JP2608913B2 - 補強層を備えたfrp成形品及びその成形方法 - Google Patents

補強層を備えたfrp成形品及びその成形方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は補強層を備えたFRP成形品、更に詳しくは裏
面に補強層を備えた浴槽,洗い場付浴槽,浴槽載置用台
(床パン)等の湯水用のFRP製容体及びその成形方法に
関するものである。
〔従来技術及びその問題点〕
従来、浴槽,洗い場付浴槽,浴槽載置用台(床パン)
等のFRP製容体は、底部に耐強度を付与したり、水栓器
具類の取付を強固にすべく裏面に、脚部や水栓器具類の
取付板を裏打ちした補強層を備えている。
この補強層は所望形状に切截形成した木板を所定位置
にGタイプ樹脂を介してあてがいFRPのライニング層
を、その木板に包被するようにFRP製容体裏面に固着す
ることによって成形されている。
しかし、上記先行技術においてFRPのライニング層は
脱泡作業を遂行しつつ、数層に積層する手法であること
に起因して脱泡が十分ではなく残泡するケースが多く、
特に補強層の断面形状が厚肉部分と薄肉部分とを有する
段違いになっている場合にはその段違い部に残泡が包被
むらが多くなることが避けられず、湿気や浴槽排水等が
そのFRPのライニング層に浸透して木板の腐蝕を促し、
補強層がFRP製容体から剥離し脱落する問題点があっ
た。
また、この先行技術は浴槽水(湯)や浴槽排水(湯)
によってFRP製容体が若干熱膨張した際、木板との熱膨
張に伴う収縮率の相異により容体表面に微細なクラック
が発生し、耐久性が劣化する虞れもあった。
〔技術的課題〕
本発明の第1の技術的課題は湿気や浴槽排水を浸透せ
ず、しかも熱収縮率の相異を緩和する機能を補強層に付
与することによって補強層のFRP成形層からの脱落やFRP
成形層へのクラック発生を阻止することにある。そして
第2の技術的課題は第1の技術的課題を達成するFRP成
形品を、新規な方法で成形することにある。
更に、第3の技術的課題は、補強層が厚肉部と薄肉部
とを有する異形した形状であっても、FRP成形層からの
脱落やFRP成形層のクラック発生がないFRP成形品を新規
な方法で成形することにある。
〔技術的手段〕
上記技術的課題を達成する為に講じた技術的手段は、
次の通りである。
・第1の技術的課題について、 FRP成形層の裏面にFタイプ樹脂層を介して補強層と
なる補強用レジンコンクリート層を複合化させているこ
とである。
・第2の技術的課題について、 成形型の成形面にハンドレイアップやスプレーアップ
法によってFRP成形層を成形し、該FRP成形層半硬化状態
でそのFRP成形層上の所望位置に粘液状のFタイプ樹脂
を塗着してFタイプ樹脂層を成形し、該Fタイプ樹脂層
半硬化状態でFタイプ樹脂層上に補強層となる補強用レ
ジンコンクリート層を積層一体化し、硬化後脱型するこ
とである。
・第3の技術的課題について、 補強用レジンコンクリートが、予め成形されている厚
肉部と、その厚肉部同志を連絡する粘液状のレジンコン
クリートからなる薄肉部とからなり、半硬化状態のFタ
イプ樹脂層上に厚肉部を載置後、それ等厚肉部間に粘液
状のレジンコンクリートを塗着し、硬化後脱型すること
である。
〔作 用〕
本発明の技術的手段による作用は、次の通りである。
第1の技術的手段による作用 FRP成形層と、補強層となる補強用レジンコンクリー
ト層との間に介在されたFタイプ樹脂が、FRP成形層と
補強用レジンコンクリート層相互の熱収縮率の相異によ
って発生する応力を緩和し、更にレジンコンクリートに
は通水性がなくFRP成形層との境界部に湿気や浴槽排水
を浸入させない。
第2の技術的手段による作用 FRP成形層,Fタイプ樹脂,補強層となる補強用レジン
コンクリートを夫々半硬化時に順次塗着積層することに
よって三者を複合化状態で一体成形する。
第3の技術的手段による作用 補強用レジンコンクリート層が厚肉部と薄肉部とを有
する脚部の如き異形形状を呈している場合、半硬化状態
のFタイプ樹脂上に、予め成形されている脚杆(厚肉
部)を載置し、更にそれ等脚杆(厚肉部)間に粘液状の
Fタイプ樹脂からなる裏打補強板(薄肉部)を塗着し、
硬化後脱型することで、脚杆(厚肉部),裏打補強板
(薄肉部)双方を有する補強用レジンコンクリートであ
りながら、硬化時に発生する発熱を、均一厚な裏打補強
板(薄肉部)からの発生にとどめる。
〔実施例〕
次に、本発明の実施例を図面に基いて説明する。
本発明補強層を備えたFRP成形品及びその成形方法
を、第3図乃至第6図に示す浴槽(C)の成形方法の工
程図に基いて説明する。
第3図において、(A)は成形型を示し、成形型
(A)には離型剤(1)が塗着されており、この離型剤
(1)上にまず、ゲルコート層(2)を介してFRP成形
層(3)をハンドレイアップやスプレーアップ法を用い
て成形する。
このFRP成形層(3)は、不飽和ポリエステル樹脂を
ガラス繊維に含浸させた後脱泡ローラで内部に混入して
いる混入泡(空気泡)を、脱泡する一連の工程をガラス
繊維の積層毎に行なって所望厚に成形する(ハンドレイ
アップ法)。
第4図において、(4)はFタイプ樹脂層である。
このFタイプ樹脂層(4)は、一般成形用樹脂(不飽
和ポリエステル樹脂)にアジピン酸,ジエチレングリコ
ール等の原料を1割程度加えた緩衝機能を首する軟質用
樹脂と呼称されたもので、補強層(B)を形成する所定
箇所にこの粘液状のFタイプ樹脂層(4)を、FRP成形
層(3)半硬化時に所望厚塗着する。
第5図において、(5)は前記補強層(B)を形成す
る補強用レジンコンクリート層である。
この補強用レジンコンクリート層(5)は本実施例の
場合には、底部裏面ほぼ全域に亘って裏打される裏打補
強板(薄肉部(5a))と、その裏打補強板(薄肉部(5
a))に一体化される脚杆(厚肉部(5b)(5b))とか
らなっており、不飽和ポリエステル樹脂,低収縮添加剤
の合量100重量%に対して砂やマーブルチップ等の無機
物質300重量%,炭化カルシウム100重量%,硬化材1重
量%を夫々混合した配合組成になっている。
脚杆(5b)(5b)(厚肉部)は、予め別工程で成形し
ておき、前記Fタイプ樹脂層(4)の半硬化状態で直接
Fタイプ樹脂層(4)上に平行状や井桁状に載置する。
裏打補強板(5a)(薄肉部)は粘液状のレジンコンク
リートを、得ようとする板厚をもって脚杆(5b)(5b)
(厚肉部)間は勿論のことその周囲に塗着する。
(6)は、この裏打補強板(5a)(薄肉部)塗着時に
底部以外に粘液状のレジンコンクリートがはみ出ないよ
うに底部周縁に載置する平面□形の枠状治具である。こ
の枠状治具(6)の厚さ(高さ)を裏打補強板(5a)
(薄肉部)の板厚と同厚となせば、粘液状のレジンコン
クリートを塗着する際に、塗着厚を決めるゲージにもな
る。
裏打補強板(5a)(薄肉部)は硬化時に発熱するもの
の、同材料で成形した厚肉な脚杆(5b)(5b)は予め別
工程で成形されたものを用いている為、薄肉は裏打補強
板(5a)との相互間において反りや変形を招く発熱温度
の高低が生ぜず、薄肉な裏打補強板(5a)から一定した
発熱があるにとどまり反り,変形を発生させない。
(7)は、この補強用レジンコンクンリート層(5)
上に塗着するFRPのライニングからなる保護層であり、
裏打補強板(5a)硬化後に塗着する(第6図)。
第1図,第2図は、脱型後のFRP成形品(浴槽
(C))を示している。
尚、本実施例では補強層(B)が厚肉部(脚杆(5b)
(5b))と、薄肉部(裏打補強板(5a))とを有した異
形した場合の成形方法を図示して説明を加えているが、
第1図及び第2図に図示されているように浴槽(C)の
上縁面(c)裏面に水栓器具等の補強層(B)を形成す
る等、補強層(B)厚が均一な場合には、半硬化時のFR
P成形層(3)において上縁面の裏側に相当する部分に
Fタイプ樹脂層(4)を本実施例と同様に塗着し、その
Fタイプ樹脂層(4)の半硬化時に粘液状のレジンコン
クリートを一定厚に塗着し、硬化後本実施例と同様に保
護層(7)を塗着してFRPのライニング材を塗着すれば
良い。
また、Fタイプ樹脂層はFタイプ樹脂単体で形成した
例について述べたが、Fタイプ樹脂中にガラスマットや
ガラスクロスを介在させて形成するも任意である。
〔発明の効果〕
本発明は以上のように構成したので、下記の利点があ
る。
請求項1について レジンコンクリートには通水性がなく、また耐蝕性が
あるから、FRP成形層との境界部に湿気や浴槽排水が浸
入することがなく、先行技術のように補強層が腐蝕する
こともなければ脱落することもなく、耐久性の劣化を招
かない。
また、FRP成形層と、補強用レジンコンクリート層と
の間に介在されたFタイプ樹脂が、FRP成形層と補強用
レジンコンクリート層相互の熱収縮率の相異によって発
生する応力を緩和するから、浴槽水(湯)や浴槽排水
(湯)によってFRP成形層,補強用レジンコンクリート
層が加熱されても、クラック等の損傷が生じる虞れもな
い。
更に、Fタイプ樹脂層は周知の通り、軟質用樹脂であ
るから、FRP成形層上に誤って浴槽用具が落下しても底
部下にFタイプ樹脂層が積層されており、そのFタイプ
樹脂層がクッション層として作用して衝撃を緩和するか
ら、外的な衝撃が作用しても損傷することもなくなり有
用である。
請求項2について、 FRP成形層,Fタイプ樹脂層,補強用レジンコンクリー
ト層を夫々半硬化時に順次塗着することによって三者が
複合一体化されるので、層間剥離が生ぜず耐久性がアッ
プした補強層を備えたFRP成形品を供することができ
る。
請求項3について 補強用レジンコンクリート層が厚肉部と薄肉部とを有
する例えば浴槽等の脚部の如く脚杆(厚肉部)と、浴槽
底部を補強する裏打補強板(薄肉部)とを有する異形形
状であっても、厚肉部を予め別工程で成形してFタイプ
樹脂層上に載置し、薄肉部を粘液状のレジンコンクリー
トを塗着,裏打ちすることによって薄肉部硬化と同時に
厚肉部と一体化して補強層を成形する。その際、硬化時
に生じる発熱は均一厚であるその薄肉部からの一定温度
の発生するにとどまるので、例えば厚肉部をも粘液状の
レジンコンクリートの塗着によって裏打ちする方法のよ
うに厚肉部と薄肉部との発熱温度の相異によって薄肉部
が反りや変形を惹起されることがなく、厚肉部と薄肉部
とを有する異形形状の補強層を有するFRP成形品を、商
品価値を損うことなく成形できる。
依って、所期の目的を達成できる。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明補強層を備えたFRP成形品及びその成形方
法の実施例を示し、第1図は浴槽の縦断面図、第2図は
底面図で一部切欠する、第3図はFRP成形層を成形型上
に成形した状態を示す縦断面図、第4図は更にFタイプ
樹脂層を、FRP成形層上に塗着した状態を示す縦断面
図、第5図は更に補強用レジンコンクリート層を、Fタ
イプ樹脂層上に積層した状態を示す縦断面図、第6図は
更に保護層を補強用レジンコンクリート層を塗着した状
態を示す縦断面図である。 尚図中、 (3):FRP成形層、(4):Fタイプ樹脂層 (5):補強用レジンコンクリート層 (B):補強層、(A):成形型 (5b):厚肉部(脚杆) (5a):薄肉部(裏打補強板) (C):浴槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 67:00 105:06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】FRP成形層の裏面にFタイプ樹脂層を介し
    て補強層となる補強用レジンコンクリート層を複合化さ
    せていることを特徴とする補強層を備えたFRP成形品。
  2. 【請求項2】成形型の成形面にハンドレイアップやスプ
    レーアップ法によってFRP成形層を成形し、該FRP成形層
    半硬化状態でそのFRP成形層上の所望位置に粘液状のF
    タイプ樹脂を塗着してFタイプ樹脂層を成形し、該Fタ
    イプ樹脂層半硬化状態でFタイプ樹脂層上に補強層とな
    る補強用レジンコンクリート層を積層一体化し、硬化後
    脱型することを特徴とする補強層を備えたFRP成形品の
    成形方法。
  3. 【請求項3】上記補強用レジンコンクリートが、予め成
    形されている厚肉部と、その厚肉部同志を連絡する粘液
    状のレジンコンクリートからなる薄肉部とからなり、半
    硬化状態のFタイプ樹脂層上に厚肉部を載置後、それ等
    厚肉部間に粘液状のレジンコンクリートを塗着し、硬化
    後脱型することを特徴とする請求項2記載の補強層を備
    えたFRP成形品の成形方法。
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