JP5374672B2 - 4−(N−アルキルアミノ)−5,6−ジヒドロ−4H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン誘導体を得る方法 - Google Patents

4−(N−アルキルアミノ)−5,6−ジヒドロ−4H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン誘導体を得る方法 Download PDF

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Description

発明の詳細な説明
技術分野
本発明は、例えばドルゾラミドなどの薬物のエナンチオ選択的合成における中間体として有用な化合物、ならびにそれらを得る方法に関する。本発明はまた、これらの中間体を経由するドルゾラミド合成方法に関する。
背景技術
炭酸脱水酵素阻害剤は眼の高血圧症(緑内障の発症の原因)の治療に用いられている。欧州特許第296879 B1号には、化合物の中でも、一般式(VII)
Figure 0005374672
(式中、Rはアルキルであり、Rは水素原子またはアルキルである)
の4−(N−アルキルアミノ)−5,6−ジヒドロ−4H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−2−スルホンアミド−7,7−ジオキシドが、局所投与される場合、炭酸脱水酵素阻害活性を有することが記載されている。
このような化合物の中でも、式:
Figure 0005374672
の化合物(4S,6S)−4−[N−エチルアミノ)−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−2−スルホンアミド−7,7−ジオキシド(ドルゾラミドととしても知られる)は、卓越している。
特許および出願明細書、欧州特許296879 B1号、米国特許第5,157,129号、欧州特許617037号およびWO02/20529号には、ドルゾラミドおよび類似体を得るための複数の合成経路が記載されている。
米国特許第5,157,129号およびWO02/20529号には、2位のスルホンアミド基が、合成の最終工程で、中間体の立体化学に影響を及ぼさずに導入されるというエナンチオ選択的経路が記載されている。両場合とも重要な中間体の一つが、式(II):
Figure 0005374672
の、4位にアミノ基を有する化合物およびそのジアステレオ異性体である。
この化合物を得るためには、米国特許第5,157,129号では、4位のヒドロキシル基から出発し、これがトシル化反応を受けた後、アルキルアミンで求核置換される。
Figure 0005374672
しかしながら、このトシル基の導入は、ヒドロキシル基の反応性の欠如のために、妨害される。さらに、一度化合物がトシル化されると、これはベンジル位にあるので不安定で、排除、反応条件中の塩素基での置換(塩化トシルが用いられる場合)などの側鎖反応が生じやすく、および6位にスルホン基を有する化合物が含まれる場合には、スルホニル基の酸素との置換すら起こり得る。
完全にジアステレオ選択的な方法で、ベンジルアルコールを、対応するアルキルアミンに変換するための方法がいくつかある。例えば、米国特許第5,391,772号には、ここでもまた4位のヒドロキシル基から出発し、配置の反転をもたらすホスホリルアジド基の使用による、類似構造上へのアジド基の導入が記載されている。しかしながらこの場合、ホスホリルアジドの事前合成が必要であり、このアジドの使用には、アジドの毒性のため、また、アジドに起爆の可能性があるため、工業レベルでは一定の危険性が伴う。
よって、当技術分野の現状から、式(II)のアルキルアミンを得るということには、少なくとも3〜4合成工程を含み、そのいくつかが危険であるためにいくつかの欠点がある。このことは総て、さらに、その後のアミノ化におけるジアステレオ選択性、ならびに副生成物の生成にも影響を及ぼす。
発明の概要
本発明は、上述の欠点を解決する上述の4−(N−アルキルアミノ)−5,6−ジヒドロ−4H−チエノ−[2,3−b]−チオピランをジアステレオ選択的に製造するための安定な中間体および反応に向けられている。
従って、本発明の一態様では、式(I):
Figure 0005374672
[式中、
nは0、1または2であり、
は直鎖または分枝型のアルキル基であり、
は、置換または非置換アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、置換または非置換ヘテロシクリル基、置換または非置換ヘテロシクリルアルキル基から選択される]
の化合物、それらの立体異性体および/またはその混合物に向けられている。
本発明の別の態様では、これら式(I)の化合物を得る方法であって、
式(III)
Figure 0005374672
(式中、nは0、1または2である)
と式(IV)
Figure 0005374672
(式中、RおよびRは従前に定義されている)
の化合物との、ホスフィンおよびアザジカルボン酸ジアルキルの存在下での、4位の炭素原子の配置の反転を生じさせるような反応を含んでなる方法に向けられている。
本発明はまた、式(II)
Figure 0005374672
(式中、nおよびRは従前に定義されている)
の化合物、その立体異性体またはその混合物を得る方法であって、従前に定義されたように、式(I)の化合物のアミノ基を脱保護することを含んでなる方法に向けられている。この方法の一つの変形形態では、トランス立体化学を有するアルキルアミンに向けられている。
最後に、別の態様では、本発明はまた、従前に定義された二つの方法のうち少なくとも一つを含んでなる、(4S,6S)−4−(N−エチルアミノ)−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−2−スルホンアミド−7,7−ジオキシド(ドルゾラミド)の合成方法に向けられている。
発明の詳細な説明
本発明者らは、例えばドルゾラミドなど、眼の高血圧を制御するための薬物を形成するのに有用な一般式(I)の4−(N−アルキルアミノ)−5,6−ジヒドロ−4H−チエノ−[2,3−b]−チオピランをジアステレオ選択的に製造するための新規の合成経路を見出した。4位において所定の配置(シスまたはトランス、好ましくは、シス)を有するヒドロキシル基から出発し、反対の配置(トランスまたはシス、好ましくは、トランス)を有する対応するアルキルアミンが、以下の形態の変換によって得られる。
Figure 0005374672
驚くべきことに、一般式(I)のスルホンアミド中間体は安定であり、分解生成物を生じない固体である。さらに、この第一の反応は配置の反転を伴う完全にジアステレオ選択的なものである。さらなる利点は、この反応条件が穏和であり、かつ、試薬も全く危険性のないものであるということである。この二段階合成反応は極めて高い収率を有し、得られる生成物の精製も容易である。
光延条件は予めアルコールをアミンへ変換するために用いられるが、すぐに得られる構造の場合、米国特許第5,391,772号(第2段落44行目〜第3段落10行目)排除副生成物の形成および関与する炭素上の立体化学制御の欠如が予測され、その結果、混合物において複雑な精製が必要となることから、工業応用がほとんどできない。この事実にもかかわらず、驚くべきことに、ニトロベンゼンスルホニルアミンを用いるアミノ化反応は、配置の反転を伴い、しかも高収率で迅速かつ完全に起こり、安定な化合物が得られ、この化合物は容易に単離することができ、容易に排除することができる基により直接保護されたN基を有することが見出された。
よって、本発明の目的は、式(I):
Figure 0005374672
[式中、nは0、1または2であり、Rは直鎖または分枝型のアルキル基であり、Rは、置換または非置換アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、置換または非置換ヘテロシクリル基、置換または非置換ヘテロシクリルアルキル基から選択される]の化合物、それらの立体異性体および/またはその混合物である。
本発明の変形形態では、化合物はn=0または2であり、nは好ましくは、2である。この場合、中間体はドルゾラミドを製造するのに特に有用である。
別の変形形態では、基Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、好ましくは、エチルである。
本発明の別の変形形態では、Rは置換または非置換アリール基である。好ましくは、Rは、2−ニトロベンゼンまたは4−ニトロベンゼンなどのベンゼン基である。
本発明の化合物は、対応するその鏡像異性体または混合物を含め、トランス配置を有する場合に特に有用である。
本発明の化合物の中でも、次の化合物が特に好ましい:
4−[N−エチル−N−(2−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシド、
4−[N−エチル−N−(4−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシド、
4−[N−エチル−N−(2−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン、
それらの立体異性体またはその混合物。
従前に述べたように、これらの化合物のトランス立体異性体、すなわち、
トランス−4−[N−エチル−N−(2−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシド、
トランス−4−[N−エチル−N−(4−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシド、
トランス−4−[N−エチル−N−(2−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン、
ならびにそれらの鏡像異性体またはその混合物が好ましい。
ドルゾラミドの合成に直接有用なために特に好ましい化合物は、
Figure 0005374672
(式中、Rは従前に述べた意味を有する)
である。
本明細書において、次の用語は示された意味を有する。
「アルキル」とは、1〜12個の間の炭素原子を有することができ、一重結合によって分子の残りの部分と連結されている、飽和、直鎖または分枝型の炭化水素鎖基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチルなどを意味する。置換される場合には、それらはアリール、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシル、カルボキシル、シアノ、カルボニル、アシル、アルコキシカルボニル、アミノ、ニトロ、メルカプト、アルキルチオなどの1以上の置換基によって置換することができる。アリールにより置換される場合には、ベンジルおよびフェネチルなどの「アラルキル」基が得られる。ヘテロシクリルにより置換される場合には、「ヘテロシクリルアルキル」が得られる。
「アリール」とは、単環式基、ならびに分離型および縮合型双方の多環式基を意味する。典型的なアリール基は、とりわけ、フェニル基、ナフチル基、ジフェニル基、インデニル基、フェナントリル基またはアントラシル基などの、1〜3個の分離環または縮合環と6〜約18個の環炭素原子を含む。アリールは、置換される場合、ヒドロキシル、メルカプト、ハロゲン、アルキル、フェニル、アルコキシル、ハロアルキル、ニトロ、シアノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキル、アシル、アルコキシカルボニルなどの1以上の置換基を有し得る。
「ヘテロシクリル」とは、炭素原子と、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される1〜5個のヘテロ原子とでなる3〜15員環、好ましくは、1以上のヘテロ原子を有する4〜8員環、より好ましくは、1以上のヘテロ原子を有する5または6員環、を有する安定な基を意味する。ヘテロシクリルは、芳香族であってもなくてもよい。
従前に述べたように、本発明のもう一つの目的は、式(III)
Figure 0005374672
(式中、nは0、1または2である)
と式(IV)
Figure 0005374672
(式中、RおよびRは従前に定義されている)
の化合物との、ホスフィンおよびアザジカルボン酸ジアルキルの存在下での、4位の炭素原子の配置の反転が生じるような反応を含む、式(I)の化合物の製造方法である。
式(III)のカルビノールは既知であり、例えば、米国特許第5,157,129号および同第5,760,249号に記載の方法論に従って得ることができる。
本発明の方法の変形形態では、ホスフィンはトリフェニルホスフィン(PPh)である。もう一つの変形形態では、アザジカルボン酸ジアルキル(dialkyl azadicarboxylate)は、アザジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)またはアザジカルボン酸ジエチル(DEAD)であるが、DIADの方が安定であり、好ましい。
用いるスルホンアミド(IV)に関しては、塩化スルホニルを対応するアルキルアミンと反応させることにより、容易に得ることができる。例えば、N−エチル−2−ニトロベンゼンスルホンアミドは好ましくは、0〜5℃で塩化2−ニトロベンゼンスルホニルをエチルアミン水溶液と反応させることによって得られる。
4−ヒドロキシ−5,6−ジヒドロ−4H−チエノ−[2,3−b]チオピラン(III)とスルホンアミド(IV)の反応は、アセトニトリル、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、トルエンなどの非プロトン性溶媒中、窒素雰囲気下で行うのが好ましい。好ましい溶媒は、一般式(I)のいくつかの化合物がその反応媒体中で沈殿させることができ、抽出または他のもっと複雑な分離の必要もなく単純な濾過により単離することができることを考えれば、トルエンである。
記載の反応においては、反応温度は約−35℃〜20℃であることが好ましい。好ましい範囲は−30℃〜0℃である。
一度試薬が添加されれば、反応は、変換が終了するまで攪拌下で維持する。沈殿が生じる場合には濾過することができ、その固体例えば、冷トルエン、アセトニトリルまたは塩化メチレンで洗浄し、乾燥させる。
上記の本発明の方法は、完全にジアステレオ選択的であることを特徴とし、従って、化合物(III)において中心4がS配置を有する場合には、4位においてR配置を有する化合物(I)が得られる。また、出発材料としてシス−(III)を用いる場合には、トランス−(I)が得られる。このことは、付加的な分離工程を必要とし、収率を低下させるジアステレオマーの混合物を避けることによって純粋な医薬品を得るためには極めて重要なことである。
本発明のさらなる目的は、また、式(I)の化合物の脱保護法、すなわち、従前に定義されたような式(I)の化合物のアミノ基を脱保護することを含む、式(II)
Figure 0005374672
(式中、nおよびRは従前に定義されている)
の化合物、その立体異性体またはその混合物を得る方法である。
この反応はR残基によって行われる。この置換基を適宜選択すれば、有機合成において公知の穏和な条件で脱保護反応を容易に行うことができる。
が例えば2−ニトロフェニルまたは4−ニトロフェニルである場合、脱保護は、フェニル硫化カリウムとの反応によって行われる。典型的な方法では、アセトニトリル中、ベンゼンチオールの溶液を調製し、0℃〜10℃にて水酸化カリウム水溶液で処理する。得られた混合物に式(I)の化合物を添加し、変換が終了するまで40〜50℃で加熱する。この変換の過程で、反応混合物は懸濁液から溶液となる。変換が終了したところで、混合物を水で処理し、揮発性物質を蒸留させた後、式(II)の化合物を有機溶媒、好ましくは、酢酸エチルで抽出する。式(II)の化合物はこの抽出において単離される。
あるいは、式(II)の化合物は、所望により、好適な溶媒中、対応する有機酸または無機酸を加えることにより、有機酸塩または無機酸塩として単離することもできる。
分かるように、中間体(I)および従前に記載されている本発明の方法は、ドルゾラミドの合成において特に有用である。よって、本発明のさらなる目的は、ドルゾラミド合成法における、および従前に記載されたようなカルビノール(III)およびスルホンアミド(IV)を反応させる反応工程、または従前に記載したような脱保護工程を含む、ドルゾラミド合成法における式(I)の化合物の使用である。好ましい変形形態では、その方法は両段階を含む。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、これらの実施例は特許請求の範囲を限定するものと解釈すべきでない。
実施例1: N−エチル−4−ニトロベンゼンスルホンアミド
水中70%のエチルアミン(12.7mL)とメタノール(50mL)を混合する。これを0〜5℃まで冷却する。塩化4−ニトロベンゼンスルホニル(10g)を、温度を5℃以下に維持しながら、少量ずつ加える。これを、変換が完了するまで温度を維持しながら15分間攪拌する。水(100mL)を加える。これを、温度を5℃以下に維持しながら30分間攪拌する。反応混合物を濾過し、単離された固体を水で洗浄し、乾燥させると、8.99gのN−エチル−4−ニトロベンゼンスルホンアミドが得られる。
実施例2: トランス−4−[N−エチル−N−(4−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシド
塩化メチレン(60mL)、シス−4−ヒドロキシ−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシド(5g)、N−エチル−4−ニトロベンゼン−スルホンアミド(6.86g)およびトリフェニルホスフィン(8.42g)を窒素雰囲気下で混合する。この混合物を−20℃以下まで冷却し、温度を−20℃以下に維持しながらアザジカルボン酸ジイソプロピル(5.9mL)を加える。温度を20〜25℃まで上昇させる。得られた混合物を5%NaOH(125mL)で処理し、得られた有機相を真空下で蒸発乾固させる。残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン 2/1)に付すと、4.97gのトランス−4−[N−エチル−N−(4−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシドが得られる。
1H-NMR(DMSO-d6、400 MHz):δ(PPM)=0.96(t、3H);1.30 (d、3H);2.24(dt、1H);2.58(ddd、1H);3.16(m、2H);3.70(m、1H);5.26(dd、1H);6.60(d、1H);7.93(d、1H);8.2(d、2H);8.40(d、2H)。
13C-NMR(DMSO-d6,100MHz): δ(PPM)=12(CH3);16(CH3);34(CH);41(CH);52(CH);56(CH);126(CH);128(CH);129(CH);133(CH);136(C);143(C);146(C);151(C)。
実施例3: トランス−4−(N−エチルアミノ)−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシド塩酸塩(トランス−4−[N−エチル−N−(4−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシドから出発)
ベンゼンチオール(2.8mL)をアセトニトリル(14.5mL)に溶解し、0〜5℃に冷却する。水(3.6mL)中、水酸化カリウム(1.53g)の溶液を、温度を維持しながら加える。トランス−4−[N−エチル−N−(4−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシド(4.69g)を加える。得られた懸濁液を50℃に加熱し、変換が完了するまでこの温度を維持する。20〜25℃に冷却し、水(36mL)を加える。混合物を、アセトニトリルが除去されるまで、真空蒸発させる。これを酢酸エチル(72mL)で抽出する。有機相を真空下で蒸発乾固させる。残渣を酢酸エチル(72mL)に溶解し、35%塩酸(1mL)を加える。得られた懸濁液を濾過する。単離された固体を酢酸エチルで洗浄し、乾燥させると、2.56gのトランス−4−(N−エチルアミノ)−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシド塩酸塩が得られる。
実施例4: N−エチル−2−ニトロベンゼンスルホンアミド
水中70%エチルアミンに、0〜5℃で、この温度に維持しながら、塩化2−ニトロベンゼンスルホニル(10g)を少量ずつ加える。これを、変換が完了するまで、15分間攪拌する。温度を維持しながら水(80mL)を加える。これを30分間攪拌する。これを濾過、洗浄、および乾燥させると、8.97gのN−エチル−2−ニトロベンゼンスルホンアミドが得られる。
1H-NMR(CDCL3、400 MHz):δ(PPM)=1.15(t、3H);3.15(q、2H);5.25(t、1H);7.7(m、2H);7.8(m、1H);8.10(m、1H)。
1C-NMR(CDCL,100MHz): エチルアミン(PPM)=15(CH3);39(CH2);125.2(CH);131(CH);132.8(CH);133.4(C);133.8(CH);148(C)。
実施例5: トランス−4−[N−エチル−N−(2−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン
塩化メチレン(130.5mL)、シス−4−ヒドロキシ−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン(10.44g)、N−エチル−2−ニトロベンゼン−スルホンアミド(16.78g)およびトリフェニルホスフィン(20.61g)を窒素雰囲気下で混合する。混合物を0〜5℃に冷却し、温度を維持しながらアザジカルボン酸ジイソプロピル(16.6mL)を加える。温度を20〜25℃まで上昇させ、変換が完了するまで維持する(2時間)。得られた混合物を5%NaOH(100mL)で処理する。得られた有機相を真空下で蒸発乾固させ、残渣をクロマトグラフィーに付すと、9.8gのトランス−4−[N−エチル−N−(2−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ[2,3−b]−チオピランが得られる。
1H-NMR(CDCL3、400 MHz):δ(PPM)=1.05(t、3H);1.45(d、3H);2.17(m、1H);2.35(m、1H);3.16(m、1H);3.39(m、1H);3.48(m、1H);5.2(dd、1H);6.71(d、1H);6.95(d、1H);7.7(m、3H);8.1(m、1H)。
13C-NMR(CDCL,100MHz): δ(PPM)=17(CH3);21(CH);36(CH);37(CH2);41(CH2);52(CH);122(CH);124(CH);128(CH);129(C);131(CH);132(CH);133(C);134(C);134.5(C);148(C)。
実施例6: トランス−4−(N−エチルアミノ)−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン
ベンゼンチオール(3.2mL)をアセトニトリル(15mL)に溶解する。これを5℃以下に冷却し、温度を10℃以下に維持しながら、水(4.2mL)中、水酸化カリウム(1.73g)の混合物を加える。温度を20〜25℃まで上昇させ、アセトニトリル(10mL)中、トランス−4−[N−エチル−N−(2−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン(4.9g)の溶液を加える。得られた混合物を50℃で加熱し、変換が完了するまで維持する。水(80mL)を加え、揮発性物質が除去されるまで真空蒸発させる。これを酢酸エチル(80mL)で抽出する。得られた有機相を真空下で蒸発乾固させ、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール 94/6)に付すと、1.9gのトランス−4−(N−エチルアミノ)−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピランが得られる。
1H-NMR(CDCL3、400 MHz):δ(PPM)=1.10(t、3H);1.25(broad s 、1H);1.38(d、3H);1.71(m、1H);2.22(m、1H);2.72(q、2H);3.58(m、1H);3.82(t、1H);6.85(d、1H);6.98(d、1H)。
13C-NMR(CDCL,100MHz): δ(PPM)=16(CH3);21(CH);33(CH);38(CH2);42(CH2);52(CH);121(CH);128(CH);128(CH);131(C);134(C)。
実施例7: トランス−4−[N−エチル−N−(2−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシド
トルエン(100mL);トリフェニルホスフィン(6.8g);シス−4−ヒドロキシ−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシド(5g)およびN−エチル−2−ニトロベンゼンスルホンアミド(5.54g)を窒素雰囲気下で混合する。混合物を−30℃に冷却し、アザジカルボン酸ジイソプロピル(4.8mL)を加える。これを変換が完了するまで攪拌する。これを濾過、洗浄、および乾燥させる。単離された原産物をカラム精製すると、8.07gのトランス−4−[N−エチル−N−(2−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシドが得られる。
1H-NMR(CDCL3、400 MHz):δ(PPM)=1.0(t、3H);1.55(d、3H);2.55(dt、1H);2.95(ddd、1H);3.2(m、1H);3.4(m、1H);3.5(m、1H);5.4(dd、1H);7.0(d、1H);7.55(d、1H);7.75(m、3H);8.15(m、1H)。
13C-NMR(CDCL,100MHz): δ(PPM)=12.5(CH3);16.0(CH);33.0(CH);41(CH);51.5(CH);56.5(CH);124.5(CH);127.5(CH);130.5(CH);131.0(CH);132.5(CH);133.9(C);134(CH);135.3(C);142.0(C);147.5(C)。
実施例8: トランス−4−[N−エチル−N−(2−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシド(トリチルホスフィン使用)
トルエン(100mL);シス−4−ヒドロキシ−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシド(5g)、トリブチルホスフィン(6.6mL)およびN−エチル−2−ニトロベンゼンスルホンアミド(6.17g)を窒素雰囲気下で混合する。これを−20/−30℃に冷却する。温度を維持しながらアザジカルボン酸ジイソプロピル(4.8mL)を加える。4時間、温度を維持しながら攪拌下で維持する。トリブチルホスフィン(1.5mL)およびアザジカルボン酸ジイソプロピル(1.5mL)を加える。これを20〜25℃にし、30分間維持する。これを0〜5℃に冷却し、濾過し、冷トルエンで洗浄し、乾燥させる。メタノールに再懸濁させることによって精製した後、2.01gのトランス−4−[N−エチル−N−(2−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシドが得られる。
実施例9: トランス−4−(N−エチルアミノ)−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシド塩酸塩(トランス−4−[N−エチル−N−(2−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシドから出発)
ベンゼンチオール(31.7mL)をアセトニトリル(164.6mL)に溶解し、0〜5℃に冷却する。水(34.7mL)中、水酸化カリウム(17.33g)の溶液を、温度を維持しながら加える。トランス−4−[N−エチル−N−(2−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシド(53.llg)を加え、変換が完了するまで50℃に加熱する。これを20〜25℃に冷却し、水(410mL)を加える。混合物を、揮発性物質が除去されるまで真空蒸発させる。これを酢酸エチル(410mLおよび2×210mL)で抽出する。有機相をプールし、35%塩酸(12mL)で処理する。容量が半分に減るまで真空蒸発させる。これを濾過し、酢酸エチルで洗浄し、乾燥させる。32.45gのトランス−4−(N−エチルアミノ)−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシド塩酸塩が得られる。

Claims (25)

  1. 式(I):
    Figure 0005374672
    [式中、
    nは0、1または2であり、
    は、直鎖または分枝型のアルキル基であり、
    は、置換または非置換アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、置換または非置換ヘテロシクリル基、および置換または非置換ヘテロシクリルアルキル基から選択される]
    の化合物、それらの立体異性体および/またはその混合物製造する方法であって、式(III)
    Figure 0005374672
    (式中、nは0、1または2である)
    の化合物と式(IV)
    Figure 0005374672
    (式中、RおよびRは従前に定義されている)
    の化合物との、ホスフィンおよびアザジカルボン酸ジアルキルの存在下での、4位の炭素原子の配置の反転が生じる反応を含んでなる、方法。
  2. nが、0または2である、請求項1に記載の方法。
  3. が、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である、請求項1または2に記載の方法。
  4. が、置換または非置換アリール基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. が、2−ニトロベンゼンまたは4−ニトロベンゼンである、請求項4に記載の方法。
  6. 対応する鏡像異性体を含むトランス配置を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 式(I)の化合物が、
    4−[N−エチル−N−(2−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシド、 4−[N−エチル−N−(4−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシド、 4−[N−エチル−N−(2−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン、
    それらの立体異性体またはその混合物から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 式(I)の化合物が、
    トランス−4−[N−エチル−N−(2−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシド、
    トランス−4−[N−エチル−N−(4−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシド、
    トランス−4−[N−エチル−N−(2−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン、それらの鏡像異性体またはその混合物から選択される、請求項7に記載の方法。
  9. ホスフィンが、トリフェニルホスフィンである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. アザジカルボン酸ジアルキルが、アザジカルボン酸ジエチルまたはアザジカルボン酸ジイソプロピルである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 非プロトン性溶媒中で行われる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 化合物(III)が、シス配置を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法により得られる式(I)の化合物のアミノ基を脱保護することを含んでなる、式(II)
    Figure 0005374672
    (式中、nおよびRは請求項1に定義されている)
    の化合物、その立体異性体またはその混合物を製造する方法
  14. が、2−ニトロベンゼンまたは4−ニトロベンゼンであり、脱保護が、フェニル硫化カリウムの存在下で行われる、請求項13に記載の方法。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法を少なくとも一つ含んでなる、(4S,6S)−4−(N−エチルアミノ)−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−2−スルホンアミド−7,7−ジオキシド(ドルゾラミド)の製造方法
  16. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法を含んでなる、(4S,6S)−4−(N−エチルアミノ)−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−2−スルホンアミド−7,7−ジオキシド(ドルゾラミド)の製造方法
  17. 式(I):
    Figure 0005374672
    [式中、
    nは0、1または2であり、
    は直鎖または分枝型のアルキル基であり、
    は、置換または非置換アルキル基、置換または非置換アリール基、置換または非置換アラルキル基、置換または非置換ヘテロシクリル基、および置換または非置換ヘテロシクリルアルキル基から選択される]
    の化合物、それらの立体異性体および/またはその混合物。
  18. nが、0または2である、請求項17に記載の化合物。
  19. が、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である、請求項17に記載の化合物。
  20. が、エチルである、請求項19に記載の化合物。
  21. が、置換または非置換アリール基である、請求項17に記載の化合物。
  22. が、2−ニトロベンゼンまたは4−ニトロベンゼンである、請求項21に記載の化合物。
  23. 対応する鏡像異性体を含むトランス配置を有する、請求項17〜22のいずれか一項に記載の化合物。
  24. 4−[N−エチル−N−(2−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシド、 4−[N−エチル−N−(4−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシド、 4−[N−エチル−N−(2−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン、
    それらの立体異性体またはその混合物から選択される、請求項17〜23のいずれか一項に記載の化合物。
  25. トランス−4−[N−エチル−N−(2−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシド、
    トランス−4−[N−エチル−N−(4−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン−7,7−ジオキシド、
    トランス−4−[N−エチル−N−(2−ニトロベンゼンスルホニル)アミノ]−5,6−ジヒドロ−6−メチル−4−H−チエノ−[2,3−b]−チオピラン、それらの鏡像異性体またはその混合物から選択される、請求項24に記載の化合物。
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