JP2005306026A - チタン−繊維強化プラスチック積層材 - Google Patents
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Abstract
【課題】
荷重を負担したときに、チタンまたはチタン合金と繊維強化プラスチックとの接着箇所において、剥離などの破壊を抑制したチタン−繊維強化プラスチック積層材を提供すること。
【解決手段】
チタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチック材料を積層し、接着一体化された積層材において、ASTM D 1781−98に準じて測定したチタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチック材料の平均剥離トルクが10N・mm/mm以上であることを特徴とするチタン−繊維強化プラスチック積層材。
【選択図】 図1
荷重を負担したときに、チタンまたはチタン合金と繊維強化プラスチックとの接着箇所において、剥離などの破壊を抑制したチタン−繊維強化プラスチック積層材を提供すること。
【解決手段】
チタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチック材料を積層し、接着一体化された積層材において、ASTM D 1781−98に準じて測定したチタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチック材料の平均剥離トルクが10N・mm/mm以上であることを特徴とするチタン−繊維強化プラスチック積層材。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えば、自動車部材、建材、航空機部材およびスポーツ用具部材等において、荷重を負担する構造体として好適に利用される、チタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチックが接着一体化されたチタン−繊維強化プラスチック積層材に関するものである。
従来から、チタンまたはチタン合金は、強度、弾性率および耐衝撃性などの力学特性や耐食性に優れることから、宇宙や海洋などの特殊な分野のみならず、最近では一般産業用途あるいは医療関係においても注目され、その需要は年々高まりつつある。
また、強化繊維とマトリックス樹脂からなる繊維強化プラスチックは、比強度や比弾性率などの力学特性が優れること、更に強化繊維に連続繊維を使う場合においては、繊維含有率や積層構成を、また、不連続繊維を使う場合においては繊維長や繊維含有率などを適切に設計することにより、用途に応じた優れた物性を発現することができるなどの利点がある。
一方、金属と繊維強化プラスチックとを積層し、接着一体化することにより得られる金属−繊維強化プラスチック積層材は、金属および繊維強化プラスチック単体では得られないような高力学特性と高機能特性が得られる材料として、特に、高力学特性と高機能特性が求められる分野に広く用いられている。
例えば、βチタンと繊維強化プラスチックからなる積層材において、βチタンと繊維強化プラスチックの強度と弾性率の比(強度/弾性率)を実質的に同じにすることにより、各材料が十分に応力を負担できるようにすることで、積層材としての力学特性を十分に発現できるようにすることが提案されている(特許文献1参照。)。
一般に、このような異種材料を接着一体化して得られる材料が高力学特性や高機能特性を発現するためには、異種材料間の接着性が良好であることが求められる。特に、高力学特性を発現するためには、複合材料に加えられた荷重に対して、各材料間の接着が良好で、しかも接着層を通じて各材量に十分に応力を伝達し、負担できることが前提となる。
しかしながら、チタンまたはチタン合金は難接着金属であり、その接着方法と接着性の評価方法は注意を要するものであると知られているが、上記の特許文献1にはチタン合金と繊維強化プラスチックの接着性に関する記述はなく、チタン合金と繊維強化プラスチックの強度、および性率の比を実質的に同じになるようにしただけでは、積層材に荷重が付加された場合に、チタン合金と繊維強化プラスチックの接着面で破壊するという問題がある。
一方、チタンまたはチタン合金の接着性を向上させる表面処理方法として、例えば、チタン合金をリン酸−硫酸水溶液中で、火花放電発生電圧以上の電圧で陽極酸化することにより、表面に陽極酸化被膜を形成し、次いで真空雰囲気下で加熱して該酸化被膜を還元し、金属状態にする工程を含む表面処理方法が提案されている(特許文献2参照)。 しかしながら、上記の表面処理方法においては、陽極酸化皮膜を10−3torr以下の高真空中で900℃の温度で約1時間の還元処理が必要であり、処理費用が高いなどの問題がある。また、この提案では接着性の評価を引張せん断接着強さにより評価している。この引張せん断接着強さの評価は比較的簡便であるため、一般的に広く用いられる評価手法ではあるが、接着端部の応力集中部から破壊は始まることもあるため、注意が必要である。また、接着箇所が破壊する場合、必ずしも剪断モードにより破壊されるとは限らず、むしろ材料の端部から接着面の剥離が進行することにより破壊にいたる場合が多く、引張せん断接着強さが向上したからといって、十分な接着性を有しているとは限らない。実際に、JIS K 6850に記載されている評価において、重ね合わせせん断強さが30MPa以上を有する積層材であっても、ASTM D 1781−98に記載されているようなCDP(Climbing Drum Peel)試験による評価において、剥離トルクを測定するとほとんどゼロであり、簡単に剥離が生じることがあるなどの問題があった。
特表2002−509491号公報
特開平7−252687号公報(第1−2頁)
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、荷重を負担したときに、チタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチックとの接着箇所において剥離などの破壊を抑制したチタン−繊維強化プラスチック積層材ならびにその成形方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。すなわち、
(1)チタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチック材料が接着一体化された積層材において、ASTM D 1781−98に準じて測定したチタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチック材料との平均剥離トルクが10N・mm/mm以上70N・mm/mm以下であることを特徴とするチタン−繊維強化プラスチック積層材。
(1)チタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチック材料が接着一体化された積層材において、ASTM D 1781−98に準じて測定したチタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチック材料との平均剥離トルクが10N・mm/mm以上70N・mm/mm以下であることを特徴とするチタン−繊維強化プラスチック積層材。
(2)チタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチック材料が接着一体化された積層材において、ASTM D 2344/D2344M−00に準じて測定したショートビーム強さが30MPa以上120MPa以下であることを特徴とする前記(1)記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
(3)ASTM D 1781−98に準じて試験した後のチタンまたは/およびチタン合金の接着面に付着している繊維強化プラスチック材料の凝集破壊跡の面積が、接着面の面積対比10%以上100%以下であることを特徴とする前記(1)または(2)記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
(4)繊維強化プラスチック材料が、炭素繊維強化プラスチックであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
(5)チタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチック材料の間に、非繊維強化プラスチック層を配してなることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
(6)非繊維強化プラスチック層が熱可塑性樹脂を含む熱硬化性樹脂から構成されていることを特徴とする前記(5)に記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
(7)熱可塑性樹脂が、線状および/または膜状の連続相の形で、非繊維強化プラスチック層内に混在して構成されていることを特徴とする前記(5)〜(6)のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
(8)非繊維強化プラスチック層と繊維強化プラスチック材料との界面付近では繊維強化プラスチック材料の強化繊維と非繊維強化プラスチック層に含まれる熱可塑性樹脂とが混在している層が形成されていることを特徴とする前記(6)〜(7)のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
(9)非繊維強化プラスチック層に含まれる熱可塑性樹脂と強化繊維が混在している層では連続相をなす熱可塑性樹脂が、複数の強化繊維と接触していることを特徴とする前記(8)に記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
(10)非繊維強化プラスチック層の厚みが、0.01mm以上0.1mm以下であり、かつ強化繊維と熱可塑性樹脂とが混在している層の最大厚みが、0.015mm以上0.08mm以下である前記(8)〜(9)のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
(11)非繊維強化プラスチック層内の熱可塑性樹脂が、連続相と平均粒径が3μm以上10μm以下の粒子形状の相からなる前記(8)〜(10)のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
(12)熱可塑性樹脂が、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、EVA樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂およびPPS系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂である前記(6)〜(11)のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
(13)熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂およびポリイミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂である前記(6)〜(12)のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
(14)熱可塑性樹脂の融点もしくは軟化点が、200℃以下であることを特徴とする前記(6)〜(13)のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
(15)繊維強化プラスチック材料を構成するマトリックス樹脂に、イミダゾール化合物が配合されていることを特徴とする前記(1)〜(14)のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
(16)非繊維強化プラスチック層を構成する樹脂に、イミダゾール化合物が配合されていることを特徴とする前記(5)〜(15)のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
(17)チタンまたは/およびチタン合金の接着箇所にイミダゾール化合物が付与されてなることを特徴とする前記(1)〜(16)のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材の製造方法。
(18)イミダゾール化合物が、イミダゾール環を含むシランカップリング剤であることを特徴とする前記(15)〜(17)のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
(19)チタンまたは/およびチタン合金と、繊維強化プラスチックを構成する中間材料との間に、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を含む非繊維強化樹脂組成物シートを配置して、積層体を形成した後、該積層体を該熱可塑性樹脂の融点または軟化点以上の温度で、非繊維強化樹脂組成物を構成する熱硬化性樹脂を硬化させて、接着一体化することを特徴とするチタン−繊維強化プラスチック積層材の製造方法。
(13)熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂およびポリイミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂である前記(6)〜(12)のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
(14)熱可塑性樹脂の融点もしくは軟化点が、200℃以下であることを特徴とする前記(6)〜(13)のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
(15)繊維強化プラスチック材料を構成するマトリックス樹脂に、イミダゾール化合物が配合されていることを特徴とする前記(1)〜(14)のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
(16)非繊維強化プラスチック層を構成する樹脂に、イミダゾール化合物が配合されていることを特徴とする前記(5)〜(15)のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
(17)チタンまたは/およびチタン合金の接着箇所にイミダゾール化合物が付与されてなることを特徴とする前記(1)〜(16)のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材の製造方法。
(18)イミダゾール化合物が、イミダゾール環を含むシランカップリング剤であることを特徴とする前記(15)〜(17)のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
(19)チタンまたは/およびチタン合金と、繊維強化プラスチックを構成する中間材料との間に、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を含む非繊維強化樹脂組成物シートを配置して、積層体を形成した後、該積層体を該熱可塑性樹脂の融点または軟化点以上の温度で、非繊維強化樹脂組成物を構成する熱硬化性樹脂を硬化させて、接着一体化することを特徴とするチタン−繊維強化プラスチック積層材の製造方法。
本発明によれば、荷重を負担したときに、チタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチックとの接着箇所において、剥離などの破壊を抑制することができ、自動車部材、建材、航空機部材およびスポーツ用具部材等において、荷重を負担する構造材として好適に用いることができるチタン−繊維強化プラスチック積層材を得ることができる。
本発明は、チタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチック材料が接着一体化されたチタン−繊維強化プラスチック積層材に関するものである。
本発明で用いられるチタンおよびチタン合金のうち、チタンとはいわゆる純チタンのことであり、チタン合金とはいわゆるα合金、β合金および両相を有するα+β合金のことをいう。
ここでα合金およびβ合金は、それぞれα相とβ相からなる合金であり、α+β合金はα相とβ相の両方が共存する合金のことである。
α合金はTi−Al合金で代表され、Al、SnおよびZrなどを添加して固溶強化されている。α合金としては、例えば、Ti−5Al−2.5Sn、Ti−8Al−V−Mo、Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Mo−0.1Si、およびTi−6Al−5Zr−0.5Mo−0.25Si等が挙げられる。
β合金は、Mo、VおよびCrなどのβ安定化元素を多量に添加して、β相を急冷すると、室温でもβ相が完全に残留することにより得られる。さらに時効硬化性を改善する目的で、Al、SnおよびZrなどのα相安定化元素を添加することもある。β合金としては、例えば、Ti−13V−11Cr−3Al、Ti−11.5Mo−4.5Sn−6Zr、Ti−4Mo−8V−6Cr−3Al−4Zr、Ti−15Mo−5Zr、Ti−15Mo−5Zr−3Al、Ti−8Mo−8V−2Fe−3Al、およびTi−15V−3Cr−3Al−3Sn等が挙げられる。
α+β合金は、高温のα+β相領域あるいはβ相領域の温度で溶体化処理し、急冷後400〜600℃で時効熱処理することにより得られる。
α+β合金としては、例えば、Ti−6Al−4V、Ti−6Al−2Sn−4Zr−6Mo、Ti−6Al−6V−2Sn、およびTi−11Sn−5Zr−2.5Al−Mo−1.25Si等が挙げられる。
本発明で用いられるチタンまたはチタン合金としては、中でも通常の使用温度時に高強度が得られやすいβ合金のTi−15V−3Cr−3Al−3Snやα+β合金のTi−6Al−4Vが好ましい。チタンまたはチタン合金の形状は特に限定されず、板状、棒状、パイプ状、およびシャフト状のいずれの形態であっても構わない。
本発明のチタン−繊維強化プラスチック積層材は、ASTM D 1781−98に準じて測定したチタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチックの平均剥離トルクが10N・mm/mm以上70N・mm/mm以下のチタン−繊維強化プラスチック積層材である。平均剥離トルクをこの範囲とすることにより、積層材が荷重を負担したときに、チタン又はチタン合金と繊維強化プラスチックとの接着箇所において剥離などの破壊を抑制することができる。
平均剥離トルクが10N・mm/mm未満の場合、チタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチックの剥離に要するトルクが低すぎることにより、荷重を負担する構造材として用いた場合、簡単に剥離が導入もしくは進行することにより、構造材の破壊が懸念されるため好ましくない。
一般に接着性は、広く引張せん断接着強さにより評価されている。この引張せん断接着強さの評価は比較的簡便であるため、一般的に広く用いられる評価手法ではあるが、接着端部の応力集中部から破壊は始まることもあるため、必ずしも実際の構造体の接着の破壊モードを反映していない場合があり、注意を要する。具体的には、接着箇所が破壊する場合、必ずしも剪断モードにより破壊されるとは限らず、むしろ材料の端部から接着面の剥離が進行することにより破壊にいたる場合が多く、引張せん断接着強さが向上したからといって、十分な接着性を有しているとは限らない。実際にJIS K 6850に記載されている評価において、重ね合わせせん断強さが30MPa以上を有する積層材であっても、ASTM D 1781−98に記載されているようなCDP(Climbing Drum Peel)試験による評価において、剥離トルクを測定するとほとんどゼロであり、簡単に剥離が生じることがあるなどの問題がある。このような試験片を用いて、引張試験や曲げ試験を行うと、引張せん断接着強さが高いにも関わらず、接着面で簡単に剥離が生じ、破壊に至る場合があるため、CDP試験により評価、確認することは非常に有効である。
図1は、本発明のチタン−繊維強化プラスチックの積層材の一例を示す概略縦断面図であり、図2は、一他の例を示す概略縦断面図である。
チタン−繊維強化プラスチックの積層材の基本構成は、図1に示すように、片方にチタンまたは/およびチタン合金1、他方に繊維強化プラスチック材料2が接着一体化されていてもよく、もしくは、図2のように複数のチタンまたは/およびチタン合金1が繊維強化プラスチック材料2と多層積層を構成していてもよい。
また、接着を補助する目的、もしくは万一接着箇所が破壊された場合にも、材料の脱落を防止する目的などのために、ボルトやリベット、かしめなどの機械接合を組み合わせることも可能である。
CDP試験による評価は、実際のチタン−繊維強化プラスチック積層材から構成される構造体自体から切り出されるなどして得られた試験片を用いることが好ましい。しかしながら、当該構造体自体から試験片を切り出して用いることが困難な場合には、その構造体に用いた同種のチタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチック材料を用いて、ASTM D 1781−98に準じた試験片を作製して、評価することも可能である。特にASTM D 1781−98に従いCDP試験をするためには、チタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチック材料をドラムに巻き付けて引き剥がし、引き剥がしに要する荷重を検出するため、引き剥がされる材料が十分に薄く、ドラムに無理なく巻き付けが可能であることが必要であるため、適切に試験片を準備する必要がある。厚みが0.13mm程度のチタンまたはチタン合金を使用している場合、このチタンまたはチタン合金をドラムに巻き付けて、CDP試験を行うことが好ましい。
一方、実際の製品を用いてCDP試験を行う場合、必ずしも製品に用いたチタンまたはチタン合金がドラムに巻き付けることができる形態になっているとは限らない。特にチタンまたはチタン合金が、繊維強化プラスチック材料内に内層されている場合、そのままではCDP試験を行うことは困難である。この場合、繊維強化プラスチックからなる層を機械加工などにより削り取り、チタンまたはチタン合金を最表面に露出させて、ドラムに取り付け、CDP試験を行うことも可能である。
また、本発明のチタン−繊維強化プラスチック積層材は、ASTM D 2344/D 2344M−00に準じて測定した見掛けのショートビーム強さが30MPa以上120MPa以下であることが好ましい。見掛けのショートビーム強さをこの範囲とすることにより、積層材が荷重を負担したときに、チタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチック材料との接着箇所において剥離などの破壊を抑制することができる。
見掛けのショートビーム強さが30MPa未満の場合、層間せん断強度が低すぎることにより、荷重を負担する構造材として用いた場合、簡単に層間破壊することにより、構造材の破壊が懸念されるため好ましくない。
JIS K 6850に記載されている評価では、上記のように接着端部の応力集中から破壊が始まることもあるため、必ずしも実際の構造体の接着の破壊のモードを反映していない場合もあるため、注意を要する。破壊モードを確認してせん断モードにより破壊が起きている場合においても、実際の構造体はチタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチック材料の積層構造をしているため、引張せん断による重ね合わせせん断強さではなく、ショートビーム強さで評価することは非常に有効である。また、チタンまたはチタン合金をドラムに巻き付ける必要がなく、基本的には短いスパンでの曲げ試験と同様に評価できるため、比較的簡便に評価することができる。
ショートビーム強さの評価は、実際のチタン−繊維強化プラスチック積層材から構成される構造体自体から切り出されるなどして得られた試験片を用いることが好ましい。しかしながら、構造体自体から試験片を切り出して用いることが困難な場合には、その構造体に用いた同種のチタンまたは/およびチタン合金と、繊維強化プラスチックを用いて、ASTM D 2344/D 2344M−00に準じた試験片を作製して、評価することも可能である。
また、本発明のチタン−繊維強化プラスチック積層材は、ASTM D 1781−98に準じて試験した後のチタンまたはチタン合金の接着面に付着しているプラスチック材料の凝集破壊跡の接着面積比率が10%以上100%以下であることが好ましい。
この場合、プラスチック材料の凝集破壊跡とは、チタンまたはチタン合金の接着面に、繊維強化プラスチック材料の凝集物もしくは繊維強化プラスチック材料を構成しているプラスチックなどの凝集物が付着していることを示す。さらに、チタンまたはチタン合金と繊維強化プラスチック材料の間に設けられたプラスチックの凝集物でもかまわない。また、後述の非繊維強化プラスチック層を構成しているプラスチック材料の凝集物でも、構わない。特に、連続繊維を用いているFRPが凝集破壊する場合は、チタンまたはチタン合金の接着面に繊維強化プラスチック材料の凝集物が付着しているため判別しやすい。
図3は、本発明のチタン−繊維強化プラスチック積層材からなるCDP試験片における、CDP試験後のチタン合金の接着面の一例を示す概略正面図である。図3(1)に、一方向積層材のFRPの凝集破壊跡の一例を示す。図3(1)では、CDP試験に用いたチタンまたは/およびチタン合金1の接着面に凝集破壊跡としてFRPの凝集物3が付着している様子を示している。特に、図3(1)に示すような凝集破壊跡は、一方向積層材の繊維配向方向が、剥離進展方向と同じ場合に、観察することができる。
一方、繊維強化プラスチック材料を構成しているプラスチック材料自体やチタンまたはチタン合金と繊維強化プラスチック材料の間に設けられた非繊維強化プラスチック材料が凝集破壊する場合は、該プラスチック材料の凝集破壊跡が薄く、またプラスチック材料が無色であることが多く、判別しにくいことが多いが、チタン合金の接着表面にプラスチック材料の凝集破壊跡があれば、金属光沢がないため、判断することができる。
図3(2)に、プラスチックの凝集破壊跡の一例を示す。図3(2)では、CDP試験に用いたチタンまたは/およびチタン合金1の接着面に凝集破壊跡としてプラスチック材料の凝集物4が付着している様子を示している。図3の矢印の方向は、いずれも剥離の進行方向を示す。
プラスチックの凝集破壊跡の接着面積比率が10%未満の場合、チタン−繊維強化プラスチック積層材に荷重が加わったときに、チタンまたは/およびチタン合金および繊維強化プラスチックが十分な応力伝達できず、結果として十分な応力負担をすることができないことがある。
凝集破壊跡の接着面積比率を求める方法としては、次の方法(以下、印刷法という。)が用いられる。
まず、試験によって得られる凝集破壊跡を通常の印刷機で印刷できるように準備した後、適切な倍率で凝集破壊跡を印刷する。凝集破壊跡の印刷物から、接着面を切り取り、接着面の印刷紙の重量(以下、接着面積重量という。)を測定する。次に、接着面の印刷物から、凝集破壊跡のみを切り取り、凝集破壊跡の印刷紙の重量を測定する(以下、凝集破壊面積重量という。)。凝集破壊跡の接着面積比率は次の計算式、
(凝集破壊跡の接着面積比率)=(凝集破壊面積重量)/(接着面積重量)
により求めることができる。
(凝集破壊跡の接着面積比率)=(凝集破壊面積重量)/(接着面積重量)
により求めることができる。
また、上記方法以外にも、凝集破壊跡の画像をパソコンに取り込み、適切な画像解析ソフトにより凝集破壊跡の接着面積比率を求めるなど、その他の適切な方法により凝集破壊跡の接着面積比率を求めることも可能である。
本発明で用いられる繊維強化プラスチック材料とは、補強繊維とマトリックス樹脂から構成されるものの総称である。補強繊維は、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、ガラス繊維、アラミド系繊維をそれぞれ単体もしくはこれら補強繊維を組み合わせて使用することが可能である。また、補強繊維は、これらの炭素繊維、ガラス繊維、アラミド系繊維に限定されることなく、この他の各種補強繊維を用いることも可能である。中でも、軽量で高強度、高弾性率、疲労特性などの力学特性および耐薬品性などに優れるため、炭素繊維が好ましく、中でも、強度、弾性率とコストのバランスに優れているPAN系炭素繊維がより好ましく用いられる。
補強繊維の繊維形態は、連続繊維またはチョップドファイバ、ミルドファイバなどの不連続繊維あるいはその両方を用いることが可能である。中でも、連続繊維は繊維配向角度を適切にすることにより、所望の特性を発現するように設計することができる。
本発明で用いられるマトリックス樹脂は、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂を用いることが可能である。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、およびフェノール樹脂などが好ましく、中でも、力学特性に優れるため、エポキシ樹脂が好ましい。また、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、およびポリエーテルエーテルスルホンなどが挙げられる。
繊維強化プラスチック材料の材料形態と成形方法は、補強繊維にあらかじめマトリックス樹脂が含浸されているプリプレグ、補強繊維に樹脂を注入、含浸させるRTM(ResinTransfer Molding)の他、BMC(Bulk Molding Compound)、SMC(Sheet Molding Compound)など従来の材料形態と成形方法を用いることが可能である。中でも、プリプレグは、あらかじめ樹脂が含浸されているため、成形後の繊維強化プラスチックの繊維含有率が安定していること、ボイドなどの欠陥が少ない。
また、チタン−繊維強化プラスチック積層材において、チタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチック材料の間に、非繊維強化プラスチック層を有することが好ましい。ここでいう非繊維強化プラスチック層とは、チタン−繊維強化プラスチック積層材の積層断面を顕微鏡などにより観察した場合に、チタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチック材料との境界に存在する、実質的に強化繊維が無いプラスチック材料のみの層を意味するものである。この非繊維強化プラスチック層により、チタン−繊維強化プラスチック積層材に、荷重、特に衝撃荷重が加わった場合に、応力緩和層として作用することにより、チタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチックとの剥離がなく、耐久性に優れたチタン−繊維強化プラスチック積層材を得ることができる。
さらに非繊維強化プラスチック層は、熱可塑性樹脂を含む熱硬化性樹脂から構成されていることが好ましい。非繊維強化プラスチック層が熱可塑性樹脂を含有することにより、非繊維強化プラスチック層の靱性が向上し、チタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチックとの接着性が向上するためである。また、前記熱可塑性樹脂は非繊維強化プラスチック層を構成する熱硬化性樹脂に実質的に溶解しない樹脂であれば、前記熱可塑性樹脂が、スペーサーの役割を果たし、非繊維強化プラスチック層の厚みを確保することができるため、非繊維強化プラスチック層の靱性が向上効果がより効率よく接着力の向上に寄与するため好ましい。実質的に溶解しないとは、上述の観点から該熱可塑性樹脂が、非繊維強化プラスチック層を構成する樹脂組成物を調合する時の調合条件および樹脂組成物を用いたチタン−繊維強化プラスチック積層材を成形するときの成形条件などにより、熱硬化性樹脂に表面が溶解することはあっても、ほぼ元の形状を保つために非繊維強化プラスチック層の厚みを一定レベルに確保できる程度であることを意味する。熱可塑性樹脂が熱硬化性樹脂に完全に溶解すると、チタン−繊維強化プラスチック積層材間の非繊維強化プラスチック層が全て液状となってしまうため成形時の温度と圧力により、非繊維強化プラスチック層を構成する樹脂組成物が流失してしまい、該非繊維強化プラスチック層を形成できなくなる。
さらに該非繊維強化プラスチック層は熱可塑性樹脂を含む熱硬化性樹脂から構成され、かつ、該熱可塑性樹脂が、線状および膜状から選ばれた少なくとも1種の連続相の形で、該非繊維強化プラスチック層内に混在して構成されていることが好ましい。本発明でいう連続相とは、点状で分散したものではなく少なくとも線状あるいは面状の広がりを有する相であることをいうものである。すべての熱可塑性樹脂が線状あるいは面状に広がっている必要はないが、このような連続相を有することにより、接着性が大幅に向上するため、好ましい。ここで線状とは、少なくとも2本以上の強化繊維にまたがる様な長さを有するものである。また、面状とは、複数の線状に広がる相が接することによって形成されている相のことを意味する。
図4を用いて詳細に説明する。図4は本発明の代表的なチタン−繊維強化プラスチック積層材の断面図の一例である。図4に示す本発明のチタン−繊維強化プラスチック積層材は、チタン合金1と強化繊維群7およびマトリックス樹脂8から構成される繊維強化プラスチック2との間に、熱硬化性樹脂10と熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂連続相9a、熱可塑性樹脂粒子相9b)を含む非繊維強化プラスチック層6を有しており、かつ、非繊維強化プラスチック層6は、熱可塑性樹脂が熱可塑性樹脂連続相9aのように線状および膜状から選ばれた少なくとも1種の連続形状の連続相の形で、非繊維強化プラスチック層内に混在している。このように非繊維強化プラスチック層を構成する熱可塑性樹脂連続相が、連続形状の連続相の形で含有されていることにより、チタン合金と繊維強化プラスチックとの接着性が向上する。特に、チタン合金に、繊維強化プラスチックから引き剥がすような剥離モードの応力が加わったときには、非繊維強化プラスチック層内の熱可塑性樹脂連続相が連続形状の連続相の形を有するため、非繊維強化プラスチック層を構成する熱硬化性樹脂に対するアンカーとして作用し、接着性が向上すると考えられる。ここで、繊維強化プラスチックを構成する樹脂と非繊維強化プラスチック層を構成する熱硬化性樹脂は同一の樹脂組成であってもよいし、それぞれ異なる樹脂であってもよい。
図4を用いて詳細に説明する。図4は本発明の代表的なチタン−繊維強化プラスチック積層材の断面図の一例である。図4に示す本発明のチタン−繊維強化プラスチック積層材は、チタン合金1と強化繊維群7およびマトリックス樹脂8から構成される繊維強化プラスチック2との間に、熱硬化性樹脂10と熱可塑性樹脂(熱可塑性樹脂連続相9a、熱可塑性樹脂粒子相9b)を含む非繊維強化プラスチック層6を有しており、かつ、非繊維強化プラスチック層6は、熱可塑性樹脂が熱可塑性樹脂連続相9aのように線状および膜状から選ばれた少なくとも1種の連続形状の連続相の形で、非繊維強化プラスチック層内に混在している。このように非繊維強化プラスチック層を構成する熱可塑性樹脂連続相が、連続形状の連続相の形で含有されていることにより、チタン合金と繊維強化プラスチックとの接着性が向上する。特に、チタン合金に、繊維強化プラスチックから引き剥がすような剥離モードの応力が加わったときには、非繊維強化プラスチック層内の熱可塑性樹脂連続相が連続形状の連続相の形を有するため、非繊維強化プラスチック層を構成する熱硬化性樹脂に対するアンカーとして作用し、接着性が向上すると考えられる。ここで、繊維強化プラスチックを構成する樹脂と非繊維強化プラスチック層を構成する熱硬化性樹脂は同一の樹脂組成であってもよいし、それぞれ異なる樹脂であってもよい。
さらに非繊維強化プラスチック層は、繊維強化プラスチック材料との界面付近に、該繊維強化プラスチック材料の強化繊維群と該非繊維強化プラスチック層に含まれる熱可塑性樹脂とが混在している層を形成されていることが好ましい。
図5に該強化繊維群7と該熱可塑性樹脂連続相9aが混在している層6bを有するチタン−繊維強化プラスチック積層材を示す。このように強化繊維群7と熱可塑性樹脂連続相9aが混在することにより、熱可塑性樹脂連続相9aが強化繊維群7に対してアンカーとして作用し、接着性が向上すると考えられるため好ましい。
より好ましくは、非繊維強化プラスチック層内の連続相を有する熱可塑性樹脂が、強化繊維に接触していることが好ましい。
図5に非繊維強化プラスチック層6の厚みTa、強化繊維と熱可塑性樹脂とが混在している層6bの厚みTpfを示す。
ここで非繊維強化プラスチック層の厚さTaは、0.01mm以上0.1mm以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.015〜0.06mmの範囲内である。非繊維強化プラスチック層が熱可塑性樹脂を含む熱硬化性樹脂から構成されている場合、非繊維強化プラスチック層の厚さTaは0.01mm以上0.1mm以下であり、かつ強化繊維と熱可塑性樹脂とが混在している層の最大厚みTpfが、0.015mm以上0.08mm以下であることが好ましい。
Ta、Tpfはチタン−繊維強化プラスチック積層体の断面を光学顕微鏡、CCDを用いた顕微鏡、SEM、TEMにより観察することにより測定することができる。
非繊維強化プラスチック層の厚みTaが0.01mmよりも薄いと、応力緩和層としての効果が小さくなり、逆に0.1mmよりも厚いと重量が増加するため好ましくない。さらに、強化繊維と熱可塑性樹脂とが混在している層の最大厚みTpfは0.015mm未満であっても構わないが、0.015mm以上にすることによって、より接着性が向上するため好ましい。一方、Tpfが0.08mmより厚くすることは、成型上困難である。
さらに非繊維強化プラスチック層内の熱可塑性樹脂が、連続形状の連続相と平均粒径が3μm以上10μm以下の粒子形状が混在していることが好ましい。非繊維強化プラスチック層に用いられる熱可塑性樹脂は、平均粒径3μm以上10μm以下の粒子形状で、熱硬化性樹脂に混合されていることが好ましい。3μm以上10μm以下の粒子形状にすることにより、接着樹脂をフィルム形状などへの加工が容易になること、さらに硬化、成形工程において、該熱可塑性樹脂が強化繊維間に介在しやすくなり、成形後に強化繊維と熱可塑性樹脂とが混在している層を形成しやすいという効果を奏するためである。また、粒子形状で混合した熱可塑性樹脂が連続形状の連続相を形成する他に、該熱可塑性樹脂の一部が、粒子形状のままの状態で存在していても構わない。
また、非繊維強化プラスチック層を成形時に確保し、また強化したり靭性を付与するために、例えば、熱可塑性プラスチックからなる粒子や不織布、カーボンブラックやミルドファイバーなどをあらかじめ配することもできる。
さらに本発明で使用する熱可塑性樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂、スチレン系樹脂、EVA樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂およびPPS系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。ポリアミド系樹脂は、熱硬化性樹脂との接着性が優れるため、より好ましい。
さらに本発明で使用する熱可塑性樹脂の融点もしくは軟化点が、200℃以下であることが好ましい。本発明においては、該熱可塑性樹脂の融点もしくは軟化点以上の温度において、複合材料を成形することによって、接着樹脂層内の熱可塑性樹脂を一度溶融もしくは軟化させることによって、該熱可塑性樹脂の連続相を形成させることを特徴としているため、該熱可塑性樹脂の融点もしくは軟化点が200℃よりも高い場合には、チタン−繊維強化プラスチック積層体の成形温度も200℃より高くする必要があり、成形温度が高くなりすぎるため好ましくない。ただし、とりわけチタン−繊維強化プラスチック積層体が高い耐熱性が必要とされ、繊維強化プラスチックを構成するマトリックス樹脂および非繊維強化プラスチックを構成する樹脂が200℃よりも高い温度での成形が必要な場合は、本発明で用いる熱可塑性樹脂の融点もしくは軟化点は200℃以下に限定されるものではない。
また、本発明で用いられる繊維強化プラスチック材料を構成するマトリックス樹脂には、イミダゾール化合物が配合されていることが好ましい。マトリックス樹脂にイミダゾール化合物を配合することにより、マトリックス樹脂とチタンまたはチタン合金との接着性が大幅に向上する。また、マトリックス樹脂にイミダゾール化合物を配合することにより、接着用の樹脂などを特別に配すること無く、マトリックス樹脂の硬化とチタンまたはチタン合金との接着を同時に行うことができる。
また、イミダゾール化合物のマトリック樹脂への配合量は、マトリックス樹脂重量対比0.1〜10%の範囲内が好ましい。配合量は、より好ましくは0.5〜3.0%の範囲である。配合量が0.1%未満の場合、接着性の効果が十分ではなく、また配合量が10%よりも多いと接着性の向上が頭打ちであること、マトリックス樹脂がエポキシ樹脂を用いている場合には、イミダゾール化合物の反応性が高いために、エポキシ樹脂の取り扱い性、力学特性および機能特性に支障が生じる可能性がある。
通常、イミダゾール化合物は、エポキシ樹脂の硬化剤もしくは硬化促進剤として使用されているが、荷重を負担する構造体として用いられるチタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチックを接着一体化されたチタン−繊維強化プラスチック積層材における、チタンまたはチタン合金との接着性向上を目的として用いられた例はない。
さらに、本発明で用いられる非繊維強化プラスチック層を構成する非繊維強化樹脂には、イミダゾール化合物が配合されていることが好ましい。イミダゾール化合物の非繊維強化プラスチック層を構成する非繊維強化樹脂への配合割合は、上記同様の理由により、非繊維強化プラスチック層を構成する樹脂重量対比0.1〜10%の範囲内が好ましく、より好ましくは0.5〜3.0%である。
非繊維強化樹脂にイミダゾール化合物を配合することにより、非繊維強化プラスチック層とチタンまたは/およびチタン合金との接着性が大幅に向上する。そのため、非繊維強化プラスチック層は応力緩和層として有効で有るばかりでなく、チタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチック材料を良好に接着できる。また、非繊維強化プラスチック層を構成する非繊維強化樹脂と繊維強化プラスチック材料を構成するマトリックス樹脂の硬化条件と実質的に同様とすることができる。非繊維強化プラスチック層を構成する非繊維強化樹脂とマトリックス樹脂の硬化条件を実質的に同様とすることにより、非繊維強化プラスチック層とマトリックス樹脂との硬化を同時に行うことができるだけでなく、チタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチック材料との接着を同時に行うことができる。
また、本発明で用いられるイミダゾール化合物は、イミダゾール環を含むシランカップリング剤であることが好ましい。イミダゾール化合物をイミダゾール環を含むシランカップリング剤とすることにより、チタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチック材料をさらに良好に接着できる。
代表的なイミダゾール化合物としては、次の一般式(I)で示される化合物が挙げられる。
(ここでR1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基、アミノアルキル基、ヒドロキシアルキル基、シアノアルキル基、アリール基およびアラルキル基からなる群から選ばれた置換基を表す。)
上記の一般式(I)で示される化合物の具体例を次に示す。
上記の一般式(I)で示される化合物の具体例を次に示す。
さらに、本発明のチタン−繊維強化プラスチック積層材の成形方法は、チタンまたはチタン合金の接着箇所を、サンドペーパーもしくはサンドブラストなどによりサンディングした後、エタノールやアセトンなどの有機溶剤等を用いて洗浄、脱脂した後、該接着箇所にイミダゾール化合物を付与する工程を含むことが好ましい。
イミダゾール化合物を付与する方法としては、マトリックス樹脂にイミダゾール化合物を配合させた繊維強化プラスチック材料を、チタンまたはチタン合金の接着箇所に積層して、接着一体化させる工程を含むことが好ましい。ここでチタン−繊維強化プラスチック積層材に用いられる繊維強化プラスチック材料のすべてが、マトリックス樹脂にイミダゾール化合物が配合されていても良い。また、イミダゾール化合物を配合させた非繊維強化プラスチック層を構成する非繊維強化樹脂をチタンまたはチタン合金の接着箇所に積層して、接着一体化させる工程を含むことも好ましい成形方法の一つである。
また、イミダゾール化合物をエタノール等の有機溶剤に溶解させた溶液を、上記接着箇所に、ディッピング、スプレイアップ、または塗布などの公知の付与方法により、イミダゾール化合物を接着箇所に付与した後、非繊維強化プラスチック層を構成する非繊維強化樹脂および/または繊維強化プラスチック材料を積層して、接着一体化させる工程を含むことも好ましい成形方法の一つである。
本発明のチタン−繊維強化プラスチック積層材の製造方法は、チタンまたは/およびチタン合金と、繊維強化プラスチックを構成する中間材料との間に、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を含む非繊維強化樹脂組成物を配置して、積層体を形成した後、該積層体を該熱可塑性樹脂の融点または軟化点以上の温度で、非繊維強化樹脂組成物を構成する熱硬化性樹脂を硬化させて、接着一体化するものである。以下に製造方法の一例を詳細に説明する。
ここで非繊維強化樹脂組成物とは、硬化成形後に非繊維強化プラスチック層を構成するものである。硬化後に構成される該非繊維強化プラスチック層内に連続形状の熱可塑性樹脂連続相を混在させるために、硬化前の非繊維強化樹脂組成物内に、予め熱可塑性樹脂を混合しておくことが好ましい。該熱可塑性樹脂は強化繊維の繊維間に介在しやすいように、平均粒径が3μm以上10μm以下であることが好ましく、また熱可塑性樹脂は非繊維強化プラスチック層および繊維強化プラスチックを構成するマトリックス樹脂との接着性の観点からポリアミド樹脂であることが好ましい。
また、熱可塑性樹脂の融点または軟化点は、非繊維強化プラスチック層を構成する熱硬化性樹脂および繊維強化プラスチックを構成するマトリックス樹脂の硬化温度よりも低い温度であることが好ましい。このような非繊維強化樹脂組成物をフィルム状に加工した非繊維強化樹脂組成シート状物をチタン合金と繊維強化プラスチックを構成する中間材料(プリプレグ)との間に配置、もしくは非繊維強化樹脂組成シート状物を予め中間材料(プリプレグ)に積層もしくは含浸したプリプレグをもちいることにより、非繊維強化樹脂組成物をチタン合金と該中間材料(プリプレグ)との間に配置して積層体を形成する。該積層体をオートクレーブもしくはプレスなどの成形機器を用いて、熱可塑性樹脂の融点または軟化点以上の温度に加熱し、該マトリックス樹脂及び非繊維強化樹脂組成物に含まれる熱硬化性樹脂を硬化することにより、チタン合金と繊維強化プラスチック材料を非繊維強化プラスチック層を介して、接着一体化する。成形温度を該熱可塑性樹脂の融点または軟化点よりも高い温度にすることにより、非繊維強化プラスチック層内において、該熱可塑性樹脂が溶融もしくは軟化して、隣接する熱可塑性樹脂同士が一体化することにより、連続形状を形成することができるためである。さらに加熱成形中に、非繊維強化樹脂層を構成する熱硬化性樹脂および繊維強化プラスチックを構成するマトリックス樹脂の粘度が大きく低下するため、非繊維強化樹脂組成物に含まれている熱可塑性樹脂が動きやすく、熱可塑性樹脂が強化繊維群の繊維間により介在しやすくなる。このときに、熱可塑性樹脂が強化繊維群の繊維間により介在しやすくするために、熱可塑性樹脂の平均粒径3μm以上10μm以下が好ましい。
本発明のチタン−繊維強化プラスチック積層材は、自動車、建材、航空機用部材およびスポーツ用具部材等の用途に好適に用いられる。
本発明のチタン−繊維強化プラスチック積層材は、自動車、建材、航空機用部材およびスポーツ用具部材等の用途に好適に用いられる。
以下、本発明のチタン−繊維強化プラスチック積層材について実施例を挙げて説明する。まず、使用した評価方法を説明する。チタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチック材料を積層、接着一体化した試験片を用いて、以下に記載の試験(評価法)を行って評価した。
・CDP試験(ASTM D 1781−98)
図6は、本発明のチタン−繊維強化プラスチック積層材からなるCDP試験片の一例を示す概略縦断面図である。図6は、チタンまたは/およびチタン合金1と繊維強化プラスチック材料2との間の接着面5に非繊維強化プラスチック層6が配されているCDP試験片である。
図6は、本発明のチタン−繊維強化プラスチック積層材からなるCDP試験片の一例を示す概略縦断面図である。図6は、チタンまたは/およびチタン合金1と繊維強化プラスチック材料2との間の接着面5に非繊維強化プラスチック層6が配されているCDP試験片である。
・ショートビーム強さ試験(ASTM D 2344/D 2344M−00)
図7は、本発明のチタン−繊維強化プラスチック積層材からなるショートビーム試験片の一例を示す概略縦断面図である。図7は、チタンまたは/およびチタン合金1と繊維強化プラスチック材料2との間の接着面5に非繊維強化プラスチック層6が配されており、且つチタンまたは/およびチタン合金1が積層構成の鏡面対称となる中央に1層配されている積層構成を有するショートビーム試験片である。
図7は、本発明のチタン−繊維強化プラスチック積層材からなるショートビーム試験片の一例を示す概略縦断面図である。図7は、チタンまたは/およびチタン合金1と繊維強化プラスチック材料2との間の接着面5に非繊維強化プラスチック層6が配されており、且つチタンまたは/およびチタン合金1が積層構成の鏡面対称となる中央に1層配されている積層構成を有するショートビーム試験片である。
・引張せん断強さ試験(JIS K 6850)
図8は、本発明のチタン−繊維強化プラスチック積層材からなる引張せん断試験片の一例を示す概略縦断面図である。図8は、チタンまたは/およびチタン合金1と繊維強化プラスチック材料2との間の接着面5に非繊維強化プラスチック層6が配されている引張せん断試験片である。
図8は、本発明のチタン−繊維強化プラスチック積層材からなる引張せん断試験片の一例を示す概略縦断面図である。図8は、チタンまたは/およびチタン合金1と繊維強化プラスチック材料2との間の接着面5に非繊維強化プラスチック層6が配されている引張せん断試験片である。
(実施例1)
まず、CDP試験用の試験片作製方法を説明する。
まず、CDP試験用の試験片作製方法を説明する。
図6において、サンプルに用いたチタン合金1は、公称厚み0.13mのTi−15V−3Cr−3Al−3Sn合金を、幅25mm、長さ300mmの形状に切断した後、接着面3を粒度が#400のサンドペーパーを用いてサンディングした後、エタノールにより洗浄、脱脂した。次に、(炭素)繊維強化プラスチック材料2を構成するマトリックス樹脂に、イミダゾール環を含むシランカップリング剤(日鉱マテリアル(株)社製イミダゾールシラン:IS1000)を、マトリックス樹脂重量対比0.5%配合し、該マトリックス樹脂を用いた炭素繊維プリプレグ(炭素繊維:東レ社製T800H、繊維目付:175g/m2、樹脂含有率30%)を準備した。該炭素繊維プリプレグを、繊維配向方向が長手方向となるように、幅25mm、長さ250mmに切断し、上記チタン合金の接着面に4層積層した。
成形条件は、オートクレーブを用いて6.0kg/cm2、135℃×2時間で行い、CDP試験用の試験片を10体作製した。CDP試験用の試験片10体のうち、5体はASTM D 1781−98に準じて室温にて試験(以下、CDP室温試験という。)を行い、平均剥離トルクを求めた。残りの5体は、耐環境試験として、70℃×RH95%の環境で14日間暴露した後、室温にて同様に試験(以下、CDP環境暴露試験)を行った。その結果、CDP室温(RT)試験での平均剥離トルクは32.6N・mm/mmであった。CDP環境暴露(HW)試験では、若干の平均剥離トルクの低下が認められるものの、接着性は良好であった。また、CDP室温試験後のチタン合金の接着面には、炭素繊維強化プラスチック材料の凝集破壊跡が見られ、印刷法により求めた凝集破壊面積比率は約62%であった。
また、CDP室温試験で、試験により破壊していない箇所を幅方向に切断し、断面を研磨した後、2000倍の倍率にて断面観察を行った。その結果、炭素繊維強化プラスチック材料とチタン合金との間に、明確な非繊維強化プラスチック層は無かった。
次に、ショートビーム強さ試験用の試験片作製方法を説明する。用いるチタン合金1はCDP試験片に用いたものと同じであり、幅200mm、長さ200mmの形状に切断した後、CDP試験片作製と同様にサンディング、エタノール洗浄、脱脂を行った。また、(炭素)繊維強化プラスチック材料2を構成する炭素繊維プリプレグは、CDP試験片に用いたものと同じであり、積層構成[(45/0/−45/90/45/0/−45/90)S Ti]Sに従って、チタン合金、炭素繊維プリプレグを幅200mm、長さ200mmに切断、積層して積層材を準備した。ここで( )内の数字は繊維の配向角度であり、添え字のSは鏡面対称積層を意味する。また、Tiの下線は一枚の積層を意味する。
該積層材をCDP試験片と同様の成形条件により成形し、成形体をASTM D 2344/D 2344M−00に記載の形状に切断加工して、ショートビーム強さ試験用の試験片10体を準備した。
ショートビーム強さ試験用試験片10体のうち、5体はASTM D 2344/D 2344M−00に準じて、室温にて試験(以下SB室温試験)を行い、ショートビーム強さを求めた。残りの5体は、耐環境試験として、70℃×RH95%の環境で14日間暴露した後、室温にて同様に試験(以下、SB環境暴露試験)を行った。その結果、SB室温(RT)試験でのショートビーム強さは53.0MPaであった。SB環境暴露(HW)試験では、若干の強度低下がみとめられるものの、試験結果は良好であった。
次に、引張せん断接着強さ試験用の試験片作成方法を説明する。用いるチタン合金1は、公称厚み1.5mmのTi−15V−3Cr−3Al−3Sn合金を幅25mm、長さ100mmの形状に切断した後、接着面を粒度が#400のサンドペーパーを用いてサンディングした後、エタノールにより洗浄、脱脂した。また、(炭素)繊維強化プラスチック2を構成する炭素繊維プリプレグは、CDP試験片に用いたものと同じであり、CDP試験片と同様に、該炭素繊維プリプレグを繊維配向方向が長手方向となるように、幅25mm、長さ100mmに切断して10層積層した。該炭素繊維プリプレグの積層体をチタン合金の接着面に重ね合わせ幅が12.5mmとなるように重ね合わせた状態で、CDP試験片と同様の成形条件により成形して、引張せん断接着強さ試験用の試験片を5体作製した。
引張せん断試験用試験片はJIS K 6850に準じて、室温にて試験を行い、引張せん断強さを求めた。その結果、引張せん断強さは28.5MPaであった。
(実施例2)
IS1000のマトリックス樹脂への配合量をマトリックス樹脂重量対比1.0%配合したこと以外は、実施例1と同様にCDP試験用およびショートビーム強さ試験用、引張せん断強さ試験用の試験片を作成し、同様に平均剥離トルク、ショートビーム強さ、引張せん断強さを求めた。その結果、CDP室温試験での平均剥離トルクは35.1N・mm/mmであり、CDP環境暴露試験では若干の平均剥離トルクの低下が認められるものの接着性は良好であった。また、CDP室温試験後のチタン合金の接着面には、炭素繊維強化プラスチックの凝集破壊跡が見られ、印刷法により求めた凝集破壊面積比率は約64%であった。
IS1000のマトリックス樹脂への配合量をマトリックス樹脂重量対比1.0%配合したこと以外は、実施例1と同様にCDP試験用およびショートビーム強さ試験用、引張せん断強さ試験用の試験片を作成し、同様に平均剥離トルク、ショートビーム強さ、引張せん断強さを求めた。その結果、CDP室温試験での平均剥離トルクは35.1N・mm/mmであり、CDP環境暴露試験では若干の平均剥離トルクの低下が認められるものの接着性は良好であった。また、CDP室温試験後のチタン合金の接着面には、炭素繊維強化プラスチックの凝集破壊跡が見られ、印刷法により求めた凝集破壊面積比率は約64%であった。
また、実施例1と同様にCDP試験片の断面観察を行った結果、炭素繊維強化プラスチック材料とチタン合金との間に、明確な非繊維強化プラスチック層は無かった。
SB室温試験でのショートビーム強さは55.4MPaであり、またSB環境暴露試験では、若干の強度低下が認められるものの、試験結果は良好であった。また、引張せん断強さは28.7MPaであった。
(実施例3)
炭素繊維プリプレグのマトリックス樹脂はイミダゾール環を含むシランカップリング剤を含まず、且つチタン合金と炭素繊維プリプレグとの境界に、非繊維強化プラスチック層4を構成する非繊維強化樹脂として、IS1000を該樹脂重量対比1.0%配合したエポキシ樹脂フィルムを配したこと以外は、実施例1と同様にCDP試験用およびショートビーム強さ試験用、引張せん断強さ試験用の試験片を作成し、平均剥離トルク、ショートビーム強さ、引張せん断強さを求めた。その結果、CDP室温試験での平均剥離トルクは38.4N・mm/mmであり、CDP環境暴露試験では若干の平均剥離トルクの低下が認められるものの接着性は良好であった。また、CDP室温試験後のチタン合金の接着面には、炭素繊維強化プラスチックの凝集破壊跡が見られ、印刷法により求めた凝集破壊面積比率は約68%であった。
炭素繊維プリプレグのマトリックス樹脂はイミダゾール環を含むシランカップリング剤を含まず、且つチタン合金と炭素繊維プリプレグとの境界に、非繊維強化プラスチック層4を構成する非繊維強化樹脂として、IS1000を該樹脂重量対比1.0%配合したエポキシ樹脂フィルムを配したこと以外は、実施例1と同様にCDP試験用およびショートビーム強さ試験用、引張せん断強さ試験用の試験片を作成し、平均剥離トルク、ショートビーム強さ、引張せん断強さを求めた。その結果、CDP室温試験での平均剥離トルクは38.4N・mm/mmであり、CDP環境暴露試験では若干の平均剥離トルクの低下が認められるものの接着性は良好であった。また、CDP室温試験後のチタン合金の接着面には、炭素繊維強化プラスチックの凝集破壊跡が見られ、印刷法により求めた凝集破壊面積比率は約68%であった。
また、実施例1と同様にCDP試験片の断面観察を行った結果、炭素繊維強化プラスチック材料とチタン合金との間に、非繊維強化プラスチック層が確認された。非繊維強化プラスチック層の厚みは、5カ所の厚みを測定して、その平均値として求めた結果、非繊維強化プラスチック層の厚みは0.03mmであった。
SB室温試験でのショートビーム強さは58.4MPaであり、SB環境暴露試験では、若干の強度低下が認められるものの、試験結果は良好であった。また、引張せん断強さは28.5MPaであった。
(実施例4)
実施例3に用いた非繊維強化プラスチック層を構成する非繊維強化樹脂が、平均粒径17μm、ガラス転移温度160℃のナイロン製熱可塑性樹脂粒子を含むこと以外は、実施例3と同様にCDP試験用およびショートビーム強さ試験用、引張せん断強さ試験用の試験片を作成し、平均剥離トルク、ショートビーム強さ、引張せん断強さを求めた。その結果、CDP室温試験での平均剥離トルクは40.1N・mm/mmであり、CDP環境暴露試験では若干の平均剥離トルクの低下が認められるものの接着性は良好であった。また、CDP室温試験後のチタン合金の接着面には、炭素繊維強化プラスチックの凝集破壊跡が見られ、印刷法により求めた凝集破壊面積比率は約69%であった。
実施例3に用いた非繊維強化プラスチック層を構成する非繊維強化樹脂が、平均粒径17μm、ガラス転移温度160℃のナイロン製熱可塑性樹脂粒子を含むこと以外は、実施例3と同様にCDP試験用およびショートビーム強さ試験用、引張せん断強さ試験用の試験片を作成し、平均剥離トルク、ショートビーム強さ、引張せん断強さを求めた。その結果、CDP室温試験での平均剥離トルクは40.1N・mm/mmであり、CDP環境暴露試験では若干の平均剥離トルクの低下が認められるものの接着性は良好であった。また、CDP室温試験後のチタン合金の接着面には、炭素繊維強化プラスチックの凝集破壊跡が見られ、印刷法により求めた凝集破壊面積比率は約69%であった。
また、実施例1と同様にCDP試験片の断面観察を行った結果、炭素繊維強化プラスチック材料とチタン合金との間に、熱可塑性樹脂粒子を含む非繊維強化プラスチック層が確認された。非繊維強化プラスチック層の厚みは、5カ所の厚みを測定して、その平均値として求めた結果、非繊維強化プラスチック層の厚みは0.08mmであった。
SB室温試験でのショートビーム強さは60.2MPaであり、SB環境暴露試験では、若干の強度低下が認められるものの、試験結果は良好であった。また、引張せん断強さは25.8MPaであった。
(実施例5)
IS1000をエタノール重量対比1.0%の割合で溶解させたIS1000溶液をチタン合金の接着面に塗布し、室温にて自然乾燥させた後、実施例3で使用した炭素繊維プリプレグを用いたこと以外は、実施例1と同様にCDP試験用およびショートビーム強さ試験用、引張せん断強さ試験用の試験片を作成し、平均剥離トルク、ショートビーム強さ、引張せん断強さを求めた。その結果、CDP室温試験での平均剥離トルクは32.7N・mm/mmであり、CDP環境暴露試験では若干の平均剥離トルクの低下が認められるものの接着性は良好であった。またCDP室温試験後のチタン合金の接着面には、炭素繊維強化プラスチックの凝集破壊跡が見られ、印刷法により求めた凝集破壊面積比率は約62%であった。
IS1000をエタノール重量対比1.0%の割合で溶解させたIS1000溶液をチタン合金の接着面に塗布し、室温にて自然乾燥させた後、実施例3で使用した炭素繊維プリプレグを用いたこと以外は、実施例1と同様にCDP試験用およびショートビーム強さ試験用、引張せん断強さ試験用の試験片を作成し、平均剥離トルク、ショートビーム強さ、引張せん断強さを求めた。その結果、CDP室温試験での平均剥離トルクは32.7N・mm/mmであり、CDP環境暴露試験では若干の平均剥離トルクの低下が認められるものの接着性は良好であった。またCDP室温試験後のチタン合金の接着面には、炭素繊維強化プラスチックの凝集破壊跡が見られ、印刷法により求めた凝集破壊面積比率は約62%であった。
また、実施例1と同様にCDP試験片の断面観察を行った結果、炭素繊維強化プラスチック材料とチタン合金との間に、明確な非繊維強化プラスチック層は無かった。
SB室温試験でのショートビーム強さは52.8MPaであり、SB環境暴露試験では、若干の強度低下が認められるものの、試験結果は良好であった。また、引張せん断強さは26.8MPaであった。
(実施例6)
実施例4に用いたチタン合金が純チタン(JIS 1種)であること以外は、実施例4と同様にCDP試験用およびショートビーム強さ試験用、引張せん断強さ試験用の試験片を作成し、平均剥離トルク、ショートビーム強さ、引張せん断強さを求めた。その結果、CDP室温試験での平均剥離トルクは36.8N・mm/mmであり、CDP環境暴露試験では若干の平均剥離トルクの低下が認められるものの接着性は良好であった。またCDP室温試験後のチタン合金の接着面には、炭素繊維強化プラスチックの凝集破壊跡が見られ、印刷法により求めた凝集破壊面積比率は約62%であった。
実施例4に用いたチタン合金が純チタン(JIS 1種)であること以外は、実施例4と同様にCDP試験用およびショートビーム強さ試験用、引張せん断強さ試験用の試験片を作成し、平均剥離トルク、ショートビーム強さ、引張せん断強さを求めた。その結果、CDP室温試験での平均剥離トルクは36.8N・mm/mmであり、CDP環境暴露試験では若干の平均剥離トルクの低下が認められるものの接着性は良好であった。またCDP室温試験後のチタン合金の接着面には、炭素繊維強化プラスチックの凝集破壊跡が見られ、印刷法により求めた凝集破壊面積比率は約62%であった。
また、実施例1と同様にCDP試験片の断面観察を行った結果、炭素繊維強化プラスチック材料とチタン合金との間に、熱可塑性樹脂粒子を含む非繊維強化プラスチック層が確認された。非繊維強化プラスチック層の厚みは、5カ所の厚みを測定して、その平均値として求めた結果、非繊維強化プラスチック層の厚みは0.08mmであった。
SB室温試験でのショートビーム強さは56.2MPaであり、SB環境暴露試験では、若干の強度低下が認められるものの、試験結果は良好であった。また、引張せん断強さは26.7MPaであった。
(実施例7)
実施例3に用いた非繊維強化プラスチック層を構成する非繊維強化樹脂が、平均粒径5μm、融点165℃、ガラス転移温度55℃のナイロン製熱可塑性樹脂粒子を含むこと、および成形条件は、オートクレーブを用いて6.0kg/cm2、180℃×2時間で行ったこと以外は、実施例3と同様にCDP試験用およびショートビーム強さ試験用、引張せん断強さ試験用の試験片を作成し、平均剥離トルク、ショートビーム強さ、引張せん断強さを求めた。その結果、CDP室温試験での平均剥離トルクは58.0N・mm/mmであり、CDP環境暴露試験では若干の平均剥離トルクの低下が認められるものの接着性は良好であった。
(実施例7)
実施例3に用いた非繊維強化プラスチック層を構成する非繊維強化樹脂が、平均粒径5μm、融点165℃、ガラス転移温度55℃のナイロン製熱可塑性樹脂粒子を含むこと、および成形条件は、オートクレーブを用いて6.0kg/cm2、180℃×2時間で行ったこと以外は、実施例3と同様にCDP試験用およびショートビーム強さ試験用、引張せん断強さ試験用の試験片を作成し、平均剥離トルク、ショートビーム強さ、引張せん断強さを求めた。その結果、CDP室温試験での平均剥離トルクは58.0N・mm/mmであり、CDP環境暴露試験では若干の平均剥離トルクの低下が認められるものの接着性は良好であった。
また、CDP室温試験後のチタン合金の接着面には、炭素繊維強化プラスチックの凝集破壊跡が見られ、印刷法により求めた凝集破壊面積比率は95%であった。
また、実施例1と同様にCDP試験片の断面観察を行った結果、炭素繊維強化プラスチック材料とチタン合金との間に、熱可塑性樹脂粒子を含む非繊維強化プラスチック層が確認された。一部のナイロン製熱可塑性樹脂粒子は、粒子同士が融着するようにして、連続相を形成していることが確認された。
非繊維強化プラスチック層の厚みは、5カ所の厚みを測定して、その平均値として求めた結果、非繊維強化プラスチック層の厚みは0.09mmであった。さらに、ナイロン製熱可塑性樹脂粒子はは、強化繊維である炭素繊維間に入り込んでおり、Tpfは最大で約0.06mmであることが確認された。
SB室温試験でのショートビーム強さは60.2MPaであり、SB環境暴露試験では、若干の強度低下が認められるものの、試験結果は良好であった。また、引張せん断強さは25.8MPaであった。
(比較例1)
炭素繊維プリプレグのマトリックス樹脂はイミダゾール環を含むシランカップリング剤を含まないこと以外は、実施例1と同様にCDP試験用及びショートビーム強さ試験用の試験片、引張せん断強さ試験用を作成し、平均剥離トルク、ショートビーム強さ、引張せん断強さを求めた。その結果、CDP室温試験での平均剥離トルクおよびCDP環境暴露試験での平均剥離トルクは実質的に0N・mm/mmであった。また、CDP室温試験後のチタン合金の接着面には、炭素繊維強化プラスチックの凝集破壊跡が見られず、印刷法により求めた凝集破壊面積比率は実施的に0%であった。SB室温試験でのショートビーム強さは18.1MPaであり、SB環境暴露試験では、大幅な強化低下が認められた。また、引張せん断強さは22.3MPaであった。
炭素繊維プリプレグのマトリックス樹脂はイミダゾール環を含むシランカップリング剤を含まないこと以外は、実施例1と同様にCDP試験用及びショートビーム強さ試験用の試験片、引張せん断強さ試験用を作成し、平均剥離トルク、ショートビーム強さ、引張せん断強さを求めた。その結果、CDP室温試験での平均剥離トルクおよびCDP環境暴露試験での平均剥離トルクは実質的に0N・mm/mmであった。また、CDP室温試験後のチタン合金の接着面には、炭素繊維強化プラスチックの凝集破壊跡が見られず、印刷法により求めた凝集破壊面積比率は実施的に0%であった。SB室温試験でのショートビーム強さは18.1MPaであり、SB環境暴露試験では、大幅な強化低下が認められた。また、引張せん断強さは22.3MPaであった。
(比較例2)
実施例4に用いた非繊維強化プラスチック層を構成する樹脂が、イミダゾールシランを含まないこと以外は、実施例4と同様にCDP試験用及びショートビーム強さ試験用、引張せん断強さ試験用の試験片を作成し、平均剥離トルク、ショートビーム強さ、引張せん断強さを求めた。その結果、CDP室温試験での平均剥離トルクおよびCDP環境暴露試験での平均剥離トルクは実質的に0N・mm/mmであった。
実施例4に用いた非繊維強化プラスチック層を構成する樹脂が、イミダゾールシランを含まないこと以外は、実施例4と同様にCDP試験用及びショートビーム強さ試験用、引張せん断強さ試験用の試験片を作成し、平均剥離トルク、ショートビーム強さ、引張せん断強さを求めた。その結果、CDP室温試験での平均剥離トルクおよびCDP環境暴露試験での平均剥離トルクは実質的に0N・mm/mmであった。
またCDP室温試験後のチタン合金の接着面には、炭素繊維強化プラスチックの凝集破壊跡が見られず、印刷法により求めた凝集破壊面積比率は実施的に0%であった。SB室温試験でのショートビーム強さは20.1MPaであり、SB環境暴露試験では、大幅な強化低下が認められた。引張せん断強さは21.8MPaであった。
(比較例3)
実施例3に用いた非繊維強化プラスチック層を構成する樹脂が、IS1000の代わりにエポキシシラン(信越シリコーン社製 KBM403)を樹脂重量対比1.0%配合したこと以外は、実施例3と同様にCDP試験用及びショートビーム強さ試験用、引張せん断強さ試験用の試験片を作成し、平均剥離トルク、ショートビーム強さ、引張せん断強さを求めた。その結果、CDP室温試験での平均剥離トルク及びCDP環境暴露試験での平均剥離トルクは実質的に0N・mm/mmであった。また、CDP室温試験後のチタン合金の接着面には、炭素繊維強化プラスチックの凝集破壊跡が見られず、印刷法により求めた凝集破壊面積比率は実施的に0%であった。SB室温試験でのショートビーム強さは19.8MPaであり、SB環境暴露試験では、大幅な強度低下が認められた。引張せん断強さは21.5MPaであった。
実施例3に用いた非繊維強化プラスチック層を構成する樹脂が、IS1000の代わりにエポキシシラン(信越シリコーン社製 KBM403)を樹脂重量対比1.0%配合したこと以外は、実施例3と同様にCDP試験用及びショートビーム強さ試験用、引張せん断強さ試験用の試験片を作成し、平均剥離トルク、ショートビーム強さ、引張せん断強さを求めた。その結果、CDP室温試験での平均剥離トルク及びCDP環境暴露試験での平均剥離トルクは実質的に0N・mm/mmであった。また、CDP室温試験後のチタン合金の接着面には、炭素繊維強化プラスチックの凝集破壊跡が見られず、印刷法により求めた凝集破壊面積比率は実施的に0%であった。SB室温試験でのショートビーム強さは19.8MPaであり、SB環境暴露試験では、大幅な強度低下が認められた。引張せん断強さは21.5MPaであった。
以上の結果を表1に示す。
表1からわかるように、チタン合金の接着面にイミダゾール化合物を有する実施例1〜7はいずれもCDP室温試験での剥離トルクが10N・mm/mm以上であり、破断後のチタン合金の接着面にはCFRPもしくは非繊維強化プラスチックまたはその両方の母材破壊の跡が確認され、接着性が良好であることが分かった。また、CDP環境暴露試験では、室温試験に比べて剥離トルクの低下が認められるものの、十分な接着性を有していることが分かった。
一方、チタン合金の接着面にイミダゾール化合物を有しない比較例1〜3は、いずれもCDPの剥離トルクが実質的に0N・mm/mmであり、簡単に剥離する。また、破断後のチタン合金の接着表面にはCFRPの母材破壊の跡は確認されず、接着性が悪いことがわかった。
CDP環境暴露試験及びSBS環境暴露試験は、接着性を十分有している場合は○、接着性が不十分である場合は×で示す。
また、引張せん断試験から求められる引張せん断強度は、イミダゾール化合物の有無に関わらず、20MPa以上発現することが分かった。このことから剥離トルクが実質的に0N・mm/mmであり、接着性が不十分な場合であっても、引張せん断試験では引張せん断強度が20MPa発現するため、接着性はCDPおよび/またはSBS試験により評価することが好ましいことが分かった。
本発明のチタン−繊維強化プラスチック積層材は、自動車、建材、航空機用部材およびスポーツ用具部材等の用途に好適に用いられ、産業上有用である。
1 チタンまたは/およびチタン合金
2 繊維強化プラスチック材料
3 凝集物
4 凝集物
5 接着面
6 非繊維強化プラスチック層
7 強化繊維群
8 マトリックス樹脂
9a 熱可塑性樹脂連続相
9b 熱風合瀬樹脂粒子相
10 熱硬化性樹脂
2 繊維強化プラスチック材料
3 凝集物
4 凝集物
5 接着面
6 非繊維強化プラスチック層
7 強化繊維群
8 マトリックス樹脂
9a 熱可塑性樹脂連続相
9b 熱風合瀬樹脂粒子相
10 熱硬化性樹脂
Claims (19)
- チタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチック材料が接着一体化された積層材において、ASTM D 1781−98に準じて測定したチタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチック材料との平均剥離トルクが10N・mm/mm以上70N・mm/mm以下であることを特徴とするチタン−繊維強化プラスチック積層材。
- チタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチック材料が接着一体化された積層材において、ASTM D 2344/D2344M−00に準じて測定したショートビーム強さが30MPa以上120MPa以下であることを特徴とする請求項1記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
- ASTM D 1781−98に準じて試験した後のチタンまたは/およびチタン合金の接着面に付着している繊維強化プラスチック材料の凝集破壊跡の面積が、接着面の面積対比10%以上100%以下であることを特徴とする請求項1または2記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
- 繊維強化プラスチック材料が、炭素繊維強化プラスチックであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
- チタンまたは/およびチタン合金と繊維強化プラスチック材料の間に、非繊維強化プラスチック層を配してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
- 非繊維強化プラスチック層が熱可塑性樹脂を含む熱硬化性樹脂から構成されていることを特徴とする請求項5に記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
- 熱可塑性樹脂が、線状および/または膜状の連続相の形で、非繊維強化プラスチック層内に混在して構成されていることを特徴とする請求項5〜6のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
- 非繊維強化プラスチック層と繊維強化プラスチック材料との界面付近では繊維強化プラスチック材料の強化繊維と非繊維強化プラスチック層に含まれる熱可塑性樹脂とが混在している層が形成されていることを特徴とする請求項6〜7のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
- 非繊維強化プラスチック層に含まれる熱可塑性樹脂と強化繊維が混在している層では連続相をなす熱可塑性樹脂が、複数の強化繊維と接触していることを特徴とする請求項8に記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
- 非繊維強化プラスチック層の厚みが、0.01mm以上0.1mm以下であり、かつ強化繊維と熱可塑性樹脂とが混在している層の最大厚みが、0.015mm以上0.08mm以下である請求項8〜9のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
- 非繊維強化プラスチック層内の熱可塑性樹脂が、連続相と平均粒径が3μm以上10μm以下の粒子形状の相からなる請求項8〜10のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
- 熱可塑性樹脂が、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、EVA樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂およびPPS系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の熱可塑性樹脂である請求項6〜11のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
- 熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂およびポリイミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂である請求項6〜12のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
- 熱可塑性樹脂の融点もしくは軟化点が、200℃以下であることを特徴とする請求項6〜13のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
- 繊維強化プラスチック材料を構成するマトリックス樹脂に、イミダゾール化合物が配合されていることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
- 非繊維強化プラスチック層を構成する樹脂に、イミダゾール化合物が配合されていることを特徴とする請求項5〜15のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
- チタンまたは/およびチタン合金の接着箇所にイミダゾール化合物が付与されてなることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材の製造方法。
- イミダゾール化合物が、イミダゾール環を含むシランカップリング剤であることを特徴とする請求項15〜17のいずれかに記載のチタン−繊維強化プラスチック積層材。
- チタンまたは/およびチタン合金と、繊維強化プラスチックを構成する中間材料との間に、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を含む非繊維強化樹脂組成物シートを配置して、積層体を形成した後、該積層体を該熱可塑性樹脂の融点または軟化点以上の温度で、非繊維強化樹脂組成物を構成する熱硬化性樹脂を硬化させて、接着一体化することを特徴とするチタン−繊維強化プラスチック積層材の製造方法。
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