JP2011216150A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面平滑性に非常に優れる磁性層を有し、電磁変換特性およびサーボ特性に優れる磁気記録媒体を製造する。
【解決手段】非磁性支持体の一方の面上に、非磁性層用塗料を塗布して乾燥した後に、硬化させて下層非磁性層を形成する工程と、下層非磁性層上に、磁性層用塗料を塗布した後に乾燥して、上層磁性層を形成する工程と、非磁性支持体の他方の面上に、バックコート層用塗料を塗布した後に乾燥して、バックコート層を形成する工程とを含み、バックコート層を形成する工程において、バックコート層用塗料を非磁性支持体の他方の面上に過剰供給した後に、外周面に規則的な突起が形成されてtv値が乾燥後のバックコート層の厚みの0倍を超え37倍以下の範囲内である略円柱状のバーを非磁性支持体に押し付けて、バックコート層用塗料を計量することによって塗布し、その後に乾燥して、バックコート層を形成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、磁気記録媒体の製造方法、特に表面平滑性及び電磁変換特性に優れる磁気記録媒体の製造方法に関する。
従来より、磁気記録媒体は、非磁性支持体の一方の面上に磁性層を有し、前記非磁性支持体の他方の面上に走行耐久性向上等のためにバックコート層を有する。
近年、記録データ量の増大に対応すべく、磁気記録媒体の高記録密度化が求められている。高記録密度化のために記録波長が短波長化され、磁性層が薄膜化されている。
磁性層が薄膜化されると、磁性層表面に支持体の表面粗さが反映して磁性層表面の平滑性が損なわれ、電磁変換特性が悪化する。このため、支持体表面に例えば下塗り層としての非磁性層を設け、これを介して磁性層が設けられる。
記録波長の短波長化に伴い、スペーシングロスの観点から、磁性層表面の形状としてはより平坦であることが要求される。
磁気記録媒体の製造においては、非磁性支持体の一方の面に磁性層が設けられ、他方の面にバックコート層が設けられて、磁気テープ原反が作成され、この原反はロール状態に巻き取られる。この後に、ロール状態で熱硬化処理が行われ、磁性層及びバックコート層が硬化される。この熱硬化処理において、磁性層面とバックコート層面とが接触した状態であるので、バックコート層面に存在する微小突起が磁性層面に接触し鋭く突き刺さると同時に、微小突起付近に閉じ込められた空気の塊が磁性層面を押し込み、結果として、鋭い微小凹みと、前記微小凹みよりは面積の広い浅い凹みが磁性層表面にできてしまう。磁性層表面の凹みによって、電磁変換特性、特にエラーレートが悪化する。
バックコート層を塗布する方法としては、種々の方法が適用可能であるが、長尺ウェブをひずみの少ない原反として巻き取る観点からは、バー塗布法が簡便で好適に用いることができる。この塗布法は、あらかじめ支持体表面に過剰量の塗布液を塗布したのち、表面(外周面)に規則的な突起形状が形成された略円柱状の細長いバーで掻き落として計量し、所望の塗布厚みを得る方法である。
高容量化のため支持体の厚みが非常に薄く、ウェブの変形に起因して支持体の幅方向の塗布厚みのバラツキが生じやすい状況においても、ウェブをバー表面に確実に密着させることにより、支持体幅方向の塗布厚みが安定するため、前述のように、長尺ウェブをひずみの少ない原反として巻き取ることができるメリットがある。
この種の塗布装置の例としては、特開2004−305982号に開示されたバー塗布装置を好適に用いることができる。
一方、デメリットとして、表面(外周面)に設けられた規則的な突起形状により、塗布液の計量を行うため計量直後の塗膜厚分布は突起形状のピッチに起因して微小な凹凸状の塗膜となる。塗布後、乾燥過程までの間に塗布液のレベリングにより、その程度は緩和されるのであるが、レベリングが不十分であると乾燥後の塗膜表面にバーの突起形状のピッチに起因したスジ状の塗布欠陥となる(以下、このスジ状の凹凸を「バースジ」ともいう)。
バースジの程度が悪いと、上述のとおり、熱硬化処理において、磁性層面とバックコート層面とが接触し、バックコート層面に存在する微小突起のみならずバースジも磁性層表面に突き刺さり、さらに磁性層表面に凹みを発生させてしまう。磁性層表面の凹みによって、電磁変換特性、特にエラーレートが悪化するし、バースジが磁性層面に転写した位置と磁性層面側でサーボ信号を書き込み位置が重なってしまうとサーボ信号が書き込めない、あるいは読み取れないなどの不具合が発生する。
バースジに関して、特開2003−159559号公報には、塗布液のキャピラリー数(Nca=μ・u/σ)を大きくする方向、つまり、液粘度、塗布速度を上げる方向、及び塗布液の静的表面張力を下げる方向に液物性を変化させると、ウェブと接触するバーの下流側にリブ状の等ピッチスジが発生することが知られている、と記載されている。しかしながら、塗布液の粘度を下げるため塗布液の固形分濃度を下げてしまうと乾燥後の塗布厚みも下がって薄くなってしまい、本願のような磁気記録媒体の場合、トータル厚みが規格の下限割れとなったり、支持体の裏面側に塗布された塗布層との収縮バランスが崩れカッピングが規格外となる弊害を招いてしまう。
そのため、塗膜厚みが薄くならないように、用いるバーを交換してウェット厚みを厚くするものの、塗り上がった塗布面を見てみると支持体長手方向にバーの溝ピッチに起因するスジが顕著となることが確認された。表面張力を上げるとしても塗布液中に含まれる組成物は、乾燥後の塗布膜が機能するよう設計されたものであり、余計な添加剤を加えたりあるいは減じたりすれば、塗布層自体の機能を損なう結果となる。
バーによる塗布厚み変更手段としては、tv値の異なるバーを用いること、塗布液の固形分濃度の変更により、調整が可能ではあるが、所望の塗布厚みが得られても、スジ状欠陥に対する最適点は明確ではなかった。
特開2004−305982号公報(第5−13頁、第1−4図) 特開2003−159559号公報(第2頁)
そこで、本発明の目的は、表面平滑性に非常に優れる磁性層を有し、特に短波長記録に最適な厚み0.03〜0.30μmの薄膜磁性層を有し、電磁変換特性およびサーボ特性に優れる磁気記録媒体の製造方法を提供することにある。
本発明は、磁気記録媒体のバックコート層形成に際し、バックコート層用塗料の固形分濃度を12wt%以下とするとともに、外周面に規則的な突起が形成されtv値が乾燥後のバックコート層厚みの0倍を超え37倍以下の範囲内である略円柱状のバーを用いてバックコート層を得ることによって達成される。
本発明は、非磁性支持体の一方の面上に、非磁性粉末および結合剤樹脂を少なくとも含む非磁性層用塗料を塗布して乾燥した後に、硬化させて下層非磁性層を形成する工程と、前記下層非磁性層上に、強磁性粉末および結合剤樹脂を少なくとも含む磁性層用塗料を塗布した後に乾燥して、上層磁性層を形成する工程と、前記非磁性支持体の他方の面上に、カーボンブラックおよび結合剤樹脂を少なくとも含むバックコート層用塗料を塗布した後に乾燥して、バックコート層を形成する工程とを含み、前記バックコート層を形成する工程において、前記バックコート層用塗料を前記非磁性支持体の前記他方の面上に過剰供給した後に、外周面に規則的な突起が形成されてtv値が乾燥後の前記バックコート層の厚みの0倍を超え37倍以下の範囲内である略円柱状のバーを前記非磁性支持体に押し付けて、前記バックコート層用塗料を計量することによって塗布し、その後に乾燥して、前記バックコート層を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法である。この場合、tv値は、非磁性支持体に供給した塗料の計量に使用するバーを選択する際の指標となる値であって、バーの断面形状において隣接する凸部の頂部同士を結ぶ直線の下方に形成される溝断面積を隣接する凸部の間隔であるピッチ長さで除した値で表される。
バックコート層の塗布に用いるバーのtv値が乾燥後塗布厚みの0倍を超え37倍以下の範囲内のものを選択し、使用することでバースジ、バックコート層の表面粗さRaが良好で、電磁変換特性、特にエラーレートが良好な磁気テープを得ることができる。
本発明に用いるバー塗布装置の略断面図である。 図1のA−A線に沿ったバー塗布装置の略中央断面図である。 図1に示されたバー塗布装置の一部の構成を示す側面図である。 本発明に用いるバー1Aにおける溝の断面形状を示す断面形状図である。 本発明に用いるバー1Bにおける溝の断面形状を示す断面形状図である。
以下、本発明の具体的構成について詳細に説明する。
本発明で製造される磁気記録媒体の例としては、非磁性支持体の一方の面上に下層非磁性層が設けられ、下層非磁性層上に厚み0.03〜0.30μmの上層磁性層が設けられ、非磁性支持体の他方の面上にバックコート層が設けられている。なお、本発明では、磁性層上に潤滑剤塗膜や磁性層保護用の各種塗膜などが必要に応じて設けられてもよい。また、非磁性支持体の磁性層が設けられる前記一方の面には、塗膜(下層非磁性層)と非磁性支持体との接着性の向上等を目的として、下塗り層(易接着層)が設けられてもよい。
[下層非磁性層]
下層非磁性層は、カーボンブラック、カーボンブラック以外の非磁性無機粉末、及び結合剤樹脂を含む。
非磁性層に含まれるカーボンブラックとしては、ゴム用ファーネスブラック、ゴム用サーマルブラック、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。比表面積は5〜600m/g、DBP吸油量は30〜400ml/100g、粒子径は10〜100nmが好ましい。使用できるカーボンブラックは具体的には「カーボンブラック便覧」、カーボンブラック協会編を参考にすることができる。
カーボンブラック中に含まれる水溶性ナトリウムイオン及び水溶性カルシウムイオンは少ない方が好ましく、水溶性ナトリウムイオン含有量は500ppm以下、さらには300ppm以下が好ましい。水溶性カルシウムイオン含有量は300ppm以下、さらには200ppm以下が好ましい。上記範囲を上回ると塗膜中に含まれる有機酸(特に脂肪酸)と塩を形成し、塗膜表面に吐出し、ドロップアウトやエラーレート増加の要因となる。
カーボンブラック中に含まれる水溶性ナトリウムイオン及び水溶性カルシウムイオンを低減するには、カーボンブラックの製造工程中における反応停止流体として使用される水、あるいは造粒工程にて使用される水の純度を高めればよい。カーボンブラックの製造方法は、特開平11−181323号公報、特開平10−46047号公報、特開平8−12898号公報に記載されている。
非磁性層にはカーボンブラック以外の各種無機粉末を用いることができ、例えば、針状の非磁性酸化鉄(α−Fe)、CaCO、酸化チタン、硫酸バリウム、α−Al等の無機粉末が挙げられる。これらの無機粉末中に含まれる水溶性ナトリウムイオン及び水溶性カルシウムイオンは少ない方が好ましく、水溶性ナトリウムイオン含有量は70ppm以下、さらには50ppm以下が好ましい。上記範囲を上回ると塗膜中に含まれる有機酸(特に脂肪酸)と塩を形成し、塗膜表面に吐出し、ドロップアウトやエラーレート増加の要因となる。無機粉末中に含まれる水溶性ナトリウムイオン及び水溶性カルシウムイオンを低減するには、水洗工程を加えればよい。
カーボンブラックと前記カーボンブラック以外の無機粉末の配合比率は、質量比(カーボンブラック/無機粉末)で100/0〜5/95が好ましい。カーボンブラックの配合比率が5質量部を下回ると、表面電気抵抗に問題が生じる。
下層非磁性層には、上記材料の他に結合剤として、熱可塑性樹脂、熱硬化性ないし反応型樹脂、放射線(電子線又は紫外線)硬化型樹脂等が、媒体の特性、工程条件に合わせて適宜組み合わせて選択されて使用される。
熱可塑性樹脂としては、軟化温度が150℃以下、平均分子量5000〜200000、重合度50〜2000程度のものが用いられ、また、熱硬化性樹脂、反応型樹脂又は放射線硬化型樹脂としては、平均分子量5000〜200000、重合度50〜2000程度のものであって、塗布、乾燥、カレンダー加工後に加熱及び/又は放射線(電子線又は紫外線)照射することにより、縮合、付加等の反応により分子量が増大するものが用いられる。
これらのうちで、好ましく用いられるものとしては、以下に示すようなニトロセルロース及びポリウレタン樹脂の組み合わせ、塩化ビニル系共重合体及びポリウレタン樹脂の組み合わせである。
塩化ビニル系共重合体としては、塩化ビニル含有量60〜95質量%、特に60〜90質量%のものが好ましく、その平均重合度は100〜500程度であることが好ましい。
このような塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリート共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリート−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、塩化ビニル−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、塩化ビニル−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート共重合体等が挙げられ、特に塩化ビニルとエポキシ(グリシジル)基を含有する単量体との共重合体が好ましい。
塩化ビニル系共重合体は、分散性向上のために、硫酸基(−SOY)及び/又はスルホ基(−SOY)を極性基(以下、S含有極性基という)として含有するものが好ましい。前記S含有極性基において、Yは、H、アルカリ金属のいずれであってもよいが、Y=K、すなわち−SOK、−SOKであることが特に好ましい。塩化ビニル系共重合体は、前記S含有極性基のうちいずれか一方のみを含有していてもよく、両者を含有していてもよく、両者を含むときにはその含有比は任意である。
上記塩化ビニル系樹脂と併用するポリウレタン樹脂とは、ポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオール等のヒドロキシ基含有樹脂とポリイソシアネート含有化合物との反応により得られる樹脂の総称であって、数平均分子量5000〜200000程度で、Q値(質量平均分子量/数平均分子量)1.5〜4程度のものである。
ポリウレタン樹脂は、末端や側鎖に極性基を有するものであっても良く、特に硫黄及び/又は燐を含有する極性基を含有しているものが好ましい。
ポリウレタン樹脂中に含まれる極性基として、−SOM、−SOM、−SR等のS含有基、−POM、−POM、−POM、−P=O(OM)(OM)、−OP=O(OM)(OM)等のP含有極性基、−COOM、−OH、−NR、−N+RX−(ここで、M、M、Mは、H、Li、Na、Kを示し、Rは、H又は炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示す)、エポキシ基、−CN等が挙げられる。これらの極性基から選ばれる少なくとも1つの極性基が、共重合又は付加反応により導入されたポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。これら極性基は、分子中に0.01〜3質量%含まれていることが好ましく、これら極性基は骨格樹脂の主鎖中に存在しても、分枝中に存在してもよい。
またポリウレタン樹脂は、ガラス転移温度Tgが−20℃≦Tg≦80℃の範囲のものが好ましい。
このようなポリウレタン樹脂は公知の方法により、特定の極性基含有化合物及び/又は特定の極性基含有化合物と反応させた原料樹脂等を含む原料を、溶剤中又は無溶剤中で反応させることにより得られる。
塩化ビニル系共重合体及びポリウレタン樹脂に加えて、非磁性層において全結合剤の20質量%以下の範囲で、公知の各種樹脂が含有されてもよい。
塩化ビニル系共重合体及びポリウレタン樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン系共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ニトロセルロース、スチレン−ブタジエン系共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、アセタール樹脂、エポキシ系樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカプロラクトン等の多官能性ポリエーテル類、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ポリブタジエンエラストマー、塩化ゴム、アクリルゴム、イソプレンゴム、エポキシ変性ゴム等が挙げられる。
また、熱硬化性樹脂としては、縮重合するフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、ブチラール樹脂、ホルマール樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系反応樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、飽和ポリエステル樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。
これらの結合剤樹脂を硬化する架橋剤としては、各種ポリイソシアナート、特にジイソシアナートを用いることができ、特に、トリレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、メチレンジイソシアナートの1種以上を用いることが好ましい。これらの架橋剤は、トリメチロールプロパン等の水酸基を複数有するもので変性した架橋剤又はジイソシアネート化合物3分子が結合したイソシアヌレート型の架橋剤として用いることが特に好ましく、結合剤樹脂に含有される官能基等と結合して樹脂を架橋する。架橋剤の含有量は、結合剤樹脂100質量部に対し、10〜30質量部とすることが好ましい。このような熱硬化性樹脂を硬化するには、一般に加熱オーブン中で50〜70℃にて12〜48時間加熱すればよい。
さらに、上記結合剤樹脂を公知の手法により(メタ)アクリル系二重結合を導入して電子線感応変性を行ったものを使用することも可能である。この電子線感応変性を行うには、樹脂に対し、トリレンジイソシアネート(TDI)と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(2−HEMA)との反応物(アダクト)を反応させるウレタン変性、エチレン性不飽和二重結合を1個以上及びイソシアネート基1個を1分子中に有し、かつウレタン結合を分子中に持たないモノマー(2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート等)を用いる改良型ウレタン変性、水酸基やカルボン酸基を有する樹脂に対し、(メタ)アクリル基とカルボン酸無水物あるいはジカルボン酸とを有する化合物を反応させるエステル変性がよく知られている。これらの中でも改良ウレタン変性が、塩化ビニル系樹脂の含有比率を上げても脆くならず、しかも分散性、表面性に優れた塗膜を得ることができるため好ましい。
これら電子線硬化型結合剤樹脂を用いる場合、架橋率を向上させるために従来公知の多官能アクリレートを、結合剤樹脂100質量部に対して1〜50質量部、好ましくは5〜40質量部混合して使用してもよい。
下層非磁性層に用いる結合剤樹脂の含有量は、下層非磁性層中のカーボンブラックとカーボンブラック以外の無機粉末の合計100質量部に対し、好ましくは10〜100質量部、より好ましくは12〜30質量部である。結合剤の含有量が少なすぎると、下層非磁性層における結合剤樹脂の比率が低下し、十分な塗膜強度が得られない。結合剤の含有量が多すぎると、下層非磁性層塗料作成時に分散不良を起こし、平滑な下層非磁性層面を形成することができなくなる。
下層非磁性層には必要に応じて潤滑剤を含有することが好ましい。潤滑剤としては、飽和、不飽和に関わらず、脂肪酸、脂肪酸エステル、糖類など公知のものを、単独であるいは2種以上混合して用いることができ、融点の異なる脂肪酸を2種以上混合し用いることや、融点の異なる脂肪酸エステルを2種以上混合し用いることも好ましい。これは、磁気記録媒体の使用される、あらゆる温度環境に応じた潤滑剤を、媒体表面に持続して供給する必要があるからである。
具体的には、脂肪酸として、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、エルカ酸などの飽和直鎖脂肪酸や、イソセチル酸、イソステアリン酸などの飽和で側鎖を有する脂肪酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの不飽和脂肪酸などを適宜使用することができる。
脂肪酸エステルとしては、ブチルステアレート、ブチルパルミテートなどの直鎖の飽和脂肪酸エステル、イソセチルステアレート、イソステアリルステアレートなどの側鎖を有する飽和脂肪酸エステル、イソステアリルオレエートなどの不飽和脂肪酸エステル、オレイルステアレートなどの不飽和アルコールの脂肪酸エステル、オレイルオレエートなどの不飽和脂肪酸と不飽和アルコールのエステル、エチレングリコールジステアレートなどの2価アルコールのエステル、エチレングリコールモノオレエート、エチレングリコールジオレエート、ネオペンチルグリコールジオレエートなどの2価アルコールと不飽和脂肪酸のエステル、またソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエートなどの糖類と飽和又は不飽和脂肪酸とのエステルなどが挙げられる。
下層非磁性層の潤滑剤の含有量は、目的に応じ適宜調整すればよいが、カーボンブラックとカーボンブラック以外の無機粉末を加えた合計質量に対し、1〜20質量%が好ましい。
下層非磁性層形成用の塗料は、上記各成分に有機溶剤を加えて調整する。用いる有機溶剤は特に制限はなく、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤や、トルエン等の芳香族系溶剤などの各種溶媒の1種又は2種以上を、適宜選択して用いればよい。有機溶剤の添加量は、カーボンブラック、カーボンブラック以外の各種無機粉末等、及び結合剤樹脂の合計量100質量部に対し100〜900質量部程度とすればよい。
下層非磁性層の厚さは、通常0.1〜2.5μm、好ましくは0.3〜2.3μmである。非磁性層が薄すぎると、非磁性支持体の表面粗さの影響を受けやすくなり、その結果、非磁性層の表面平滑性が悪化して磁性層の表面平滑性も悪化しやすくなり、電磁変換特性が低下する傾向にある。また、光透過率が高くなるので、テープ端を光透過率の変化により検出する場合に問題となる。一方、非磁性層をある程度以上厚くしても性能は向上しない。
[上層磁性層]
上層磁性層は、少なくとも強磁性粉末、及び結合剤樹脂を含有する。
前記強磁性粉末の平均長軸長は0.1μm以下であることが好ましい。長軸の短い強磁性粉末を用いることにより塗膜の充填率が上がり、バックコート層からの転写を受けにくくなる。好ましい強磁性粉末の平均長軸長は0.03〜0.10μmである。強磁性粉末の平均長軸長が0.1μmを超えると、塗膜の充填率が上がらず、バックコート層からの転写を受けやすくなる。一方、平均長軸長が0.03μm未満では、磁気的異方性が弱まり配向しにくくなり、出力が低下しやすい。
本発明において、強磁性粉末としては、金属磁性粉末又は六方晶形板状微粉末を用いることが好ましい。金属磁性粉末としては、保磁力Hcが118.5〜237kA/m(1500〜3000Oe)、飽和磁化σsが120〜160Am/kg(emu/g)、平均長軸長が0.03〜0.1μm、平均短軸長が10〜20nm、アスペクト比が1.2〜20であることが好ましい。また、金属磁性粉末を用いて作製した媒体のHcは118.5〜237kA/m(1500〜3000Oe)が好ましい。六方晶形板状微粉末としては、保磁力Hcが79〜237kA/m(1000〜3000Oe)、飽和磁化σsが50〜70Am/kg(emu/g)、平均板粒径が30〜80nm、板比が3〜7であることが好ましい。また、六方晶形板状微粉末を用いて作製した媒体のHcは94.8〜173.8kA/m(1200〜2200Oe)が好ましい。
ここで、強磁性粉末の平均長軸長は、テープ片から磁性粉末を分別、採取して、透過型電子顕微鏡(TEM)により撮影した写真から、粉末の長軸長を計ることにより求めることができる。その手順の一例を以下に示す。
(1)テープ片からバックコート層を溶剤で拭き取り、除去する。
(2)非磁性支持体上に下層非磁性層と上層磁性層が残ったテープ片試料を、5%NaOH水溶液に浸漬し、加熱、攪拌する。
(3)非磁性支持体から脱落させた塗膜を水洗し、乾燥する。
(4)乾燥された塗膜をメチルエチルケトン(MEK)中で超音波処理し、マグネットスターラーを用いて磁性粉末を吸着させて集める。
(5)残渣から磁性粉末を分離、乾燥する。
(6)専用のメッシュに(4)及び(5)で得られた磁性粉末を採取し、TEM用試料を作製し、TEMにて写真撮影する。
(7)写真の磁性粉末の長軸長を計って平均する(測定回数:n=100)。
金属磁性粉末は、第一鉄塩とアルカリを混合した水懸濁液に、酸化性ガスを吹き込むことによって得られるオキシ水酸化鉄を出発原料とする。このオキシ水酸化鉄の種類としては、α−FeOOHが好ましく、その製法としては、第一鉄塩を水酸化アルカリで中和してFe(OH)の水懸濁液とし、この懸濁液に酸化性ガスを吹き込んで針状のα−FeOOHとする第一の製法がある。一方、第一鉄塩を炭酸アルカリで中和してFeCOの水懸濁液とし、この懸濁液に酸化性ガスを吹き込んで紡錘状のα−FeOOHとする第二の製法がある。
これらの方法で用いる第一鉄塩としては、塩化第一鉄、硝酸第一鉄、硫酸第一鉄のいずれを使用してもよい。また、第一の製法で用いる水酸化アルカリとしては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア水が使用可能である。また、第二の製法で用いる炭酸アルカリとしては、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等が使用可能である。
上記第一の製法を用いて、微細で枝分かれがなく、分散性、パッキング性に優れる金属磁性粉末を得るのに適したα−FeOOHを製造する条件は、第一鉄塩の中和に必要なアルカリ量の2〜10倍量のアルカリを使用し、アルカリ濃度の高い条件でFe(OH)の酸化反応を進めることである。アルカリ濃度の高い領域での反応は、枝分かれのない粒子を得るのに必要な条件である。また、粒子の大きさのコントロールは、一般に知られているように、反応温度、酸化性ガスの吹き込み量のコントロールによって可能であるが、その他として、第一鉄塩中にNi、Co、Al、Si等の金属塩を存在させておき、これをアルカリで中和してから酸化反応を進めることによっても、粒子の寸法をコントロールすることが可能である。
第二の製法では、生成する紡錘状のα−FeOOHは枝分かれがなく、粒度の揃った微細な粒子が得やすい。また第二の製法における粒子の大きさのコントロールは、水懸濁液中の鉄の濃度、反応温度、酸化性ガスの吹き込み量を変化させることにより可能である。また、第一の製法と同じようにNi、Co等の添加によっても粒子の形状をコントロールすることができる。
以下、第一の製法で得た針状のα−FeOOHを原料とする金属磁性粉末の製造方法を例として説明する。先ず、第一鉄塩を中和に必要な量の2倍量以上の水酸化アルカリで中和して、Fe(OH)のアルカリ懸濁液とし、これに酸化性ガスを吹き込んで針状のα−FeOOHを得る。この時、α−FeOOHの針状比及び形状をコントロールするために、Ni、Co、Zn、Cr、Mn、Zr、Al、Si、P、Ba、Ca、Mg、Cu、Sr、Ti、Mo、Ag、稀土類元素等の金属をドープしておくことができる。これらの異種金属の添加方法は、第一鉄塩中に均一に混合しておいても良く、また反応の途中で添加しても良い。添加量については所望する形状、大きさにより、経験的に決められる。
なお、本方法では、第一鉄塩をアルカリで中和してFe(OH)の懸濁液を生成させ、これを酸化してα−FeOOHを製造するのであるが、この時使用するアルカリ量を中和当量の2倍以上使用することにより、金属磁性粉末とした時に保磁力の高い原料α−FeOOHが得られる。このようなアルカリの過剰量は、多ければ多いほどα−FeOOHの枝分かれは少なくなるが、10倍以上加えてもそれ以上の効果は発現しないため、10倍以上の過剰量を加える反応は効率的でない。
また、好ましい金属磁性粉末を得るのに必要なα−FeOOH粒子の大きさは、その比表面積BET値が60〜130m/gの範囲となる大きさとすることが必要である。この比表面積が60m/g未満では、粒子が大きすぎて高保磁力は得られないし、単波長領域用の磁性材料として好ましくない。また、比表面積が130m/gを超えると、粒子が細かくなりすぎ超常磁性が発現するためかも知れないが、高保磁力は得られないし、また粒子の不揃いによるためかも知れないが、保磁力分布の広いものになってしまう。
次に、Ni、Co、Zn、Cr、Mn、Zr、Al、Si、P、Ba、Ca、Mg、Cu、Sr、Ti、Mo、Ag、稀土類元素等がドープされているか又はドープされていないα−FeOOHに、Ni、Co、Al、Si及び稀土類元素の内の1種以上を含有させる。この際の含有方法としては、各種金属塩を酸又はアルカリで中和して、粒子表面上に水酸化物の微小な結晶の膜として被着させる方法が一般的である。Ni、Co、稀土類元素は、α−FeOOHを生成させる反応で必要量ドープされている場合は、新たにα−FeOOH粒子の表面に被着させなくてもよい場合もあるが、これらの元素を多量に含有させる必要がある場合は、ドープされる量に限界があるので、さらに表面にこれらの元素を被着させる。なお、金属磁性粉末中の各金属元素の含有量は以下の範囲が好ましい。以下の数値は鉄を100としたときの各金属の質量比である。
Ni=0.3〜8.0Co=3.0〜45.0Al=0.5〜8.0Si=0.5〜8.0稀土類元素=0.2〜10.0但し、Al+Si=2.0〜15.0
稀土類元素は、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、及びYのうちの少なくとも1種であり、これらの組合せでも有効である。添加する金属は、塩化物、硫酸塩、硝酸塩等の水溶性塩の使用が便利である。Siの場合は、メタ珪酸ソーダ、オルト珪酸ソーダ、水ガラスが使用できる。被着の順序は、まず合金化して金属磁性粉末の磁気特性をコントロールするNi及びCoを先に被着し、次に熱による粒子の焼結を防止するAlとSiを被着することが好ましい。稀土類元素の場合は、α力を高める効果があり、Al及び/又はSiを被着する時に被着しても効果はあるが、内部に存在させた方が効果は大きい。
次に、上記各金属を所定量被着した後、これを十分に水洗して乾燥し、非還元性雰囲気中で、300〜800℃の温度で熱処理をする。熱処理温度が300℃未満では、α−FeOOHが脱水して生じたα−Fe粒子中の空孔が多くなり、その結果、還元後の金属磁性粉末の特性が劣ることとなる。また、熱処理温度が800℃を超えると、α−Fe粒子の融解が始まり粒子の形状が変化したり、あるいは焼結が進行し、その結果、得られた金属磁性粉末の特性は劣化する。
次に、熱処理後の金属磁性粉末を水素ガス気流下で300〜600℃の温度で還元し、公知の方法で粒子の表面に酸化皮膜を形成させて金属磁性粉末を得る。金属磁性粉末中に含まれる水溶性ナトリウムイオン及び水溶性カルシウムイオンを低減するには、上記製造法において使用される水の純度を高めたり、ナトリウムあるいはカルシウムを含まないアルカリを使用すればよい。
六方晶フェライトの製法としては、以下の方法等が挙げられ、いずれの製法を用いてもよい。
(1)酸化バリウム、酸化鉄、鉄を置換する金属酸化物、及びガラス形成物質として酸化ホウ素等を所望のフェライト組成になるように混合した後、溶融し、急冷して非晶質体とし、次いで、再加熱処理した後、洗浄、粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得るガラス結晶化法。
(2)バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後、100℃以上で液相加熱し、その後、洗浄、乾燥、粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る水熱反応法。
(3)バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後、乾燥し、1100℃以下で処理し、粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る共沈法。
六方晶フェライト粉末中に含まれる水溶性ナトリウムイオン及び水溶性カルシウムイオンを低減するには、上記製造法(1)〜(3)にて使用される水の純度を高めたり、ナトリウムあるいはカルシウムを含まないアルカリを使用すればよい。
強磁性粉末中に含まれる水溶性ナトリウムイオン含有量は70ppm以下、さらには50ppm以下が好ましい。水溶性カルシウムイオン含有量は30ppm以下、さらには20ppm以下が好ましい。上記範囲を上回ると塗膜中に含まれる有機酸(特に脂肪酸)と塩を作り、塗膜表面に吐出し、ドロップアウトやエラーレート増加の要因となる。
このような強磁性粉末は、磁性層を基準として70〜90質量%程度含まれていればよい。強磁性粉末の含有量が多すぎると、結合剤の含有量が減少するためカレンダ加工による表面平滑性が悪化しやすくなり、一方、強磁性粉末の含有量が少なすぎると、高い再生出力を得られない。
磁性層用の結合剤として、特に制限なく、熱可塑性樹脂、熱硬化性ないし反応型樹脂、放射線(電子線又は紫外線)硬化型樹脂等が、媒体の特性、工程条件に合わせて適宜組み合わせて選択されて使用される。下層非磁性層で説明した結合剤と同様のものの中から、適宜選択して使用することができる。
磁性層に用いる結合剤樹脂の含有量は、強磁性粉末100質量部に対し、好ましくは5〜40質量部、特に好ましくは10〜30質量部である。結合剤の含有量が少なすぎると、磁性層の強度が低下し、走行耐久性が悪化しやすくなる。一方、結合剤の含有量が多すぎると、強磁性粉末の含有量が低下するため、電磁変換特性が低下する傾向にある。
さらに磁性層中には、磁性層の機械的強度を高めるためと、磁気ヘッドの目詰まりを防ぐために、モース硬度6以上の研磨材を含有させる。研磨材としては、例えば、α−アルミナ(モース硬度9)、酸化クロム(モース硬度9)、炭化珪素(モース硬度9.5)、酸化珪素(モース硬度7)、窒化アルミニウム(モース硬度9)、窒化硼素(モース硬度9.5)等のモース硬度6以上、好ましくはモース硬度9以上の研磨材を少なくとも1種含有させることが好ましい。これらは通常、不定形状であり、磁気ヘッドの目詰まりを防ぎ、塗膜の強度を向上させる。
研磨材の平均粒径は、例えば0.01〜0.2μmであり、0.05〜0.2μmであることが好ましい。平均粒径が大きすぎると、磁性層表面からの突出量が大きくなって、電磁変換特性の低下、ドロップアウトの増加、ヘッド摩耗量の増大等を招く。平均粒径が小さすぎると、磁性層表面からの突出量が小さくなって、ヘッド目詰まりの防止効果が不十分となる。
平均粒径は、通常、透過型電子顕微鏡により測定する。研磨材の含有量は、強磁性粉末100質量部に対し、3〜25質量部、好ましくは5〜20質量部含有すればよい。
また、磁性層中には、必要に応じ、界面活性剤等の分散剤、高級脂肪酸、脂肪酸エステル、シリコンオイル等の潤滑剤、その他の各種添加物を添加してもよい。
磁性層形成用の塗料は、上記各成分に有機溶剤を加えて調製する。用いる有機溶剤は特に制限はなく、下層非磁性層に使用するものと同様のものが使用可能である。
磁性層の厚さは0.03〜0.30μm、更に好ましくは0.10〜0.25μmとする。磁性層が厚すぎると、自己減磁損失や厚み損失が大きくなる。
本発明において、磁性層表面の平滑性は重要である。磁性層表面の中心線平均粗さ(Ra)は、好ましくは1.0〜8.0nm、より好ましくは2.0〜7.0nmとする。Raが1.0nm未満では表面が平滑すぎて、走行安定性が悪化して走行中のトラブルが生じやすくなる。一方、8.0nmを越えると、磁性層表面が粗くなり、MR型ヘッドを用いた再生システムでは、再生出力等の電磁変換特性が劣化する。
磁性層表面の十点平均中心線平均粗さ(Rz)は、好ましくは5〜25nm、より好ましくは5〜20nmとする。Rzが5nm未満では表面が平滑すぎて、走行安定性が悪化して走行中のトラブルが生じやすくなる。一方、25nmを越えると、磁性層表面が粗くなり、MR型ヘッドを用いた再生システムでは、再生出力等の電磁変換特性が劣化する。
[バックコート層]
バックコート層は、走行安定性の改善や磁性層の帯電防止等のために設けられ、カーボンブラック、カーボンブラック以外の非磁性無機粉末、及び結合剤樹脂を含む。
バックコート層は、バックコート層を基準として30〜80質量%のカーボンブラックを含有することが好ましい。カーボンブラックの含有量が少なすぎると帯電防止効果が低下する傾向があり、さらに走行安定性が低下しやすくなる。また、媒体の光透過率が高くなりやすいので、テープ端を光透過率の変化で検出する方式では問題となる。一方、カーボンブラックの含有量が多すぎると、バックコート層の強度が低下し、走行耐久性が悪化しやすくなる。カーボンブラックは、通常使用されるものであればどのようなものであってもよく、その平均粒径は、5〜500nm程度が好ましい。平均粒径は、通常、透過型電子顕微鏡により測定する。
カーボンブラック中に含まれる水溶性ナトリウムイオン及び水溶性カルシウムイオンは少ない方が好ましく、水溶性ナトリウムイオン含有量は500ppm以下、さらには300ppm以下が好ましい。水溶性カルシウムイオン含有量は300ppm以下、さらには200ppm以下が好ましい。上記範囲を上回ると塗膜中に含まれる有機酸(特に、脂肪酸)と塩を形成し、塗膜表面に吐出し、ドロップアウトやエラーレート増加の要因となる。
バックコート層には、前記カーボンブラック以外に、機械的強度をコントロールするために、各種非磁性無機粉末を用いることができ、無機粉末として例えば、α−Fe、CaCO、酸化チタン、硫酸バリウム、α−Al等を挙げることができる。非磁性無機粉末の含有量は、カーボンブラック100質量部に対し、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.5〜15質量部である。非磁性無機粉末の平均粒径は、0.01〜0.5μmであることが好ましい。このような非磁性無機粉末の含有量が少なすぎると、バックコート層の機械的強度が不十分となりやすく、多すぎるとテープ摺接経路のガイド等の摩耗量が多くなりやすいことや、磁性層へのキズを生じせしめることとなる。
バックコート層には、上記材料の他に結合剤として、熱可塑性樹脂、熱硬化性ないし反応型樹脂、放射線(電子線又は紫外線)硬化型樹脂等が、媒体の特性、工程条件に合わせて適宜組み合わせて選択されて使用される。下層非磁性層で説明した結合剤と同様のものの中から、適宜選択して使用することができる。
バックコート層に用いる結合剤樹脂の含有量は、バックコート層中のカーボンブラックと非磁性無機粉末の合計100質量部に対し、好ましくは15〜200質量部、より好ましくは50〜180質量部である。結合剤樹脂の含有量が多すぎると、テープ摺接経路のガイドロール等との摩擦が大きくなりすぎて走行安定性が低下し、走行事故を起こしやすくなる。また、磁性層とのブロッキング等の問題が発生する。結合剤樹脂の含有量が少なすぎると、バックコート層の強度が低下して走行耐久性が低下しやすくなる。
バックコート層には、必要に応じ、界面活性剤等の分散剤、高級脂肪酸、脂肪酸エステル、シリコンオイル等の潤滑剤、その他の各種添加物を添加してもよい。
潤滑剤としては、下層非磁性層で説明した潤滑剤と同様のものの中から、適宜選択して使用することができる。バックコート層の潤滑剤の含有量は、目的に応じ適宜調整すればよいが、カーボンブラックとカーボンブラック以外の無機粉末を加えた合計質量に対し、1〜20質量%が好ましい。
バックコート層形成用の塗料は、上記各成分に有機溶剤を加えて調整する。用いる有機溶剤は特に制限はなく、下層非磁性層に使用するものと同様のものが使用可能である。有機溶剤の添加量は、カーボンブラック、カーボンブラック以外の各種無機粉末等、及び結合剤樹脂の合計量100質量部に対し740〜1600質量部程度とすればよい。
バックコート層の厚さ(カレンダー加工後)は、1.0μm以下、好ましくは0.1〜1.0μm、より好ましくは0.2〜0.8μmである。バックコート層が厚すぎると、テープ摺接経路のガイドロール等との摩擦が大きくなりすぎて、走行安定性が低下する傾向にある。一方、バックコート層が薄すぎると、媒体の走行時にバックコート層の削れが発生しやすい。また、バックコート層が薄すぎると、非磁性支持体の表面粗さの影響でバックコート層の表面平滑性が低下する。このため、バックコートを熱硬化する際にバックコート層表面の粗さが磁性層表面に転写され、高域出力、S/N、C/Nの低下を招きやすい。
バックコート層表面の中心線平均粗さ(Ra)は、好ましくは5.0〜20.0nm、より好ましくは10.0〜15.0nmとする。Raが5.0nm未満では表面が平滑すぎて、テープ摺接経路のガイドロール等との摩擦が大きくなりすぎて、走行安定性が悪化して走行中のトラブルが生じやすくなる。一方、20.0nmを越えると、バックコート層の粗面転写影響により磁性層表面が粗くなり、エラーレートが悪化する。
バックコート層表面の十点平均中心線平均粗さ(Rz)は、好ましくは50〜200nm、より好ましくは100〜150nmとする。Rzが50nm未満では表面が平滑すぎて、テープ摺接経路のガイドロール等との摩擦が大きくなりすぎて、走行安定性が悪化して走行中のトラブルが生じやすくなる。一方、200nmを越えると、バックコート層の粗面転写影響により磁性層表面が粗くなり、エラーレートが悪化する。
[非磁性支持体]
非磁性支持体として用いる材料には特に制限はなく、目的に応じて各種可撓性材料、各種剛性材料から選択し、各種規格に応じてテープ状などの所定形状および寸法とすればよい。例えば、可撓性材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネートなどの各種樹脂が挙げられる。
これら非磁性支持体の厚さは3.0〜15.0μmであることが好ましい。非磁性支持体の形態については特に制限はなく、テープ状、シート状、カード状、ディスク状等のいずれであっても良く、形態に応じて、また必要に応じて種々の材料を選択して使用することができる。
本発明で使用される非磁性支持体の表面粗さは、中心線平均表面粗さRaで20nm以下、好ましくは15nm以下である。非磁性支持体の表面粗さは、必要に応じて非磁性支持体に添加されるフィラーの大きさと量により自由に制御される。これらフィラーの例としては、Ca、Si、Ti、Alなどの酸化物や炭酸塩の他、アクリル系などの有機樹脂微粉末が挙げられ、好ましくは、Alと有機樹脂微粉末の組み合わせである。
[製造方法]
上記のように構成される磁気記録媒体を本発明の方法により製造する。まず、非磁性支持体の一方の面上に非磁性層用塗料を塗布、乾燥し、硬化させて下層非磁性層を形成する工程と、硬化された下層非磁性層上に磁性層用塗料を塗布、乾燥して、上層磁性層を形成する工程と、非磁性支持体の他方の面上にバックコート層用塗料を塗布、乾燥して、バックコート層を形成する工程とを行う。
前記バックコート層用塗料、下層非磁性層用塗料及び磁性層用塗料を製造する工程は、それぞれ、少なくとも混練工程、分散工程、及びこれらの工程の前後に必要に応じて行われる混合工程、粘度調整工程及び濾過工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上に分かれていても構わない。本発明に使用する強磁性粉末、非磁性無機粉末、結合剤、研磨材、カーボンブラック、潤滑剤、溶剤などすべての材料は、どの工程の最初又は途中で添加しても構わない。また、個々の材料を2つ以上の工程で分割して添加しても構わない。
塗料の混練・分散には、従来公知の製造技術を一部又は全部の工程に用いることができることはもちろんであるが、混練工程では連続ニーダや加圧ニーダなど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。連続ニーダ又は加圧ニーダを用いる場合は、強磁性粉末あるいは非磁性無機粉末、結合剤及び少量の溶剤が混練処理される。混練時のスラリー温度は、50℃〜110℃が好ましい。
また、各工程において塗料の分散には、高比重の分散メディアを用いることが望ましく、ジルコニア、チタニア等のセラミック系メディアが好適である。従来より用いられているガラスビーズは、分散時のビーズ摩耗により不純物として塗料中に水溶性ナトリウムイオン及び水溶性カルシウムイオンが混入するため使用することは好ましくない。
まず、非磁性支持体の一方の面上に非磁性層用塗料を塗布、乾燥し、硬化させて下層非磁性層を形成する。次に、硬化された下層非磁性層上に磁性層用塗料を塗布、乾燥して、上層磁性層を形成する。このように、非磁性層及び磁性層をいわゆるウェット・オン・ドライ塗布方式で形成する場合の方が、非磁性層が湿潤状態のうちに磁性層が塗布されるウェット・オン・ウェット塗布方式の場合に比べ、非磁性層と磁性層の界面の均一性の点で好ましい。前記非磁性支持体の他方の面上にバックコート層用塗料を塗布、乾燥して、バックコート層を形成する。
塗布方法としては、グラビアコート、リバースロールコート、ノズルコート、バーコート等の公知の種々の塗布手段を用いることができる。
下層非磁性層の形成、上層磁性層の形成及びバックコート層の形成の順序については、上述の形態のように、下層非磁性層の形成、上層磁性層の形成、続いてバックコート層の形成の順序で行うことが一般的に好ましい。
最終的に1/2インチに切断される磁気テープは、ドライブでのヘッド当りが良くなるように、磁性層面側を外側に凸状とする。これは、バックコート層に収縮性を持たせることにより、支持体の反対面側に設けられる磁性層面側が外側向けて凸となるようにする。一般に下層非磁性層、上層磁性層およびバックコート層の各層とも、その塗膜には収縮性がある。最終的に磁性層面を凸状とするには、下層非磁性層、上層磁性層の収縮力よりも支持体を挟んで設けられるバックコート層に最も大きな収縮力を付与する設計となる。
最初にバックコート層を塗布してしまうと、支持体の一面側にのみバックコート層が設けられるので、支持体自体が幅方向で大きくカールする。このような原反で、次に、下層非磁性層を設けようとすると支持体幅方向での塗布厚みのばらつきが大きくなり、問題となる。
そのため、先にバックコート層よりも収縮力の小さな下層非磁性層を最初に塗布することが好ましい。
下層非磁性層を設けた後は、その上に磁性層を設けることが好ましい。上層磁性層は、最も塗布精度が厳しく、厚みが厚すぎると、自己減磁損失や厚み損失が大きくなる。
また、厚みが薄いと磁化量が小さくなり十分な出力が得られなくなる。塗布液を塗布し、乾燥して各塗布層を設ける際の乾燥時の熱履歴、あるいは塗布層を設けた後にロール状に巻き取った際の応力により、支持体のひずみは工程を経るたびに大きくなり、塗布精度の観点から、次に上層磁性層を塗布することが好ましい。
以上のような理由から、バックコート層の塗布は、三層のうち、一番最後に行うことになる。上述の通り、支持体のひずみが一番大きくなった状態でバックコート層の塗布を行うため、バックコート層の塗布には、支持体のひずみがあっても確実に塗布できる塗布方法を用いることが好ましい。本発明においては、バックコート層塗布にバーコート法を用いる。
次に本発明において使用されるバーおよびバー塗布装置について説明する。本発明において使用されるバーは、略円柱状のロッド表面に規則的な突起が形成されたものであって、芯材となるロッド棒の外周面にワイヤーを巻回したワイヤーバーやロッド表面に直接、切削や転造等の手法で凹凸が形成されたワイヤレスバーを用いることができる。ワイヤーバー、ワイヤレスバーいずれであっても良いが、ワイヤー切れのトラブルやバー目詰まりの発生のし易さなどを考慮すると、ワイヤレスバーの方が使い勝手の観点からは、好ましいと言える。本発明においてワイヤレスバーを使用する場合、溝(あるいは山)のピッチは0.05〜0.3mmが適当であり、断面形状としては円弧状に突出する山と山の間の谷部分を平らにしたAタイプの溝パターンのもの(図4に示すバー1A参照)、サインカーブに近似したBタイプの溝パターンのもの(図5に示すバー1Bに参照)、台形状のもの、が特に好適に用いられる。しかしながら、必ずしもこのような断面形状に限定されることはなく、他の断面形状のものも使用することができる。
ワイヤレスバーの材料としては金属が用いられるが、耐蝕性、耐摩耗性、強度等の観点からステンレス鋼が適している。さらにワイヤレスバーの耐摩耗性を向上させるためバー外周表面にメッキを施したり、窒化処理やDLC(ダイヤモンドライクカーボン)処理を行うこともできる。このような耐磨耗性を向上させるメッキや処理はワイヤーバーにも適用できる。
本発明において使用するバーの径としては4mm〜25mm、好ましくは6mm〜10mmである。本発明において使用するバーの長さは支持体幅よりも長く、バー両端を保持する機構との取合いを考えて、おおよそ支持体幅よりも20mm〜300mm程度長く設定される。支持体幅が500mmの場合、使用するバーの長さは520mm〜800mm程度である。
バーコートでの塗布厚みは、バー表面の溝の断面積に依存する。当然、断面積が広ければ通過できる塗料量が増大し、塗布厚みは厚くなる。所定の塗布厚みを得るために、使用するバーを選択する指標としてtv値がある。tv値は、バー断面形状において隣接する凸部の頂部同士を結ぶ直線の下方に形成される溝断面積を隣接する凸部の間隔であるピッチ長さで除した値である。このtv値が同じであれば塗布される塗布量はほぼ同じとなる。ワイヤレスバーの場合、tv値は形状測定器等を用いてバー外周部の断面形状を測定し、隣接する凸部の頂部同士を結ぶ直線の下方に形成される溝断面積を算出する。算出した断面積を凸部の間隔で除すことで求められるが、溝断面積のばらつきも考慮して5〜10溝分算出して、平均値をtv値として把握することが好ましい。
本発明において使用するバー装置を図1〜図3を参照して説明する。
本発明において使用するバー塗布装置は、バー駆動機構25により回転可能なバー1と、バー1を支持するとともに、塗布液を塗布すべき支持体の搬送方向に対して、バー1の上流側に、塗布液を供給するスリット4が形成された支持ブロック2と、支持体6の幅方向に対して、支持ブロック2の両側に設けられた一対のサイドプレート15,15とを備え、支持ブロック2に形成されたスリット4から供給された塗布液が、バー1、支持ブロック2および一対のサイドプレート15,15によって画定された空間内に、液溜め5を形成するように、バー1、支持ブロック2および一対のサイドプレート15,15が配置されている。バー1の上流側および下流側上方には、一対のガイドロール7,7が設けられており、それぞれのガイドロール7は支持体6の厚み方向に可動でバー1に向けて支持体6を押圧可能な構成となっている。支持体6をバー1に向けて押圧することにより液溜め5に溜まった塗布液は支持体6の表面に付着、転移する。このあと支持体6はバー1の表面と接触し、バー1の表面に形成された溝により、支持体6に転写した塗布液は計量され、支持体6表面に所定の量の塗布層を形成する。バー1の計量により掻き落とされた塗布液は、支持ブロック2bの頂部を超えて、上流側へ流出する。前記一対のサイドプレート15,15は、塗布液を塗布すべき支持体6の両縁部の内側に設けられている。そのため塗布液によって形成される液溜め5の幅を、一対のサイドプレート15,15によって規制して、支持体6の両縁部に、塗布液が塗布されない部分を残すことができ、したがって、塗膜を形成した後に、磁気テープ原反を巻き取ったときに、支持体6の両縁部に形成された塗膜が接着し、再び、繰り出した際に磁気テープ原反が裂けたりすることを、確実に防止することができる。
バー1の下方の支持ブロック2aに、塗布液を排出するドレイン通路8が形成されているから、バー1の表面に付着した塗布液は、ドレイン通路8に流入して、回収され、さらに、バー塗布装置は、スリット4が形成された側とは反対側において、バー1の表面に当接するドクターブレード10を備えているから、ドレイン通路8に流入せず、回収されなかった塗布液は、ドクターブレード10によって、バー1の表面から掻き落とされて、ドレイン通路8に流れ込んで、回収され、一対のサイドプレート15,15に設けられ、ドレイン通路8に連通する開口部17を通じて外部へ流出する。したがって、バー1の表面に付着した塗布液が、可撓性支持体の表面に転写されることを確実に防止することが可能になるから、塗膜の厚さを、所望のように、制御することが可能になる。本発明において使用する支持ブロック2の材料としては、真鍮、ステンレスあるいは炭素鋼にメッキを施したもの等が好適に用いられる。本発明において使用するドクターブレード10の材質は、ポリエステルが好ましいが、ナイロンなどのポリアミドや高密度ポリエチレンなども用いることができる。バー1は通常、支持体6とバー1が接触する位置において支持体6の走行方向とは逆方向に駆動される。バー1は、前述の通り、その径が4mm〜25mm程度で細長いものであり、回転数は10rpm〜150rpm程度で駆動される。バー1を回転させずに塗布に用いると支持体6と接触する箇所のみ磨耗が進行してしまい、長時間の塗布にあっては塗布厚みの維持が困難である。また、バー1を支持体6とバー1が接触する位置において支持体6の走行方向と同方向に回転させた場合には、塗布液が支持体両縁部まで塗布液が広がり、塗布液が塗布されない部分が無くなってしまいやすい。また、場合によっては塗布液の一部が裏面にまで付着する。そのため、塗膜を形成した後に、支持体6を巻き取ったときに、可撓性支持体の両縁部に形成された塗膜が接着し、再び、繰り出した際に支持体6が裂けたりするトラブルが発生しやすくなってしまう。
非磁性支持体両面に各層が形成された磁気テープ原反をロール状態で熱硬化処理を行って、上層磁性層及びバックコート層を硬化させる。ロール状態のテープ原反を、40〜80℃、好ましくは50〜70℃とされた熱処理室にて所定時間、好ましくは24時間以上、例えば24時間〜48時間保持する。この熱硬化処理において、磁性層面とバックコート層面とが接触した状態であるので、バックコート層面に存在する微小突起によって、磁性層表面に凹みが生じてしまいやすい。
そこで、本発明では、熱硬化処理後に各層を一括でカレンダー処理を行う。この段階でのカレンダー処理によって、平坦な表面の磁性層とする。
カレンダー処理は以下のカレンダー処理ロール、カレンダー処理条件で行うとよい。
カレンダー処理ロールとしては、エポキシ、ポリエステル、ナイロン、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあるプラスチック弾性ロール(カーボン、金属やその他の無機化合物が練り込まれているものでもよい)と金属ロールの組み合わせを使用する。また、金属ロール同士で処理することが、より平坦な磁性層表面が得られるので好ましい。磁性層表面と接する側には、より平坦な表面を得るために金属ロールを配置する。バックコート層表面と接する側には、通常、プラスチック弾性ロールを配置するが、金属ロールを配置することが好ましい。
処理温度は、好ましくは70℃以上、さらに好ましくは90℃以上110℃以下である。線圧力は好ましくは198kN/m(200kg/cm)以上、さらに好ましくは245kN/m(250kg/cm)以上392kN/m(400kg/cm)以下、処理速度は20m/min〜900m/minの範囲である。
下層非磁性層と上層磁性層とバックコート層の各層の形成後におけるカレンダー処理では、非磁性支持体ベースとカレンダー処理ロールとが直接接することがなく、ベースやベース中に含まれるフィラーが削られることがない。そのため、カレンダー処理が非常にうまく行われる。非磁性支持体ベースとカレンダー処理ロールとが直接接すると、ベースやベース中に含まれるフィラーが削られ、削られたフィラーがカレンダーロールのニップ部に付着する。ニップ部のフィラーの存在によって、磁性層に凹みが生じてしまうことがある。特にフィラー等の削れによる下層非磁性層や上層磁性層に生じる凹みは、直径10〜60μmと大きいものの、その深さは30〜100nmと浅い。しかしながら、最短記録波長が0.6μm以下の記録再生システムにおいては、顕著にエラーレートに影響する。
特開2004−319017号公報記載の手法では、熱硬化処理前にカレンダー処理がなされているので、熱硬化処理後、カレンダー処理される前に非磁性層、磁性層はカレンダー処理済みで塗膜はすでに圧縮されており、つぶれしろが少なくなっている。磁性層表面の十点平均中心線粗さ(Rz)は、好ましくは5〜25nmであるが、バックコート層に含まれるカーボンブラックの平均粒径は、最大500nm、前記カーボンブラック以外に、機械的強度をコントロールするために各種非磁性無機粉末を用いる場合も平均粒径として最大0.5μmである。カーボンブラックあるいは非磁性無機粉末がバックコート層表面に露出する最大高さは、粒径の約1/2(であるので)、熱硬化処理時の接触により磁性層表面に深さが250nm程度の凹みを生じる可能性がある。カレンダー処理により、このような凹みを緩和するためには凹み周辺部が圧縮され、凹み深さが緩和されれば良いが、熱硬化処理後のカレンダー処理の前に、下層非磁性層および磁性層ともカレンダー処理済みで塗膜はすでに圧縮されており、つぶれしろが小さく磁性層表面の凹みに対しての緩和効果を大きく望むことはできない。
そのため、本願では、熱硬化処理前のカレンダー処理は行わずに、熱硬化処理を先に行い、熱硬化処理後に、各層を一括でカレンダー処理を行う工程とした。これにより、熱硬化処理後には、非磁性層、磁性層およびバックコート層は、カレンダー処理が1度も行われていないので、磁性層表面、バックコート層表面とも荒れた状態であるが、各塗膜の充填度は低い状態(ポーラス)であり、この後、カレンダー処理を行う際のつぶれしろが確保された状態でカレンダー処理を行うことができる。
また、下層非磁性層に用いる結合剤樹脂を放射線硬化型結合剤樹脂とすれば、下層非磁性層の硬化処理の際、外部より照射する放射線の照射線量を調整することで、下層非磁性層の硬化度合いを調整することができる。下層非磁性層の硬化度合いが低ければ、カレンダー処理の際、下層非磁性層の圧縮を効果的に行うことができ、磁性層面とバックコート層面とが接触してバックコート層面に存在する微小突起によって、磁性層表面に生じた凹みを緩和することができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
<下層非磁性層用塗料の調製>
(バインダー溶液調製)
電子線硬化型塩化ビニル系樹脂 NV30wt%(塩化ビニル−エポキシ含有モノマー共重合体,平均重合度=310,エポキシ含有量=3wt%,S含有量=0.6wt%,アクリル含有量=6個/1分子,Tg=60℃) 45質量部
電子線硬化型ポリエステルポリウレタン樹脂(NV40wt%)(極性基−OSONa含有ポリエステルポリウレタン,数平均分子量=26000) 16質量部
メチルエチルケトン(MEK) 2質量部
トルエン 2質量部
シクロヘキサノン 2質量部
上記組成物をハイパーミキサーに投入、撹拌し、バインダー溶液とした。
(混練)
下記組成物を加圧ニーダーに投入し、2時間混練を行った。
針状α−Fe(戸田工業社製:DB−65,平均長軸長=0.11μm,BET(比表面積)=53m/g) 85質量部
カーボンブラック(三菱化学社製:#850B,平均粒径=16nm,BET=200m2/g,DPB吸油量=70ml/100g) 15質量部
α−Al(住友化学工業社製:HIT−60A,平均粒径=0.20μm) 5質量部
o−フタル酸 2質量部
バインダー溶液 67質量部
混練後のスラリーに下記組成物を投入して分散処理に最適な粘性に調整した。
MEK 40質量部
トルエン 40質量部
シクロヘキサノン 40質量部
(分散)
上記スラリーを、ジルコニアビーズ(東レ社製トレセラムφ0.8mm)を75%充填した横型ピンミルにて分散処理を行った。
(粘度調整液)
下記組成物をハイパーミキサーに投入、撹拌し、粘度調整液とした。
ステアリン酸 1質量部
ステアリン酸ブチル 1質量部
MEK 30質量部
トルエン 30質量部
シクロヘキサノン 30質量部
(粘度調整及び最終塗料)
分散後のスラリーに上記溶液を混合撹拌した後、ジルコニアビーズ(東レ社製トレセラムφ0.8mm)を75%充填した横型ピンミルにて再度分散処理を行い、塗料とした。上記塗料を絶対濾過精度=1.0μmのデプスフィルターを用いて循環濾過を行い、下層非磁性層用の最終塗料とした。
<磁性層用塗料の調製>
(バインダー溶液調製)
塩化ビニル系樹脂(日本ゼオン社製:MR−110) 11質量部
ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡績社製:UR−8300) 17質量部
MEK 7質量部
トルエン 7質量部
シクロヘキサノン 7質量部
上記組成物をハイパーミキサーに投入し、混合・撹拌し、バインダー溶液とした。
(混練)
下記組成物を加圧ニーダーに投入し、2時間混練を行った。
α−Fe磁性粉(Hc=1885Oe,Co/Fe=20at%,σs=138emu/g,BET=58m/g,平均長軸長=0.10μm) 100質量部
α−Al(住友化学工業社製:HIT−60A,平均粒径=0.20μm) 6質量部
α−Al(住友化学工業社製:HIT−82,平均粒径=0.13μm) 6質量部
リン酸エステル(東邦化学社製:フォスファノールRE610) 2質量部
バインダー溶液 49質量部
混練後のスラリーに下記組成物を投入して分散処理に最適な粘性に調整した。
MEK 100質量部
トルエン 100質量部
シクロヘキサノン 75質量部
(分散)
上記スラリーを、ジルコニアビーズ(東レ社製トレセラムφ0.8mm)を75%充填した横型ピンミルにて分散処理を行った。
(粘度調整液)
下記組成物をハイパーミキサーに投入し、1時間混合・撹拌し、粘度調整液とした。
ステアリン酸 1質量部
ステアリン酸ブチル 1質量部
MEK 100質量部
トルエン 100質量部
シクロヘキサノン 250質量部
(粘度調整)
分散後のスラリーに上記溶液を混合撹拌した後、ジルコニアビーズ(東レ社製トレセラムφ0.8 mm)を75%充填した横型ピンミルにて再度分散処理を行い、塗料とした。上記塗料を絶対濾過精度=1.0μmのデプスフィルターを用いて循環濾過を行った。
(最終塗料)
濾過後の塗料100質量部にイソシアネート化合物(日本ポリウレタン製、コロネートL)0.82質量部を加え撹拌・混合し、絶対濾過精度=1.0μmのデプスフィルターを用いて循環濾過を行い、磁性層用の最終塗料とした。
<バックコート層用塗料1の調製>
(バインダー溶液1)
ニトロセルロース(旭化成工業社製:BTH1/2 固形分濃度70wt%) 77質量部
ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡績社製:UR−8300 固形分濃度30wt%) 120質量部
MEK 275質量部
トルエン 275重量部
シクロヘキサノン 100重量部
上記組成物をハイパーミキサーに投入、撹拌し、バインダー溶液とした。
(分散)
下記組成物をボールミルに投入し、24時間分散を行った。
(カーボンブラック1)
カーボンブラック(三菱化学(株)製:#950B,平均粒径=17nm,BET=250m/g,DBP給油量=70ml/100g) 100質量部
バインダー溶液 1847重量部
(粘度調整液1)
下記組成物をハイパーミキサーに投入、撹拌し、粘度調整液とした。
MEK 430質量部
トルエン 430重量部
シクロヘキサノン 100重量部
(粘度調整)
分散後のスラリーに上記溶液を混合撹拌した後、再度ボールミルにて分散処理を3時間行った。上記塗料を絶対濾過精度=3.0μmのデプスフィルターを用いて循環濾過を行った。
(最終塗料)
濾過後の塗料にイソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製、コロネート3041 固形分濃度50wt%)を濾過後の塗料100重量部に対して0.0189質量部の比率で加え、撹拌・混合し、塗料の固形分濃度を10.7wt%とし、絶対濾過精度=3.0μmのデプスフィルターを用いて循環濾過を行い、バックコート塗料1とした。
<磁気記録テープの製造>
[実施例1]
支持体幅520mm、厚さ5.0μmのポリエチレンナフタレートフィルムの表面上に、ノズルコート法で上記下層非磁性層用塗料を塗布幅500mm、乾燥厚み1.3μmとなるようにライン速度200m/minで塗布し、温度100℃の熱風が風速15m/secで供給される炉中にて乾燥し、次いで、照射量4.5Mradの条件にて電子線照射を行い、巻き取った。
次に、硬化させた下層非磁性層上にノズルコート法で上記磁性層用塗料を塗布幅496mm、乾燥厚み0.10μmとなるようにライン速度200m/minで塗布し、塗膜が湿潤状態のうちに5000Oeのソレノイドで磁場配向処理を行い、温度100℃の熱風が風速15m/secで供給される炉中にて乾燥し、巻き取った。次いで、上記ポリエチレンナフタレートフィルムの裏面上に上記バックコート層用塗料を乾燥厚み0.68μmとなるように塗布し、乾燥第一工程は温度80℃、以降の乾燥第二工程は温度100℃の熱風が風速15m/secで供給される炉中にて乾燥し、巻き取った。このようにして、両面に各層が形成された磁気テープ原反を得た。なお、バックコート層塗布は、図1に示したバー塗布装置によりバーコートで行い、使用したバーは径がφ8mm、溝パターンは、図4に示すように凸部と凸部の間の谷部分が平坦面であるAタイプのもので凸部と凸部のピッチは0.2mm、tv値は21.9μm、回転数は30rpmで、バーと支持体が接する位置でバーが支持体の走行方向と逆方向となる方向に回転させた。支持体の張力は147N/幅、支持体のバーへのラップ角度は36°とした。ここで、ラップ角度とは、バー外周面に支持体が接している区間をバー中心基準で角度で表したものである。塗料供給幅は486mmでバックコート層用塗布液の供給量は1.2kg/minで行い、塗り上がったバックコート層の塗布幅は500mmであった。
巻き取られた磁気テープ原反を60℃のオーブンに24時間入れ、熱硬化を行った。熱硬化の後に、上記磁気テープ原反を繰出しロールから繰り出し、下記ロール構成のカレンダー処理装置を用いて、温度100℃、線圧力343kN/m、加工速度200m/minの条件で、カレンダー処理を行い、巻き取った。ロール構成:金属ロール(S)と金属ロール(S)の組み合わせからなる6ニップその後、1/2インチ(12.65mm)幅に裁断し、磁気テープを得、サーボ信号の書き込んでテープカートリッジした。
[実施例2]
バックコート塗料1に混合溶剤(MEK/トルエン=1:1 重量比)を加え、固形分濃度を10.2wt%に調整し、使用するバーはtv値が24.8μmのものに変更しバックコート層用塗料を乾燥厚み0.68μmとなるように塗布した以外は、実施例1と同じとして磁気テープを作成した。
[比較例1]
バックコート塗料1に混合溶剤(MEK/トルエン=1:1 重量比)を加え、固形分濃度を9.7wt%に調整し、使用するバーはtv値が27.0μmのものに変更しバックコート層用塗料を乾燥厚み0.68μmとなるように塗布した以外は、実施例1と同じとして磁気テープを作成した。
[実施例3]
バックコート塗料1に混合溶剤(MEK/トルエン=1:1 重量比)を加え、固形分濃度を7.6wt%に調整し、使用するバーはtv値が18.1μmのものに変更しバックコート層用塗料を乾燥厚み0.50μmとなるように塗布した以外は、実施例1と同じとして磁気テープを作成した。
[比較例2]
バックコート塗料1に混合溶剤(MEK/トルエン=1:1 重量比)を加え、固形分濃度を6.5wt%に調整し、使用するバーはtv値が19.5μmのものに変更しバックコート層用塗料を乾燥厚み0.50μmとなるように塗布した以外は、実施例1と同じとして磁気テープを作成した。
バックコート塗料2として下記のものを準備した。
<バックコート層用塗料2の調整>
(バインダー溶液2)
ニトロセルロース(旭化成工業社製:BTH1/2 固形分濃度70wt%) 30質量部
ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡績社製:UR−8300 固形分濃度30wt%) 75質量部
MEK 275質量部
トルエン 275重量部
シクロヘキサノン 100重量部
上記組成物をハイパーミキサーに投入、撹拌し、バインダー溶液とした。
(分散)
下記組成物をボールミルに投入し、24時間分散を行った。
(カーボンブラック2)
カーボンブラック(昭和キャボット(株)製BP−800:平均粒径:17nm、BET比表面積210m/g、DPN吸油量:68ml/100g) 100重量部
(粘度調整液2)
下記組成物をハイパーミキサーに投入、撹拌し、粘度調整液とした。
MEK 500質量部
トルエン 500重量部
シクロヘキサノン 100重量部
(粘度調整)
分散後のスラリーに上記溶液を混合撹拌した後、再度ボールミルにて分散処理を3時間行った。上記塗料を絶対濾過精度=3.0μmのデプスフィルターを用いて循環濾過を行った。
(最終塗料)
濾過後の塗料にイソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製、コロネート3041 固形分濃度50wt%)を濾過後の塗料100重量部に対して0.0176質量部の比率で加え、撹拌・混合し、塗料の固形分濃度を10.0wt%とし、絶対濾過精度=3.0μmのデプスフィルターを用いて循環濾過を行い、バックコート塗料2とした。
[実施例4]
バックコート塗料2を使用し、バーはtv値が12.4μmのものに変更しバックコート層用塗料を乾燥厚み0.40μmとなるように塗布した以外は、実施例1と同じとして磁気テープを作成した。
[実施例5]
バックコート塗料2に混合溶剤(MEK/トルエン=1:1重量比)を加え、固形分濃度を8.8wt%に調整し、バーはtv値が14.5μmのものに変更しバックコート層用塗料を乾燥厚み0.40μmとなるように塗布した以外は、実施例1と同じとして磁気テープを作成した。
[比較例3]
バックコート塗料2に混合溶剤(MEK/トルエン=1:1重量比)を加え、固形分濃度を8.3wt%に調整し、バーはtv値が15.3μmのものに変更しバックコート層用塗料を乾燥厚み0.40μmとなるように塗布した以外は、実施例1と同じとして磁気テープを作成した。
バックコート塗料3として下記のものを準備した。
<バックコート層用塗料3の調整>
(バインダー溶液3)
ニトロセルロース(旭化成工業社製:BTH1/2 固形分濃度70wt%) 77質量部
ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡績社製:UR−8300 固形分濃度30wt%) 120質量部
MEK 275質量部
トルエン 275重量部
シクロヘキサノン 100重量部
上記組成物をハイパーミキサーに投入、撹拌し、バインダー溶液とした。
(分散)
下記組成物をボールミルに投入し、24時間分散を行った。
(カーボンブラック3)
カーボンブラック(昭和キャボット(株)製BP−800:平均粒径:17nm、BET比表面積210m/g、DPN吸油量:68ml/100g) 100重量部
(粘度調整液3)
下記組成物をハイパーミキサーに投入、撹拌し、粘度調整液とした。
MEK 790質量部
トルエン 790重量部
シクロヘキサノン 200重量部
(粘度調整)
分散後のスラリーに上記溶液を混合撹拌した後、再度ボールミルにて分散処理を3時間行った。上記塗料を絶対濾過精度=3.0μmのデプスフィルターを用いて循環濾過を行った。
(最終塗料)
濾過後の塗料にイソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製、コロネート3041 固形分濃度50wt%)を濾過後の塗料100重量部に対して0.0137質量部の比率で加え、撹拌・混合し、塗料の固形分濃度を7.5wt%とし、絶対濾過精度=3.0μmのデプスフィルターを用いて循環濾過を行い、バックコート塗料3とした。
[実施例6]
バックコート塗料3を使用し、バーはtv値が12.4μmのものに変更しバックコート層用塗料を乾燥厚み0.35μmとなるように塗布した以外は、実施例1と同じとして磁気テープを作成した。
[比較例4]
バックコート塗料3に混合溶剤(MEK/トルエン=1:1重量比)を加え、固形分濃度を7.0wt%に調整し、バーはtv値が13.7μmのものに変更しバックコート層用塗料を乾燥厚み0.35μmとなるように塗布した以外は、実施例1と同じとして磁気テープを作成した。
[実施例7]
バックコート塗料2を使用し、使用したバーは溝パターンは図5に示すように断面形状がサインカーブ状であるBタイプのもので凸部と凸部のピッチは0.2mm、tv値が13.3μmのものに変更しバックコート層用塗料を乾燥厚み0.40μmとなるように塗布した以外は、実施例1と同じとして磁気テープを作成した。
[比較例5]
バックコート塗料2に混合溶剤(MEK/トルエン=1:1重量比)を加え、固形分濃度を8.6wt%に調整し、バーは溝パターンがBで、tv値が15.3μmのものに変更しバックコート層用塗料を乾燥厚み0.40μmとなるように塗布した以外は、実施例1と同じとして磁気テープを作成した。
[実施例8]
バックコート塗料2を使用し、バーは径がφ6、溝パターンがAでtv値が12.4μmのものに変更しバックコート層用塗料を乾燥厚み0.40μmとなるように塗布した以外は、実施例1と同じとして磁気テープを作成した。
[実施例9]
バックコート塗料2に混合溶剤(MEK/トルエン=1:1重量比)を加え、固形分濃度を8.8wt%に調整し、バーは径がφ6、溝パターンがAでtv値が14.5μmのものに変更しバックコート層用塗料を乾燥厚み0.40μmとなるように塗布した以外は、実施例1と同じとして磁気テープを作成した。
[比較例6]
バックコート塗料2に混合溶剤(MEK/トルエン=1:1重量比)を加え、固形分濃度を8.3wt%に調整し、バーは径がφ6、溝パターンがAでtv値が15.3μmのものに変更しバックコート層用塗料を乾燥厚み0.40μmとなるように塗布した以外は、実施例1と同じとして磁気テープを作成した。
[実施例10]
バックコート塗料2を使用し、バーは径がφ10、溝パターンがAでtv値が12.4μmのものに変更しバックコート層用塗料を乾燥厚み0.40μmとなるように塗布した以外は、実施例1と同じとして磁気テープを作成した。
[実施例11]
バックコート塗料2に混合溶剤(MEK/トルエン=1:1重量比)を加え、固形分濃度を8.8wt%に調整し、バーは径がφ10、溝パターンがAでtv値が14.5μmのものに変更しバックコート層用塗料を乾燥厚み0.40μmとなるように塗布した以外は、実施例1と同じとして磁気テープを作成した。
[比較例7]
バックコート塗料2に混合溶剤(MEK/トルエン=1:1重量比)を加え、固形分濃度を8.3wt%に調整し、バーは径がφ6、溝パターンがAでtv値が15.3μmのものに変更しバックコート層用塗料を乾燥厚み0.40μmとなるように塗布した以外は、実施例1と同じとして磁気テープを作成した。
[実施例12]
バックコート塗料2を使用し、バーは径がφ8、溝パターンがAでtv値が12.4μmのものに変更しバックコート層用塗料を乾燥厚み0.40μmとなるように塗布した。この時、バックコート層の乾燥第一工程の熱風温度は40℃としてバックコート層の乾燥を行った。それ以外は、実施例1と同じとして磁気テープを作成した。
[実施例13]
バックコート塗料2に混合溶剤(MEK/トルエン=1:1重量比)を加え、固形分濃度を8.8wt%に調整した塗料を使用し、バーは径がφ8、溝パターンがAでtv値が14.5μmのものに変更しバックコート層用塗料を乾燥厚み0.40μmとなるように塗布した。バックコート層の乾燥第一工程の熱風温度は40℃としてバックコート層の乾燥を行った。それ以外は、実施例1と同じとして磁気テープを作成した。
[比較例8]
バックコート塗料2に混合溶剤(MEK/トルエン=1:1重量比)を加え、固形分濃度を8.3wt%に調整した塗料を使用し、バーは径がφ8、溝パターンがAでtv値が15.3μmのものに変更しバックコート層用塗料を乾燥厚み0.40μmとなるように塗布した。バックコート層の乾燥第一工程の熱風温度は40℃とした。それ以外は、実施例1と同じとして磁気テープを作成した。
[比較例9]
バックコート塗料2に混合溶剤(MEK/トルエン=1:1重量比)を加え、固形分濃度を8.3wt%に調整した塗料を使用し、バーは径がφ8、溝パターンがAでtv値が15.3μmのものに変更し、バーは回転させずに停止状態としてバックコート層用塗料を乾燥厚み0.40μmとなるように塗布した。それ以外は、実施例1と同じとして磁気テープを作成した。
[比較例10]
バックコート塗料2に混合溶剤(MEK/トルエン=1:1重量比)を加え、固形分濃度を8.3wt%に調整した塗料を使用し、バーは径がφ8、溝パターンがAでtv値が15.3μmのものに変更し、バーの回転数は50rpmで、バーと支持体が接する位置でバーが支持体の走行方向と逆方向となる方向に回転させて、バックコート層用塗料を乾燥厚み0.40μmとなるように塗布した。それ以外は、実施例1と同じとして磁気テープを作成した。
[比較例11]
バックコート塗料2に混合溶剤(MEK/トルエン=1:1重量比)を加え、固形分濃度を8.3wt%に調整した塗料を使用し、バーは径がφ8、溝パターンがAでtv値が15.3μmのものに変更し、バックコート層の塗布スピードは100m/minとして、バックコート層用塗料を乾燥厚み0.40μmとなるように塗布した。それ以外は、実施例1と同じとして磁気テープを作成した。
[比較例12]
バックコート塗料2に混合溶剤(MEK/トルエン=1:1重量比)を加え、固形分濃度を8.3wt%に調整した塗料を使用し、バーは径がφ8、溝パターンがAでtv値が15.3μmのものに変更し、バックコート層の塗布スピードは250m/minとして、バックコート層用塗料を乾燥厚み0.40μmとなるように塗布した。それ以外は、実施例1と同じとして磁気テープを作成した。
出来上がった各磁気テープについて、以下の評価を行った。
<バックコート層のバースジ評価>
顕微鏡×50倍にて観察し、バースジがほとんど皆無であるものを○、薄くスジが認められるが許容範囲内であるものを△、明らかにバースジと認められるものを×とした。
<バックコート層の表面粗さRa>
TALYSTEPシステム(テーラーホブソン社製)を用い、JIS B0601に基づいてRaの測定を行った。ただし測定機の条件としては、フィルター0.38〜9.00Hz、触針0.1×2.5μmスタイラス、触針圧2mg、測定スピード0.03mm/sec、測定長さ500μmである。
<BER(エラーレート)評価>
ドライブ装置Ultium460e(ヒューレットパッカード社製)及びSCSI制御ソフトを用い、磁気テープのデータ領域開始位置よりランダムデータを約8Gbit記録し、再生した。その際、SCSI制御ソフトにより抽出された訂正可能なC1エラーの個数をbitに換算し、エラーレートとした。具体的には、エラーレート=log10(C1エラービット数/総書き込みビット数)である。エラーレートは、10の指数で表され、−6.5を基準値としてこれよりもエラーレートが悪いものは、NG判断とした。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2011216150
実施例1〜6の結果から、バーtv値を乾燥後塗布厚みの0倍を超え37倍以下の範囲内(詳しくは、31.0倍以上36.5倍以下の範囲内)として、塗布したサンプルについては、バースジがないか許容範囲内で、Raも16.0nm以下であった。エラーレートもについても良好な結果が得られた。結果よりRaが16.0nm以下であれば、エラーレートも良好と判断できる。
バーtv値が乾燥後塗布厚みの37倍を超える比較例1〜4の水準については、顕微鏡での観察で明らかにバースジが認められ、表面粗さRaも16.8nm以上の粗い結果となった。電磁変換特性であるエラーレートも−6.5をクリアする水準はなかった。
実施例7と比較例5では、バーの溝パターンをBタイプに変更して溝パターンの相違による差があるか確認を行ったが、バーtv値が乾燥後塗布厚みの37倍以下(詳しくは、31.0倍以上36.5以下倍の範囲内)であった実施例7はバースジ、表面粗さRaも良好であったが、バーtv値が乾燥後塗布厚みの37倍(詳しくは、36.5倍)を超え、38.3倍であった比較例5のサンプルは顕微鏡での観察で明らかにバースジが認められ、表面粗さRaも16.5nmであった。
実施例8,9と比較例6、実施例10,11と比較例7でそれぞれバー径をφ6、φ10としてバー径が細くなった場合および太くなった場合についても確認したが、いずれのバー径の場合も、バーtv値が乾燥後塗布厚みの37倍(詳しくは、36.5倍)を境として、37倍以下(詳しくは、36.5倍以下)のものはバースジ、表面粗さRaとも良好、37倍(詳しくは、36.5倍)を超えるものはバースジが顕著となり、表面粗さRaも16.5nm、17.0nmという結果であった。
実施例12,13と比較例8でバックコート層の乾燥第一工程での熱風温度を80℃→40℃として、塗布されたバックコート層の未乾燥状態を長くなるように調整し、同様の塗布を行ったが、バースジについて×レベルが△レベル以上にまで改善される傾向は見られなかった。比較例8では乾燥第一工程の熱風温度を下げたことにより、Raで若干の良化は認められたが、表面粗さRaは16.5nmであった。
比較例9,10でバーの回転を停止あるいは高速にした場合について確認したが、停止しても回転数をアップしてもバースジの状況および表面粗さRaには変化が認められなかった。
比較例11,12でバックコート層の塗布スピードを変化させた場合について確認したが、塗布スピードを低速(100m/min)にした場合に表面粗さRaに若干の改善は認められるものの、バースジ評価において×が△以上のレベルには、ならなかった。
なお、バックコート塗料のNVを12.0%を超えて(例えば12.1%)設定すると、バー表面に付着した過剰塗料を掻き落とすドクターの先端付近にバックコート塗料の半固形物が堆積し始め、限度を超えて蓄積するとドクター先端より剥離し、バーにより計量された後のバックコート塗布層に再付着し乾燥工程を通過した後も(その部分が)乾燥不十分となり、巻き取った磁気テープ原反に貼り付きが発生した。バックコート塗料の固形分濃度の設定としては12.0%以下とすることが好ましい。
実施例1〜13は、バースジ、バックコート層の表面粗さRaが良好で、エラーレートも良好であった。以上のことから、バーtv値を乾燥後塗布厚みの0倍を超え37倍以下の範囲内(31.0倍以上36.5倍以下の範囲内)とするのが好ましいことが理解される。
1,1A,1B バー
2 支持ブロック
2a,2b 支持ブロック
4 スリット
5 液溜め
6 可撓性支持体
7 ガイドロール
8 ドレイン通路
10 ドクターブレード
15 サイドプレート
25 バー駆動機構

Claims (1)

  1. 非磁性支持体の一方の面上に、非磁性粉末および結合剤樹脂を少なくとも含む非磁性層用塗料を塗布して乾燥した後に、硬化させて下層非磁性層を形成する工程と、
    前記下層非磁性層上に、強磁性粉末および結合剤樹脂を少なくとも含む磁性層用塗料を塗布した後に乾燥して、上層磁性層を形成する工程と、
    前記非磁性支持体の他方の面上に、カーボンブラックおよび結合剤樹脂を少なくとも含むバックコート層用塗料を塗布した後に乾燥して、バックコート層を形成する工程とを含み、
    前記バックコート層を形成する工程において、前記バックコート層用塗料を前記非磁性支持体の前記他方の面上に過剰供給した後に、外周面に規則的な突起が形成されてtv値が乾燥後の前記バックコート層の厚みの0倍を超え37倍以下の範囲内である略円柱状のバーを前記非磁性支持体に押し付けて、前記バックコート層用塗料を計量することによって塗布し、その後に乾燥して、前記バックコート層を形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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