JP5375499B2 - 扉装置 - Google Patents

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本発明は、大型のタンクを施工する際、そのタンクの側壁に設けられる工事用開口を開閉するのに好適な扉装置に関する。
従来、液化天然ガス(LNG;Liquified Natural Gas)等の流体を貯留する大型のタンクを施工する際は、そのタンクの側壁に工事用の開口が設けられる(特許文献1参照)。この工事用開口からは、タンク内で使用される機材が搬入され、また、作業員の出入もその工事用開口から行われる。
例えば、大型のタンクが液化天然ガス用の場合、そのタンクは、外槽と内槽との間に断熱材を挿入した二重殻タンクで構成されていて、最初に外槽が施工され、その外槽の地上に近い側壁の一部に工事用開口が設けられる。
そして、この工事用開口を介して内槽用の機材が搬入され、また作業員の出入もその工事用開口から行われる。この工事用開口は、内槽が完成した後は外槽と同じ材料で閉止され、その工事用開口部分も外槽とされる。
この工事用開口の大きさは、タンクの大きさにもよるが、タンクの直径が100メートルにも及ぶような場合、内部に搬入する基材も大型化するので、高さが4〜5メートル、幅が6〜8メートルの大きな面積となる。
上記工事用開口には、養生を図るために扉装置が設けられている。これは、大きな開口からタンク内に強風が入り込み、溶接作業等に影響を与えるおそれがあるからである。
また、タンクの工事休止中、大きな開口が閉止されないことは好ましいことではないためである。
そして、この工事用開口に設けられ扉装置は、タンク内への機材の搬入に障害にならないようにすることが条件とされ、従来においてはスライド式の扉装置が採用されている。
特公昭63−31634号公報
しかしながら、上記従来の扉装置は、タンクの曲線状の外壁面に沿ってスライドさせる構成のため、構造が複雑化しコスト高になる欠点があった。
そこで、本発明は、タンク内への機材の搬入に障害にならず、構造が簡単で、しかも、低コストに実現することのできる扉装置を提供することを目的としている。
本発明に係る扉装置は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
第1の発明は、タンクを施工する際、そのタンクの側壁に設けられる工事用開口を開閉する扉装置であって、上記タンクの外側に位置し、上記工事用開口に向けて進出するとともに、その工事用開口から後退するように設けられた台車と、上記工事用開口の開口を覆うように形成され、かつ、上記台車に載置された扉と、を備えるという構成を採用する。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記台車が、上記扉の載置箇所よりも上記タンク側寄りに機材の載置部を有しているという構成を採用する。
第3の発明は、上記第2の発明において、上記載置部に載置される機材が、上記タンクの内槽を形成する板材であるという構成を採用する。
第4の発明は、上記第1〜第3いずれかの発明において、上記タンクが、液化天然ガス等の流体を貯留するものであるという構成を採用する。
本発明によれば、台車を移動させるだけで、その台車に載置されている扉で工事用開口を閉止させることができる。また、台車を移動させるだけで、扉で閉止されている工事用開口を開くことができる。このため、構造が簡単で、かつ、低コストの扉装置とすることができる。
本発明の一実施形態に係る扉装置を適用したタンクの一部分の斜視図である。 本発明の一実施形態に係る扉装置の平面図である。 図2のX−X線断面図である。 本発明の一実施形態に係る扉装置が備える台車の移動した状態を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明に係る扉装置の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1は、本実施形態に係る扉装置aを適用したタンクTの一部分の斜視図である。また、図2は、本実施形態に係る扉装置aの設置部分の平面図である。また、図3は、図2のX−X線断面図である。
タンクTは、液化天然ガス(LNG)の流体を貯留する大型のタンクである。このタンクTは、周知の液化天然ガス用タンク(LNGタンク)であり、外槽と内槽との間に断熱材を挿入した二重殻タンクで構成される。
図1に示すように、タンクTには工事用開口Cが形成されている。この工事用開口Cは、横長の矩形を呈し、タンクTの外槽Taの地上から少し高い位置の一部に設けられている。
そして、この工事用開口Cの大きさは、例えばタンクT内に搬入される最も大きな機材に合わせて形成されている。この工事用開口Cからは、例えばタンクTの内槽Tbを形成する板材が搬入される。このため、工事用開口Cの大きさは、その板材が容易に搬入できるように決められている。
また、タンクTの外側であって工事用開口Cの下方には、例えば鉄筋が組み合わされて構成された架台Fが設置されている。
この架台Fの上面位置は、工事用開口Cの開口下辺位置に一致するように決められている。また架台Fの上面面積は、本実施形態に係る扉装置aが十分に載置でき、また、作業員が十分に活動できるように決められている。
なお。図示しないが、この架台Fの上面周囲の工事用開口C側を除いた箇所には、防護柵が設けられている。
本実施形態に係る扉装置aは、架台Fの上面に敷設されたレール1a〜1dと、これらレール1a〜1dに移動自在に載置された台車2と、この台車2に立設された扉3とを備えている。
これらレール1a〜1dの長手方向は、図2及び図3に示されるように、工事用開口Cに対して垂直を成すように決められている。そして、これらレール1a〜1dの長手方向の一方側(図2において左側)は、工事用開口CからタンクT内に先端が進入するように設けられている。
これらレール1a〜1dは、工事用開口Cの幅方向に配列されており、レール1a,1bが台車2の一方の片側を支持及び案内し、レール1c,1dが台車2の他方の片側を支持及び案内する。
したがって、これらレール1a〜1d上を移動する台車2は、工事用開口Cに向けて進出することができるとともに、その工事用開口Cから後退することができる。なお、これらレール1a〜1dの長手方向の両先端部には、台車2の後述する車輪のストッパーがそれぞれ設けられている。
台車2の平面形状は、図2に示されるように、工事用開口Cの幅方向に沿って長い矩形状を呈していて、その四隅の下部には、レール1a〜1dから逸脱することなく回転移動できる車輪4がそれぞれ設けられている(図1及び図2では省略)。
なお、図示の例では、4本のレールを設けるとともに、四隅にそれぞれ4個の車輪を設けて台車2を支持して移動させるようにしているが、レールの本数や車輪の個数はこれに限定されるものではない。例えば、台車2に載置される扉3の重量及び後述する内槽Tbを形成する板材の重量が軽量のときは、レールの本数と車輪の個数を少なくすることも可能である。
扉3は、その平面形状が工事用開口Cに僅かな間隙を有して挿入できるように形成された鋼製の板材から構成されているとともに、その板材を上から見たときには、図2に示されるように、外槽Taと同様に湾曲して形成されている。
そして、この扉3は、台車2の移動方向側の略中央部で、かつ、工事用開口Cの幅方向に沿って設けられている複数のサポート部材5に溶接により固定されている。なお、この扉3の下部の一方側(図1においては、扉3の下部の右側)には、扉3が工事用開口Cを閉止したときの作業員の出入口となる入出用ドア3aが設けられている。
なお、サポート部材5は、扉3を台車2の移動方向に挟んで一対となるように台車2に対して立設されている。ただし、サポート部材5は、必ずしも扉3の両側に対して設置する必要はなく、いずれか一方(例えば扉3の外面側)のみに設置されていても良い。
また、本実施形態の扉装置aは、載置部6を備えている。この載置部6は、台車2上に設けられており、扉3の位置よりも工事用開口C側に設けられている。
この載置部6は、工事用開口Cの幅方向に沿って所定の間隔を保って立設された複数本の支え棒6aと、各支え棒6aに対向すると共に各支え棒6aから工事用開口C側に所定距離保って立設された支え棒6bとから構成されている。各支え棒6a,6b間の距離は、内槽Tbを形成する板材Pを立てて支持できるように決められている。
また、本実施形態の扉装置aにおいては、この台車2の移動方向側の略中央部に重量物である扉3を載置しているので、工事用開口C側に近い箇所に設けられた載置部6に板材Pを載置した場合であっても、台車2の前方側(工事用開口C側)に大きく重心が移動することを防止し、バランスを保つことができる。
したがって、扉3を載置していない台車で内槽Tbを形成する板材Pを搬送するときよりも、台車の工事用開口C側の突出長さを少なくすることができる。
また、本実施形態の扉装置aにおいては、台車2における扉3の載置位置は、載置部6に板材Pが載置された場合に、載置部6よりもタンク側に台車2の一部が延在しなくとも台車2のバランスが保たれる位置に設定されている。
上記構成からなる扉装置aは、台車2がレール1a〜1d上を工事用開口C側に移動させると、図4に示されるように、扉3で工事用開口Cを閉止させることができる。台車2の移動は、作業員が台車2を押すことにより簡単に行うことができる。なお、台車2の移動は、車輪4に回転駆動機構を設けて自動で行うこともできる。
また、上記構成からなる扉装置aを用いて、内槽Tbを形成する板材PをタンクT内に搬入するには、先ず、台車2を図3に示されるように、工事用開口Cから離れるように移動させ、この状態で、図示しないクレーンを用いて台車2の載置部6に板材Pが載置される。次いで、台車2がレール1a〜1d上を工事用開口C側に移動させられる(図4参照)。すなわち、扉3が工事用開口Cを閉止するまで台車2が移動されると、台車2上の板材PがタンクT内に位置するので、その板材Pは、タンクT内に設けられた図示しないクレーンを用いてタンクT内の必要箇所に移動させられる。
以上のような本実施形態の扉装置aにおいては、台車2を移動させることにより、その台車2に載置されている扉3で工事用開口Cを閉止させることができるとともに、その台車2を移動させることにより扉3で閉止されている工事用開口Cを開くことができる。また、その台車2を利用して内槽Tbを形成する板材PをタンクT内に簡単に搬入することができる。
つまり、本実施形態の扉装置aによれば、台車2を移動させるだけで、その台車2に載置されている扉3で工事用開口Cを閉止させることができる。また、台車2を移動させるだけで、扉3で閉止されている工事用開口Cを開くことができる。このため、構造が簡単で、かつ、低コストの扉装置とすることができる。つまり、本実施形態の扉装置aによれば、LNGタンクの施工を容易に行うことができる。
また、本実施形態の扉装置aにおいては、台車2に板材Pの載置部6を設けているため、板材Pを簡単にタンク内に搬入することができる。
また、本実施形態の扉装置aにおいては、台車2における扉3の載置位置は、載置部6に板材Pが載置された場合に、載置部6よりもタンク側に台車2の一部が延在しなくとも台車2のバランスが保たれる位置に設定されている。
このため、扉3によって工事用開口Cを閉止した際に板材Pが配置される位置よりもタンクの奥側に台車2の進入領域を確保する必要がない。したがって、タンク内において台車2を移動させる領域を最小限に抑えることができる。
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態においては、タンクが液化天然ガス(LNG)の流体を貯留する大型のタンクである構成を採用した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、タンクの貯留する液体が他の流体であっても良い。
また、上記実施形態においては、台車2に内槽Tbを形成する板材Pが載置可能な載置部6が備えられた構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、他の機材を台車2に載置するための載置部を設けても良い。この場合、当該載置部は、載置される機材の形状に応じて最適な形とされることが好ましい。
T…タンク、Ta…外槽、Tb…内槽、C…工事用開口、F…架台、板材…P、a…扉装置、1a〜1d…レール、2…台車、3…扉、3a…入出用ドア、4…車輪、5…サポート部材、6…載置部、6a,6b…支え棒

Claims (4)

  1. タンクを施工する際、そのタンクの側壁に設けられる工事用開口を開閉する扉装置であって、
    前記タンクの外側に位置し、前記工事用開口に向けて進出するとともに、その工事用開口から後退するように設けられた台車と、
    前記工事用開口の開口を覆うように形成され、かつ、前記台車に載置された扉と、
    を備えることを特徴とする扉装置。
  2. 前記台車は、前記扉の載置箇所よりも前記タンク側寄りに機材の載置部を有していることを特徴とする請求項1記載の扉装置。
  3. 前記載置部に載置される機材は、前記タンクの内槽を形成する板材であることを特徴とする請求項2記載の扉装置。
  4. 前記タンクは、液化天然ガス等の流体を貯留するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の扉装置。
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