JP2005308958A - 回折光学素子及びそれを有する光学系 - Google Patents

回折光学素子及びそれを有する光学系 Download PDF

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Abstract

【課題】 回折光学素子が備える回折格子の格子垂直面での不要光が、像性能を低下させにくい回折光学素子を実現すること。
【解決手段】 格子面4と格子垂直面5から構成され、使用波長領域全域で特定次数(設計次数)に回折するブレーズ型の回折格子を、レンズとして作用するように同心円状の周期構造とした回折光学素子1に於いて、格子垂直面5は、蹴上げ部6と踏面7で構成される階段状の段差部を有し、且つ、光軸から数えてk番目の回折格子の格子先端を連ねた包絡面の各格子先端位置における面法線と格子面4がなす角度をα(k)、蹴上げ部6と格子面4がなす角度をβ(k)、段差部の先端を連ねた包絡面と格子面4がなす角度をγ(k)としたとき、
α(k)>β(k) …(1)
γ(k)>β(k) …(2)
を満足している。
【選択図】 図1

Description

本発明は回折光学素子特に複数の波長、あるいは帯域光で使用する回折光学素子及びそれを用いた光学系に関するものである。
従来の硝材の組み合わせにより色収差を減じる方法に対して、レンズ面やあるいは光学系の1部に回折作用を有する回折光学素子(以下回折格子とも言う)を設けることで、色収差を減じる方法がSPIE Vol.1354 International Lens Design Conference(1990)等の文献や特開平4−213421、特開平6−324262、USP5044706等により開示されている。これは、光学系中の屈折面と回折面とでは、ある基準波長の光線に対する色収差の出方が逆方向に発現するという物理現象を利用したものである。さらに、このような回折光学素子は、その周期的構造の周期を変化させることで非球面レンズ的な効果をも持たせることができ収差の低減に大きな効果がある。
ここで、屈折においては、1本の光線は屈折後も1本の光線であるのに対し、回折においては、各次数に光が分かれてしまう。そこで、レンズ系として回折光学素子を用いる場合には、使用波長領域の光束が1つの特定次数(以後設計次数とも言う)に集中するように格子構造を決定する必要がある。そこで、一般的に回折レンズとして用いられる回折光学素子は、図20のように格子面4と、格子垂直面5から構成されるブレーズ構造の回折光学素子が用いられる。このような、ブレーズ構造の回折光学素子は、特定の回折次数と、特定の波長に対して、高い効率で光を回折できる。しかしながらその一方で、格子垂直面5に入射した光束は、格子垂直面で反射、屈折など格子面4と異なる振る舞いをするため、回折レンズとしては、不要な光となり好ましくない。
そこで、この格子垂直面での不要光を抑制する構成として、USP5,801,889や特開平2002−71925が提案されている。
図21にUSP5,801,889の構成を示す。光学系に回折光学素子を配置する際に、格子垂直面5に入射光束が当たりにくいように、格子溝を連ねた包絡面9の曲率と格子垂直面5の角度を最適化している。図21では、特定の入射角に対して最適な垂直面形状を与える方法として、入射角に概平行となるように格子垂直面を形成している。
上記、従来例のように、格子垂直面を、入射光の方向に概平行に形成されるのは、垂直面での不要光を抑制する手段として好ましいが、様々な回折光学素子を考えた場合、後述するが、入射角と概平行方向に格子垂直面を形成できない場合が発生する。
その場合の、不要光を抑制する手段として、特開平2002−71925に、格子垂直面に階段状の段差部を設ける構成が提案されている。これは、図22に示すように、段差部を構成する蹴上げ部6と、踏面7において、蹴上げ部で反射した光を、踏面で再度反射させ、蹴上げ部に入射した光束の方向に戻すことで、不要光が像面(評価面)に到達することを抑制している構成である。図22(b)に、段差部を拡大した図を示す。図から明らかなように、蹴上げ部へ入射する光束は、蹴上げ部となす角度がα°以下でないと、反射光束が全て踏面7へ到達せず、抑制効果が低下する。図中α°は、階段先端を連ねた包絡面10の傾き角であり、極端に大きな角度にすることは、設計次数の回折効率を低下させることになり好ましくない。そのため、格子垂直面へ入射光束が小さな角度で入射する光学系に於いて有効である。また、蹴上げ部の反射光にだけ言及しており、透過屈折光の振る舞いについては、何ら考慮されていない。
上記、従来例以外にも、格子垂直面に段差部を設ける構成が、特開平2003−29015に提示されている(図23)。しかしながら、垂直面の不要光を抑制する目的ではなく、製造上の変形を抑制するために段差部が設けられている。さらに、高次回折光を設計次数として用いていることが前提であり、蹴上げ部の幅は、使用波長の1波長分の光路長差を与えるように決定されている。
以上、説明したように、任意の方向から格子垂直面5に入射する光束に対して、不要光の発生を抑制するのに最適な構成は、まだ提示されていない。
次に、本発明の課題を明確にするため、USP5,801,889に示した構成がとれない場合を説明する。
回折光学素子の製法は、型を作成し、型から複製を行なうことで素子を製造するのが、量産性、コストの観点から一般的である。このような製法を前提とした場合、型から回折光学素子を良好に形状を転写しながら離型できる形状には制約がある。図24に示すような、曲面上に形成された同心円形状の回折光学素子を、型から離型する場合、図25(A)で示したように、外周の1箇所を起点Sとし、反対側の外周を離型の終点Eとすると、格子形状によるが、特定の方向に図26のような格子形状の変形が発生し、性能上問題となる。図24の格子形状では、素子中心から離型終点方向の格子形状に変形が発生しやすい。そこで、格子形状の変形を発生しないためには、図25(B)で示したように、外周部全域を離型起点Sとし、中心部が離型終点Eとなるように、離型を行なっていくことが必要となってくる。このような離型方法では、微小領域では、素子が面法線方向に離型されていると見なすことができる。
このような、比較的一般に用いられている回折光学素子の製法では、図24に示すような凸面に凸の回折レンズを付加したような形状で、格子垂直面が光軸方向となるような回折光学素子は、格子形状の変形という観点から製造上かなり困難な形状である。従って、凸面に凸の回折レンズを付加したような形状では、格子垂直面は図27に示すように凸面の面法線方向に概平行となる構成となる。このような形状にすることで、図25(B)に示した離型方法で、格子変形は大幅に改善される(図28)。
しかしながら、図27から明らかなように、このような回折光学素子に、光軸方向(図中a)から光束が入射するような構成では、格子垂直面での不要光の発生を、上述したUSP5,801,889の従来例で抑制することは不可能である。素子の製作に問題がなく、従来の構成が適用できるのは、図中bの方向から入射する場合であるが、図中bの光束が通常、結像に寄与することは稀である。
同様のことが、特開平2002−71925の構成についてもいえる。前述したように、格子垂直面に入射した不要光を良好に抑制できる入射光束の範囲は狭く、図27に示した曲面上に形成された回折光学素子のように、光軸に対する格子垂直面の傾き角が大きく変化する構成には適していない。
また、この不要光の発生は、上述した1種類の回折格子から構成される回折光学素子だけでなく、特開平11−44810で本発明者が提案している積層構造の回折光学素子にも当てはまる。積層構造の回折光学素子は、回折格子の数も2種類以上に増え、回折格子の格子高さも高くなる傾向にあるので、不要光の発生はより多く、問題が発生しやすい。
本発明は、上記問題を鑑み、格子垂直面に入射光が到達するような光学系で、且つ入射光が、垂直面で反射せずに透過するような光学系においても、格子垂直面での不要光が、像性能を低下させにくい回折光学素子を提供することを目的とする。
さらに、製造上からも型での成形など量産性の良い製造方式を使用できるような回折光学素子の構成を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本出願にかかる第1の発明は、格子面と格子垂直面から構成され、使用波長領域全域で特定次数(設計次数)に回折するブレーズ型の回折格子を、レンズとして作用するように同心円状の周期構造とした回折光学素子に於いて、前記回折光学素子の格子垂直面は、蹴上げ部と踏面で構成される階段状の段差部を有し、且つ、光軸から数えてk番目の回折格子の格子先端を連ねた包絡面の各格子先端位置における面法線と格子面がなす角度をα(k)、前記蹴上げ部と格子面がなす角度をβ(k)、前記段差部の先端を連ねた包絡面と格子面がなす角度をγ(k)としたとき、
α(k)>β(k) …(1)
γ(k)>β(k) …(2)
を満足することを特徴としている。
さらに、前記格子垂直面に於いて、
β(k)−α(k)<−5° …(3)
γ(k)−α(k)>−5° …(4)
が成り立つことを特徴としている。
さらに、前記回折光学素子に於いて、光軸から数えてk番目の回折格子の格子先端を連ねた包絡面の各格子先端位置における面法線が光軸となす角をθ(k)としたとき、
θ(k)>α(k)−β(k) …(5)
が成り立つことを特徴としている。
さらに、前記段差部の踏面の幅Dgは、0.2μm未満であることを特徴としている。
さらに、前記段差部の段数は、格子部で異なることを特徴とし、各格子垂直部におけるγ(k)−β(k)の値に応じて変化させることを特徴としている。
さらに前記回折格子の格子先端を連ねた包絡面が曲面で且つ凹面の場合、前記垂直面に段差部を有する回折光学素子は、包絡面の曲面成分を除いた格子成分だけで、凹レンズとして作用することを特徴としている。
或いは、前記回折格子の格子先端を連ねた包絡面が曲面で且つ凸面の場合、前記垂直面に段差部を有する回折光学素子は、包絡面の曲面成分を除いた格子成分だけで、凸レンズとして作用することを特徴としている。
或いは、前記段差部を有する回折光学素子は、2種類の異なる材料の境界に回折格子が形成されている構成を有することを特徴としている。
このような構成にすることで格子垂直面に光束が入射する場合でも、不要光が像性能を低下させにくい回折光学素子を提供でき、光学系に組み込んだ場合、フレア等を有効に抑制できる光学系が得られる。
以上説明したように、格子垂直面に光束が比較的大きな角度で入射するような光学系の構成においても、不要光の発生を抑制された回折光学素子を提供できる。
(第1の実施例)
以下に本発明に係る実施例を説明する。図1は本実施例を用いた回折光学素子の正面図及び側面図である。回折光学素子1は基板2の片側の面に回折格子部3が形成されている。そして、回折格子部3が形成されている基板2の面は、曲面(図では凸面)となっている。回折格子部3は光軸Oを中心とした同心円状の回折格子形状からなり、レンズ作用を有している。
図2は図1の回折光学素子を図中A−A'断面で切断した断面形状の一部である。図2は格子深さ方向にかなりデフォルメされた図となっている。また、解りやすくするために格子数も実際よりは少なく描かれている。回折格子部3は、格子面4と格子垂直面5から構成されるブレーズ構造の回折格子からなり、光軸Oから外周部にいくに従って格子ピッチpLを徐々に変化させることで、レンズ作用を有する。また、ブレーズ構造にすることで、回折光学素子1に入射した入射光は、回折格子で回折せずに透過する0次回折方向に対し、特定の回折次数(図では1次)方向に集中して回折する。また、回折格子部3の格子先端部を連ねた包絡面8は、曲面からなり、基板2の格子形成側の曲率半径とほぼ等しい曲率半径の曲面である。厳密には、基板の曲率中心と包絡面8の曲率中心が一致する曲率半径となっている。一方、格子溝部を連ねた包絡面9は、後述するが、中心から数えてk番めでの格子高さd(k)が、回折格子毎に変化する場合は、非球面の曲面となる。
そして、本発明の実施例において、格子垂直面5は、蹴上げ部6と踏面7から構成される階段状の段差部からなることを特徴とする。さらに、格子先端部を連ねた包絡面8と中心から数えてk番目の格子先端部との交点での包絡面8の面法線に対して、蹴上げ部6の角度の範囲と、踏面7の幅に特徴を有している。
図3に段差部を拡大した図を示し、本実施例の構成について詳細に説明していく。k番目の格子垂直面近傍の微小領域では、回折格子部3の格子先端部を連ねた包絡面8は、光軸と直交する面に対してθ(k)だけ傾いた平面と見なすことができる。次に、k番目の格子先端部との交点での包絡面8の面法線と、格子面4のなす角をα(k)とする。また、前記蹴上げ部6と格子面4がなす角度をβ(k)、k番目の段差部の先端を連ねた包絡面10と、格子面がなす角度をγ(k)とする。さらに、図3のように、4つの蹴上げ部と、3つの踏面を有する階段形状を4段の段差部と呼ぶことにする。
本発明の実施例としての第1の特徴は、α(k)>β(k)となるように蹴上げ部の角度を決定することである。そして第2の特徴は、γ(k)>β(k)となるように、段差部の先端を連ねた包絡面10と、格子面がなす角度を決定することである。格子垂直面での不要光を抑制するために必要な条件については、後述で説明することとし、まずは、製法に関しての構成について説明する。
第1の特徴であるβ(k)は、前述したような型からの離型を考えたとき、離型性が悪化し、格子変形を生じさせる方向である。しかし、本発明のように、階段状の格子垂直面とすることで離型性は、大幅に改善できる。図29に、比較として階段形状がなく、格子垂直面と格子面のなす角度がβ(k)の格子を考える。前述したように、素子が包絡面8の面法線方向に離型されるとすると、図中斜線の範囲が離型時に型と干渉し、変形を生じさせることになる。一方、本発明の段差部からなる格子垂直面を考えた場合、図4に示したように、離型時に型と干渉する領域は、大幅に減少できる。ここで、回折光学素子の回折格子部3を完全に硬化させる前に離型させると、若干、材料に弾性が残り、わずかな干渉領域では、格子変形を生じさせることなく、離型させることが可能である。
図30に、γ(k)<β(k)となる階段形状を示す。図4に比べて、干渉領域が増加し、従来の階段形状がない構成と優位性がなくなっていることがわかる。従って、干渉領域を減少させ、変形させずに離型するためには、γ(k)>β(k)とすることが、必要となる。作図からわかるように、γ(k)−α(k)を正になるようにすると、さらに干渉領域が減少し、離型には有利である。ただし、γ(k)−α(k)を大きくとりすぎると、設計次数の回折効率が低下してくるので、10°以下に設定することが、効率の低下を抑制しつつ、離型性を改善するのに適している。
同様に、踏面7の幅を狭くし、階段の段数を増やすことでも、干渉領域は減少することができる。
踏面の幅を狭くする方向は、従来例で踏面を利用して不要光を反射させたり、成形の変形を抑制させたりする構成では逆効果となる方向であり、本実施例の特徴である。踏面7の幅は、離型性を考えると0.2μm以下であることが好ましい。一方、型の形状加工性を考えると、数10nm以上確保されることが好ましい。
また、離型性を考えると、蹴上げ部と踏面がなす角度は90°以上とするのが好ましい。
さらに、離型性以前に型を作成する上で、格子先端を連ねた包絡面の各格子先端位置における面法線が光軸となす角をθ(k)としたとき、θ(k) >α(k) -β(k)が成り立つことが、重要である。
これは、型作成において、型を回転させながら、バイト刃先を半径方向に移動させるという簡単な方法で同心円状の回折光学素子用の型が形成できるためである。
続いて、本発明の構成での不要光の発生について説明する前に、図2に示した階段形状の段差部がある場合の、格子面4の形状、つまり格子高さd(k)の決定の方法について説明をおこなう。
一番簡単な例として、図2の素子に、包絡面8に垂直な方向から波長λの光束が入射する場合を考える。入射側の媒質を空気とし、格子部の材料をn1(λ)としたとき、波長λの光束が、m次回折光で最大の回折光を得るためには、以下の式を満足するように格子高さdを決定すれば良い。
{n1(λ)−1}d=mλ (7)
格子高さ以外は、既知の値であるので、格子高さは一意的に決定することができる。
図5に、実際の格子高さd(k)の決定方法を示す。図5(a)は、格子垂直面が、包絡面8の垂線と一致する、段差部がないときの格子形状を示している。この場合の格子高さdaは、(7)式で求められたdとすれば良い(da=d)。一般的に、回折格子の格子高さは、格子周期方向に垂直な方向の格子先端と格子溝の高さで定義される。これは、図2で格子先端の包絡面8の法線方向に測った高さと同一である。図5(b)は、γ(k)-α(k)>0のときの格子形状を示している。ここで、格子面4は、図5(a)で、決定された形状と同じである。同形状にすることで、格子面を通過する光束は、前記入射条件で最適な回折光が得られるように伝播される。次に、段差部の先端を連ねた包絡面10を仮に設定し、溝側の格子面の交点Bを求める。その後、包絡面に接する形で、実際の階段形状を形成させればよい。従って、包絡面10の角度や、蹴上げ面6の角度、階段の段数などで、見かけの格子高さd(k)は変わることになる。そのため、格子溝部を連ねた包絡面9は、球面や平面にはならず、非球面形状となる。
次に、図2に示したように、包絡面8が曲面となる回折格子部3に任意の入射角ξで入射した光束を考える。m次回折光で最大の回折光を得るためには、(7)式は、
{n1(λ)cosξ’m−cosξ}d=mλ (8)
となる。ここで、ξ’mは、m次回折光の回折角である。なお、このときの、入射角、回折角の角度は、格子先端を連ねた包絡面8の面法線と、入射光、回折光のなす角度である。
この場合も、前述のように、各格子面4を最適な回折光が得られるように決定し、その後、垂直面の形状を最適化し、格子高さd(k)を決めていく手順を取ればよい。
続いて、本発明の垂直面形状による、不要光の発生を抑制する考え方について説明をおこなう。そして、前述の製法の観点に加え、不要光抑制の観点から、段差部の形状決定方法について説明を行なう。本発明の実施例では、垂直面を透過する光束が、不要光として振る舞う場合を対象としている。さらに、本発明の実施形態により、不要光の発生を抑制するのに特に効果があるのは、図6に示すように、入射角ω0より透過屈折角ω1が大きくなるな関係で、格子垂直面5に光束が入射する場合である。ここで、入射角、透過屈折角は、格子垂直面の面法線と、入射光、透過光のなす角である。格子面を形成する入射側の材質をn1(λ)、射出側の材質をn2(λ)とすると、上記関係はn1(λ)>n2(λ)であるときに成立する。このとき、入射光、透過光の関係は、スネルの法則で考えて差し障りがない。図7、図8に2つの格子形状における入射角ω0と透過屈折角ω1の関係を示す。図7は、入射側に媒質があり、射出側が空気である構成である。入射側の材質に大日本インキ化学工業(株)製の紫外線硬化樹脂RC−C001(nd=1.524、νd=50.8)を用いたときのグラフであり、実線がd線の波長における関係、点線がg線の波長における関係を表わしている。入射光が臨界角を超えて入射するまで透過光は存在し、透過屈折角ω1は0°から90°の全範囲に存在可能である。ただし、d線とg線の波長における透過屈折光の振る舞いに大きな差はない。図8は、入射側と射出側が異なる媒質の境界に格子面が形成されている構成である。図8は、入射側の材質に紫外線硬化樹脂(nd=1.636、νd=22.8)、射出側の材質に大日本インキ化学工業(株)製の紫外線硬化樹脂RC−C001(nd=1.524、νd=50.8)を用いたときのグラフであり、図7同様に実線がd線の波長における関係、点線がg線の波長における関係を表わしている。この場合、図7の構成に比べて格子面を構成する材料の屈折率差が小さいので、入射角ω0が0°から70°とかなり広い範囲で透過屈折光が発生する。また、d線とg線の臨界角がそれぞれ、68.74°、66.56°と約2°異なっている。従って、67°の入射角で入射した光束は、d線の波長は透過し、g線の波長は全反射するので、透過屈折光は、色づいた光束となる。
以下、本発明の実施例の効果を説明するのに、従来例との差が顕著となるように、媒質の境界に格子面を有する格子部をもつ回折光学素子を用いた光学系を例に説明をおこなう。
図9に、上記回折光学素子21を示す。回折光学素子21は第1の回折光学素子22と第2の回折光学素子23が近接した構成となっている。そして、近接した境界面に格子部が形成されている。図中A−A’線で切断した断面形状を図10に示す。基板24の曲面(図では凹面)上に形成され、凸の回折レンズとして作用する第1の回折格子部26を有する第1の回折光学素子22と、基板25の曲面(図では凸面)上に形成され、凹の回折レンズとして作用する第2の回折格子部27を有する第2の回折光学素子23が、空気層28を介して近接した構成となっている。第2の回折格子部27は、基板25の表面側に凸の回折レンズとして作用する回折格子29と、その上に凹の回折レンズとして作用する回折格子30が、格子面32で貼り合わされた構成である。回折格子30の格子面と反対の面33は格子が形成されていない曲面で、基板25の格子を形成する側の曲面と実効的に等しい曲率を有している。上記、回折格子部27が、格子垂直面35に階段状の段差部を有する回折格子部である。そしてこれらの回折格子部26、27を合成して、一つの回折光学素子として作用することを特徴としている。
図10の素子において、m次回折光で最大の回折光を得るための格子高さについて簡単に説明する。簡単な例として、第1の回折光学素子22に形成された格子部26の格子溝側の包絡面38に垂直な方向から波長λの光束が入射する場合の最適な格子高さについて説明する。入射側の媒質から順に、図11に示したようにn1(λ)、n2(λ)、n4(λ)、n3(λ)としたとき、波長λ1、λ2の光束が、m次回折光で最大の回折光を得るためには、以下の式を満足するように格子高さd1とd2の組を決定すれば良い。
{n1(λ1)−n2(λ1)}d1+{n3(λ1)−n4(λ1)}d2=mλ1 (9)
{n1(λ2)−n2(λ2)}d1+{n3(λ2)−n4(λ2)}d2=mλ (10)
格子高さ以外は、既知の値であるので、格子高さは一意的に決定することができる。任意の入射角の光束に対する最適な格子高さの決定法については、格子高さの決定法が本発明の主旨ではないので、説明を省略する。
上記回折光学素子に、光束が入射したときの、各格子垂直面34、35での不要光の振る舞いについて説明する。図11に格子部を拡大した模式図を示す。k番目の格子部は、微少領域における包絡面38の面法線方向にθ(k)だけ傾いた格子で構成されていると考えられる。まず、図中Aで示した第1の回折格子部の格子垂直面34へ入射する光束の振る舞いを調べる。第1の回折格子部は、材質n1(λ)と空気により形成されている。図中Aの方向から垂直面に到達する光束は、一旦格子面31を射出した後に、格子垂直面34に到達する。そのため、空気から媒質への透過となり、図に示したように、光軸に対して大きな角度を有して射出されるため、一般的な光学系では問題とならない。次に、図中Bで示した第2の回折格子部の格子垂直面35へ入射する光束の振る舞いを説明する。図中Bの光束は、第1の回折格子部を通過後、曲面33で屈折し、格子垂直面35へ入射する。回折格子30内を伝播する光束の光軸とのなす角度をωiとする。垂直面35の蹴上げ部36へ入射する入射角ω0は、以下のようになる。
ω0(度)=90−ωi−δ+α(k)−β(k) (11)
垂直面を透過屈折した光の屈折角をω1としたとき、この光束が、光軸となす角度ωeは、
ωe(度)=90−ω1−δ+α(k)−β(k) (12)
となる。ω0とω1の関係は、スネルの法則により計算されるので、入射角ωiと、ωeの関係は、各格子垂直面で一意的に決定できる。
図12、図13に入射光ωiと透過屈折角ωeの関係を表わす。第2の格子部27を形成する材質は図8と同じとし、包絡面38の傾き角を図12はθ(k)=5°図13はθ(k)=15°とする。また、各グラフ中点線(1)は、波長d線の光束に対して、垂直面35の蹴上げ部の角度β(k)−α(k)が−10°の場合を実線(2)は、従来例の包絡面38の法線方向に垂直面が形成された場合(または、β(k)−α(k)=0°)を表わしている。グラフの符号は、図11の入射光束の向きが正、透過屈折光の向きが負となる。格子垂直面が、包絡面38の面法線に平行なβ(k)−α(k)=0°のグラフ(図中実線)を見ると、θ(k)=5°の構成では、殆どの入射角で臨界角を越えた入射となるため、透過屈折光は存在していない。θ(k)=15°では、入射角が約6°以下は、臨界角を越えた入射となるため、透過屈折光は存在していないが、入射角6〜11°付近で透過屈折角ωeが負となっていることがわかる。それに対しβ(k)−α(k)=−10°のグラフ(図中点線)は、θ(k)=5°の構成では、入射角ωiが0°から20°の範囲で透過屈折光が存在せず、蹴上げ部36で全反射している。θ(k)=15°では、入射角が16°以上の範囲でのみ、透過屈折光が存在しており、発生範囲が大幅に狭くなっていることがわかる。また、β(k)−α(k)=−10°では、屈折角ωeが負となる入射角ωiがβ(k)−α(k)=0°に比べ、高入射角側へシフトしていることがわかる。
続いて、実際の光学系へ、上記回折光学素子を適用した場合の不要光について説明する。
最初に、従来のβ(k)−α(k)=0°の回折光学素子を適用した場合の、不要光について簡単に説明し、その後、本実施例の回折光学素子21についての説明をおこなう。
図31に、従来例の垂直面の透過屈折光の振る舞いを、図32に、結像光学系の概念図を示す。光軸に対して入射角ωで入射した光束は、回折光学素子21の前側に配置された屈折レンズ(図示せず)を通過し、第1の回折光学素子22の基板および格子面31を通過後、回折格子30の格子面と反対の曲面33で屈折し、垂直面35にωiで入射する。格子垂直面35で透過屈折した光束は、屈折角ωeで回折格子29に射出し、第2の回折光学素子23の基板を通過後、絞り42の前後に配置された屈折レンズ(図示せず)を介して、結像面43に到達する。
図32中にm番目とn番目の2箇所の格子垂直面から透過屈折した不要光を示す。図からわかるように、不要光が、絞り42を通過し、結像面43に到達するのは、屈折角ωeが負となる方向である。また、外周部の格子ほど、負の値が大きくならないと不要光として結像面43には到達しないことが図から見て取れる。さらに、図8で説明したように、格子垂直面を透過する光は波長により屈折角が異なり、短波長ほど屈折角が大きくなるので、ひとつの格子垂直面からの不要光は、波長毎に結像面上での到達位置が異なる。図32では、下線側が短波長となる。つまり、m番目の格子垂直面からの不要光は、上線の波長λm,2より、下線の波長λm,1のほうが短波長となる。
図14に、本実施例の不要光について説明する。格子垂直面35に入射した光束の殆どは、蹴上げ部に到達する。本発明における蹴上げ部は、α(k)>β(k)となるように決定されている。そのため、従来例に比べて、格子垂直面(または蹴上げ部)と、格子面のなす角度が鋭角になっている。従って、図13に示したように、同じ入射角では、射出する屈折角ωeは負の方向にシフトしている。屈折角ωeは負の方向にシフトすることは、絞りを通過し、不要光が発生する方向なので好ましくはない。しかし、図12においては、透過屈折光自体が発生していないことから、包絡面38の傾き角θ(k)が小さな光軸近傍の回折格子部の格子垂直面に入射した光束は、透過屈折光による不要光は発生しない。透過屈折光が発生しない場合の、格子垂直面での反射光について簡単に補足する。図11中のRωの光束が反射光を表わしているが、光軸に対して、かなり大きな角度で射出していることがわかる。図14中では、λm,1、λm,2が反射光に対応している。図から明らかに、結像面43には到達しない光束である。
続いて、図13は、包絡面38の傾き角θ(k)が15°の場合のグラフなので、外周付近の回折格子部の格子垂直面での透過屈折光の振る舞いを表わしている。本発明の実施例のほうが、大きな入射角の光束に対して、負の透過屈折角ωeが発生している。しかしωeの値は、従来例が−15°まで存在していたのに対し、−5°までの範囲しか存在していない。図14の概念図から、外周の回折格子部からの不要光は、比較的大きな負の射出屈折角ωeで射出しないと、絞りを通過し、結像面に到達する不要光とはならない。
以上説明したように、格子面と蹴上げ面のなす角度β(k)を、包絡面の各格子先端位置における面法線と格子面がなす角度α(k)より、鋭角となるような構成にすることで、格子垂直面で発生する不要光は大幅に抑制できる。角度β(k)は、格子垂直面に入射する光束の条件などで決定すればよいが、β(k)−α(k)<−5°の角度で抑制効果が顕著な格子垂直面に本発明の段差部を適用することが好ましい。
本発明の階段状の段差部について、形状決定方法を再度まとめる。まず、蹴上げ部の角度β(k)が、不要光の低減を目的に決定される。その後、形状の離型性を考えて、段差部の先端を連ねた包絡面の角度γ(k)を決定し、型の加工性と、干渉領域の低減の観点から、階段形状の段数を決定する。このように、段差部の形状を決定することで、格子垂直面に入射した光束が、不要光として像性能を悪化させることなく、また離型などの量産性も確保した形状を提供することができる。
図15に、特定の光学系へ、本発明実施例1の回折光学素子を適用した場合の、結像面43へ不要光が到達する格子番号を数えた表を示す。格子形状は図10に示した形状で、総輪帯数は50である。全ての輪帯に於いてβ(k)−α(k)=−10°、段差は4段、γ(k)−α(k)=3°としている。格子垂直面を通過する光束には、一般のスネルの法則を適用し、それ以外の面には、通常屈折面、回折面に用いられる光線追跡の手法を適用した。光学系へ一様な入射角度ωをもつ光束が入射した場合を計算し、格子垂直面へ入射した光束が、光学系を介して結像面へ到達した場合を到達垂直面と数え、全格子垂直面に対して計算を行なった。計算波長は、可視域の400nmから700nmの波長であり、いずれかの波長の光束が、結像面へ到達した場合を、到達垂直面として数えている。例えば、実施例1の入射角ω=12.5°の光束では、第37輪帯目の格子垂直面から第50輪帯までの格子垂直面の光束が、結像面へ到達していることを表わし、到達垂直面の数は14である。表から明らかであるが、いずれの入射角でも実施例の回折光学素子21を用いた光学系のほうが、不要光が結像面へ到達する格子垂直面の数は大幅に低減されていることがわかる。
上述した本発明の回折光学素子は、格子面へ入射する光束が、包絡面の法線方向から一方向に偏っているとき、つまり格子垂直面に面と平行でない方向から光束が入射する光学系で、効果が顕著となる。そのため、光学系へ本発明の回折光学素子を適用する際、最適な面を選定する必要がある。例えば、適用する光学系の焦点距離の1/2以下の曲率半径を持った面などへ回折光学素子が形成される場合に本発明の構成を適用すると効果的で好ましい。
以上の説明は、基準曲面が球面となる回折光学素子について行ったが、基準曲面が非球面や、シリンドリカル面、トーリック面など任意の面に適用できることははいうまでもない。
(第2の実施例)
上記、実施例では、格子垂直面に入射した光束のうち、不要光として主に影響する蹴上げ部について説明した。一方、踏面7については、製法の観点からしか、形状は決めていなかった。実際は、一部の光束は、踏面に入射することになる。従って、踏面7の形状は、図16に示すように、格子面4と概平行となるように設定すると、蹴上げ部と踏面の角度は若干鋭角にはなり、離型性は不利になるが、踏面7に入射した光束は、設計回折次数の方向に伝播し、さらに不要光は抑制される。
(第3の実施例)
図17に示すように、基板24の曲面(図では凹面)上に形成され、凹の回折レンズとして作用する第1の回折格子部26を有する第1の回折光学素子22と、基板25の曲面(図では凸面)上に形成され、凸の回折レンズとして作用する第2の回折格子部27を有する第2の回折光学素子23が、空気層28を介して近接した構成となる積層構造の回折光学素子にも適用できる。この構成では、格子部26、27の両方の格子部に対して格子垂直面を変化させることが可能である。この構成では、第1の回折格子部と、第2の回折格子部で、不要光が発生する入射角度の方向が異なっている。そのため、各々の回折格子部で不要光が抑制できるように、独立に格子垂直面の傾き角を最適化しても良いし、どちらか、一方だけ(図17は第2の回折格子部だけ)に本発明を実施しても良い。
(第4の実施例)
第1の実施例で説明した回折光学素子は、全回折格子部の格子垂直面に4段の階段形状が形成されていた。しかし、形状は、各格子垂直面で、最適な形状とすれば良い。例えば、一部の格子垂直面にだけ、本発明の段差部を設けても良い。あるいは、格子部毎にγ(k)−β(k)の値に応じて、蹴上げ部の角度、段数などを変えても良い。このようにすると、格子垂直面毎に、最適に不要光を抑制できるので、全体の回折光学素子としても、良好に不要光を抑制することができる。
(第5の実施例)
前記回折光学素子は基板と回折格子面を形成する材料が異なっていたがこれに限定するものではなく、格子面を形成する材料を基板と同じ材料で構成し基板と一体で製造してもよい。このような構成にすることで、基板外径と格子中心の位置が精度良くあわせられる。或いは基板がレンズ形状を有する場合は、基板レンズの芯と格子中心を良好に合せることが可能になる。従って、本発明の回折光学素子を他のレンズに組込む際の光軸合せ精度が向上し、素子が偏心することによって生じる結像性能等の収差の劣化は大幅に低減できる。
(第6の実施例)
本発明にかかる第7の実施例を図18に示す。図18はカメラ等の撮影光学系の断面を示したものであり、同図中101は撮影レンズで、内部に42の絞りと本発明の回折光学素子21を持つ。43は結像面であるフィルムまたはCCDである。
本発明の回折光学素子構造にすることで、格子垂直面に光束が入射した場合でも、不要光の発生が大幅に改善されているので、フレアが少なく解像力も高い高性能な撮影レンズが得られる。また本発明の回折光学素子は、簡単な製法で作成できるので、撮影光学系としては量産性に優れた安価な光学系を提供できる。
図18では前玉のレンズの貼り合せ面に本発明の回折光学素子を設けたが、これに限定するものではなく、レンズ表面に設けても良いし、撮影レンズ内に複数、本発明の回折光学素子を使用しても良い。
また、本実施例では、カメラの撮影レンズの場合を示したが、これに限定するものではなく、ビデオカメラの撮影レンズ、事務機のイメージスキャナーや、デジタル複写機のリーダーレンズなど広波長域で使用される結像光学系に使用しても同様の効果が得られる。
(第7の実施例)
本発明にかかる第8の実施例を図19に示す。図19は、双眼鏡等観察光学系の断面を示したものであり、同図中21は回折光学素子である対物レンズ、104は像を正立させるためのプリズム、105は接眼レンズ、106は評価面(瞳面)である。回折光学素子21は対物レンズの結像面43での色収差等を補正する目的で形成されている。
本発明の回折光学素子構造にすることで、格子垂直面に光束が入射した場合でも、不要光の発生が大幅に改善されているので、フレアが少なく解像力も高い高性能な対物レンズが得られる。また本発明の回折光学素子は、簡単な製法で作成できるので、観察光学系としては量産性に優れた安価な光学系を提供できる。
本実施例では、対物レンズ部に回折光学素子を形成した場合を示したが、これに限定するものではなく、プリズム表面や接眼レンズ内の位置であっても同様の効果が得られる。しかしながら、結像面より物体側に設けることで対物レンズのみでの色収差低減効果があるため、肉眼の観察系の場合すくなくとも対物レンズ側に設けることが望ましい。
また本実施例では、双眼鏡の場合を示したが、これに限定するものではなく地上望遠鏡や天体観測用望遠鏡などであってもよく、またレンズシャッターカメラやビデオカメラなどの光学式のファインダーであっても同様の効果が得られる。
実施例1の回折光学レンズ 実施例1の断面回折格子形状 実施例1の格子垂直面の模式図 実施例1での格子垂直面の型との離型時の干渉領域 実施例1の回折光学素子における格子高さの模式図 実施例1における格子垂直面の不要光の模式図 媒質と空気の境界での入射角と屈折角の関係を示すグラフ 異なる媒質の境界での入射角と屈折角の関係を示すグラフ 実施例1における他の構成の回折光学レンズ 実施例1における他の構成の断面回折格子形状 実施例1における他の構成の回折光学素子での不要光の模式図 光軸方向に測った入射角と不要光の関係を示すグラフ 光軸方向に測った入射角と不要光の関係を示すグラフ 実施例1の光学系における不要光の光線の概念図 実施例1の光学系における不要光の低減の比較表 実施例2の光学系における格子垂直面の形状 実施例3の構成の断面回折格子形状 実施例6の撮影光学系 実施例7の観察光学系 従来の回折光学素子 従来の回折光学素子 従来の回折光学素子 従来の回折光学素子 従来の回折光学素子 型からの素子の離型を説明する図 格子面の離型による変形の模式図 曲面上に形成された従来の回折光学素子 曲面上に形成された回折光学素子の離型概念図 従来例での格子垂直面の型との離型時の干渉領域 他の構成での格子垂直面の型との離型時の干渉領域 従来構成の回折光学素子での不要光の模式図 従来構成の回折光学素子を用いた光学系における不要光の光線の概念図
符号の説明
1,21 回折光学素子
2,24,25 基板
3 格子部
4 格子面
5,34,35 格子垂直面
6,36 蹴上げ部
7,37 踏面
8 格子先端の包絡面
9 格子溝の包絡面
10 段差先端の包絡面
11 成形用型
22 第1の回折光学素子
23 第2の回折光学素子
26 第1の回折格子部
27 第2の回折格子部
28 空気層
29,30 回折格子
31 第1の回折格子面
32 第2の回折格子面
33 曲面
38 第1の格子溝の包絡面
39 第1の格子先端の包絡面
40 第2の格子先端の包絡面
41 第2の格子溝の包絡面
42,102 絞り
43,103 結像面
101 撮影レンズ
104 プリズム
105 接眼レンズ
106 評価面(瞳面)

Claims (19)

  1. 格子面と格子垂直面から構成され、使用波長領域全域で特定次数(設計次数)に回折するブレーズ型の回折格子を、レンズとして作用するように同心円状の周期構造とした回折光学素子に於いて、前記回折光学素子の格子垂直面は、蹴上げ部と踏面で構成される階段状の段差部を有し、且つ、光軸から数えてk番目の回折格子の格子先端を連ねた包絡面の各格子先端位置における面法線と格子面がなす角度をα(k)、前記蹴上げ部と格子面がなす角度をβ(k)、前記段差部の先端を連ねた包絡面と格子面がなす角度をγ(k)としたとき、
    α(k)>β(k) …(1)
    γ(k)>β(k) …(2)
    を満足することを特徴とする回折光学素子。
  2. 少なくとも2種類の分散の異なる材質からなる回折格子を2つ以上近接させて重ね合わされた積層格子構造を持ち、使用波長領域で、設計波長(積層格子での光学光路長差が波長の整数倍となる波長)を少なくとも2つ以上有する回折光学素子に於いて、前記回折光学素子は、格子面と格子垂直面から構成されるブレーズ型の回折格子を、レンズとして作用するように同心円状の周期構造とし、前記回折光学素子の少なくとも1つの格子垂直面は、蹴上げ部と踏面で構成される階段状の段差部を有し、且つ、光軸から数えてk番目の回折格子の格子先端を連ねた包絡面の各格子先端位置における面法線と格子面がなす角度をα(k)、前記蹴上げ部と格子面がなす角度をβ(k)、前記段差部の先端を連ねた包絡面と、格子面がなす角度をγ(k)としたとき、
    α(k)>β(k) …(1)
    γ(k)>β(k) …(2)
    を満足することを特徴とする回折光学素子。
  3. 前記格子垂直面に於いて、
    β(k)−α(k)<−5° …(3)
    が成り立つことを特徴とする請求項1乃至2項記載の回折光学素子。
  4. 前記格子垂直面に於いて、
    γ(k)−α(k)>−5° …(4)
    が成り立つことを特徴とする請求項1乃至2項記載の回折光学素子。
  5. 前記回折光学素子に於いて、光軸から数えてk番目の回折格子の格子先端を連ねた包絡面の各格子先端位置における面法線が光軸となす角をθ(k)としたとき、
    θ(k)>α(k)−β(k) …(5)
    が成り立つことを特徴とする請求項1乃至2項記載の回折光学素子。
  6. 前記段差部の踏面の幅Dgは、0.2μm未満であることを特徴とする請求項1乃至2項記載の回折光学素子。
  7. 前記段差部の段数は、格子部で異なることを特徴とする請求項1乃至2項記載の回折光学素子。
  8. 前記段差部の段数は、各格子垂直部におけるγ(k)−β(k)の値に応じて変化させることを特徴とする請求項7項記載の回折光学素子。
  9. 前記回折格子の格子先端を連ねた包絡面が曲面で且つ凹面の場合、前記段差部を有する回折光学素子は、包絡面の曲面成分を除いた格子成分だけで、凹レンズとして作用することを特徴とする請求項1乃至2項記載の回折光学素子。
  10. 前記回折格子の格子先端を連ねた包絡面が曲面で且つ凸面の場合、前記段差部を有する回折光学素子は、包絡面の曲面成分を除いた格子成分だけで、凸レンズとして作用することを特徴とする請求項1乃至2項記載の回折光学素子。
  11. 前記段差部を有する回折光学素子は、2種類の異なる材料の境界に回折格子が形成されている構成を有することを特徴とする請求項1乃至2項記載の回折光学素子。
  12. 前記2種類の異なる材料は、入射側の材料の屈折率が高くなる構成であることを特徴とする請求項11記載の回折光学素子。
  13. 前記積層される回折格子の格子形状は格子の厚さの向きが異なる格子が少なくとも一つ以上含まれることを特徴とする請求項2記載の回折光学素子。
  14. 前記回折光学素子はレンズ作用を有する基板上に形成されることを特徴とする請求項1乃至13いずれかの回折光学素子。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項記載の回折光学素子を用いたことを特徴とする回折光学系。
  16. 前記光学系は、結像光学系であることを特徴とする請求項15項記載の光学系。
  17. 前記光学系は、観察光学系であることを特徴とする請求項15項記載の光学系。
  18. 前記光学系の光束が回折光学素子の各回折格子部へ入射する入射角の分布の重心は、前記包絡面の格子中点での面法線に対し、回折レンズの光軸よりに分布していることを特徴とする請求項14項記載の光学系。
  19. 前記回折光学素子の包絡面の曲率半径は、光学系の焦点距離の1/2以下であることを特徴とする請求項15項記載の結像光学系。
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