JP5376409B2 - 光源装置および光照射装置 - Google Patents

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Description

この発明は、交流駆動される放電ランプと凹面反射鏡とからなる光源装置および該光源装置を複数配列した光照射装置に関するものであり、特に、光が上向きに出射される光源装置および光照射装置に係わるものである。
従来、半導体、液晶基板およびカラーフィルタ等の被処理物の製造工程においては、入力電力の大きな紫外線光源を使用されている。紫外線光源として用いられているのは、水銀蒸気或いは希ガスを封入した管球内で電極間にアーク放電を発生させるタイプの高圧放電ランプである。
近時、処理速度の短縮化や処理面積の大型化などにより、消費電力が数kW乃至数10kWの高出力のランプが要求されており、それにともなって、1本の大型ランプの代わりに、小型の放電ランプを用いた光源装置を複数配列した光照射装置が使用されるようになってきた。
このような使用目的に、通常はプロジェクタ装置の光源として使用されている小型の放電ランプが用いられている。特許文献1(特開2007−5588号公報)がそのひとつの例である。
図4(A)、(B)にこの従来技術が示されていて、(A)は一部横断面図、(B)はその装置正面図である。(B)で示すように、光照射装置20は多数の光源装置21を縦方向と横方向に配列したものからなる。各光源装置21は、例えば0.08mg/mm以上の水銀が封入された放電ランプ22と、該放電ランプ22が組み込まれた凹面反射鏡23とからなり、前記放電ランプ22の中心軸と凹面反射鏡23の光軸が一致するように配置されている。
該光源装置21は、図4(A)に示すように、また同文献1の段落0026に記載されているように、放電ランプ22および凹面反射鏡23が水平方向に向くように配置され、該凹面反射鏡23からの光は水平方向に放射される。
そして、この光源装置および光照射装置は、波長300nm〜400nmの光を主に被処理物に照射することによって、放射強度を高めて、半導体の製造工程や液晶表示基板の製造工程における露光処理を行っている。
図5に該光照射装置20を用いた露光装置の一例が示されている。
光照射装置20からの放射光は、インテグレータ25を経て折り返しミラー26により折り返され、マスク27を介してマスクステージ28上のワークWに照射されるものである。
ところで、前記した大型の放電ランプを用いた光照射装置においては、ランプが大型化したことから、露光装置に組み合わせる場合に、主にその取り扱い上の利便性を考慮して、放電ランプを装置の下方に配置して、反射鏡から上向きに光を出射する構造が多く採用されている。
そのため、特許文献1に示されるような小型の放電ランプと凹面反射鏡からなる光源装置を多数配列した光照射装置を、上記した従来の露光装置の光照射装置として代替しようとすると、光源装置の凹面反射鏡を上向きに配置して上方に光を出射する構成とすることが求められ、必然の結果として放電ランプも垂直方向に配置されることになる。
このように、放電ランプを水平点灯から垂直点灯に変更し、かつ、反射鏡も上方に光を出射するように開口部を上方に向けて配置する場合、放電ランプの周囲の熱的状況が変わるので、波長300nm〜400nmの出力を維持するためにはランプを調整することが必要になってくる。
ところで、特許文献2(特開2003−347071号公報)に、放電ランプを垂直点灯したときに、一対の上下電極の温度を互いに一致させるために、交流点灯のデューティ比を変更させることが提案されている。
しかしながら、この従来技術では、ランプは垂直配置ではあるものの、反射鏡は水平配置されていて、反射鏡からの光も水平方向に出射されていくものである。
このような配置は上記した従来から存在する露光装置の光照射装置用の代替光源装置としては適用することができず、本願発明が対象とする、図2に示すような、凹面反射鏡もその開口部が上方にあり、ランプの中心軸と反射鏡の光軸とを一致させて上方に光出射する光源装置が多数配列された光照射装置が求められている。
しかして、図2に示すような光照射装置とした場合に、光源装置としては、従来の水平点灯方式や、特許文献2のような、ランプは垂直で反射鏡が水平配置という点灯方式にした場合とは異なる新たな問題点が発生することが判明した。
すなわち、図6に示すような光源装置においては、放電ランプ30の発光部31内では、アークによる熱の影響で対流32が生じており、高温ガスは上側電極33に沿って上昇し、発光部の上方に輸送される。この対流32は管壁付近で下降して、発光部の中央付近からアーク方向に向かう。このような対流により、発光部31の上半部31aが高温になる。
一方、発光部31の下部には対流がほとんど無いため、発光部上部に比べて低温で安定した状態ができる。そのため、発光部31の下半部31bは上半部31aに比べ低温となり、当該下半部31bでは水銀原子の濃い状態ができる。
ランプ内部のアーク周囲にある水銀原子は基底状態にあるため、発光部の中心で放射された波長254nmの光を吸収する。この吸収域が広がることにより、短波長側(波長300nm〜330nm)で光強度が下がる。そして、水銀原子が濃い状態にあると、この水銀による吸収がより大きくなり、ランプからの光強度が低下してしまうという不具合が生じる。
そして、放電ランプ30と凹面反射鏡35とからなるこの種の光源装置では、発光部31の反射鏡35に近い部分、即ち、下半部31bから放射された光を主に反射して利用しているので、上記したように、この下半部31bでの光吸収が大きいことはそのまま光源装置からの光強度の低下に直結してしまい問題が大きい。
図7に、放電ランプの軸方向と反射鏡の光軸とが一致している光源装置を、反射鏡の開口部が上向きになるように垂直点灯した場合(以下単に、垂直点灯という)と、反射鏡の開口部が水平方向に向かうように水平点灯した場合(以下単に、水平点灯という)とにおける波長300nm〜500nmの光強度分布を示すグラフである。
上記グラフから分かるように、垂直点灯した場合(点線表示)には、水平点灯した場合(実線表示)に比べて、特に短波長側(波長300nm〜330nm)で光強度が下がっている。その理由としては、前記したように凹面反射鏡は放電ランプの発光部の下半部から放射された光を主に反射して利用しているので、垂直点灯においては、この発光部の下半部から放射される光強度が低下しているためと考えられる。
特開2007−5588号公報 特開2003−347071号公報
この発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて、放電容器の内部に一対の電極が対向配置されるとともに、0.08〜0.26mg/mmの水銀が封入され、交流駆動される放電ランプと、該放電ランプが組み込まれた凹面反射鏡とからなり、前記放電ランプの中心軸と凹面反射鏡の光軸とが一致するように配置されてなる光源装置および該光源装置を多数配列してなる光照射装置において、凹面反射鏡から上方に向けて光出射するように配置したものにおいて、発光部の下半部からの光出射強度が低下することがなく、有効に光出射ができる光源装置および光照射装置を提供しようとするものである。
上記課題を解決するために、この発明に係わる光源装置は、前記凹面反射鏡の開口部が上方に向けられて配置されてなり、前記一対の電極の下側電極が陽極動作をする時間が、上側電極が陽極動作をする時間より長くなるようにしたことを特徴とする。
また、前記下側電極が陽極動作をする時間と、前記上側電極が陽極動作をする時間の比、即ち、デューティ比が、60:40〜70:30であることを特徴とする。
更には、前記凹面反射鏡の開口部の中央より冷却空気を吸い込み、凹面反射鏡の下端から冷却空気を排出することを特徴とする。
本発明によれば、凹面反射鏡が上方に向けて配置された光源装置において、放電ランプの下側電極が陽極動作する時間を上側電極よりも長くしたので、該下側電極の温度が上側電極に比べて高くなり、前記放電ランプの発光部の下半部が温められので、該下半部内の水銀原子の濃度が高くなることが防止され、その部分での短波長側の紫外線の吸収が少なくなり、ここからの光出力強度の低下を抑制できるという効果を奏するものである。
また、下側電極の陽極動作と上側電極の陽極動作のデューティ比を60:40〜70:30とすることにより、水平点灯した場合と同等もしくはそれ以上の光強度が得られる。
更には、冷却空気を凹面反射鏡の開口部中央から吸い込み、凹面反射鏡の下端から排出することにより、発光部の上半部を冷やして温度を下げ、下半部の温度を相対的に上げることができるので、光強度の更なる改善が得られる。
本発明に係る光源装置の断面図。 本発明に係る光源装置を多数配列した光照射装置の説明図。 本発明の効果を説明するグラフ。 従来の光照射装置の説明図。 従来の光照射装置を組み込んだ露光装置の説明図。 垂直点灯光源装置の説明図。 垂直点灯方式と水平点灯方式の比較グラフ。
図1に本発明の光源装置1が示されていて、放電ランプ2と、この放電ランプ2を取り囲む凹面反射鏡3とからなり、前記放電ランプ2の中心軸と凹面反射鏡3の光軸とは一致している。この例では、放電ランプ2の一方の封止部2aが口金4を介して反射鏡3に接着剤等により固定されている。
該光源装置1は、放電ランプ2と反射鏡3がほぼ垂直上方を向くように、開口部5が上方を向いて配置されており、光は上方に放射される。
そして、凹面反射鏡3の上方開口部5の前面ガラス6の中心には冷却空気導入口7が設けられており、一方、凹面反射鏡3の下端の口金4には側面に向けて冷却空気排出口8が形成されていて、冷却空気が、凹面反射鏡3の前面から反射鏡3内に導入されて、ランプ2を冷却して下端の口金4の冷却空気排出口8から排出される。
放電ランプ2の発光部には水銀と、希ガスと、ハロゲンガスが封入されている。点灯始動性を改善するための希ガスは、例えば、アルゴンガスが約13kPa封入される。ハロゲンは、沃素、臭素、塩素などが水銀その他の金属との化合物の形態で封入され、その封入量は、1×10−6〜1×10−2μmol/mmの範囲から選択される。
水銀は、水銀原子の吸収によって生じるスペクトルの形状によって規定されるが、水銀は発光部の中心で放射された波長254nmの光を吸収するので、波長300nm〜330nm付近の紫外線を利用する場合は、発光部に封入する水銀量に配慮しなければならない。
また、発光部に封入される水銀量が少ないと、放電ランプの抵抗が小さくなるため、電極間を流れる電流値が大きくなる。電流値が大きいと、電極にかかる負荷が増大するため、電極が早期に損耗する。そのため、放電ランプに封入する水銀密度は0.08mg/mm以上とする。
水銀が0.08mg/mm以上封入されている放電ランプでは、発光部の中心で発光している波長254nmの光は、全て吸収されて外部に放射される発光が全く見られない状態となる。発光部に封入する水銀密度をさらに増加させると、水銀の吸収波長域が広がる。水銀密度が0.20mg/mm程度では、水銀による吸収は波長254nmから300nm付近まで広がる。さらに水銀密度が0.30mg/mm程度になると波長313nmの発光ラインは吸収され、波長300〜330nmの光出力が大幅に低下する。
水銀封入量を変化させたときに、波長320nmの光に主感度を有するPS用レジストに対して紫外線を1秒間照射したときの硬化状態を評価した結果が表1である。
<表1>
Figure 0005376409
硬化状態は、以下のように評価した。
[1]未硬化状態
[2]硬化した部分と未硬化の部分とが混在している状態
[3]実用上問題のない最低限のレベルの硬化状態
[4]実用上問題のない最低レベルを上回る硬化状態ではあるが最高
レベルには至らない硬化状態
[5]最高レベルの硬化状態
上記評価結果からも分かるように、水銀密度0.26mg/mm以下とすれば、硬化状態は事実上問題ない最低限のレベルの硬化ができ、水銀密度を0.18mg/mm以下とすれば最高レベルの硬化状態が得られることがわかる。よって、水銀密度は0.08mg/mm〜0.26mg/mmとすることが求められ、特に、0.08mg/mm〜0.18mg/mmとすることが好ましい。
放電ランプ2は図示しない点灯装置から交流駆動電流が供給されて点灯される。交流駆動では、直流駆動よりも寿命が長く、照度の高い放電ランプを実現できる。発光部内の一対の電極間の極性が反転するタイミングはデューティ比を用いて表される。具体的には、「下側電極が陽電極として印加される時間」:「上側電極が陽電極として印加される時間」としてデューティ比を表示する。
電極は、陽極動作となるときに電流が供給されて温度が上昇する性質がある。そのため、下側電極が陽極動作をする時間を、上側電極が陽極動作をする時間より長くすることによって、下側電極の温度が上がり、発光部の下半部の温度を上げることができる。
このようにして、発光部内部の対流によって相対的に温度が低くなる発光部の下半部の温度を上げ、水銀原子が濃い状態を解消して、水銀による短波長側(波長300nm〜330nm)の吸収の影響を小さくし、該短波長側(波長300nm〜330nm)の紫外線強度を高めることができる。
また、凹面反射鏡3の内部に冷却空気を流通させて放電ランプ2を積極的に冷却することによっても、発光部の上半部を冷やして温度を下げ、発光部の下半部の温度を相対的に上げることができる。
前面ガラス6の冷却空気導入口7から凹面反射鏡3の内部に流入した冷却空気は、放電ランプ2の発光部の側面を通過して下側封止部2aに沿って流通し、凹面反射鏡3の下端に取り付けられた口金4の冷却空気排出口8を介して凹面反射鏡3の外に排出される。この冷却空気によって、特に、放電ランプ2の発光部の上半部が冷却され、下半部の温度が相対的に上昇される。
図2に示すように、上記の光源装置1を縦横方向に複数個並列して配置し、該光源装置からの光が上方に向けて出射される光照射装置10を構成し、従来の1本の大型ランプによる光照射装置の有効な代替装置として機能し、半導体装置の製造工程や液晶表示基板の製造工程における露光処理を行うための放射強度の高い光源とすることができる。
上記光源装置の一数値例を示すと以下の通りである。
ランプ入力275W、電極間距離1mm、バルブ外形φ12mm、封入水銀密度0.17mg/mm、アルゴン13kPa、適量のハロゲンを封入してあり、AC点灯、駆動周波数300Hz、凹面反射鏡の外径65mm×70mm、装置全体冷却空気量;4.5m/min、前面ガラスには厚さ3mmの石英ガラスを用い中心部分にφ8mmの冷却空気導入口を開けている。
上記数値例の仕様よりなる光源装置について実験を行った。デューティ比50:50、水平点灯とした場合の光強度を比較基準とし、垂直点灯とした場合についてデューティ比と冷却条件を変えたときの実験結果を下の表2に示す。各波長域についての積算光量を用いて比較している。
<表2>
Figure 0005376409
なお、上記表2のうち、水平点灯(デューティ50:50)、垂直点灯(デューティ50:50)、垂直点灯(デューティ60:40)について、波長300〜330nmのスペクトル分布を図3に示す。
上記表2および図3で分かるように、下側電極が陽極動作する時間と上側電極が陽極動作する時間との比であるデューティ比を、60:40以上にすれば、水平点灯と同等もしくはそれ以上の光強度が得られることが分かる。
なお、デューティ比60:40の条件では2000h(照度維持率70%)使用可能なランプが、デューティ比70:30のランプでは800hで照度維持率が70%に、デューティ比80:20では120hで照度維持率が70%まで低下した。照度低下の主たる要因は、陽極サイクル時間が長くなった下側電極の過熱が原因であり、下側電極先端が溶融して極間が長くなって、光の集光性が低下したことによる。従って、ランプの電極設計の影響は多分にあるが、実際に使用できるのはデューティ比70:30程度までである。
また、上記表2の結果より、垂直点灯でも冷却空気を導入して放電ランプを冷却する、水平点灯で冷却なしの放電ランプより、波長300〜330nmおよび波長330nm〜400nmの光強度が高まることがわかる。
この理由は、水平点灯でも対流により発光部の下側の温度が下がり、水銀の濃度が高い状態が形成されていたためと考えられる。垂直点灯で下側電極が陽極動作をする時間を、上側電極が陽極動作をする時間より長くすることによって、下側電極の温度を高めるとともに、冷却空気を放電ランプの上方から下方に流通させることにより、特に発光部の上半部を冷却することで、発光部の内部温度分布をより一層均一に保つことができるためである。
なお、上記において、垂直というのは厳密な意味での垂直のみを表すわけではなく、上方というほどの意味である。
以上のように、放電ランプと凹面反射鏡とよりなる光源装置において、凹面反射鏡の開口部を上方に向けて配置して光を上方に放射するとき、下側電極が陽極動作する時間を上側電極が陽極動作する時間より長くしたことにより、下側電極の温度が上がることにより発光部の下半部が十分に加熱されて上半部との相対的な温度差を減少し、当該部分での水銀原子の濃度が平準化し、紫外線の吸収を少なく抑えて十分な光強度が得られるという効果を奏するものである。
1 光源装置
2 放電ランプ
3 凹面反射鏡
4 口金
5 開口部
6 前面ガラス
7 冷却空気導入口
8 冷却空気排出口
10 光照射装置


Claims (5)

  1. 放電容器の内部に一対の電極が対向配置されるとともに、0.08〜0.26mg/mmの水銀が封入され、交流駆動される放電ランプと、該放電ランプが組み込まれた凹面反射鏡とからなり、前記放電ランプの中心軸と凹面反射鏡の光軸方向とが一致するように配置されてなる光源装置において、
    前記凹面反射鏡の開口部が上方に向けられて配置されており、
    前記一対の電極の下側電極が陽極動作をする時間が、上側電極が陽極動作をする時間より長いことを特徴とする光源装置。
  2. 前記下側電極が陽極動作をする時間と、前記上側電極が陽極動作をする時間の比が、60:40〜70:30であることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
  3. 前記放電容器に封入される水銀密度は0.08〜0.18mg/mmであることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
  4. 前記凹面反射鏡の開口部の中央より冷却空気を吸い込み、凹面反射鏡の下端から冷却空気を排出することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光源装置。
  5. 前記請求項1〜4のいずれかに記載の光源装置を複数並列配置したことを特徴とする光照射装置。



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