JP5370100B2 - 圧電デバイスの製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、圧電単結晶の薄膜を用いた圧電デバイスの製造方法、特にはイオン注入により圧電単結晶の薄膜を剥離する圧電デバイスの製造方法に関する。
現在、圧電薄膜を利用する圧電デバイスが多く開発されている(例えば、特許文献1参照)。圧電単結晶体から圧電薄膜を形成する方法の1つとしてスマートカット法がある。スマートカット法では、圧電単結晶体の一方主面にイオン注入を行うことでイオン注入層を形成する。次に、圧電単結晶体のイオン注入面に、別体形成した支持体を接合する。その後、加熱によりイオン注入層を破断させて圧電単結晶体から圧電薄膜を加熱剥離する。
米国特許出願公開第6767749(US,B2)
従来のスマートカット法を用いた圧電単結晶体の薄膜化では、圧電薄膜にダメージが及んで圧電性が劣化することがある。
圧電性が劣化する要因は様々であるが、例えば、イオン注入の衝撃で局所的に自発分極の反転が起こることがある。また、圧電薄膜に応力が作用するなどして結晶のひずみが増大し結晶性の劣化が起こることや、圧電薄膜に注入したイオンが圧電薄膜の内部に残留して圧電薄膜の物性を変化させることもある。
そこで、加熱により圧電体の抗電界を下げて電界を圧電薄膜に印加し、反転した自発分極を回復させたり、圧電薄膜を熱処理することで、結晶のひずみを緩和したり、残留イオンを脱離させたりすれば、スマートカット法による圧電性の劣化を回復でき好適である。しかしながら、圧電薄膜に熱処理を実施する際には、圧電薄膜に新たなダメージが及ぶ恐れがある。
例えば、熱処理を酸素の含まれる雰囲気中で行った場合、圧電薄膜の表面、及び支持基板との接合面から圧電体の酸化が起こり、導電率が高く変化してしまう。導電率が高くなれば圧電デバイスの入力容量が増加し共振特性が劣化してしまう。また、熱処理を窒素などの希ガス雰囲気中や真空中で行った場合、圧電薄膜の表面、及び支持基板との接合面からの脱酸素に伴う圧電体の還元によって、導電率が低く変化してしまう。導電率が低くなれば圧電デバイスの作製プロセスで電極の焦電破壊が発生してしまう。
そこで本発明の目的は、圧電体の酸化および還元を防ぎながら熱処理を行って、スマートカット法による圧電性の劣化を回復する圧電デバイスの製造方法を提供することにある。
この発明の圧電デバイスの製造方法は、圧電単結晶体にイオンを注入するイオン注入工程と、前記圧電単結晶体のイオン注入面に支持体を接合する接合工程と、加熱により前記圧電単結晶体から圧電薄膜を剥離する剥離工程と、前記圧電薄膜の剥離面を剥離面保護膜で被覆する被覆工程と、前記剥離面保護膜を被覆した前記圧電薄膜を熱処理する熱処理工程と、を備え、前記被覆工程は、前記剥離面保護膜として前記熱処理工程で前記圧電薄膜との相互拡散を防ぐ材料(例えば圧電薄膜がLT基板であれば、W、Mo、Ni、Al、Cu、SiNなどを主として組成される材料)を用い、前記熱処理工程は、前記イオンが前記圧電薄膜から脱離する温度環境下(例えばLT基板であれば、450℃〜600℃程度)で実施する。
これにより、熱処理工程で圧電薄膜からイオンが離脱し、イオン注入によって劣化した圧電薄膜の物性および圧電性を回復させられる。この熱処理工程で、雰囲気との反応により圧電体の酸化・還元が進展する温度環境下(例えばLT基板であれば、300℃以上)で圧電薄膜が雰囲気に暴露していれば、圧電体の酸化または還元が進展してしまうが、圧電薄膜に上記表面保護膜を設けることで、圧電薄膜と表面保護膜との相互拡散を防ぎながら、圧電体の雰囲気との酸化および還元を防いで導電率の変化を抑制できる。
この発明の圧電デバイスの製造方法は、圧電単結晶体にイオンを注入するイオン注入工程と、前記圧電単結晶体のイオン注入面に支持体を接合する接合工程と、加熱により前記圧電単結晶体から圧電薄膜を剥離する剥離工程と、前記圧電薄膜の剥離面を剥離面保護膜で被覆する被覆工程と、前記剥離面保護膜を被覆した前記圧電薄膜を熱処理する熱処理工程と、を備え、前記被覆工程は、前記表面保護膜として前記熱処理工程で前記圧電薄膜との相互拡散を防ぐ材料を用い、前記熱処理工程は、前記圧電薄膜における結晶のひずみが開放される温度環境および加熱時間(例えば圧電薄膜がLT基板で500℃環境下であれば、3h以上)で実施する。
これにより、熱処理工程で圧電薄膜の結晶ひずみが開放され、イオン注入によって劣化した圧電薄膜の結晶性および圧電性を回復させられる。この熱処理工程で、雰囲気との反応により圧電体の酸化・還元が進展する温度環境下で圧電薄膜が雰囲気に暴露していれば、圧電体の酸化または還元が進展してしまうが、圧電薄膜に上記表面保護膜を設けることで、圧電薄膜と表面保護膜との相互拡散を防ぎながら、圧電体の酸化および還元を防いで導電率の変化を抑制できる。
この発明の熱処理工程よりも前工程は、雰囲気による圧電単結晶体の酸化・還元の進展が抑制される温度環境下(例えば圧電薄膜がLT基板であれば、350℃以下)で実施すると好適である。
これにより、熱処理工程よりも前工程で圧電薄膜や単結晶基板が雰囲気下に暴露していても、圧電体の酸化または還元が進展することを防ぐことができる。
この発明の圧電デバイスの製造方法は、前記接合工程の前に前記圧電単結晶体と前記支持基板との接合面となる位置に接合面保護膜を形成する工程を備えると好適である。また、この発明の圧電デバイスの製造方法は、前記支持基板の前記圧電単結晶体に接合する領域に、前記熱処理工程の熱環境下で前記圧電薄膜と相互に拡散を起こさない材料を用いると好適である。
これにより、圧電薄膜の支持体との接合面での物質拡散や酸化・還元を防ぐことができる。
この発明の圧電デバイスの製造方法は、前記熱処理工程の後に導電性材料からなる表面保護膜をパターニングして圧電デバイスの機能電極とするパターニング工程を備えると好適である。
これにより、保護膜を剥離して改めて機能電極を形成し直す必要がなくなり、工程数を削減できる。
この発明の圧電デバイスの製造方法は、前記熱処理工程の後に導電性材料からなる表面保護膜と境界面保護膜との間に再分極電界を印加する再分極工程を備えると好適である。
これにより、保護膜を剥離して改めて再分極工程で利用する電極を形成し直す必要がなくなり工程数を削減しながら、再分極工程で反転した自発分極を回復させて、イオン注入によって劣化した圧電薄膜の圧電性を回復させられる。
この発明によれば、イオン注入によって劣化した圧電薄膜の圧電性を熱処理工程によって回復させられる。この熱処理工程で圧電薄膜が雰囲気下に暴露していれば、圧電体の酸化または還元が進展してしまうが、圧電薄膜に所定の表面保護膜を設けることで、圧電薄膜と表面保護膜との相互拡散を防ぎながら、圧電体の酸化および還元を防いで導電率の変化を抑制できる。
本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の製造フローを説明する図である。 図1に示す製造フローの各工程における模式図である。 図1に示す製造フローの各工程における模式図である。 図1に示す製造フローの各工程における模式図である。 本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の製造フローを説明する図である。 本発明の第3の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の製造フローを説明する図である。 本発明の第4の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の製造フローを説明する図である。
《第1の実施形態》
本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法について、圧電デバイスとしてF−BAR(Film Bulk Acoustic Resonator)を製造する例を用いて説明する。
図1は、本実施形態の圧電デバイスの製造フローを説明する図である。
図2〜4は、製造フローの各工程における模式図である。
まず、イオン注入工程を実施し、図2(S101)に示すように、複数の圧電デバイスを切り出す前の広大な圧電単結晶体1に対して、主面1B(接合面1B)側から水素イオンを注入する。これにより、水素イオンが集中するイオン注入層100を、圧電単結晶体1の接合面1Bから所定の深さの位置に形成する。この工程は、後述する熱処理工程の温度よりも低温、具体的には350℃以下、より好適には300℃以下の温度環境下で実施し、圧電体の酸化および還元が進展することを防ぐ。このイオン注入に伴い、圧電単結晶体1におけるイオン注入層100よりも接合面1B側の部位では、イオンの残留や自発分極の反転などによって圧電体が変質して圧電性が劣化する。
なお、ここでは圧電単結晶体1としてLT基板を用い、水素イオンを、加速エネルギー150KeVで1.0×1017atom/cm2のドーズ量によりイオン注入し、イオン注入層100を接合面1Bから深さ約1μmの位置に形成する。イオン注入層の深さはイオン注入時の加速エネルギーにより決定され、例えば、表面から約0.5umの深さをイオン注入層とするときには、加速エネルギーを75KeVにすればよい。また、圧電単結晶体1の材料はLT基板の他、LN(LiNbO3)、LBO(Li2B4O7)、ランガサイト(La3Ga5SiO14)、KN(KNbO3)などから適宜選択するとよい。また、圧電単結晶体1の材料に寄って適正な注入イオンの種類は異なり、水素イオンの他にヘリウムイオンやアルゴンイオンなどから適宜選択するとよい。
次に、図2(S102)に示すように、圧電単結晶体1の接合面1Bに下部機能電極50、パッド電極51および図示しない引き回し電極52を形成し、それらを被覆する接合面保護膜20を形成する。下部機能電極50、パッド電極51、および引き回し電極52の材料は、例えばW、Mo、Ni、Al、Cuなど、後述する熱処理処理工程の温度環境下において圧電体と相互に拡散を起こさない金属材料を選択する。接合面保護膜20の材料は、例えばSiNなど、後述する熱処理工程で電極材料や圧電体と相互に拡散を起こさない非導電性材料を選択する。この工程は、後述する熱処理工程の温度よりも低温、具体的には350℃以下、好ましくは300℃以下の温度環境下で実施し、圧電体の酸化および還元が進展することを防ぐ。
なお、接合面保護膜20の形成方法は、CVD法、スパッタリング法、E・B(電子ビーム)法等の蒸着法、イオンプレーティング法、溶射法、スプレー法、スピンコート法、スプレーコート法、およびディスペンス法等から、仕様および製造条件等に応じて適宜設定するとよい。
次に、図2(S103)に示すように、接合面保護膜20の表面に犠牲層70を形成する。犠牲層70の形成位置は、下部機能電極50を覆い、後に圧電単結晶体1の圧電デバイス主機能部となって中空に支持される領域とする。犠牲層70の材料は、下部機能電極50および接合面保護膜20とのエッチングレートが異なり、後に下部機能電極50および接合面保護膜20を残して犠牲層70のみエッチング可能なもの、具体的にはCu、Al、Ni、ZnO、W、Mo、SiO2等から適宜設定する。この工程は、後述する熱処理工程の温度よりも低温、具体的には350℃以下、より好ましくは300℃以下の温度環境下で実施し、圧電体の酸化および還元が進展することを防ぐ。
なお、犠牲層70の材料が、接合面保護膜20や圧電薄膜10と相互に拡散を起こす材料である場合には、犠牲層70の表面をさらにSiNのような拡散を起こさない材料で被覆してもよい。また、犠牲層70の形成方法は、蒸着、スパッタリング、CVD、スピン塗布等から、仕様および製造条件等に応じて適宜設定するとよい。
次に、図2(S104)に示すように、接合面保護膜20および犠牲層70の表面に、メンブレン支持層30を形成し、表面平坦化のためにCMP処理を実施する。メンブレン支持層30の材料は例えばSiO2やSiNなどを用い、後にメンブレン支持層30を残して犠牲層70のみエッチング可能なものとする。この工程は、後述する熱処理工程の温度よりも低温、具体的には350℃以下、より好ましくは300℃以下の温度環境下で実施し、圧電体の酸化および還元が進展することを防ぐ。
なお、メンブレン支持層30の形成方法は、CVD法、スパッタリング法、E・B(電子ビーム)法等の蒸着法、イオンプレーティング法、溶射法、スプレー法、スピンコート法、スプレーコート法、およびディスペンス法等から、仕様および製造条件等に応じて適宜設定するとよい。
次に、図2(S105)に示すように、メンブレン支持層30に、支持基板40を清浄化接合により貼り合わせる。清浄化接合であれば、常温での接合が可能である。接合面保護膜20、メンブレン支持層30、支持基板40は、本発明の支持体を構成する。この工程は、後述する熱処理工程の温度よりも低温、具体的には350℃以下、より好ましくは300℃以下の温度環境下で実施し、圧電体の酸化および還元が進展することを防ぐ。
なお、支持基板40の材料は、Si、ガラス、圧電体基板などから適宜設定するとよい。
次に、図3(S106)に示すように、接合面保護膜20、メンブレン支持層30、支持基板40、および圧電単結晶体1を接合してなる接合体を加熱し、イオン注入層100を剥離面1Aとして圧電単結晶体1から圧電薄膜10を剥離し、剥離面1AをCMP処理等により研磨して表面粗さRaが1nm以下となるように平坦化する。これにより、接合面保護膜20、メンブレン支持層30、支持基板40、犠牲層70、および圧電薄膜10からなる複合基板101を形成する。この工程は、後述する熱処理工程の温度よりも低温、具体的には350℃以下、より好ましくは300℃以下の温度環境下で実施し、圧電体の酸化および還元が進展することを防ぐ。
なお、圧電薄膜10の剥離面1Aの平坦化処理は、後の熱処理工程よりも後工程に実施しても良い。
次に、図3(S107)に示すように、少なくとも圧電薄膜10の圧電デバイス主機能部となる領域の剥離面1A、好ましくは剥離面1Aの全面に剥離面保護膜25を形成する。次の熱処理工程で圧電薄膜10との相互拡散を防ぐために、剥離面保護膜25の材料は、圧電薄膜10がLT基板であれば、W、Mo、Ni、Al、Cuなどを主として組成するとよい。また、剥離面保護膜25の膜厚は100nm以上が好ましい。剥離面保護膜25の形成方法は、CVD法、スパッタリング法、E・B(電子ビーム)法等の蒸着法、イオンプレーティング法、溶射法、スプレー法、スピンコート法、スプレーコート法、およびディスペンス法等から、仕様および製造条件等に応じて適宜設定するとよい。この工程は、後述する熱処理工程の温度よりも低温、具体的には350℃以下、より好ましくは300℃以下の温度環境下で実施し、圧電体の酸化および還元が進展することを防ぐ。
次に熱処理工程を実施し、図3(S108)に示すように、複合基板101を加熱炉に入れて450〜600℃、ここでは500℃で約3h以上、加熱し、イオンの残留や結晶ひずみなどによって変質していた圧電薄膜10の圧電性を回復させる。この工程を、真空、窒素、酸素、アルゴン、大気などの雰囲気に圧電薄膜10が暴露した状態で行うと、圧電薄膜10の酸化または還元が進展してしまうが、剥離面保護膜25を設けているために雰囲気への圧電薄膜10の暴露を防いで、圧電薄膜10の酸化および還元の進展を防ぎ、そして、圧電薄膜10の導電率の変化を進展させることなく熱処理を行える。なお、実製造試験で、圧電薄膜10の導電率が熱処理後に1.0E-13〜1.0E-11Ω-1・m-1の範囲に収められ、特性劣化および電極の静電破壊が発生しないことを確認している。
次に、図示しない再分極工程を実施する(S109)。接合面保護膜20または犠牲層70と剥離面保護膜25とが金属材料であれば、それらの間に電界を印加して圧電薄膜10を再分極する。これにより、イオン注入時に反転した自発分極が回復して圧電薄膜10の圧電性が回復する。なお、この再分極工程はどのような温度環境下で行っても良いが、圧電薄膜10の抗電界は室温での≧22kV/mmから加熱により低下していくので、熱処理工程と同じ500℃程度で低電圧(100V以下)を印加することで再分極を実現すると好適である。
次に、図3(S110)に示すように、剥離面保護膜25をエッチング等によりパターニングし、下部機能電極50に対向する上部機能電極60、パッド電極61、および図示しない引き回し電極62を形成する。この工程は、上記熱処理工程の温度よりも低温、具体的には350℃以下、より好ましくは300℃以下の温度環境下で実施し、圧電体の酸化および還元が進展することを防ぐ。
次に、図4(S111−1)に示すように、圧電薄膜10に対してエッチングを施し、圧電薄膜10に開口11A〜11Cを形成する。ここでは、フォトリソグラフィー技術を用いてレジストをパターニングし、RIE法によって圧電薄膜10をエッチングすることで開口11A〜11Cを形成した。開口11A,11Bは犠牲層70に到達する位置に形成し、開口11Cはパッド電極51に到達する位置に形成する。この工程は、上記熱処理工程の温度よりも低温、具体的には350℃以下、より好ましくは300℃以下の温度環境下で実施し、圧電体の酸化および還元が進展することを防ぐ。
次に、図4(S111−2)に示すように、開口11C内に電極を形成するとともに、圧電薄膜10の剥離面1Aにパッド電極64を形成する。この工程は、上記熱処理工程の温度よりも低温、具体的には350℃以下、より好ましくは300℃以下の温度環境下で実施し、圧電体の酸化および還元が進展することを防ぐ。
次に、図4(S111−3)に示すように、開口11A,11Bをエッチャントの導入孔として、犠牲層70をエッチングにより除去し、メンブレン空間71を形成する。そして、開口11A〜11Cの形成に用いたレジストを剥離し、洗浄および乾燥を行う。この工程は、上記熱処理工程の温度よりも低温、具体的には350℃以下、より好ましくは300℃以下の温度環境下で実施し、圧電体の酸化および還元が進展することを防ぐ。
次に、図4(S112)に示すように、圧電薄膜10における、圧電デバイス主機能部となって中空に支持される領域を除く剥離面1Aの外周部に、底面部80およびハンダバンプ81を形成し、複合基板をチップサイズに個片化して複数の圧電デバイス(F−BAR)を製造する。この工程は、上記熱処理工程の温度よりも低温、具体的には350℃以下、より好ましくは300℃以下の温度環境下で実施し、圧電体の酸化および還元が進展することを防ぐ。
以上の製造フローによって複数の圧電デバイスを形成することで、圧電薄膜10における圧電性を回復させても、圧電薄膜10の導電性が劣化することがない。これにより、優れた特性の圧電デバイスを製造することが可能になる。
なお、上述の工程を流用して、F−BARの他の圧電デバイス、表面弾性波デバイス、板波デバイス、境界波デバイス、ジャイロ、RFスイッチ、焦電デバイスなどを制作することも可能である。
《第2の実施形態》
本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法について、圧電デバイスとしてF−BAR(Film Bulk Acoustic Resonator)を製造する例を用いて説明する。製造方法の詳細については、特徴箇所のみ説明し、第1の実施形態と同じ工程は説明を簡略化する。
図5は、本実施形態の圧電デバイスの製造フローを説明する図である。
まず、イオン注入工程を実施し、複数の圧電デバイスを切り出す前の広大な圧電単結晶体に対して、接合面側から水素イオンを注入する(S201)。これにより、水素イオンが集中するイオン注入層を、圧電単結晶体の接合面から所定の深さの位置に形成する。
次に、圧電単結晶体の接合面に下部機能電極、パッド電極および引き回し電極を形成する(S202)。
次に、接合面保護膜の表面に犠牲層を形成する(S203)。
次に、圧電薄膜および犠牲層の表面に、メンブレン支持層を形成し、表面平坦化のためにCMP処理を実施する(S204)。下部機能電極、パッド電極、引き回し電極、犠牲層、およびメンブレン支持層の材料は、圧電薄膜と相互に拡散を起こさない材料とする。
次に、メンブレン支持層に、支持基板を清浄化接合により貼り合わせる(S205)。
次に、メンブレン支持層、支持基板、および圧電単結晶体を接合してなる接合体を加熱し、イオン注入層を剥離面として圧電単結晶体から圧電薄膜を剥離し、剥離面をCMP処理等により研磨して表面粗さRaが1nm以下となるように平坦化する(S206)。
次に、少なくとも圧電薄膜の圧電デバイス主機能部となる領域の剥離面、好ましくは剥離面の全面に剥離面保護膜を形成する(S207)。次の熱処理工程で圧電薄膜との相互拡散を防ぐために、剥離面保護膜の材料は、圧電薄膜がLT基板であれば、W、Mo、Ni、Al、Cu、SiNなどを主として組成する。
次に熱処理工程を実施し、複合基板101を加熱炉に入れて450〜600℃、ここでは500℃で約3h以上、加熱し、イオンの残留や結晶ひずみなどによって変質していた圧電薄膜の圧電性を回復させる(S208)。
次に、剥離面保護膜を除去する(S209)。
次に、圧電薄膜の剥離面に、下部機能電極に対向する上部機能電極、パッド電極、および引き回し電極を形成する(S210)。
次に、圧電薄膜に開口を形成し、エッチャントの導入孔として犠牲層をエッチングにより除去し、メンブレン空間を形成する(S211)。
次に、圧電薄膜における、ハンダバンプを形成し、複合基板をチップサイズに個片化して複数の圧電デバイス(F−BAR)を製造する。
以上の製造フローでは、剥離面保護膜を熱処理工程での圧電薄膜の被覆の他に流用することがなく、流用に伴う材料の制約が抑制される。なお、剥離面保護膜の除去後に、分極工程などを採用するようにしてもよい。
《第3の実施形態》
次に、本発明の第3の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法について、圧電デバイスとして境界波デバイスを製造する例を用いて説明する。製造方法の詳細については、特徴箇所のみ説明し、第1の実施形態や第2の実施形態と同じ工程は説明を簡略化する。
図6は、本実施形態の圧電デバイスの製造フローを説明する図である。
まず、イオン注入工程を実施し、複数の圧電デバイスを切り出す前の広大な圧電単結晶体に対して、接合面側から水素イオンを注入し、イオン注入層を形成する(S301)。
次に、圧電単結晶体の接合面に接合面保護膜を形成し、表面平坦化のためにCMP処理を実施する(S302)。
次に、接合面保護膜に、支持体を清浄化接合により貼り合わせる(S303)。
次に、接合面保護膜、支持体、および圧電単結晶体からなる接合体を加熱し、イオン注入層を剥離面として圧電単結晶体から圧電薄膜を剥離し、剥離面をCMP処理等により研磨して表面粗さRaが1nm以下となるように平坦化する(S304)。
次に、少なくとも圧電薄膜の圧電デバイス主機能部となる領域の剥離面、好ましくは剥離面の全面に剥離面保護膜を形成する(S305)。
次に熱処理工程を実施し、複合基板を加熱炉に入れて450〜600℃、ここでは500℃で約3h以上、加熱し、イオンの残留や結晶ひずみなどによって変質していた圧電薄膜の圧電性を回復させる(S306)。この工程を、真空、窒素、酸素、アルゴン、大気などの雰囲気に圧電薄膜が暴露した状態で行うと、圧電薄膜の酸化または還元が進展してしまうが、剥離面保護膜を設けているために雰囲気への圧電薄膜の暴露を防いで、圧電薄膜の導電率の変化を進展させることなく、熱処理を行える。
次に、複合基板から接合面保護膜を除去する(S307)。
次に、圧電薄膜の剥離面に、上部機能電極(IDT電極)、パッド電極、および引き回し電極を形成する(S308)。
次に、圧電薄膜の剥離面に誘電体を接合する(S309)。
次に、複合基板をチップサイズに個片化して複数の境界波デバイスを製造する(S310)。
以上の製造フローによって複数の境界波デバイスを形成することで、圧電薄膜における圧電性を回復させても、圧電薄膜の導電性劣化が抑えられる。これにより、優れた特性の境界波デバイスを製造することが可能になる。
《第4の実施形態》
次に、本発明の第4の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法について、圧電デバイスとして板波デバイスを製造する例を用いて説明する。製造方法の詳細については、特徴箇所のみ説明し、第1〜第3の実施形態と同じ工程は説明を簡略化する。
図7は、本実施形態の圧電デバイスの製造フローを説明する図である。
まず、イオン注入工程を実施し、複数の板波デバイスを切り出す前の広大な圧電単結晶体に対して、接合面側から水素イオンを注入し、イオン注入層を形成する(S401)。
次に、圧電単結晶体の接合面に、支持体を清浄化接合により貼り合わせる(S402)。
次に、支持体、および圧電単結晶体からなる接合体を加熱し、イオン注入層を剥離面として圧電単結晶体から圧電薄膜を剥離し、剥離面をCMP処理等により研磨して表面粗さRaが1nm以下となるように平坦化する(S403)。
次に、少なくとも圧電薄膜の圧電デバイス主機能部となる領域の剥離面、好ましくは剥離面の全面に剥離面保護膜を形成する(S404)。
次に熱処理工程を実施し、複合基板を加熱炉に入れて450〜600℃、ここでは500℃で約3h以上、加熱し、イオンの残留や結晶ひずみなどによって変質していた圧電薄膜の圧電性を回復させる(S405)。
次に、接合面保護膜をパターニングして、上部機能電極(IDT電極)、パッド電極、および引き回し電極を形成する(S406)。
次に、複合基板をチップサイズに個片化して複数の板波デバイスを製造する(S407)。
以上の製造フローによって複数の板波デバイスを形成することで、圧電薄膜における圧電性を回復させても、圧電薄膜の導電性劣化が抑えられる。これにより、優れた特性の板波デバイスを製造することが可能になる。
1…圧電単結晶体
1A…剥離面
1B…接合面
10…圧電薄膜
100…イオン注入層
101…複合基板
11A〜11C…開口
20…接合面保護膜
25…剥離面保護膜
30…メンブレン支持層
40…支持基板
50…下部機能電極
60…上部機能電極
51,61,64…パッド電極
52,62…引き回し電極
70…犠牲層
71…メンブレン空間
80…底面部
81…ハンダバンプ

Claims (7)

  1. 圧電単結晶体にイオンを注入するイオン注入工程と、
    前記圧電単結晶体のイオン注入面に支持体を接合する接合工程と、
    加熱により前記圧電単結晶体から圧電薄膜を剥離する剥離工程と、
    前記圧電薄膜の剥離面を剥離面保護膜で被覆する被覆工程と、
    前記剥離面保護膜を被覆した前記圧電薄膜を熱処理する熱処理工程と、を備え、
    前記被覆工程は、前記剥離面保護膜として前記熱処理工程で前記圧電薄膜との相互拡散を防ぐ材料を用い、
    前記熱処理工程は、前記イオンが前記圧電薄膜から脱離する温度環境下で実施する、圧電デバイスの製造方法。
  2. 圧電単結晶体にイオンを注入するイオン注入工程と、
    前記圧電単結晶体のイオン注入面に支持体を接合する接合工程と、
    加熱により前記圧電単結晶体から圧電薄膜を剥離する剥離工程と、
    前記圧電薄膜の剥離面を剥離面保護膜で被覆する被覆工程と、
    前記剥離面保護膜を被覆した前記圧電薄膜を熱処理する熱処理工程と、を備え、
    前記被覆工程は、前記剥離面保護膜として前記熱処理工程で前記圧電薄膜との相互拡散を防ぐ材料を用い、
    前記熱処理工程は、前記圧電薄膜における結晶のひずみが開放される温度環境および加熱時間で実施する、圧電デバイスの製造方法。
  3. 前記熱処理工程よりも前工程は、雰囲気による前記圧電単結晶体の酸化・還元の進展が抑制される温度環境下で実施する、請求項1又は2に記載の圧電デバイスの製造方法。
  4. 前記接合工程の前に前記圧電単結晶体と前記支持体との接合面となる位置に接合面保護膜を形成する工程を備える、請求項1〜3のいずれかに記載の圧電デバイスの製造方法。
  5. 前記支持体の前記圧電単結晶体に接合する領域に、前記熱処理工程の熱環境下で前記圧電薄膜と相互に拡散を起こさない材料を用いる、請求項1〜3のいずれかに記載の圧電デバイスの製造方法。
  6. 前記熱処理工程の後に導電性材料からなる剥離面保護膜をパターニングして圧電デバイスの機能電極とするパターニング工程を備える、請求項1〜5のいずれかに記載の圧電デバイスの製造方法。
  7. 前記熱処理工程の後に導電性材料からなる剥離面保護膜と接合面保護膜との間に再分極電界を印加する再分極工程を備える、請求項1〜6のいずれかに記載の圧電デバイスの製造方法。
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