JP5374155B2 - 塗布装置 - Google Patents

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Description

本発明は、塗布装置に係り、特に、連続走行する支持体上に塗布ロッドを介して塗布液を塗布する塗布装置に関する。
連続走行する支持体(以下、「ウェブ」という)又はシート状体上に塗布液を塗布する方法として、塗布ロッドや塗布ローラを使用した塗布方法が公知である。この塗布方法は過剰の塗布液をウェブに転移させた後、静止又は回転する塗布ロッドや塗布ローラにより過剰の塗布液を掻き落とし、所望の塗布量とするものであり、簡単な装置、操作により高速で薄層な塗布が実現できるという特徴を有するため、広く用いられている。
この塗布方法において、塗布手段として溝を有する新規な塗工ロッドが本出願者により提案されており(特開平7−31920号公報、特開平5−347号公報等参照。)、所期の効果が確認されている。たとえば、特開平7−31920号公報においては、塗工装置用ロッドの溝部の形状を規定した内容が開示されている。特開平5−347号公報においては、転造方式による塗工用ロッドの製作方法、装置が開示されている。
特開平7−31920号公報 特開平5−347号公報
しかしながら、塗布ロッドや塗布ローラによりウェブやシート状体に塗布液を塗布する方式では、ウェブ等の搬送速度と同速度(同一周速)で塗布ロッドや塗布ローラを回転させる場合に、高速度になるに従い、搬送方向と同一方向に等ピッチ状のスジを生じ、このスジが顕在化することにより、著しい面状欠陥となるという大きな問題点があった。
ところが、従来の各種構成の装置、方法、提案等では、このようなスジによる面状欠陥を解決できていないのが現状である。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、塗布ロッドや塗布ローラによりウェブやシート状体に塗布液を塗布する際に、高速塗布であっても等ピッチ状のスジを形成しない塗布装置を提供することを目的とする。
本発明は、前記目的を達成するために、塗布液を、塗布ロッドを介して連続走行する支持体上に塗布する塗布装置において、前記塗布ロッドは円柱状体であり、円柱表面の軸方向に沿って幅P1の凸部と幅P2の凹部とが交互に形成され、これにより一定ピッチP=P1+P2の凹凸が連続して形成されており、前記凸部の断面形状が山型であり、該山型の頂部より3μm低い位置にある両端部の間に形成される平坦部分の幅P3が0.55P以上となっており、前記凸部の頂部と前記凹部の最低部との段差がdである場合に、該山型の頂部よりd/10低い位置にある両端部の間に形成される平坦部分の幅P4が0.55P以上となっている塗布装置を提供する。
本発明の出願人は、各種の検討を繰り返すことにより、一定ピッチPで凹凸が連続して形成される塗布ロッドにおいて、凸部の断面形状が山型であり、この山型の頂部より3μm低い位置にある両端部の間に形成される平坦部分の幅P3を0.55P以上とすることにより、高速での塗布の際に等ピッチ状のスジの形成を抑制することができることを見出した。
また、本発明の出願人は、一定ピッチPで凹凸が連続して形成される塗布ロッドにおいて、凸部の断面形状が山型であり、凸部の頂部と凹部の最低部との段差がdである場合に、この山型の頂部よりd/10低い位置にある両端部の間に形成される平坦部分の幅がP4であり、P3とP4のいずれか小さい方を0.55P以上とすることにより、高速での塗布の際に等ピッチ状のスジの形成を抑制することができることを見出した。なお、この詳細については、後述する実施例において説明する。
本発明において、前記塗布ロッドの凸部の平坦部分における算術平均粗さ(Ra)が0.8μm以下であることが好ましい。このように凸部の平坦部分におけるJISB0601で規定する算術平均粗さ(Ra)を所定値以下のスムースな面とすることにより、等ピッチ状のスジの形成の抑制において一層の効果が得られる。
以上説明したように、本発明によれば、高速での塗布の際に等ピッチ状のスジの形成を抑制することができる塗布装置を提供することができる。
以下添付図面に従って、本発明に係る塗布装置の好ましい実施の形態(第1実施形態)について詳説する。図1は、本発明に係る塗布装置が適用される塗布ライン10を説明する構成図である。
塗布ライン10は、図1に示されるように、送り出し機66から帯状可撓性の支持体であるウェブ16が送り出されるようになっている。ウェブ16はガイドローラ68によってガイドされて除塵機74に送りこまれようになっている。この除塵機74は、ウェブ16の表面に付着した塵を取り除くことができるようになっている。
除塵機74の下流にはバーコータ15が設けられており、塗布液Fがウェブ16に塗布できるようになっている。この下流には、乾燥ゾーン76が設けられており、ウェブ16上の塗布膜の乾燥処理ができるようになっている。そして、この下流に設けられた巻取り機82により、塗布膜が形成されたウェブ16が巻き取られるようになっている。
図1に断面図で示されるように、バーコータ(バー塗布装置)15は、上流ガイドローラ17等でガイドされて走行するウェブ16に対して、塗工用バー112を備えた塗布ヘッド114で塗布液を塗布する装置である。上流ガイドローラ17等は、ウェブ16が塗工用バー112に近接走行するように配置されている。
塗布ヘッド114は主として、塗工用バー112、バックアップ部材120、コーターブロック122、124で構成され、塗工用バー112は、バックアップ部材120に回動自在に支持されている。バックアップ部材120と各コーターブロック122、124との間には、マニホールド126、128及びスロット130、132が形成され、各マニホールド126、128に塗布液Fが供給される。
各マニホールド126、128に供給された塗布液Fは、狭隘なスロット130、132を介してウェブ幅方向で均一に押し出される。これにより、塗工用バー112に対してウェブ16の送り方向の上流側に上流側塗布ビード134が形成され、下流側に下流側塗布ビード136が形成される。これらの塗布ビード134、136を介して、走行するウェブ16に塗布液Fが塗布される。
マニホールド126、128から過剰に供給された塗布液Fは各コーターブロック122、124とウェブ16の間のスペースにオーバーフローし、図示しない側溝を介して回収される。なお、マニホールド126、128への塗布液Fの供給はマニホールド126、128の中央部から行なっても、又は端部から行なってもよい。
次に、本発明の特徴部分である、ウェブ16に相対する塗工用バー112の表面の形状について説明する。
図2A,2Bは、塗工用バー112の部分拡大断面図であり、塗工用バー112の表面近傍を示している。図2A,2Bに示されるように、塗工用バー112は、表面の軸方向に沿って幅P1の凸部と幅P2の凹部とが交互に形成され、これにより一定ピッチP=P1+P2の凹凸が連続して形成されている。なお、凸部と凹部との境界をどの位置とするかは、本発明においてそれほど重要ではない。
本発明において重要なことは、図2Aに示されるように、凸部の断面形状が山型であり、該山型の頂部より3μm低い位置にある両端部の間に形成される平坦部分の幅P3が0.55P以上である構成である。
既述したように、本発明の出願人は、各種の検討を繰り返すことにより、凸部の平坦部分の幅P3を0.55P以上とすることにより、高速での塗布の際の等ピッチ状のスジの形成を抑制できることを見出した。なお、この詳細については、後述する実施例において説明する。
なお、平坦部分の幅P3を図2A,2Bによって説明すると、山型の頂部Tより3μm低くなっている左端部Lと、山型の頂部Tより3μm低くなっている右端部Rとの距離がP3である。
この山型の形状について、特に制限はなく、単一曲率半径の円弧状、複数の曲率半径の円弧がつながった形状、放物線形状、楕円形状、双曲線形状等各種の断面形状を採用することができる。
また、本発明において重要なことは、図2Bに示されるように、凸部の断面形状が山型であり、凸部の頂部と凹部の最低部との段差がdである場合に、この山型の頂部よりd/10低い位置にある両端部の間に形成される平坦部分の幅P4が0.55P以上である構成である。
なお、幅P3又は幅P4の平坦部分に深さ5μm以下の小溝が更に存在する場合も、本発明の範囲に含まれるものとする。
また、凸部の平坦部分における算術平均粗さ(Ra)が0.8μm以下であることが好ましい。このように凸部の平坦部分におけるJIS B 0601で規定する算術平均粗さ(Ra)が所定値以下となるスムースな面とすることにより、等ピッチ状のスジの解消において一層の効果が得られる。この平坦部分における算術平均粗さ(Ra)は、1.5μm以下であることがより好ましく、0.8μm以下であることが更に好ましい。
バーコータ15の塗工用バー112の外径について特に制限はないが、たとえば、5〜20mmが採用できる。
バーコータ15の塗工用バー112の材質について特に制限はなく、各種の材料が使用できるが、たとえば、鉄鋼材料の表面に硬質クロム鍍金を施したものや、鉄鋼材料の表面にセラミックスコートを施したものが好ましく使用できる。
塗工用バー112表面の凹凸の形成方法についても特に制限はなく、各種の加工方法が採用できるが、たとえば、切削加工、転造加工、レーザ加工等が好ましく採用できる。
本発明に用いられるウェブ16として金属材を使用する場合には、寸度的に安定なアルミニウム又はその合金(たとえば珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケルとの合金)、鉄及び鉄合金を用いることができる。通常は、アルミニウムハンドブック第4版(1990、軽金属協会発行)に記載の従来公知の素材、たとえば、JIS A l050材、JIS A ll00材、JIS A 3103材、JIS A 3004材、JIS A 3005材又は引っ張り強度を増す目的でこれらに0.1wt%以上のマグネシウムを添加した合金を用いることができる。
本発明に用いられるウェブ16として樹脂材等を使用する場合には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、PET(ポリエチレンテレフタレート)、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドイミド、ポリイミド、芳香族ポリアミド、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースダイアセテート等の公知のものが使用できる。これらのうち、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドが好ましく使用できる。
ウェブ16の幅としては、0. 1〜3mが、ウェブ16の長さとしては、1000〜100000mが、ウェブ16の厚さとしては、金属材の場合には0.1〜0.5mmのものが、樹脂材の場合には0.01〜0.3mmのものがそれぞれ一般的に採用される。ただし、これ以外のサイズを用いることとしても良い。
次に、図1に示される塗布ラインを使用したウェブ16上への塗布膜の形成について説明する。先ず、送り出し機66から、厚さがたとえば0.05〜0.3mmのウェブ16が送り出される。ウェブ16はガイドローラ68によってガイドされて除塵機74に送り込まれ、これにより、ウェブ16の表面に付着した塵が取り除かれる。そして、バーコータ15により塗布液Fがウェブ16に塗布される。
塗布の際、既述したように、バーコータ15の塗工用バー112によれば、高速での塗布の際の等ピッチ状のスジの形成を抑制できる。
塗布が終了した後には、乾燥ゾーン76を経て、塗布層が形成される。そして、この塗布層が形成されたウェブ16は巻取り機82により巻き取られる。
以上、本発明に係る塗布装置の実施形態の例について説明したが、本発明は上記実施形態の例に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
たとえば、本実施形態の例では、塗布装置としてバーコータ15を使用したが、これ以外の円柱状体(塗布ローラ)を使用する塗布装置であってもよい。以下、この例としてロールコータ(第2実施形態)について説明する。
図3は、本発明に係る塗布装置としてロールコータ12が適用される塗布ライン10’を説明する構成図である。なお、既述した図1の塗布ライン10と同一、類似の部材については、同様の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ロールコータ12は、ガイド部材である上流ガイドローラ17及び下流ガイドローラ18でガイドされて走行するウェブ16に対して、上下方向に相接し図の矢印方向に回転駆動される3本のローラ12A、12B、及び12Cで塗布液を塗布する装置である。上流ガイドローラ17及び下流ガイドローラ18は、ウェブ16がローラ12Cに所定の圧力で押し付けられながら走行するように配置されている。
上流ガイドローラ17及び下流ガイドローラ18としては、中空の鉄製パイプの表面にクロムメッキを施したもの、中空のアルミニウム製パイプの表面に硬質メッキを施したもの、中空のアルミニウム製パイプのみからなるもの、等が採用できる。
上流ガイドローラ17及び下流ガイドローラ18は、ロールコータ12のローラ12Cと平行な状態で支持されている。そして、上流ガイドローラ17及び下流ガイドローラ18は、両端部分を軸受部材(ボール軸受等)により回動自在に支持され、駆動機構を付されない構成のものが好ましい。
ロールコータ12のローラ12A、12B、12C、上流ガイドローラ17及び下流ガイドローラ18は、ウェブ16の幅と略同一の長さを有する。
ロールコータ12のローラ12A、12B、12Cは、図3の矢印に示されるように回転駆動される。このうち、ローラ12Cの回転方向は、ウェブ16の走行方向に対して順転方向で、周速もウェブ16の走行速度と同一に設定される。なお、図3とは逆の逆転の駆動による塗布や、回転駆動のない塗布も、塗布条件によっては採用できる。また、ロールコータ12のローラ12A、12B、12Cのうちのいずれかに、塗布液の余剰分を掻き落とすべくドクターブレードを設けることもできる。
ロールコータ12の駆動方法は、インバータモータによるダイレクト駆動(軸直結)であるが、各種モータと減速機(ギアヘッド)との組み合わせ、各種モータよりタイミングベルト等の巻き掛け伝達手段による方法であってもよい。
ロールコータ12の各ローラ12A、12B、12Cのうち、ウェブ16に相対するローラ12Cの表面の形状については、後述する。
ロールコータ12のローラ12Aの下方には、液受けパン14が設けられており、この液受けパン14には塗布液Fが満たされている。そして、ローラ12Aの約下半分は塗布液Fに浸漬されている。この構成により、ロールコータ12の各ローラ12A、12B、12C表面に塗布液が供給されることとなる。
ローラ12Cの表面は、既述の図2A,2Bに示されるように、一定ピッチP=P1+P2の凹凸が連続して形成されており、凸部は断面形状が山型であり、かつ該山型の頂部より3μm低い位置にある両端部の間に形成される平坦部分の幅P3が0.55P以上である。
また、ローラ12Cの表面は、既述したように、凸部は断面形状が山型であり、かつ、凸部の頂部と凹部の最低部との段差がdである場合に、この山型の頂部よりd/10低い位置にある両端部の間に形成される平坦部分の幅P4が0.55P以上である構成も採り得る。
ローラ12Cの外径について特に制限はないが、たとえば、100〜200mmが採用できる。
以上の構成により、所定量に計量された塗布液Fがウェブ16に塗布され、この塗布の際、ロールコータ12のローラ12Cにより、高速での等ピッチ状のスジを解消できる。
次に、本発明の塗布装置を用いた各実施例及び比較例を説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例1〜3、及び比較例1〜3において、図1に示される塗布ライン10を使用してウェブ16に塗布液Fの塗布を行った。塗工用バー112(図1参照)の外径は、各実施例及び比較例において全て18mmとした。
塗布液Fとして、アクリル酸系共重合ポリマーを5重量部、エチレングリコールモノメチルエーテルを58重量部、メタノールを30重量部混合したものを使用した。この塗布液Fの粘度は、8mPa・s(8cp)であり、表面張力は、0.28mN/cm(28dyn/cm)であった。
ウェブ16として、厚さが0.2mmで幅が1000mmのアルミニウムを使用した。ウェブ16の走行速度は、10〜50m/分まで、10〜60m/分まで、又は10〜70m/分まで変化させた。実施例1〜3、及び比較例1〜3の条件及び結果を図4の表に示す。
[実施例1]
図1に示される塗布ライン10を使用し、図5に拡大断面図で示される塗工用バー112(図1参照)を使用した。この凹凸のピッチPは、0.2mmであり、山型の頂部より3μm低い位置にある両端部の間に形成される平坦部分の幅P3は、0.14mmであった。したがって、幅P3は0.7Pであり、0.55P以上という要件を満たす。
凹部の溝深さdは、30μmであった。また、平坦部分における算術平均粗さ(Ra)は、0.5μmであった。
ウェブ16の走行方向と同一方向、かつ、ウェブ16の走行速度と同一速度で塗工用バー112を回転させて塗布液Fの塗布を行った。ウェブ16の走行速度を、10〜60m/分まで変化させた。乾燥後のウェブ16の表面を観察したところ、等ピッチ状のスジの発生はなかった。
[比較例1]
図1に示される塗布ライン10を使用し、図6に拡大断面図で示される塗工用バー112(図1参照)を使用した。この凹凸のピッチPは、0.2mmであり、山型の頂部より3μm低い位置にある両端部の間に形成される平坦部分の幅P3は、0.08mmであった。したがって、幅P3は0.4Pであり、0.55P以上という要件を満たさない。
凹部の溝深さdは、15μmであった。また、平坦部分における算術平均粗さ(Ra)は、0.5μmであった(実施例1と同一)。
ウェブ16の走行方向と同一方向、かつ、ウェブ16の走行速度と同一速度で塗工用バー112を回転させて塗布液Fの塗布を行った。ウェブ16の走行速度を、10m/分より変化させたところ、20m/分まで増速させた時点で、等ピッチ状のスジの発生が認められた。
[実施例2]
図1に示される塗布ライン10を使用し、図7に拡大断面図で示される塗工用バー112(図1参照)を使用した。この凹凸のピッチPは、0.5mmであり、山型の頂部より3μm低い位置にある両端部の間に形成される平坦部分の幅P3は、0.285mmであった。したがって、幅P3は0.57Pであり、0.55P以上という要件を満たす。
凹部の溝深さdは、50μmであった。また、平坦部分における算術平均粗さ(Ra)は、0.5μmであった。
ウェブ16の走行方向と同一方向、かつ、ウェブ16の走行速度と同一速度で塗工用バー112を回転させて塗布液Fの塗布を行った。ウェブ16の走行速度を、10〜70m/分まで変化させた。乾燥後のウェブ16の表面を観察したところ、等ピッチ状のスジの発生はなかった。
[比較例2A]
図1に示される塗布ライン10を使用し、図8に拡大断面図で示される塗工用バー112(図1参照)を使用した。この凹凸のピッチPは、0.5mmであり、山型の頂部より3μm低い位置にある両端部の間に形成される平坦部分の幅P3は、0.1mmであった。したがって、幅P3は0.2Pであり、0.55P以上という要件を満たさない。
凹部の溝深さdは、16μmであった。また、平坦部分における算術平均粗さ(Ra)は、0.5μmであった(実施例2と同一)。
ウェブ16の走行方向と同一方向、かつ、ウェブ16の走行速度と同一速度で塗工用バー112を回転させて塗布液Fの塗布を行った。ウェブ16の走行速度を、10m/分より変化させたところ、25m/分まで増速させた時点で、等ピッチ状のスジの発生が認められた。
[比較例2B]
図1に示される塗布ライン10を使用し、図9に拡大断面図で示される塗工用バー112(図1参照)を使用した。この凹凸のピッチPは、0.5mmであり、山型の頂部より3μm低い位置にある両端部の間に形成される平坦部分の幅P3は、0.25mmであった。したがって、幅P3は0.5Pであり、0.55P以上という要件を満たさない。
凹部の溝深さdは、42μmであった。また、平坦部分における算術平均粗さ(Ra)は、0.5μmであった(実施例2と同一)。
ウェブ16の走行方向と同一方向、かつ、ウェブ16の走行速度と同一速度で塗工用バー112を回転させて塗布液Fの塗布を行った。ウェブ16の走行速度を、10m/分より変化させたところ、35m/分まで増速させた時点で、等ピッチ状のスジの発生が認められた。
[実施例3]
図1に示される塗布ライン10を使用し、図10に拡大断面図で示される塗工用バー112(図1参照)を使用した。この凹凸のピッチPは、0.2mmであり、山型の頂部よりd/10低い位置にある両端部の間に形成される平坦部分の幅がP4は、0.14mmであった。したがって、幅P4は0.7Pであり、0.55P以上という要件を満たす。
凹部の溝深さdは、19μmであった。また、平坦部分における算術平均粗さ(Ra)は、0.5μmであった。
ウェブ16の走行方向と同一方向、かつ、ウェブ16の走行速度と同一速度で塗工用バー112を回転させて塗布液Fの塗布を行った。ウェブ16の走行速度を、10〜50m/分まで変化させた。乾燥後のウェブ16の表面を観察したところ、等ピッチ状のスジの発生はなかった。
[比較例3]
図1に示される塗布ライン10を使用し、図11に拡大断面図で示される塗工用バー112(図1参照)を使用した。この凹凸のピッチPは、0.2mmであり、山型の頂部よりd/10低い位置にある両端部の間に形成される平坦部分の幅がP4は、0.08mmであった。したがって、幅P4は0.4Pであり、0.55P以上という要件を満たさない。
凹部の溝深さdは、9.5μmであった。また、平坦部分における算術平均粗さ(Ra)は、0.5μmであった(実施例3と同一)。
ウェブ16の走行方向と同一方向、かつ、ウェブ16の走行速度と同一速度で塗工用バー112を回転させて塗布液Fの塗布を行った。ウェブ16の走行速度を、10m/分より変化させたところ、13m/分まで増速させた時点で、等ピッチ状のスジの発生が認められた。
以下の実施例4〜5、及び比較例4〜5において、図3に示される塗布ライン10’を使用してウェブ16に塗布液Fの塗布を行った。ローラ12C(図3参照)の外径は、各実施例及び比較例において全て150mmとした。
塗布液Fとして、アクリル酸系共重合ポリマーを5重量部、エチレングリコールモノメチルエーテルを296重量部、メタノールを153重量部混合したものを使用した。この塗布液Fの粘度は、1.9mPa・s(1.9cp)であり、表面張力は、0.28mN/cm(28dyn/cm)であった。
ウェブ16として、厚さが0.2mmで幅が1000mmのアルミニウムを使用した。ウェブ16の走行速度は、10〜60m/分まで、又は10〜70m/分まで変化させた。実施例4〜5、及び比較例4〜5の条件及び結果を図12の表に示す。
[実施例4]
図3に示される塗布ライン10’を使用し、図13に拡大断面図で示されるローラ12C(図3参照)を使用した。この凹凸のピッチPは、0.5mmであり、山型の頂部より3μm低い位置にある両端部の間に形成される平坦部分の幅P3は、0.38mmであった。したがって、幅P3は0.76Pであり、0.55P以上という要件を満たす。
ロールコータは、図3のロールコータ12の代わりに、ローラ12Bとローラ12Cの2本からなる2本ロールコータを用いた。
凹部の溝深さdは、53μmであった。また、平坦部分における算術平均粗さ(Ra)は、0.5μmであった。
ウェブ16の走行方向と同一方向、かつ、ウェブ16の走行速度と同一速度でローラ12Cを回転させて塗布液Fの塗布を行った。ウェブ16の走行速度を、10〜60m/分まで変化させた。乾燥後のウェブ16の表面を観察したところ、等ピッチ状のスジの発生はなかった。
[比較例4]
図3に示される塗布ライン10’を使用し、図6に拡大断面図で示されるローラ12C(図3参照)を使用した。この凹凸のピッチPは、0.2mmであり、山型の頂部より3μm低い位置にある両端部の間に形成される平坦部分の幅P3は、0.08mmであった。したがって、幅P3は0.4Pであり、0.55P以上という要件を満たさない。
ロールコータは、図3のロールコータ12の代わりに、ローラ12Bとローラ12Cの2本からなる2本ロールコータを用いた。
凹部の溝深さdは、15μmであった。また、平坦部分における算術平均粗さ(Ra)は、0.5μmであった(実施例4と同一)。
ウェブ16の走行方向と同一方向、かつ、ウェブ16の走行速度と同一速度でローラ12Cを回転させて塗布液Fの塗布を行った。ウェブ16の走行速度を、10m/分より変化させたところ、21m/分まで増速させた時点で、等ピッチ状のスジの発生が認められた。
[実施例5]
図3に示される塗布ライン10’を使用し、図7に拡大断面図で示されるローラ12C(図3参照)を使用した。この凹凸のピッチPは、0.5mmであり、山型の頂部より3μm低い位置にある両端部の間に形成される平坦部分の幅P3は、0.285mmであった。したがって、幅P3は0.57Pであり、0.55P以上という要件を満たす。
ロールコータは、図3のロールコータ12の代わりに、ローラ12Bとローラ12Cの2本からなる2本ロールコータを用いた。
凹部の溝深さdは、50μmであった。また、平坦部分における算術平均粗さ(Ra)は、0.5μmであった。
ウェブ16の走行方向と同一方向、かつ、ウェブ16の走行速度と同一速度でローラ12Cを回転させて塗布液Fの塗布を行った。ウェブ16の走行速度を、10〜70m/分まで変化させた。乾燥後のウェブ16の表面を観察したところ、等ピッチ状のスジの発生はなかった。
[比較例5]
図3に示される塗布ライン10’を使用し、図9に拡大断面図で示されるローラ12C(図3参照)を使用した。この凹凸のピッチPは、0.5mmであり、山型の頂部より3μm低い位置にある両端部の間に形成される平坦部分の幅P3は、0.25mmであった。したがって、幅P3は0.5Pであり、0.55P以上という要件を満たさない。
ロールコータは、図3のロールコータ12の代わりに、ローラ12Bとローラ12Cの2本からなる2本ロールコータを用いた。
凹部の溝深さdは、42μmであった。また、平坦部分における算術平均粗さ(Ra)は、0.5μmであった(実施例5と同一)。
ウェブ16の走行方向と同一方向、かつ、ウェブ16の走行速度と同一速度でローラ12Cを回転させて塗布液Fの塗布を行った。ウェブ16の走行速度を、10m/分より変化させたところ、33m/分まで増速させた時点で、等ピッチ状のスジの発生が認められた。
本発明に係る塗布装置が適用される塗布ラインを説明する構成図 本発明に係る塗布装置に使用されるローラの部分拡大断面図 本発明に係る塗布装置に使用されるローラの部分拡大断面図 本発明に係る他の塗布装置が適用される塗布ラインを説明する構成図 実施例1〜3及び比較例1〜3の条件及び結果を示す表 実施例1に使用したローラの拡大断面図 比較例1、4に使用したローラの拡大断面図 実施例2、5に使用したローラの拡大断面図 比較例2Aに使用したローラの拡大断面図 比較例2B、5に使用したローラの拡大断面図 実施例3に使用したローラの拡大断面図 比較例3に使用したローラの拡大断面図 実施例4〜5及び比較例4〜5の条件及び結果を示す表 実施例4に使用したローラの拡大断面図
符号の説明
10、10’…塗布ライン
12…ロールコータ
12A、12B、12C…ローラ
15…バーコータ
16…ウェブ
112…塗工用バー
P…ピッチ
P1…凸部の幅
P2…凹部の幅
P3、P4…平坦部分の幅

Claims (2)

  1. 塗布液を、塗布ロッドを介して連続走行する支持体上に塗布する塗布装置において、
    前記塗布ロッドは円柱状体であり、円柱表面の軸方向に沿って幅P1の凸部と幅P2の凹部とが交互に形成され、これにより一定ピッチP=P1+P2の凹凸が連続して形成されており、前記凸部の断面形状が山型であり、該山型の頂部より3μm低い位置にある両端部の間に形成される平坦部分の幅P3が0.55P以上となっており、
    前記凸部の頂部と前記凹部の最低部との段差がdである場合に、該山型の頂部よりd/10低い位置にある両端部の間に形成される平坦部分の幅P4が0.55P以上となっている塗布装置。
  2. 前記塗布ロッドの凸部の平坦部分における算術平均粗さ(Ra)が0.8μm以下である請求項1に記載の塗布装置。
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