JP5373321B2 - 繊維強化プラスチック成形品および繊維強化プラスチック成形品の応力緩和方法 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維強化プラスチック成形品および繊維強化プラスチック成形品の応力緩和方法に関する。
近年、軽量化の要請から、繊維強化プラスチック成形品の自動車への適用が増加している。繊維強化プラスチック成形品は、一般的に、強化繊維からなる強化繊維基材に樹脂を含浸させ、樹脂を硬化させることにより成形される。
成形の際、繊維強化プラスチックとは異なる材質の部材を収容体として、繊維強化プラスチックにより囲んで両者を一体に成形する場合がある。例えば特許文献1に記載の発明では、繊維強化プラスチック成形品と他の部品とを接続するための金属製のナットが収容体とされ、繊維強化プラスチックと一体に成形されている。
具体的には、強化繊維基材により金属製のナットが覆われ、その後、強化繊維基材にマトリックス樹脂が含浸される。これらは加熱された後、冷却され、マトリックス樹脂が硬化する。
このように、繊維強化プラスチックと金属製のナットとを一体に成形することにより、繊維強化プラスチック成形品と他の部品とを接続する部分の強度が向上する。
特開平5−253946号公報
しかし、特許文献1のように、金属製のナットと繊維強化プラスチックとを直接接触させ一体に成形すると、マトリックス樹脂を高温で硬化させた後、冷却する際、金属製のナットすなわち収容体と繊維強化プラスチックとの収縮量の差に起因して引張応力、すなわち、繊維強化プラスチックと収容体との間に剥離させる応力が繊維強化プラスチックに作用する。なお、前記引張応力は、繊維強化プラスチックの形状によっては面内方向には圧縮応力や曲げ応力、面外方向には引張応力として働いたり、繊維強化プラスチックと収容体との界面では剪断応力として働いたりするため、本発明では、これらを総称して引張応力とする。
また、成形時だけでなく製品として実際に用いられる中で温度変化がある場合にも、繊維強化プラスチックと収容体との間に収縮量の差が生じ、このことに起因して繊維強化プラスチックに引張応力が作用する。引張応力が作用すると、繊維強化プラスチックにおけるクラックの発生に繋がる虞があり好ましくない。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、繊維強化プラスチックにおけるクラックの発生を抑制し得る繊維強化プラスチック成形品および繊維強化プラスチック成形品の応力緩和方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の繊維強化プラスチック成形品は、熱収縮する収容体と、収容体を囲む繊維強化プラスチックと、収容体と繊維強化プラスチックとの間に配置された緩和層と、を有する。緩和層は、収容体および繊維強化プラスチックがおかれる環境での使用環境温度が低下したときの収容体の収縮にともなう変位よりも大きく伸びることができ、収容体と繊維強化プラスチックとに接着して収容体の熱収縮に合わせて伸びることによって、収容体の熱収縮に起因して繊維強化プラスチックに作用する引張応力を緩和する。または、緩和層は、収容体を繊維強化プラスチックから独立して収縮させることによって、繊維強化プラスチックに作用する引張応力を緩和する。
上記目的を達成するための本発明の繊維強化プラスチック成形品の応力緩和方法は、熱収縮する収容体とこれを囲む繊維強化プラスチックとの間に配置した緩和層により、収容体の熱収縮に起因して繊維強化プラスチックに作用する引張応力を緩和する。本発明の応力緩和方法は、収容体および繊維強化プラスチックがおかれる環境での使用環境温度が低下したときの収容体の収縮にともなう変位よりも大きく伸びることができる緩和層を、収容体の熱収縮に合わせて伸ばすことによって、引張応力を緩和する、または、緩和層によって収容体を繊維強化プラスチックから独立して収縮させることによって、引張応力を緩和する。
本発明は、収容体の熱収縮に起因して繊維強化プラスチックに作用する引張応力を緩和でき、繊維強化プラスチックにおけるクラックの発生を抑制できる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、共通する機能を有する部材については、類似の符号を付し、また、重複する説明は省略する。
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の繊維強化プラスチック成形品の概略断面図、図2は繊維強化プラスチック成形品の製造装置の概要図、図3(A)は成形型に部材をセットしたときの概略断面図、図3(B)は成形時の概略断面図、図4は実施例を説明するための部分拡大概略断面図である。
図1に示すように本実施形態の繊維強化プラスチック成形品10は、繊維強化プラスチック(FRP)からなる中空構造の被覆部材20を有し、被覆部材20の内部に、金属製のナット40(収容体に相当する)と、発泡樹脂製のコア材60とを有する。
被覆部材20が、ナット40を囲んで保持する。コア材60は、被覆部材20によって囲まれたナット40を埋設している。繊維強化プラスチック成形品10は、例えば自動車部品のフロントサイドメンバとして用いることが好適である。
繊維強化プラスチック成形品10は、被覆部材20とナット40との間に伸縮自在な緩和層50を有する。緩和層50は、ネジ孔42以外のナット40全体を覆い、ナット40と被覆部材20とに接着している。
また、繊維強化プラスチック成形品10は、被覆部材20と緩和層50とを貫通しナット40のネジ孔42に連通する接続孔22を有する。接続孔22は、ナット40のネジ孔42と同一のネジ山を内面に備える。接続孔22は、ネジ山を有さず、ナット40に締結するボルトの外径より大きい内径を有する孔であってもよい。
被覆部材20を形成するFRPは、強化繊維と樹脂との複合材料である。強化繊維は例えば炭素繊維であり、樹脂は例えばエポキシ樹脂である。強化繊維は、強化材となるものであれば特に制限はなく、炭素繊維の他に、例えば黒鉛繊維、またはガラス繊維や、アラミド、パラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリビニルアルコール、ポリアリレート等の有機繊維等が挙げられる。また、強化繊維は、これらの2種類以上を併用したものでもよい。一方、強化繊維とともにFRPを形成する樹脂は、FRPのマトリックス樹脂となるものであれば、エポキシ樹脂と異なる他の樹脂が使用可能である。
コア材60の材質は、発泡樹脂であれば特に限定することなく従来公知のものを用いることができ、例えばポリウレタン、ポリスチレン、ポリプロピレンが挙げられる。ナット40は、例えばアルミ製である。緩和層50は、熱硬化性樹脂でも、熱可塑性樹脂でもよい。この樹脂は、例えばアクリル変性シリコーン樹脂やエラストマー(ゴム、熱可塑性エラストマー)などである。
次に、本実施形態の繊維強化プラスチック成形品10の製造方法を説明する。
本実施形態の繊維強化プラスチック成形品10の製造方法は、概説すると、製品形状を形作るための成形型70に強化繊維を封入し、成形型70内に樹脂を注入して硬化させるRTM(Resin Transfer Molding)成形法を用いたものである。
図2に示すように、成形型70は、2分割構造で、互いに合わさって製品形状を形作る上型72と下型74とを有する。上型72は、油圧ポンプ(不図示)によって作動する油圧シリンダ73に接続し、下型74に対して近接離間する。下型74は、製品の外形の一部が反転した形状のキャビティ76を備える。
成形型70は、エポキシ樹脂を注入するための樹脂注入装置90に接続している。樹脂注入装置90は、キャビティ76に連通し、エポキシ樹脂を成形型70内に注入する。樹脂注入装置90は、エポキシ樹脂の主剤92を収容するタンク91、エポキシ樹脂の主剤94を収容するタンク93、およびエポキシ樹脂の硬化剤96を収容するタンク95を有する。タンク91、93、95の各々は、加温および真空脱泡可能な機構を備える。主剤92は、例えばビスフェノールF型エポキシ樹脂である。主剤94は、例えばグリシジルアミン型エポキシ樹脂である。硬化剤96は、例えばアミン系硬化剤である。
また、樹脂注入装置90は、主剤92、94および硬化剤96を押し出すための加圧装置97、および押し出された主剤92、94および硬化剤96を混合する混合ユニット98を有する。
エポキシ樹脂は、混合ユニット98とキャビティ76とに連通した樹脂注入管99を通り、成形型70内に入る。熱媒循環式の温調機80が、上型72および下型74を加熱しており、上型72および下型74の熱によりエポキシ樹脂は硬化する。温調機80の熱媒は、例えば、水、スチーム、または鉱物油である。
図3(A)に示すように、繊維強化プラスチック成形品10の製造方法では、まず、作業者は、繊維強化プラスチック成形品10を構成する部材を、成形型70にセットする。最初に、作業者は、キャビティ76に合わせて、例えば不織布状の炭素繊維である強化繊維基材21を敷き詰める。
実施形態の強化繊維基材の形態は、不織布状だけでなく、織物(一方向、二方向、多方向など)、マット、ニット材料、チョップドファイバー等であってもよい。また、強化繊維基材は、成形型に収まりやすいように予め製品形状に賦形したものでもよい。
作業者は、強化繊維基材21上にコア材60を配置する。コア材60は、上型72に対向する面に断面略矩形形状の凹部61を有する。作業者は、この凹部61に、強化繊維基材24により包んだナット40を嵌め込む。
ナット40を嵌め込む前に、作業者は、ナット40に頭部のないダミーボルト43を締結し、緩和層50を形成するためのアクリル変性シリコーン樹脂をナット40に満遍なく塗布する。そして、強化繊維基材24によりナット40全体を包む。
アクリル変性シリコーン樹脂の硬化時間は、被覆部材20を形成するためのエポキシ樹脂の硬化時間に比べて短く、硬化してナット40を固定する。一般的にアクリル変性シリコーン樹脂の硬化が分単位であるのに対し、エポキシ樹脂の硬化は時間単位である。アクリル変性シリコーン樹脂は、液状のものだけでなく、フィルム状のものであってもよい。また、ゴムや熱可塑性エラストマーを用いてもよい。
ダミーボルト43は、強化繊維基材24の外部に突出する。ダミーボルト43は、アクリル変性シリコーン樹脂や、主剤92、94と硬化剤96とを混合してなるエポキシ樹脂が、ナット40のネジ孔42(図1参照)に浸入するのを防ぐ。また、ダミーボルト43は、強化繊維基材24から突出して接続孔22(図1参照)を形成する。
作業者が、コア材60の上型72に対向する側を強化繊維基材23により覆った後、上型72が下型74に向かって下降し、成形型70が閉じる。上型72は、下型74に対向する面に円筒形状の孔75を有する。上型72が下型74に向かって下降する過程で、ダミーボルト43は孔75に収まる。孔75は、ナット40の位置決め機能を果たす。
図3(B)に示すように、成形型70が閉じたら、樹脂注入装置90が、成形型70内にエポキシ樹脂を注入し、強化繊維基材21、23、24にエポキシ樹脂を含浸させる。温調機80が加熱する上型72および下型74の熱により、エポキシ樹脂が硬化し、繊維強化プラスチック成形品10が出来上がる。
エポキシ樹脂の加熱硬化時に熱膨張したナット40は、冷却する過程で収縮する。また、成形時だけでなく、繊維強化プラスチック成形品10が実際に用いられる場合、例えば繊維強化プラスチック成形品10がフロントサイドメンバまたはフロントサイドメンバの一部品であり、自動車に用いられる場合においても、ナット40は温度差により収縮する。
具体的には、日中、自動車が日光に曝されてナット40の温度が上昇し、夜間に温度低下して収縮する場合や、運転中に加熱されて運転後の冷却により温度低下して収縮する場合が例として挙げられる。
このように、ナット40は、成形等の製造時における環境と製品使用時の環境とを含んだ、ナット40および被覆部材20がおかれる環境での温度、つまり使用環境温度に応じて、熱膨張したり、冷却して収縮(熱収縮)したりする。
緩和層50は、使用環境温度のうち最大の使用環境温度から温度低下したときのナット40の収縮量、すなわちナット40の収縮量の最大値よりも大きく伸びるように設計される。
緩和層50は、ナット40の収縮量の最大値「以上」伸びるように設計してもよいが、余裕をもたせナット40の収縮量の最大値「より」大きく伸びるように設計する方が、品質面で好ましい。
また、より厳密には、被覆部材20も収縮するため、被覆部材20の収縮量も考慮してもよいが、被覆部材20はFRPにより形成され、収縮量が金属製のナット40に比べ僅かであるため、ここでは含めないこととする。
本実施形態の効果を説明する。
本実施形態の繊維強化プラスチック成形品10は、ナット40の熱収縮に起因して被覆部材20に作用する引張応力を、緩和層50により緩和できる。より具体的には、緩和層50が、ナット40と被覆部材20とに接着してナット40の熱収縮に合わせて伸び、ナット40の熱収縮に起因して被覆部材20に作用する引張応力を緩和する。よって、本実施形態は、被覆部材20におけるクラックの発生を抑制できる。また、本実施形態はクラックの発生を抑制できるため、被覆部材20の強度低下を防止できる。
本実施形態と異なり、例えばナット40と被覆部材20とが直接接着したり、被覆部材20と同程度の伸びを有する部材、すなわち伸び難い部材がナット40と被覆部材20との間に介在して両者に接着したりすると、ナット40が熱収縮したとき、ナット40が被覆部材20から剥離する虞がある。ナット40が被覆部材20から剥離すると、繊維強化プラスチック成形品10におけるナット40の位置がずれる。
これに対し、本実施形態では、ナット40が熱収縮しても、緩和層50が伸びてナット40と被覆部材20とを接続して剥離を防止する。よって、本実施形態は、熱収縮によるナット40の位置ずれを防止できる。
本実施形態の緩和層50を形成するためのアクリル変性シリコーン樹脂の硬化時間は、被覆部材20を形成するエポキシ樹脂の硬化時間より短く、緩和層50はエポキシ樹脂に比べて早くナット40を固定できる。よって、本実施形態は、成形時のナット40の位置ずれを抑制でき、ナット40の位置精度が良い。
本実施形態は、被覆部材20とナット40との間に緩和層50を配置しているため、被覆部材20を形成するFRPと金属製のナット40との接触を防ぎ、ナット40の電食を防止できるというクラック抑制の効果以外も発現する。
<実施例>
図4において実施例を説明すると、アルミ製のナット40は50mm角であり、緩和層50は、セメダイン社製セメダインスーパーX(登録商標)により形成される。アクリル変性シリコーン樹脂の塗布厚さは、およそ0.7mmである。
被覆部材20を形成するための主剤92は、油化シェルエポキシ社製エピコート(登録商標)807であり、主剤94は、油化シェルエポキシ社製エピコート(登録商標)630である。硬化剤96は、パシフィックアンカーケミカル社製アンカミン(登録商標)2049である。混合ユニット90は、主剤92、主剤94、および硬化剤96を、70:30:43(質量比)の割合で混合する。
成形型70は、およそ120℃でエポキシ樹脂を硬化させる。硬化後のエポキシ樹脂の切断時伸び(伸度に相当する)は、5.7%である。硬化後の緩和層20の切断時伸び(伸度に相当する)は、200%である。ここで、硬化物性の切断時伸びは、JIS K 6251に準拠する。
エポキシ樹脂の硬化温度である120℃でのアルミの線膨張係数は、23.6×10−6/℃であり、50mm角のナット40は、およそ0.12mm膨張する。すなわち、ナット40は、温度降下して常温となったとき膨張時に比べおよそ0.12mm収縮する。
被覆部材20とナット40との間の間隔は、ナット40の全体でほぼ一定であるため、ナット40が収縮したとき、被覆部材20とナット40との間の間隔は0.06mm広がり、緩和層50の伸びtは、0.06mmとなる。
上述のように、緩和層50の厚さは、およそ0.7mmであり、切断時伸びは200%である。よって、実施例の緩和層50は、切断することなく伸びてナット40の収縮を吸収でき、被覆部材20に作用する引張応力を緩和できる。
<第2実施形態>
図5は第2実施形態の繊維強化プラスチック成形品の概略断面図である。
図5に示すように、第2実施形態は、第1実施形態と略同様の構成を有するが、緩和層50Aが大きく伸びない離型剤により形成される点で第1実施形態と異なる。緩和層50Aは、ナット40Aを被覆部材20Aから独立して収縮させる、すなわち積極的に剥離させることにより、ナット40Aの熱収縮に起因して被覆部材20Aに作用する引張応力を緩和する。離型剤は、従来公知のものが使用でき、例えばシリコーン系のものである。
第2実施形態は、第1実施形態と略同様の効果を奏するが、ナット40Aの位置ずれを防止するための作用が異なる。すなわち、第2実施形態の緩和層50Aは、第1実施形態のようにナット40Aの熱収縮に合わせて伸びることにより、ナット40Aと被覆部材20Aとの剥離を防止して位置ずれを防ぐのではなく、ナット40Aと被覆部材20Aとの間を埋めることにより位置ずれを防止している。
<第3実施形態>
図6は第3実施形態の繊維強化プラスチック成形品の概略断面図、図7は第3実施形態の繊維強化プラスチック成形品の製造方法を説明するための概略断面図である。図8は図7を一部拡大して示す分部拡大概略断面図、図9は図8に対応する比較例を示す分部拡大概略断面図である。
図6に示すように、第3実施形態の繊維強化プラスチック成形品10Bは、第1実施形態と略同様の構成を有するが、コア材62B、63B、64B、65B、66Bに埋設されるとともにFRPからなるリブ25B、26B、27B、28Bを有する点で第1実施形態と異なる。
リブ26B、28Bは、ナット40Bのネジ孔42Bの延在方向に対して直角な方向に伸び、被覆部材20Bの外形を形成する部位とナット40Bを囲む部位とに接続する。リブ26B、28Bは、ネジ孔42Bの延在方向に対して直角な方向にかかる荷重を支え、ナット40Bを補強する。
一方、リブ25B、27Bは、ナット40Bのネジ孔42Bの延在方向に伸び、被覆部材20Bの外形を形成する部位とナット40Bを囲む部位とに接続する。リブ25B、27Bは、ナット40Bのネジ孔42Bの延在方向にかかる荷重を支え、ナット40Bを補強する。
図7を参照して第3実施形態の繊維強化プラスチック成形品10Bの製造方法を説明する。第3実施形態の繊維強化プラスチック成形品10Bの製造方法は、第1実施形態の繊維強化プラスチック成形品10の製造方法と略同様であるが、キャビティ76Bにセットする部材の構成が異なる。以下、具体的に述べる。
第3実施形態の繊維強化プラスチック成形品10Bの製造方法では、まず、作業者は、キャビティ76Bに合わせて強化繊維基材31Bを敷き詰める。この後、作業者は、強化繊維基材31B上にコア材63B、64Bを配置し、これらの上に強化繊維基材32B、34Bを配置する。さらに、強化繊維基材32B、34B上にコア材65B、66Bを配置する。
その後、キャビティ76Bの深さ方向に強化繊維基材35B、36Bを立てるように配置する。強化繊維基材35B、36Bは、キャビティ76Bの深さより長く、作業者は、コア材65B、66Bを覆うように、強化繊維基材35B、36B折り返す。
作業者は、強化繊維基材35B、36Bが形成する空間にコア材62Bを入れ、コア材62B上に強化繊維基材37Bを配置する。この後、緩和層50Bを形成するためのアクリル変性シリコーン樹脂を塗布したナット40Bを挿入する。最後に、作業者は、強化繊維基材33Bによりセットした部材を覆う。
第3実施形態の効果を説明する。
第3実施形態は、第1実施形態の効果に加え、ナット40Bを補強できるという効果を奏する。例えば、フロントサイドメンバはエンジン等を支持する役割を果たし、繊維強化プラスチック成形品10Bがこのような荷重のかかる構造体である場合に、第3実施形態は特に有効となる。
図8に示すように、第3実施形態は、強化繊維基材36B(35B)が折り返してコア材65B(66B)を覆う。強化繊維基材36B(35B)は、炭素繊維により形成されるため直角に折り返すことが難しく湾曲し、ナット40Bとの間に隙間44Bができる。このような隙間44Bは、例えばナット40Bの位置がずれる等、設計寸法からのずれを繊維強化プラスチック成形品10Bに生じさせる虞がある。
第3実施形態では、緩和層50Bを形成するアクリル変性シリコーン樹脂が、のりのような役割を果たし、強化繊維基材36B(35B)をナット40Bに密着させるため、例えば図9に示すような緩和層50Bを形成しない場合の隙間44Cに比べ、隙間44Bを小さくしたり、緩和層50Bが変形して隙間44を部分的に埋めたりできる。
よって第3実施形態は、部材同士を密着させて設計寸法からのずれを抑制し、成形性が向上するとともに、寸法精度が良好な成形品が得られる。強度を増すために強化繊維基材が厚く、曲げ難い場合や、構造が複雑で部材間に隙間ができ易く、ずれが生じ易い場合に、特に有効である。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変できる。例えば、ナットの材質はアルミに限定されず、スチール等他の材質であってもよい。また、ナットと異なる他の金属製の部材であってもよい。
また、繊維強化プラスチック成形品はフロントサイドメンバに限定されず、例えば自動車の内装品、ルーフ、バンパー、リヤスポイラー等の中空構造を有する他のものであってもよい。
また、本実施形態では、ナットがコア材に埋設された繊維強化プラスチック成形品を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。つまり、本発明は、ナット(収容体)が緩和層を介して繊維強化プラスチックに囲まれた構成を有するものであればよく、ナットがコア材に埋設されない他の形態を含む。
また、第3実施形態では、緩和層50Bが大きく伸びるエラストマー(ゴム、熱可塑性エラストマー)やアクリル変性シリコーン樹脂から形成されるが、本発明は、第3実施形態の緩和層50Bを第2実施形態のように大きく伸びない離型剤から構成した形態を含む。
第1実施形態の繊維強化プラスチック成形品の概略断面図である。 繊維強化プラスチック成形品の製造装置の概要図である。 (A)は成形型に部材をセットしたときの概略断面図、(B)は成形時の概略断面図である。 実施例を説明するための部分拡大概略断面図である。 第2実施形態の繊維強化プラスチック成形品の概略断面図である。 第3実施形態の繊維強化プラスチック成形品の概略断面図である。 第3実施形態の繊維強化プラスチック成形品の製造方法を説明するための概略断面図である。 図7を一部拡大して示す分部拡大概略断面図である。 図8に対応する比較例を示す分部拡大概略断面図である。
符号の説明
10、10A、10B 繊維強化プラスチック成形品、
20、20A、20B 被覆部材(繊維強化プラスチック)、
21、23、24、31B、32B、33B、34B、35B、36B、37B 強化繊維基材、
25B、26B、27B、28B リブ、
40、40A、40B ナット(収容体)、
43、43B ダミーボルト、
44B、44C 隙間、
50、50A、50B 緩和層、
60、60A、62B、63B、64B、65B、66B コア材、
70 成形型、
72 上型、
74 下型、
76 キャビティ、
80 温調機、
90 樹脂注入装置、
92、94 エポキシ樹脂の主剤、
96 エポキシ樹脂の硬化剤
t 緩和層の伸び。

Claims (7)

  1. 熱収縮する収容体と、
    前記収容体を囲む繊維強化プラスチックと、
    前記収容体と前記繊維強化プラスチックとの間に配置され、前記収容体の熱収縮に起因して前記繊維強化プラスチックに作用する引張応力を緩和する緩和層と、を有し、
    前記緩和層は、前記収容体および前記繊維強化プラスチックがおかれる環境での使用環境温度が低下したときの前記収容体の収縮にともなう変位よりも大きく伸びることができ、前記収容体と前記繊維強化プラスチックとに接着して前記収容体の熱収縮に合わせて伸びることによって前記引張応力を緩和する、または、前記緩和層は、前記収容体を前記繊維強化プラスチックから独立して収縮させることによって前記引張応力を緩和する繊維強化プラスチック成形品。
  2. 前記緩和層は、前記使用環境温度のうち最大の使用環境温度から温度低下したときの前記収容体の収縮にともなう変位よりも大きく伸びることができる請求項1に記載の繊維強化プラスチック成形品。
  3. 前記緩和層の伸度は、前記繊維強化プラスチックのマトリックス樹脂の伸度より大きい請求項1または請求項2に記載の繊維強化プラスチック成形品。
  4. 前記緩和層は、離型剤である請求項に記載の繊維強化プラスチック成形品。
  5. 発泡樹脂からなるコア材を仕切るように配置された前記コア材に埋設されるとともに繊維強化プラスチックからなるリブであって、前記収容体を囲む前記繊維強化プラスチックに接続して前記収容体を補強する請求項1〜4のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形品。
  6. 前記繊維強化プラスチックは炭素繊維強化プラスチックであり、前記収容体は金属製である請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック成形品。
  7. 熱収縮する収容体を繊維強化プラスチックにより囲み、前記収容体と前記繊維強化プラスチックとの間に配置された緩和層により、前記収容体の熱収縮に起因して前記繊維強化プラスチックに作用する引張応力を緩和する繊維強化プラスチック成形品の応力緩和方法であって、
    前記収容体および前記繊維強化プラスチックがおかれる環境での使用環境温度が低下したときの前記収容体の収縮にともなう変位よりも大きく伸びることができる前記緩和層を、前記収容体の熱収縮に合わせて伸ばすことによって、前記引張応力を緩和する、または、前記緩和層によって前記収容体を前記繊維強化プラスチックから独立して収縮させることによって、前記引張応力を緩和する、応力緩和方法
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