JP5374320B2 - 接着耐久性に優れた表面処理アルミニウム合金材およびそのアルミニウム合金材の表面処理方法 - Google Patents

接着耐久性に優れた表面処理アルミニウム合金材およびそのアルミニウム合金材の表面処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、自動車等の輸送機用、特に自動車パネルに好適に用いることができる接着耐久性に優れた表面処理アルミニウム合金材と、そのアルミニウム合金材の表面処理方法に関するものである。
従来から、自動車、船舶、航空機あるいは車両などの輸送機、機械、電気製品、建築物、構造物、光学機器、器物の部材や部品用として、各種アルミニウム合金材が、合金毎の各特性に応じて汎用されている。
近年、排気ガス等による地球環境問題に対して、自動車車体の軽量化による燃費の向上が追求されている。そのため、従来使用されていた鉄鋼材料に代わって、比重が鉄の約1/3であり、優れたエネルギー吸収性を有するアルミニウム材料の自動車車体への使用が増加している。
自動車パネルとして用いられるアルミニウム合金材としては、JIS5000系のAl−Mg系合金、JIS6000系のAl−Mg−Si系合金等のMg含有アルミニウム合金を挙げることができるが、これらアルミニウム合金材でなる自動車パネルの接合には、溶接や接着が採用されている。溶接による接合は点や線で行われるのに対し、接着剤による接合は面全体で行われるため、接合強度が高くなり、衝突安全性の面で有利となることから、近年、接着剤による接合の採用が増加傾向にある。
この接着剤で接合した自動車パネルは、使用中に水分や酸素、或いは塩分等がその接合部に侵入することで、次第に、接着剤とアルミニウム合金材の界面が劣化し、界面剥離が発生することで、接着強度が低下することが課題となっている。
このアルミニウム合金材の接着性を向上させる方法としては、アルミニウム合金材の表面近傍に存在する接着破壊発生の原因となる力学的に弱い酸化皮膜を、接着剤を塗布する前に酸洗などで事前に除去する方法、アルミニウム合金材表面を、陽極酸化法によりアンカー効果をもたらすような表面形態とする方法、などが当業者の間では一般的に知られている。
しかしながら、前者の力学的に弱い酸化皮膜を事前に除去するだけの方法では、初期の接着強度は改善されるものの、使用中の経年劣化が進むと、塩水環境での耐久性が低い無処理のアルミニウム合金材の素地に、塩分などが浸透してくることがあり、その結果、界面劣化が進み、接着強度が劣化してくるという問題がある。また、後者の陽極酸化法により表面形態を制御する方法では、表面皮膜を厚くすることで、塩水環境などの腐食性の環境において耐久性を向上させ、接着強度を向上させることができるものの、陽極酸化法で十分に厚い皮膜を形成するためには長時間を要し、生産効率が悪くなるという問題がある。
そこで、比較的簡便にアルミニウム合金材の接着性を向上させる方法として、特許文献1によって、アルミニウム合金材の表面に、Ti,Zrのフッ化物錯体の溶液を用いてTi,Zr含有皮膜を形成する方法や、特許文献2によって、アルミニウム合金材の表面に、有機ホスホン酸溶液を用いて有機ホスホン酸皮膜を形成する方法が、夫々提案されている。
これらの方法で、アルミニウム合金材の表面に皮膜を形成した場合、表面に皮膜を形成しない無処理アルミニウム合金材と比較すると、接着耐久性はある程度は向上しているものの、自動車の衝突安全性を長期間維持するためにはまだ不十分であり、更なる接着耐久性の向上が求められているのが現状である。
そこで考えられるのが、アルミニウム合金材の表面に、2層の皮膜を形成することであるが、一般にアルミニウム合金材の表面に形成する皮膜は金属酸化物等でなる無機皮膜である。これら無機皮膜を単に2層にするだけでは、たとえ異なる2層の無機皮膜としても、接着耐久性の劣化因子である環境の水分、酸素、塩分などは、接着剤との界面である表層の無機皮膜の表面に浸透して作用するため、接着耐久性の向上効果として表れるのは、表層の無機皮膜による効果だけで、下地層として設ける無機皮膜との相乗効果は得ることは期待できない。尚、下地層を無機皮膜ではなく有機ホスホン酸皮膜とした場合にも、同様に表層の無機皮膜による効果しか得ることはできない。
米国特許第6562148号明細書 特表平10−506416号公報
本発明は、上記従来の問題を解消せんとしてなされたもので、接着剤を用いて接合した際に、経年劣化で界面剥離が発生して接着強度が低下することがなく、特に自動車用パネルとして用いた場合は衝突安全性の面で有利な、接着耐久性に優れた表面処理アルミニウム合金材と、その接着耐久性に優れたアルミニウム合金材の表面処理方法を提供することを課題とするものである。
請求項1記載の発明は、Mg含有アルミニウム合金基材と、前記Mg含有アルミニウム合金基材の表面に形成された金属酸化物系のTi,Zr含有無機下地皮膜と、前記金属酸化物系のTi,Zr含有無機下地皮膜の表面に形成された有機ホスホン酸皮膜を含んで構成されることを特徴とする接着耐久性に優れた表面処理アルミニウム合金材である。
請求項2記載の発明は、Mg含有アルミニウム合金基材の表面に、金属酸化物系下地皮膜を形成する金属酸化物系下地皮膜形成工程と、前記金属酸化物系下地皮膜の表面に、有機ホスホン酸を含有する溶液を用いて有機ホスホン酸皮膜を形成する有機ホスホン酸皮膜形成工程を含み、前記金属酸化物系下地皮膜形成工程は、前記Mg含有アルミニウム合金基材の表面に、TiおよびZrを含有する酸性溶液を用いてTi,Zr含有無機下地皮膜を形成する工程であることを特徴とする接着耐久性に優れたアルミニウム合金材の表面処理方法である。
請求項記載の発明は、前記TiおよびZrを含有する酸性溶液のpHが、2〜5であることを特徴とする請求項記載の接着耐久性に優れたアルミニウム合金材の表面処理方法である。
請求項記載の発明は、前記有機ホスホン酸を含有する酸性溶液のpHが、0.5〜3であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の接着耐久性に優れたアルミニウム合金材の表面処理方法である。
本発明の表面処理アルミニウム合金材は、接着剤を用いて接合した際に、経年劣化で界面剥離が発生して接着強度が低下することがなく、特に自動車用パネルとして用いた場合は衝突安全性の面で有利な、接着耐久性に優れた表面処理ルミニウム合金材である。
本発明のアルミニウム合金材の表面処理方法によると、接着剤を用いて接合した際に、経年劣化で界面剥離が発生して接着強度が低下することがなく、特に自動車用パネルとして用いた場合は衝突安全性の面で有利な、接着耐久性に優れた表面処理アルミニウム合金材を得ることができる。
実施例で作製した接着試験体の形状を示す側面図である。 実施例で作製した接着試験体の形状を示す平面図である。
自動車パネル等として用いられるMg含有アルミニウム合金材は、その接合部で界面剥離が発生して接着強度が低下することがあったため、本発明者らは、接合部で界面剥離が発生することがなく、接着耐久性に優れた表面処理アルミニウム合金材を開発するために、鋭意、実験、研究を進めた。その結果、酸化皮膜を除去したMg含有アルミニウム合金基材の表面に、ベーマイト下地皮膜やTi,Zr含有無機下地皮膜等の金属酸化物系下地皮膜を形成し、更に、その金属酸化物系下地皮膜の表面に有機ホスホン酸皮膜を形成することで、所望の接着耐久性が得られることを見出し、本発明の完成に至った。
以下、本発明を実施形態に基づいて更に詳細に説明する。
ベーマイト皮膜やTi,Zr含有無機皮膜等の金属酸化物系皮膜は、塩水環境でのアルミニウム合金基材の溶出を抑制する効果がある。一方、有機ホスホン酸皮膜はイオン結合点を増やし、接着剤との密着性を向上させる効果がある。
本発明では、Mg含有アルミニウム合金基材の表面に、金属酸化物系下地皮膜を形成し、更に、その金属酸化物系下地皮膜の表面に、その金属酸化物系下地皮膜が完全に溶解または消失しないように調整した上で、有機ホスホン酸皮膜を形成した。尚、その調整については後述する。
接着耐久性劣化因子である環境の水分、酸素、塩分などは、最表面に形成される有機ホスホン酸皮膜を浸透してその下面まで到達し、その下層の金属酸化物系下地皮膜に作用する。その金属酸化物系下地皮膜では塩水での耐溶出性の作用が発現する。一方で、最表面には有機ホスホン酸皮膜が形成されているので、有機ホスホン酸皮膜による接着剤との密着性を向上させる作用も併せて発現される。以上の作用が併せて発現されることで、経年劣化で界面剥離が発生して接着強度が低下することがなく、接着耐久性に優れるという相乗効果を得ることができる。
参考に述べるが、Mg含有アルミニウム合金基材の表面に、有機ホスホン酸下地皮膜を形成し、更に、その表面に金属酸化物系皮膜を形成した場合は、塩水での耐溶出性の作用は発現するものの、接着剤との密着強度は、最表面の金属酸化物系皮膜分しか得られなくなるため不十分となり、十分な接着耐久性の改善効果は得ることができない。
次に、本発明の構成要素であるMg含有アルミニウム合金基材、金属酸化物系下地皮膜、および有機ホスホン酸皮膜について、アルミニウム合金材の表面処理方法と共に併せて説明する。
(Mg含有アルミニウム合金基材)
本発明が対象とするアルミニウム合金基材は、自動車パネル等として用いられる、JIS5000系のAl−Mg系合金、JIS6000系のAl−Mg−Si系合金等のMg含有アルミニウム合金基材である。
(金属酸化物系下地皮膜)
Mg含有アルミニウム合金基材の表面に形成する金属酸化物系下地皮膜として例示することができる下地皮膜は、ベーマイト下地皮膜やTi,Zr含有無機下地皮膜などである。以下、金属酸化物系下地皮膜が、ベーマイト下地皮膜とTi,Zr含有無機下地皮膜である場合について、個々に説明する。
ベーマイト下地皮膜は、Mg含有アルミニウム合金基材を温水等に浸漬することで水和反応により形成されるAlの水和酸化物の皮膜である。例えば、イオン交換水、1質量%未満の希薄なトリエタノールアミン水溶液、1質量%未満の希薄なアンモニア水等を用いて、70〜90℃で、30秒〜10分程度の処理を行うことで形成することができる。
Ti,Zr酸化物からなるTi,Zr含有無機下地皮膜は、Mg含有アルミニウム合金基材の表面に、TiおよびZrを含む酸性溶液を塗布して乾燥させるか、Mg含有アルミニウム合金基材を、TiおよびZrを含む酸性溶液に浸漬して取り出した後、乾燥させることにより形成することができる。
Ti,Zr酸化物のTi,Zrの添加形態は、単独の金属イオンであっても、また、フッ素などが配位した錯イオンであっても良い。また、反応性と造膜性を考慮し、TiおよびZrを含有する酸性溶液のpHが、2〜5になるように濃度を調整する必要があり、必要であれば、アンモニア水などのアルカリやふっ酸などの酸でpHを調整しても良い。pHが2より小さい場合は、形成させようとしているTi,Zr含有無機下地皮膜の溶出が大きくなり、Ti,Zr含有無機下地皮膜の形成に支障を来たすこととなる。一方、pHが5より大きい場合は、アルミニウム合金基材の酸化皮膜の溶解が起こりにくくなり、Ti,Zr含有無機下地皮膜の形成に多大な時間がかかることになる。従って、Ti,Zr含有無機下地皮膜の形成に用いるTiおよびZrを含有する酸性溶液のpHは、2〜5とする。
金属酸化物系下地皮膜の膜厚は、その表面に有機ホスホン酸皮膜を形成した最終形態の膜厚で、5〜200nmとすることが好ましい。膜厚が5nmより薄い場合は、金属酸化物系下地皮膜による耐久性向上効果が不十分となり、逆に膜厚が200nmより厚くなると、その耐久性向上効果が飽和してしまう。より好ましい金属酸化物系下地皮膜の膜厚は、10〜150nmである。
金属酸化物系下地皮膜の膜厚は、堀場製作所製のGD−PROFILER2型GD−OES(グロー放電発光分光分析)で測定した酸素強度が15原子%を下回る深さから、有機ホスホン酸皮膜のリン酸の強度(原子%)が最大値の1/10を下回る深さを差し引いた値とした。尚、金属酸化物系下地皮膜の膜厚は必ずしもこの方法によって求める必要はない。
(有機ホスホン酸皮膜)
有機ホスホン酸皮膜を構成する有機ホスホン酸は、リン酸原子に水酸基が2つ結合した無置換の化合物であって、有機炭素を分子構造内に含むホスホン酸であれば良く、例えば、ビニルホスホン酸、スチレンホスホン酸、エチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フィチン酸を挙げることができる。
有機ホスホン酸皮膜は、表面に金属酸化物系下地皮膜を形成したMg含有アルミニウム合金基材の表面に、有機ホスホン酸を含む酸性溶液を塗布して乾燥させるか、表面に金属酸化物系下地皮膜を形成したMg含有アルミニウム合金基材を、有機ホスホン酸を含む酸性溶液に浸漬して取り出して乾燥させることにより形成することができる。尚、酸性溶液に添加する有機ホスホン酸は、単独であっても、複数種であっても良い。
また、反応性と造膜性、更には有機ホスホン酸皮膜形成後に金属酸化物系下地皮膜を残すことを考慮し、有機ホスホン酸を含有する酸性溶液のpHが、0.5〜3になるように濃度を調整する必要がある。pHが0.5より小さい場合は、先に形成した金属酸化物系下地皮膜の溶解速度が速くなり、金属酸化物系下地皮膜が完全に溶解または消失、或いは膜厚が薄くなってしまう可能性があり、アルミニウム合金基材の溶出を抑制し、接着耐久性を向上させる効果を十分に発現させることが期待できなくなる。一方、pHが3より大きい場合は、反応性が低くなり、有機ホスホン酸皮膜の形成に多大な時間がかかることになる。従って、有機ホスホン酸皮膜の形成に用いる有機ホスホン酸を含有する酸性溶液のpHは、0.5〜3とする。尚、この酸性溶液のより好ましいpHは、0.8〜2.8である。
尚、有機ホスホン酸皮膜の膜厚は特に規定しない。しかしながら、上記した通常の皮膜形成手段によっては、有機ホスホン酸皮膜を、μmオーダーの単位で厚くすることは不可能で、また不必要である。通常の皮膜形成手段では、サブnm〜10nm程度の膜厚の有機ホスホン酸皮膜しか形成できず、また、この程度の膜厚で十分な効果を発現することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
本実施例では、板厚1.0mmのJIS6000系の6022規格のアルミニウム合金冷延板を、長さ100mm×幅25mmの試験片とし、その試験片の表面に以下に示す各種表面処理を施して接着試験体を作製後、それら接着試験体を用いて接着耐久性を評価する試験を実施した。尚、6022規格のアルミニウム合金板は、Mgを0.55質量%、Siを0.95質量%含有したアルミニウム合金板であり、その0.2%耐力は230MPaである。
また、各試験片A〜Mの表面には、夫々次に示す表面処理を施した。
A.未洗浄(比較例1)
ヘキサンによりプレス油などを除く処理は実施したが、表面の酸化皮膜はそのまま残存させた。
B.酸洗処理(比較例2)
ヘキサンによりプレス油などを除いた後、硝酸酸洗を実施して表面の酸化皮膜を除去した。
C.ベーマイト処理(比較例3)
前記B.の処理の後に、80℃のイオン交換水に3分間浸漬後、室温で乾燥させた。
D.Ti,Zr含有酸処理(比較例4)
前記B.の処理の後に、TiおよびZrを含有する酸性溶液(pH=4.0)に浸漬し、120℃で2分間乾燥させた。
E.有機ホスホン酸処理(比較例5)
前記B.の処理の後に、60℃のビニルホスホン酸水溶液(pH=1.6)に20秒間浸漬し、余分な薬液を水洗した後、室温で乾燥させた。
F.有機ホスホン酸処理+Ti,Zr含有酸処理(比較例6)
前記E.の処理の後に、TiおよびZrを含有する酸性溶液(pH=4.0)に浸漬し、120℃で2分間乾燥させた。
G.ベーマイト処理+有機ホスホン酸処理(参考例1
前記C.の処理の後に、60℃のビニルホスホン酸水溶液(pH=0.3)に20秒間浸漬し、余分な薬液を水洗した後、室温で乾燥させた。
H.Ti,Zr含有酸処理+有機ホスホン酸処理(発明例
前記D.の処理の後に、60℃のビニルホスホン酸水溶液(pH=0.3)に20秒間浸漬し、余分な薬液を水洗した後、室温で乾燥させた。
I.ベーマイト処理+有機ホスホン酸処理(参考例2
前記C.の処理の後に、60℃のビニルホスホン酸水溶液(pH=1.6)に20秒間浸漬し、余分な薬液を水洗した後、室温で乾燥させた。
J.〜M.Ti,Zr含有酸処理+有機ホスホン酸処理(発明例2〜5
前記D.の処理の後に、60℃のビニルホスホン酸水溶液(pH=1.6)に、Jは90秒間、Kは60秒間、Lは20秒間、Mは10秒間、夫々浸漬し、余分な薬液を水洗した後、室温で乾燥させた。
接着試験体は、2枚の同じ構成の試験片を、図1および図2に示すように、ラップ長13mm(接着面積25mm×13mm=325mm)となるように重ね合わせて、熱硬化型エポキシ樹脂系接着剤により接着して作製した。また、接着厚さが150μmとなるように微量のガラスビーズを接着剤に添加することで調整した。重ね合わせてから30分間、室温で乾燥させ、その後、170℃で20分間加熱して熱硬化処理を実施した。更に、室温で24時間静置して接着試験体とした。
試験では、初期の接着試験体と、塩水噴霧3000時間後の接着試験体を引張試験機にて50mm/分の速度で引っ張り、接着部分の接着剤の凝集破壊率を求め、評価を行った。また、各試験条件とも接着試験体を3本ずつ作製し、凝集破壊率は3本の平均値とした。尚、凝集破壊率は以下に示す式から求め、本実施例では、塩水噴霧3000時間後の接着試験体で凝集破壊率が80%を超えることを合格判定基準とした。
凝集破壊率(%)=100−{(試験片Aの界面剥離面積/試験片Aの接着面積)×100}+{(試験片Bの界面剥離面積/試験片Bの接着面積)×100}
但し、接着試験体の一方を試験片A、他方を試験片Bとする。
試験結果を表1に示す。初期の接着試験体では接着剤の凝集破壊率は、ほぼ100%で大差がなかったが、塩水噴霧3000時間後の接着試験体では接着剤の凝集破壊率に顕著な差異が表れた。
未洗浄のA(比較例1)と、酸洗処理で表面の力学的に弱い酸化皮膜を除去したB(比較例2)を比較すると、凝集破壊率はBの方が高く、酸洗処理を施すことで改善効果が発現されていることが分かるが、表面処理を行い表面に皮膜を形成したC〜E(比較例3〜5)では凝集破壊率が更に高くなっており、表面処理を行うことで接着耐久性が向上していることが分かる。また、試験片の表面に有機ホスホン酸下地皮膜を、更にその表面にTi,Zr含有無機皮膜を形成したF(比較例6)では、下地皮膜と表面皮膜の組成が本発明の要件とは逆であったため、凝集破壊率は、皮膜を一層としたC〜E(比較例3〜5)と同程度であり二重皮膜とした相乗効果が発現されていない。
これら比較例と比べると、本発明の要件を満足するG〜M(参考例1,2、発明例1〜5)では、凝集破壊率が更に高くなって合格判定基準の80%超を満足しており、接着耐久性が更に向上していることが分かる。
GとH(参考例1と発明例1)では、有機ホスホン酸のpHが0.6と低すぎたため、有機ホスホン酸処理により金属酸化物系下地皮膜が溶解してしまい、その膜厚が薄くなってしまった。その結果、合格判定基準には到達しているが、金属酸化物系下地皮膜を形成したことによる相乗効果が十分には発現されていないことが分かる。
一方、有機ホスホン酸処理を適切な条件で実施したI〜M(参考例2、発明例2〜5)では、金属酸化物系下地皮膜の膜厚がより好ましいとした下限の10nmを超え、金属酸化物系下地皮膜を形成したことによる相乗効果がより十分に発現されていることが、求められた凝集破壊率からも分かる。
尚、金属酸化物系下地皮膜としては、ベーマイト下地皮膜よりTi,Zr含有無機下地皮膜の方が接着耐久性を向上させる面では優れていることが分かる。

Claims (4)

  1. Mg含有アルミニウム合金基材と、
    前記Mg含有アルミニウム合金基材の表面に形成された金属酸化物系のTi,Zr含有無機下地皮膜と、
    前記金属酸化物系のTi,Zr含有無機下地皮膜の表面に形成された有機ホスホン酸皮膜を含んで構成されることを特徴とする接着耐久性に優れた表面処理アルミニウム合金材。
  2. Mg含有アルミニウム合金基材の表面に、金属酸化物系下地皮膜を形成する金属酸化物系下地皮膜形成工程と、
    前記金属酸化物系下地皮膜の表面に、有機ホスホン酸を含有する溶液を用いて有機ホスホン酸皮膜を形成する有機ホスホン酸皮膜形成工程を含み、
    前記金属酸化物系下地皮膜形成工程は、前記Mg含有アルミニウム合金基材の表面に、TiおよびZrを含有する酸性溶液を用いてTi,Zr含有無機下地皮膜を形成する工程であることを特徴とする接着耐久性に優れたアルミニウム合金材の表面処理方法。
  3. 前記TiおよびZrを含有する酸性溶液のpHが、2〜5であることを特徴とする請求項2記載の接着耐久性に優れたアルミニウム合金材の表面処理方法。
  4. 前記有機ホスホン酸を含有する酸性溶液のpHが、0.5〜3であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の接着耐久性に優れたアルミニウム合金材の表面処理方法。
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