以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明による面光源装置の一つの実施形態を示す分解斜視図である。図1に示されているように、本実施形態の面光源装置は、点状の一次光源としてのLED2と、該LEDから発せられる光を光入射端面から入射させ導光して光出射面から出射させるXY面内の矩形板状の導光体4と、該導光体に隣接配置される光偏向素子6及び光反射素子8とを備えている。導光体4は上下2つの主面と該主面の外周縁どうしを連ねる4つの端縁とを有している。
LED2は導光体4の互いに略平行な1対の端縁のうちの一方(図1の手前側の端縁:入射端縁)に隣接し且つそのX方向に関する中央に配置されている。本発明においては、一次光源であるLED等の点状光源は、低消費電力化の観点から出来るだけ数が少ない方が好ましいが、導光体4の大きさ等によって複数個を等間隔あるいは近接して配置することもできる。
導光体4の入射端縁には、LED2が配置される位置に相当する光入射端面41が形成されている。導光体4に形成される光入射端面41は、凹筒面状等となるように入射端縁を凹状に切欠くことによって形成されていてもよい。LED発光面と光入射端面とは、凹凸逆の互いに嵌り合う形状(双方が平面である場合を含む)であることが好ましい。
導光体4は、一方の主面(図では上面)が光出射面43とされている。この光出射面43には、導光体4内にて導光される光を当該光出射面43に対して傾斜した方向(即ちXY面に対して傾斜した方向)に光を出射させる指向性光出射機構を備えている。該指向性光出射機構は、例えば粗面(マット面)からなる。該指向性光出射機構は、光出射面43の法線方向(Z方向)及び入射端縁と直交するY方向との双方を含むYZ面内の分布において指向性のある光を出射させる。この出射光分布のピークの方向が光出射面43となす角度は、例えば10〜40°であり、出射光分布の半値幅は例えば10〜40°である。
導光体4は、他方の主面(図では下面:裏面)がレンズ列形成面44とされている。該レンズ列形成面44は、図2に示されているように、LED2から発せられ導光体4に入射した光の指向性の方向(光強度分布における最大強度の光L0 の方向)に略沿った方向に延び且つ互いに平行に配列されたレンズ列44aを有する(図2では各レンズ列44aの稜線が示されている)。例えば、導光体4に入射した光の指向性の方向が略Y方向である場合には、図2に示されているように、レンズ列44aの方向をY方向とすることができる。なお、本発明においては、レンズ列44aの方向は、光を広げる効果を大きく損なわない範囲であれば、導光体2に入射した光の指向性の方向からずれていてもよい。この場合、レンズ列44aの方向は、導光体に入射した光の指向性の方向に対して20°以内の範囲とすることが好ましく、より好ましくは10°以内の範囲である。また、図19に示したように、レンズ列44aの方向を局所的に特に光入射端面41の側の端縁に近接する領域において、導光体4に入射した光の指向性の方向から変化させてもよく、この場合は方向を変化させた領域の面積を全体の30%以下とすることが好ましい。このような方向にレンズ列44aを形成することによって、導光体4に入射した光がXY面内で広げられ暗い部分が発生し難くなる。
レンズ列44aの配列ピッチP1は、10〜100μmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは10〜80μm、さらに好ましくは20〜70μmの範囲である。尚、本発明においては、レンズ列44aのピッチは、上記範囲内であれば、全てのレンズ列44aで同一としてもよいし、部分的に異なるものでも良いし、徐々に変化していても良い。
本発明においては、面光源装置の輝度を損なうことなく明暗模様(輝度むら)の発現を抑えるために、レンズ列44aの形状を適正化することが必要となる。明暗模様の発現を抑えるためには光が特定角度へ集中しないようにレンズ列44aの断面形状(レンズ列44aの延在方向と直交する断面形状)を曲線状にすることが必要であり、輝度の低下を抑えるためにはレンズ列44aによる光の広がりを明暗模様の発現がない範囲で極力抑えることが必要であり、レンズ列44aの平均傾斜角(レンズ列44aの延在方向と直交する断面における平均傾斜角)を光の広がり角に応じて適正化することが必要となる。すなわち、面光源装置の輝度を損なうことなく明暗模様の発現を抑えるためには、レンズ列44aの平均傾斜角と曲面形状とを適正化することが必要となる。
本発明において、光の広がり角とは、1つの点光源を点灯し、この点光源からの最大強度光が導光体に入射する位置を中心とする半径5mmの円弧上での導光体光出射面の輝度分布を測定した場合に、最大輝度値の50%以上の輝度値が得られる角度範囲をいう。有効発光領域内での明暗模様の発現を抑止するために必要となる光の広がり角は、図20に示したように、LEDのような一次光源と導光体の光入射端面との距離や一次光源間の距離によって決まってくる。面光源装置の輝度を損なうことなく明暗模様の発現を抑えるためには、光の広がり角を明暗模様が発現しなくなるできるだけ小さな角度にし、この光の広がり角に応じてレンズ列44aの断面形状の平均傾斜角を設定することが必要である。
すなわち、導光体内での光の広がり角を90°以上とすることが必要である場合には、レンズ列44aの平均傾斜角が12.5〜30°の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは15〜28°の範囲である。導光体内での光の広がり角を70〜90°とすることが必要である場合には、レンズ列44aの平均傾斜角が11〜20°または25〜35°の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは11.5〜17.5°または25〜30°の範囲である。また、導光体内での光の広がり角を70°以下とすることが必要である場合には、レンズ列44aの平均傾斜角は10〜17°または27.5〜50°の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは11〜15°または27.5〜32.5°の範囲である。これは、レンズ列44aの平均傾斜角を必要とされる光の広がり角に応じて上記範囲とすることにより、面光源装置としての輝度の大幅な低下を招くことなく明暗模様の発現を抑止することができるためである。総体的には、レンズ列44aの平均傾斜角は10〜50°の範囲内にある。
明暗模様の発現を抑えるためには、レンズ列44aの断面形状を曲線状とし、光が特定角度へ集中しないようにすることが必要であり、特にレンズ列44aの傾斜が特定の角度に偏らず幅を持って分布していることが好ましい。
図3〜図5に、本発明の導光体の光出射面あるいはその反対側の裏面に形成するレンズ列44aの断面形状の代表例を示す。図3において、CFはレンズ列44aの表面のXZ断面形状を示す。断面形状CFは、基本形状CF0に対して修正形状CF1を付加したものに相当する。ここで、基本形状CF0は頂角θが80〜160°の三角形状の該頂角を挟む2つの辺からなる。該三角形状の底辺に対する上記2つの辺のなす角度α,α’は10〜50°であるのが好ましく、α=α’であるのが好ましい。また、修正形状CF1は、基本形状の上記2つの辺のそれぞれに対して両端での修正量が零であり、全部分において傾き角βが30°以下である。図3の例では、修正形状CF1は外方へ凸の曲線からなる。
図4及び図5は、レンズ列44aの表面の断面形状の更に別の例を示すための、図3と同様な説明図である。図4の例では、修正形状CF1は外方へ凹の曲線からなる。図5の例では、修正形状CF1は外方へ凸の部分と外方へ凹の部分とを有する曲線からなる。いずれにおいても、修正形状CF1は全部分において傾き角βが30°以下である。また、いずれにおいても、基本形状CF0は図3のものと同一である。
頂角θを上記の範囲とすることによって導光体4からの出射光をY方向と略直交する面内において良好に集光することができ、所要の方向の輝度の十分な向上を図ることができる。
図6〜図9は、Y方向と直交する断面でのレンズ列44aの形状の例を示す模式図である。図6の例は上記図3に対応しており、ここではレンズ列44aの断面形状は外方へ凸の曲線CV1,CV2を含んでなる。図7の例は上記図4に対応しており、ここではレンズ列44aの断面形状は外方へ凹の曲線CC1,CC2を含んでなる。図8の例は上記図5に対応しており、ここではレンズ列44aの断面形状はそれぞれ外方へ凸の部分CVと外方へ凹の部分CCとを有する曲線CX1,CX2を含んでなる。図9の例では、レンズ列44aの断面形状は折れ線K1,K2を含んでなる。これらの図において、SSはレンズ列44aの断面形状の底辺であり、該レンズ列44aの形成されている導光体面を代表的に近似する仮想平面に相当する。
図10に、LED2の発光部から発せられた光のXY面内での分布をMで示す。ここでは、Y方向を角度0としている。このように、LED2の発光部から発せられた光は、XY面内において指向性を持って(強度に角度分布を持って)導光体4の光入射端面41に入射する。図10に示した場合では、LED2の発光の指向性がY方向と略一致しているため、導光体4へ入射する際の屈折作用を殆ど受けないため、レンズ列44aの延在方向は、LED2の発光の指向性の方向に沿っており、即ちLED2の発光部から発せられた光のうちの最大強度光L0の方向と一致している。
上記のように、レンズ列44aのそれぞれの表面のXZ断面形状CFは、基本形状CF0に対して修正形状CF1を付加したものであり、該修正形状CF1として、基本形状の2つの辺のそれぞれに対して両端での修正量が零であり、全部分において傾き角βが30°以下であるものを用いているので、LED2から発せられ光入射端面41から導光体4内へと入射した光のXY面内での分布を、図10にてNで示すように、Mより広い分布とすることができる。これにより、光出射面43の広い領域へと所要の強度の光を導くことができ、輝度の均斉度を向上させることができる。そして、レンズ列44aの表面のXZ断面形状CFの基本形状CF0の頂角θを上記範囲内にすることにより、以上のようなレンズ列形成面の修正形状付加による効果を維持しながら、X方向と平行な面において集光された出射光を出射させることができ、面光源装置として所要の視野範囲内の方向に集中して光出射させて輝度を向上させることができる。
本発明においては、レンズ列44aの断面形状を特定のものとなすことによって、輝度分布の不均一な部分の発生を抑止する。
即ち、図3〜図9に示されるような曲線や折れ線等からなるレンズ列断面形状は、レンズ列形成面44に対する平均傾斜角が10〜50°となるように設定されている。平均傾斜角θaは、ISO4287/1−1984に従って、後述するようにして求めることができる。
尚、本明細書において、平均傾斜角などの角度または方向の基準としてレンズ列形成面44や光出射面43などの面をとる場合には、それらに形成されているレンズ列構造や粗面構造の微細形状を度外視した平面(例えば図6〜図9に示されている底辺SSに対応する平面や、これらと平行でレンズ列形成面44に接する接平面など)をいうものとする。
更に、レンズ列44aの断面形状は、その各点での接線と導光体のレンズ列形成面とのなす角度の絶対値を「(a)」とし、レンズ列44aの平均傾斜角を「(b)」として、これらの差の絶対値|(a)−(b)|の最大値が5〜30°の範囲となるようにすることが必要であり、|(a)−(b)|の最大値は好ましくは7〜25°の範囲であり、さらに好ましくは10〜20°の範囲である。この値を大きくすることで、図20,23,24での明るい部分の範囲を広げることができる。この値が30°を超えるとレンズ列44aによる光を広げる作用が低下し図24に示したような特に有効発光領域での暗い部分の発現を十分に抑えることができないためであり、逆に5°未満であるとレンズ列44aによる光を広げる作用が不十分であり図23に示したような明暗模様の発現を抑えることができないためである。
このようにレンズ列44aの断面形状における|(a)−(b)|の最大値を設定することで、LED2から発せられ光入射端面41から導光体4内へと入射した光のXY面内での分布を、図10にてNで示すように、Mより広い分布とすることができる。これにより、光出射面43の広い領域へと所要の強度の光を導くことができ、輝度の均斉度を向上させることができる。そして、レンズ列断面形状の平均傾斜角(b)を10〜50°の範囲内とすることで、以上のようなレンズ列形状における|(a)−(b)|の最大値範囲の特定による効果を維持しながら、X方向と平行な面において集光された出射光を出射させることができ、面光源装置として所要の視野範囲内の方向に集中して光出射させて輝度を向上させることができる。
また、レンズ列44aの断面形状を微小な一定間隔(例えば、1μm間隔)で分割して得られた各微小領域での接線と導光体の光出射面とのなす角度の絶対値の度数分布を求めた時、その最大度数を示す角度から±5°以内の範囲内の微小領域の数(長さに対応する)の総和がレンズ列44a全体の50%以下であることが好ましく、さらに好ましくは、レンズ列44a全体の40%以下である。これは、レンズ列44aの傾斜が特定の角度に偏らず幅を持って分布していることにより明暗模様の発現を抑止できる効果が大きくなるためである。例えば、断面三角形状のレンズ列の頂部のみを曲面状としたような形状では、特定の方向が明るくなりやすくなり、明暗模様が発現しやすい。
光偏向素子6は、導光体4の光出射面43上に配置されている。光偏向素子6の2つの主面は、それぞれ全体としてXY面と平行に位置する。2つの主面のうちの一方(導光体の光出射面43側に位置する主面)は入光面61とされており、他方が出光面62とされている。出光面62は、導光体4の光出射面43と平行な平坦面とされている。入光面61は、多数のプリズム列61aが互いに平行に配列されたプリズム列形成面とされている。
入光面61のプリズム列61aは、導光体4に入射したLED2からの光の指向性の方向と略直交する方向に延び、互いに平行に形成されている。本実施形態では、プリズム列61aはX方向に延びている。なお、プリズム列61aは直線状に限定されず、LED2を囲むような湾曲状のものであってもよい。プリズム列61aの配列ピッチP2は、10〜100μmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは10〜80μm、さらに好ましくは20〜70μmの範囲である。また、プリズム列61aの頂角は、50〜80°の範囲とすることが好ましく、より好ましくは50〜70°の範囲である。
図11に、光偏向素子6による光偏向の様子を示す。この図は、YZ面内での導光体4からのピーク出射光(出射光分布のピークに対応する光)の進行方向を示すものである。導光体4の光出射面43から斜めに出射される光は、プリズム列61aの第1面へ入射し第2面により全反射されてほぼ出光面62の法線の方向に出射する。また、XZ面内では、上記のようなレンズ列44aの作用により出光面62の法線の方向の輝度の十分な向上を図ることができる。
本発明においては、光偏向素子6は、導光体4からの出射光を目的の方向に偏向(変角)させる機能を果たすものであり、少なくとも一方の面に多数のレンズ単位が並列して形成されたレンズ面を有するレンズシート等を使用することができるが、本発明のように指向性の高い光を出射する導光体4の場合には、レンズシートを使用することが特に好ましい。レンズシートに形成されるレンズ形状は、目的に応じて種々のものが使用され、例えば、プリズム形状、レンチキュラーレンズ形状、フライアイレンズ形状、波型形状等が挙げられる。中でも断面略三角形状の多数のプリズム列が配列されたプリズムシートが特に好ましい。
光反射素子8としては、例えば表面に金属蒸着反射層を有するプラスチックシートを用いることができる。本発明においては、光反射素子8として反射シートに代えて、導光体4の光出射面の反対側の主面44に金属蒸着等により形成された光反射層等を用いることも可能である。尚、導光体4の4つの側端面(光入射端面41を除く)にも反射部材を付することが好ましい。
本発明の導光体4及び光偏向素子6は、光透過率の高い合成樹脂から構成することができる。このような合成樹脂としては、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂が例示できる。特に、メタクリル樹脂が、光透過率の高さ、耐熱性、力学的特性、成形加工性に優れており、最適である。このようなメタクリル樹脂としては、メタクリル酸メチルを主成分とする樹脂であり、メタクリル酸メチルが80重量%以上であるものが好ましい。導光体4及び光偏光素子6の粗面の表面構造やプリズム列等の表面構造を形成するに際しては、透明合成樹脂板を所望の表面構造を有する型部材を用いて熱プレスすることで形成してもよいし、スクリーン印刷、押出成形や射出成形等によって成形と同時に形状付与してもよい。また、熱あるいは光硬化性樹脂等を用いて構造面を形成することもできる。更に、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリメタクリルイミド系樹脂等からなる透明フィルムあるいはシート等の透明基材上に、活性エネルギー線硬化型樹脂からなる粗面構造またレンズ列配列構造を表面に形成してもよいし、このようなシートを接着、融着等の方法によって別個の透明基材上に接合一体化させてもよい。活性エネルギー線硬化型樹脂としては、多官能(メタ)アクリル化合物、ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル類、アリル化合物、(メタ)アクリル酸の金属塩等を使用することができる。
本発明では、導光体4の光出射機構としては、上記の粗面の他に、図12に示すように、プリズム列、レンチキュラーレンズ列またはV字状溝等の多数のレンズ列を、導光体4に入射したLED2からの光の指向性の方向と略直交する方向(X方向)に延び、互いに平行に形成したものを用いることができる。なお、この場合のレンズ列は直線状に限定されず、LED2を囲むような湾曲状のものであってもよい。この目的で使用されるプリズム列43aは、配列ピッチP3が好ましくは10〜100μm、より好ましくは10〜80μm、さらに好ましくは20〜70μmの範囲であり、頂角が好ましくは130〜179°、より好ましくは140〜179°の範囲である。
この光出射機構は、導光体4の光出射面43内で出射率が不均一分布となるように設けることもできる。例えば、光出射機構として粗面を使用する場合には、その表面粗さの光出射面43内での分布が不均一となるように粗面化処理を施すことによって出射率の不均一分布を形成することができる。
本発明においては、以上のように導光体4の光出射面43に光出射機構を形成し、その反対側の主面(裏面)をレンズ列44aのレンズ列形成面44とすることが好ましいが、本発明においては光出射面をレンズ列形成面とし且つその反対側の主面に光出射機構を形成してもよい。
光出射機構としての粗面やレンズ列形成面は、ISO4287/1−1984による平均傾斜角θaが0.5〜25°の範囲のものとすることが、光出射面43内での輝度の均斉度を図る点から好ましい。平均傾斜角θaは、さらに好ましくは0.5〜20°の範囲であり、特に好ましくは0.5〜7°の範囲である。この平均傾斜角θaは、導光体4の厚さ(t)と入射光が伝搬する方向の長さ(L)との比(L/t)によって最適範囲が設定されることが好ましい。すなわち、導光体4としてL/tが100〜200程度のものを使用する場合は、平均傾斜角θaを0.5〜8°とすることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜6°の範囲であり、より好ましくは0.5〜4°の範囲である。また、導光体4としてL/tが50〜100程度のものを使用する場合は、平均傾斜角θaを0.8〜15°とすることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜10°の範囲であり、より好ましくは1〜6°の範囲である。さらに、導光体4としてL/tが50以下程度のものを使用する場合は、平均傾斜角θaを1.5〜25°とすることが好ましく、さらに好ましくは2〜20°の範囲である。
導光体4のレンズ列形成面44に形成されるレンズ列44a、および光出射機構としての粗面あるいはレンズ列の平均傾斜角θaは、ISO4287/1−1984に従って、触針式表面粗さ計を用いて粗面形状を測定し、測定方向の座標をxとして、得られた傾斜関数f(x)から次の(1)式および(2)式、
Δa=(1/L)∫0 L|(d/dx)f(x)|dx ・・・ (1)
θa=tan-1(Δa) ・・・ (2)
を用いて求めることができる。ここで、Lは測定長さであり、Δaは平均傾斜角θaの正接である。
さらに、導光体4としては、その光出射率が0.5〜5%の範囲にあるものが好ましく、より好ましくは1〜3%の範囲である。これは、光出射率が0.5%より小さくなると導光体4から出射する光量が少なくなり十分な輝度が得られなくなる傾向にあり、光出射率が5%より大きくなると光源2近傍で多量の光が出射して、光出射面43内でのY方向における光の減衰が著しくなり、光出射面43での輝度の均斉度が低下する傾向にあるためである。このように導光体4の光出射率を0.5〜5%とすることにより、光出射面から出射するピーク光の角度が光出射面の法線に対し50〜80°の範囲にあり、Y方向を含み光出射面43に垂直な面における出射光分布の半値幅が10〜40°であるような指向性の高い出射特性の光を導光体4から出射させることができ、その出射方向を光偏向素子6で効率的に偏向させることができ、高い輝度を有する面光源装置を提供することができる。
本発明において、導光体4からの光出射率は次のように定義される。光出射面43の光入射端面41側での出射光の光強度(I0 )と該端面から距離Lの位置での出射光強度(I)との関係は、導光体4の厚さ(Z方向寸法)をtとすると、次の(3)式、
I=I0 ・α(1−α)L/t ・・・ (3)
のような関係を満足する。ここで、定数αが光出射率であり、光出射面43におけるY方向での単位長さ(導光体厚さtに相当する長さ)当たりの導光体4から光が出射する割合(%)である。この光出射率αは、縦軸に光出射面43からの出射光の光強度の対数と横軸に(L/t)をプロットすることで、その勾配から求めることができる。
以上のようなLED2、導光体4、光偏向素子6および光反射素子8からなる面光源装置の発光面(光偏光素子6の出光面62)上に、液晶表示素子を配置することにより液晶表示装置が構成される。液晶表示装置は、図1における上方から液晶表示素子を通して観察者により観察される。また、本発明においては、十分にコリメートされた狭い分布の光を面光源装置から液晶表示素子に入射させることができるため、液晶表示素子での階調反転等がなく明るさ、色相の均一性の良好な画像表示が得られるとともに、所望の方向に集中した光照射が得られ、この方向の照明に対する一次光源の発光光量の利用効率を高めることができる。
図13及び図14は、本発明による面光源装置用導光体をLEDとともに示す平面図である。これらの図において、図1〜図12におけると同様の機能を有する部材または部分には同一の符号が付されている。
これらの実施形態では、点状の一次光源としてのLED2が、導光体4の隅部の切欠部に形成された光入射端面41に隣接して配置されている。そして、図13の実施形態では、LED2から発せられた最大強度光L0 は、導光体4の切欠部の形成されている隅部とその対角位置の隅部とを結ぶ対角線と平行に進行する。また、図14の実施形態では、LED2から発せられた最大強度光L0 は、導光体4の切欠部の形成されている隅部に隣接する2つの端縁の双方に対して略同一の角度φをなす方向に沿って進行する。いずれの場合も、導光体裏面44のレンズ列44aは、最大強度光L0 の進行方向と平行な方向に延びている。レンズ列44aの断面形状CFは上記の実施形態のものと同様である。本実施形態においても上記実施形態と同様な作用効果が奏される。
図15は、本発明による面光源装置用導光体の一部をLEDとともに示す部分分解斜視図である。これらの図において、図1〜図14におけると同様の機能を有する部材または部分には同一の符号が付されている。
本実施形態では、光入射端面41は異方性粗面からなる。この異方性粗面は、光出射面43に沿ったX方向での平均傾斜角θaが光出射面43と直交するZ方向での平均傾斜角θaより大きい。このような粗面とすることで、LED2から発せられ光入射端面41から導光体4内へと入射する光のXY面内での分布を広げることができる。これにより、YZ面内での分布を過度に広げることに基づく光入射端面近傍での導光体4からの過度の光出射を防止して、光出射面43の広い領域へと効率よく所要の強度の光を導くことができ、輝度の均斉度の向上に寄与することができる。
この光入射端面41の異方性粗面は、光出射面43に沿ったX方向での平均傾斜角が好ましくは3〜60°、更に好ましくは5〜45°である。平均傾斜角が3°未満であると上記の作用効果が小さくなる傾向にあり、平均傾斜角が60°を越えると輝線が出現しやすくなる傾向にある。また、上記の作用効果を得るためには、光出射面43と直交するZ方向での平均傾斜角が5°以下であるのが好ましい。更に、光入射端面41の異方性粗面は、前記光出射面43に直交する方向で測定した場合の傾き角8°以上の領域の長さが全測定長の5%以下であることが好ましい。傾き角8°以上の領域の長さが全測定長の5%を越えると、導光体内に入射した時点で光出射面43に対し臨界角以下で入射するような光線が多くなるので、光源近傍で光出射面43から出射する光線の割合が増加し、輝線が出現しやすくなる傾向にある。
LED2などの一次光源と光入射端面41との距離は0.2mm以下とするのが好ましい。一次光源と光入射端面との距離が0.2mmを越えると、輝度低下が発生しやすくなる傾向にある。
図16は、本発明による面光源装置用導光体をLEDとともに示す部分平面図である。これらの図において、図1〜図15におけると同様の機能を有する部材または部分には同一の符号が付されている。
本実施形態では、光出射面43に沿ったX方向に隔てられ同一平面S上に配置された複数の光入射端面41を備えており、該光入射端面の隣接するものどうしの間の端縁に対応する部分が上記同一平面Sより外方へ突出して突出部46を形成しており、該突出部46では各光入射端面41に隣接する部分が同一平面Sに対して角度ωだけ傾斜している。このような構造にすることで、LED2のケースから横方向に漏れ出す光を端縁から導光体4内へと導入することができ、光の利用効率を高めることができる。このような作用効果を高めるためには、角度ωは5〜60°であるのが好ましい。
図17は、本発明による面光源装置の更に別の実施形態を示す斜視図である。図において、図1〜図16におけると同様の機能を有する部材または部分には同一の符号が付されている。
本実施形態では、有効発光領域F以外の領域の光偏向素子6、導光体4及び光反射素子8の積層体の端面部並びにLED2を覆うようにして、光拡散性を有する反射シート10が付設されている。これにより、積層体の端面部から出射する光及びLED2のケースから漏れ出す光をXY面内において良好に拡散させて反射させ導光体4へと再入射させることができ、導光体光出射面43の広い領域へと所要の強度の光を導くことができ、輝度の均斉度の向上に寄与することができる。
図18は、本発明による面光源装置の更に別の実施形態を示す断面図である。図において、図1〜図17におけると同様の機能を有する部材または部分には同一の符号が付されている。
本実施形態では、有効発光領域F以外の領域の導光体4及び光反射素子8の積層体の端面部並びにLED2を覆うようにして、光拡散性を有する反射シート10が付設されている。その上に、光偏向素子6が配置されている。これによっても、図17の実施形態と類似の作用効果を得ることができる。但し、この実施形態は、図17の実施形態と比較して、XY面内における拡散の機能は低いが、高い輝度を得ることができる。
以上の実施形態のいくつかでは、LEDなどの点状光源を複数用いている。この場合、複数の点状光源は、それらから発せられる光の最大強度光L0 の方向が互いに平行となるように配置するのが好ましい。
以下、本発明の実施例及び比較例を示す。尚、実施例及び比較例において、平均傾斜角の測定、微小領域での傾斜角(接線の傾斜角)の測定、広がり角の測定及び輝度分布の均一性の評価のための輝度むらの測定は次のようにして行った。
平均傾斜角の測定
触針式表面粗さ計(東京精器社製サーフコム570A型)にて、触針として1μmR、55゜円錐ダイヤモンド針(010−2528)を用いて、駆動速度0.03mm/秒で測定した。測定長は2mmとした。抽出曲線の平均線の傾斜の補正を行った後、前記(1)式および(2)式に従ってその曲線を微分した曲線の中心線平均値を求めた。
微小領域での傾斜角の測定
上記抽出曲線を1μmづつの微小測定領域に分割し、各測定領域でのレンズ列断面形状の傾斜角(接線の傾き角に相当)を求めた。この値に基づき、傾斜角の度数分布を得た。度数分布は1度おきに求めた。
広がり角の測定
点状の一次光源としてのLEDを1つ点灯し、そのLEDから光が入射する位置を中心とする半径5mmの円弧上にて導光体光出射面の輝度を測定し、最大輝度値の50%以上の輝度値が得られる角度範囲を求めた。
輝度むらの測定
面光源装置の光出射面における光入射端面側の端縁から4mm〜4.5mmの幅0.5mmの領域にてその長さ方向に沿って1mmの間隔の位置ごとに輝度測定を行い、測定した輝度値の最小値と最大値との比(最小値/最大値)を求めた。
[実施例1]
鏡面仕上げをした有効面積34mm×48mm、厚さ3mmのステンレススチール板の表面を、粒径53μm以下のガラスビーズ(不二製作所社製FGB−400)を用いて、ステンレススチール板から吹付けノズルまでの距離を40cmとして、吹付け圧力3.0kgf/cm2 で全面にブラスト処理を行って、粗面化した。これにより、粗面の形状転写面を有する第1の金型を得た。
一方、鏡面仕上げをした有効面積34mm×48mm、厚さ3mmの真鍮板の表面に、ピッチ50μmのレンズ列を長さ48mmの辺に平行に連設したレンズパターンを切削加工により形成した。これにより、レンズパターンの形状転写面(凹状曲面)を有する第2の金型を得た。図22に、金型の形状転写面の断面形状の測定結果を示す。
以上の第1の金型及び第2の金型を用いて射出成形を行い、短辺34mm、長辺48mmの長方形で、厚さが長辺に沿って1mm〜0.7mmと変化するくさび形状であり、一方の面が粗面からなり、他方の面がレンズ面からなる透明アクリル樹脂板を作製し、これを導光体とした。得られた導光体の粗面側の平均傾斜角は3.4°であった。
また、得られた導光体のレンズ面の断面形状の平均傾斜角は16°であり、微小領域のレンズ列形成平面に対する傾斜角の絶対値は最大値が31°であり最小値が0°であり従って平均傾斜角との差の最大値は16°であった。上記微小領域での傾斜角の度数分布を1°おきに求めたところ、最も度数の大きい傾斜角は6°であった。傾斜角が1°〜11°の値をとる微小領域の数は、全微小領域の数の34%であった。
得られた導光体の光入射端面を、#2000のサンドペーパーを用いて光出射面と直交する方向に粗面化処理した。粗面化された光入射端面は、光出射面に沿った方向での平均傾斜角が15°であり、光出射面に直交する方向での平均傾斜角が5°であった。
導光体の厚さ1mmの短辺側端面に対向するようにして、3個のLED(日亜化学工業社製NSCW215biR)を9.0mmの間隔で配置した。この導光体のレンズ列形成面側には光散乱反射シート(辻本電機製作所社製SU−119)を配置し、粗面側には頂角65°でピッチ50μmのプリズム列が多数並列に形成されたプリズムシート(三菱レイヨン社製M165)を、そのプリズム形成面が対向するように配置し、図21に示したような面光源装置を作製した。即ち、導光体の粗面からなる面を光出射面として用いた。なお、得られた面光源装置の広がり角は110°であった。面光源装置の有効発光領域Fは図示した通りである。
得られた面光源装置の有効発光領域Fの光入射端面近傍の0.5mm幅の領域での輝度むらを測定したところ、輝度の最小値と最大値との比(最小値/最大値)は0.9であり、有効発光領域F内での輝度むらは観察されなかった。
[比較例1]
鏡面仕上げをした有効面積34mm×48mm、厚さ3mmのステンレススチール板の表面を、粒径53μm以下のガラスビーズ(不二製作所社製FGB−400)を用いて、ステンレススチール板から吹付けノズルまでの距離を40cmとして、吹付け圧力3.0kgf/cm2 で全面にブラスト処理を行った。次いで、ステンレススチール板の一つの短辺端面の近傍の幅4mm以外の部分を覆うようにアクリル樹脂製遮蔽板をステンレススチール板の表面から40mm離して配置し、ステンレススチール板の表面の遮蔽板により覆われていない領域を粒径53μm以下のガラスビーズ(不二製作所社製FGB−400)を用いて、ステンレススチール板から吹付けノズルまでの距離を40cmとして、吹付け圧力5.0kgf/cm2 で幅4mmの帯状にブラスト処理を行った。これにより、粗面の形状転写面を有する第1の金型を得た。
一方、鏡面仕上げをした有効面積34mm×48mm、厚さ3mmの真鍮板の表面に、頂角130°で頂部が曲率半径5μmの曲面とされた略二等辺三角形断面を有するピッチ50μmのプリズム列を長さ48mmの辺に平行に連設したプリズムパターンを切削加工により形成した。これにより、プリズムパターンの形状転写面を有する第2の金型を得た。
以上の第1の金型及び第2の金型を用いて射出成形を行って、短辺34mm、長辺48mmの長方形で、厚さが長辺に沿って1mm〜0.7mmと変化するくさび形状であり、一方の面が粗面からなり、他方の面がプリズム面からなる透明アクリル樹脂板を作製し、これを導光体とした。射出成形の際には、粗面の金型を帯状にブラスト処理を施した側が厚肉側となるようにした。得られた導光体の粗面側の平均傾斜角は、厚肉端面から4mmの帯状領域では5.0°であり、この帯状領域に隣接する約1mmの領域では徐々に変化しており、それ以外の領域では3.4°であった。
また、導光体のレンズ列形成面の平均傾斜角は22°であり、レンズ列の断面形状の微小領域での接線と導光体のプリズム列形成面とのなす角の絶対値の最大値が27°、最小値が6°であり、平均傾斜角との差の最大値は16°であった。さらに、微小領域での傾斜角の度数分布を1°間隔で求めたところ、度数が最大となる傾斜角は25°であり、傾斜角が20°〜30°の値をとる微小領域の数は全体の79%であった。なお、導光体のプリズム列の頂部の曲面部を除く平面部分の平均傾斜角は25°であり、レンズ列の断面形状の微小領域での接線と導光体のレンズ列形成面とのなす角の絶対値との差の最大値は19°であった。
得られた導光体を用いて、実施例1と同様にして、図21に示したような面光源装置を作製した。
得られた面光源装置の有効発光領域Fの光入射端面近傍の0.5mm幅の領域での輝度むらを測定したところ、輝度の最小値と最大値との比(最小値/最大値)は0.4であり、有効発光領域F内で輝度むらが観察された。