以下、本発明による燃料電池システムの一実施の形態について説明する。図1はこの燃料電池システムの概要を示す概要図である。この燃料電池システムは燃料電池10と、この燃料電池10に必要な水素ガスを含む燃料ガス(改質ガス、アノードガス)を生成する改質装置20と、燃料電池10から排出される排熱および/または改質装置20にて発生する排熱を回収して利用する排熱回収システム30と、を備えている。
燃料電池10は、燃料極11と酸化剤極である空気極12とを備えており、燃料極11に供給されたアノードガスおよび空気極12に供給された酸化剤ガスである空気(カソードガス)を用いて発電するものである。
改質装置20は、改質用燃料(原料)を水蒸気改質し、水素リッチな改質ガスを燃料電池10に供給するものであり、改質部、一酸化炭素シフト反応部(以下、COシフト部という)および一酸化炭素選択酸化反応部(以下、CO選択酸化部という)から構成されている。改質用燃料としては天然ガス、LPG、灯油、ガソリン、メタノールなどがあり、本実施の形態においては天然ガスにて説明する。
改質部は、改質用燃料ポンプ48aから供給された改質用燃料に改質水ポンプ49aから供給された改質水(水蒸気)を混合した混合ガスを改質部に充填された触媒(例えば、Ru、Ni系の触媒)により改質して水素ガスと一酸化炭素ガスを生成している(いわゆる水蒸気改質反応)。これと同時に、水蒸気改質反応にて生成された一酸化炭素と水蒸気を水素ガスと二酸化炭素とに変成している(いわゆる一酸化炭素シフト反応)。これら生成されたガス(いわゆる改質ガス)はCOシフト部に導出される。
COシフト部は、この改質ガスに含まれる一酸化炭素と水蒸気をその内部に充填された触媒(例えば、Cu、Zn系の触媒)により反応させて水素ガスと二酸化炭素ガスとに変成している。これにより、改質ガスは一酸化炭素濃度が低減されてCO選択酸化部に導出される。
CO選択酸化部は、改質ガスに残留している一酸化炭素と外部からさらに供給されたCO浄化用の空気とをその内部に充填された触媒(例えば、Ru系またはPt系の触媒)により反応させて二酸化炭素を生成している。これにより、改質ガスは一酸化炭素濃度がさらに低減されて(10ppm以下)アノードガス供給管43を介して燃料電池10の燃料極11に導出される。
燃料電池10の燃料極11の導入口には、アノードガスを供給するアノードガス供給管43を介して改質装置20のCO選択酸化部が接続されている。燃料極11の導出口には、アノードオフガス供給管44を介して改質装置20のバーナ21が接続されており、燃料極11から排出されるアノードオフガスをバーナ21に供給可能になっている。アノードガス供給管43とアノードオフガス供給管44との間には、燃料電池10をバイパスするバイパス管45が接続されている。
燃料電池10の空気極12には、カソードガスを供給するカソードガス供給管41およびカソードオフガスを排出するカソードオフガス排気管42が接続されている。カソードガス供給管41およびカソードオフガス排気管42の途中には、加湿器41bが設けられている。この加湿器41bは水蒸気交換型であり、カソードオフガス中の水蒸気(空気極12で発電に伴い発生した水蒸気を含む)をカソードガス中に供給して加湿するものである。
カソードガス供給管41には、カソードガスポンプ41aが配設されており、カソードガスポンプ41aは制御装置60からの指示によってカソードエアの供給量が制御される。アノードガス供給管43のバイパス分岐点から燃料電池システム10までの間、アノードオフガス供給管44の燃料電池10からバイパス合流点までの間、およびバイパス管45には、アノードガスバルブ43a,アノードオフガスバルブ44a,バイパスバルブ45aがそれぞれ配設されており、アノードガスバルブ43a,アノードオフガスバルブ44a,バイパスバルブ45aは制御装置60からの指示によって開閉制御される。
改質装置20には、バーナ(燃焼部)21が設けられている。バーナ21には、アノードガス供給管44が接続され、アノードガスが供給されている。バーナ21には、燃焼用空気供給管46が接続され、燃焼用空気が供給されている。バーナ21は、アノードガスを燃焼用空気で燃焼して燃焼ガスを改質部に導出するものである。この燃焼ガスは改質部を(同改質部の触媒の活性温度域となるように)加熱し、その後燃焼排ガス排気管47を通って外部に排出される。
さらに、改質装置20には、改質部に改質用燃料および改質水をそれぞれ供給する改質用燃料供給管48および改質水供給管49が接続されている。
燃焼用空気供給管46には、燃焼用空気ポンプ46aが配設されており、燃焼用空気ポンプ46aは制御装置60からの指示によって燃焼用空気の供給量が制御される。改質用燃料供給管48には、改質用燃料ポンプ48aが配設されており、改質用燃料ポンプ48aは制御装置60からの指示によって改質用燃料の供給量が制御される。改質水供給管49には、改質水ポンプ49aが配設されており、改質水ポンプ49aは制御装置60からの指示によって改質水の供給量が制御される。
さらに、燃料電池システムは、第1〜第4凝縮器51〜54を備えている。第1凝縮器(アノードガス凝縮器)51はアノードガス供給管43中を流れる燃料電池10の燃料極11に供給されるアノードガス中の水蒸気を凝縮する。第2凝縮器(アノードオフガス凝縮器)52は、アノードオフガス供給管44中を流れる燃料電池10の燃料極11から排出されるアノードオフガス中の水蒸気を凝縮する。第3凝縮器(カソードオフガス凝縮器)53は、カソードオフガス排気管42中を流れる燃料電池10の空気極12から排出されるカソードオフガス中の水蒸気を凝縮する。第4凝縮器(燃焼排ガス凝縮器)54は、燃焼排ガス排気管47中を流れる燃焼排ガス中の水蒸気を凝縮する。
第1凝縮器51には、燃料電池熱媒体が供給されるようになっており、第1凝縮器(燃料ガス熱交換器)51は、この燃料電池熱媒体とアノードガスとの熱交換によってアノードガス中の水蒸気を凝縮している。第2〜第4凝縮器52〜54には、凝縮用冷媒が供給されるようになっており、第2〜第4凝縮器52〜54は、この凝縮用冷媒と第2〜第4凝縮器52〜54を流通する各ガスとの熱交換によって各ガス中の水蒸気を凝縮している。凝縮用冷媒としては、プロピレングリコール水溶液などの不凍液や水を使用する。
各凝縮器51〜54にて凝縮された凝縮水は、純水器で純水化されて水タンクに一旦貯水される。水タンクに貯水されている純水が改質水ポンプ49aによって改質装置20に供給されている。水タンクには、水(例えば水道水)が補給されるようになっている。
排熱回収システム30は、貯湯水を貯湯する貯湯槽31と、凝縮用冷媒循環回路35を循環する凝縮用冷媒および燃料電池熱媒体循環回路33を循環する燃料電池熱媒体と熱交換する貯湯水が循環する貯湯水循環回路32と、燃料電池10と熱交換する燃料電池熱媒体が循環する燃料電池熱媒体循環回路33と、貯湯水と燃料電池熱媒体との間で熱交換が行われる第1熱交換器34と、アノードオフガス、カソードオフガス、燃焼排ガスの少なくとも一つと熱交換する凝縮用冷媒が循環する凝縮用冷媒循環回路35と、貯湯水と凝縮用冷媒との間で熱交換が行われる第2熱交換器36と、が備えられている。貯湯水循環回路32、燃料電池熱媒体循環回路33および凝縮用冷媒循環回路35は互いに独立して設けられている。
これにより、燃料電池10の発電にて発生した排熱(熱エネルギー)は、燃料電池熱媒体に回収され、第1熱交換器34を介して貯湯水に回収されて、この結果貯湯水を加熱(昇温)する。さらに、燃料電池10に供給されるアノードガスの排熱も、第1凝縮器51を介して燃料電池熱媒体に回収され、第1熱交換器34を介して貯湯水に回収されて、この結果貯湯水を加熱(昇温)する。
燃料電池10から排出されるアノードオフガスおよびカソードオフガスの排熱は、第2および第3凝縮器52,53を介して凝縮用冷媒に回収され、第2熱交換器36を介して貯湯水に回収されて、この結果貯湯水を加熱(昇温)する。さらに、バーナ21からの燃焼排ガスの排熱も、第4凝縮器54を介して凝縮用冷媒に回収され、第2熱交換器36を介して貯湯水に回収されて、この結果貯湯水を加熱(昇温)する。
燃料電池10から排出される排熱は、燃料電池10から排出されるアノードオフガスおよびカソードオフガスの排熱だけでなく、燃料電池10の発電で発生する排熱が含まれている。改質装置20にて発生する排熱は、アノードガスの排熱、バーナ25からの燃焼排ガスの排熱、および改質装置20と熱交換する排熱(改質装置自身の排熱)が含まれている。
貯湯槽31は、1つの柱状容器を備えており、その内部に温水が層状に、すなわち上部の温度が最も高温であり下部にいくにしたがって低温となり下部の温度が最も低温であるように貯留されるようになっている。貯湯槽31の柱状容器の下部には水道水などの水(低温の水)が補給され、貯湯槽31に貯留された高温の温水が貯湯槽31の柱状容器の上部から導出されるようになっている。
貯湯水循環回路32の一端および他端は貯湯槽31の下部および上部に接続されている。貯湯水循環回路32上には、一端から他端に向かって順番に貯湯水循環手段である貯湯水循環ポンプ32a、第2熱交換器36、および第1熱交換器34が配設されている。貯湯水循環ポンプ32aは、貯湯槽31の下部の貯湯水を吸い込んで貯湯水循環回路32を図示矢印方向へ通水させて貯湯槽31の上部に吐出するものであり、制御装置60によって制御されてその流量(送出量)が制御されるようになっている。これにより、貯湯水循環回路32を循環する貯湯水は、凝縮用冷媒循環回路35を循環する凝縮用冷媒、および燃料電池熱媒体循環回路33を循環する熱媒体とこの順番に熱交換するようになっている。
燃料電池熱媒体循環回路33上には、燃料電池10を起点に上流から下流に向かって順番に、第2温度センサ33a、電気ヒータ33b、第1熱交換器34、燃料電池熱媒体循環ポンプ33c、第1凝縮器51、および第1温度センサ33dが配設されている。
第1および第2温度センサ33d,33aは、燃料電池熱媒体の燃料電池10の入口温度T1および出口温度T2をそれぞれ検出するものであり、その検出結果を制御装置60に送信するようになっている。
電気ヒータ33bは、制御装置60からの指示に従って制御されるものであり、通電されて発熱するものである。電気ヒータ33bは、燃料電池10の下流かつ第1熱交換器(他熱媒体熱交換器)34の上流に配設されていることが好ましい。電気ヒータ33bは、燃料電池10で発電された余剰電力が通電されてその電力を熱に変換するものである。電気ヒータ33bは、燃料電池システムの起動時であって改質装置20の暖機終了時に燃料電池熱媒体が所定温度以下の場合には、通電されて燃料電池熱媒体の暖機を行うものである。
燃料電池熱媒体循環ポンプ33cは、燃料電池熱媒体循環回路33で燃料電池熱媒体を図示矢印方向へ循環させるものであり、制御装置60によって制御されてその流量(送出量)が制御されるようになっている。
凝縮用冷媒循環回路35上には、第2熱交換器36を起点に上流から下流に向かって順番に、凝縮用冷媒循環ポンプ35a、第2凝縮器52、第3凝縮器53、第4凝縮器54および第3温度センサ35bが配設されている。
凝縮用冷媒循環ポンプ35aは、凝縮用冷媒循環回路35で図示矢印方向へ凝縮用冷媒を循環させるものであり、制御装置60によって制御されてその流量(送出量)が制御されるようになっている。これにより、凝縮用冷媒循環回路35を循環する凝縮用冷媒は、アノードオフガス、カソードオフガスの順番に熱交換するようになっている。
第3温度センサ35bは、凝縮用冷媒の第2熱交換器36の入口温度T3を検出するものであり、その検出結果を制御装置60に送信するようになっている。
さらに、燃料電池システムは、制御装置60を備えている。制御装置60には、上述した各温度センサ33a,33d,35b、各ポンプ32a,33c,35a,41a,46a,48a,49a、各バルブ43a,44a,45a、電気ヒータ33b、およびバーナ21が接続されている(図2参照)。制御装置60は、マイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAMおよびROM(いずれも図示省略)を備えている。CPUは、図3〜図9のフローチャートに対応したプログラムを実行して、燃料電池システムの運転を行っている。RAMは同プログラムの実行に必要な変数を一時的に記憶するものであり、ROMは前記プログラムを記憶するものである。
次に、上述した燃料電池システムの全体的な作動の一例について図3および図4を参照して説明する。制御装置60は、図示しない主電源が投入されると、ステップ100にてプログラムを起動しステップ102に進める。なお、プログラムが起動されると、各フラグFa〜Feは0に設定される。
制御装置60は、ステップ102において、運転を開始するか否かを判定する。制御装置60は、図示しないスタートスイッチが押されて運転が開始される場合、運転計画にしたがって運転が開始される場合には、ステップ102で「YES」と判定し、フラグFaを1に設定した後(ステップ104)、改質装置20の暖機運転を実施する(ステップ106)。そうでなければ、ステップ102の判定を繰り返す。運転計画とは、あらかじめ学習制御などにより決められた計画であり、主電源が投入されてもすぐに起動することはなく、運転計画に基づいて、燃料電池システムの起動・停止が制御される。フラグFaは、改質装置20が暖機運転中であることを示すものであり、1で暖機運転中であることを、0で暖機運転中でないことを示す。
暖機運転(起動運転)が開始されると、制御装置60は、ステップ106において、アノードバルブ43aおよびアノードオフガスバルブ44aを閉じ、バイパスバルブ45aを開く。これと同時に、制御装置60は、燃焼用空気ポンプ46aを駆動して、燃焼用空気をバーナ21に供給する。また、制御装置60は、バーナ21の点火用電極に通電する。さらに、制御装置60は、燃料ポンプ48aを駆動して、改質用燃料を改質装置20に供給する。改質用燃料は、改質装置20、燃料電池10を介さないでバイパス管45を通ってバーナ21に供給される。これにより、改質用燃料がバーナ21で燃焼され、その燃焼ガスにより改質部および蒸発部が加熱される。
そして、制御装置60は、改質水ポンプ49aを制御して蒸発部ひいては改質部に所定量の水を供給する。これにより、改質部に改質用燃料と水蒸気が供給され、改質部では上述した水蒸気改質反応および一酸化炭素シフト反応が生じて改質ガスが生成される。
そして、改質部から導出された改質ガスはCOシフト部およびCO選択酸化部により一酸化炭素ガスを低減されてCO選択酸化部から導出され、燃料電池10を通らないで、バイパス管73を通って直接バーナ21に供給され燃焼される。
このような改質ガスの生成中において(改質装置20の暖機中において)、制御装置60は、ステップ108において、COシフト部の触媒温度(CO選択酸化部の触媒温度でもよい。)を検出し、この検出した温度が所定温度以上であるか否かを判定する。その温度が所定温度未満である場合には、改質ガス中の一酸化炭素濃度が所定の低濃度より高いとして、すなわち暖機が終了していないとして、制御装置60は、ステップ108の処理を繰り返す。
一方、COシフト部の触媒温度が所定温度以上となれば、改質ガス中の一酸化炭素濃度が所定の低濃度以下となったとして、制御装置60は、改質装置20の暖機が終了したと判定し、フラグFbを1に設定する(ステップ110)。フラグFbは、改質装置20の暖機が終了したことを示すものであり、1で暖機終了を示し、0で暖機未終了を示す。
改質装置20の暖機が終了すると、制御装置60は、ステップ112において、その時点で燃料電池10の暖機が終了したか否かを判定する。すなわち、フラグFcが1であるか否かを判定する。フラグFcは、別のルーチンで燃料電池の暖気状態(例えば、燃料電池スタックの温度Tsや燃料電池熱媒体の温度T1,T2)を監視しており、暖機が完了した時(例えば、温度T1が所定温度T1a以上となった時)、フラグFcが1となる。制御装置60は、フラグFcが1である場合、燃料電池10の暖機が終了していると判定し、発電運転を行い(ステップ114)、フラグFcが0である場合、燃料電池10の暖機(燃料電池システムの暖機)が終了していないと判定し、ステップ112の処理を繰り返し実行する。
制御装置60は、ステップ114において、図4に示す発電運転ルーチンに沿ってプログラムを実行し、燃料電池10の発電を行う。制御装置60は、発電運転中において本ルーチンを繰り返し実行する。制御装置60は、図示しない負荷装置の消費電力である負荷電力を検出し、その負荷電力に追従するように燃料電池10を発電させる(ステップ202)。具体的には、制御装置60は、負荷電力に応じた出力電力となるように改質用燃料の供給量を演算しその供給量となるように燃料ポンプ48aを駆動させ、演算した改質用燃料供給量およびS/C(スチームカーボン比)に基づいて改質水の供給量を演算しその供給量となるように改質水ポンプ49aを駆動させている。また、制御装置60は、改質用燃料の供給量などに基づいて燃焼用空気の供給量を演算しその供給量となるように燃焼用空気ポンプ46aを駆動させている。
制御装置60は、燃料電池10の発電量を検出しており、発電量が負荷電力より大きい場合、電気ヒータ33bに通電するようになっている(ステップ206)。発電中に電気ヒータ33bを通電すると、その熱エネルギによって燃料電池熱媒体が昇温される。第1熱交換器34では、電気ヒータ33bによって昇温された燃料電池熱媒体と貯湯水とが熱交換を行う。第1熱交換器34中の貯湯水が燃料電池熱媒体より低温である場合には、電気ヒータ33bの熱エネルギは、第1熱交換器34で貯湯水に回収される。
一方、発電量が負荷電力以下である場合、制御装置60は、負荷電力に追従するように燃料電池10を発電させる。負荷電力に追従するように発電するとは、所定時間ごとに、その時間前の所定時間内の平均負荷電力を計算し、計算された平均負荷電力になるように燃料電池10の出力電力を制御することである。発電量が負荷電力より大きい場合とは、負荷電力に追従するように発電していても、燃料電池10が追従できない負荷電力の変化や、一時的(瞬間的)な負荷電力の変化の場合であり、これらの場合に逆潮が生じないように電気ヒータに通電する。
このような発電運転中に、制御装置60は、ステップ116において、運転を停止するか否かを判定する。制御装置60は、図示しないストップスイッチが押されて運転が停止される場合、もしくは運転計画にしたがって運転が停止される場合には、ステップ116で「YES」と判定し、フラグFdを1に設定した後(ステップ118)、燃料電池システムの停止処理を実施する(ステップ120)。そうでなければ、ステップ116の判定を繰り返す。フラグFdは、燃料電池システムが停止処理中であることを示すものであり、1で停止処理中であることを、0で停止処理中でないことを示す。
制御装置60は、ステップ120において、燃料ポンプ48aの駆動を停止し改質用燃料の供給を停止する。制御装置60は、改質水ポンプ49aの駆動を停止し改質水の供給を停止する。そして、制御装置60は、アノードガスバルブ43a、アノードオフガスバルブ44aを閉じ、バイパスバルブ45aを開く。これにより、燃料電池10の発電が停止され、燃料電池システムの停止処理が開始される。このとき、制御装置60は、燃焼用空気ポンプ46aの駆動を継続し燃焼用空気の供給を継続する。
このような燃料電池システムの停止処理中において、制御装置60は、ステップ122において、COシフト部の触媒温度(CO選択酸化部の触媒温度でもよい。)を検出し、この検出した温度が所定温度以下であるか否かを判定する。その温度が所定温度より大きい場合には、燃料電池システムの停止処理が終了していないとして、制御装置60は、ステップ122の処理を繰り返す。
一方、検出した温度が所定温度以下となれば、制御装置60は、燃料電池システムの停止処理が終了したと判定し、フラグFeを1に設定した後(ステップ124)、停止処理を終了する(ステップ126)。フラグFeは、燃料電池システムの停止処理が終了したことを示すものであり、1で停止処理終了を示し、0で停止処理未終了を示す。
制御装置60は、ステップ126において、燃焼用空気ポンプ46aの駆動を停止し燃焼用空気の供給を停止する。そして、制御装置60は、バイパスバルブ45aも閉じる。その後、プログラムをステップ128に進めて本プログラムを終了する。
次に、燃料電池システムのうち排熱回収システムの作動について説明する。まず、燃料電池熱媒体循環回路33に関する暖機運転中および発電運転中の作動の一例について図5を参照して説明する。制御装置60は、図示しない主電源が投入されると、ステップ300にてプログラムを起動しステップ302に進める。なお、プログラムが起動されると、各フラグFa〜Feは0に設定される。
制御装置60は、ステップ302において、フラグFaが1であるか否かすなわち改質装置20の暖機運転中であるか否かを判定する。制御装置60は、フラグFaが1である場合には、ステップ302で「YES」と判定し、燃料電池熱媒体循環ポンプ33cを初期設定値(初期設定流量)でオン(駆動)する(ステップ304)。そうでなければ、ステップ302の判定を繰り返す。
改質装置20の暖機運転中には、改質装置20からのアノードガスが、第1凝縮器51、バイパス管45、第2凝縮器52を通ってバーナ21に供給されている。第1凝縮器51においては、アノードガスの排熱が燃料電池熱媒体に回収され、燃料電池熱媒体が昇温される。昇温された燃料電池熱媒体は燃料電池10で降温され、燃料電池10は昇温される。さらに、第1熱交換器34において、燃料電池熱媒体が貯湯水より高温である場合には、燃料電池熱媒体は第1熱交換器34で降温され、貯湯水が昇温される。このように、アノードガスの排熱は、燃料電池10の暖機、貯湯水の昇温に利用されている。
制御装置60は、ステップ306において、フラグFbが1であるか否かすなわち改質装置20の暖機が終了したか否かを判定する。制御装置60は、フラグFbが1である場合には、ステップ306で「YES」と判定し、燃料電池熱媒体の燃料電池10の入口温度T1が燃料電池10の暖機判定温度T1a(例えば50〜60℃)より低いか否かを判定する(ステップ308)。そうでなければ、ステップ306の判定を繰り返す。
すなわち、制御装置60は、改質装置20の暖機が終了した時点に、燃料電池10の暖機が終了しているか否かを判定し(ステップ308)、暖機が終了していない場合には、電気ヒータ33bを使用して燃料電池熱媒体を昇温する。燃料電池10の暖機が終了している場合には、電気ヒータ33bで昇温することなく、燃料電池システムの暖機運転を終了して発電運転を開始する(ステップ332〜336)。
燃料電池システムの暖機が終了していない場合には、制御装置60は、ステップ310において、電気ヒータ33bをオンする。このとき、電気ヒータ33bには、系統電源からの電力がインバータを介して供給されるようになっている。
このように、アノードガスの排熱および電気ヒータ33bによる発熱を利用して燃料電池熱媒体ひいては燃料電池10が昇温されるなかで、制御装置60は、ステップ312において、燃料電池熱媒体の燃料電池10の入口温度T1を検出し、その入口温度T1が暖機判定温度T1a以上であるか否かを判定する。
入口温度T1が暖機判定温度T1aより低い場合には、制御装置60は、ステップ312の判定を繰り返す。一方、入口温度T1が暖機判定温度T1a以上である場合には、制御装置60は、燃料電池10の発電運転を開始する。
具体的には、制御装置60は、アノードガスバルブ43aおよびアノードオフガス44aを開きバイパスバルブ45aを閉じて、改質装置20を燃料電池10を介してバーナ21に接続し、改質装置20からのアノードガスを燃料電池10の燃料極11に供給し、燃料極11からのアノードオフガスをバーナ21に供給する(ステップ314)。これと同時に、制御装置60は、カソードガスポンプ41aをオンして、カソードガスを燃料電池10の空気極12に供給し、空気極12からのカソードオフガスを加湿器41bおよび第3凝縮器53を介して排気する(ステップ316)。その後、制御装置60は、フラグFcを1に設定する(ステップ318)。フラグFcは、燃料電池10の暖機(燃料電池システムの暖機)が終了しているか否か(燃料電池システムが発電運転中であるか否か)を示すものであり、1で燃料電池システムの暖機終了(発電運転中)を示し、0で燃料電池システムの暖機未終了(発電運転中でないこと)を示す。
そして、電気ヒータ33bの通電中に、制御装置60は、ステップ320において、燃料電池熱媒体の燃料電池10の入口温度T1を検出し、その入口温度T1が暖機判定温度T1aより高温である電気ヒータオフ温度T1b(例えば60〜70℃)以上であるか否かを判定する。入口温度T1が電気ヒータオフ温度T1bより低い場合には、制御装置60は、ステップ320の判定を繰り返す。一方、入口温度T1が電気ヒータオフ温度T1b以上である場合には、制御装置60は、電気ヒータ33bをオフする(ステップ322)。
一方、燃料電池システムの暖機が終了している場合には、制御装置60は、上記ステップ314,316と同様な処理で、燃料電池システムの暖機運転を終了して発電運転を開始する(ステップ332,334)。その後、制御装置60は、フラグFcを1に設定する(ステップ336)。
燃料電池10の発電運転開始後、発電運転中において、燃料電池10は発電によって自身の温度が上昇すると、燃料電池10の熱によって燃料電池熱媒体が昇温され、出口温度T2が入口温度T1より高温となる。制御装置60は、燃料電池熱媒体の燃料電池10の入口温度T1および出口温度T2をそれぞれ検出し、それら温度T1,T2の温度差(=T2−T1)が目標値dTより大きいか否かを判定する(ステップ324)。目標値dTは、例えば2〜7℃である。
温度T1,T2の温度差(=T2−T1)がdT以下である場合には、制御装置60は、ステップ324の判定を繰り返す。一方、温度差がdTより大きい場合には、制御装置60は、燃料電池熱媒体循環ポンプ33cをPID制御して、温度差がdTとなるように調整される(ステップ326)。このとき、燃料電池10の発電で発生する熱は、燃料電池熱媒体、第1熱交換器34を介して貯湯水に回収することができる。
制御装置60は、ステップ328において、フラグFdが1であるか否かすなわち燃料電池システムが停止処理中であるか否かを判定する。制御装置60は、フラグFdが1でない場合すなわち燃料電池システムが発電運転中である場合には、ステップ328の判定を繰り返す。一方、制御装置60は、フラグFdが1である場合すなわち燃料電池システムが停止処理中である場合には、プログラムをステップ330に進めて本プログラムを終了する。
次に、凝縮用冷媒循環回路35に関する暖機運転中および発電運転中の作動の一例について図6を参照して説明する。制御装置60は、図示しない主電源が投入されると、ステップ400にてプログラムを起動しステップ402に進める。なお、プログラムが起動されると、各フラグFa〜Feは0に設定される。
制御装置60は、ステップ402において、フラグFaが1であるか否かすなわち改質装置20の暖機運転中であるか否かを判定する。制御装置60は、フラグFaが1である場合には、ステップ402で「YES」と判定し、凝縮用冷媒循環ポンプ35aを初期設定値(初期設定流量)でオン(駆動)する(ステップ404)。そうでなければ、ステップ402の判定を繰り返す。
改質装置20の暖機運転中には、改質装置20からのアノードガスが、第1凝縮器51、バイパス管45、第2凝縮器52を通ってバーナ21に供給されている。バーナ21からの燃焼排ガスが、第4凝縮器54を通って排気されている。第2凝縮器52においては、アノードオフガスの排熱が凝縮用冷媒に回収され、凝縮用冷媒が昇温される。昇温された凝縮用冷媒は、カソードオフガスはまだ供給されていないので、第3凝縮器53では熱交換されることはない。第4凝縮器54においては、昇温された凝縮用冷媒が、アノードオフガスより高温である燃焼排ガスの排熱によってさらに昇温される。この凝縮用冷媒は、第2熱交換器36で降温され、貯湯水が昇温される。このように、アノードオフガスおよび燃焼排ガスの排熱は、貯湯水の昇温に利用されている。
このように、アノードオフガスおよび燃焼排ガスの排熱を利用して凝縮用冷媒が昇温されるなかで、制御装置60は、ステップ406において、凝縮用冷媒の第2熱交換器36の入口温度T3を検出し、その入口温度T3が凝縮用冷媒制御目標温度T3a(例えば40〜50℃)より高いか否かを判定する。
入口温度T3が凝縮用冷媒制御目標温度T3a以下である場合には、制御装置60は、ステップ406の判定を繰り返す。一方、入口温度T3が凝縮用冷媒制御目標温度T3aより高い場合には、制御装置60は、凝縮用冷媒循環ポンプ35aをPID制御して、凝縮用冷媒の第2熱交換器36の入口温度T3が凝縮用冷媒制御目標温度T3aとなるように調整される(ステップ408)。このとき、アノードオフガス、燃焼排ガスの排熱は、凝縮用冷媒、第2熱交換器36を介して貯湯水に回収することができる。
制御装置60は、ステップ410において、フラグFdが1であるか否かすなわち燃料電池システムが停止処理中であるか否かを判定する。制御装置60は、フラグFdが1でない場合すなわち燃料電池システムが発電運転中である場合には、ステップ410の判定を繰り返す。一方、制御装置60は、フラグFdが1である場合すなわち燃料電池システムが停止処理中である場合には、プログラムをステップ412に進めて本プログラムを終了する。
さらに、貯湯水循環回路32に関する暖機運転中および発電運転中の作動の一例について図7を参照して説明する。制御装置60は、図示しない主電源が投入されると、ステップ500にてプログラムを起動しステップ502に進める。なお、プログラムが起動されると、各フラグFa〜Feは0に設定される。
制御装置60は、ステップ502において、フラグFaが1であるか否かすなわち改質装置20の暖機運転中であるか否かを判定する。制御装置60は、フラグFaが1である場合には、ステップ502で「YES」と判定し、貯湯水循環ポンプ32aを初期設定値(初期設定流量)でオン(駆動)する(ステップ504)。そうでなければ、ステップ502の判定を繰り返す。
改質装置20の暖機運転中には、第2熱交換器36において、アノードオフガスおよび燃焼排ガスの排熱が貯湯水に授熱され、貯湯水が昇温される。第1熱交換器34において、貯湯水が燃料電池熱媒体より高温である場合には、貯湯水の熱が燃料電池熱媒体に授熱され、燃料電池熱媒体が昇温される。すなわち、アノードオフガスおよび燃焼排ガスの排熱が燃料電池熱媒体ひいては燃料電池10に授熱される。
このように、アノードオフガスおよび燃焼排ガスの排熱を利用して燃料電池熱媒体が昇温されるなかで、制御装置60は、ステップ506において、燃料電池熱媒体の燃料電池10の入口温度T1を検出し、その入口温度T1が燃料電池熱媒体入口目標温度T1c(例えば60〜70℃)より高いか否かを判定する。燃料電池熱媒体入口目標温度T1cは、燃料電池暖機判定温度T1aより高温である。
入口温度T1が燃料電池熱媒体入口目標温度T1c以下である場合には、制御装置60は、ステップ506の判定を繰り返す。一方、入口温度T1が燃料電池熱媒体入口目標温度T1cより高い場合には、制御装置60は、貯湯水循環ポンプ32aをPID制御して、燃料電池熱媒体の燃料電池10の入口温度T1が燃料電池熱媒体入口目標温度T1cとなるように調整される(ステップ508)。このとき、アノードオフガス、燃焼排ガスの排熱は、凝縮用冷媒、第2熱交換器36を介して貯湯水に回収することができる。
制御装置60は、ステップ510において、フラグFdが1であるか否かすなわち燃料電池システムが停止処理中であるか否かを判定する。制御装置60は、フラグFdが1でない場合すなわち燃料電池システムが発電運転中である場合には、ステップ510の判定を繰り返す。一方、制御装置60は、フラグFdが1である場合すなわち燃料電池システムが停止処理中である場合には、プログラムをステップ512に進めて本プログラムを終了する。
さらに、燃料電池熱媒体循環回路33に関する運転ルーチンの一例について図8を参照して説明する。制御装置60は、図示しない主電源が投入されると、ステップ600にてプログラムを起動しステップ602に進める。なお、プログラムが起動されると、各フラグFa〜Feは0に設定される。
制御装置60は、ステップ602において、フラグFdが1であるか否かすなわち燃料電池システムの停止処理中であるか否かを判定する。制御装置60は、フラグFdが1である場合には、ステップ602で「YES」と判定し、燃料電池熱媒体循環ポンプ33cを初期設定値(初期設定流量)で駆動する(ステップ604)。そうでなければ、ステップ602の判定を繰り返す。
燃料電池システムの停止処理中には、改質装置20が燃焼用空気で冷却される。一方、燃料電池熱媒体循環回路33で燃料電池熱媒体が循環しているので、第1凝縮器51での熱交換により沸騰を抑制するとともにアノードガスの排熱を燃料電池熱媒体に回収することができる。
そして、制御装置60は、ステップ606において、フラグFeが1であるか否かすなわち燃料電池システムの停止処理が終了したか否かを判定する。制御装置60は、フラグFeが0である場合には、ステップ606の判定を繰り返す。制御装置60は、フラグFeが1である場合には、ステップ606で「YES」と判定し、燃料電池熱媒体冷媒ポンプ33cをオフする(ステップ608)。その後、制御装置60はプログラムをステップ610に進めて本プログラムを終了する。
さらに、凝縮用冷媒循環回路35に関する運転ルーチンの一例について図9を参照して説明する。制御装置60は、図示しない主電源が投入されると、ステップ700にてプログラムを起動しステップ702に進める。なお、プログラムが起動されると、各フラグFa〜Feは0に設定される。
制御装置60は、ステップ702において、フラグFdが1であるか否かすなわち燃料電池システムの停止処理中であるか否かを判定する。制御装置60は、フラグFdが1である場合には、ステップ702で「YES」と判定し、凝縮用冷媒循環ポンプ35aを初期設定値(初期設定流量)で駆動する(ステップ704)。そうでなければ、ステップ702の判定を繰り返す。
燃料電池システムの停止処理中には、改質装置20が燃焼用空気で冷却される。一方、凝縮用冷媒循環回路35で凝縮用冷媒が循環しているので、第2凝縮器52での熱交換により沸騰を抑制するとともにアノードオフガスの排熱を凝縮用冷媒に回収し、第4凝縮器54での熱交換により沸騰を抑制するとともに燃焼排ガスの排熱を凝縮用冷媒に回収することができる。
そして、制御装置60は、ステップ706において、フラグFeが1であるか否かすなわち燃料電池システムの停止処理が終了したか否かを判定する。制御装置60は、フラグFeが0である場合には、ステップ706の判定を繰り返す。制御装置60は、フラグFeが1である場合には、ステップ706で「YES」と判定し、凝縮用冷媒ポンプ35aをオフする(ステップ708)。その後、制御装置60はプログラムをステップ710に進めて本プログラムを終了する。
さらに、貯湯水循環回路32に関する運転ルーチンの一例について図10を参照して説明する。制御装置60は、図示しない主電源が投入されると、ステップ800にてプログラムを起動しステップ802に進める。なお、プログラムが起動されると、各フラグFa〜Feは0に設定される。
制御装置60は、ステップ802において、フラグFdが1であるか否かすなわち燃料電池システムの停止処理中であるか否かを判定する。制御装置60は、フラグFdが1である場合には、ステップ802で「YES」と判定し、貯湯水循環ポンプ32aを初期設定値(初期設定流量)で駆動する(ステップ804)。そうでなければ、ステップ802の判定を繰り返す。
燃料電池システムの停止処理中には、改質装置20が燃焼用空気で冷却される。一方、貯湯水循環回路32で貯湯水が循環しているので、凝縮用冷媒が回収した排熱が第2熱交換器36を介して、燃料電池熱媒体が回収した排熱が第1熱交換器34を介して、貯湯水に回収することができる。
そして、制御装置60は、ステップ806において、フラグFeが1であるか否かすなわち燃料電池システムの停止処理が終了したか否かを判定する。制御装置60は、フラグFeが0である場合には、ステップ806の判定を繰り返す。制御装置60は、フラグFeが1である場合には、ステップ806で「YES」と判定し、貯湯水循環ポンプ32aをオフする(ステップ808)。その後、制御装置60はプログラムをステップ810に進めて本プログラムを終了する。
上述したように、燃料電池システムの暖機運転中において、第1凝縮器51でアノードガスの潜熱と顕熱が燃料電池熱媒体に授熱され、さらに燃料電池10に授熱される。燃料電池10の暖機は主としてアノードガスの潜熱と顕熱による。さらに、第2凝縮器52でアノードオフガスの潜熱と顕熱が凝縮用冷媒に授熱され、第4凝縮器54で燃焼排ガスの潜熱と顕熱が凝縮用冷媒に授熱される。これら凝縮用冷媒に授熱された熱が第2熱交換器36で貯湯水に授熱され、さらに第1熱交換器34で燃料電池熱媒体に授熱され、さらに燃料電池10に授熱される。
このように起動することで、燃料電池熱媒体温度とアノードガス温度(露点温度)を適切に維持することが可能であり、安定した起動を実現できる。
上述した燃料電池システムの発電運転中において、燃料電池熱媒体の燃料電池10の入口温度T1(または燃料電池熱媒体の燃料電池10の出口温度T2)が所定温度(所定温度範囲)に保たれている。燃料電池熱媒体の燃料電池10の入口温度T1と出口温度T2の差が所定の温度差に保たれている。凝縮用冷媒の第2熱交換器36の入口温度T3が所定温度(所定温度範囲)に保たれている。
さらに、本燃料電池システムによる構成が効率的に熱を回収できる理由について説明する。貯湯水循環回路32には貯湯槽31の底部から貯湯水が導出される。ユーザが貯湯水を使用すると、その分だけ水道水が貯湯槽31の底部に供給される。貯湯槽31の底部の貯湯水は、水道水の水温とほぼ同じである(水の伝熱はほとんどない。底部の貯湯水が温度上昇するような湯使用状況では燃料電池システムを停止するよう制御しているためである。)。一方、凝縮用冷媒循環回路35は、各凝縮器52〜54で十分な凝縮効果を得るために平均で45℃以下に保たれ、燃料電池熱媒体は、燃料電池10の発電に適した60〜70℃に保たれる。
図11に、凝縮用冷媒の温度に対する100℃飽和蒸気の凝縮率を示す。図11から明らかなように、凝縮用冷媒を45℃以下に保つことで、90%以上の蒸気(潜熱)が回収できるため、効率的な熱回収が可能であることがわかる。実際には凝縮用冷媒循環回路35では、第2熱交換器36を通過した後の凝縮用冷媒は、凝縮器を通過する毎に温度が上昇する。そのため、凝縮用冷媒循環回路35の最高温度(例えば凝縮用冷媒の第2熱交換器36の入口温度T3)を45℃以内とすることで、全体を25〜45℃に維持することが可能であり、効果的に潜熱を回収可能である。
貯湯水循環ポンプ32aで制御される貯湯水は、燃料電池熱媒体を所定の温度範囲内に保つように制御される。凝縮用冷媒循環回路35の温度が45℃であるとする場合、貯湯水の第2熱交換器36の出口温度は、最も効率よく熱回収した場合でも、45℃以下となる(例えば約44℃)。次に、貯湯水が第1熱交換器34で燃料電池熱媒体から授熱する場合、70℃弱(例えば69℃)程度まで昇温することができる。このとき、貯湯水の温度差は、第2熱交換器36で24℃(=44℃−20℃)、第1熱交換器34で25℃(=69℃−44℃)となり、2つの熱交換器36,34での温度差はほぼ同一の値となる。つまり、2つの熱交換器36,34での熱交換量が等しいため、効率的な熱回収が可能となる。
以下にその理由を説明する。本発明では、第1凝縮器51を凝縮用冷媒循環回路35でなく燃料電池熱媒体循環回路33に設置した結果、燃料電池熱媒体循環回路33と凝縮用冷媒循環回路35の熱量(熱回収量)をほぼ等しくすることができる。下記表1は、第1凝縮器51を燃料電池熱媒体循環回路33に設置した場合、各凝縮器51〜54および燃料電池10における設計上回収可能な熱量(熱媒体温度が20℃基準の場合)と実際に測定した熱量を示すとともに、凝縮用冷媒循環回路35に設置した場合(従来技術)、各凝縮器51〜54および燃料電池10における実際に測定した熱量を示している。
本実施の形態による構成によれば、燃料電池熱媒体循環回路33の回収可能熱量は、燃料電池10の発熱とアノードガス凝縮器51の熱回収量の合計であり、850Wである。凝縮用冷媒循環回路35の回収可能熱量は、各凝縮器52〜54の熱回収量の合計であり、730Wである。一方、従来技術による構成によれば、燃料電池熱媒体循環回路33の回収可能熱量は、燃料電池10の発熱のみであり、700Wである。凝縮用冷媒循環回路35の回収可能熱量は、各凝縮器51〜54の熱回収量の合計であり、880Wである。
したがって、燃料電池熱媒体循環回路33の回収可能熱量と凝縮用冷媒循環回路35の回収可能熱量の差は、従来技術に比べて本実施の形態のほうが小さく抑制されている。すなわち、燃料電池熱媒体循環回路33で得られる熱量と凝縮用冷媒循環回路35で得られる熱量がほぼ等しくなるため、効率的な熱回収が行われている。
さらに、本実施の形態による構成によれば、実際には、両回路33,35を循環する燃料電池熱媒体、凝縮用冷媒は基準温度20℃より高い温度であるので、各凝縮器51〜54、燃料電池10で得られる熱量は小さくなる。例えば、燃料電池熱媒体循環回路33で得られる熱量は、燃料電池10の発熱とアノードガス凝縮器51の熱回収量の合計であり、740Wである。凝縮用冷媒循環回路35で得られる熱量は、各凝縮器52〜54の熱回収量の合計であり、670Wである。しかし、燃料電池10の燃料極11を適切な湿度に維持するため、アノードガスの温度を燃料極11の温度にできるだけ近い温度(60〜70℃)に維持する必要があるアノードガス凝縮器51を、燃料電池熱媒体循環回路33に配設しているので、凝縮用冷媒循環回路35を比較的低温(例えば45℃)に維持することができる。これにより、凝縮用冷媒循環回路35に配設されている各凝縮器52〜54の熱回収能力を高く維持している。
また、従来技術による構成のように、凝縮用冷媒循環回路35の回収可能熱量が燃料電池熱媒体循環回路33の回収可能熱量より多い場合、貯湯水流量を燃料電池10の入口温度T1(または出口温度T2)を一定に保つように制御すると、第2熱交換器36での熱回収量は、凝縮用冷媒循環回路35が持つ熱量より小さくなる。その結果、凝縮用冷媒循環回路35の温度は45℃以上に上昇し、アノードオフガスやカソードオフガス中の水蒸気凝縮量が低下し、排気によって外部排出される熱量が増えることで、全体の熱量がバランスする。
また、本実施の形態による構成にアノードガス凝縮器51以外の他の凝縮器を燃料電池熱媒体循環回路33にさらに設けた場合について説明する。この場合、燃料電池熱媒体循環回路33の回収可能熱量が凝縮用冷媒循環回路35の回収可能熱量より多いので、燃料電池10の入口温度T1(または出口温度T2)を一定に保つためには貯湯水流量を増大するように制御する。貯湯水流量の増大により、凝縮用冷媒循環回路35を低温に維持することが可能となる。しかし、他の凝縮器を流通する燃料電池熱媒体の温度は比較的高温(60〜70℃)であるため、凝縮潜熱として得られる熱量が低下するので、全体での熱回収量は低下する。したがって、燃料電池熱媒体循環回路33にアノードガス凝縮器51以外の他の凝縮器を設けることは全体での熱回収量の点から適当でない。
また、本実施の形態において、燃料電池熱媒体循環回路33に設ける凝縮器がアノードガス凝縮器51である理由を説明する。アノードガスが、燃料電池10の燃料極11に供給される直前に、燃料電池10の発電に適切な温度に調整されている燃料電池熱媒体と熱交換することにより、燃料電池熱媒体とすなわち燃料電池10とほぼ同一温度となる。その結果、燃料極11に供給されたアノードガス中の水蒸気が結露するのを抑制することができる。したがって、アノードガスと燃料電池熱媒体とを熱交換するアノード凝縮器51を設けるだけで、アノードガスを適切な温度に調整して燃料極11に供給しかつ燃料極11でフラッディングを抑制することができる。
上述した説明から明らかなように、本実施の形態においては、凝縮用冷媒循環回路35において、燃料オフガス(アノードオフガス)、酸化剤オフガス(カソードオフガス)、燃焼排ガスの少なくとも一つと凝縮用冷媒とが熱交換される。一方、凝縮用冷媒循環回路35とは別に設けられた燃料電池熱媒体循環回路33上に配設されている燃料ガス熱交換器(アノードガス凝縮器51)において、燃料電池熱媒体と燃料ガス(アノードガス)とが熱交換される。これにより、燃料ガスの温度調整を単独で行うことができるので、その温度調整を適切かつ容易に行うことができる。
また、貯湯水循環回路32を循環する貯湯水は、凝縮用冷媒循環回路35を循環する凝縮用冷媒、および燃料電池熱媒体循環回路33を循環する熱媒体(燃料電池熱媒体)とこの順番に熱交換する。これにより、比較的温度の低い凝縮用冷媒循環回路35および比較的温度の高い燃料電池熱媒体循環回路33の順番に熱交換を行うため、熱回収効率を向上させることができる。また、2つの熱交換器34,36での温度差がほぼ同一となり、最も効率的な熱回収が可能となる。
また、貯湯水循環回路32の流量は、燃料電池熱媒体循環回路33の所定場所である燃料電池10の入口(または出口)を所定温度範囲(例えば60〜70℃)に調節するように制御される。これにより、燃料電池10を迅速に暖機するとともに燃料電池10の発電効率を高く維持することができる。
また、凝縮用冷媒循環回路35は、燃料オフガス(アノードオフガス)、酸化剤オフガス(カソードオフガス)の順番に熱交換する。これにより、改質装置20を加熱するために燃料オフガスの燃焼熱を利用する場合(バーナ21で燃料オフガスを燃焼しその燃焼ガスで改質部や蒸発部を加熱する場合)、燃料オフガスを先に冷却することで、燃料オフガス中の水蒸気を低減する能力を極力高く維持し、その結果、水蒸気を低減した燃料オフガスをバーナ21に供給して燃料オフガスの安定燃焼を確保することができる。
また、燃料電池熱媒体循環回路33上には、電気ヒータ33bが配設されている。これにより、電気ヒータ33bにより迅速に燃料電池熱媒体を昇温しひいては燃料電池10を早期に暖機することができる。したがって、起動時の燃料電池10の燃料極11のフラッディングを抑制することができる。
また、燃料電池熱媒体循環回路33上には、燃料電池熱媒体と燃料電池10の燃料極11に供給される燃料ガス(アノードガス)とが熱交換する燃料ガス熱交換器(アノードガス凝縮器)51と、燃料電池熱媒体と他の熱媒体(例えば貯湯水)とが熱交換する他熱媒体熱交換器(例えば第1熱交換器34)と、電気ヒータ33bと、が配設されている。これにより、燃料電池熱媒体を独立して調整することにより、燃料ガスの温度調整を単独で行うことができるので、その温度調整を適切かつ容易に行うことができる。さらに、電気ヒータ33bにより燃料電池熱媒体を迅速に昇温しひいては燃料電池10を早期に暖機することができる。
また、他熱媒体熱交換器(例えば第1熱交換器34)は、燃料電池熱媒体と貯湯水循環回路32を循環する貯湯水とが熱交換する。これにより、燃料電池熱媒体と貯湯水との熱交換により、燃料電池熱媒体の温度を適切に調整することができる。
また、電気ヒータ33bは、燃料電池10の下流かつ他熱媒体熱交換器(例えば第1熱交換器34)の上流に配設されている。これにより、燃料電池10より高温である電気ヒータ33bで昇温された燃料電池熱媒体が他熱媒体熱交換器で降温した後に燃料電池10に導出できる。したがって、余剰電力が生じた場合、その電力を電気ヒータ33bで消費させても燃料電池10の温度変動を少なく抑制することができる。
また、電気ヒータ33bは、燃料電池10で発電された余剰電力を熱に変換する。これにより、逆潮を抑制することができる。
また、燃料電池システムの起動時であって改質装置20の暖機終了時に燃料電池熱媒体が所定温度以下の場合には(ステップ306,308)、電気ヒータ33bにより燃料電池熱媒体の暖機を行う(ステップ310)。これにより、燃料電池熱媒体が低温である場合(例えば起動時など)でも、燃料電池熱媒体ひいては燃料電池10を早期に暖機することができ、適切な温度に維持することができる。
また、燃料電池熱媒体循環回路33において燃料電池10の入口および出口の少なくとも一方の温度に基づいて燃料電池熱媒体の暖機を行う(図7のフローチャート)。これにより、燃料電池10を確実に適切な温度に維持することができる。
なお、上述した実施の形態において、凝縮用冷媒循環回路35には、3つの第2〜第4凝縮器52〜54を配設したが、これら凝縮器のうちいずれか2つを配設してもよく、いずれか1つを配設してもよい。
また、上述した実施の形態において、電気ヒータ33bをオンするタイミングは、改質装置20の暖機終了を予測して、改質装置20の暖機終了前としてもよい。これによれば、発電運転開始までの暖機時間を短縮することができる。