JP5375288B2 - ピラゾリン誘導体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ピラリゾン誘導体の製造方法に関する。
ピラゾリン誘導体は、植物病害防除剤として有用である。かかるピラゾリン誘導体の製造方法としてはフェニルシアノ酢酸エステルをヒドラジン化合物と溶媒中で反応させる方法が知られており〔特許文献1:特開平8−208621号公報〕、溶媒としてはメタノールなどのアルコール類のほか、キシレンを使用することができる。目的のピラゾリン誘導体は固形分となって反応混合物中に含まれており、反応後の反応混合物を水洗後、濾過することにより、ピラゾリン誘導体を得ることができる。得られたピラゾリン誘導体は通常、大気中で乾燥される。
しかし、溶媒としてキシレンを使用した場合には、得られるピラゾリン誘導体は着色したものになるという問題があった。
特開平8−208621号公報
そこで本発明者は、溶媒としてキシレンを使用して、着色のないピラゾリン誘導体を製造し得る方法を開発するべく鋭意検討した結果、キシレンを溶媒として用いた場合には、固形物として得られたピラゾリン誘導体を大気中で乾燥すると、着色し易いことを見出すと共に、不活性ガス中で乾燥することにより、不純物の生成が抑制されることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、式(2)
Figure 0005375288
〔式中、R1およびR2はそれぞれ独立にメチル基またはエチル基を示す。〕
で示されるフェニルシアノ酢酸エステルを式(3)
Figure 0005375288
〔式中、R3は水素原子または炭化水素基を示す。〕
で示されるヒドラジン化合物またはその水和物とキシレン中で反応させて式(1)
Figure 0005375288
〔式中、R1、R2およびR3はそれぞれ前記と同じ意味を示す。〕
で示されるピラゾリン誘導体を含む反応混合物を得、
得られた反応混合物を冷却して前記ピラゾリン誘導体を析出させたのち、該反応混合物を水洗し、濾過して、固形物として前記ピラゾリン誘導体を得、
得られた前記ピラゾリン誘導体を不活性ガス中、75℃以下で乾燥させることを特徴とする前記ピラゾリン誘導体の製造方法を提供するものである。
本発明の製造方法によれば、フェニルシアノ酢酸エステル(2)をヒドラジン化合物(3)またはその水和物とキシレン中で反応させて、着色のないピラゾリン誘導体(1)を製造することができる。
本発明の製造方法に適用されるフェニルシアノ酢酸エステルは式(2)で示される化合物である。かかるフェニルシアノ酢酸エステル(2)としては、例えばメチルα−シアノ−2−メチルベンゾエート、エチルα−シアノ−2−メチルベンゾエート、メチルα−シアノ−2−エチルベンゾエート、エチルα−シアノ−2−エチルベンゾエートが挙げられる。
ヒドラジン化合物は式(3)で示される化合物である。式(3)において、R3は炭化水素基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
かかるヒドラジン化合物(3)としては、例えばヒドラジン、メチルヒドラジンなどが挙げられる。
ヒドラジン化合物(3)の使用量は、フェニルシアノ酢酸エステル(2)に対して、通常は0.5モル倍〜5モル倍、好ましくは1モル倍〜1.2モル倍である。
本発明の製造方法では、かかるフェニルシアノ酢酸エステル(2)をヒドラジン化合物(3)とキシレン中で反応させる。キシレンの使用量はフェニルシアノ酢酸エステル(2)に対して通常1質量倍〜10質量倍、好ましくは3質量倍〜5質量倍である。
反応は、例えばキシレン中にヒドラジン化合物(3)またはその水和物を加え、次いでフェニルシアノ酢酸エステル(2)を加えることにより行われる。フェニルシアノ酢酸エステルは、予めキシレンに溶解させた状態で加えてもよい。反応温度は通常40℃〜100℃、好ましくは60℃〜80℃である。反応時間は通常1時間〜10時間であり、反応の終了は、例えば反応混合物中のフェニルシアノ酢酸エステル(2)の含有量を分析することにより検知できる。
反応後の反応混合物は、目的のピラゾリン誘導体(1)を含むものであり、通常はピラゾリン誘導体(1)が析出したスラリー状である。
反応後の反応混合物を、通常は水洗する。水洗により、反応により副生したアルコール類を反応混合物から取り除くことができる。
水洗後の反応混合物を濾過することにより、固形物としてピラゾリン誘導体(1)を得る。濾過は、通常と同様の方法により行うことができる。
濾過により固形物として得られたピラゾリン誘導体(1)は、さらにキシレンで洗浄してもよいし、水洗してもよい。キシレンでの洗浄や水洗により、より不純物の少ないピラゾリン誘導体(1)を得ることができる。
かくして得られるピラゾリン誘導体(1)としては、例えば5−アミノ−1,2−ジヒドロ−4−(2−メチルフェニル)−3H−ピラゾール−3−オン、5−アミノ−1,2−ジヒドロ−4−(2−エチルフェニル)−3H−ピラゾール−3−オン、5−アミノ−4エチル−1,2−ジヒドロ−(2−メチルフェニル)−3H−ピラゾール−3−オンなどが挙げられる。
本発明の製造方法では、かくして固形物として得られたピラゾリン誘導体(1)を不活性ガス中で乾燥させる。
不活性ガスとしては、例えば窒素ガス、アルゴンガスなどが挙げられる。
乾燥温度は75℃以下、好ましくは50℃以下であり、乾燥速度の点で、通常は0℃以上である。
かくして得られるピラゾリン誘導体(1)は、不純物の少ないものである。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例よって限定されるものではない。
実施例1
窒素ガスで満たした反応容器にキシレン290質量部およびヒドラジン〔式(3)におけるR3が水素原子である化合物〕の一水和物〔H2NNH2・H2O〕0.3質量部を仕込み、攪拌下、70℃まで昇温したのち、メチルα−シアノ−2−メチルベンゾエート〔式(2)におけるR1がメチル基であり、R2がメチル基である化合物〕100質量部をキシレン50質量部に溶解させた溶液を3時間掛けて滴下して加え、その後さらに攪拌下、同温度を4時間維持し、その後20℃まで冷却して、式(1)におけるR1がメチル基であり、R2がメチル基であり、R3が水素原子であるピラゾリン誘導体(1)〔5−アミノ−1,2−ジヒドロ−4−(2−メチルフェニル)−3H−ピラゾール−3−オン〕の固形物を含むスラリーとして、反応混合物を得た。
その後、同温度を維持したまま純水200質量部を加え、0.5時間保持して水洗し、濾過操作により濾上物として、上記ピラゾリン誘導体(1)を得た。
濾上物として得た上記ピラゾリン誘導体(1)をキシレンで洗浄し、次いで純水で洗浄した後、窒素中、70℃で乾燥させた。乾燥後のピラゾリン化合物(1)は白色で、純度は99.8%、不純物濃度は0.06%であった。
なお、純度および不純物濃度は液体クロマトグラフ法により求めた。
比較例1
実施例1で濾上物として得られたのちキシレンおよび純水で洗浄したピラゾリン誘導体(1)を大気中、70℃で乾燥させた。乾燥後のピラゾリン化合物(1)は黄色に着色していた。
比較例2
実施例1で濾上物として得られたのちキシレンおよび純水で洗浄したピラゾリン誘導体(1)を窒素中、80℃で乾燥させた。乾燥後のピラゾリン化合物(1)は黄色に着色していた。
比較例3
実施例1で濾上物として得られたのちキシレンおよび純水で洗浄したピラゾリン誘導体(1)を窒素中、130℃で乾燥させた。乾燥後のピラゾリン化合物(1)は黄色に着色しており、純度は99.7%、不純物濃度は0.13%であった。

Claims (1)

  1. 式(2)
    Figure 0005375288
    〔式中、R1およびR2はそれぞれ独立にメチル基またはエチル基を示す。〕
    で示されるフェニルシアノ酢酸エステルを式(3)
    Figure 0005375288
    〔式中、R3は水素原子または炭化水素基を示す。〕
    で示されるヒドラジン化合物またはその水和物とキシレン中で反応させて式(1)
    Figure 0005375288
    〔式中、R1、R2およびR3はそれぞれ前記と同じ意味を示す。〕
    で示されるピラゾリン誘導体を含む反応混合物を得、
    得られた反応混合物を冷却して前記ピラゾリン誘導体を析出させたのち、該反応混合物を水洗し、濾過して、固形物として前記ピラゾリン誘導体を得、
    得られた前記ピラゾリン誘導体を不活性ガス中、75℃以下で乾燥させることを特徴とする前記ピラゾリン誘導体の製造方法。
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