JP5372665B2 - 光硬化型接着剤、光ピックアップ装置及びその製造方法 - Google Patents

光硬化型接着剤、光ピックアップ装置及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光硬化型接着剤とその接着方法に関するものである。特に、CD(コンパクトディスク)やDVD(デジタルバーサタイルディスク)等の光記録媒体の記録,再生に用いられる光ピックアップ装置の接着剤および接着方法に関するものである。
CDやDVDやBlu−ray(登録商標)ディスク等の光記録媒体の記録,再生に用いられる光ディスクドライブ装置にかかる光ピックアップ装置に使用されるミラーやレンズといった光学部品の固定には、接着剤が使用されている。ミラーやレンズの材質は、ポリオレフィンやアクリル樹脂やガラスといったものが多くを占めている。一方で光ピックアップのケースの材質は金属(Zn、Mg、Al)やPPS(ポリフェニレンサルファイド)といった材料が使用されている。このように、対物レンズ以外の光学部品の場合には、光ピックアップ装置の低コスト化や薄形化の観点から、光ピックアップのケースに直接接着することが必要となり、材料が異なるものを接着するために接着剤の物性によっては、接着剥離といった接着強度の低下が問題となっている。
近年、青色半導体レーザに対応したBlu−rayディスクの光ピックアップ装置やそれを組み込んだ光ディスクドライブ装置が台頭してきており、これらはCDやDVD等とはより更に光学部品の密度が大きくなる。その結果、薄型、超薄型、ハーフハイト型の全てにおいて部品搭載密度が高くなり、接着箇所も狭くなってくる。また、接着剤そのものが、環境の温度や湿度が変化することで膨張や収縮がおこるため、光学部品の位置がずれてしまうことで光軸ずれが起こり、光ピックアップ装置の性能が著しく低下してしまうことがある。紫外線が充分接着剤内部まで透過し、かつ熱膨張による位置ずれを抑えるような接着剤を開発する必要がある。
一般的な接着剤では、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、シリコーン系など様々な有機材料から作られている。特に電子機器の製造で使用されることの多いエポキシ系接着剤やアクリル系接着剤は、環境変化、特に温度や湿度に影響されて接着剤自身が膨張若しくは収縮してしまうという問題が発生した。光学機器、部品の接着時に一般的に使用されるアクリル系及びエポキシ系の接着剤では、硬化した接着剤自身が大気中の水分を吸収してしまうために膨張する。また、温度変化によっても接着剤の体積は変化し、初期状態を体積変化率0とすると一度温度を上昇させてから初期の温度に戻すと体積は元に戻らず収縮する。そのため、光学部品の位置ずれが発生する。この光学部品の位置ずれ精度としてμmオーダーが必要となっている。よって、接着剤自身の温度、湿度変化によっても影響を受けない接着剤を開発する必要がある。
そこで、接着剤に機能性フィラーを添加し接着剤に高付加価値をつけるということが行われている。特に、放熱性や導電性などを有する機能性フィラーをさらに添加することにより、接着剤に種々の機能を付与することができる。
さらにこれらの機能性フィラーを微細化しナノサイズまで小さくすることによって、少量の添加で機能が発現するような接着剤の研究がなされている。ナノサイズのフィラーの種類には、ガラスやシリカといった無機材料より製造されたものから現在では、フラーレンやカーボンナノチューブのような有機化合物から製造されたものまで幅広く利用されている。そのなかでも、自然界に存在している層状粘土鉱物(粘土)をフィラーとして使用することが検討されている。
粘土は主成分としてSiO2, Al2O3,MgOから成り立っており、その構造は図9に示すように層状になっている。一般的に粘土状鉱物(例えば、モンモリロナイト、サポナイト、スメクタイト)は、シート状になっており、非常に大きいアスペクト比を有している。この層間距離dを大きくするために層状のシートの表面にSiを含むシランカップリング剤で覆うことにより接着剤中に分散しやすくすることで、接着剤の物性向上を目指している。このように、種々の機能を持つフィラーを接着剤に混練、分散させることにより容易に接着剤に機能を付与することが可能となる。
なお、本発明に係り、先行技術文献として特許文献1〜2がある。
特許文献1では、紫外線硬化型塗料に粒径100μm以下の球形フィラーを10〜50%添加することで200μm程度の厚さの塗膜でも充分硬化することを示しているが、フィラーと塗料との屈折率の関係については述べられていない。
特許文献2では、アスペクト比が10以上で厚さが100nm以下である板状フィラーと平均粒径が100nm以下のものを同時に添加した制振性粘着剤組成物について述べられているが、母剤として粘着剤を使用しており、接着剤の場合とは異なり粘着剤の硬化や、被着体間の充分な接着強度を保持したような固定は考慮していない。
特開平05-287224号広報 特開2007-277419号広報
しかしながら、上記のように接着剤に機能性フィラーを添加すると、接着剤の光透過性が低下してしまう場合がある。
特に、Blu−rayディスク用の光ピックアップでは部品点数が非常に多くなり実装密度が大きくなるため、光学部品と光ピックアップケース間の距離が非常に短くっており、機能性フィラー付加により接着剤の光透過性が低下し、光硬化型接着剤の内部まで紫外線が十分当たらずに硬化時間が遅くなったり、未硬化のままになってしまう恐れがある。その結果、接着強度の低下や位置ずれによる不良が問題となる場合がある。
本発明の目的は、熱収縮率低減や水蒸気透過性の低減といった別の機能を持つフィラーを接着剤に添加したときでも、紫外線の透過率の低下を抑えて機能を付与することが可能である接着剤を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、光開始剤を含む光で硬化する接着剤で、接着剤との屈折率の差が±0.02以下になるようなフィラーを添加したことを特徴とする。
本発明によれば、接着剤に機能性フィラーを添加した場合でも、光が接着剤の表面だけでなく深いところまで到達し、接着剤の未硬化による不良を低減することができる。このため、生産性が良く、安定した品質で光ピックアップ装置を提供することができる。
本発明の実施の形態を示す説明図である。 本発明の実施例1の光硬化型接着剤とフィラーの屈折率の差と紫外線透過率の関係を表す模式図である。 本発明の実施例1の接着強度測定の結果を表す模式図である。 本発明の実施例1の粘度測定の結果を表す模式図である。 本発明の実施例1の寸法変化率測定の結果を表す模式図である。 本発明の実施例2の実施の形態を示す説明図である。 本発明の実施例3の熱伝導率の結果を表す模式図である。 本発明に係る光ピックアップ装置の一般的な形態を示す上面図である。 本発明の比較例1及び実施例2における層状粘土鉱物の一般的な形態を示す説明図である。 本発明の実施例4の実施の形態を示す説明図である。 本発明の実施例5の実施の形態を示す説明図である。 本発明の実施例6の実施の形態を示す説明図である。 本発明の実施例7の実施の形態を示す説明図である。
図1に示すような接着剤を作製した。ベースとなる接着剤には、光開始剤を含む紫外線硬化型アクリル系接着剤1(屈折率:1.49)を使用した。この接着剤は、光透過性である。この接着剤に、材質がガラス(主成分:SiO2、屈折率:1.51)であり、屈折率の差を0.02以下である球状で平均半径が50μmの球状フィラー2を添加した。球状フィラー2の接着剤への添加量は2wt%、5wt%、10wt%、15wt%である。フィラーと接着剤の混練は、(株)シンキー製の自転公転真空ミキサー(あわとり練太郎)を使用し、101kPa、1000rpmで5分間混練を行った。
表1に紫外線の照射強度を100mW/cm2と一定にして、照射時間を10秒、20秒、30秒と変化させた時の、球状フィラーを添加した接着剤の深部硬化性測定の結果である。深部硬化性測定は、内径5mm、外径8mmの塩化ビニール製チューブに接着剤を塗布し硬化させた後、アセトン中で超音波洗浄を行い、硬化した部分のみを取り出すことで行った。照射面から硬化したところまでの長さを測定し、深部硬化深さとした。ベースの接着剤1のみでの硬化深さと球状フィラー2を添加したときの硬化深さはほとんど変わらないことがわかった。
Figure 0005372665
比較例1として、粘土フィラー3(屈折率:1.56)を添加した接着剤で深部硬化性測定を行った。接着剤との屈折率の差は0.02よりも大きい。粘土はシランカップリング剤により表面を修飾した市販されているものを利用した。例えば、(株)ホージュン製のエスベンNXシラン処理を利用した。この粘土は層間距離を大きくかつ溶剤に溶けやすくするためにすでに末端がメチル基で、粘土表面でSi-Oの化学結合するようなSiを炭素数3以上18以下である有機分子で覆われている。混練は、実施例1と同じ自転公転真空ミキサーを使用し、101kPa、1000rpmで5分間行った。
表2にベースの接着剤1を上記紫外線硬化型アクリル系接着剤を用い、粘土フィラー3を種々の重量パーセント添加したときの深部硬化性測定結果を示す。測定方法は上記球状フィラー2を添加した接着剤と同様で、照射強度を100mW/cm2と一定にして、照射時間を10秒、20秒、30秒と変化させて測定を行った。粘土フィラー2の添加量が増えるほど、硬化深さが短くなってしまうことがわかる。このように、球状フィラー2を添加しても全く紫外線透過性が変化しないことがわかった。この理由としては、球状フィラー2と接着剤1の屈折率差が小さいこと、フィラーの形状が球状であるため、フィラー表面での乱反射や光散乱を抑えることができることが挙げられる。
Figure 0005372665
図2に紫外線硬化型アクリル系接着剤とフィラーの屈折率の差と紫外線透過率の関係を示す。屈折率の差が大きいほど紫外線透過率は低下し、屈折率が0.1以上異なると、30%程度しか紫外線は透過しない。したがって、屈折率の差が0.02以下になるようにフィラー及び接着剤を選定することにより、紫外線は少なくとも50%以上透過し、深部まで充分硬化させることができる。
図3に、接着剤1との屈折率の差が±0.02以下であり球状のフィラー2を種々の割合で添加したときの接着強度測定結果を示す。被着体としてアルミニウムとプラスチックを使用し、引っ張り強度を測定した。フィラー2の添加量を増やしても接着強度の低下はないことを確認した。したがって、フィラー2を添加することによる接着強度の低下はなく、接着剤塗布箇所の深部まで紫外線が届いていることが確認できた。
図4に、上記フィラーの添加量を増加させた時の硬化前の粘度測定結果を示す。粘度測定は、コーンプレート型粘度計を用い、測定温度は25℃とした。図4では、2rpm時の粘度測定結果を示した。Aは接着剤1との屈折率の差が±0.02以下である球状フィラー2、Bは粘土フィラー3をそれぞれ単独で添加したときの結果である。粘度測定の結果から、球状フィラー2の添加量が増加することで粘度が徐々に増加するが、70wt%の球状フィラー2を添加させたときに粘度が急激に増加することがわかった。一方、粘土フィラー3を添加した場合は10wt%程度の添加でも粘度が充分大きくなることが分かった。このように粘土フィラーのような一部のフィラーでは、10wt%程度の添加で粘度が大きくなりすぎてしまい、作業性が悪化する恐れがある。そこで、表1で示すように球状フィラー2の添加量は、粘度が300Pa・s以下になるような添加量である70wt%以下が最適であることが分かった。
接着剤としては、アクリル系またはエポキシ系の接着剤が使用できる。使用するフィラーとしては、接着剤の屈折率が一般的に1.40-1.70程度であるので、無機材料では、アルミニウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、メタケイ酸ナトリウム、炭酸バリウム、フッ化バリウム、フッ化カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、石英、ガラス等を使用することが望ましい。有機材料では、メラミン樹脂、ナイロン、ポリスチレン、ポリエチレン、ビニル樹脂、フッ素樹脂等を使用することが望ましい。
また、本実施例では、フィラーの混練方法としてはリボンミキサー、加圧ニーダー、ダブルスクリュー押し出し機、3本ロールミル、ビーズミル、自転公転真空ミキサー等があり特に混練手段を選ばないが、自転公転真空ミキサーを使用することが望ましい。
また、本実施例では、接着剤硬化用の光源としては可視光、紫外線、赤外線等が挙げられるが、紫外線を使用することが望ましい。
以上により、本実施例では、接着剤とフィラーとの屈折率の差を0.02以下とすることにより、接着剤を硬化させる光の透過率低下を抑えることができる。
比較例1のような粘土フィラー3を、実施例1のような球状フィラー2が添加されている接着剤に添加したことを想定し、球状フィラー2及び粘土フィラー3を添加した接着剤の硬化物の熱機械分析(TMA)を行い、加熱前後での寸法変化率を測定した。サンプルのサイズは4mm×4mm×10mmで、紫外光を200mW/cm2で60秒間照射し硬化させた。TMA測定は長軸側を圧縮条件で行い、加重は5gfとした。また、硬化させた接着剤を室温から70℃まで加熱し、70℃で2時間保持した後、室温に戻し測定前との伸縮の差を寸法変化率として、フィラー添加量を横軸、寸法変化率を縦軸にしたグラフを図5に示す。
少量の粘土フィラー3の添加によって熱による寸法変化の抑制が可能であり、非常に大きな効果があることがわかった。また、粘土フィラー3の添加量が多いものほど寸法変化率が小さくなり10wt%の粘土フィラー3添加により、元の接着剤の20%の寸法変化率となった。
球状フィラー2を添加した場合でも、寸法変化率低減効果は見られたが粘土を添加した場合よりも小さかった。この理由としては、粘土フィラー3がナノサイズであるため、接着剤1のオリゴマーと同等もしくはそれよりも小さくなり、接着剤との密着性が上がると考えられる。その結果接着剤1との密着性が上がり粘土フィラー3自身は剛直であるため、接着剤1の熱による収縮を阻害するためであると考えられる。このように、球状フィラー2及び粘土フィラー3ともに接着剤の熱収縮低減効果があるが、表2で示したように粘土フィラー3のみでは10wt%以下の添加で深部硬化性が大きく低下する。しかしながら、図6のように、紫外線透過性の球状フィラー2を添加した接着剤に粘土フィラーを2〜10wt%添加した接着剤では、球状フィラー2を紫外線が透過して、紫外線透過性を落とさずに、熱収縮効果を最大限に発揮させることが出来る。
本実施例では、光硬化型接着剤に、少なくとも一辺が100nm以上500nm以下であり、一枚のシートの厚さが2nm以下であるケイ酸を主成分とする層状粘土鉱物を含むことを特徴とする。また、表面が少なくとも有機分子で覆われている層状粘土鉱物を用いることを特徴とする。また、少なくとも有機分子で覆われた粘土が2wt%〜10wt%含まれていることを特徴とする。
本実施例では、層状粘土鉱物としてカオリナイト、パイロフィライト、タルク、モンモリロナイト、サポナイト、ハロイサイト、クリソタイト、バーミキュライト、雲母、マーガライト等の粘土鉱物が使用されることが望ましい。また本発明では、層状粘土鉱物の表面が、炭素数が3−16であるようなシランカップリング剤で覆われていることが望ましい。
図7にアルミナ(屈折率:1.76)の球状フィラーを使用したときの熱伝導率と添加量の関係を示す。図1のように接着剤の屈折率との差が±0.02以下になるようなアルミナフィラーがある場合を想定した。フィラー添加量が増えるほど、熱伝導率も大きくなることがわかり、特に、フィラー添加量が70%以上で熱伝導率が大幅に向上している。アルミナは、36W/m・Kと他の物質と比較しても熱伝導率が大きくかつ、価格も安く非常に使用しやすい物質である。したがって、アルミナのように熱伝導率の良い無機材料をフィラーとして使用した場合は、紫外線透過性を向上させるとともに、接着剤の熱伝導率を大きくすることができる。
図10に紫外線透過性フィラー2と針状フィラー12を同時に添加した接着剤の模式図を示す。針状フィラー12を添加したときの効果を検証するために、紫外線硬化型接着剤1に、針状フィラー12を添加したときの熱収縮量変化と線膨張率の測定を行った。針状フィラー12は、上記のように様々な材質、形状のものが市販されている。今回は、サイズは直径が1μmで長さが10μm〜30μmであり材質がホウ酸アルミニウムである四国化成工業(株)のアルボレックスを使用した。
熱収縮量は元の接着剤と比較し、10wt%添加で30%減少した。またこのときの線膨張率は125ppmと元の接着剤の線膨張率(150ppm)よりも約20%減少していることから、接着剤との屈折率の差が±0.02以下であるフィラーを添加して紫外線透過性を改善した接着剤に、このような少量の添加で線膨張率を低下させることのできる針状フィラーを添加することにより、光ピックアップ用接着剤の線膨張率の低減が可能である。
したがって、図10の模式図に示すような紫外線透過性フィラー2と針状フィラー10を同時に添加した接着剤を作製することにより、紫外線透過性の低下を抑え、かつ、熱による膨張収縮を抑制する接着剤が出来る。
本実施例の針状フィラーとして材質は、グラファイト、チタン酸カリウム、アルミナ系、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ムライト、マグネシア、ホウ酸マグネシウム、酸化亜鉛、ホウ化チタン(TiB2)等が使用されることが望ましい。
また、本発明では、繊維状フィラーとしてカーボン繊維、ガラス繊維、ステンレス、鉄、金、銀、アルミニウム等の金属繊維等が使用されることが望ましい。
図11に繊維状フィラー13と接着剤1との屈折率の差が±0.02以下であるフィラー2を同時に接着剤に添加したときの模式図を示す。繊維状フィラー13を接着剤1に添加すると、繊維が接着剤内部で絡み合うことにより引っ張り強度や靭性や熱膨張の低減が可能となる。一方で、繊維状フィラー13を添加することにより、接着剤1内部への紫外線透過性が低下する可能性があるが、紫外線透過性のフィラー2が添加されているので、紫外線の透過率が低下することによる接着剤の未硬化は起こらず、繊維状フィラー13を添加した効果を発揮することができる。
図12に接着剤1との屈折率の差が±0.02以下であるフィラー2と粘土フィラー3と針状フィラー12を同時に接着剤に添加したときの模式図を示す。各フィラーは紫外線透過性の向上、低収縮率化、低透水率化、低線膨張率化とそれぞれ異なる機能をもつ。紫外線硬化型接着剤1に粘土フィラー3や針状フィラー12を添加すると表2にも示すように、紫外線透過性が低下する恐れがある。そこで球状フィラー2を添加することにより、紫外線透過性を低下させることなく、各フィラーの機能がすべて発現する接着剤ができる。
図13に接着剤1との屈折率の差が±0.02以下であるフィラー2と金属フィラー14を同時に接着剤に添加したときの模式図を示す。金属フィラー14を接着剤1に添加すると、接着剤に導電性を付与することができる。しかし、金属フィラーが十分小さければフィラー2が紫外線を透過させるために、母剤である紫外線硬化型接着剤1の硬化が可能である。したがって、導電性接着剤は一般的には熱硬化型しかないが図13のような光硬化型の接着剤も作製可能となる。
金属や半導体のフィラーとして、銀、銅、金、スズ、ニッケル等の金属粒子や、CdTe、CdS、ZnO、TiO2等の半導体粒子を使用することが望ましい。
図8に、本実施例にかかる光ピックアップ装置を示す。この光ピックアップ装置では、レーザダイオードなどの発光素子10からの出射光を各種レンズ5及びプリズム6,ミラー7等を介して対物レンズに導き、光記録媒体上で収束させる光学系と、光ディスク9からの戻り光を対物レンズ及び他各種レンズ,プリズム,ミラーを介して光出力を電気信号に変換するための光電変換素子(受光素子)4で受光する光学系になっている。この中で、各種レンズ等の光学部品は、光ピックアップケース11に対して光学的観点から最適な位置に接着剤を用いて固定することが必要となる。このような光ピックアップ装置は、様々な規格の光ディスク媒体やディスクの反りにより面ブレを起こす光ディスクに対して、アクチュエータ8によって対物レンズの高さを微調整させ、対物レンズと光ディスク面をある一定の距離にすることで、光ディスクの信号の読み出しや書き込みを安定して行うことを可能としている。
本実施例では、実施例1〜7で説明した接着剤により、発光素子10、各種レンズ5、プリズム6、ミラー7などを筐体に接着する。接着は、上記光学部品と筐体との間に接着剤を塗布し、その後接着剤に硬化用の光を照射することにより行う。使用する接着剤は、機能性フィラーを添加してあるが、光透過性の低下を抑えてあるので、接着剤が素早く硬化し、接着剤の未硬化や収縮を抑えて接着を行うことができる。
光ピックアップの光学部品の接着厚が一般的に500μm以下であるため、フィラーの最大長さは500μm以下であれば使用上問題ないが、接着厚が薄くなる部分では、目標とする接着厚以下のフィラーを使用することが望ましい。
光ピックアップ装置に使用される光学部品の接着は、装置の光学特性に大きく影響を及ぼす重要部品の一つである。このため、光学部品の接着による位置ずれを低減し、高い位置精度で最適な位置を保持できるように接着箇所深部まで接着剤を充分に硬化させる技術は、歩留まり向上や製造時間短縮による低コスト化及び高性能化を実現する重要技術である。この技術は、例えば次世代光通信用装置などの光学部品を固定化する必要があり且つ部品の位置ずれが問題となるような光を用いた装置に利用できる。
1:光硬化型接着剤
2:接着剤との屈折率の差が±0.02以下であるフィラー
3:粘土フィラー
4:受光素子
5:レンズ
6:プリズム
7:ミラー
8:アクチュエータ
9:光ディスク
10:発光素子
11:ピックアップケース
12:針状フィラー
13:繊維状フィラー
14:金属フィラー
100:光ピックアップ装置
101:光ディスクドライブ装置

Claims (4)

  1. 光開始剤を含み、光で硬化する接着剤において、上記接着剤との屈折率の差が0.02以下である第一のフィラーと、上記第一のフィラーとは異なる、上記接着剤との屈折率の差が0.02よりも大きい第二のフィラーとを備え、上記第二のフィラーは、ケイ酸を主成分とする層状粘土鉱物を含むことを特徴とした光硬化型接着剤。
  2. 請求項1記載の光硬化型接着剤において、
    上記層状粘土鉱物は、少なくとも一辺が100nm以上500nm以下であり、一枚のシートの厚さが2nm以下であることを特徴とする光硬化型接着剤。
  3. 請求項1または請求項2のいずれかに記載の光硬化型接着剤において、
    上記層状粘土鉱物は、表面が有機分子で覆われていることを特徴とする光硬化型接着剤。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の光硬化型接着剤において、
    上記層状粘土鉱物が2wt%〜10wt%含まれていることを特徴とする光硬化型接着剤。
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