JP5369648B2 - 回折光学素子、光学系及び光学機器 - Google Patents

回折光学素子、光学系及び光学機器 Download PDF

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Description

本発明は、回折光学素子に関し、特に製造時の回折効率の低下を軽減した回折光学素子、これを有する光学系及び光学機器に関する。
従来、光学系の色収差を低減させる方法の一つとして、回折光学素子を用いる方法が知られている。近年では、複層型と呼ばれる回折光学素子が提案されている。このタイプの回折光学素子は、複数種類の材料からなる光学部材(例えば回折格子)を積層し、互いの回折光学面(以下、格子面とも称する)を密着させた構造を有するものであり、所望の波長領域(例えば、可視光領域)のほぼ全域で高い回折効率が保たれる、すなわち波長特性が良好であるという特徴を有している。このような回折光学素子は、射出成形やガラスモールド法といった方法で製造されている。これらの方法は、一度鋳型を製作しておけば、それを用いて大量の素子を量産できることから、製造コストを抑えることができるという利点がある(例えば、特許文献1を参照)。
特開2004−157404号公報
回折光学素子を成形法により製造する場合、設計形状の格子面とは反転した形状の型面を有する成形型を作製する。この型面の形成は、例えば、先端径が小さい切削バイトで切削加工により行われる。このため、成形型の型面では少なくとも谷の形状が、切削バイトの先端の径に依存した丸みを帯びてしまう。すると、製造された回折光学素子の格子面の山が成形型の型面の谷の丸みを転写して丸みを帯び、成形された回折格子の格子面形状は理想形状とは異なったものとなる。このような回折格子を有する回折光学素子において、格子面の理想形状と実際に成形された格子面の形状とが異なる部分は、光の位相が所望値とは異なる、所謂「位相不整合部分」となる(図9参照)。この位相不整合部分を通過する光は、意図しない方向に進んでフレア光となるため回折効率が低下し、回折光学素子の光学性能が低下するという問題があった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、位相不整合部分による性能劣化が少なく、波長広帯域に亘って回折効率が高い回折光学素子、これを有する光学系及び光学機器を提供することを目的とする。
本発明を例示する第1の態様によれば、第1回折光学面を有する第1光学部材と、前記第1回折光学面に接するように配置された第2回折光学面を有する第2光学部材とを有し、前記第1光学部材を構成する第1光学材料の屈折率は、前記第2光学部材を構成する第2光学材料の屈折率より高く、前記第1光学部材において、前記第1回折光学面の山の位相不整合部分の断面積は、前記第1回折光学面の谷の位相不整合部分の断面積より小さく、前記第1光学部材において、前記第1回折光学面の山の位相不整合部分の近似半径をr1とし、前記第1回折光学面の崖の高さをhとし、前記第1回折光学面の格子ピッチが最小となる領域において、前記第1回折光学面の谷の位相不整合部分の断面積をΔSLとし、位相不整合部分がないときの格子1つ分の断面積をΔSAとし、前記第1光学部材において、前記第1回折光学面の山の位相不整合部分の断面積をΔSHとしたとき、次式r1/h<0.6、ΔSL/ΔSA≦0.06、ΔSH/ΔSL<0.9の条件を満足することを特徴とする回折光学素子が提供される。
本発明を例示する第2の態様によれば、上記態様の回折光学素子を有することを特徴とする光学系が提供される。
本発明を例示する第3の態様によれば、上記態様の回折光学素子を有することを特徴とする光学機器が提供される。
本発明によれば、位相不整合部分による性能劣化が少なく、波長広帯域に亘って回折効率が高い回折光学素子、これを有する光学系及び光学機器を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
従来より、屈折光学系や反射光学系では達し得ない高性能化・小型化を目指して、例えば光ディスク用のピックアップ用レンズなどの光学系に回折光学面を組み込む試みが種々行われてきた。しかしながら、このような回折光学面を有する単層型の回折光学素子では、設計波長からずれた波長域の光によりフレアが発生し、画質・結像性能を損ねてしまう問題があり、その使用はレーザー光源などの単一波長や狭い波長域での使用に限られていた。
そこで、近年、複層型(または積層型)と呼ばれる回折光学素子が提案されている。このタイプの回折光学素子は、例えば、鋸歯状に形成された回折光学面(レリーフパターン)を有し、異なる屈折率及び分散を有した複数の光学素子要素を分離あるいは密着させた形で積層させてなるものであり、所望の広波長域(例えば、可視光領域)のほぼ全域で高い回折効率が保たれる。すなわち、回折効率の波長特性が良好であるという特徴を有している。
ここで、複層型の回折光学素子の構造について説明すると、一般に、図10(a),(b)に示すように、第1の材質からなる第1光学素子要素111と、これとは屈折率や分散値が異なる第2の材質からなる第2光学素子要素112とから構成され、それぞれの光学素子要素の対向し合う面には鋸歯状の回折光学面111a,112aが形成されている。そして、特定の2波長に対して色消し条件を満足させるように、第1光学素子要素111の格子高さ(溝の高さ)h1を所定の値に決定し、第2光学素子要素112の格子高さh2を別の所定の値に決定する。これにより、特定の2波長に対しては回折効率が1.0となり、その他の波長に対してもかなり高い回折効率を得ることができるようになる。このように、回折光学素子を複層型にすることで、回折光学素子をほぼ全波長に対して適用することができるようになる。なお、回折効率とは、透過型の回折光学素子において、該回折光学素子に入射する光の強度Iと、回折光学素子を透過した光に含まれる一次回折光の強度Iとの割合η(=I/I)として定義される。
また、所定条件を満たすことにより、図10(b)に示すように、第1光学素子要素111の格子高さh1と、第2光学素子要素112の格子高さh2とを一致させた、いわゆる密着複層型の回折光学素子を達成することが可能となる。この密着複層型の回折光学素子では、図10(a)に示す分離複層型に比べ、格子高さの誤差感度(公差)が緩くなったり、格子面の面粗さの誤差感度(公差)が緩くなったりする等、製造し易くなるメリットがあり、生産性に優れ、量産性が高く、光学製品のコストダウンに好都合であるという利点を有している。
また、分離複層型に比べ密着複層型の場合には、界面での屈折率差が小さいため、面粗さ等の誤差感度が小さく、金型加工のバイトの先端径を大きくできるので、加工上有利である。また、バイトの先端径が大きいと加工工数が削減できるばかりか、バイトの寿命も長くできるメリットもある。したがって、回折光学素子としての性能を確保した上で、できるだけバイトの先端径を大きく設定することが好ましい。
また、分離複層型に比べ密着複層型の場合には、第1光学素子要素111及び第2光学素子要素112のうち、いずれか一方の光学素子要素を先に精密に形成し、その後、他方の光学素子要素をUV硬化型樹脂等に流し込んで成形することもできる。この場合、先に形成した格子が型となって後に成形する格子も精密に形成でき、両者の偏心も全く生じないという利点を持っている。ここで、UV硬化樹脂を用いて成形する場合には、金型を加工したバイトの先端形状がほぼそのまま転写されるため、本実施形態のように、低屈折率の材料からなる光学部材の山側にバイトの先端が来るようにし、高屈折率の材料からなる光学部材の山側をシャープにさせることが好ましい。
本実施形態は、以上のような密着複層型回折光学素子の製造時において、回折効率の低下を軽減する技術に関わるものである。より具体的には、本実施形態は、精密金型によって光学部材を成形し、光学部材のレプリカを安価で安定して生産するための技術に関わるものである。
ところで、回折光学素子の回折効率を計算する際に、スカラー理論計算の範囲では、格子厚さ=0として考えるため、格子面での位相分布は、回折格子中の同じ量の寸法欠損(位相不整合部分;図9参照)であれば、回折効率の変化は同じであると考える。しかしながら、本実施形態のように、密着複層型ないし積層型の回折光学素子では、厚い格子構造を有するため、スカラー計算では十分でなく、厳密な電磁場解析計算が必要である。そこで、本実施形態においては、回折光学素子の回折効率を計算する際に、電磁場解析計算の一つの手法である、RCWA法(厳密結合波解析)を用いるものとする。なお、本実施形態においては、ブレーズ次数を−1としている。これは、ブレーズ次数を1ないし−1とした場合、格子高さが低く抑えられるため、斜入射光に対する光学特性が良好となり、好ましいからである。
以下に詳細を述べる本実施形態では、上記RCWA法を用いて回折効率の数値を算出した結果、相対的に高屈折率の材料からなる光学部材の山の位相不整合部分と谷の位相不整合部分とでは、同じ量の寸法欠損であっても影響が異なることを実証した。すなわち、相対的に高屈折率低分散の材料からなる光学部材においては、山の位相不整合部分の方が、谷の位相不整合部分よりも誤差感度が高いという結果を得た。このことより、相対的に高屈折率低分散の材料からなる光学部材において、谷の位相不整合部分の断面積よりも、山の位相不整合部分の断面積を小さくすれば、回折効率の低下が軽減できるということを見出した。
回折光学素子は、一例として、光軸に中心を持つ同心円状の周期構造(鋸歯状のレリーフパターン、ブレーズド形状等)を有する。この回折光学素子の光軸を含む平面で切った断面形状は、例えば、図1に示すような断面形状を有する。なお、図1では回折光学素子の断面形状のうち一部分のみを示している。
図1に示すように、本実施形態の回折光学素子10は、2つの光学部材(例えば回折格子)を積層した、いわゆる密着複層型の回折光学素子である。すなわち、第1回折光学面13を有する第1光学部材11と、第1回折光学面13に接するように配置された第2回折光学面14を有する第2光学部材12とを有する。ここで、第1光学部材11を構成する第1光学材料の屈折率は、第2光学部材12を構成する第2光学材料の屈折率より高くなるように構成されている。また、第1光学部材11においては、第1回折光学面13の山の位相不整合部分の断面積(光軸を含む平面で切った断面の面積)ΔSHが、第1回折光学面13の谷の位相不整合部分の断面積(光軸を含む平面で切った断面の面積)ΔSLより小さくなるように構成した。
なお、本明細書において、山とは、回折光学面13の理想形状(図1にて一点鎖線で示す、各頂点に丸みがない形状)の隣接する2つの頂点A,Bのうち、相対的に小さい内角αを有する頂点A側の領域を指すものとする。また、谷とは、相対的に大きい内角βを有する頂点B側の領域を指すものとする。
また、本明細書において、位相不整合部分とは、回折光学面13の理想形状(図1にて一点鎖線で示す、各頂点に丸みがない形状)と、実際の形状(図1にて実線で示す、各頂点に丸みがある形状)とが異なる部分を指すものとする。位相不整合部分では、ここを通過する実際の光の位相と、理想形状の回折光学面を通過する光の位相とが異なっている、すなわち実際の光の位相と理想的な光の位相との間の整合がとれていない。このように回折光学面13を通過する光の位相に不整合が生じている位相不整合部分では、通過する光が意図しない方向に進んでフレア光となり、回折効率が低下する。
なお、本実施形態においては、上記構成の基、2つの光学部材11,12を密着させた界面(回折光学面)13,14でのd線における屈折率の差をΔndとしたとき、次式(1)の条件式を満足するようにしてもよい。
0.005<Δnd<0.45 …(1)
上記条件式(1)は、2つの光学部材11,12を密着させた界面(回折光学面)13,14でのd線における屈折率の差Δndの適切なる範囲を規定する。本実施形態のような密着型の回折光学素子を構成するためには、(その界面において)2つの光学部材11,12を形成する光学材料が、相対的に高屈折率の光学材料と、低屈折率の光学材料であることが、重要な条件の一つとして挙げられる。但し、どちらの材料が物体側に位置しても構わない。このことを踏まえた上で、条件式(1)の上限値を上回ると、屈折率差Δndが大きくなり過ぎてしまい、格子の製造誤差感度が大きくなり、好ましくない。逆に、条件式(1)の下限値を下回ると、崖の高さが大きくなり過ぎてしまい、製造上不利となるばかりか、崖(図2で示す、山と谷とを有する第1回折光学面13において、隣接し合う山の頂上(頂点A)と谷の底(頂点B)との段差部分)による光の進行に対する影が生じてしまい、ブレーズ光の回折効率の低下や、崖に当たる光による散乱や反射による迷光が大きくなり、画質を損ねる原因となる。なお、製造上の誤差感度をより抑えるために、条件式(1)の上限値を0.2とすることができる。また、製造上の誤差感度をより抑えるために、条件式(1)の下限値を0.01とすることができる。
また、本実施形態の回折光学素子10は、図1に示すように、第1光学部材11において、第1回折光学面13の山の位相不整合部分の近似半径をr1とし、第1回折光学面13の崖の高さをhとしたとき、次式(2)の条件を満足するようにしてもよい。
r1/h<0.6 …(2)
上記条件式(2)は、第1光学部材11において、第1回折光学面13の山の位相不整合部分の近似半径r1と、崖の高さhとの比率を適切に規定する。ここで、山の位相不整合部分の近似半径r1とは、形状がいびつな場合に最小二乗法で求めたものを指すものとする。また、崖の高さhとは、隣接し合う山の頂上(頂点A)から谷の底(頂点B)までの距離(第1回折光学面13に沿った長さ)を指すものとする。よって、崖が光軸に対して傾けて形成されている場合、崖の高さhの方向は光軸に対して傾いている。回折光学素子において回折効率の低下を防ぐためには、第1光学部材11の山がシャープである方が好ましい。しかしながら、条件式(2)の上限値を上回ると、第1光学部材11の山のシャープさが鈍り、回折効率の低下が大きくなるため、好ましくない。なお、本実施形態の効果を十分に発揮するためには、条件式(2)の上限値を0.25とすることができる。
また、本実施形態の回折光学素子10は、図1に示すように、第1回折光学面13の格子ピッチの最小値をpとし、第1光学部材13の光軸に沿った厚さ及び第2光学部材12の光軸に沿った厚さのうちの薄い方の厚さをd(なお、図1では説明のため、第2光学部材12の光軸に沿った厚さをdとして示している)としたとき、次式(3)の条件を満足するようにしてもよい。
p/d>0.03 …(3)
上記条件式(3)は、第1光学部材11の最小格子ピッチpと、2つの光学部材11,12のうち光軸に沿った厚さが薄い方の厚さdとの比率を適切に規定する。この条件式(3)の下限値を下回ると、最小格子ピッチpが細かくなり過ぎてしまい、回折効率が低下するばかりか、製作しづらくなる不都合が起きやすくなり、先端径が同じバイトであっても切削加工する際の回折効率の低下が大きくなってしまう。なお、本実施形態の効果を十分に発揮するためには、条件式(3)の下限値を0.05とすることができる。また、本実施形態の効果をより十分に発揮するためには、条件式(3)の下限値を0.10とすることができる。
また、本実施形態の回折光学素子10は、第1光学材料と第2光学材料とのC線における屈折率の差をΔnCとし、第1光学材料と第2光学材料とのF線における屈折率の差をΔnFとしたとき、次式(4)の条件を満足するようにしてもよい。
ΔnF−ΔnC<0 …(4)
上記条件式(4)は、設計中心波長をd線として、これに対する長波長側の光線としてC線を、短波長側の光線としてF線をそれぞれ設定した場合、回折光学素子10を構成する第1光学材料と第2光学材料との長波長側の屈折率差ΔnCと、短波長側の屈折率差ΔnFとの適切なる大小関係を規定する。回折光学面を通過する光の光路差(崖の高さ×屈折率差)が各波長に比例することから、条件式(4)を満足することは、波長広帯域に亘って十分に高い回折効率を得るための条件である。なお、条件式(4)を満足しない場合には、長波長側と短波長側における回折効率の低下が著しく、十分な光学性能が得られない。
また、本実施形態の回折光学素子10は、第1回折光学面13の崖の高さ方向に沿って入射する光線に対する、d線での回折効率をEdとし、g線での回折効率をEgとし、C線での回折効率をECとしたとき、次式(5)の条件を満足するようにしてもよい。
(Eg+EC)/(2×Ed)>0.80 …(5)
上記条件式(5)は、広波長域化した使用光に対する回折効率のバランスについて適切な範囲を規定するものである。この条件式(5)の下限値を下回ると、主波長(設計中心波長)であるd線に対して、相対的に短波長であるg線及び長波長であるC線のうち、少なくとも一方の波長において回折効率が低下しすぎて、回折フレアが大きくなり、画質を損ねてしまう。すなわち、ブレーズされた以外の波長や画角等の光が不要な回折光となってしまい、フレアの発生が大きくなってしまい、良好な画質が得られなくなってしまう。なお、条件式(5)の効果を確実にするために、下限値を0.90にすることができる。また、回折光学素子の用途に応じて、条件式(5)の上限値を0.95にすることができる。なお、回折効率の計算は、上記したRCWA法(厳密結合波解析)に基づく。また、本実施形態では、d線に対してブレーズしたものになっているが、これに限られず、その他の波長に対してブレーズしてもよい。
また、本実施形態の回折光学素子10は、第1光学材料と第2光学材料とのd線における屈折率の差をΔndとし、第1光学材料と第2光学材料との主分散(nF−nC)の差をΔ(nF−nC)としたとき、次式(6)の条件を満足するようにしてもよい。
−20.0<Δnd/Δ(nF−nC)<−2.0 …(6)
上記条件式(6)は、回折光学素子10を構成する、第1光学材料と第2光学材料とのd線における屈折率差Δndと、主分散の差Δ(nF−nC)との適切な関係を規定する。この条件式(6)は、本実施形態のような密着複層型の回折光学素子において、広波長域に亘り高い回折効率を得るための重要な条件である。この条件式(6)の範囲を逸脱すると、使用波長域の全域に亘る高い回折効率を得ることができず、光の利用効率が低下するという不都合が生じる。なお、条件式(6)の効果を十分に発揮するには、上限値を−3.5とすることができる。また、条件式(6)の効果を十分に発揮するには、下限値を−10.0とすることができる。
また、本実施形態の回折光学素子10は、図3(a),(b)に示すように、絞りSを有する光学系1内に配置される場合、第1光学部材11が絞りS側に配置されるようにしてもよい。なお、図3(a)では回折光学素子10が絞りSより像面I側に配置される場合を示し、図3(b)では回折光学素子10が絞りSより物体側に配置される場合を示している。このような構成により、フレアを減じ、ブレーズ光の回折効率を高めるという効果を得ることができる。なお、本実施形態の回折光学素子は、例えば、レーザースキャン光学系のような前置絞りを有する光学系への適用が好ましい。
また、本実施形態の回折光学素子10は、第1回折光学面13の崖が光軸に対して傾けて形成され、その傾きが面周辺部より面中心部が小さくなるようにしてもよい。あるいは、その傾きが面周辺部より面中心部が大きくなるようにしてもよい。より具体的には、図4(a),(b)に示すように回折光学面13の崖を瞳(入射瞳もしくは射出瞳)の中心に向けて傾きを与えること、すなわち主光線にほぼ倣って傾きを与えることである。なお、図4において、(a)は入射瞳の中心に向かうように傾きを与えた場合、(b)は射出瞳の中心から発するように傾きを与えた場合についてそれぞれ示す。また、図4では、傾きをより分かりやすくするため、崖を強調して描いている。この構成によれば、回折光学面13の崖による散乱とブレーズ光の回折効率の低下を軽減することができる。さらに、このような傾きを有することで、回折光学素子の形成製法として金型を用いた樹脂成形法を用いることが可能となるため、生産性が上がりコストダウンが図れて好ましい。
また、本実施形態の回折光学素子10は、第1回折光学面13の格子ピッチが最小となる領域において、第1回折光学面13の谷の位相不整合部分の断面積をΔSLとし、位相不整合部分がないときの格子1つ分の断面積をΔSAとすると、次式(7)の条件を満足するようにしてもよい(図2参照)。
ΔSL/ΔSA≦0.06 …(7)
上記条件式(7)は、第1回折光学面13の谷の位相不整合部分の断面積(光軸を含む断面の面積)ΔSLと、山の位相不整合部分がない(すなわち理想形状である)場合の格子1つ分の断面積ΔSAとの適切な関係を規定する。この条件式(7)の上限値を上回ると、回折効率が急激に低下し、高次回折光によるフレアが大きくなってしまう。なお、条件式(7)の効果を十分に発揮するには、上限値を0.05とすることができる。
また、本実施形態の回折光学素子10は、第1光学部材11において、第1回折光学面13の山の位相不整合部分の断面積をΔSHとし、谷の位相不整合部分の断面積をΔSLとしたとき、次式(8)の条件を満足するようにしてもよい(図1参照)。
ΔSH/ΔSL<0.9 …(8)
上記条件式(8)は、第1光学部材11において、山の位相不整合部分の断面積(光軸を含む平面で切った断面の面積)ΔSHと、谷の位相不整合部分の断面積(光軸を含む平面で切った断面の面積)ΔSLの適切な関係を規定する。第1光学部材11では、谷の位相不整合部分に比べ、山の位相不整合部分の方が誤差感度が高い。このため、条件式(8)の上限値を上回ると、山の位相不整合部分が大きくなり、回折光学素子10の回折効率が低下してしまう。なお、条件式(8)の効果を十分に発揮するには、上限値を0.8とすることができる。また、条件式(8)の効果をより十分に発揮するには、上限値を0.5とすることができる。さらに、条件式(8)の効果を十分に発揮するには、上限値を0.3とすることができる。
さらに、より優れた性能・仕様を達成するためには、以下の条件式を満たすようにしてもよい。
本実施形態の回折光学素子10は、第1回折光学面13の崖の直線部分の長さをsとし、第1回折光学面13の崖の高さhとしたとき、次式(9)の条件を満足するようにしてもよい(図1参照)。
s/h>0.3 …(9)
上記条件式(9)は、第1回折光学面13の直線部分の長さsと、崖の高さhの最適な比を規定する。ここで、崖領域の直線部分の長さsとは、図1で示すように、第1回折光学面13の谷の位相不整合部分の近似半径r2を半径とする円の接点から、山の位相不整合部分の近似半径r1を半径とする円の接点までの距離(第1回折光学面13に沿った長さ)を指すものとする。この条件式(9)の下限値を下回ると、第1回折光学面13の山による回折効率の低下が大きくなり過ぎて不都合である。なお、本実施形態の効果を十分に発揮するには、下限値を0.5とすることができる。さらに、本実施形態の効果を十分に発揮するには、下限値を0.9とすることができる。また、本実施形態の効果を十分に発揮するには、崖の直線部分の長さsを7.0μm以上とすることができる。崖の直線部分は、その方向に入射して進む波面に対し位相不整合部分がなくなり、崖近傍での波面が滑らかな平面となるため、高い回折効率を得ることができる。
また、本実施形態の回折光学素子10は、第1回折光学面13の崖の高さhとし、設計基準波長λとしたとき、次式(10)の条件を満足するようにしてもよい(図1参照)。
h/λ<70.0…(10)
上記条件式(10)は、第1回折光学面13の崖の高さhと、設計基準波長λの適正な比を規定する。この条件式(10)の上限値を下回ると、第1回折光学面13の崖の高さhが大きくなり過ぎて、斜めの入射光に対する回折効率が低下して、不要なフレア光が発生しまい不都合である。ここで、崖の高さhとは、図1で示す、隣接し合う山の頂上(頂点A)から谷の底(頂点B)までの距離(第1回折光学面13に沿った長さ)であって、光軸方向の高さに限定したものではない。崖の高さhは、通常、光軸方向の高さとして、h=(2つの光学部材を密着させた界面における屈折率差)×(設計基準波長)で定められるスカラー理論によるブレーズ高さとされることが多いが、光軸方向とは異なる方向からの入射光に対しては最適ブレーズとはならず、回折効率が下がってしまう。このため、崖の高さhを、隣接し合う山の頂上(頂点A)から谷の底(頂点B)までの距離(第1回折光学面13に沿った長さ)とすることが必要である。なお、本実施形態の効果を十分に発揮するには、上限値を40.0とすることができる。
また、本実施形態の回折光学素子10は、第1回折光学面13の崖を階段状のステップや粗面として正反射を防ぎ、迷光を減らす構造としてもよい。
また、本実施形態の回折光学素子10は、第1回折光学面13の山の位相不整合部分の近似半径をr1とし、第1回折光学面13の崖の直線部分の長さをsとしたとき、次式(11)の条件を満足するようにしてもよい(図1参照)。
r1/s<1.0 …(11)
上記条件式(11)は、第1回折光学面13の山の位相不整合部分の近似半径r1(いわゆるエッジ部分の近似半径)と、崖の直線部分の長さsの適正な比を規定する。この条件式(11)の上限値を上回ると、第1回折光学面13の山の位相不整合部分の近似半径r1が大きくなり過ぎて、所望の結像を形成する次数の回折光の回折効率が低下するばかりか、不要次数の回折光が発生して有害なフレアとなり、不都合である。なお、本実施形態の効果を十分に発揮するには、上限値を0.3とすることができる。
また、本実施形態の回折光学素子10は、加工を容易にするとともに回折効率の低下を防ぐため、第1回折光学面13の格子ピッチの最小値をpとし、第1回折光学面13の崖の高さをhとしたとき、次式(12)の条件を満足するようにしてもよい(図2参照)。
p/h>0.4 …(12)
さらに、実際に回折光学素子10を構成する際には、以下に述べる要件を満たすようにしてもよい。
本実施形態の回折光学素子10は、2つの光学部材11,12を構成する材料は、成形性を良好に保ち、優れた量産性を確保するために、光学材料の粘度(未硬化物粘度)が5mPa・s以上50000mPa・s以下であるようにしてもよい。光学材料として粘度が5mPa・s以下の樹脂を用いる場合、成形中に樹脂が流れ易くなり、作業性が落ちることがある。また、50000mPa・s以上の樹脂を用いる場合、樹脂が流れにくく作業性が悪くなり、また気泡が混入しやすくなる。なお、本実施形態の効果を十分に発揮するには、下限値を40mPa・sとすることができる。さらに、本実施形態の効果を十分に発揮するには、下限値を2000mPa・sとすることができる。
また、本実施形態の回折光学素子10において、2つの光学部材11,12を構成する光学材料は、いずれもUV硬化型樹脂であるようにしてもよい。この構成により、生産効率がアップするので好ましい。また、工数が削減でき、コストダウンにも繋がり、好都合である。
また、本実施形態の回折光学素子10において、2つの光学部材11,12を構成する光学材料は、比重が2.0以下の樹脂材料であるようにしてもよい。これは、ガラスに比して樹脂は比重が小さいため、回折光学素子10を有する光学系1の軽量化に有効である。なお、その効果をより十分に発揮するには、比重が1.6以下の樹脂材料とすることができる。
また、本実施形態の回折光学素子10は、平面上に形成されるものとは限らず、レンズやミラーの球面上や非球面上に形成されるものとしても良い。このような場合、着目している任意の回折光学面近傍では、平面の回折光学面として近似できるからである。
なお、本実施形態の回折光学素子10を組み込んで得られる複数の構成要素からなる光学系も、本実施形態の範囲を逸脱するものではない。さらには、屈折率分布型レンズ、結晶材料レンズなどを組み込んで得られる光学系に関しても同様である。
以下に、第1〜第4実施例に係る回折光学素子10(図1参照)について説明する。図11の表図に、各実施例における[光学材料データ]及び[構成条件及び条件式対応値]をそれぞれ示す。
[光学材料データ]には、光学部材11,12を構成する2つの材料、すなわち高屈折率低分散の第1光学材料と、低屈折率高分散の第2光学材料の屈折率について示す。なお、ndはd線(波長587.562nm)に対する屈折率を、nCはC線(波長656.273nm)に対する屈折率を、nFはF線(波長486.133nm)に対する屈折率を、ngはg線(波長435.835nm)に対する屈折率をそれぞれ示す。また、各実施例において光学部材11,12を構成する材料は共通であり、図11の表図に示すように、高屈折率低分散の第1光学材料としてd線、C線、F線、g線における屈折率がそれぞれ1.5569、1.5537、1.5648、1.5711である材料を、低屈折率高分散の第2光学材料としてd線、C線、F線、g線における屈折率がそれぞれ1.5276、1.5233、1.5385、1.5477である材料をそれぞれ用いた。
[構成条件及び条件式対応値]には、回折光学素子10の構成条件と、上記条件式(1)〜(12)に対応する値を示す(但し、光の入射方向は、第2光学部材12側から第1光学部材11側へと向かったものとして計算した)。なお、hは第1回折光学面13の崖の高さ(単位:[μm])を、αは光軸に対する崖の傾き(単位:[°])を、dは第1光学部材11の光軸に沿った厚さ及び第2光学部材12の光軸に沿った厚さのうちの薄い方の厚さ(単位:[μm])を、pは第1回折光学面13の格子ピッチの最小値(単位:[μm])を、r1は第1回折光学面13の山の位相不整合部分の近似半径を、r2は第1回折光学面13の谷の位相不整合部分の近似半径をそれぞれ示す。
(第1実施例)
第1実施例に係る回折光学素子10は、図11の表図に示すように、高屈折率低分散の第1光学材料(d線、C線、F線、g線における屈折率がそれぞれ1.5569、1.5537、1.5648、1.5711)と、低屈折率高分散の第2光学材料(d線、C線、F線、g線における屈折率がそれぞれ1.5276、1.5233、1.5385、1.5477)とを用いて、第1回折光学面13の崖の高さhを20μmとし、第1回折光学面13の崖の傾きαを5°とし、第1光学部材11の光軸に沿った厚さ及び第2光学部材12の光軸に沿った厚さのうちの薄い方の厚さdを100μmとし、第1回折光学面13の格子ピッチの最小値pを50[μm]として構成した。そして、このような構成条件の基で、第1回折光学面13の山の位相不整合部分の近似半径r1と谷の位相不整合部分の近似半径r2との組み合わせが(r1,r2)=(0,0),(0.2,1),(0.2,5),(0.2,10)の場合について調べた。
なお、(r1,r2)=(0.2,10)の場合については、上記条件式(7)ΔSL/ΔSA≦0.06(本実施例ではΔSL/ΔSA=0.09)が満足できなかった例(比較例)として掲載している。
図11の表図より、第1実施例に係る回折光学素子10においては、(r1,r2)=(0,0),(0.2,1),(0.2,5)の場合について、上記条件式(1)〜(12)を全て満足していることが分かる。
図5は、第1実施例に係る回折光学素子10において、入射光線の角度を−40度〜20度の間で変化させたときの回折効率を示す図であり、(a)は入射光線がd線の場合、(b)は入射光線がC線の場合、(c)は入射光線がF線の場合、(d)は入射光線がg線の場合の回折効率について示している。なお、図5(a)〜(d)において、入射光線の入射角度は、光軸に対して反時計回りを正、時計まわりを負としている。また、図5(a)〜(d)では、第1回折光学面13の山の位相不整合部分の近似半径r1と谷の位相不整合部分の近似半径r2との組み合わせが(r1,r2)=(0,0)の場合を実線で、(r1,r2)=(0.2,1)の場合を点線で、(r1,r2)=(0.2,5)の場合を一点鎖線で、(r1,r2)=(0.2,10)の場合を二点鎖線でそれぞれ示している。
図5(a)〜(d)より、第1実施例の回折光学素子10においては、(r1,r2)=(0,0),(0.2,1),(0.2,5)の場合について、g線からd線までの広い波長領域に亘って高い回折効率(回折光強度)を得られることが分かった。特に、第1回折光学面13の崖の傾きと入射光線の入射角度とがほぼ一致した場合に、高い回折効率を得られることが分かった。また、(r1,r2)=(0.2,10)の場合のように、上記条件式(7)ΔSL/ΔSA≦0.06が満足できない場合は、回折効率が悪化することが分かった。
(第2実施例)
第2実施例に係る回折光学素子10は、図11の表図に示すように、高屈折率低分散の第1光学材料(d線、C線、F線、g線における屈折率がそれぞれ1.5569、1.5537、1.5648、1.5711)と、低屈折率高分散の第2光学材料(d線、C線、F線、g線における屈折率がそれぞれ1.5276、1.5233、1.5385、1.5477)とを用いて、第1回折光学面13の崖の高さhを20μmとし、第1回折光学面13の崖の傾きαを10°とし、第1光学部材11の光軸に沿った厚さ及び第2光学部材12の光軸に沿った厚さのうちの薄い方の厚さdを200μmとし、第1回折光学面13の格子ピッチの最小値pを50[μm]として構成した。そして、このような構成条件の基で、第1回折光学面13の山の位相不整合部分の近似半径r1と谷の位相不整合部分の近似半径r2との組み合わせが(r1,r2)=(0,0),(0.2,1),(0.2,5),(0.2,10)の場合について調べた。
なお、(r1,r2)=(0.2,10)の場合については、上記条件式(7)ΔSL/ΔSA≦0.06(本実施例ではΔSL/ΔSA=0.07)が満足できなかった例(比較例)として掲載している。
図11の表図より、第2実施例に係る回折光学素子10においては、(r1,r2)=(0,0),(0.2,1),(0.2,5)の場合について、上記条件式(1)〜(12)を全て満足していることが分かる。
図6は、第2実施例に係る回折光学素子10において、入射光線の角度を−45度〜15度の間で変化させたときの回折効率を示す図であり、(a)は入射光線がd線の場合、(b)は入射光線がC線の場合、(c)は入射光線がF線の場合、(d)は入射光線がg線の場合の回折効率について示している。なお、図6(a)〜(d)において、入射光線の入射角度は、光軸に対して反時計回りを正、時計まわりを負としている。また、図6(a)〜(d)では、第1回折光学面13の山の位相不整合部分の近似半径r1と谷の位相不整合部分の近似半径r2との組み合わせが(r1,r2)=(0,0)の場合を実線で、(r1,r2)=(0.2,1)の場合を点線で、(r1,r2)=(0.2,5)の場合を一点鎖線で、(r1,r2)=(0.2,10)の場合を二点鎖線でそれぞれ示している。
図6(a)〜(d)より、第2実施例の回折光学素子10においては、(r1,r2)=(0,0),(0.2,1),(0.2,5)の場合について、g線からd線までの広い波長領域に亘って高い回折効率(回折光強度)を得られることが分かった。特に、第1回折光学面13の崖の傾きと入射光線の入射角度とがほぼ一致した場合に、高い回折効率を得られることが分かった。また、(r1,r2)=(0.2,10)の場合のように、上記条件式(7)ΔSL/ΔSA≦0.06が満足できない場合は、回折効率が悪化することが分かった。
(第3実施例)
第3実施例に係る回折光学素子10は、図11の表図に示すように、高屈折率低分散の第1光学材料(d線、C線、F線、g線における屈折率がそれぞれ1.5569、1.5537、1.5648、1.5711)と、低屈折率高分散の第2光学材料(d線、C線、F線、g線における屈折率がそれぞれ1.5276、1.5233、1.5385、1.5477)とを用いて、第1回折光学面13の崖の高さhを20μmとし、第1回折光学面13の崖の傾きαを0°とし、第1光学部材11の光軸に沿った厚さ及び第2光学部材12の光軸に沿った厚さのうちの薄い方の厚さdを300μmとし、第1回折光学面13の格子ピッチの最小値pを20[μm]として構成した。そして、このような構成条件の基で、第1回折光学面13の山の位相不整合部分の近似半径r1と谷の位相不整合部分の近似半径r2との組み合わせが(r1,r2)=(0,0),(0.2,1),(0.2,3),(0.2,5)の場合について調べた。
なお、(r1,r2)=(0.2,5)の場合については、上記条件式(7)ΔSL/ΔSA≦0.06(本実施例ではΔSL/ΔSA=0.15)が満足できなかった例(比較例)として掲載している。
図11の表図より、第3実施例に係る回折光学素子10においては、(r1,r2)=(0,0),(0.2,1),(0.2,3)の場合について、上記条件式(1)〜(12)を全て満足していることが分かる。
図7は、第3実施例に係る回折光学素子10において、入射光線の角度を−20度〜20度の間で変化させたときの回折効率を示す図であり、(a)は入射光線がd線の場合、(b)は入射光線がC線の場合、(c)は入射光線がF線の場合、(d)は入射光線がg線の場合の回折効率について示している。なお、図7(a)〜(d)において、入射光線の入射角度は、光軸に対して反時計回りを正、時計まわりを負としている。また、図7(a)〜(d)では、第1回折光学面13の山の位相不整合部分の近似半径r1と谷の位相不整合部分の近似半径r2との組み合わせが(r1,r2)=(0,0)の場合を実線で、(r1,r2)=(0.2,1)の場合を点線で、(r1,r2)=(0.2,3)の場合を一点鎖線で、(r1,r2)=(0.2,5)の場合を二点鎖線でそれぞれ示している。
図7(a)〜(d)より、第3実施例に係る回折光学素子10においては、(r1,r2)=(0,0),(0.2,1),(0.2,3)の場合について、g線からd線までの広い波長領域に亘って高い回折効率(回折光強度)を得られることが分かった。特に、第1回折光学面13の崖の傾きと入射光線の入射角度とがほぼ一致した場合に、高い回折効率を得られることが分かった。また、(r1,r2)=(0.2,5)の場合のように、上記条件式(7)ΔSL/ΔSA≦0.06が満足できない場合は、回折効率が悪化することが分かった。
(第4実施例)
第4実施例に係る回折光学素子10は、図11の表図に示すように、高屈折率低分散の第1光学材料(d線、C線、F線、g線における屈折率がそれぞれ1.5569、1.5537、1.5648、1.5711)と、低屈折率高分散の第2光学材料(d線、C線、F線、g線における屈折率がそれぞれ1.5276、1.5233、1.5385、1.5477)とを用いて、第1回折光学面13の崖の高さhを20μmとし、第1回折光学面13の崖の傾きαを5°とし、第1光学部材11の光軸に沿った厚さ及び第2光学部材12の光軸に沿った厚さのうちの薄い方の厚さdを60μmとし、第1回折光学面13の格子ピッチの最小値pを50[μm]として構成した。そして、このような構成条件の基で、第1回折光学面13の山の位相不整合部分の近似半径r1と谷の位相不整合部分の近似半径r2との組み合わせが(r1,r2)=(0,0),(2.75,5),(3.53,5),(4.47,5)の場合について調べた。
図11の表図より、第4実施例に係る回折光学素子10においては、上記条件式(1)〜(12)を全て満足していることが分かる。
図8は、第4実施例に係る回折光学素子10において、入射光線の角度を−40度〜20度の間で変化させたときの回折効率を示す図であり、(a)は入射光線がd線の場合、(b)は入射光線がC線の場合、(c)は入射光線がF線の場合、(d)は入射光線がg線の場合の回折効率について示している。なお、図8(a)〜(d)において、入射光線の入射角度は、光軸に対して反時計回りを正、時計まわりを負としている。また、図8(a)〜(d)では、第1回折光学面13の山の位相不整合部分の近似半径r1と谷の位相不整合部分の近似半径r2との組み合わせが(r1,r2)=(0,0)の場合を実線で、(r1,r2)=(2.75,5)の場合を点線で、(r1,r2)=(3.53,5)の場合を一点鎖線で、(r1,r2)=(4.47,5)の場合を二点鎖線でそれぞれ示している。
図8(a)〜(d)より、第4実施例に係る回折光学素子10においては、g線からd線までの広い波長領域に亘って高い回折効率(回折光強度)を得られることが分かった。特に、第1回折光学面13の崖の傾きと入射光線の入射角度とがほぼ一致した場合に、高い回折効率を得られることが分かった。
以上、第1〜第4実施例から分かるように、谷の位相不整合部分の断面積(光軸を含む平面で切った断面の面積)ΔSLよりも、山の位相不整合部分の断面積(光軸を含む平面で切った断面の面積)ΔSHの方が小さくなるように回折光学素子を構成すれば、高い回折効率を得ることができる。さらに好ましくは、条件式(7)ΔSL/ΔSA≦0.06を満足することにより、より高い回折効率を得ることができる。
次に、上記実施形態の回折光学素子を用いた光学機器について簡単に説明する。図12は、上記実施形態の回折光学素子を用いた、ヘッドマウントディスプレイの概略構成図である。ヘッドマウントディスプレイは、使用者の頭部に装着して該使用者に映像や音声を提供するシステムであり、ヘッドホンタイプの頭部装着部40と、頭部装着部40に取り付け可能なディスプレイユニット部50と、ディスプレイユニット部50に音声信号や映像信号を供給し、各部材に電力を供給する再生機器部60とから構成される。
頭部装着部40は、使用者への装着時に該使用者の左右の耳近傍に位置する一対のスピーカ部41と、このスピーカ部41を介して使用者の頭部を挟持する付勢力を与えるアーム部42と、一対のスピーカ部41それぞれからアーチ状に延びて使用者の耳に引っ掛けるための耳掛け部材43とから構成される。スピーカ部41は、それぞれディスプレイユニット部50の結合部51と嵌合可能な形状を有しており、外側に該ディスプレイユニット部50との電気接点44が設けられている。なお、スピーカ部41にディスプレイユニット部50を取り付けない場合は、ダミーキャップ55を取り付けることで外観を良好にしている。
次に、ディスプレイユニット部50は、スピーカ部41の外側に嵌合可能な結合部51と、結合部51に取り付けられて後述のディスプレイアーム53を収納する空間を具備する収納部52と、収納部52への収納・引き出しが可能でありその先端には液晶表示素子や上記実施形態の回折光学素子10などが組み込まれた表示部54が取り付けられているディスプレイアーム53とから構成される。また、ディスプレイユニット部50は、再生機器部60と接続されており、再生機器部60から供給される電力及び映像信号を表示部54に供給し、且つ、音声信号を結合部51に供給するように配線が組まれている。
結合部51は、スピーカ部41の電気接点44と接続可能な電気接点(図示略)を有しており、この電気接点(図示略)を介してスピーカ部41に音声信号を供給している。
ディスプレイアーム53は、上記したように収納部52に収納可能となっており、本ヘッドマウントディスプレイの装着時には、表示部54が使用者の眼前に位置するように、ディスプレイアーム53を収納部52から繰り出して使用する。また、非装着時には、ディスプレイアーム53を収納部52内に収納できるようになっている。
表示部54は、図12に示すように、ディスプレイアーム53による片持ち梁構造で支持している。表示部54内に設けられている光学系は、液晶表示素子と、液晶表示素子の映像の虚像を形成する回折光学素子10と、液晶表示素子を照明するバックライトと、バックライトの光を集光して拡散する照明光学素子とから構成される。照明光学素子は、バックライト側が該バックライトの光を集光するためのレンズ面となっており、液晶表示素子側がスリガラス状又はマイクロレンズアレイ状の拡散面となっており、この構成によって液晶表示素子の照明分布を均一化している。なお、レンズ面はフレネルレンズ形状であってもよい。
ここで、回折光学素子10は、屈折作用による集光作用と回折作用を併せ持ったもので、屈折作用により生ずる色収差を回折作用で相殺させている。それゆえ、上記のようにヘッドマウントディスプレイの接眼レンズに用いて、フルカラーの映像を投影しても、高品質な映像を使用者に提供することができる。
上記実施形態では、光学機器の例としてヘッドマウントディスプレイを示したが、本実施形態の回折光学素子を利用した光学機器はこれらに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しなければ、その他様々な光学系、光学機器(例えば、顕微鏡、双眼鏡、望遠鏡、カメラ、プロジェクター等)に対して応用でき、良好な光学性能を得ることができる。
なお、本発明を分かりやすくするため、上記のように実施形態の構成要件を付して説明したが、本発明がこれに限定されるものではないことは言うまでもない。
本実施形態に係る回折光学素子の断面構成を示すとともに、第1回折光学面における谷の位相不整合部分の断面積ΔSLと山の位相不整合部分の断面積ΔSHについて説明するための図である。 本実施形態に係る回折光学素子の断面構成を示すとともに、第1回折光学面における谷の位相不整合部分の断面積ΔSLと、位相不整合部分がないときの格子1つ分の断面積ΔSAについて説明するための図である。 本実施形態に係る光学系を説明するための図であり、(a)は回折光学素子を絞りに対して像側に配置した場合、(b)は回折光学素子を絞りに対して物体側に配置した場合をそれぞれ示す。 本実施形態に係る回折光学素子の崖の傾きについて説明するための図であり、(a)は入射瞳の中心に対して傾きを与えた場合、(b)は射出瞳の中心に対して傾きを与えた場合をそれぞれ示す。 第1実施例に係る回折光学素子において、入射光線の角度を−40度〜20度の間で変化させたときの回折効率を示す図であり、(a)は入射光線がd線の場合、(b)は入射光線がC線の場合、(c)は入射光線がF線の場合、(d)は入射光線がg線の場合をそれぞれ示す。 第2実施例に係る回折光学素子において、入射光線の角度を−45度〜15度の間で変化させたときの回折効率を示す図であり、(a)は入射光線がd線の場合、(b)は入射光線がC線の場合、(c)は入射光線がF線の場合、(d)は入射光線がg線の場合をそれぞれ示す。 第3実施例に係る回折光学素子において、入射光線の角度を−20度〜20度の間で変化させたときの回折効率を示す図であり、(a)は入射光線がd線の場合、(b)は入射光線がC線の場合、(c)は入射光線がF線の場合、(d)は入射光線がg線の場合をそれぞれ示す。 第4実施例に係る回折光学素子において、入射光線の角度を−40度〜20度の間で変化させたときの回折効率を示す図であり、(a)は入射光線がd線の場合、(b)は入射光線がC線の場合、(c)は入射光線がF線の場合、(d)は入射光線がg線の場合をそれぞれ示す。 位相不整合部分について説明する図である。 複層型の回折光学素子の模式断面図であり、(a)は分離複層型の回折光学素子の模式断面図であり、(b)は密着複層型の回折光学素子の模式断面図である。 各実施例における[光学材料データ]及び[構成条件及び条件式対応値]を示す表図である。 上記回折光学素子を用いたヘッドマウントディスプレイの概略構成図である。
符号の説明
1 光学系
10 回折光学素子
11 第1光学部材
12 第2光学部材
13 第1回折光学面
14 第2回折光学面

Claims (10)

  1. 第1回折光学面を有する第1光学部材と、前記第1回折光学面に接するように配置された第2回折光学面を有する第2光学部材とを有し、
    前記第1光学部材を構成する第1光学材料の屈折率は、前記第2光学部材を構成する第2光学材料の屈折率より高く、
    前記第1光学部材において、前記第1回折光学面の山の位相不整合部分の断面積は、前記第1回折光学面の谷の位相不整合部分の断面積より小さく、
    前記第1光学部材において、前記第1回折光学面の山の位相不整合部分の近似半径をr1とし、前記第1回折光学面の崖の高さをhとし、
    前記第1回折光学面の格子ピッチが最小となる領域において、前記第1回折光学面の谷の位相不整合部分の断面積をΔSLとし、位相不整合部分がないときの格子1つ分の断面積をΔSAとし、
    前記第1光学部材において、前記第1回折光学面の山の位相不整合部分の断面積をΔSHとしたとき、次式
    r1/h<0.6
    ΔSL/ΔSA≦0.06
    ΔSH/ΔSL<0.9
    の条件を満足することを特徴とする回折光学素子。
  2. 前記第1回折光学面の格子ピッチの最小値をpとし、前記第1光学部材の光軸に沿った厚さ及び前記第2光学部材の光軸に沿った厚さのうちの薄い方の厚さをdとしたとき、次式
    p/d>0.03
    の条件を満足することを特徴とする請求項に記載の回折光学素子。
  3. 前記第1光学材料と前記第2光学材料とのC線における屈折率の差をΔnCとし、前記第1光学材料と前記第2光学材料とのF線における屈折率の差をΔnFとしたとき、次式
    ΔnF−ΔnC<0
    の条件を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の回折光学素子。
  4. 前記第1回折光学面の崖の高さ方向に沿って入射する光線に対する、d線での回折効率をEdとし、g線での回折効率をEgとし、C線での回折効率をECとしたとき、次式
    (Eg+EC)/(2×Ed)>0.80
    の条件を満足することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の回折光学素子。
  5. 前記第1光学材料と前記第2光学材料とのd線における屈折率の差をΔndとし、前記第1光学材料と前記第2光学材料との主分散(nF−nC)の差をΔ(nF−nC)としたとき、次式
    −20.0<Δnd/Δ(nF−nC)<−2.0
    の条件を満足することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の回折光学素子。
  6. 前記第1回折光学面の崖は、光軸に対して傾けて形成され、
    その傾きは面周辺部より面中心部が小さいことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の回折光学素子。
  7. 前記第1回折光学面の崖は、光軸に対して傾けて形成され、
    その傾きは面周辺部より面中心部が大きいことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の回折光学素子。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載の回折光学素子を有することを特徴とする光学系。
  9. 前記回折光学素子と、絞りとを有し、
    前記第1光学部材は、前記絞り側に配置されていることを特徴とする請求項に記載の光学系。
  10. 請求項1〜のいずれか一項に記載の回折光学素子を有することを特徴とする光学機器。
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