JP5375381B2 - H形鋼用粗形鋼片の製造方法 - Google Patents

H形鋼用粗形鋼片の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、H形鋼用粗形鋼片の製造方法に関し、具体的には、連続鋳造スラブ等の扁平な断面形状を有する鋼片を二重式圧延機により圧延することによって製造され、H形鋼を圧延により製造する際の素材として用いられるH形鋼用粗形鋼片を製造する方法に関する。
従来、H形鋼は、鋼塊から分塊圧延された粗形鋼片(ビーム・ブランク)を加熱し、ユニバーサルミルによって圧延する分塊圧延法により製造されてきた。近年、省エネルギーおよび歩留り向上の観点から、H形鋼は、連続鋳造スラブに二重式圧延機により直接圧延を行う方法により製造されるようになってきた。H形鋼の圧延素材であるH形鋼用粗形鋼片は、(a)連続鋳造スラブ等の扁平な断面形状を有する鋼片を、二重式圧延機の上下の孔型ロールにより形成される孔型によりドッグ・ボーン型の断面形状を有する中間材に圧延する工程と、(b)この中間材のウェブ相当部を、上述した孔型ロールにより形成される造形孔型により厚み圧下する工程とを経ることによって、ウェブ部およびフランジ部を有する形状に圧延されて、製造される。
この造形孔型により中間材のウェブ相当部を厚み圧下する際、上下の孔型ロールの間隙に中間材のフランジ相当部の外面が膨出する現象である噛み出しが発生する。噛み出しの発生を防止するために、造形孔型により中間材に適当なパス回数の圧延を行った後に、(c)中間材のフランジ相当部の外面をボックス孔型により平坦化する工程を経る必要がある。このため、圧延能率の大幅な低下は避けられない。
また、ウェブ部の厚さが薄いH形鋼用粗形鋼片を製造する際には、造形孔型の形状にもよるが、造形孔型によりウェブ相当部の厚みの圧下を繰り返すにしたがって、フランジ相当部の孔型充満性が、中間材の圧延方向の先端部および後端部よりも中央部において低下し、製造されるH形鋼用粗形鋼片のフランジ部の幅が圧延方向について一定しないという問題も発生する。
これまでにも、扁平な鋼片を二重式圧延機によって圧延することによってH形鋼用粗形鋼片を製造するための発明が提案されている。
特許文献1には、二重式圧延機のロールに設けられた孔底部の中央に三角状の山形部を設けた複数の割り孔型によって扁平な鋼片の両側端に三角凹状のスリットを形成し、山形部の高さを増した割り孔型によりこのスリットの深さを増加した後、ロールに設けられた平底ボックス孔型による複数回の圧延によりスリットを押し広げて平坦にし、続いてロールに刻設された造形孔型により所定の断面形状に造形することによって、ウェブ部およびフランジ部を有するH形鋼用粗形鋼片を製造する発明が開示されている。
特許文献2には、ボックス孔型の底部中央に三角状の山形部を設け、山形部の頂角を同じにし、かつ高さを順次大きくした複数の割り孔型により、扁平な鋼片の幅方向の両縁にスリットを形成してから順次スリットを押し広げ、山形部の頂角よりも大きな頂角からなる三角状の山形部とその先端に形成された円弧状の突起とを有するボックス孔型により、幅方向の両縁に凹部を有するドッグ・ボーン形状に形成することにより、H形鋼用粗形鋼片を製造する発明が開示されている。
さらに、特許文献3には、スラブの両方の短辺側の中央部に孔型ロールの第1の孔型の中央に設けた、特定の先端頂角を有する突起により、スラブの中心部に向かって割り部を形成し、孔型ロールの第2の孔型の中央に設けた突起により、この割りを押し広げるとともに割り深さを増大し、孔型ロールの第3の孔型の中央に設けた2段以上の傾斜面を有する突起により、さらに割りを押し広げるとともにフランジ相当部を形成することにより、H形鋼用粗形鋼片を製造する発明が開示されている。
特許文献2、3により開示された発明は、いずれも、造形孔型による中間材のウェブ相当部の厚みの圧下を行う時に、中間材のフランジ相当部の外面に適切な形状の凹部を形成しておくことにより、フランジ相当部の外面に生じる噛み出しを抑制して噛み出しを均す圧延のパス回数を削減することによって、圧延能率を向上する。
特公昭59−18124号公報 特許第2727943号公報 特許第3456438号公報
特許文献1により開示された発明では、造形孔型により中間材のウェブ相当部の厚みを圧下する際に、ウェブ相当部の高さ方向へ幅広がりが不可避的に発生してフランジ相当部の外面に噛み出しが発生する。このため、造形孔型により適当なパス回数の圧延を行った後には必ず被圧延材を90度転回してフランジ外面の噛み出し部を、二重式圧延機の平底ボックス孔型により平坦化する工程を経る必要があり、圧延能率が低い。
特許文献2、3により開示された発明では、中間材のフランジ相当部の外面に形成する凹部が小さい場合には、ウェブ相当部の厚さが薄いH形鋼用粗形鋼片を造形する際にはフランジ相当部の外面の噛み出しを完全に防止することができず、1パスないし2パス程度の均し圧延を行う必要が生じ、やはり圧延能率の低下は否めない。
また、特許文献2、3により開示された発明では、ウェブ相当部の厚さが薄いH形鋼用粗形鋼片を造形する際にも、フランジ相当部の孔型充満性を維持するためにもフランジ相当部の外面の均し圧延を行う必要がある。均し圧延を省略すると、製造されるH形鋼用粗形鋼片の寸法が圧延方向について一定でなくなるからである。
本発明は、従来の技術が有するこのような課題に鑑みてなされたものであり、連続鋳造スラブ等の扁平な断面形状を有する鋼片を二重式圧延機により圧延することによって、H形鋼用粗形鋼片を製造する際に、造形孔型による圧延時における中間材のフランジ相当部の外面の噛み出しを防止することができ、これにより、噛み出しを均す圧延工程を省略できることから圧延能率を向上できるのみならず、フランジ相当部の孔型充満性の圧延方向へのバラツキをも低減でき、製造されるH形鋼用粗形鋼片の圧延方向へのフランジ相当部の幅の変動を抑制することができるH形鋼用粗形鋼片の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、扁平な断面形状を有する鋼片を、二重式圧延機の上下の孔型ロールにより形成される孔型によりドッグ・ボーン形状の中間材に圧延し、この中間材のウェブ相当部を、孔型ロールにより構成される造形孔型により厚み圧下することによって、ウェブ部およびフランジ部を有するH形鋼用粗形鋼片を製造する際に、造形孔型により中間材のウェブ相当部の厚み圧下を行う前に、中間材のフランジ相当部の外面に、下記(1)式により規定される関係を満足する幅と下記(2)式により規定される関係を満足する深さとを有する凹部を形成することを特徴とするH形鋼用粗形鋼片の製造方法である。
×1.3<W<t×1.6 ・・・・・・・(1)
Δt×(1/4)<Y<B×0.2 ・・・・・・・(2)
(1)式および(2)式において、Wは凹部の幅(mm)を示し、Yは凹部の深さ(mm)を示し、tは鋼片の厚さ(mm)を示し、Δtは造形孔型によるウェブ相当部の厚みの圧下量(mm)を示し、さらに、Bは中間材のフランジ部の幅(mm)を示す。
この本発明に係るH形鋼用粗形鋼片の製造方法では、造形孔型のウェブ相当部の内幅と、造形孔型による圧下前の中間材のウェブ相当部の内幅とが下記(3)式に規定する関係を満足することが望ましい。
×0.95<h<H×1.05 ・・・・・・・(3)
(3)式において、Hは被圧延材のウェブ相当部の内幅(mm)を示し、hは造形孔型のウェブ相当部の内幅を示す。
本発明により、連続鋳造スラブ等の扁平な断面形状を有する鋼片を二重式圧延機により圧延することによってウェブ部およびフランジ部を有するH形鋼用粗形鋼片を製造する際に、造形孔型による圧延時における中間材のフランジ相当部の外面の噛み出しを防止することができ、これにより、噛み出しを均す圧延工程を省略できることから圧延能率を向上できるのみならず、フランジ相当部の孔型充満性の圧延方向へのバラツキをも低減でき、製造されるH形鋼用粗形鋼片の圧延方向へのフランジの幅の変動を抑制することができる。
扁平な断面形状を有する鋼片からのH形鋼用粗形鋼片の製造方法を示す概略図である。 従来の技術における中間材のフランジ相当部の外面における噛み出しの発生状況を概念的に示す説明図であり、図2(a)は造形孔型による圧延前を示し、図2(b)は造形孔型による圧延後を示す。 本発明におけるスラブ厚tと、中間材のフランジ相当部の外面に形成する凹部の形状を示す説明図である。 圧延方向の孔型充満性の違いを模式的に示す説明図であり、図4(a)は従来の技術における中間材の圧延方向の先端部または後端部での孔型充満性を示し、図4(b)は従来の技術における中間材の圧延方向の中央部での孔型充満性を示し、図4(c)は本発明における中間材の圧延方向の先端部または後端部での孔型充満性を示す。 造形孔型による圧延時における中間材の材料流れを模式的に示す説明図であり、図5(a)は造形孔型による圧延前を示し、図5(b)は造形孔型による圧延後を示す。 造形孔型による圧延前の中間材と造形孔型のフィレット相当部の形状との関係を模式的に示す説明図である。 中間材に凹部を形成するために使用する孔型および孔型形状を示す概略図であって、中間材のフランジ相当部の外面に形成する凹部形状はKal−3孔型の突起形状と一致するものとし、凹部幅Wは突起麓の角丸め開始点からの突起幅により表され、凹深さYは孔底から突起先端までの高さにより表され、フランジ幅Bは孔底部での孔型幅により表される。 中間材のフランジ相当部の外面における折れ込みの発生状況を模式的に示す説明図であり、図8(a)は造形孔型による圧延前を示し、図8(b)は造形孔型による圧延後を示す。 圧延の各パスにおける平均フランジ深さを示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、扁平な断面形状を有する鋼片10からのH形鋼用粗形鋼片14の製造方法を示す概略図である。図1に示す孔型ロール15は、割入・押広孔型kal−1〜kal−3と、造形孔型kal−4とを有する。
同図に示すように、H形鋼用粗形鋼片14は、スラブ10の両方の短辺側の中央部に孔型ロール15の第1の孔型kal−1の中央に設けられた、特定の先端頂角を有する突起16により、スラブ11の中心部に向かって割り部17を形成し、孔型ロール15の第2の孔型kal−2の中央に設けた突起18により、この割り部17を押し広げるとともに割り深さを増大し、孔型ロール15の第3の孔型kal−3の中央に設けた突起19により、さらに割り部17を押し広げて凹部3を形成するとともにフランジ相当部を形成することにより製造された中間材1を90度回転させた後、孔型ロール15の第4の孔型kal−4によりウェブ部の厚みを調整して製造される。
図2は、従来の技術における中間材1のフランジ相当部2の外面における噛み出しの発生状況を概念的に示す説明図であり、図2(a)は造形孔型による圧延前を示し、図2(b)は造形孔型による圧延後を示す。
図2(a)に示すように、造形孔型による圧延時における中間材1のフランジ相当部2の外面2aにおける噛み出しを防止するために、この外面2aに凹部3を設ける場合、設ける凹部3の形状が小さいと、すなわち設ける凹部3の幅Wがスラブ厚tよりも小さいと、製造しようとする粗形鋼片のウェブ厚が薄いときには、図2(b)中に丸印で囲んで示す部位において、フランジ相当部2の外面2aの凹部3が造形孔型内に収まり切らず、ウェブ相当部4の厚みの圧下に伴うウェブ相当部4の高さの増加によってフランジ相当部2の外面2aが噛み出し易いため、フランジ相当部2の外面2aの均し圧延を完全に省略することができない。
図3は、本発明におけるスラブ厚tと、中間材1のフランジ相当部2の外面2aに形成する凹部3の形状を示す説明図である。
図3に示すように、中間材1のフランジ相当部2の外面2aに形成する凹部3の幅Wを、素材であるスラブの厚さtより大きく設定し、フランジ相当部2の外面2aに設ける凹部3が造形孔型内に収まった状態で造形孔型による圧延を行うことにより、フランジ相当部2の外面2aにおける噛み出しを防止でき、フランジ相当部2の外面2aの均し圧延を不要とすることができる。
また、中間材1のフランジ相当部2の外面2aに形成する凹部3の深さYを、造形孔型による圧延でのウェブ相当部4の厚み圧下に伴い生じるウェブ相当部4の高さの増加に応じて適切に設定し、所定の厚さまでウェブ相当部の厚み圧下を行ってもフランジ相当部2の外面2aに凹部が残存するようにすることによって、造形孔型による圧延時のフランジ相当部2の外面2aの噛み出しを防止することができる。
さらに、中間材1のフランジ相当部2の外面2aの均し圧延の省略に伴う、フランジ相当部2の造形孔型への充満性の低下を抑制するため、造形孔型のフィレット相当部の形状を、造形孔型による圧延前の中間材2のフィレット相当部の形状に合わせて決定すれば、中間材2におけるフィレット相当部に対する造形孔型による圧延における圧下を軽減することができ、これにより、造形孔型によるウェブ相当部4の厚み圧下によるフランジ相当部2の幅方向への材料流れを促進することが可能になるので、フランジ相当部2の造形孔型への充満性の低下を抑制することができる。
図4は、圧延方向の孔型充満性の違いを模式的に示す説明図であり、図4(a)は従来の技術における中間材の圧延方向の先端部または後端部での孔型充満性を示し、図4(b)は従来の技術における中間材の圧延方向の中央部での孔型充満性を示し、図4(c)は本発明における中間材の圧延方向の先端部または後端部での孔型充満性を示す。
造形孔型における、中間材2のフィレット相当部の形状を、造形孔型による圧延前の中間材2のフィレット相当部の形状に合わせて決定して圧延を行うと、造形孔型による圧延でのウェブ相当部4の厚みの圧下に伴って、図4(b)に示すように圧延方向の中央部分ではウェブ相当部4の高さの増加によりフランジ相当部2の外面2aの凹部3の深さが浅くなっていくのに対し、図4(c)に示すように圧延方向の先端部または後端部ではウェブ相当部4の高さの増加が小さく、フランジ相当部2の外面2aの凹部3の深さが浅くならない。
一方、フランジ相当部2の孔型充満性は、図4(b)に示すように圧延方向の中央部分では低下していくが、図4(c)に示すように圧延方向の先端部または後端部ではあまり低下しない。その結果、フランジ相当部2の孔型充満性は、圧延方向の中央部分では低くなるとともに、圧延方向の先端部または後端部においても低くなり、これにより、フランジ相当部2の断面積の圧延方向のバラツキが、小さくなる。
図5は、造形孔型による圧延時における中間材1の材料流れを模式的に示す説明図であり、図5(a)は造形孔型による圧延前を示し、図5(b)は造形孔型による圧延後を示す。
図5(a)に示すように、造形孔型による圧延では、ウェブ相当部4の厚みの圧下に伴いウェブ相当部4の高さが幅方向に広がり、フランジ相当部2はウェブ相当部4の高さの広がりに伴い外面2aが造形孔型のカラー部に押し付けられてフランジ相当部2の幅方向へ材料が流れていくという変形が生じる。そのため、フランジ相当部2の外面2aに形成する凹部3の幅が小さいために造形孔型内に収まらない場合には、ウェブ相当部4の高さの広がりによってフランジ2の外面2aに噛み出しが発生する。
そこで、図5(b)に示すように、フランジ2の外面2aに形成する凹部3の幅を拡大して造形孔型内に収まるようにすると、フランジ2の外面2aは造形孔型のカラー部に沿ってフランジ相当部2の幅方向に流れていき、フランジ2の外面2aの噛み出しは発生しなくなる。
また、ウェブ相当部4の高さの広がりはウェブ相当部4の厚みの圧下に伴い大きくなっていくため、フランジ2の外面2aの凹部3の深さが浅いとフランジ2の外面2aの凹みがなくなり、噛み出しが発生する。
以上のことから、中間材1のフランジ相当部2の外面2aに形成する凹部3の形状について検討を行った結果、扁平な断面形状を有する鋼片を、二重式圧延機の上下の孔型ロールにより形成される孔型によりドッグ・ボーン形状の中間材に圧延し、この中間材のウェブ相当部を、孔型ロールにより構成される造形孔型により厚み圧下することによって、ウェブ部およびフランジ部を有する形鋼用粗形鋼片を製造する際に、造形孔型による圧延により中間材1のフランジ相当部2の外面2aにおける噛み出しを抑制するために、図2に示す凹部3の幅W(mm)および深さY(mm)について、上記(1)式および(2)式の関係を満足する寸法に設定する。
一方、中間材1のフランジ相当部2の外面2aの凹部3の形状により、素材のフィレット形状も変化する。図6は、造形孔型による圧延前の素材と造形孔型のフィレット形状との関係を模式的に示す説明図である。
例えば、図6に示すように、凹部3の深さYを深くすると、これに伴ってフィレット相当部の位置はウェブ相当部4の高さ方向に関して中央側に変位する。このとき、凹部3の深さYと造形孔型のフィレット相当部の形状との関係によっては、造形孔型のフィレット相当部の位置よりも中間材1のフィレット相当部の位置が、ウェブ相当部4の高さ方向に関して中央側に位置する場合がある。このような条件で造形孔型による圧延を行うと、中間材1のフィレット相当部においてフランジ相当部2の幅方向への材料流れを阻害する圧下が負荷され、造形孔型のフランジ相当部2への充満性が大幅に低下する。
逆に、造形孔型のフィレット相当部の位置よりも中間材のフィレット相当部の位置が、ウェブ相当部4の高さ方向に関して外側になり過ぎると、造形孔型による圧延により素材のフランジ内面に圧下された部分と圧下されなかった部分との境界に段差が形成され、最終的に製品であるH形鋼のフランジに面疵が発生する。
以上のことから、造形孔型による圧延前の中間のフィレット相当部の形状と造形孔型のフィレット相当部の形状との関係について検討した結果、図6に示す中間材1のウェブ内幅Hおよび造形孔型のウェブ内幅hについて以下の式を満足する寸法に設定することが好ましい。
×0.95<h<H×1.05 ・・・・・・・(3)
(3)式において、Hは中間材1のフランジ内面がなす平面とウェブ上面がなす平面の交点間の距離であり、hは造形孔型のフランジ内面がなす平面とウェブ上面がなす平面の交点間の距離である。
このようにして、本発明によれば、連続鋳造スラブ等の扁平な断面形状を有する鋼片を二重式圧延機により圧延することによってウェブ部およびフランジ部を有する形鋼用粗形鋼片を製造する際に、造形孔型による圧延時における中間材1のフランジ相当部2の外面2aの噛み出しを防止することができる。このため、本発明によれば、外面2aの噛み出しを均す圧延工程を省略できることから圧延能率を向上できるのみならず、フランジ相当部2の孔型充満性の圧延方向へのバラツキをも低減でき、製造される形鋼用粗形鋼片の圧延方向への寸法の変動を抑制することができる。
実施例を参照しながら、本発明を具体的に説明する。
H600×300シリーズのH形鋼について、本発明の実施例を説明する。幅が1140mmであって厚さtが250mmである連続鋳造ブル−ムを加熱炉で1250℃まで加熱および均熱して、圧延素材とした。そして、この圧延素材に二重式圧延機により複数パスの粗圧延を行って、H形鋼用粗形鋼片を製造した。
図7は、この実施例で用いた粗圧延機のロールの孔型形状を示す説明図である。
同図に示すように、用いた粗圧延機のロールには、2個の割入れ孔型Kal−1、Kal−2と、押し広げ孔型Kal―3と、ボックス孔型Kal−4と、造形孔型Kal−5とが、ロール軸方向へ向けて並設されている。
表1には、この粗圧延機を用いた従来の粗圧延のパススケジュールの一例を示す。表1に示すように、従来の粗圧延では、造形孔型Kal−5により1〜3パス圧延した後に、中間材のフランジの外面に生じた噛み出しを均すために、中間材を90度転回して、ボックス孔型Kal−4により、11、13、17および21パスにおいて、中間材のフランジの外面の均し圧延を行うことにより、H形鋼用粗形鋼片を製造していた。
Figure 0005375381
これに対し、表2には、この粗圧延機を用いた本発明の粗圧延のパススケジュールの一例を示す。表2に示すように、本発明の圧延では、孔型Kal−1〜Kal−3を用いて中間材のフランジ相当部の外面に、幅W=300、350または400mm、深さY=45、65または100mmの凹部を造形した後に、ウェブ相当部の内幅h=550mmの造形孔型Kal−5によりウェブ相当部の厚み圧下を行って、H形鋼用粗形鋼片を製造した。
結果を表3にまとめて示す。なお、この実施例では、造形孔型によるウェブ厚みの圧下量Δtは表3より250−55=195mmであり、中間材のフランジ幅(mm)Bは470mm、中間材のウェブ内幅H:550mmである。
Figure 0005375381
Figure 0005375381
その結果、表3に示すように、本発明で規定する条件を満足する幅W=350mm、深さY=65mmの凹部を造形してから造形孔型による圧延を行うと、造形孔型による圧延の途中で中間材のフランジ相当部の外面に噛み出しが発生することなく、表2に示すパススケジュールで、目標のウェブ厚55mmのH形鋼用粗形鋼片を圧延により製造することができた。
このとき、造形圧延の終了時におけるH形鋼用粗形鋼片のフランジ部の外面の凹部深さは圧延方向の中央部では8mm程度であったのに対し、圧延方向の先端部または後端部では38mm程度であり、このH形鋼用粗形鋼片をユニバーサル圧延してH形鋼まで仕上げた結果、従来、圧延方向の先端部または後端部において発生していたフランジ幅の過大による歩留まり損失を、半減できた。
一方、本発明で規定する条件を満足しない、幅Wが300mmである凹部を形成すると、中間材のフランジ相当部の外面を造形孔型のカラー部により抱え込むことができず、造形孔型の初期パスでフランジ外面に噛み出しが発生した。
また、本発明で規定する条件を満足しない、幅Wが400mmである凹部を形成しようとしたが、押し広げ孔型Kal−3による圧延により中間材にねじれやウェブ相当部の座屈が発生し易く、圧延方向に安定してフランジ相当部の外面に凹部を造形することができなかった。
また、幅Wが350mmの凹部を形成した場合であっても、その深さYが45mmと本発明で規定する条件を満足しない場合(Δt(195mm)×(1/4)=48.75mm)には、造形孔型による圧延でのウェブ相当部の厚み圧下に伴うウェブ相当部の高さの増加により、フランジ相当部の外面の凹形状は圧延の進行とともに浅くなり、ついには表2で示す15パス目にはフランジ相当部の外面の凹形状は殆ど消失し、16パス目以降からはフランジ相当部の外面に噛み出しが発生した。
図8は、中間材1のフランジ相当部2の外面2aにおける折れ込みの発生状況を模式的に示す説明図であり、図8(a)は造形孔型による圧延の前を示し、図8(b)は造形孔型による圧延の後を示す。
図8(a)に示すように、本発明で規定する条件を満足しない、幅W=350mm、深さY=100mmの凹部を形成した場合、目標ウェブ厚55mmまで圧延してH形鋼用粗形鋼片を製造することができたものの、造形孔型による圧延でのウェブ相当部4の厚み圧下に伴うウェブ相当部4の高さの増加量に対してフランジ相当部2の外面の凹部3の深さが深くなって、図8(b)に丸印で囲んだ部分に示すように、フランジ相当部2の外面に溝状の折れ込みが発生し、製造されたH形鋼用粗形鋼片のフランジ部の外面には深い溝が残り、このH形鋼用粗形鋼片に圧延を行っても製品であるH形鋼のフランジの外面に線状の疵となって残存した。
次に、幅W=350mm、深さY=65mmの凹部を造形した中間材を、ウェブ内幅h=580mm、550mm、520mmの造形孔型を用いて圧延し、造形孔型による圧延中のフランジ深さ変化を調査した。このとき、中間材のウェブ内幅Hは550mmであった。
図9は、造形孔型による圧延前の中間材と造形孔型のフィレット形状との関係を示すグラフである。
図9にグラフで示すように、造形孔型による圧延中のフランジ深さの増加率は、造形孔型ウェブ幅hが580mmと本発明で規定する範囲を満足しないと、造形孔型でのフィレット相当部の圧下により造形圧延パス毎のフランジ深さの増加量が小さく、造形孔型へのフランジ先端部の充満性が不十分であったのに対し、造形孔型のウェブ幅hが550mmと本発明で規定する範囲を満足すると、造形孔型でのフィレット相当部の圧下が軽減され、造形圧延パス毎のフランジ深さの増加量が増え、造形孔型へのフランジ先端部の充満性が向上した。
最後に、造形孔型ウェブ幅h=520mmと本発明で規定する範囲を満足しない場合、造形孔型のウェブ幅hが550mmの場合と同様に造形圧延パス毎のフランジ深さの増加量は増えたが、造形孔型によるフランジ内面の圧下ができず、H形鋼用粗形鋼片のフランジ部の内面に段差が生じ、その後のユニバーサル圧延によりH形鋼のフランジに内面疵が頻発した。
以上説明したように、造形孔型による中間材の圧延時におけるフランジ相当部の外面の噛み出しを防止するために中間材のフランジ相当部の外面に凹部を設ける場合、この凹部の形状が小さいとウェブ厚が薄いH形鋼用粗形鋼片を造形する際には、図2に示すように、フランジ相当部の外面の凹部が造形孔型内に収まらず、ウェブ相当部の厚み圧下に伴うウェブ相当部の高さの増加によりフランジ相当部の外面に噛み出しが発生し易いため、フランジ相当部の外面の均し圧延を完全に省略することができなかった。
そこで、図3に示すように、中間材のフランジ相当部の外面に形成する凹部の幅Wを、素材であるスラブの厚さよりも大きくし、この凹部が造形孔型内に収まった状態で造形孔型による圧延を行うことによって、中間材のフランジ相当部の外面における噛み出しを防止でき、フランジ相当部の外面の均し圧延を行う必要がなくなる。
ただし、凹部の幅Wを大きく設定し過ぎると、凹部を造形するために行う押し広げ孔型圧延において材料のねじれやウェブ相当部の座屈が発生し易くなり、圧延方向に安定して凹部を造形することができなくなる。
以上の理由により、凹部の幅Wは上記(1)式を満足することが好ましい。
また、中間材のフランジ相当部の外面に形成する凹部の深さYを、造形孔型による圧延でのウェブ相当部の厚みの圧下に伴い生じるウェブ相当部の高さの増加に応じて適切に設定し、所定のウェブ相当部の厚みまで造形孔型による圧延を行った場合にも、フランジ相当部の外面に凹部が残存するようにすることにより、造形孔型による圧延時のフランジ相当部の外面の噛み出しが防止できる。
ただし、凹部の深さYを、中間材のウェブ相当部の厚み圧下に伴い生じるウェブ相当部の高さの増加量に対して深く設定し過ぎると、フランジ相当部の外面に深い溝が残ってしまい、製品であるH形鋼のフランジの外面に線状の疵となって残存する。
そこで、凹部の深さYは上記(2)式を満足することが好ましい。
さらに、中間材のフランジ相当部の外面の均し圧延の省略に伴うフランジ相当部の造形孔型への充満性の低下を抑制するため、造形孔型のフィレット相当部の形状を、造形孔型圧延前の素材のフィレット相当部の形状に合わせて設定し、造形孔型による圧延でのフィレット相当部の圧下量を軽減することにより、造形孔型の圧延中のフランジ相当部の幅方向への材料流れを促進することができる。
そこで、中間材のウェブ相当部の内幅Hおよび造形孔型のウェブ相当部の内幅hは、上述した(3)式を満足することが望ましい。
このような条件のもとで中間材の圧延を行うと、フランジ相当部の孔型充満性が、圧延方向の中央部分では低いとともに、圧延方向の先端部または後端部では低下した粗形鋼片を製造することができ、フランジ相当部の面積の圧延方向へのバラツキが小さくなり、ユニバーサル圧延により発生する圧延方向のフランジ部の寸法のバラツキが抑制される。
1 中間材
2 フランジ相当部
2a 外面
3 凹部
4 ウェブ相当部
10 鋼片
11、12 スラブ
13 中間材
14 H形鋼用粗形鋼片
15 孔型ロール
16、18、19 突起
17 割り部

Claims (2)

  1. 扁平な断面形状を有する鋼片を、二重式圧延機の上下の孔型ロールにより形成される孔型によりドッグ・ボーン形状の中間材に圧延し、該中間材のウェブ相当部を、前記孔型ロールにより構成される造形孔型により厚み圧下することによって、ウェブ部およびフランジ部を有するH形鋼用粗形鋼片を製造する際に、前記造形孔型により前記中間材のウェブ相当部の厚み圧下を行う前に、該中間材のフランジ相当部の外面に、下記(1)式により規定される関係を満足する幅と下記(2)式により規定される関係を満足する深さとを有する凹部を形成することを特徴とするH形鋼用粗形鋼片の製造方法。
    ×1.3<W<t×1.6 ・・・・・・・(1)
    Δt×(1/4)<Y<B×0.2 ・・・・・・・(2)
    (1)式および(2)式において、Wは前記凹部の幅(mm)を示し、Yは前記凹部の深さ(mm)を示し、tは前記鋼片の厚さ(mm)を示し、Δtは前記造形孔型によるウェブ相当部の厚みの圧下量(mm)を示し、さらに、Bは前記中間材のフランジ部の幅(mm)を示す。
  2. 前記造形孔型のウェブ相当部の内幅と、該造形孔型による圧下前の中間材のウェブ相当部の内幅とが下記(3)式に規定する関係を満足する請求項1に記載されたH形鋼用粗形鋼片の製造方法。
    ×0.95<h<H×1.05 ・・・・・・・(3)
    (3)式において、Hは被圧延材のウェブ相当部の内幅(mm)を示し、hは造形孔型のウェブ相当部の内幅を示す。
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