JP5376933B2 - 管状支柱 - Google Patents

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Description

本発明は管状支柱、特に、道路等に設置される防護柵等の固定に用いられる管状支柱に関する。
従来、道路に設置されるガードレール、ガードパイプ、ガードケーブル、また橋梁に設置される高欄、さらに山間部等に設置される落石防止防護柵、雪崩防護柵等(本明細書において、これらを「防護柵等」と総称する)は、間隔を設けて設置された支柱に接合されている。かかる支柱は基礎に接合されたベースプレートに溶接接合され、車両、落石や雪崩等が衝突した際の衝突による衝撃力(正確には衝撃エネルギ)を吸収して車両落石や雪崩等を受け止める必要があることから、所定の剛性を有する鋼管(丸形金属管や角形金属管を含む)やH形鋼によって製造されている。
また、支柱自体の剛性を高めたのでは、支柱とベースプレートとの溶接部に亀裂が生じ、かえって衝撃エネルギの吸収量が増加しないことから、支柱の根元部分のうち変位時の伸張部分を補強する補強プレートを設け、根元部分が破断する確率を小さくする発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−294632号公報(第2−3頁、図1)
しかしながら、特許文献1に開示された発明における補強プレートは、支柱の内面に軸方向に対して直角に設置されている(即ち、ベースプレートと同方向(水平方向)に設置されている)ため、内側に向かう変形を拘束することはできるものの、支柱とベースプレートとの接合部に作用する引っ張り力によって、接合部(溶接部)に亀裂が一旦発生した場合、当該亀裂の進展を食い止めることができない。そうすると、引っ張り力が作用する範囲において前記溶接部が破断して支柱とベースプレートとが引き離されるため、所望の衝撃力を吸収することができないという問題があった。
本発明は、このような要請に応えるものであり、支柱とベースプレートとの接合部に亀裂が一旦発生したとしても、支柱とベースプレートとを繋ぎ止めることができる管状支柱を提供することを目的とする。
本発明に係る管状支柱は、以下の構成を有する。
(1)基礎に固定されるベースプレートと、
該ベースプレートに立設された管体と、
該管体が片持ち梁状に曲げられた際、引っ張り応力が発生する側の所定範囲に設置された補強板と、を有し、
前記管体の下端が前記ベースプレートに形成された支柱用孔に挿入し、且つ、前記下端の少なくとも前記引っ張り応力が発生する側が、前記支柱用孔の内面に接合され、
前記補強板の側縁が前記管体の内面の前記支柱用孔に挿入していない範囲に接合され、
前記補強板の下端が前記支柱用孔の内面に接合され
前記管体の下端と前記支柱用孔の内面とを接合する溶接部と、前記補強板の下端と前記支柱用孔の内面と接合する溶接部とが、離れていることを特徴とする。
)基礎に固定されるベースプレートと、
該ベースプレートに立設された管体と、
該管体が片持ち梁状に曲げられた際、引っ張り応力が発生する側の所定範囲に設置された補強板と、を有し、
前記管体の下端が前記ベースプレートに形成された支柱用孔に挿入し、
前記管体が断面矩形状で、且つ、前記補強板が垂直板部と水平板部とを具備する断面L字状であって、
前記垂直板部の側縁が前記管体の内面に接合され、
前記水平板部の周縁が前記ベースプレートの下面に接合されることを特徴とする。
)基礎に固定されるベースプレートと、
該ベースプレートに立設された管体と、
該管体が片持ち梁状に曲げられた際、引っ張り応力が発生する側の所定範囲に設置された補強板と、を有し、
前記管体の下端が前記ベースプレートに形成された支柱用孔に挿入し、
前記管体が断面円形状で、且つ、前記補強板が断面円弧状または平面状の垂直板部と、平面状の水平板部とを具備する断面L字状であって、
前記垂直板部の側縁が前記管体の内面に接合され、
前記水平板部の周縁が前記ベースプレートの下面に接合されることを特徴とする。
)前記()または()において、前記水平板部が前記ベースプレートの下面に形成された凹部に収容され、
前記水平板部の周縁が前記凹部に、または前記凹部と前記ベースプレートの下面との段差部に接合されることを特徴とする。
)前記(1)乃至()の何れかにおいて、前記管体が片持ち梁状に曲げられた際、前記管体の圧縮応力が発生する側で前記ベースプレートの近傍に、管軸方向に長い切欠部が形成されていることを特徴とする。
本発明に係る管状支柱は以上の構成であるから、以下の効果を奏する。
(i)補強板の側縁が管体の内面に接合され、下端が支柱用孔の内面に直接接合、または、管体の下端範囲を介して支柱用孔の内面に接合されるため、作用する曲げモーメントが最大になる位置が、支柱とベースプレートとを接合する溶接部およびその熱影響部(HAZ)に相当することから、当該部に亀裂が発生して支柱の一部が破断した場合であっても、支柱はベースプレートに繋ぎ止められている。
すなわち、支柱は補強板とは別体であるから、支柱に発生した亀裂が補強板に進展することはなく、補強板に作用する曲げモーメントが最大になる位置には、全幅に渡る熱影響部(HAZ)がないから、補強板が破断することはない。よって、補強板は支柱を支柱用孔の内面(ベースプレートに同じ)に繋ぎ止めたまま、十分に塑性変形する。
(ii)また、断面L字状の補強板の垂直板部の側縁が管体の内面に接合され、水平板部の周縁がベースプレートの下面に接合されるから、補強板を矩形板にして、その下端を支柱用孔の内面に溶接する場合に比べ、溶接作業が容易になると共に、溶接強度が増す。
また、水平板部の上面がベースプレートの下面に当接しているから、補強板に作用する引っ張り力の一部はベースプレートによって支持され、補強板とベースプレートとの溶接部の負担が低減する。よって、簡素な溶接であっても所望の溶接強度が保証されるから、溶接に要すコストがさらに低減する。
(iii)また、断面L字状の補強板の水平板部がベースプレートの下面に形成された凹部に収容されるから、水平板部の下面がベースプレートの下面から下方に突出することがない、あるいは、突出量を抑えることができる。よって、基礎の上面が平面であっても、該基礎の上面への設置が容易になる。
さらに、水平板部の周縁と、凹部とベースプレートの下面との段差部と、によって所定幅の溝を形成すれば、該溝が溶接開先となるから、溶接品質がより安定する。
(iv)さらに、断面L字状の補強板の垂直板部の側縁が管体の外面に接合され、水平板部の周縁がベースプレートの上面に接合されるから、溶接作業が容易になることによる製造コストの低減、および溶接品質が安定することによる衝撃エネルギの吸収量の保証が、可能になる。
特に、水平板部の面積または形状を変更することによって、ベースプレートとの溶接長さを適宜設定することができるから、所望の溶接強度が得られる。さらに、作用する曲げモーメントが最大になる位置が、支柱とベースプレートとを接合する溶接部およびその熱影響部(HAZ)に相当することから、当該部に亀裂が発生して支柱の一部が破断した場合であっても、支柱は補強板を介してベースプレートに接続されているため十分に塑性変形することになる。なお、補強板に作用する曲げモーメントが最大になる位置には、全幅に渡る熱影響部(HAZ)がないから、補強板が破断することはない。
(v)また、管体の圧縮応力が発生する側でベースプレートの近傍に、管軸方向に長い切欠部が形成されるから、該切欠部によって管体の塑性変形が促進され、衝撃エネルギの吸収量が増大する。
以下、本発明の実施の形態1〜4に係る管状支柱を図面に基づいて説明する。すなわち、実施の形態1として、板状の補強板を管状支柱の内面に設置したものを、実施の形態2、3として、断面L字状の補強板を管状支柱の外面に設置したものを、実施の形態4、5として、断面L字状の補強板を管状支柱の内面に設置したものを、それぞれ説明する。
なお、以下の説明および図において、同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。また、各図はそれぞれの部材を模式的に示すものであって、部材同士の相対的な大小関係や、部材のアスペクト比(縦横の比率)は図示する形態に限定されるものではない。
[実施の形態1]
(全体構成)
図1および図2は本発明の実施の形態1に係る角形管状支柱を模式的に示すものであって、図1の(a)は正面図、図1の(b)は側面図、図1の(c)は背面図、図1の(d)は平面図、図2の(a)は側面視の断面図、図2の(b)は平面視の断面図である。
図1および図2において、角形管状支柱1は道路や橋梁に設置されるものであって、矩形状の鋼板からなるベースプレート10と、ベースプレート10に立設された角形鋼管40(断面矩形の管体に相当する)と、ベースプレート10と角形鋼管40との接合を補強する補強板6と、図示しない防護柵等を設置するために角形鋼管40に設置された柵用材設置部30と、を有している。
(ベースプレート)
ベースプレート10は、矩形状の鋼板であって、中央に角形鋼管40が挿入(または嵌入)される支柱用孔14と、図示しない基礎に設置する際に、設置用ボルトが貫通する設置用孔13と、が形成されている。なお、矩形状の鋼板に替えて、丸形の鋼板であってもよい。
(角形鋼管)
角形鋼管40は、曲げ荷重が作用する面(引っ張り面に同じ)である正面41a(たとえば、道路側等)と、正面41aに対峙する背面(圧縮面に同じ)41cと、正面41aと背面41cとを連結する側面41b、41dとを有している。そして、各角部は円弧状に形成され、角形鋼管40の上端44の近くには、柵用材設置部30を設置するための柵用材固定用孔45が形成されている。
そして、角形鋼管40の下端43は、ベースプレート10に形成された支柱用孔14に挿入(または嵌入)され、角形鋼管40の外面とベースプレート10の上面11とが溶接部W1によって、角形鋼管40の下端43とベースプレート10の支柱用孔14の内面とが溶接部W2によって、それぞれ接合されている。
(補強板)
補強板6は、平板であって、側縁6a、6cが角形鋼管40の正面41aの内面(少なくとも溶接部W1よりも上の範囲)に溶接部W64によって接合され、下端6dは支柱用孔14の内面に溶接部W61によって接合されている。
なお、以上は、角形鋼管40において平板状の補強板6を設置したものを例示しているが、本発明はこれに限定するものではなく、丸形鋼管の内面に、断面円弧状の補強板を設置したものであってもよい。
(柵用材設置部)
柵用材設置部30の一例として、角形鋼管40の上端44の近くの正面(道路側)に設置される矩形部材31であって、柵用材を固定するための柵用材固定用孔33a、33b、34が形成されている。柵用材固定用孔35(道路側)と角形鋼管40に形成された柵用材固定用孔45(路外側)と対峙しているため、両者を貫通する共通のボルトによって柵用材を固定することができる。なお、柵用材固定用孔35(道路側)を省略した場合には、角形鋼管40に柵用材固定用孔45(路外側)は形成されない。また、柵用材設置部30の形態はこれに限定するものでなく、設置される柵用材の形状に応じて、適宜変更されるものである。
(補強板の作用)
図3および図4は本発明の実施の形態1に係る角形管状支柱における補強板の作用を説明するための模式的に示した断面図である。
図3の(a)において、角形鋼管40を曲げようとする外力(Q)が作用したとき、角形鋼管40の正面41aの肉厚方向(内面から外面に向けて)には、中立軸(図中、一点鎖線にて示す)から遠ざかるほど大きくなる引っ張り応力(+σ)が発生し、背面41cの肉厚方向(内面から外面に向けて)には、中立軸から遠ざかるほど大きくなる圧縮応力(−σ)が発生する。このとき、引っ張り応力(+σ)の正面41aの幅方向における合計を引っ張り力(F)とする。
図3の(b)において、補強板6が設置されない場合、正面41aの下部(溶接部W1に近い範囲)に作用する引っ張り力(Fw)は前記引っ張り力(F)に等しくなっている(Fw=F)。
図3の(c)において、溶接部W1またはその熱影響部(HAZ)に亀裂9が発生した場合、亀裂9の発生に伴って正面41aの下部の断面積が減少するため、亀裂9の伝播が促進され、正面41aの下部の全肉厚を貫通すると、正面41aはベースプレート10から引き離されることになる(Fw≒0)。そうすると、耐力が急激に低下することになる。
図4の(a)において、補強板6が設置されている場合に、前記引っ張り力(F)は、正面41aの下部に作用する引っ張り力(Fw)と、補強板6に作用する引っ張り力(Fp)とに分けられる(F=Fw+Fp)。
すなわち、溶接部W1に作用する引っ張り力は減少するから、溶接部W1またはその熱影響部に亀裂が発生し難くなる。
仮に、溶接部W1の溶接肉盛部自体、溶接肉盛部と角形鋼管40の母材との境界、あるいは溶接による母材の熱影響部等において亀裂9が発生したとしても、補強板6が取り付けられていることによって、亀裂9の発生に伴う正面41aの下部の断面積の減少割合は緩和されるから、亀裂9に作用する力の増加分が少ない。このため、亀裂9が角形鋼管40の正面41aの下部の全幅に加速度的に伝播することが抑えられる。
図4の(b)において、さらに、亀裂9が正面41aの下部の全幅に渡って全厚さを貫通したとしても、補強板6は角形鋼管40とは別体であるから、貫通した亀裂9が補強板6に侵入(伝播)することはない。
また、補強板6は、側縁6a、6cに限って溶接部W64(図2の(b)に表示)の熱影響を受けるが、引っ張り力に対しての影響度は低いうえに、側縁6a、6cを除く幅方向の範囲は溶接の熱影響を受けないから、補強板6に作用する引っ張り力(Fp)が増大しても補強板6に亀裂が発生することはない(正確には、相当に過大に変形を受けた場合には、亀裂が発生する)。
すなわち、正面41の下部の厚さを補強板6の厚さ分だけ単に増肉した角形鋼管40では、一旦発生した亀裂が伝播して全厚さを貫通するおそれがあり、当該範囲において正面41aとベースプレート10とが離れる。
これに対し、本発明では、別体である補強板6が取り付けられているため、角形鋼管40に発生した亀裂9が補強板6に侵入(伝播)しないから、角形鋼管40の正面41aの上部(溶接部W1から離れた範囲)は、補強板6によってベースプレート10に繋ぎ止められる。よって、角形鋼管40は所望の耐力および変形量を維持することができる。
つまり、正面41aの上部に作用する引っ張り力(F)を、補強板6が支えることになる(Fp≒F)。よって、補強板6は、溶接部W1に作用する引っ張り力を緩和するという作用効果を奏すると共に、角形鋼管40に亀裂が発生しても角形鋼管40の正面41a(引っ張り側)をベースプレート10から離れないようにするという作用効果を奏するから、耐力の急激な低下を防止して、衝撃エネルギの吸収能力の増加に寄与している。
図5は特許文献1に開示された補強プレートの作用を補足説明する模式的に示す側面視の断面図である。
図5の(a)において、角形鋼管40の内面に溶接部W74によって補強プレート7が接合されている。したがって、補強プレート7には、正面41aに作用する引っ張り力(F)が流れ込むことがない。
図5の(b)において、したがって、正面41aに亀裂9が発生した場合には、補強板6が設置されない場合(図3の(c)参照)と同様に、角形鋼管40の正面41aはベースプレート10から離れ、耐力が急激に低下することになる。
[実施の形態2]
(全体構成)
図6〜図8は本発明の実施の形態2に係る角形管状支柱を模式的に示すものであって、図6の(a)は正面図、図6の(b)は側面図、図6の(c)は背面図、図6の(d)は平面図、図7の(a)は正面から見た斜視図、図7の(b)は背面から見た斜視図、図8の(a)は側面視の断面図、図8の(b)は平面視の断面図である。
図6〜図8において、角形管状支柱2は道路や橋梁に設置されるものであって、矩形状の鋼板からなるベースプレート10と、ベースプレート10に立設された角形鋼管40(断面矩形の管体に相当する)と、ベースプレート10と角形鋼管40との接合を補強する補強板20と、図示しない防護柵等を設置するために角形鋼管40に設置された柵用材設置部30と、を有している。
(ベースプレート)
ベースプレート10は、矩形状の鋼板であって、中央に角形鋼管40が挿入(または嵌入)される支柱用孔14と、図示しない基礎に設置する際に、設置用ボルトが貫通する設置用孔13と、が形成されている。なお、矩形状の鋼板に替えて、丸形の鋼板であってもよい。なお、支柱用孔14の形成を省略して、角形鋼管40の下端43をベースプレート10の上面11に当接して固定するようにしてもよい。
(角形鋼管)
角形鋼管40は、曲げ荷重が作用する面(引っ張り面に同じ)である正面41a(たとえば、道路側等)と、正面41aに対峙する背面(圧縮面に同じ)41cと、正面41aと背面41cとを連結する側面41b、41dとを有している。そして、正面41aと側面41bとが断面円弧状の角部42abを形成し、側面41bと背面41cとが断面円弧状の角部42bcを形成し、背面41cと側面41dとが断面円弧状の角部42cdを形成し、側面41dと正面41aとが断面円弧状の角部42daを形成している。
さらに、角形鋼管40の上端44の近くには、柵用材設置部30を設置するための柵用材固定用孔45が形成されている。
そして、角形鋼管40の下端43は、ベースプレート10に形成された支柱用孔14に挿入(または嵌入)され、角形鋼管40の外面とベースプレート10の上面11とが溶接部W1によって、角形鋼管40の下端43とベースプレート10の支柱用孔14の内面とが溶接部W2によって、それぞれ接合されている。
なお、ベースプレート10に支柱用孔14が形成されない場合には、角形鋼管40の下端43がベースプレート10の上面11に当接し、溶接部W1のみにおいて上面11に接合される。
(縦スリット)
また、角形鋼管40の隣接する一対の角部42bc、42cdには縦スリット50bc、50cd(切欠部に相当する)がそれぞれ形成されている。なお、以下の説明において、縦スリット50bcおよび縦スリット50cdを、まとめてまたはそれぞれを「縦スリット50」と総称する場合がある。
縦スリット50は、角形鋼管40の下端43に到達する貫通溝であって、ベースプレート10の上面11からの距離(H)が40mm以上で75mm以下(40mm≦H≦75mm)である。なお、縦スリット50の幅は限定するものではなく、高さ方向で縦スリット50の範囲において、背面41cと側面41bとの間と、背面41cと側面41dとの間と、の双方でそれぞれ力の受け渡しが不能(力学的に絶縁状態)であればよい。したがって、当接してもよい(隙間がなくてもよい)。
なお、縦スリット50の幅(隙間)を広くするほど、角形鋼管40の塑性変形をする体積が減少するから、約5mm以下に抑えるのが好適である。
なお、縦スリット50の下端は角形鋼管40の下端43に到達しないもので、角形鋼管40のベースプレート10の支柱用孔14に挿入した範囲(上面11よりも下方の範囲に同じ)が、平面視で連続した矩形状(いわゆる「たが(フープ)」)を呈してもよい。
さらに、角部42bc、42cdに替えて、背面41cに1または2以上の縦スリット50を設けてもよく、縦スリット(板厚を貫通している)50に替えて、板厚を貫通しない溝(内面に形成された凹条、外面に形成された凹条、両面に形成された対向する凹条で板厚の中間に底を有する)であってもよい。
さらに、後記するように、角形管状支柱2は補強板20を有することによって溶接部W1、W2またはその熱影響部の破断が防止され、しかも、破断したとしても正面41aはベースプレート10に接合されたままであるから、縦スリット50の設置を省略しても、所望の終局変形量が得られるため、所望の衝撃エネルギを吸収することができる。
(補強板)
補強板20は、平面状の垂直板部21と平面状の水平板部23とが、屈曲部22において繋がった断面L字状であって、垂直板部21が角形鋼管40の正面41aの外面に接合され、水平板部23がベースプレート10の上面11に接合されている。なお、屈曲部22は所定の曲率半径を有しているから、屈曲部22が、角形鋼管40とベースプレート10の上面11とを接合する溶接部W1に干渉することはない。
すなわち、垂直板部21の側縁21a、21cおよび端縁21bが正面41aの外面に溶接部W21によって接合されている。
なお、端縁21bにおける溶接あるいは側縁21a、21cの屈曲部22に近い範囲における溶接を省略してもよい。また、溶接部W21は断続してもよい。また、水平板部23の側縁23a、23cおよび端縁23bがベースプレート10の上面11に溶接部W23によって接合されている。なお、溶接部W23は断続してもよい。
よって、周囲が開放している状態で、溶接作業を実行することができるから、溶接が容易になり、溶接品質が保証される。
また、角形鋼管40に作用した引っ張り力は、補強板20を経由してベースプレート10に伝達されるから、角形鋼管40とベースプレート10との溶接部W1、W2に作用する引っ張り力が緩和され、当該部位における破断が防止される。
さらに、角形鋼管40に作用する曲げモーメントが最大になる位置(引っ張り応力が最大になる位置)が、溶接部W1の正面41aの範囲に一致しているため、当該範囲またはその熱影響部(HAZ)に亀裂が発生して正面41aの一部が破断した場合であっても、正面41aは補強板によってベースプレート10に接続されているから、角形鋼管40は十分に塑性変形することになる。
なお、補強板20の最大モーメントが作用する位置は屈曲部22であるが、当該位置には全幅に渡る熱影響部(HAZ)がないから、補強板20が破断することはない(図4参照)。
そうすると、角形管状支柱2は、角形鋼管40の正面41aがベースプレート10から引き離されない(または、引き離され難い)構造であるから、溶接部W1の正面41aの範囲の形成を省略してもよい。また、縦スリット50の設置を省略して、溶接部W1、W2に比較的大きな引っ張り力が作用するようにしてもよい。
(柵用材設置部)
柵用材設置部30の一例として、角形鋼管40の上端44の近くの正面(道路側)に設置される矩形部材31であって、柵用材を固定するための柵用材固定用孔33a、33b、34が形成されている。柵用材固定用孔35(道路側)と角形鋼管40に形成された柵用材固定用孔45(路外側)と対峙しているため、両者を貫通する共通のボルトによって柵用材を固定することができる。なお、柵用材固定用孔35(道路側)を省略した場合には、角形鋼管40に柵用材固定用孔45(路外側)は形成されない。また、柵用材設置部30の形態はこれに限定するものでなく、設置される柵用材の形状に応じて、適宜変更されるものである。
(変形挙動)
図9は、図6に示す角形管状支柱2を曲げた際の変形挙動を模式的に示す斜視図であって、(a)は変形の初期、(b)および(c)は変形の終期を示している。なお、図中の各部位の寸法(大小関係)は限定するものではなく、また、局部変形による増肉や減肉については図示しない。また、図面を簡単にするため、設置用ボルトがベースプレート10の設置用孔13を貫通しているが、これらを図示しない。
図9において、角形管状支柱2は、背面41cの方向に作用する略水平方向の荷重が、正面41aに作用するものであって、圧縮力を受ける背面41cと側面41bの角部42bcに、管軸方向に長い縦スリット50bc(図中、A1−B1−C1−F1−E1−D1−A1で囲まれた範囲)と、圧縮力を受ける背面41cと側面41dの角部42cdに、管軸方向に長い縦スリット50cd(図中、A2−B2−C2−F2−E2−D2−A2で囲まれた範囲に同じ)とを具備している。
このため、高さ方向で縦スリット50の範囲において、背面41cと側面41bとは縦スリット50bcによって力の受け渡しが不能(力学的に絶縁状態)であり、背面41cと側面41dとは縦スリット50cdによって力の受け渡しが不能(力学的に絶縁状態)になっている。
曲げ荷重が小さい初期では、角形管状支柱2の圧縮力を受ける背面41cは、縦スリット50bcと縦スリット50cdとによって挟まれた矩形範囲(A1−B1−C1−C2−B2−A2−A1で囲まれた範囲に同じ)が、板材として角形鋼管40の内部に向かって凸状に撓もうとする。このため、当該範囲は、内部に陥入(侵入)するように弓なりに変形する。すなわち、当該範囲は軸方向に圧縮されながら、曲げられている(図4の(a)参照)。そして、曲げようとする荷重が大きくなると、当該範囲は、断面Ω(オメガ)字状に大きく塑性変形する。
また、角形鋼管40の側面41b(引っ張り側の正面41aと圧縮側の背面41cとを繋ぐ面に同じ)は、正面41aに近い範囲が引っ張り力を受け、背面41cに近い範囲が圧縮力を受ける。このとき、角部42bcに位置している縦スリット50bcの側面41b側の側縁(D1−E1−F1)および、角部42cdに位置している縦スリット50cdの側面41d側の側縁(D2−E2−F2)は、軸方向に圧縮を受けている。そして、曲げ荷重または角形鋼管40の非対称性によって、側縁(D1−E1−F1)および側縁(D2−E2−F2)は、内面側または外面側に向かって、座屈状に変形する(図4の(b)参照)。
なお、角形鋼管40の側面41b、41dは、正面41aに近い範囲では引っ張り力が作用しているため、かかる座屈状の変形の程度は、正面41aに近づく程小さくなっている。
また、補強板20は屈曲部22における曲率半径が大きくなり、垂直板部21は角形鋼管40の正面41aの伸びに応じて伸びている。このとき、溶接部W21および溶接部W23は、十分に長いため、溶接部W21および溶接部W23またはその熱影響部に亀裂が発生することはない(図4の(c)参照)。
以上のように、角形管状支柱2は、背面41cの縦スリット50bcと縦スリット50cdとによって挟まれた範囲における大きな塑性変形と、側面41bおよび側面41dの座屈状の変形とによって、大きな衝撃エネルギを吸収することが可能になっている。
そして、角形鋼管40が曲げられた際に、作用する引っ張り力は、溶接部W1、W2のうち正面41aとベースプレート10との範囲と、補強板20の溶接部W21、W23との双方に分担されるから、溶接部それぞれに作用する引っ張り力が緩和されている。すなわち、正面41aにおける溶接部W1、W2(特に、溶接部W1)およびその熱影響部の破断が防止されている。
さらに、補強板20は、単純に正面41aの板厚を増大させるだけのものではなく、ベースプレート10に接合されているから、仮に、溶接部W1またはその熱影響部に亀裂が発生した場合であっても、補強板20が破断しない限り、正面41aとベースプレート10とが分離することがない。よって、角形鋼管40は十分に大きな塑性変形がすることになる(図4の(c)参照)。
(縦スリットのバリエーション)
図10は、図6に示す角形管状支柱における縦スリットのバリエーションを模式的に示す側面図(正確には、側面と背面とを同時に見ている)である。
図10の(a)は、下端43に到達する長方形の縦スリット(貫通溝に同じ)50aである。なお、上端隅部を円弧にしてもよい。また、長方形の幅(短辺の長さ)は限定されるものではなく、離反可能に当接してもよい。
図10の(b)は、下端43に到達する三角形の縦スリット50bである。なお、頂点を円弧にしてもよい。
図10の(c)は、下端43に到達する台形状の縦スリット50cである。なお、上端隅部を円弧にしたり、上端(台形においては底辺)を円弧にしたりしてもよい。
図10の(d)は、下端43に到達する略菱形の縦スリット50dである。したがって、変形の初期において、側縁の中央(幅が広い)に変形が集中する。なお、上端隅部を円弧にしたり、上端(台形においては底辺)を円弧にしたりしてもよい。さらに、く字状の側縁を円弧にしてもよい。
図10の(e)は、下端43に到達する幅の狭い縦スリット50eであり、その管軸方向の中央に貫通孔59eが形成されている。したがって、変形の初期において、貫通孔59eに変形が集中する。なお、縦スリット50eの幅(側縁同士の隙間)は限定されるものではない。
図11は、図6に示す角形管状支柱における縦スリットのバリエーションを模式的に示す側面図(正確には、側面と背面とを同時に見ている)である。図11の(a)、(b)・・・はそれぞれ図10の(a)、(b)・・・に対応し、図11に示す縦スリット60a、60b・・・の下端は、角形鋼管40の下端43に到達していない。
図11の(a)は、下端43に到達しない長方形の縦スリット(貫通溝に同じ)60aである。しかしながら、角形鋼管40がベースプレート10に設置された状態では、下端部は支柱用孔14に侵入しているから、縦スリット60aの下端はベースプレート10の上面11よりも下方または同一面に位置している。なお、角形鋼管40の下端43は全周が繋がっているから、溶接部W2の形成が容易になる。
(縦スリットのバリエーション)
図12は、図6に示す角形管状支柱における縦スリットのバリエーションを模式的に示す平面視の断面図である。
図12の(a)は、略V字状の底付き凹溝70aである。このとき、凹溝70aの底の最奥部71aに変形が集中するから、凹溝70aは極めて容易に破断する。よって、凹溝70aの周囲は、早期にかつ確実に縦スリット50に類似した変形挙動をする。なお、凹溝70aの深さ(残肉の厚さ)や最奥部71aの曲率半径は限定するものではない。また、凹溝70aは角部の外側に限定するものではなく、内側(隅部)に形成してもよい。
図12の(b)は、略コ字状の底付き凹溝70bである。このとき、凹溝70aの底71bは、管軸方向の中央から破断が進むものと考えられる。なお、凹溝70aの幅は限定するものではない。また、凹溝70bは角部の外側に限定するものではなく、内側(隅部)に形成してもよい。
図12の(c)は、円弧状の底付き凹溝70cである。このとき、凹溝70cの底の最奥部71cに変形が集中するものの、略V字状の凹溝70cよりは変形の集中が少ないから、曲げ荷重が僅かな場合、凹溝70cは破断することなく、凹溝70cの塑性変形だけで衝撃エネルギを吸収することができる。また、凹溝70cは角部の外側に限定するものではなく、内側(隅部)に形成してもよい。
図12の(d)は、底面視(断面に同じ)において、角形鋼管40の内面および外面の両方に略V字状の底付き凹溝70d、70eを形成したものである。このとき、凹溝70dの底の最奥部71dと凹溝70eの底の最奥部71eとが対峙する位置(以下「最薄肉部」と称す)72dに、変形が集中するから、最薄肉部72dは極めて容易に破断する。よって、凹溝70の周囲は、早期にかつ確実に縦スリット50に類似した変形を開始する。
なお、前記のように、凹溝70はその底が破断した後は縦スリット50と同様の変形挙動を呈し、一方、縦スリット60は縦スリット50と同様の変形挙動を呈するから、凹溝70の下端を角形鋼管40の下端43に到達しないものにしても、縦スリット50と同様の変形挙動を得ることができる。すなわち、縦スリット60の肉厚を貫通しないで、底を具備する凹溝にしてもよい。
[実施の形態3]
図13は本発明の実施の形態3に係る丸形管状支柱を模式的に示すものであって、図8の(a)は正面側から見た斜視図、図8の(b)は側面視の断面図である。
図13において、丸形管状支柱3は、実施の形態2における角形鋼管40を丸形鋼管80に変更すると共に、平面状の垂直板部21を具備する補強板20を、断面円弧状の垂直板部91を具備する補強板90に変更したものである。
すなわち、補強板90は、断面円弧状の垂直板部91と、平面状の水平板部93とが、屈曲部92において繋がっている。このとき、垂直板部91の凹面側の曲率半径は、丸形鋼管80の外径の曲率半径に略同じであって、垂直板部91の側縁91a、91cおよび端縁91bが、丸形鋼管80の正面81a(曲げられた際に、引っ張り力が作用する側)に溶接部W91において接合されている。一方、水平板部93は側縁93a、93cおよび端縁93bが溶接部W93においてベースプレート10に接合されている。
また、ベースプレート10には、支柱用孔14が形成されていないから、丸形鋼管80の下端83は、ベースプレート10の上面11に当接し、溶接部W3において接合されている。
なお、ベースプレート10に支柱用孔14が形成された場合には、丸形鋼管80の下端83は支柱用孔14に侵入して、支柱用孔14の内面との間で溶接されることになる(実施の形態2参照)。
したがって、丸形管状支柱3は、角形管状支柱2(実施の形態2)と同様に、丸形鋼管80に作用した引っ張り力は、補強板90を経由してベースプレート10に伝達されるから、丸形鋼管80とベースプレート10との溶接部W3に作用する引っ張り力が緩和され、当該部位における破断が防止される。
さらに、丸形鋼管80に作用する曲げモーメントが最大になる位置が、溶接部W3に一致しているため、溶接部W3の熱影響部(HAZ)に亀裂が発生して正面81aの一部が破断した場合であっても、正面81aは補強板90によってベースプレート10に接続されているから、丸形鋼管80は十分に塑性変形することになる。なお、補強板90に作用する曲げモーメントが最大になる位置は屈曲部92であるが、当該位置には全幅に渡る熱影響部(HAZ)がないから、補強板90が破断することはない(図4の(c)参照)。
そうすると、丸形管状支柱3は、丸形鋼管80の正面81aがベースプレート10から引き離されない(または、引き離され難い)構造であるから、溶接部W3の正面81aの範囲の形成を省略してもよい。
また、実施の形態2に準じて、正面81aに対向する背面(圧縮力が作用する)に縦スリット50、60,70に準じた切欠部を形成して、圧縮側における丸形鋼管80の塑性変形を促進してもよい。
[実施の形態4]
図14は本発明の実施の形態4に係る角形管状支柱を模式的に示すものであって、図14の(a)は底面図、図14の(b)は側面視の断面図である。
図14において、角形管状支柱4は、実施の形態2における角形鋼管40の外面に設置された補強板20を、角形鋼管40の内面に設置したものである。
このとき、ベースプレート10の下面15には、補強板20の水平板部23を収容可能な凹部16が形成され、補強板20の垂直板部21が角形鋼管40の正面41aの内面に接合され、水平板部23がベースプレート10の凹部16に収容されている。
すなわち、垂直板部21の側縁21a、21cが角形鋼管40の正面41aの内面に溶接部W21によって固定(すみ肉溶接)されている。また、水平板部23の側縁23a、23cおよび端縁23bと、ベースプレート10の下面15と凹部16との段差部17(垂直面または斜面)と、の間に隙間が形成され、該隙間が溶接開先として機能し、ここにおける溶接部W23によって水平板部23がベースプレート10に固定(突き合わせ溶接)されている。
したがって、実施の形態2と同様に、角形鋼管40とベースプレート10との溶接部W1、W2に作用する引っ張り力が緩和され、当該部位における破断が防止される。
さらに、溶接部W1の熱影響部(HAZ)に亀裂が発生して正面41aの一部が破断した場合であっても、正面41aは補強板によってベースプレート10に接続されているから、角形鋼管40は十分に塑性変形することになる。なお、補強板20の最大モーメントが作用する位置は屈曲部22であるが、当該位置には全幅に渡る熱影響部(HAZ)がないから、補強板20が破断することはない((図4の(c)参照)。
特に、補強板20の水平板部23は、ベースプレート10の凹部16に当接しているから、補強板20に作用する引っ張り力は凹部16に支持されるから、溶接部W23の負担が小さくなる分、溶接品質の信頼性が向上する。また、水平板部23の側縁23a、23cおよび端縁23bと、段差部17との間が溶接開先として機能するから、突き合わせ溶接として溶接作業が容易になると共に、溶接品質が向上する。なお、溶接部W23は断続してもよい。
さらに、補強板20の水平板部23の下面が、ベースプレート10の下面15より下方に突出しないから、角形管状支柱4を、上面が平坦な基礎に設置する作業が容易になる(突出部を収納する凹部を、基礎に形成する必要がない)。もっとも、凹部16を形成することなく、水平板部23の上面をベースプレート10の下面15に当接して、側縁23a、23cおよび端縁23bを固定(すみ肉溶接)するようにしても、前記効果に準じた効果が得られるものである。
また、実施の形態1に準じて、正面41aに対向する背面(圧縮力が作用する)41cに縦スリット50、60または凹溝70を形成して、角形鋼管40の圧縮側における塑性変形を促進してもよい。
[実施の形態5]
図15は本発明の実施の形態5に係る角形管状支柱を模式的に示すものであって、図15の(a)は平面視の断面図、図15の(b)は側面視の断面図である。
図15において、丸形管状支柱5は、実施の形態4における角形鋼管40を丸形鋼管80に変更すると共に、ベースプレート10の下面15に凹部16を形成しないものである。このとき、丸形鋼管80の下端83は、ベースプレート10に形成された支柱用孔14に挿入(または嵌入)され、丸形鋼管80の外面とベースプレート10の上面11とが溶接部W3によって、丸形鋼管80の下端83と支柱用孔14の内面とが溶接部W4によって、それぞれ接合されている。
したがって、実施の形態4と同様に、丸形鋼管80とベースプレート10との溶接部W3、W4に作用する引っ張り力が緩和され、当該部位における破断が防止される。
さらに、溶接部W3の熱影響部(HAZ)に亀裂が発生して正面81aの一部が破断した場合であっても、正面81aは補強板によってベースプレート10に接続されているから、丸形鋼管80は十分に塑性変形することになる。
特に、補強板20の水平板部23は、ベースプレート10の下面15に当接しているから、補強板20に作用する引っ張り力は下面15に支持され、溶接部W23の負担が小さくなる分、溶接品質の信頼性が向上する(図4の(c)参照)。
なお、補強板20に替えて、補強板90(実施の形態3参照)を用いてもよい。このとき、補強板90の垂直板部91の凸面側の曲率半径を、丸形鋼管80の内面の曲率半径に略同じにしておけば、垂直板部91は丸形鋼管80の内面に広い範囲で当接する。
また、実施の形態4に準じて、ベースプレート10の下面15に凹部16を形成してもよい。また、実施の形態2に準じて、正面81aに対向する背面(圧縮力が作用する)に縦スリット50、60または凹溝70を形成して、丸形鋼管80の圧縮側における塑性変形を促進してもよい。
[その他:柵用材設置部のバリエーション]
図16〜図18は柵用材設置部のバリエーションを模式的に示すものであって、それぞれ(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。
図16において、柵用材設置部230は、角形鋼管40の上端44の近くと管軸方向の中央部との正面(道路側)に、それぞれブラケット232a、232bを介して設置される柵用材(鋼管部材)231a、231bである。なお、柵用材設置部230の形態はこれに限定するものでなく、設置される柵用材の数量や形状に応じて、適宜変更されるものである。
図17において、柵用材設置部330は、正面視(背面視に同じ)において略コ字状に曲げられ板材(水平部331、鉛直部332a、332bを具備する)であって、鉛直部332a、332bには、角形鋼管40に形成された取付孔46a、46bを貫通する取付ボルト(図示しない)が貫通する取付孔334a、334bが形成されている。
また、鉛直部331a、331bの正面側はそれぞれ折り曲げられ、柵用材固定部333a、333bが形成されている。そして、柵用材固定部333aおよび柵用材固定部333bには、それぞれ柵用材を固定するための柵用材固定用孔335a、336aおよび柵用材固定用孔335b、336bが形成されている。
図18において、柵用材設置部430は、角形鋼管40の上端44に形成された上端段差47に設置される断面L字状部材431(鉛直部432および水平部433を具備する)と、角形鋼管40の管軸方向の略中央に設置される矩形部材435とから形成されている。
断面L字状部材431の水平部433および矩形部材435には、それぞれ柵用材を固定するための柵用材固定用孔434a、434bおよび柵用材固定用孔436a、436bが形成されている。
本発明は以上の構成であるため、補強板の溶接作業を容易且つ安定したものにして、製造コストを抑えると共に、衝撃エネルギの吸収能力を保証することができるから、防護柵等(ガードレール、ガードパイプ、ガードケーブル、高欄、落石防止防護柵、雪崩防護柵等を総称している)を支持する支柱として利用されるだけでなく、様々な目的に応じて配置される様々な形態の部材を支持する支柱として広く利用することができる。
本発明の実施の形態1に係る角形管状支柱を模式的に示す正面図等。 図1に示す角形管状支柱の側面視および平面視の断面図。 図1に示す角形管状支柱における補強板の作用を説明するための断面図。 図1に示す角形管状支柱における補強板の作用を説明するための断面図。 特許文献1に開示された補強プレートの作用を補足説明する断面図。 本発明の実施の形態2に係る角形管状支柱を模式的に示す正面図等。 本発明の実施の形態2に係る角形管状支柱を模式的に示す斜視図。 本発明の実施の形態2に係る角形管状支柱を模式的に示す断面図。 図6に示す角形管状支柱を曲げた際の変形挙動を模式的に示す斜視図。 図6に示す角形管状支柱の縦スリットのバリエーションを示す側面図。 図6に示す角形管状支柱の縦スリットのバリエーションを示す側面図。 図6に示す角形管状支柱の縦スリットのバリエーションを示す断面図。 本発明の実施の形態3に係る丸形管状支柱を示す斜視図と断面図。 本発明の実施の形態4に係る角形管状支柱を示す底面図と断面図。 本発明の実施の形態5に係る角形管状支柱を示す断面図と断面図。 柵用材設置部のバリエーションを示す正面図と、側面図と、背面図。 柵用材設置部のバリエーションを示す正面図と、側面図と、背面図。 柵用材設置部のバリエーションを示す正面図と、側面図と、背面図。
符号の説明
1 角形管状支柱(実施の形態1)
2 角形管状支柱(実施の形態2)
3 丸形管状支柱(実施の形態3)
4 角形管状支柱(実施の形態4)
5 丸形管状支柱(実施の形態5)
6 補強板
9 亀裂
10 ベースプレート
11 上面
13 設置用孔
14 支柱用孔
15 下面
16 凹部
17 段差部
20 補強板
21 垂直板部
21a 側縁
21b 端縁
21c 側縁
22 屈曲部
23 水平板部
23a 側縁
23b 端縁
23c 側縁
30 柵用材設置部
31 矩形部材
33a 柵用材固定用孔
35 柵用材固定用孔
40 角形鋼管
41a 正面
41b 側面
41c 背面
41d 側面
43 下端
44 上端
45 柵用材固定用孔
46a 取付孔
46b 取付孔
47 上端段差
50 縦スリット
60 縦スリット
70 凹溝
80 丸形鋼管
81a 正面
83 下端
90 補強板
91 垂直板部
91a 側縁
91b 端縁
92 屈曲部
93 水平板部
93a 側縁
93b 端縁
93c 側縁
230 柵用材設置部
232a ブラケット
330 柵用材設置部
331 水平部
331a 鉛直部
332a 鉛直部
333a 柵用材固定部
333b 柵用材固定部
334a 取付孔
335a 柵用材固定用孔
336b 柵用材固定用孔
430 柵用材設置部
431 L字状部材
432 鉛直部
433 水平部
434a 柵用材固定用孔
435 矩形部材
436a 柵用材固定用孔
W1 溶接部
W2 溶接部
W21 溶接部
W23 溶接部
W3 溶接部
W4 溶接部
W61 溶接部
W64 溶接部
W91 溶接部
W93 溶接部

Claims (5)

  1. 基礎に固定されるベースプレートと、
    該ベースプレートに立設された管体と、
    該管体が片持ち梁状に曲げられた際、引っ張り応力が発生する側の所定範囲に設置された補強板と、を有し、
    前記管体の下端が前記ベースプレートに形成された支柱用孔に挿入し、且つ、前記下端の少なくとも前記引っ張り応力が発生する側が、前記支柱用孔の内面に接合され、
    前記補強板の側縁が前記管体の内面の前記支柱用孔に挿入していない範囲に接合され、
    前記補強板の下端が前記支柱用孔の内面に接合され
    前記管体の下端と前記支柱用孔の内面とを接合する溶接部と、前記補強板の下端と前記支柱用孔の内面と接合する溶接部とが、離れていることを特徴とする管状支柱。
  2. 基礎に固定されるベースプレートと、
    該ベースプレートに立設された管体と、
    該管体が片持ち梁状に曲げられた際、引っ張り応力が発生する側の所定範囲に設置された補強板と、を有し、
    前記管体の下端が前記ベースプレートに形成された支柱用孔に挿入し、
    前記管体が断面矩形状で、且つ、前記補強板が垂直板部と水平板部とを具備する断面L字状であって、
    前記垂直板部の側縁が前記管体の内面に接合され、
    前記水平板部の周縁が前記ベースプレートの下面に接合されることを特徴とする管状支柱。
  3. 基礎に固定されるベースプレートと、
    該ベースプレートに立設された管体と、
    該管体が片持ち梁状に曲げられた際、引っ張り応力が発生する側の所定範囲に設置された補強板と、を有し、
    前記管体の下端が前記ベースプレートに形成された支柱用孔に挿入し、
    前記管体が断面円形状で、且つ、前記補強板が断面円弧状または平面状の垂直板部と、平面状の水平板部とを具備する断面L字状であって、
    前記垂直板部の側縁が前記管体の内面に接合され、
    前記水平板部の周縁が前記ベースプレートの下面に接合されることを特徴とする管状支柱。
  4. 前記水平板部が前記ベースプレートの下面に形成された凹部に収容され、
    前記水平板部の周縁が前記凹部に、または前記凹部と前記ベースプレートの下面との段差部に接合されることを特徴とする請求項または記載の管状支柱。
  5. 前記管体が片持ち梁状に曲げられた際、前記管体の圧縮応力が発生する側で前記ベースプレートの近傍に、管軸方向に長い切欠部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の管状支柱。
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