JP5370663B2 - 電動倍力装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車のブレーキ系に用いられる倍力装置に係り、より詳しくは電動モータを倍力源として利用する電動倍力装置に関する。
従来、この種の電動倍力装置としては、特許文献1に記載されたものがある。このものは、電動モータとそのステータへ電力を供給して制御を行うECU(Electric Control unit)とが一体とされ、ECUの駆動指令に応じて電動モータを駆動し、該電動モータの回転を回転直動変換機構により直線運動に変換して出力部材に伝達し、該出力部材によりマスタシリンダのピストンを推進して該マスタシリンダ内の圧力室にブレーキ液圧を発生させる構造となっている。
特開2008‐302725号公報
上記した従来の電動倍力装置では、電動モータの制御を行うECUが、前側ケーシング部材(第1ハウジング)に設けられ、電動モータのステータが、前側ケーシング部材の後端開口部を塞ぐ後側ケーシング部材(第2ハウジング)に配置されており、ECUとステータとを接続する配線処理が面倒なものになっていた。
本発明は、ECU及びステータを容易に接続することができる電動倍力装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、第1の発明は、ECUと、該ECUの指令に応じて回転する電動モータと、該電動モータの回転を直線運動に変換する回転直動変換機構と、変換された直線運動を伝達する出力部材と、該出力部材により推進されるピストンによりブレーキ液圧を発生するマスタシリンダとからなる電動倍力装置において、前記電動モータは、少なくとも一側に開口部を有する筒状の第1ハウジングと前記開口部を塞ぐ第2ハウジングとを有し、該第1ハウジングの内側に環状のステータが収容され、前記第1ハウジングの外周には前記ステータの近傍に前記ECUを収納するECUケーシングが取付けられ、前記第1ハウジングの軸方向の中間部で前記ECUケーシングが取付けられる箇所に貫通孔を設け、該貫通孔を通って前記ステータと前記ECUとを一定の形状を有する導線で接続し、該導線は、前記開口部側で前記ステータに接続されることを特徴とする。
また、第2の発明は、ECUと、該ECUの指令に応じて回転する電動モータと、該電動モータの回転を直線運動に変換する回転直動変換機構と、変換された直線運動を伝達する出力部材と、前記出力部材により推進されるピストンによりブレーキ液圧を発生するマスタシリンダとからなる電動倍力装置において、前記電動モータは、少なくとも一側に開口部を有する筒状のフロントハウジングを有し、該フロントハウジングの内側には、マスタシリンダ側に、周方向に延びる段部が形成され、該段部には、前記マスタシリンダの反対側から挿入された環状のステータが取付けられ、前記フロントハウジングの外周には前記ステータの近傍に前記ECUを収納するECUケーシングが取付けられ、前記フロントハウジングの開口部をリヤハウジングで塞ぎ、前記フロントハウジングの軸方向の中間部で前記ECUケーシングが取付けられる箇所に形成される貫通孔を設け、該貫通孔を通って前記ステータと前記ECUとを接続する一定の形状を有する導線を設け、該導線は、前記開口部側で前記ステータに接続されることを特徴とする。
本発明に係る電動倍力装置によれば、ECU及びステータを容易に接続することができる。
本発明の実施形態としての電動倍力装置の全体構造を示す断面図である。 実施形態としての電動倍力装置の全体構造を示す斜視図である。 実施形態としての電動倍力装置の本体部分の構造を示す断面図である。 実施形態におけるモータケーシング(第1ケーシングに第2ケーシングを取り付けていない状態)とECUとの結合を一部断面として示す正面図である。 実施形態としての電動倍力装置を車両に搭載した状態を示す正面図である。 実施形態としての電動倍力装置の変形構造を示す正面図である。 バスバーの上端部と、ECUケーシング内のバスバー端子との連結について実施形態と異なる例を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態を添付図面に基づいて説明する。
図1乃至4は、本発明の一の実施形態である電動倍力装置の構造を示したものである。本電動倍力装置10は、エンジンルームR1と車室R2とを仕切る隔壁Wに一端が固定され、他端に後述のタンデムマスタシリンダ1を結合したモータケーシング11(以下、適宜ケーシングと略称する)を備えている。なお、以下では、説明の便宜のため、エンジンルームR1側を前側、車室R2側を後側とそれぞれ呼ぶこととする。ケーシング11は、第1ハウジング及びフロントハウジングとしての筒状のケーシング本体12と、ケーシング本体12の後端にボルト止めされ、ケーシング本体12の後端の開口部をシール材13aにより密に塞ぐ、第2ハウジング及びリヤハウジングとしてのリヤカバー13とからなっている。ケーシング本体12の前端には段付の前壁12aが一体に設けられており、該前壁12aに前記タンデムマスタシリンダ1がスタッドボルト14を用いて固結されている。リヤカバー13は、前記隔壁Wにスタッドボルト15を用いて固結され、この固結状態で、該リヤカバー13に一体に設けた筒状のボス部13bが隔壁Wを挿通して車室R2内へ延出される。
前壁12aは、ケーシング本体12に対して略直交するように形成された前壁本体12bを有し、さらに、内径寸法が小、中、大とされる環状の第1、第2、第3段部12c、12d、12eを含んでおり、上述したように段付となっている。前壁本体12bに、第1、第2、第3段部12c、12d、12eが、この順に並んで設けられている。第1、第2、第3段部12c、12d、12eは、各内径寸法が、後述する軸受36及びステータ33のステータコイル33a、ステータ本体33bの夫々を嵌合し得る大きさに設定されている。なお、本実施形態では、第2、第3段部12d、12eが、ステータ33が取付けられる段部を構成している。
本電動倍力装置10を構成するケーシング11には、タンデムマスタシリンダ1のプライマリピストンとして共用されるピストン組立体20と、該ピストン組立体20を構成するブースタピストン(出力部材)21を駆動する電動アクチュエータ30とが内装され、一方、ケーシング11(ケーシング本体12及びリヤカバー13)の上部には、電動アクチュエータ30の駆動を制御するための後述のECU50が一体的に設けられている。
タンデムマスタシリンダ(以下、単にマスタシリンダという)1は、図3にも示されるように、有底のシリンダ本体2とリザーバ3とを備えており、そのシリンダ本体2内の奥側には、前記プライマリピストンとしてのピストン組立体20と対をなすセカンダリピストン4が摺動可能に配設されている。シリンダ本体2内には、前記ピストン組立体20とセカンダリピストン4とにより2つの圧力室5A、5Bが画成されており、前記両ピストン20、12の前進に応じて各圧力室5A、5B内に封じ込められているブレーキ液が、シリンダ本体2に設けた吐出ポート6A、6Bから対応する系統のホイールシリンダWCへ圧送される。
また、シリンダ本体2には、各圧力室5A、5B内とリザーバ3とを連通するリリーフポート7A、7Bが形成され、さらに、シリンダ本体2の内面には、前記リリーフポート7A、7Bを挟んで一対のシール部材8A、8Bが配設されている。また、各圧力室5A、5B内には、前記プライマリピストンとしてのピストン組立体20とセカンダリピストン4とを常時後退方向へ付勢する戻しばね9A、9Bが配設されている。各圧力室5A、5Bは、両ピストン20、12の後退端において前記リリーフポート7A、7Bを経てリザーバ3と連通し、これにより各圧力室5A、5Bにはリザーバ3から必要なブレーキ液が補給される。
上記ピストン組立体20は、前記したブースタピストン21と入力ピストン22とからなっており、中実の入力ピストン22が、筒状をなすブースタピストン21内にこれと相対移動可能に配設されている。図3にも示されるように、ブースタピストン21は、前記ケーシング本体12の前端の前壁12aに嵌着された筒状ガイド23に摺動可能に嵌挿されており、その前端部がマスタシリンダ1の圧力室(プライマリ室)5A内に延出されている。一方、入力ピストン22は、ブースタピストン21の内周に形成した環状壁部21aに摺動可能に嵌挿されており、その前端部が同じくマスタシリンダ1のプライマリ室5A内に延出されている。ブースタピストン21とマスタシリンダ1のシリンダ本体2との間は前記シール部材8Aにより、ブースタピストン21と入力ピストン22との間は前記環状壁部21aに設けたシール部材8Cによりそれぞれシールされており、これによりプライマリ室5Aからマスタシリンダ外へのブレーキ液の漏出が防止されている。
一方、上記入力ピストン22の後端部には、ブレーキペダル(図示略)と連動する入力ロッド24の先端部が回動可能に連結されており、入力ピストン22は、ブレーキペダルの操作(ペダル操作)によりブースタピストン21内を進退移動するようになっている。入力ロッド24の途中には、拡径部24aが一体に形成されており、入力ロッド24は、その拡径部24aを前記リヤカバー13の筒状ガイド部13aの後端に一体に形成した内方突起25に当接させることにより後方(車室R2側)への移動が規制されている。すなわち、入力ピストン22は、入力ロッド24の拡径部24aをリヤカバー13の内方突起25に当接させる位置が後退端となっている。
上記電動アクチュエータ30は、電動モータ31とこの電動モータ31の回転を直線運動に変換して前記ブースタピストン21に伝達するボールねじ機構(回転直動変換機構)32とからなっている。電動モータ31は、複数のコイル33a及び複数のコイル33aが巻かれたステータ本体33bを有し、全体として環状に形成されたステータ33と、該ステータ33への通電により回転する中空のロータ34とからなっている。ステータ本体33bに巻かれた前記複数のコイル33a(便宜上、適宜、ステータコイル33aと総称する。)は、全体として環状に構成されている。なお、ステータ本体33bに巻かれた状態におけるステータコイル33aのうちステータ本体33bより図3右側部分、左側部分を、適宜、夫々コイル33aの後方部分、前方部分という。
前記電動モータ31は、そのステータ33が、第2、第3段部12d、12eに嵌合した状態で、ケーシング本体12にボルト35を用いて固定されると共に、そのロータ34が軸受36、37を介してケーシング本体12及びリヤカバー13に回動自在に支持されている。なお、軸受36は、第1段部12cひいてはケーシング本体12に嵌合した状態で配置されている。軸受37は、リヤカバー13の段部13cに嵌合して設けられている。前記第1段部12及び段部13cの外周の一部には、スタッドボルト14、15を挿入するための空所が形成されている。
ボールねじ機構32は、上記電動モータ31のロータ34にキー38を用いて回転不能に嵌合固定されたナット部材39と、このナット部材39にボール40を介して噛合わされた中空のねじ軸(直動部材)41とからなっている。ねじ軸41の後端部には軸方向に延びるスリット42が形成されており、このスリット42には前記リヤカバー13の内方突起25が挿入されている。すなわち、ねじ軸41は、ケーシング11内に回動不能に配設されており、これによりロータ34と一体にナット部材39が回転すると、ねじ軸41が直動するようになる。
一方、ねじ軸41の内面には環状突起43が設けられており、この環状突起43には前記ブースタピストン21の後端部に螺着したフランジ部材44が当接するようになっている。また、前記フランジ部材44と前記ケーシング本体12に嵌合した筒状ガイド23との間には戻しばね(付勢手段)45が介装されており、ブースタピストン21は、前記戻しばね45により常時そのフランジ部材44を前記ねじ軸41側の環状突起43に当接させる状態を維持するようになっている。したがって、ナット部材39の回転に応じてねじ軸41が前進すると、該ねじ軸41に押されてブースタピストン21も前進する。本実施形態において、前記ねじ軸41は、ブレーキ非作動時にはそのスリット42の始端をリヤカバー13側の内方突起25に当接させる後退端に位置決めされており、これに応じてブースタピストン21も、ブレーキ非作動時には、後退端にあるねじ軸41の環状突起43に当接させる後退端に位置決めされている。なお、ねじ軸41と前記筒状ガイド23との間にはねじ軸41を後方へ付勢し、該ねじ軸41が不用意に前進するのを規制する押えばね46が介装されている。
また、ピストン組立体20を構成するブースタピストン21と入力ピストン22との相互間には、図3によく示されるように、一対のバランスばね(付勢手段)47が配設されている。この一対のバランスばね47は、ブレーキ非作動時にブースタピストン21と入力ピストン22とを相対移動の中立位置に保持する役割をなすものである。
本実施形態において、車室R2内の固定部には、入力ロッド24(またはブレーキペダル)の動きを介して車体に対する入力ピストン22の絶対変位を検出するポテンショメータ(図示略)配設され、また、ケーシング11内には、前記電動モータ31の回転変位から車体に対するブースタピストン21の絶対変位を検出するレゾルバ(回転検出手段)48が配設されている。このレゾルバ48は、リヤカバー13にボルト止めされたレゾルバステータ48aと電動モータ31のロータ34の外周面に配置されたレゾルバロータ48bとからなっている。
上記ECU50は、図4、5にも示されるように、底板部51を有する箱形のケーシング本体52とケーシング本体52の上部開口を覆う蓋体53とからなるECUケーシング54を備えている。ECUケーシング54の全体は、略直方体形状をなしており、その一側面(外壁面)には、図示しないバッテリに接続される電源側のコネクタ(メスコネクタ)155(図5)を接続するためのコネクタ(オスコネクタ)56が突設されている。なお、メスコネクタ155とオスコネクタ56とはECUコネクタを構成する。
ECUケーシング54は、その底板部51を上記モータケーシング11の上部に設けた平坦部55(図1、3)に載置させた状態で該モータケーシング11に着脱可能に結合されている。
上記ECUケーシング54は、図5に示すように、マスタシリンダ1の軸線を含む平面G(ここでは、モータロータ34の軸線を含む平面と一致し、重力方向を含む鉛直面)に直交する平面H内で一方向へオフセットして配置されている。車両との関係でいえば、ECUケーシング54の車両横方向の中心線Oとモータロータ34の中心軸線Pとが車両横方向にずれるようにモータケーシング11に対してECUケーシング54が配置されている。図4、5において、矢印Fはこのオフセット方向を表しており、ここでは、前記オスコネクタ56を設けた側と反対方向へオフセットされている。したがって、オスコネクタ56はオフセット方向Fと反対方向へECUケーシング54から突出する状態で配置される。ここで、モータケーシング11(ケーシング本体12)の前記平坦部55は、前記ECUケーシング54のオフセットに合わせてオフセットしており、前記平坦部55のオフセット方向Fの端部下面を支持する支持部57が設けられている。この支持部57を設けることでオフセットされたECUケーシング54を振動等に対して安定的に支持でき、内部の電子部品の信頼性を向上することができる。なお、ECUケーシング54は、車両の前後方向に対して水平に設けられているが、車両の前後方向に対して傾けて設けてもよい。
上記ECUケーシング54をオフセットさせる量は、図5に示されるように、本電動倍力装置10を車両に搭載した状態で、エンジンルームR1内の他の機器類と干渉することなく、オスコネクタ56に対し相手側のメスコネクタ155を着脱できる空所(コネクタ着脱スペース)Sを確保できる量(本実施形態においてはおよそ30mm)となっている。図5中、斜線部分は、ボンネット、VDCユニット(ABSユニット)や配管類などを含む他の機器類との干渉領域S´を表しており、ここでは、片側の干渉領域S´と干渉しない範囲内で、ECUケーシング54をできるだけ大きくオフセットさせることで、オフセット方向Fと反対側には十分なるコネクタ着脱スペースSが確保されている。なお、モータケーシング11の、オフセット方向Fの端部であって、車両前方に面する角部には、他の機器類との干渉を避けるための凹部54aが形成されているが、これは、必要に応じて形成される。
ECUケーシング54内には、モータケーシング11内の電動モータ31(ステータ33)に電力を供給するためのパワー基板58aやパワーMOSFET58bをはじめ、電動モータ31を制御するための制御基板58c、パワー基板58aに接続する複数(図4では3個)のバスバー端子60などが配設されている。パワー基板58aは発熱量が多いが、パワー基板58aの発熱が底板部51を介してモータケーシング11に伝達され、放熱性が高まる。また、制御基板58cなどの熱に弱い電子部品は、ECUケーシング54内の上部側の熱の影響を受けない部位に配置されている。上記オスコネクタ56には、前記パワー基板58aに図示しないバッテリから電力(電源)を供給するための端子(ECU端子)をはじめ、前記入力ピストン22の絶対変位を検出するポテンショメータからの信号を前記制御基板58cに供給するための端子などが設けられている。
上記ECUケーシング54の底板部51及び該ECUケーシング54が載置されるモータケーシング11の平坦部55には、相互に連通可能な貫通孔62(図3、4)が形成されている。該貫通孔62のうち平坦部55に形成されるものを平坦部貫通孔62aといい、底板部51に形成されるものを底板部貫通孔62bという。前記平坦部貫通孔62aは、ケーシング本体12の軸方向において前壁12aと後端開口部との間の中間部に設けられている。これにより、ケーシング本体12の後端開口部の周囲には全周にわたり環状壁を形成することができ、この環状壁を前記シール材13aがシールすることで後端開口部をリヤカバー13により密に塞ぐことが可能になる。なお、シール材13aはリヤカバー13の側に設けたが、ケーシング本体12の環状壁の側に設けるようにしても良い。また、該底板部貫通孔62bは、ケーシング本体12の平坦部55により閉塞されるようになっており、ECUケーシング54の開口を構成している。
前記貫通孔62を挿通して一定の形状を有する導線としての複数(図4では3個)のバスバー63が延ばされている。該バスバー63は、比較的硬い材質の材料を用いた薄板状又は円筒状の導電性部材であり、本実施形態では、薄板状のものを採用している。複数のバスバー63の各一端部は、ステータ33がケーシング本体12に固定された状態(図4がこの状態を示す。)で、前記複数のコイル33a(ステータコイル33a)のうち平坦部貫通孔62aに臨んで配置されるコイル33aの後方部分にビス64により連結されている。換言すれば、ステータ33は、図3のケーシング本体12の軸方向において平坦部側貫通孔62a側でバスバー63と接続されている。
また、複数のバスバー63の各他端部(適宜、上端部ともいう。)は、前記一端部に対してほぼ直角に曲げられ、全体として逆L字状の形状をしている(図3)。この直角に曲がった部分にはビス65が通る穴が、また、その下側にはビス65が螺合するナットがろう付けや樹脂モールドで一体に取り付けられている。そして、ECUケーシング54をケーシング本体12の平坦部55に載置すると、前記複数のバスバー端子60がバスバー63の各他端部上に位置するようになっており、この状態で、ECUケーシング54内のバスバー端子60とバスバー63とがビス65により連結される。ここで、バスバー端子60(ビス65取付け部分)は、平坦部貫通孔62aと共に貫通孔62を構成する底板部貫通孔62bに臨んで配置されている。また、蓋体53側からビス65の螺子止めができるように、制御基板58c、その他の電子部品は、バスバー端子60の上部に位置しないように、配置されている。
なお、前記貫通孔62には、前記レゾルバ48(レゾルバステータ48a)の検出信号をECUケーシング54内の制御基板58cへ送るための可撓性があるリード線で構成された信号線66(図1、3)も延ばされている。
本電動倍力装置10を組立てるには、モータケーシング11のケーシング本体12に電動モータ31のステータ33、バスバー63、一方の軸受36及びスタッドボルト14を組付けた第1のサブアセンブリ体と、モータケーシング11のリヤカバー13に他方の軸受37、電動モータ31のロータ34、レゾルバ48及びスタッドボルト15を組付けた第2のサブアセンブリ体と、ボールねじ機構32と、ピストン組立体20に入力ロッド24及びバランスばね47を組付けた第3のサブアセンブリ体と、ECUケーシング54内に必要な基板類58a、58b、58c及びオスコネクタ56を組付けたECU50と、をそれぞれ用意する。ただし、ECUケーシング54は蓋体53を外しておく。
ここで、第1のサブアセンブリ体では、ケーシング本体12に一方の軸受36を取付け、前記ボルト35を用いてステータ33を固定する。次に、ビス64を用いてバスバー63の一端部を連結しておく。この状態では、バスバー63の他端部は、図3に示すように、平坦部55に形成される平坦部貫通孔62aから上方に突出した状態になっている。
なお、本実施形態では、ステータ33についてボルト35を用いて固定する場合を例にしたが、これに代えて、圧入により固定するようにしてもよい。
そして、先ず第1のサブアセンブリ体と第2のサブアセンブリ体とを合せて、電動モータ31を完成させる。この際、第2のサブアセンブリ体(リヤカバー13)にある電動モータ31のロータ34の前端を第1のサブアセンブリ体(ケーシング本体12)の軸受36に挿入しつつ、第2のサブアセンブリ体のレゾルバ48のリード線66を平坦部貫通孔62aに挿入し、ここから突出した状態とするが、リード線66は、ステータ33のバスバー63とは異なり、可撓性があるので、この組付け作業に支障をきたすことはない。
続いて、ケーシング本体12の前方からボールねじ機構32を電動モータ31内に装入する。次に、ケーシング本体12の前方から第3のサブアセンブリ体を装入し、続いて戻しばね45及び押えばね46と共に筒状ガイド23をケーシング本体12に嵌入して電動アクチュエータ30を完成させる。
その後、ECU50をモータケーシング11の上部の平坦面55の上端面に載置し、図示しない結合手段により結合する。
この結合により、電動モータ31のステータ33に一端部が連結されたバスバー63の上端部がECUケーシング54内のバスバー端子60に隣接して配置される。この状態で、バスバー端子60はバスバー63の上端部の上に重なり合っているので、ビス65を用いてバスバー端子60とバスバー63の上端部とを連結する。そして、最終的にECUケーシング54のケーシング本体52に蓋体53を被せ、ボルト200により固定して本電動倍力装置10は完成する。
本電動倍力装置10の製造に際しては、電動モータ31及びECU50が正常に動作するか否かを、組付け前に単体で検査する必要があるが、両者は、上記したように各独立に完成するので、その検査は容易となる。また、電動モータ31に対するボールねじ機構32、ピストン組立体20等の組付けは、モータケーシング11の前方から行うことができるので、電動モータ31の検査後にモータケーシング11を解体して、組付けし直すなどの面倒な作業が不要になる。
以下、上記のように構成した電動倍力装置10の作用を説明する。
ブレーキペダルの踏込みに応じて入力ロッド24、すなわち入力ピストン22が前進すると、その動きが前記ポテンショメータにより検出される。すると、該ポテンショメータからの信号を受けてECU50から電動モータ31に起動指令が出力され、これにより電動モータ31のロータ34が回転して、その回転がボールねじ機構32により直動に変換されてブースタピストン21に伝達される。すなわち、入力ピストン32とブースタピストン31とが一体的に前進(推進)し、ブレーキペダルから入力ピストン32に付与される入力推力と電動モータ31からブースタピストン21に付与されるブースタ推力とに応じたブレーキ液圧がマスタシリンダ10内の圧力室5A、5Bに発生する。このとき、入力ピストン22とブースタピストン21との間に相対変位が生じないように電動モータ31の回転を制御すると、両ピストン22と21との間に介装した一対のバランスばね47が中立位置を維持する。このときの倍力比は、相対変位量がゼロであることから、ブースタピストン21の受圧面積と入力ピストン22の受圧面積との面積比で一義的に定まる。
一方、上記中立位置からブースタ推力によりブレーキ液圧を増加させる方向(前側)へブースタピストン21を相対変位させると、倍力比(制動力)が大きくなり、電動モータ31によるブレーキアシスト動作が実現する。このとき、ブレーキ液圧の増加に伴ってブレーキペダルへの反力(ペダル反力)が増大しようとするが、前記したブースタピストン21の前側への相対変位に応じて一対のバランスばね47のうち、ブレーキペダル側(後側)のばねの付勢力が増大するので、この付勢力によって前記したペダル反力の増大分が相殺される。一方、中立位置からブースタ推力によりブレーキ液圧を減少させる方向(後側)へブースタピストン21を相対変位させると、倍力比(制動力)が減少し、回生制動時の回生協調動作が実現する。このとき、ブレーキ液圧の低下に伴ってペダル反力が減少しようとするが、前記したブースタピストン21の後側への相対変位に応じて一対のバランスばね47のうち、前側のばねの付勢力が増大するので、この付勢力によって前記したペダル反力の減少分が相殺される。すなわち、ブレーキペダルへの反力が調整される結果、ブレーキ操作の違和感はなくなる。
本実施形態では、上述したように組付けられるので、第1のサブアセンブリ体において、バスバー63が挿通する平坦部貫通孔62aを有するケーシング本体12に、前記電動モータ31のステータ33およびバスバー63を設けるように構成したので、ステータ33およびバスバー63をケーシング本体12に組付けた状態で、バスバー63の他端部が、平坦部貫通孔62aから突出した状態とすることができる。このため、ケーシング本体12の平坦部貫通孔62aに前記バスバー63を挿通させる組付け作業が容易となる。
また、ECU50をモータケーシング11に結合する際に、電動モータ31のステータ33に一端部が連結されたバスバー63の上端部がECUケーシング54内のバスバー端子60に隣接して配置される。このようにバスバー63の上端部がECUケーシング54内のバスバー端子60に隣接して配置されるので、ビス65を用いた前記バスバー63の上端部とバスバー端子60との連結を容易に行うことができる。このため、装置の組付性を向上できる。
換言すれば、上述した従来技術のように、バスバーが挿通する貫通孔が第1ハウジングに設けられ、電動モータのステータ及びバスバーが第2ハウジングに配置された場合、貫通孔に一定の形状を有するバスバーを挿通しつつ第1ハウジングと第2ハウジングとを組付ける(特に、ロータの前端を軸受に挿入して嵌合させる)ことが難しく、両者の接続を容易には行えなくなるという問題点が起こり得る。しかし、本実施形態によれば、上述した問題点の発生を抑制できる。特に、前記従来技術において、ステータ及びECUを接続する導線が撓み難い材料で一定の形状に形成された場合には、ステータ及びECUを接続する導線については、配置上ひいては組付上の制約を受け、生産性の向上を阻害することになるが、本実施形態によれば、撓み難い材料で一定の形状に形成された導線(例えば、バスバー等)を採用しても上述した阻害の発生を抑制できる。
また、ステータ及びECUを接続する導線として剛性の高い材料で一定の形状に形成したリード線を用いることもできるが、この場合、ステータへの供給電流の関係などからある程度の太さが必要となり、導線が太くなることに伴い取り回し処理が複雑で面倒となる。本実施形態のようにバスバーを用いることで、大きな容積を占めることなく大きな値の電流を流すことが可能であるので、前記導線としてリード線を用いた場合に生じる上記問題の発生を回避できる。また、バスバーを用いているためECUを所定の位置に置くだけでECU端子とバスバーとを隣接させることができるので、位置決めを容易に行える。
また、本実施形態においては、電動倍力装置のモータハウジングとECUとを一体構造にしたことで、車両への搭載性を改善することができる。また、単に一体構造とした場合、エンジンルーム内の他の機器類との干渉により、ECUのコネクタ端子を着脱するための空所が確保できないとの問題が生じる。この点については、ECUケーシング54がモータケーシング11に対して一方向へオフセットして結合されているので、上記したようにそのオフセット方向Fと反対側に、オスコネクタ56にメスコネクタ155を着脱できる十分なる空所(コネクタ着脱スペース)Sが確保され(図5)、この結果、ECU50を一体化したにもかかわらず周辺の機器類との干渉を緩和することができる。また、前記したコネクタ着脱スペースSを含む全体の設置スペースがマスタシリンダ1の軸線を通る中心線に対して車幅方向に略対象形状となるので(図5)、左ハンドル、右ハンドルの違いによる搭載スペースの違いがあっても、そのまま適用でき、利用価値は大なるものとなる。
また、ECUケーシング54内のバスバー端子60がオスコネクタ56を設けた側面に接近する部位に配置されているので、コネクタ56とバスバー63の電動モータ31に対する接続端との距離が短かくなり、エネルギーロスの低減が可能になる。さらに、図1に示すように、ECUケーシング54の一部がマスタシリンダ1のリザーバ3の一部と上下に重なり合って配置されているので、全体が小型となり、車両への搭載性が良好となる。
上記実施形態においては、ECUケーシング54のオフセット方向Fと反対側となる側面にオスコネクタ56を設けたが、図6に示すように、ECUケーシング54の、オフセット方向Fの端部下側にオスコネクタ56(コネクタ着脱スペースS)を設けてもよい(なお、図6には相手側のメスコネクタ155のみが示されている。)。この場合は、ECUケーシング54のオフセット方向Fと反対方向に干渉領域S´がせまっていても、適用可能となる。また、オスコネクタ56をECUケーシング54のオフセット方向Fの端部下側に設けることで、例えば前記端部の上側に設けた場合に比して雨水等がECUコネクタ内に浸入するのを良好に防止することができる。
上記実施形態では前壁12aが備える1、第2、第3段部12c、12d、12eが段部を構成している場合を例にしたが、これに限らず、前壁12a及びケーシング本体12とは別部材で構成した段部を用いるようにしても良い。
上記実施の形態では、導線として、薄く幅が広い板状のバスバー63を用いているので、渦電流の発生や表皮効果の発生を抑制でき、これにより、熱損失の抑制ひいては装置の効率向上を図ることができる。
なお、上記実施形態が用いた板状のバスバー63に代えて、筒状のバスバー(導線)を用いても良い。筒状のバスバーを用いることにより、渦電流の発生や表皮効果の発生を抑制し、これにより、熱損失の抑制ひいては装置の効率向上を図ることができる。
また、上記実施形態においては、ECUケーシング54側にオスコネクタ56を設けるように説明したが、ECUケーシング54側にメスコネクタ155を設けるようにしてもよい。
なお、上記実施形態においては、電動モータ31、101により駆動されるブースタピストン(出力部材)21をタンデムマスタシリンダ1のプライマリピストンとして共用したが、出力部材は、マスタシリンダ内のピストンと別体に設けてもよい。
また、上記実施形態では、バスバー63の上端部と、ECUケーシング54内のバスバー端子60との連結を、3本のビス65を用いて行う場合を例にしたが、これに代えて図9に示すように行うようにしてもよい。
すなわち、図9に示す例では、3本のバスバー63の上端部と3個のナット204を一体にモールドするプラスチック製の端子アダプタ203を設けている。バスバー端子60の穴とバスバー63のナット204に形成されたねじ孔204aとを整合し、図示しないビスをねじ孔204aにねじ込むことにより、バスバー63及びバスバー端子60を電気的に接続させることができる。
図9に示す例では、プラスチックでモールドしたバスバー63の上端部及びナット204と、ECUケーシング54内のバスバー端子60との連結を、ビスを用いて行っている。そして、3本のバスバー63を1つの端子アダプタ203で保持しているため、位置決め性や組付性を向上できる。なお、端子アダプタ203には、隣接したバスバー63の上端部の間を仕切るための仕切り壁203aが設けられ、バスバー63及びバスバー端子60との短絡を防止している。
1…タンデムマスタシリンダ、10、100…電動倍力装置、12d、12e…第2、第3段部(段部)、21…ブースタピストン(出力部材)、12…ケーシング本体(第1ハウジング、フロントハウジング)、13…リヤカバー(第2ハウジング、リヤハウジング)、31…電動モータ、32…ボールねじ機構(回転直動変換機構)、33…ステータ、50…ECU、54…ECUケーシング、58a、58b、58c…基板類(ECU)、62a…平坦部側貫通孔(貫通孔)、63…バスバー(導線)。

Claims (8)

  1. ECUと、
    該ECUの指令に応じて回転する電動モータと、
    該電動モータの回転を直線運動に変換する回転直動変換機構と、
    変換された直線運動を伝達する出力部材と、
    該出力部材により推進されるピストンによりブレーキ液圧を発生するマスタシリンダとからなる電動倍力装置において、
    前記電動モータは、少なくとも一側に開口部を有する筒状の第1ハウジングと前記開口部を塞ぐ第2ハウジングとを有し、
    該第1ハウジングの内側に環状のステータが収容され、
    前記第1ハウジングの外周には前記ステータの近傍に前記ECUを収納するECUケーシングが取付けられ、
    前記第1ハウジングの軸方向の中間部で前記ECUケーシングが取付けられる箇所に貫通孔を設け、
    該貫通孔を通って前記ステータと前記ECUとを一定の形状を有する導線で接続し
    該導線は、前記開口部側で前記ステータに接続されることを特徴とする電動倍力装置。
  2. 請求項に記載の電動倍力装置において、前記導線は、バスバーとされた電動倍力装置。
  3. 請求項1に記載の電動倍力装置において、前記電動モータのロータは、前記第1ハウジングに嵌合された軸受と、前記第2ハウジングに嵌合された軸受とによって支持されている電動倍力装置。
  4. 請求項に記載の電動倍力装置において、前記回転直動変換機構の回転を検出する回転検出手段を有し、前記回転検出手段は、前記第2ハウジングに固定されている電動倍力装置。
  5. 請求項1に記載の電動倍力装置において、前記ECUケーシングは、前記第1ハウジングに固定される側に開口し、該開口は、前記第1ハウジングによって閉塞されている電動倍力装置。
  6. 請求項1乃至のいずれかに記載の電動倍力装置において、前記第1ハウジングの内側に周方向に延びる段部が形成され、該段部に環状のステータが取付けられる電動倍力装置。
  7. ECUと、
    該ECUの指令に応じて回転する電動モータと、
    該電動モータの回転を直線運動に変換する回転直動変換機構と、
    変換された直線運動を伝達する出力部材と、
    前記出力部材により推進されるピストンによりブレーキ液圧を発生するマスタシリンダとからなる電動倍力装置において、
    前記電動モータは、少なくとも一側に開口部を有する筒状のフロントハウジングを有し、
    該フロントハウジングの内側には、マスタシリンダ側に、周方向に延びる段部が形成され、
    該段部には、前記マスタシリンダの反対側から挿入された環状のステータが取付けられ、
    前記フロントハウジングの外周には前記ステータの近傍に前記ECUを収納するECUケーシングが取付けられ、
    前記フロントハウジングの開口部をリヤハウジングで塞ぎ、
    前記フロントハウジングの軸方向の中間部で前記ECUケーシングが取付けられる箇所に形成される貫通孔を設け、
    該貫通孔を通って前記ステータと前記ECUとを接続する一定の形状を有する導線を設け
    該導線は、前記開口部側で前記ステータに接続されることを特徴とする電動倍力装置。
  8. 請求項に記載の電動倍力装置において、前記導線は、バスバーとされた電動倍力装置。
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