JP2009211897A - 放電灯の駆動方法および駆動装置、光源装置並びに画像表示装置 - Google Patents

放電灯の駆動方法および駆動装置、光源装置並びに画像表示装置 Download PDF

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Tetsuo Terajima
徹生 寺島
Kentaro Yamauchi
健太郎 山内
Takeshi Takezawa
武士 竹澤
Kazuo Okawa
一夫 大川
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Abstract

【課題】放電灯をより長期間にわたって使用可能にする技術を提供する。
【解決手段】
2つの電極間の放電で点灯する放電灯の駆動は、両電極間に印加される電圧の極性を交互に切り替えつつ行われる。この放電灯の駆動に際し、極性切替の周波数は、周波数が互いに異なる第1と第2の期間を設けることにより変調される。そして、周波数が第2の期間よりも高い第1の期間において、極性が一定に維持される同一極性期間の後端における放電電流の絶対値は、同一極性期間における平均放電電流の絶対値よりも大きく設定される。
【選択図】図5

Description

この発明は、電極間の放電により点灯する放電灯の駆動技術に関する。
プロジェクタ等の画像表示装置に使用される光源として、高圧ガス放電ランプ等の高輝度放電ランプが使用される。高輝度放電ランプを点灯させる方法として、高輝度放電ランプに交流電流(交流ランプ電流)を供給することが行われている。このように、交流ランプ電流を供給して高輝度放電ランプを点灯させる際に、交流ランプ電流の波形を矩形のパルスの後半に三角波を重畳させた波形とすることにより、アークの基点となる尖状突起(スポット)を成長させて、アークの移動(アークジャンプ)を抑制することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
交流ランプ電流の波形として三角波を重畳させた波形を用いると、電流の変動により高輝度放電ランプの輝度が変動する。輝度が変動すると、画像を表示するための光変調手段によっては、表示される画像に縞状の明暗(スクロールノイズ)が発生するおそれがある。そのため、交流ランプ電流の波形として三角波を重畳させた波形として用いる場合には、スクロールノイズの発生を抑制するため、交流ランプ電流の周波数を光変調手段の駆動周波数にあわせるか、もしくは光変調手段の駆動周波数と干渉しない周波数で高輝度放電ランプを光変調手段とは独立して駆動することが行われる。
特開2003−36992号公報 特開平10−326681号公報 国際公開WO2004/066687号パンフレット 特開2005−209572号公報 特開2005−310484号公報 特開2003−264094号公報 特開2004−39563号公報 特開2005−276623号公報
ところで、高輝度放電ランプに加わる熱負荷は、通常、交流ランプ電流の周波数に依存する。そのため、高輝度放電ランプの劣化の進行状態は、交流ランプ電流の周波数によって変化する。しかしながら、スクロールノイズの発生を抑制するためには、交流ランプ電流の周波数が限られており、高輝度放電ランプの劣化を抑制するために最適な周波数を使用できない場合がある。
また、尖状突起の成長形態は、パルスの波形のみならず、交流ランプ電流の周波数によっても変化する。そのため、交流ランプ電流の周波数に制限があると、交流ランプ電流の周波数を尖状突起の成長に適したものとすることができない場合がある。このような場合、尖状突起の維持が困難になり、高輝度放電ランプの点灯が困難になる。この問題は、高輝度放電ランプに限らず、電極間のアーク放電により光を放射する種々の放電ランプ(放電灯)に共通する。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、放電灯をより長期間にわたって使用可能にすることを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
2つの電極間に印加する電圧の極性を交互に切り替えつつ、両電極間で放電を行うことにより点灯する放電灯の駆動方法であって、
前記極性切替の周波数が互いに異なる第1の期間と第2の期間とを設けることにより、前記周波数を変調し、
前記周波数が第2の期間よりも高い第1の期間において、前記極性が一定に維持される同一極性期間の後端における前記放電灯に供給される放電電流の絶対値を、前記同一極性期間における平均放電電流の絶対値よりも大きくする
放電灯の駆動方法。
この適用例によれば、極性切替の周波数が変調されることにより、周波数変調の一周期において放電灯に加わる熱負荷は、一周期の平均周波数に相当する熱負荷となる。そこで、第1と第2の期間のそれぞれの長さを適宜調整することにより、放電灯に加わる熱負荷を適正な範囲にしつつ、第1と第2の期間の周波数を所望の周波数に設定することができる。そして、周波数が高く突起の成長が促される第1の期間において同一極性期間の後端における放電電流絶対値を大きくすることにより、突起の成長をより促進することができる。これにより、放電灯のランプ電圧の上昇が抑制され、放電灯をより長期間にわたって使用することが可能となる。
[適用例2]
適用例1記載の放電灯の駆動方法であって、
前記第2の期間の同一極性期間の後端における放電電流の絶対値を、該同一極性期間における平均放電電流の絶対値よりも大きくする
放電灯の駆動方法。
この適用例によれば、周波数が低く大きな突起が形成される第2の期間においても、同一極性期間の後端における放電電流絶対値を大きくすることにより、大きな突起の形成が促進される。このように大きな突起が形成されることにより、突起の成長がより促進される。
[適用例3]
適用例1または2記載の放電灯の駆動方法であって、
前記極性切替の一周期において前記電極の一方が陽極として動作する陽極時間の比率である陽極デューティ比を、前記第1の期間と前記第2の期間とで互いに異なる値に設定する
放電灯の駆動方法。
電極の温度は、通常、陽極デューティ比が高くなるにしたがって上昇する。また、突起の成長形態は、電極温度の影響を受ける。そのため、陽極デューティ比を第1と第2の期間とで互いに異なる値に設定することにより、第1と第2の期間の少なくとも一方において、突起の成長形態をより好ましいものとすることができる。
[適用例4]
適用例3記載の放電灯の駆動方法であって、
前記周波数変調の連続する2つの周波数変調周期のうちの一方の一周期において、前記第2の期間の陽極デューティ比を前記第1の期間の陽極デューティ比よりも高くするとともに、前記2つの周波数変調周期のうちの他方の一周期において、前記第2の期間の陽極デューティ比を前記第1の期間の陽極デューティ比よりも低くする
放電灯の駆動方法。
一般に、電極の温度が上昇するにつれて、大きな突起の形成が促される。この適用例によれば、陽極デューティ比がより高く設定されている第2の期間において突起が大きくされることにより、第1の期間における突起の成長が促される。また、陽極デューティ比がより低く設定されている期間は、他方の電極の陽極デューティ比が高くなる。そのため、2つの電極の双方において、大きな突起の形成と、それによる突起の成長が促進される。
[適用例5]
適用例1ないし4のいずれか記載の放電灯の駆動方法であって、
所定の条件が満たされた場合には、前記第1の期間を前記所定の条件が満たされていない場合における前記第1の期間よりも長くするとともに、前記第2の期間を前記所定の条件が満たされていない場合における前記第2の期間よりも短くする
放電灯の駆動方法。
この適用例によれば、所定の条件が満たされた場合、突起の成長が促される第1の期間がより長く設定されるとともに、第2の期間がより短く設定される。そのため、所定の条件を適宜設定することにより、突起を成長させることがより好ましい条件下において、突起の成長をさらに促進することができる。
[適用例6]
適用例5記載の放電灯の駆動方法であって、
前記所定の条件は、前記放電灯の累積点灯時間が所定の基準時間を経過したことである
放電灯の駆動方法。
この適用例によれば、放電灯の累積点灯時間が基準時間を超過すると、第1の期間がより長く設定されるとともに、第2の期間がより短く設定される。そのため、累積点灯時間が長く劣化が進行した電極では突起の成長が促され、累積点灯時間が短く劣化が進行していない電極では過度の突起の成長が抑制される。
[適用例7]
適用例5記載の放電灯の駆動方法であって、さらに、
前記放電灯の使用に伴う前記電極の劣化状態を検知し、
前記所定の条件が満たされたか否かを前記劣化状態に基づいて決定する
放電灯の駆動方法。
この適用例によれば、電極の劣化状態に基づいて、第1の期間がより長く設定されるとともに、第2の期間がより短く設定される。そのため、劣化が進行した電極では突起の成長が促され、劣化が進行していない電極では過度の突起の成長が抑制される。
[適用例8]
適用例7記載の放電灯の駆動方法であって、
前記劣化状態を、前記2つの電極間に所定の電力を供給する際の両電極間の電圧に基づいて検知する
放電灯の駆動方法。
一般に、電極が劣化するとアークの長さが長くなり、所定の電力を供給する際に印加される電圧が高くなる。そのため、この適用例によれば、電極の劣化状態をより容易に検知することが可能となる。
[適用例9]
適用例1ないし8のいずれか記載の放電灯の駆動方法であって、
前記放電灯は、前記2つの電極の一方の電極が他方の電極より動作中の温度が高くなる条件を備えており、
前記一方の電極における陽極デューティ比を、前記他方の電極における陽極デューティ比よりも低くする
放電灯の駆動方法。
この適用例では、動作中の温度が高くなる一方の電極における陽極デューティ比を、他方の電極における陽極デューティ比よりも低くしている。これにより、動作中の温度が高くなる電極の過昇温が抑制されるので、その電極の劣化を抑制することができる。
[適用例10]
適用例9記載の放電灯の駆動方法であって、
前記放電灯は、前記電極間で放射される光を前記他方の電極側に向けて反射する反射鏡を有している
放電灯の駆動方法。
反射鏡を設けることにより、反射鏡が設けられた側の電極からの放熱が妨げられる。この適用例によれば、このように放熱が妨げられる電極の過昇温が抑制されるので、反射鏡側の電極の劣化を抑制することができる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能である。例えば、放電灯の駆動装置と駆動方法、放電灯を使用した光源装置とその制御方法、その光源装置を利用した画像表示装置、等の態様で実現することができる。
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.第4実施例:
E.駆動波形の変形例:
F.変形例:
A.第1実施例:
図1は、本発明の第1実施例を適用するプロジェクタ1000の概略構成図である。プロジェクタ1000は、光源装置100と、照明光学系310と、色分離光学系320と、3つの液晶ライトバルブ330R,330G,330Bと、クロスダイクロイックプリズム340と、投写光学系350とを備えている。
光源装置100は、放電灯500が取り付けられた光源ユニット110と、放電灯500を駆動する放電灯駆動装置200とを有している。放電灯500は、放電灯駆動装置200から電力の供給を受けて光を放射する。光源ユニット110は、放電灯500の放射光を照明光学系310に向けて射出する。なお、光源ユニット110および放電灯駆動装置200の具体的な構成や機能については、後述する。
光源ユニット110から射出された光は、照明光学系310により、照度が均一化されるとともに、偏光方向が一方向に揃えられる。照明光学系310を経て照度が均一化され偏光方向が揃えられた光は、色分離光学系320により、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の3色の色光に分離される。色分離光学系320により分離された3色の色光は、それぞれ対応する液晶ライトバルブ330R,330G,330Bにより変調される。液晶ライトバルブ330R,330G,330Bにより変調された3色の色光は、クロスダイクロイックプリズム340により合成され、投写光学系350に入射する。投写光学系350が、入射した光を図示しないスクリーン上に投影することにより、スクリーン上には液晶ライトバルブ330R,330G,330Bにより変調された画像が合成されたフルカラーの映像として画像が表示される。なお、第1実施例では、3つの液晶ライトバルブ330R,330G,330Bにより3色の色光を別個に変調しているが、カラーフィルタを備える1つ液晶ライトバルブで光の変調を行うものとしてもよい。この場合、色分離光学系320とクロスダイクロイックプリズム340を省略することができる。
図2は、光源装置100の構成を示す説明図である。光源装置100は、上述のように、光源ユニット110と放電灯駆動装置200とを有している。光源ユニット110は、放電灯500と、回転楕円形の反射面を有する主反射鏡112と、出射光をほぼ並行光にする平行化レンズ114とを備えている。ただし、主反射鏡112の反射面は、必ずしも回転楕円形である必要はない。例えば、主反射鏡の112の反射面は、回転放物形であってもよい。この場合、放電灯500の発光部を放物面鏡のいわゆる焦点に置けば、平行化レンズ114を省略することができる。主反射鏡112と放電灯500とは、無機接着剤116により接着されている。
放電灯500は、放電灯本体510と、球面状の反射面を有する副反射鏡520とを無機接着剤522で接着することにより形成されている。放電灯本体510は、例えば、石英ガラスなどのガラス材料で形成されている。放電灯本体510には、タングステン等の高融点金属の電極材で形成された2つの放電電極532,542と、2つの接続部材534,544と、2つの電極端子536,546とが設けられている。放電電極532,542は、その先端部が放電灯本体510の中央部に形成された放電空間512において対向するように配置されている。放電空間512には、放電媒体として、希ガス、水銀や金属ハロゲン化合物等を含むガスが封入されている。接続部材534,544は、放電電極532,542と、電極端子536,546とをそれぞれ電気的に接続する部材である。
放電灯500の電極端子536,546は、それぞれ放電灯駆動装置200に接続されている。放電灯駆動装置200は、電極端子536,546にパルス状の交流電流(交流パルス電流)を供給する。電極端子536,546に交流パルス電流が供給されると、放電空間512内の2つの放電電極532,542の先端部の間で、アークARが生じる。アークARは、アークARの発生位置から全方位に向かって光を放射する。副反射鏡520は、一方の放電電極542の方向に放射される光を、主反射鏡112に向かって反射する。このように、放電電極542方向に放射される光を主反射鏡112に向かって反射することにより、光源ユニット110から射出される光の平行度をより高くすることができる。なお、以下では、副反射鏡520が設けられている側の放電電極542を「副鏡側電極542」とも呼び、他方の放電電極532を「主鏡側電極532」とも呼ぶ。
図3は、放電灯駆動装置200の構成を示すブロック図である。放電灯駆動装置200は、駆動制御部210と、点灯回路220とを有している。駆動制御部210は、CPU610と、ROM620と、RAM630と、タイマ640と、点灯回路220に制御信号を出力する出力ポート650と、点灯回路220からの信号を取得する入力ポート660とを備えるコンピュータとして構成されている。駆動制御部210のCPU610は、タイマ640の出力に基づいて、ROM620に格納されたプログラムを実行する。これにより、CPU610は、駆動周波数変調部612としての機能を実現する。なお、駆動周波数変調部612の機能については、後述する。
点灯回路220は、交流パルス電流を発生するインバータ222を有している。点灯回路220は、駆動制御部210から出力ポート650を介して供給される制御信号に基づいて、インバータ222を制御することにより、放電灯500に定電力(例えば、200W)の交流パルス電流を供給する。具体的には、点灯回路220は、インバータ222を制御して、制御信号により指定された給電条件(例えば、交流パルス電流の周波数、デューティ比、およびパルス波形)に応じた交流パルス電流をインバータ222に発生させる。点灯回路220は、インバータ222により発生された交流パルス電流を放電灯500に供給する。
第1実施例において、インバータ222は、副鏡側電極542の陽極デューティ比Dasが40%(すなわち、主鏡側電極532の陽極デューティ比Damが60%)の交流パルス電流を発生する。ここで、陽極デューティ比Das,Damとは、交流パルス電流の一周期に対する、副鏡側電極542と主鏡側電極532とのそれぞれが陽極として動作する時間(陽極時間)の比率である。なお、2つの放電電極532,542の陽極デューティ比Das,Damを必ずしも異なるものとする必要はない。但し、陽極デューティ比を高くすると、通常、放電電極532,542の最高温度が高くなる。一方、図2に示すように副反射鏡520を有する放電灯500を用いる場合、副鏡側電極542からの熱は放出されにくくなる。そのため、主鏡側電極532の陽極デューティ比Damを副鏡側電極542の陽極デューティ比Dasよりも高くするのが、副鏡側電極542の過度な温度上昇を抑制できる点でより好ましい。また、一般に、2つの放電電極532,542について同一の動作条件で駆動したときに、一方の放電電極の温度が他方の放電電極の温度よりも高くなる場合、その一方の放電電極の陽極デューティ比を他方の陽極デューティ比よりも低くするのがより好ましい。
点灯回路220は、また、放電灯500に定電力の交流パルス電流を供給する際の放電電極532,542間の電圧(ランプ電圧)を検出するように構成されている。一般に、放電灯500が点灯されると、放電電極532,542が消耗し、その先端が平坦化する。放電電極532,542の先端が平坦化すると、放電電極間532,542の距離が増大する。そのため、放電灯500が劣化して放電電極532の消耗が進むと、放電灯500の定電力駆動に要する放電電極532,542間の電圧(ランプ電圧)が上昇する。従って、ランプ電圧を検出することにより、放電灯500の劣化状態を検出することができる。放電電極532,542が消耗してその先端が平坦化すると、アークは、平坦化した部分のランダムな位置を基点として発生する。そのため、放電電極532,542の先端が平坦化すると、アークの発生位置が移動するいわゆるアークジャンプが発生する。
駆動制御部210の駆動周波数変調部612は、予め設定された周波数変調周期Tmf(例えば、300秒)内で交流パルス電流の周波数(駆動周波数)fdを変調する。図4は、駆動周波数fdの変調パターンの一例を示す説明図である。図4(a)は、駆動周波数fdの時間変化を示すグラフである。図4(b)は、第1実施例の駆動周波数fdの変調パターンを表す表である。
駆動周波数変調部612は、周波数変調周期Tmf(300秒)内の6つの期間T1〜T6において、それぞれ、図4(b)に示す周波数に駆動周波数fdを設定する。これにより、駆動周波数fdは、80Hz〜400Hzまでの範囲で変調される。図4に示すように、第1実施例では、駆動周波数fdが最も低い期間T1は、駆動周波数fdがより高い周波数変調周期Tmf内の他の期間T2〜T6よりも長くなっている。また、駆動周波数fdが最も高い期間T4は、駆動周波数fdがより低い周波数変調周期Tmf内の他の期間T1〜T3,T5,T6よりも短くなっている。
なお、第1実施例では、図4に示す変調パターンに従って駆動周波数fdが変調されているが、変調パターンとして、図4に示す変調パターンとは異なる変調パターンを使用することも可能である。周波数変調周期Tmf、駆動周波数fdが特定の値に設定されている期間の数、各期間T1〜T6において設定される駆動周波数fd、および各期間T1〜T6の長さは、放電灯500の特性や給電条件等に基づいて、適宜変更することができる。
図5は、図4に示すように、駆動周波数fdを変調して放電灯500を駆動する様子を示す説明図である。図5(a)は、図4(a)とほぼ同じであるので、ここではその説明を省略する。図5(b)は、駆動周波数fdが最低値(80Hz)に設定されている期間T1と、駆動周波数fdが最高値(400Hz)に設定されている期間T4とにおいて、放電灯500に供給される電流(ランプ電流)Ipの時間変化を示している。図5(b)において、ランプ電流Ipの正方向は、副鏡側電極542から主鏡側電極532に向かって電流が流れる方向を表している。すなわち、ランプ電流Ipが正の値である期間Ta1,Ta4では、副鏡側電極542は陽極として動作し、ランプ電流Ipが負の値である期間Tc1,Tc4では、副鏡側電極542は陰極として動作する。
図5(a)に示すように、期間T1における駆動周波数fd(80Hz)は、期間T4における駆動周波数fd(400Hz)の1/5となっている。そのため、図5(b)に示すように、期間T1において副鏡側電極542の極性が切り替えられる切替周期Tp1は、期間T4における切替周期Tp4の5倍の長さとなっている。このように、駆動周波数変調部612が駆動周波数fdを変調することにより、切替周期の長さは、周波数変調周期Tmf内で異なる値に設定される。そのため、駆動周波数変調部612は、「切替周期変調部」ともいうことができる。
図5(b)に示すように、ランプ電流Ipは、副鏡側電極542が陽極として動作している期間(陽極期間)Ta1,Ta4において、当該期間の前端から後端に向かって直線的に上昇する。第1実施例では、2つの期間Ta1,Ta4におけるランプ電流Ipの変化幅は、同一に設定されている。そのため、期間Ta1におけるランプ電流Ipの単位時間当たり変化量(変化速度)は、期間Ta4におけるランプ電流Ipの変化速度よりも小さくなっている。また、副鏡側電極542が陰極として動作している期間(陰極期間)Tc1,Tc4におけるランプ電流Ipは、当該期間の前端から後端に向かって直線的に低下する。期間Ta1,Ta4と同様に、期間Tc1におけるランプ電流Ipの変化速度は、期間Tc4におけるランプ電流Ipの変化速度よりも小さくなっている。
このように、第1実施例では、周波数変調周期Tmfの各期間T1〜T6において、ランプ電流Ipが時間的に変化する。また、周波数変調周期Tmfの駆動周波数fdの平均周波数は、図4(b)に示すように、スクロールノイズが発生しやすい周波数(148Hz)となっている。しかしながら、各期間T1〜T6における駆動周波数fdをスクロールノイズが抑制される周波数とすることにより、スクロールノイズの発生は抑制される。また、通常、放電灯500に加わる熱負荷は、駆動周波数fdによって変化する。そのため、放電灯500の駆動周波数fdは、熱負荷を考慮した適正な周波数に設定されるのが好ましい。第1実施例では、周波数変調周期Tmfの各期間T1〜T6の長さを適切に設定することにより、周波数変調周期Tmfの平均周波数を熱負荷を考慮した適正周波数(148Hz)に設定している。これにより、放電灯500の熱負荷は、適正周波数で駆動を行った場合と同等になり、放電灯500の寿命の低下が抑制される。
図6は、図5に示すように、駆動周波数fdを変調するとともに、陽極期間あるいは陰極期間におけるランプ電流Ipを変化させた際の副鏡側電極542の様子を模式的に示す説明図である。図6(a)は、副鏡側電極542が陽極として動作しているときの状態を示している。図6(a)に示すように、放電電極532,542には、それぞれ、対向する放電電極に向かって突起538,548が形成されている。図6(b)は、駆動周波数fdが低い場合において、副鏡側電極542の動作状態が陽極状態から陰極状態に切り替られたときの、副鏡側電極542に設けられた突起548の状態を示している。図6(c)は、駆動周波数fdが高い場合において、副鏡側電極542の動作状態が陽極状態から陰極状態に切り替られたときの、副鏡側電極542の突起548の状態を示している。
図6(a)に示すように、副鏡側電極542が陽極として動作している場合、電子は、主鏡側電極532から放出され、副鏡側電極542に衝突する。この電子の衝突により、陽極側の副鏡側電極542では電子の運動エネルギが熱エネルギに変換され、副鏡側電極542の温度が上昇する。一方、陰極側の主鏡側電極532では、電子の衝突が起こらないため、熱伝導や放射等により主鏡側電極532の温度が低下する。同様に、副鏡側電極542が陰極として動作している期間においては、副鏡側電極542の温度が低下し、主鏡側電極532の温度が上昇する。
このように、副鏡側電極542が陽極状態である場合、副鏡側電極542の温度が上昇することにより、副鏡側電極542に設けられた突起548には、電極材が溶融した溶融部が発生する。そして、副鏡側電極542の極性が陽極から陰極に切り替えられると、副鏡側電極542の温度が低下し、突起548の先端部に生じた溶融部の固化が始まる。このように、突起538,548に溶融部が発生し、発生した溶融部が固化することにより、突起538,548は、対向電極に向かって凸の形状に維持される。
図6(b)および図6(c)は、突起548の形状に対して駆動周波数fdが及ぼす影響を示している。駆動周波数fdが低い場合、陽極状態の副鏡側電極542の突起548は、広い範囲にわたって温度が上昇する。また、駆動周波数fdが低い場合には、対向する主鏡側電極532との電位差により溶融部MRaに加わる力も、溶融部MRaの広い範囲に対して加わる。そのため、図6(b)に示すように、陽極状態の副鏡側電極542の突起548には、扁平な溶融部MRaが形成される。そして、副鏡側電極542が陰極状態になると、溶融部MRaが固化し、突起548aは扁平な形状となる。一方、駆動周波数fdが高い場合、陽極状態の副鏡側電極542の突起548において温度が上昇する範囲は小さくなり、溶融部MRbに加わる力は溶融部MRbの中心部に集中する。そのため、図6(c)に示すように、突起548には細長い溶融部MRbが形成され、溶融部MRbの固化後の突起548bの形状は細長くなる。
すなわち、低周波においては、突起548の周辺部がしっかり溶融されることにより、突起548の成長が促進されるとともに、突起548がより太く形成される。そして、高周波においては、対向する放電電極に向かうように突起548の成長が促進され、放電電極532,542の距離が短縮される。そのため、駆動周波数fdとして、低周波と高周波とを組み合わせることにより、突起548をより好ましい状態に維持することができる。
第1実施例では、図5(b)に示すように、陽極期間Ta1,Ta4の後端においてランプ電流Ipが大きくなっている。そのため、副鏡側電極542が陽極状態から陰極状態に切り替わる直前の副鏡側電極542の温度がより高くなり、突起548に生じる溶融部MRa,MRbをより大きくすることができる。また、副鏡側電極542が陽極状態から陰極状態に切り替わる直前に溶融部MRa,MRbに加わる力もより大きくなる。そのため、駆動周波数fdが低い期間T1においては、大きな突起548aの形成が促進され、駆動周波数が高い期間T4においては、細長い形状の突起548bの成長が促進される。また、第1実施例では、陰極期間Tc1,Tc4の後端において、ランプ電流Ipがより小さくなっている。そのため、主鏡側電極532においても、大きな突起の形成と、細長い突起の成長とが促進される。
このように、第1実施例では、周波数変調周期Tmf内に駆動周波数fdが互いに異なる期間T1,T4を設けることにより、駆動周波数fdが変調される。また、陽極期間Ta1,Ta4および陰極期間Tc1,Tc4、すなわち、放電電極の極性が同一に維持されている期間(以下、「同一極性期間」とも呼ぶ)の後端におけるランプ電流Ipの絶対値は、当該期間の前端におけるランプ電流Ipの絶対値よりも大きくなっている。そのため、放電電極532,542の先端部において、大きな突起の形成と、細長い突起の成長とが促進される。これにより、突起538,548の対向する放電電極532,542への伸張が促進され、放電灯500のランプ電圧の上昇が抑制される。また、第1実施例では、周波数変調周期Tmf内において駆動周波数fdを変調することにより、スクロールノイズの発生を抑制するとともに、平均周波数を適正な周波数とすることで、放電灯500の寿命の低下が抑制される。
なお、第1実施例では、図5(a)に示すように、駆動周波数fdが最も低い期間T1と最も高い期間T4との間に、中間的な駆動周波数fdの期間T2〜T3,T5〜T6を設けることにより、駆動周波数fdの変調を段階的に行なっているが、駆動周波数fdの変調を段階的に行わなくとも良い。具体的には、中間的な駆動周波数fdの期間T2〜T3,T5〜T6を省略しても良く、また、各期間T1〜T6において設定される駆動周波数fdの順序を図5(a)と異なる順序にしても良い。但し、第1実施例のように、駆動周波数fdの変調を段階的に行うことにより、大きな突起548aが形成された後、形成された突起は細長い形状へ順次変化する。そのため、大きな突起は順次細長い形状に変形され、形成される突起は円錐状や円柱状等の好ましい形状となる。このように、形成される突起が好ましい形状となることでアークの発生位置が安定化するため、駆動周波数fdの変調は段階的に行うのがより好ましい。
また、第1実施例では、駆動周波数fdが異なる各期間T1〜T6のそれぞれにおいて、図5(b)に示すように、同一極性期間におけるランプ電流Ipを変化させているが、駆動周波数fdが低い期間T1においては、同一極性期間Ta1,Tc1のランプ電流Ipをほぼ一定の値に保つものとしてもよい。通常、駆動周波数fdが低下することにより、放電電極532,542の陽極状態から陰極状態への切替時の温度が上昇し、突起538,548における溶融部の生成が促進される。そのため、突起532,542の対向電極への伸張が促進される。さらに、駆動周波数fdが低い期間T1の同一極性期間Ta1,Tc1におけるランプ電流Ipをほぼ一定に保つことにより、スクロールノイズの発生を抑制することができる。
B.第2実施例:
図7は、第2実施例における放電灯駆動装置200aの構成を示すブロック図である。第2実施例の放電灯駆動装置200aは、CPU610aが陽極デューティ比変調部614としての機能を有している点で、図3に示す第1実施例の放電灯駆動装置200と異なっている。他の点は、第1実施例と同様である。
陽極デューティ比変調部614は、予め設定されたデューティ比変調周期Tmd(たとえば、600秒)内で、副鏡側電極542の陽極デューティ比Das(以下、単に「陽極デューティ比Das」とも呼ぶ)を変調する。図8は、陽極デューティ比Dasの変調パターンの一例を示す説明図である。図8(a)は、駆動周波数fdの変調パターンが2周波数変調周期(2×Tmf)にわたって示されている点で、図4(a)と異なっている。他の点は、図4(a)と同様であるので、ここではその説明を省略する。図8(b)は、陽極デューティ比Dasの時間変化を示している。
図8(b)に示すように、陽極デューティ比変調部614は、周波数変調周期Tmfの2倍の長さのデューティ比変調期間Tmd内で、陽極デューティ比Dasを30%〜70%の範囲で変調している。具体的には、陽極デューティ比Dasが、駆動周波数fdが最低値(80Hz)に設定されている第1の期間T1において、陽極デューティ比Dasを第1実施例の陽極デューティ比Das(40%)よりも低い30%に設定し、駆動周波数fdが最低値(80Hz)に設定されている第2の期間T1aにおいて、陽極デューティ比Dasを第1実施例の陽極デューティ比Das(40%)よりも高い70%に設定している。
上述のように、放電電極532,542の温度は、当該電極が陽極状態である場合に上昇し、陰極状態である場合に低下する。そのため、陽極デューティ比Dasを高くすることにより、副鏡側電極542の温度は上昇する。また、陽極デューティ比Dasを低くすることにより、主鏡側電極532の陽極デューティ比(1−Das)が高くなり、主鏡側電極532の温度が上昇する。このように、放電電極532,542の温度が高くなると、放電電極の突起538,548(図6)に生じる溶融部がより大きくなる。さらに、陽極デューティ比Dasを高くすることによる放電電極532,542の温度上昇の効果は、一般的に駆動周波数fdが低い方がより顕著となる。そのため、陽極デューティ比Dasの変更は、駆動周波数fdがより低い状態で行うのがより好ましい。
また、第2実施例では、陽極デューティ比Dasが、第1実施例の陽極デューティ比Das(40%)から変更されている期間は、駆動周波数fdが最も低い期間T1,T1aとなっている。そのため、図6(b)に示すように、大きな突起548aの形成が促進される。これにより、第2実施例では、大きな突起548aの形成がより促進される。そして、大きな突起548aの形成の後、駆動周波数fdがより高い値に変更されることにより、細長い突起548bの成長も促進される。
このように、第2実施例では、駆動周波数fdが最も低い期間T1,T1aにおいて、陽極デューティ比Dasが変更されている。そのため、大きな突起の形成と、細長い突起の成長とがより促進される。そのため、第2実施例によれば、放電灯500のランプ電圧の上昇がより抑制される。但し、デューティ比Dasが変更される期間は、必ずしも駆動周波数fdが最も低い期間でなくても良い。一般に、デューティ比Dasの変更は、駆動周波数fdが周波数変調周期Tmf内の他の期間よりも低い期間において実施されればよい。
なお、第2実施例では、駆動周波数fdが最も低い期間T1,T1aの同一極性期間Ta1,Tc1(図5(b))におけるランプ電流Ipをほぼ一定の値に保つものとしてもよい。このようにしても、陽極デューティ比Dasを変更することにより、放電電極532,542の陽極状態から陰極状態への切替時の温度が上昇し、突起538,548における溶融部の生成が促進される。そのため、突起532,542の対向電極への伸張が促進される。さらに、駆動周波数fdが低い期間T1,T1aの同一極性期間Ta1,Tc1におけるランプ電流Ipをほぼ一定に保つことにより、スクロールノイズの発生を抑制することができる。
C.第3実施例:
図9は、第3実施例における放電灯駆動装置200bの構成を示すブロック図である。第3実施例の放電灯駆動装置200bは、CPU610bが周波数変調パターン設定部616としての機能を有している点で、図7に示す第2実施例の放電灯駆動装置200aと異なっている。他の点は、第2実施例と同様である。
周波数変調パターン設定部616は、放電灯500の劣化状態に基づいて、周波数変調周期Tmf内で設定される駆動周波数fdの変調パターンを変更する。具体的には、CPU610bが、入力ポート660を介して、放電灯500の劣化状態を表すパラメータとしてのランプ電圧を取得する。周波数変調パターン設定部616は、このように取得されたランプ電圧に基づいて、駆動周波数fdの変調パターンを、駆動周波数変調部612に設定する。駆動周波数変調部612は、駆動周波数変調パターン設定部616により設定された変調パターンに従って駆動周波数が変更されるように、点灯回路220を制御する。
具体的には、周波数変調パターン設定部616は、ランプ電圧が所定の基準電圧(例えば、90V)以下である場合には、図4に示す変調パターンを駆動周波数変調部612に設定する。一方、ランプ電圧が所定の基準電圧を上回る場合には、図4とは異なる変調パターンを駆動周波数変調部612に設定する。
図10は、ランプ電圧が所定の基準電圧を上回る場合に設定される変調パターンの一例を示す説明図である。図10の変調パターンは、駆動周波数fdが最も低い期間T1の長さがより短く、駆動周波数fdが最も高い期間T4の長さがより長くなっている点で、図4に示す変調パターンと異なっている。他の点は、図4の変調パターンと同じである。
このように、第3実施例では、放電電極532,542が消耗してランプ電圧が上昇した場合、細長い突起548b(図6(b))の成長を促す駆動周波数fdが最も高い期間T4がより長くされる。そして、細長い突起548bが成長することにより、ランプ電圧は低下する。そのため、第3実施例では、ランプ電圧の上昇をより抑制することができる。
また、第3実施例では、突起548bの成長によりランプ電圧が低下した場合に、駆動周波数fdが最も低い期間T1の長さが長くなる。そのため、突起周辺部をしっかりと溶融することで大きな突起548aの形成が促されることにより、突起548がより確実に維持される。さらに、細長い突起548bの成長が抑制されるので、ランプ電圧の過剰な低下を抑制することができる。
なお、第3実施例では、駆動周波数変調部612に設定される変調パターンとして、図4および図10の2つの変調パターンを使用しているが、一般的には、N個(Nは、2以上の整数)の変調パターンを用いるものとしてもよい。この場合、N−1個の基準電圧が設定され、各基準電圧とランプ電圧とを比較することにより、変調パターンの切り替えが行われる。
第3実施例では、ランプ電圧にかかわらず陽極デューティ比Dasの変調範囲として、一定のデューティ比変調範囲(30%〜70%)を用いているが、ランプ電圧に応じて陽極デューティ比Dasの変調範囲を変更するものとしてもよい。この場合、陽極デューティ比Dasの変調範囲をランプ電圧の上昇にしたがって拡大することにより、ランプ電圧上昇時の突起の成長がより促進されるので、ランプ電圧の上昇をより確実に抑制することができる。
第3実施例では、ランプ電圧にかかわらず駆動周波数fdの変調範囲として、一定の周波数変調範囲(80Hz〜400Hz)を用いているが、ランプ電圧に応じて駆動周波数fdの変調範囲を変更するものとしてもよい。この場合、駆動周波数fdの最高値をランプ電圧の上昇にしたがってより高くすることにより、より突起の伸張が促進されるので、ランプ電圧の上昇をより確実に抑制することができる。
D.第4実施例:
図11は、第4実施例において放電灯が駆動される様子を示す説明図である。図11(a)は、図5(a)と同じである。図11(b)は、第1実施例と第4実施例とにおけるランプ電流Ipの時間変化を示している。図11(b)に示すように、第4実施例は、期間T4におけるランプ電流Ipの変化速度が第1実施例よりも小さくなっている点で第1実施例と異なっている。他の点は、第1実施例と同じである。なお、以下では、ランプ電流Ipの時間変化を表す波形を「駆動波形」とも呼ぶ。
第4実施例では、駆動周波数fdが最も高い期間T4におけるランプ電流Ipの変化速度は、駆動周波数fdが最も低い期間T1におけるランプ電流Ipの変化速度と同じとなるように設定されている。具体的には、次の表1に示すように、駆動周波数fdの最低値(80Hz)を基準として、放電灯500に供給される電力(ランプ電力)の変動幅が所定の値(例えば、20W)となるように、電力変化速度が決定される。そして、決定されたランプ電力が電力変化速度で変化するようにランプ電流Ipの変化速度が決定される。ランプ電流Ipは、このように決定された変化速度で変化するように設定される。
Figure 2009211897
したがって、第4実施例では、期間Ta1,Ta4のそれぞれにおける駆動波形を、矩形波に一定の傾きのランプ波を重畳した波形として生成できる。同様に、期間Tc1,Tc4のそれぞれにおける駆動波形も、矩形波に一定の傾きのランプ波を重畳した波形として生成できる。そのため、駆動波形の生成がより容易となり、点灯回路220(図3)の構成をより簡単にすることができる。
この場合、ランプ電流Ipの変化速度を一定にすることによって、駆動周波数fdの高い期間Ta4,Tc4におけるランプ電流Ipの変化量が小さくなる。しかしながら、図6(b)および図6(c)に示すように、駆動周波数fdの高い場合の溶融部MRbは、駆動周波数fdが低い場合の溶融部MRaより小さく、集中して放電が行われるため、突起の成長が促進され、放電電極532,542間の距離が縮まる。一方、ランプ電流Ipの変化速度は、駆動周波数fdの最低値(80Hz)を基準として決定される。そのため、駆動周波数fdの低い期間Ta1,Tc1におけるランプ電流Ipの変化量は、第1実施例と同じになる。そのため、期間Ta1,Tc1においても、十分な大きさの溶融部MRa(図6(b))が形成される。
第4実施例では、駆動周波数fdが低い期間T1,T1aの同一極性期間Ta1,Tc1においてランプ電流Ipを変化させている。但し、駆動周波数fdが低い期間T1,T1aの同一極性期間Ta1,Tc1においてランプ電流Ipを変化させない場合についても、第4実施例と同様に、ランプ電流Ipの変化速度を一定にすることも可能である。この場合、基準周波数は、同一極性期間Ta1,Tc1においてランプ電流Ipが変化する最低の駆動周波数が使用される。例えば、駆動周波数fdが最も低い期間T1,T1aにおいてのみ、同一極性期間Ta1,Tc1におけるランプ電流Ipが一定に保たれる場合、基準周波数としては、期間T2の駆動周波数fd(130Hz)が使用される。この場合、電力変化速度は、次の表2のように設定される。
Figure 2009211897
E.駆動波形の変形例:
第1ないし第3実施例では、ランプ電流Ipの時間変化を表す駆動波形として、矩形波にランプ波を重畳した波形を用いているが、陽極期間Taあるいは陰極期間Tc(すなわち、同一極性期間)においてランプ電流Ipが変化する波形として、種々の駆動波形を用いることができる。図12ないし図16は、図5(b)に示す駆動波形に替えて使用することが可能な駆動波形の例を示している。
図12に示す駆動波形の第1の変形例は、矩形波に対して、期間Ta,Tcの後端の1/4の期間に矩形波を重畳した波形である。図13に示す駆動波形の第2の変形例は、矩形波に対して、期間Ta,Tcの後半にランプ波を重畳した波形である。図14に示す駆動波形の第3の変形例は、矩形波に対して、期間Ta,Tcの後端の1/4の期間にランプ波を重畳するとともに、当該期間Ta,Tcの1/2の位置に谷を有する三角波を重畳した波形である。図15に示す駆動波形の第4の変形例は、矩形波に対して、期間Ta,Tcの後半において1/2周期の正弦波を重畳した波形である。図16に示す駆動波形の第5の変形例は、矩形波に対して、期間Ta,Tcの全域にわたって1周期の正弦波を重畳した波形である。
このように、駆動波形としては、種々の波形を用いることができる。駆動波形としては、一般に、同一極性期間Ta,Tcの後端のランプ電流Ipの絶対値が期間Ta,Tcの平均ランプ電流の絶対値よりも大きければ、任意の波形を用いることができる。
F.変形例:
なお、この発明は上記実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
F1.変形例1:
上記第3実施例では、放電灯500の劣化状態をランプ電圧を用いて検出しているが、放電灯500の劣化状態は、他の方法で検出することも可能である。例えば、突起538,548(図6)の平坦化に伴うアークジャンプの発生に基づいて放電灯500の劣化状態を検出することも可能である。また、放電空間512(図2)の内壁に電極材が蒸着することによる光量の低下などに基づいて放電灯500の劣化状態を検出することも可能である。アークジャンプの発生や光量の低下は、放電灯500に近接して配置されたフォトダイオード等の光センサを用いて検出することができる。
F2.変形例2:
上記第3実施例では、図9に示すように、ランプ電圧、すなわち、放電灯500の劣化状態を検出して、その検出結果に基づいて駆動周波数fdの変調パターンを選択しているが、他の条件に基づいて駆動周波数fdの変調パターンを選択するものとしてもよい。例えば、タイマ640により計測される放電灯500の累積点灯時間が、所定の基準時間(例えば、500時間)を経過した場合に、駆動周波数fdの変調パターンを順次変更するものとしてもよい。このようにしても、放電電極の劣化が進行していない放電灯500に対してはランプ電圧の過剰な低下を抑制するとともに、放電電極の劣化が進行している放電灯500に対しては突起の伸張を促すことができるので、放電灯500をより長期間にわたって使用することが可能となる。なお、この場合、所定の基準時間は、放電灯500の寿命や、放電電極の劣化の進行についての実験等に基づいて、適宜設定することができる。
F3.変形例3:
上記各実施例では、プロジェクタ1000(図1)における光変調手段として、液晶ライトバルブ330R,330G,330Bを用いているが、光変調手段としては、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス:Texas Instruments社の商標)など、他の任意の変調手段を用いることも可能である。また、本発明は、放電灯を光源とする装置であれば、液晶表示装置をはじめとする種々の画像表示装置や、露光装置や照明装置等に適用することもできる。
本発明の第1実施例を適用するプロジェクタの概略構成図。 光源装置の構成を示す説明図。 放電灯駆動装置の構成を示すブロック図。 駆動周波数fdの変調パターンの一例を示す説明図。 駆動周波数fdを変調して放電灯を駆動する様子を示す説明図。 図5に示す駆動を行った際の副鏡側電極の様子を模式的に示す説明図。 第2実施例における放電灯駆動装置の構成を示すブロック図。 陽極デューティ比の変調パターンの一例を示す説明図。 第3実施例における放電灯駆動装置の構成を示すブロック図。 ランプ電圧が所定の基準電圧を上回る場合に設定される変調パターンの一例を示す説明図。 第4実施例において放電灯が駆動される様子を示す説明図。 駆動波形の第1の変形例を示す説明図。 駆動波形の第2の変形例を示す説明図。 駆動波形の第3の変形例を示す説明図。 駆動波形の第4の変形例を示す説明図。 駆動波形の第5の変形例を示す説明図。
符号の説明
100…光源装置
110…光源ユニット
112…主反射鏡
114…平行化レンズ
116…無機接着剤
200,200a,200b…放電灯駆動装置
210,210a,210b…駆動制御部
220…点灯回路
310…照明光学系
320…色分離光学系
330R,330G,330B…液晶ライトバルブ
340…クロスダイクロイックプリズム
350…投写光学系
500…放電灯
510…放電灯本体
512…放電空間
520…副反射鏡
522…無機接着剤
532,542…放電電極
534,544…接続部材
536,546…電極端子
538,548,548a,548b…突起
610,610a,610b…CPU
612…駆動周波数変調部
614…陽極デューティ比変調部
616…周波数変調パターン設定部
620…ROM
630…RAM
640…タイマ
650…出力ポート
660…入力ポート
1000…プロジェクタ

Claims (13)

  1. 2つの電極間に印加する電圧の極性を交互に切り替えつつ、両電極間で放電を行うことにより点灯する放電灯の駆動方法であって、
    前記極性切替の周波数が互いに異なる第1の期間と第2の期間とを設けることにより、前記周波数を変調し、
    前記周波数が第2の期間よりも高い第1の期間において、前記極性が一定に維持される同一極性期間の後端における前記放電灯に供給される放電電流の絶対値を、前記同一極性期間における平均放電電流の絶対値よりも大きくする
    放電灯の駆動方法。
  2. 請求項1記載の放電灯の駆動方法であって、
    前記第2の期間の同一極性期間の後端における放電電流の絶対値を、該同一極性期間における平均放電電流の絶対値よりも大きくする
    放電灯の駆動方法。
  3. 請求項1または2記載の放電灯の駆動方法であって、
    前記極性切替の一周期において前記電極の一方が陽極として動作する陽極時間の比率である陽極デューティ比を、前記第1の期間と前記第2の期間とで互いに異なる値に設定する
    放電灯の駆動方法。
  4. 請求項3記載の放電灯の駆動方法であって、
    前記周波数変調の連続する2つの周波数変調周期のうちの一方の一周期において、前記第2の期間の陽極デューティ比を前記第1の期間の陽極デューティ比よりも高くするとともに、前記2つの周波数変調周期のうちの他方の一周期において、前記第2の期間の陽極デューティ比を前記第1の期間の陽極デューティ比よりも低くする
    放電灯の駆動方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか記載の放電灯の駆動方法であって、
    所定の条件が満たされた場合には、前記第1の期間を前記所定の条件が満たされていない場合における前記第1の期間よりも長くするとともに、前記第2の期間を前記所定の条件が満たされていない場合における前記第2の期間よりも短くする
    放電灯の駆動方法。
  6. 請求項5記載の放電灯の駆動方法であって、
    前記所定の条件は、前記放電灯の累積点灯時間が所定の基準時間を経過したことである
    放電灯の駆動方法。
  7. 請求項5記載の放電灯の駆動方法であって、さらに、
    前記放電灯の使用に伴う前記電極の劣化状態を検知し、
    前記所定の条件が満たされたか否かを前記劣化状態に基づいて決定する
    放電灯の駆動方法。
  8. 請求項7記載の放電灯の駆動方法であって、
    前記劣化状態を、前記2つの電極間に所定の電力を供給する際の両電極間の電圧に基づいて検知する
    放電灯の駆動方法。
  9. 請求項1ないし8のいずれか記載の放電灯の駆動方法であって、
    前記放電灯は、前記2つの電極の一方の電極が他方の電極より動作中の温度が高くなる条件を備えており、
    前記一方の電極における陽極デューティ比を、前記他方の電極における陽極デューティ比よりも低くする
    放電灯の駆動方法。
  10. 請求項9記載の放電灯の駆動方法であって、
    前記放電灯は、前記電極間で放射される光を前記他方の電極側に向けて反射する反射鏡を有している
    放電灯の駆動方法。
  11. 放電灯の駆動装置であって、
    前記放電灯の2つの電極間に電力を供給して前記放電灯を点灯する放電灯点灯部と、
    前記放電灯点灯部による電力の供給状態を制御する給電制御部と
    を備え、
    前記放電灯点灯部は、前記電極間に印加する電圧の極性を交互に切り替える極性切替部を有しており、
    前記給電制御部は、
    前記極性切替の周波数が互いに異なる第1の期間と第2の期間とを設けることにより、前記周波数を変調し、
    前記周波数が第2の期間よりも高い第1の期間において、前記極性が一定に維持される同一極性期間の後端における前記放電灯に供給される放電電流の絶対値を、前記同一極性期間における平均放電電流の絶対値よりも大きくする
    放電灯の駆動装置。
  12. 光源装置であって、
    放電灯と、
    前記放電灯の2つの電極間に電力を供給して前記放電灯を点灯する放電灯点灯部と、
    前記放電灯点灯部による電力の供給状態を制御する給電制御部と
    を備え、
    前記放電灯点灯部は、前記電極間に印加する電圧の極性を交互に切り替える極性切替部を有しており、
    前記給電制御部は、
    前記極性切替の周波数が互いに異なる第1の期間と第2の期間とを設けることにより、前記周波数を変調し、
    前記周波数が第2の期間よりも高い第1の期間において、前記極性が一定に維持される同一極性期間の後端における前記放電灯に供給される放電電流の絶対値を、前記同一極性期間における平均放電電流の絶対値よりも大きくする
    光源装置。
  13. 画像表示装置であって、
    画像表示用の光源である放電灯と、
    前記放電灯の2つの電極間に電力を供給して前記放電灯を点灯する放電灯点灯部と、
    前記放電灯点灯部による電力の供給状態を制御する給電制御部と
    を備え、
    前記放電灯点灯部は、前記電極間に印加する電圧の極性を交互に切り替える極性切替部を有しており、
    前記給電制御部は、
    前記極性切替の周波数が互いに異なる第1の期間と第2の期間とを設けることにより、前記周波数を変調し、
    前記周波数が第2の期間よりも高い第1の期間において、前記極性が一定に維持される同一極性期間の後端における前記放電灯に供給される放電電流の絶対値を、前記同一極性期間における平均放電電流の絶対値よりも大きくする
    画像表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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