JP5370797B2 - クレーンの位置検出システム - Google Patents

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【発明の属する技術分野】
本発明はクレーンの移動体の位置検出システムに関し、特に屋内、屋外を問わず設置でき、天候の影響も受けず、精度が高くコストの低いクレーンの位置検出システムに関するものである。
【従来の技術】
従来、クレーンの位置検出システムとしては、レーザー距離計を用いる方法、誘導無線を用いる方法、移動体の車輪にパルス発信機を取り付けてこれを計数する方法等が知られている。ところがレーザー距離計を用いるものは、太陽光の影響、天候の影響を受け易く屋外での使用は不可能であり、誘導無線を用いるものは誘導線の敷設工事が大がかりとなって工事費用がかさむという問題があり、クレーンの車輪にパルス発信機を取り付けるものでは車輪のスリップにより位置が正確に検出できないという問題があった。また、移動体の移動範囲の延長に対して容易に対応できないという問題があった。
このような問題を解決するものとして特開平7−55927のようなIDタグを使用したものが考えられている。この特開平7−55927の発明は、移動体の移動場所にIDタグを配置しておき、移動体に取り付けた読み取り装置によりIDタグを読み取って読み取ったID番号から移動体の位置を検出するものであって、IDタグの間隔以下の距離は検出できず、位置の検出精度が低いという問題があった。
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決し、太陽光、天候の影響を受けず、精度が高く設備コストが低く、クレーンの移動範囲の延長にも容易に対応できる移動体の位置検出システムを提供するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
上記の問題は、クレーンの移動経路に沿って複数のIDタグを一定間隔で配置し、クレーンに設けたIDタグのリーダーによってIDタグを読み取り、各IDタグのID番号に対応する絶対位置を記憶させた制御装置によってクレーンの位置を検出するクレーンの位置検出システムにおいて、クレーンに複数のリーダーを設け、IDタグ間の間隔とリーダー間の間隔とを異なったものとしたことを特徴とする本発明の移動体の位置検出システムによって解決できる。また、IDタグの間隔をL、リーダーの個数をNとしたとき、1個のリーダーが1個のIDタグに対向した状態において他のリーダーが何れかのIDタグから同方向にそれぞれL/N、2L/N、3L/N、・・・、(N−1)L/Nだけ離れた位置に位置するようにリーダーを設けることができ、リーダー間の間隔を L+L/N 又は L−L/N の一定間隔とすることができる
【発明の実施の形態】
次に、本発明のクレーンの位置検出システムに係る実施形態について、図を参照しながら説明する。
図1は配置を示すものであって、クレーン1が載置されるレール2に沿って複数のIDタグ3、3が一定の間隔で設置してあり、クレーン1にはIDタグ3、3を読み取る複数のリーダー4、4がIDタグ3、3の間隔とは異なる間隔で設けてある。図2はシステムの構成を示すもので、各リーダー4、4は制御装置5に接続され、制御装置5は管理部署に設置した表示装置6に接続してある。制御装置5には各IDタグのID番号に対応する絶対位置が記憶させてある。
ここに使用するIDタグ3、3及びリーダー4、4は物流監視用等に一般的に使用されている物を使用することができる。こうしたIDタグシステムはIDタグ3が図3に示すリーダー4の感知範囲A内に入るとそのIDタグ3のID番号をリーダー4が読み取るものであって、IDタグ3、リーダー4の受信部分は密封され、耐環境性に優れたものである。リーダー4は電波を発信しており、IDタグ3がリーダーからの電波を受信すると励振され、自己のID番号を送信するという動作をするものであって、光の影響を受けることもない。
図4はリーダー4とIDタグ3の関係の一例を示すもので、IDタグ31、32、33、34、35はレールに沿って一定の間隔Lで設置してある。図示していないが、クレーン1の移動範囲に応じてこれらのIDタグ31乃至35の前後には同様にIDタグが配設してある。クレーンには4個のリーダー41、42、43、44がIDタグ31乃至35の間隔LよりΔLだけ長い間隔で設けてある。ここでΔLはLの整数N分の1となるように選ぶものであって、図4ではNを4としており、リーダー41乃至44の個数はこのNと等しくしてある。
前記構成のものにおいて、クレーン1が移動し、リーダー4、4のいずれかがIDタグ3、3のいずれかを感知すると、当該リーダー4は感知したIDタグのID番号を読み取ることとなる。図4の状態ではリーダー41がIDタグ31を読み取っており、IDタグ31のID番号からクレーン1の位置を知ることができる。すなわち、リーダー41により読み取られたIDタグ31のID番号は制御装置5に送られ、制御装置5は自己の記憶と読み取られたID番号からIDタグの絶対位置を算出する。さらに制御装置5は、クレーン1に対するリーダー41の位置からクレーン1の位置を算出して表示装置6に送り、表示装置6でクレーン1の位置が表示される。クレーン1の移動に伴い、リーダー41乃至44が図上右方に移動すると、リーダー41はIDタグ31を読み取らなくなり、リーダー44がIDタグ35を読み取ることとなる。この間のクレーン1の移動距離はΔLである。リーダー44により読み取られたIDタグ35のID番号は制御装置5に送られ、制御装置5は同様にしてID番号からIDタグ35の絶対位置を算出し、クレーン1に対するリーダー44の位置からクレーン1の位置を算出して表示装置6に送り、表示装置6でクレーン1の位置が表示される。
以後、クレーン1が同方向に移動すれば、次にはリーダー43がIDタグ34を読み取り、さらにその次にはリーダー42がIDタグ33を、リーダー41がIDタグ32をそれぞれ順次読み取ることになる。リーダー43、42、41がIDタグ34、33、32を読み取るたびに、制御装置5は前記と同様にしてクレーン1の位置を算出し、表示装置6に送って表示させる。クレーン1がΔL移動するごとに、リーダー41乃至44のいずれかがIDタグ31乃至35のいずれかを読み取るので、ΔLの精度すなわちLのN分の1の精度でクレーン1の位置を検出することができることとなる。クレーン1の移動中、リーダー41乃至44のいずれかがIDタグ31乃至35のいずれかを読み取った後、次にリーダー41乃至44のいずれかがIDタグ31乃至35のいずれかを読み取るまでの間はリーダー41乃至44の全てがIDタグ31乃至35を読み取らない状態となるが、制御装置5に最後に検知した位置を記憶させておくことにより、クレーン1の移動方向からクレーン1の現在位置を推定することが可能である。
クレーン1が逆方向に移動した場合にも、クレーン1がΔL移動するごとに、リーダー41乃至44のいずれかがIDタグ31乃至35のいずれかを読み取るので、同様にΔLの精度すなわちLのN分の1の精度でクレーン1の位置を検出することができる。クレーン1の移動範囲を延長する場合には、延長したレール2に沿ってIDタグを一定間隔で配設し、制御装置5に追加した各IDタグのID番号に対応する絶対位置を記憶させることにより対応することができる。
IDタグ3の間隔L、リーダー4の設置個数N及び位置検出精度ΔLとの間には、 L/ΔL=N の関係があるので所要の位置検出精度を満足するように定める。例えば、IDタグ3の間隔を400mmとした場合、自動搬送にも充分な精度である位置検出精度ΔLを100mmとするためにはリーダー4の設置個数を4とする。このようにIDタグの間隔を短くすることなく位置検出精度を高くすることができる。このようなシステムを例えば製鉄所の出荷ヤードのクレーンに応用した場合には、高精度で位置の検出が行なえることからクレーンの遠隔運転が可能となり、製品の斜め吊りを生ずることがなく、生産性が向上する利点がある。
図5はリーダー4とIDタグ3の関係の別の例を示すもので、IDタグ31、32、33、34、35は図4に示すものと同様に一定の間隔Lで設置してある。クレーンには4個のリーダー41、42、43、44がIDタグ31乃至35の間隔LよりΔLだけ短い間隔で設けてある。ΔLをLの整数N分の1となるように選ぶこと、リーダー41乃至44の個数をこのNと等しくすることは同様であり、この例でもNは4としている。
図5の状態ではリーダー41がIDタグ31を読み取っており、リーダー41により読み取られたIDタグ31のID番号は制御装置5に送られ、制御装置5は自己の記憶と読み取られたID番号ならびにクレーン1に対するリーダー41の位置からクレーン1の位置を算出する。クレーン1の移動に伴い、リーダー41乃至44が図上右方向に移動すると、リーダー42がIDタグ32を読み取ることとなる。この間のクレーン1の移動距離はΔLである。リーダー42により読み取られたIDタグ32のID番号は制御装置5に送られ、制御装置5は同様にしてID番号ならびにクレーン1に対するリーダー44の位置からクレーン1の位置を算出する。
以後、クレーン1が同方向に移動すれば、次にはリーダー43がIDタグ33を読み取り、さらにその次にはリーダー44がIDタグ34を、リーダー41がIDタグ32をそれぞれ順次読み取ることになる。リーダー43、44、41がIDタグ33、34、32を読み取るたびに、制御装置5は前記と同様にしてクレーン1の位置を算出し、表示装置6に送って表示させる。この配置とした場合にも、クレーン1がΔL移動するごとに、リーダー41乃至44のいずれかがIDタグ31乃至35のいずれかを読み取るので、ΔLの精度でクレーン1の位置を検出することができることとなる。
図5に示す配置とした場合には、IDタグ3の間隔を同一とすると図4に示す配置とした場合に比べて少ないスペースにリーダー4を設置することができる利点がある。但し、こうしたIDタグでは、一旦読み取った後次に読み取るまでの間に長い休止時間を要するものがある。1個のIDタグが読み出される時間間隔は、図4に示す配置とした場合はクレーン1がL+ΔL移動する時間であるのに対し、図5に示す配置とした場合はクレーン1がL−ΔL移動する時間となり、クレーン1が高速で移動する場合には図4に示す配置とした方がより好適である。
図6はリーダー4とIDタグ3の関係のさらに別の例を示すもので、IDタグ31、32、33、34、35、36、37、38、39、310は図4に示すものと同様に一定の間隔Lで設置してある。クレーンには4個のリーダー41、42、43、44が設けてあるが、1個のリーダーが1個のIDタグと対向している状態で、他のリーダーはそれぞれ任意のIDタグから同方向にそれぞれΔL、ΔL×2、ΔL×3だけ離れた位置関係となるように設けてある。すなわち図6ではリーダー41がIDタグ34と対向している状態で、リーダー42はIDタグ37の右方ΔL離れた位置に、リーダー43はIDタグ32の右方ΔL×2離れた位置に、リーダー44はIDタグ39の右方ΔL×3離れた位置に、それぞれ位置するように設けてある。
図6の状態ではリーダー41がIDタグ34を読み取っており、リーダー41により読み取られたIDタグ34のID番号は制御装置5に送られ、制御装置5は自己の記憶と読み取られたID番号ならびにクレーン1に対するリーダー41の位置からクレーン1の位置を算出する。クレーン1の移動に伴い、リーダー41乃至44が図上右方向に移動すると、リーダー44がIDタグ310を読み取ることとなる。この間のクレーン1の移動距離はΔLである。リーダー44により読み取られたIDタグ310のID番号は制御装置5に送られ、制御装置5は同様にしてID番号ならびにクレーン1に対するリーダー44の位置からクレーン1の位置を算出する。
以後、クレーン1が同方向に移動すれば、次にはリーダー43がIDタグ33を読み取り、さらにその次にはリーダー42がIDタグ38を、リーダー41がIDタグ35をそれぞれ順次読み取ることになる。リーダー43、42、41がIDタグ33、38、35を読み取るたびに、制御装置5は前記と同様にしてクレーン1の位置を算出し、表示装置6に送って表示させる。この配置とした場合にも、クレーン1がΔL移動するごとに、リーダー41乃至44のいずれかがIDタグ31乃至310のいずれかを読み取るので、ΔLの精度でクレーン1の位置を検出することができることとなる。
【発明の効果】
本発明は前記実施の形態によっても明らかなように、太陽光、天候等の影響を受けることがない利点がある。また、位置検出精度が高く設備コストが低く、さらに、クレーンの移動範囲の延長に対しても容易に対応することができる利点がある。したがって本発明は従来の問題点を解消したクレーンの位置検出システムを提供するものとして、その工業的価値は極めて大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す配置図である。
【図2】本発明の実施の形態のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】IDタグのリーダーの動作を示す図である。
【図4】IDタグとリーダーの関係の例を示す図である。
【図5】IDタグとリーダーの関係の別の例を示す図である。
【図6】IDタグとリーダーの関係のさらに別の例を示す図である。
【符号の説明】
クレーン
2 レール
3 IDタグ
4 リーダー
5 制御装置
6 表示装置
31、32、33、34、35、36、37、38、39、310 IDタグ
41、42、43、44 リーダー
A 感知範囲

Claims (3)

  1. クレーンの移動経路に沿って複数のIDタグを一定間隔で配置し、クレーンに設けたIDタグのリーダーによってIDタグを読み取り、各IDタグのID番号に対応する絶対位置を記憶させた制御装置によってクレーンの位置を検出するクレーンの位置検出システムにおいて、クレーンに複数のリーダーを設け、IDタグ間の間隔とリーダー間の間隔とを異なったものとしたことを特徴とするクレーンの位置検出システム。
  2. IDタグの間隔をL、リーダーの個数をNとしたとき、1個のリーダーが1個のIDタグに対向した状態において他のリーダーが何れかのIDタグから同方向にそれぞれL/N、2L/N、3L/N、・・・、(N−1)L/Nだけ離れた位置に位置するようにリーダーを設けたことを特徴とする請求項1に記載のクレーンの位置検出システム。
  3. IDタグの間隔をL、リーダーの個数をNとしたとき、リーダー間の間隔を L+L/N 又は L−L/N の一定間隔としたことを特徴とする請求項2に記載のクレーンの位置検出システム。
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