a中央部にて僅かに窪むように形成されており、温度変化により発生する反りを防止する機能を有する。「レンジでは使用不可」との表示部34は、調理皿27の材料如何によっては前記マイクロ波加熱による調理時にスパークが発生する虞があることから、調理皿27の誤使用を避けるべく刻印されたものである。
次に、上記構成の作用を説明する。オーブン調理を行う場合、使用者は、図1、図2に示すように、調理皿27を棚板支え部25,26を介して上下2段に配置固定し、各調理皿27上に図示しない加熱調理前の食品を載置収容するなどの準備をする。この場合、調理皿27は、前後の両側部及び左右の両側部に夫々孔部31が形成されていることから、加熱庫2内において、当該孔部31が左側壁2c、右側壁2d、奥壁2e及びドア3の内壁面に沿うように位置する。尚、調理皿27を下段の棚板支え部26にのみセットする等、その配置は一段のみでもよい。次いで、図示しない操作パネルによる調理開始の操作に基づき、熱風循環ユニット12が通電駆動される。すると、熱風ヒータ16が通電加熱されるとともに、ファンモータ14の駆動により熱風ファン15が、図1中、矢印A方向に回転駆動される。
このうち、熱風ヒータ16の発熱により熱風生成室17内の空気が加熱される。また、熱風ファン15の回転に伴う送風作用により、熱風生成室17内の加熱された空気が熱風として、上段吹出口5及び中段吹出口6から加熱庫2内に吹き出される(図1及び図2の矢印B1参照)とともに、通風口23から通風空間21へ吹き込まれた熱風(図2の矢印B2参照)が、下段吹出口7から加熱庫2内に吹き出され(図1及び図2の白抜き矢印C1参照)、また、加熱庫2内の空気が中央部の吸込口8から熱風生成室17内に吸い込まれて(図2の矢印B3参照)再び熱風化されるというように循環する。この熱風は、後述するように、加熱庫2内において調理皿27の孔部31或はコーナー部30の外側を通じて、効率よく循環供給されることとなる。
ここで、上段吹出口5及び中段吹出口6から加熱庫2内に直接吹き出される熱風は、図1に矢印B1で示すように、熱風ファン15の回転方向(矢印A方向)に沿う周回方向の方向性を帯びている。ここで、上段吹出口5から天井壁2aに対して斜め方向に吹き出された熱風は、略直線的な流れとなるが、加熱庫2の天井壁2aは曲面状をなすことから、加熱庫2内には、次のような熱風の流れが生じる。即ち、図1に二点鎖線で示す矢印Dは、上記実線矢印B1で示すように上段吹出口5から庫内に吹き出されたばかりの未だ方向性を有する熱風流が、アーチ状の天井壁2aに当接した後の動きを概略的にイメージして示している。この矢印Dで示す熱風流は、曲面状の天井壁2aに当たった後に環状(または渦状)の流れに変化しつつ、全体では庫内前方に向かって流れる。前方へ流れる熱風は、主として庫内の前部において、上段の調理皿27前方周縁部の複数の孔部31とコーナー部30の外側とを通じて、庫内のコーナーの隅々まで行き渡るようにして流れ、庫内の熱風の撹拌効果を高める。これにより、加熱分布の均一化を促進でき、食品の加熱ムラを解消することが期待できる。尚、この矢印D方向の熱風流は、庫内に調理皿27等の棚板が設置されていない場合にも(図示せず)、庫内全体に及ぶ大きな熱風流の傾向を示す。
一方、下部の通風ダクト24を通り下段吹出口7から加熱庫2内に吹き出される熱風は、次のように吹き出される。即ち、下部の通風口23を通過した熱風は、図2に矢印B2で示すように、一旦、通風ダクト24により形成された通風空間21に吹き込まれる。このとき、通風口23の複数の透孔22から広い空間となる通風空間21に流入した熱風はそこで拡散してその勢いが緩和され、且つその通風空間21は、下段吹出口7の透孔群を除き閉鎖された空間であることから、該通風空間21に吹き込まれた熱風は、下段吹出口7の径小な透孔10から直ちには吹き出し難い構成となっている。また、下段吹出口7の透孔10は、熱風ケーシング13の外側にも存しているので、熱風ケーシング13より外側の位置からも加熱庫2内に熱風が供給される。換言すれば、熱風ケーシング13のよりも外側に延びる通風空間21を設けることができ、整流された熱風C1を熱風ケーシング13よりも広い範囲から加熱庫2内に供給することができる。
加えて、通風空間21に臨む下段吹出口7の透孔10の開口面積の総和を、通風空間21に臨むダクト形成部材20における通風口23の透孔22の開口面積の総和よりも小さくした構成としていることも相俟って、通風口23から勢い良く通風空間21内に吹き込まれた熱風は、そこで一時的に滞留する如く淀んだ状態となる。つまり、通風口23から閉鎖空間の通風ダクト24内に吹き込まれた熱風は、その勢いが緩和されて滞留した態様をなし、これにより熱風ファン15による周回方向への方向性も消失され易くなる。そして、この通風ダクト24内の熱風は、主として通風ダクト24内の高まる静圧に基づき下段吹出口7の透孔10から庫内に吹き出されるようになる(図1,2中、白抜き矢印C1参照)。こうして、庫内に通風ダクト24を介して吹き出される熱風流は、熱風ファン15の回転による周回方向への方向性が殆どなく、下段吹出口7からほぼ真っ直ぐに整流された状態で庫内に前方に向かって吹き出される。
この場合、通風ダクト24の前面部11aと対向するドア3側には調理皿27前縁部の孔部31及びコーナー部30が設けられていることから、加熱庫2全体で熱風の良好な循環状態が得られる。即ち、通風ダクト24の下段吹出口7から吹き出される熱風は、その前面部11aと対向する対向面(ドア3)側に向けて均等に流れる。ドア3に当った熱風は、当該対向面の直ぐ近傍に位置し且つ当該対向面に沿う調理皿27前縁部の複数の孔部31或はコーナー部30の外側を介して、加熱庫2全体を循環するような流れを形成する。しかも、通風ダクト24は前方たる庫内側に突出した形状をなすため、調理皿27後縁部の孔部31を通して吸込口8に直接吸い込まれる、所謂シュートサーキットとなることが防止される。従って、通風ダクト24から吹き出される熱風は、調理皿27の(孔部31やコーナー部30)構成と相俟って、庫内全体で加熱分布の均一化が促進され、食品を加熱ムラなく調理することができる。上記のように「対向する」とは、加熱庫2内において一方の周壁面側から他方の周壁面側にわたる対向関係を称するものであり、加熱庫2全体での熱風の循環作用を得るべく、加熱庫2の奥側の通風ダクト24と加熱庫2の手前側に位置する調理皿27の孔部31との相対的位置関係の如く対向するのである。
ここで、図24には、本実施形態と比較するための従来構成を示している。この従来構成を示す図24において、第1の実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、異なる部分について説明する。
この加熱庫2の奥壁2eの下部には凸状部11は形成されておらず、その奥壁2eは平面形状である。奥壁2eの下部には、複数の透孔10からなる下段吹出口36が形成されている。また、この下段吹出口36の後面側には、第1の実施形態におけるダクト形成部材20や、通風空間21が形成されておらず、下段吹出口36は直接、熱風循環ユニット12における熱風生成室17(図2参照)と連通している。従って、従来構成において、熱風循環ユニット12が駆動された際には、熱風生成室17で生成された熱風が、下段吹出口36からも、直接加熱庫2内に強く吹き出されることになり、上段吹出口5及び中段吹出口6と同様に、熱風ファン15の回転方向の方向性が付与された熱風流が、そのまま庫内に吹き出されることとなる(図24の矢印B1参照)。このため、従来構成では、熱風流は偏重した状態となり、その背面側に熱風が流れ難い風の死角部分(図24に、符号Zで示す領域)が発生し、熱風ムラ、ひいては加熱ムラが発生し易いという問題があった。この点、本実施形態においては、そのような熱風の死角部分が発生することを極力防止でき、熱風ムラ及び加熱ムラの発生を極力防止できるようになる。
発明者は、この効果を検証すべく、上記の従来構成における加熱調理器(以下、従来製品Aと称す)と、前記アーチ状の加熱庫2内において凸状部11に下段吹出口7を有する加熱調理器(本発明の製品B)とを比較する実験1,2を行った。この実験1,2では、従来製品Aの棚板支え部25,26に従来の調理皿(孔部31が無い通常の角皿、図24参照)70を上下2段に配置する一方、本発明の製品Bの棚板支え部25,26に調理皿27を上下2段に配置する(図1参照)。
そして、実験1では、従来製品Aの加熱庫2内において調理皿70により上下3段の空間(以下、上部、中間部、下部と称す)に区分された夫々の空間の中央部と、本発明の製品Bの加熱庫2内において調理皿27により上下3段の空間に区分された夫々の空間の中央部とを、熱電対により温度を測定した。ここで、図8及び図9は、加熱庫2内の目標温度を予め一定に設定して夫々の熱風循環ユニット12により温風を循環させる場合における、従来製品A及び本発明の製品Bの加熱庫2内の上部、中間部、下部の温度変化を示している。
熱風循環ユニット12による加熱開始から10分経過時には、従来製品Aでは、加熱庫2内の最大温度差が上部と下部で36度となり(図8参照)、本発明の製品Bでは、加熱庫2内の最大温度差が上部と中間部で17度にとどまる(図9参照)。このため、本発明の製品Bでは、加熱庫2内において、調理皿27を上下2段に配置しても上下方向(上部、中間部、下部)において加熱分布を均一にして食品の加熱ムラがない調理が可能となることから、例えば、クッキーやパン等の食品(被調理物)の調理時に、上下2段の調理皿27で調理する食品の焼き色(焼き上がり状態)の差をなくすことが可能となる。
図示は省略するが、本実施形態の加熱調理器は、上下の調理皿27に食品を置いて上下方向において均一に加熱することを目的とするクッキーとパン(バターロール等)の調理メニューを備えており、所定目標温度(それぞれ170度、200度)を所定時間(それぞれ22分、18分)維持するように、熱風ファン15と熱風ヒータ16とを所定時間駆動させる制御を行うように構成されている。
実験2では、加熱庫2内の目標温度を予め170度に設定し、熱風循環ユニット12による加熱開始から15分経過時の調理皿70、27の温度を夫々30箇所測定した。この測定は、夫々の調理皿70,27の底壁にて、前後方向に5箇所、左右方向に6箇所ずつ等間隔で行われている。図10及び図11において、(a)は従来製品Aの加熱庫2内に配置した上段及び下段の調理皿70の平面視での温度分布を示し、(b)はその30箇所の温度の測定値を夫々示している。これと同様に、図12及び図13において、(a)は本発明の製品Bの上段及び下段の調理皿27の温度分布を示し、(b)はその30箇所の温度分布を夫々示している。尚、図14は、調理皿70,27について、126度〜142度の温度範囲を符号Th、110度〜126度の温度範囲を符号Tm,94度〜110度の温度範囲を符号Tlで区分して表記しており、図10〜図13の(a)で各符号により夫々の温度分布を示している。
従来製品Aでは、上段の調理皿70で最大温度差が34.5度(図10参照)、下段の調理皿70で最大温度差が21.9度となり(図11参照)、本発明の製品Bでは、上段の調理皿27で最大温度差が17.9度(図12参照)、下段の調理皿27で最大温度差が18.6にとどまる(図13参照)。また、図10〜図13の対比から明らかなように、本発明の製品Bでは、前記の通風空間を形成することで、調理皿27における温度分布を比較的均一にすることができ、水平方向(平面間)においても加熱ムラをなくすことができるといえる。従って、クッキーやロールパンなどを複数の調理皿27に並べて、クッキーとパンの上記調理メニューについて調理を行う場合でも、上段と下段との平面間で焼きムラがなくなり複数の食品を同じ焼き加減で調理することができ、調理皿27端の食品のみ焼きあがらないといった不具合を防止することができる。尚、本実施形態の加熱調理器は、調理皿27に食品を複数並べて焼きムラを少なくすることを目的とするクッキーとパン(バターロール等)の調理メニューを備えており、所定目標温度(それぞれ170度、200度)を所定時間(それぞれ22分、18分)維持するように、熱風ファン15と熱風ヒータ16とを所定時間駆動させる制御を行うように構成されている。
以上のように、本実施形態の加熱調理器では、熱風ケーシング13内で生成された熱風を、下段吹出口7を通して加熱庫2内へ供給するように導く通風ダクト24を設け、調理皿27において通風ダクト24と対向する位置に孔部31を設けた。このように、熱風循環ユニット12から加熱庫2への熱風の流れの間に通風ダクト24を介在させることにより、加熱庫2内にて通風ダクト24と対向する調理皿27の孔部31を利用して、熱風を加熱庫2内全体で良好に循環させることができる。即ち、熱風ケーシング13内で生成され通風口23から通風ダクト24に吹き込まれた熱風は、通風ダクト24内で勢いが緩和されて滞留する如き態様となり、下段吹出口7から加熱庫2内へ供給される際に前述の周方向への方向性が消失される。そして、加熱庫2内に吹き出される熱風は、通風ダクト24から、これと対向する調理皿27の孔部31側に向けて均等に供給され、当該孔部31を介して加熱庫2全体で循環するような流れを形成することができ、食品の加熱ムラを効果的に解消できるようになる。
前記第1の通風部は、通風ダクト24に設けられた吹出口7の透孔10と、熱風ケーシング13から庫内側へ直接通じる他の吹出口5,6の透孔10とからなり、加熱庫2の周壁面に、上段吹出口5の透孔10から吹き出された熱風が当たる位置に非平面形状部を形成した。これによれば、上段吹出口5から吹き出された熱風が、当該非平面をなす天井壁2aの曲面に当ることで当該曲面に沿った渦流(環状)の流れを形成することができる。従って、熱風の撹拌効果を高め、庫内のコーナーの隅々まで充満したムラの無い熱風流を得ることができ、加熱分布の均一化を促進できる。また、この熱風流によって、天井壁2a方向以外に吹き出された熱風との混合撹拌をも促進することができ、食品の加熱ムラをより効果的に解消することができる。
庫内側に直接通じる吹出口5の透孔10を、上段の調理皿27より上方の位置に形成すると共に、当該上段の調理皿27において当該透孔10に対向する位置に孔部31を設け、通風ダクト24を、下段に配置された調理皿27より下方の位置に設けた。そして、加熱庫2において、上段に配置された調理皿27と下段に配置された調理皿27との間に、加熱庫2内の熱風を熱風ケーシング13内に吸い込む吸込口8を設けた。これによれば、加熱庫2内に、調理皿27を上下2段に収容配置した場合、上段の調理皿27及び下段の調理皿27の下側から加熱庫2内に熱風が吹き出され、当該熱風は、各調理皿27,27の前記対向位置(前縁部)の孔部31,31を通じて、各調理皿27,27間の吸込口8側へ向かって流れる。従って、加熱庫2内における前述した上部、中間部、下部で加熱分布をより均一にすることができると共に、上下の調理皿27,27上でより温度分布を均一化することができる。
調理皿27における熱風ケーシング13寄りの縁部に孔部31を形成し、熱風ケーシング13が設けられた加熱庫2の一壁面(奥壁2e)に、通風ダクト24を庫内側に凸状となるように形成した。これによれば、通風ダクト24を庫内側に突出させることによって、奥壁2e側で熱風ケーシング13寄りの孔部31等を通して吸込口8に直接吸い込まれる、所謂シュートサーキットとなることを極力防止することができ、加熱庫2内全体での良好な熱風の流れを形成することができる。また、奥壁2eとの間に通風空間21を形成するダクト形成部材20を、単純な平板状とすることができ、ダクト形成部材20が熱風ケーシング13側に大きく突出しないようにできる。
調理皿27を角皿状に形成すると共に、調理皿27の周辺部に、その周辺の長さ方向に沿って孔部31を複数並べて形成した。これによれば、調理皿27の周辺部において、孔部31,31間に繋ぎ部32を形成することができ、各周辺に1つずつ孔部を形成した場合よりも、調理皿27の開口面積を可及的に大きく設定することができると共に、強度の低下を抑制することができる。
加熱庫2の周壁面2a〜2eに、調理皿27を支持する皿支え部としての棚板支え部25,26を形成し、孔部31は、調理皿27が棚板支え部25,26に支持された状態で当該支え部25,26により覆われない寸法形状を有する。これによれば、上記のように調理皿27の孔部31を利用して加熱庫2全体で良好な熱風の流れを形成することができると共に、その孔部31において棚板支え部25,26により熱風の流れを阻害しないように構成することができる。
調理皿27は、平面視にて矩形状の角皿における四隅の角部を夫々カットした形状をなすことから、調理皿27のコーナー部30外側を通して、熱風を庫内のコーナーの隅々まで行き渡るように循環させることが可能となるので、加熱庫2全体でより良好な熱風の循環状態を得ることができる。
また、調理皿27を金属材料から構成したので、高い熱伝導率を得ることができる。従って、調理時に熱伝導による高い加熱効果を得ることができ、食品を効率よく加熱することができる。
上記実施形態において、下段吹出口7を設けた凸状部11を奥壁2eと一体的に構成したが、これに限定するものではなく、平坦な奥壁に対して、別体となるダクト形状を有する凸状の部材(つまり、通風空間を形成するための別体の凸状部)を設けるように構成してもよい。
<第2の実施形態>
図15は本発明の第2の実施形態を示すもので、この第2の実施形態は上記した第1の実施形態と次の点で相違する。
即ち、加熱庫2にあって熱風ケーシング13が取り付けられる奥壁2eの下部には、庫内側へ凸となる凸部は形成されておらず、奥壁2eの下部も平坦面形状となっていて、その平坦面部分に、複数の透孔10からなる下段吹出口7が形成されている。そして、その奥壁2eの背面側(庫外側)にダクト形成部材40を取り付けている。このダクト形成部材40は、奥壁2eと熱風ケーシング13との間に位置させて、下段吹出口7を庫外側から覆う状態で配置されている。ダクト形成部材40は、庫外側(熱風ケーシング13内側)に凸状となるように形成されていて、当該ダクト形成部材40と奥壁2eとの間に通風空間41を形成している。ダクト形成部材40は通風口23を有し、奥壁2eの下部と共に通風ダクト42を構成している。
この第2の実施形態においては、特に、加熱庫2にあって熱風ケーシング13が取り付けられる奥壁2eの下部には、庫内側へ凸状となる凸部は形成されておらず、奥壁2eの下部も平坦面形状となっているから、庫内容積を小さくしないようにできるという利点がある。
<第3の実施形態>
図16は本発明の第3の実施形態を示すもので、この第3の実施形態は、上記した第1の実施形態と次の点で相違する。
加熱庫2における奥壁2eの凸状部11において、通風空間21に臨む下段吹出口43(第1の通風部)は、分散した複数の透孔群44から構成されている。各透孔群44は、複数の透孔10からなり、凸状部11において、透孔群44以外の部分は透孔がない無孔部位45となっている。
また、ダクト形成部材20において、通風口46(第2の通風部)も、分散した複数の透孔群47から構成されている。各透孔群47は、複数の透孔22によって形成されている。ダクト形成部材20において、透孔群47以外の部分は無孔部位48となっている。複数の透孔群47のうち、この場合左右2箇所の透孔群47の透孔22の周縁部には、庫外側(後方)へ突出する切起し片49が形成されている。そして、ダクト形成部材20における通風口46の透孔群47と、凸状部11における下段吹出口43の透孔群44とは、左右方向に位置がずれていて、通風口46の透孔群47の透孔22は、凸状部11における下段吹出口43の形成領域のうち無孔部位45と対向する位置に配置されている。また、通風口46から通風空間21内へ吹き込まれる熱風は、矢印B2で示すように、熱風ファン15の回転方向の方向性が付与されるので、それに対応して、通風口46の透孔群47に対して、凸状部11側の無孔部位45が右方向にずれた位置に配置された形態となっている。
上記した実施形態において、オーブン調理時に熱風生成室17から通風口46を通して通風空間21(つまり通風ダクト24内)へ吹き込まれる熱風は、主に凸状部11の無孔部位45に吹き当たるようになるため、その熱風が下段吹出口43から直ちに庫内側へ吹き出されることを一層抑えることができ、熱風の勢いを一層緩和することが可能になる。これにより、通風ダクト24を介して加熱庫2内に吹き出される熱風を一層整流化でき、加熱ムラを一層解消できるようになる。また、通風口46の透孔22の周縁部に庫外側へ突出する切起し片49を設けているので、その切起し片49により、熱風生成室17内の熱風を通風口46から通風ダクト24側へ一層流入しやすくできる。
<第4の実施形態>
次に本発明の第4の実施形態について図17〜図19を参照して説明する。この第4の実施形態も第1の実施形態と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。
加熱庫2の奥壁2eの下部には、図17、図18に示すように、庫内側(前方)へ凸状となる通風ダクト24の凸状部11が一体に形成されていて、この凸状部11に、複数の透孔10からなる下段吹出口50(第1の通風部)が形成されている。奥壁2eに形成された上段吹出口5は、本実施形態では左右に分かれておらず、左右に連なった形態となっている。また、奥壁2eには、凸状部11のすぐ上に位置させて、複数の透孔10からなる下段補助吹出口51(図17中、破線で示す)が形成されている。
加熱庫2を形成する各周壁面2a〜2eにおいて、熱風ケーシング13が設けられた奥壁2e以外の壁面、この場合左側壁2c及び右側壁2dの下部に、補助通風部を構成する補助吹出口52が形成されている。補助吹出口52も複数の透孔53によって構成されている。この場合、左側壁2c及び右側壁2dには庫内側への凸部は形成されておらず、補助吹出口52は左右の側壁2c,2dの平坦面部分に形成されている。左側壁2c及び右側壁2dの庫外側には、補助吹出口52を庫外側から覆うように補助ダクト形成部材54が夫々設けられている。左側の補助ダクト形成部材54と左側壁2cとで補助ダクト55aが構成され、その内部は補助通風空間55とされている。これと同様に、右側の補助ダクト形成部材54と右側壁2dとで補助ダクト55aが構成されて補助通風空間55が形成されている。
図18に示すように、前記凸状部11の左右両端部の傾斜部11dには、下段吹出口50の透孔10(熱風を吹き出す透孔)よりも大きな第1の接続孔56が形成されている。また、左側壁2c及び右側壁2dの下部の後部には、補助吹出口52の透孔53(熱風を吹き出す透孔)よりも大きな第2の接続孔57が形成されている。また、加熱庫2の左下部の隅部及び右下部の隅部には、庫内側に位置させて、接続ダクト58(図17、図18参照)が夫々設けられている。この接続ダクト58は、例えばガラス製とすることで、マグネトロン28によるマイクロ波加熱の際、スパークの発生が防止される。
左側の接続ダクト58は、凸状部11における左側の第1の接続孔56と左側壁2cの第2の接続孔57とを接続するように設けられていて、左側の補助通風空間55と通風空間21とが、第1の接続孔56及び第2の接続孔57を通して連通している。また、右側の接続ダクト58も左側の接続ダクト58と同様に、右側の第1の接続孔56と右側壁2dの第2の接続孔57とを接続するように設けられ、右側の補助通風空間55と通風空間21とが、第1の接続孔56及び第2の接続孔57を通して連通している。こうして、奥壁2e側の通風空間21と、左右の補助通風空間55と、左右の接続ダクト58により、平面視にてコ字形の連続した通風空間を形成している。
また、図19に示すように、本実施形態の棚板支え部は何れも長手方向に複数に分割された分割支え部25a,25bとして形成されている。具体的には、上段側の分割支え部25a,25bは互いに前後方向へ離間した位置に形成されることで、両者25a,25bの間に隙間Sが確保されている。詳しい図示は省略するが、これと同様に、下段の分割支え部26a,26bの間にも隙間Sが形成されている。従って、分割支え部25a〜26bに、調理皿27が上下2段に配置されても、各隙間Sにおいて、調理皿27の外周縁部と左右の側壁2c,右側壁2dとの間で上下に夫々連通し、且つ調理皿27の孔部31において上下に連通する開口面積を狭めないようになっている。
上記構成において、オーブン調理時に熱風循環ユニット12の熱風生成室17から通風口23を通して通風空間21に吹き込まれた熱風の多くは、第1の実施形態と同様に、奥壁2eの下段吹出口50から白抜き矢印C1(図17、図18参照)で示すように整流された状態で庫内へ吹き出される。またこの場合、通風空間21に吹き込まれた熱風の一部は、図18に矢印B4で示すように、左側の第1の接続孔56及び第2の接続孔57を通して左側の補助通風空間55に導かれるとともに、右側の第1の接続孔56及び第2の接続孔57を通して右側の補助通風空間55にも導かれるようになる。そして、それら補助通風空間21に導かれた熱風は、図17、図18に白抜き矢印C2で示すように、左側壁2cの補助吹出口52から整流された状態で庫内に吹き出されるとともに、右側壁2dの補助吹出口52からも整流された状態で庫内に吹き出されるようになる。
これにより、左側壁2cの補助吹出口52から庫内に吹き出される熱風は、加熱庫2内で左側壁2cと対向する右側壁2d側、つまり調理皿27右側部の孔部31側に向かう流れを形成する。また右側壁2dの補助吹出口52から庫内に吹き出される熱風は、加熱庫2内で右側壁2dと対向する調理皿27左側部の孔部31に向かう流れを形成する。従って、加熱庫2内の下部には、通風ダクト24及び左右の補助ダクト55a,55aから、調理皿27における前側部及び左右の両側部の孔部31に向けて熱風が夫々供給され、これらの孔部31或は各コーナー部30の外側を介して、庫内のコーナーの隅々まで充満したムラの無い熱風流を形成する。しかも、調理皿27は、分割支え部25a〜26bにより支持されているため、前述した各隙間Sにおいても上下方向に熱風を流通させることができるので、加熱分布をより均一化させることができ、食品を加熱ムラなく調理することができる。
本実施形態では、加熱庫2の各周壁面2a〜2eのうち熱風ケーシング13が設けられた奥壁2e以外の周壁2c,2dに、熱風ケーシング13内の熱風の一部を加熱庫2内に供給するための補助ダクト55a,55aを設けた。これによれば、オーブン調理時において加熱庫2内の下部には、熱風が、通風ダクト24のみならず補助ダクト55a,55aからも、これらダクト24,55a,55aと夫々対向する側に向けて吹き出されるようになる。そして、加熱庫2内に供給された熱風は、当該ダクト24,55a,55aに夫々対向する調理皿27周縁部の複数の孔部31を介して、庫内全体にわたって淀みのない流れを形成することができるので、加熱分布の一層の均一化を図ることができ、食品の加熱ムラを一層効果的に解消できるようになる。
発明者は、前記アーチ状の加熱庫2にあって下段吹出口7を有する凸状部11と補助ダクト55a,55aとを有する加熱調理器(本発明の製品C、図17参照)についても、第1実施形態と同様の実験1,2を行った。ここで、図20は図9相当図で、図21及び22は、図12及び図13相当図である。
即ち、本発明の製品Cでは、実験1において、加熱庫2内の最大温度差が上部と下部で3度にすぎず(図20参照)、実験2において、上段の調理皿27で最大温度差が19,4度(図21参照)、下段の調理皿27で最大温度差が18.9度にとどまる(図22参照)。従って、本発明の製品Cでは、加熱庫2内において上下方向(上部、中間部、下部)での温度差を極力解消することができ、極めて良好な温度分布を得ることができると共に、各調理皿27,27上においても均一な温度分布を確保することができる。
<その他の実施形態>
図23は本発明の第5の実施形態を示すものである。この第5の実施形態の調理皿60は、上記第1〜第4の実施形態の調理皿27と以下の点で相違する。即ち、調理皿60は非金属材料としてセラミックからなり、そのフランジ部60cには、調理皿60の周辺に沿って例えば多数の丸孔(孔部)61が、調理皿27の各辺ごとに並べて設けられている。この丸孔61はパンチング孔であって、図23に例示するように、前後の両側部に24箇所ずつ、左右の両側部に16箇所ずつ夫々形成されている。これにより、調理皿60は、その周辺の長さ方向に隣り合う丸孔61,61間の夫々に、繋ぎ部62が存する構成となる。また、調理皿60のフランジ部60cには、調理皿27のコーナー部30と同様のコーナー部63が形成されている。調理皿60の底壁60aにおいては、前述した反りを防止するための凹部33や注意を喚起する表示部34が何れも省略されている。
第5実施形態の調理皿60を加熱庫2内に設置してオーブン調理を行った場合、庫内を流れる熱風が上記フランジ部60cの丸孔61を通って流れ易くなるので、第1〜第4の実施形態と同様、熱風を庫内全体に行き渡らせることができ、加熱ムラの発生を極力防止できるようになる。また、調理皿60をセラミックから構成することで、マグネトロン28によるマイクロ波加熱の際に加熱庫2内に調理皿60を配置していても、スパークの発生を防止することができる。
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。
例えば、熱風循環ユニット12は、加熱庫2の奥壁2eに配置することに限られず、左側壁2c或いは右側壁2dに配置してもよい。
ダクト形成部材20,40は、下段吹出口7に対応する部位に限られず、上段吹出口5、中段吹出口6に対応する部位に配置してもよい。