JP6929350B2 - 回折光学素子及びそれを有する光学系、撮像装置、レンズ装置 - Google Patents

回折光学素子及びそれを有する光学系、撮像装置、レンズ装置 Download PDF

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Description

本発明は、デジタルカメラ等の光学系に用いられる回折光学素子に関する。
鋸刃状の回折格子(ブレーズ格子)を備える回折光学素子において、格子壁面に膜を設けて導波路を形成することで、回折効率が向上することが知られている。
特許文献1には、導波路を有する回折光学素子が記載されている。
また、格子壁面に膜を設ける際、格子面にも膜を設けるように構成することで、容易かつ安価に導波路を有する回折光学素子が得られることが記載されている。
特開2011−257689号公報
しかしながら、格子面にも膜を設ける場合、回折光学素子の格子面における光の反射率が増大してしまうおそれがある。
本発明の目的は、第1の回折格子と第2の回折格子の間に膜を有する回折光学素子において、格子面における反射率を低減することである。
本発明の回折光学素子は、複数の第1の格子壁面及び複数の第1の格子面を含む第1の回折格子と、複数の第2の格子壁面及び複数の第2の格子面を含む第2の回折格子と、前記複数の第1の格子壁面及び前記複数の第2の格子壁面に接する複数の第1の膜と、前記複数の第1の格子面及び前記複数の第2の格子面に接する複数の第2の膜とを有し、前記複数の第1の膜の波長550nmに対する屈折率の平均値をnha、前記複数の第2の膜の波長550nmに対する屈折率の平均値をnsa、前記第1の回折格子の波長550nmに対する屈折率をn、前記第2の回折格子の波長550nmに対する屈折率をn 、前記複数の第1の膜の厚さの平均値をd ha 、前記複数の第2の膜の厚さの平均値をd sa とするとき、
<n<nha
sa<nha
0.1<d sa /d ha <0.9
なる条件式を満たすことを特徴とする。
本発明によれば、第1の回折格子と第2の回折格子の間に膜を有する回折光学素子において、格子面における反射率を低減することができる。
回折光学素子の概略図である。 回折光学素子の回折格子部の拡大図である。 実施例1における膜の屈折率の変化および厚さの変化を示す図である。 実施例1における式(9)の値を示す図である。 実施例1における式(17)の値を示す図である。 実施例1における式(7)の値を示す図である。 実施例1における反射率を示す図である。 実施例2における膜の屈折率の変化および厚さの変化を示す図である。 実施例2における式(9)の値を示す図である。 実施例2における式(17)の値を示す図である。 実施例2における式(7)の値を示す図である。 実施例2における反射率を示す図である。 実施例3における膜の屈折率の変化および厚さの変化を示す図である。 実施例3における式(9)の値を示す図である。 実施例3における式(17)の値を示す図である。 実施例3における式(7)の値を示す図である。 実施例3における反射率を示す図である。 実施例4における光学系の概略図である。 実施例5における光学系の概略図である。 実施例6における撮像装置の概略図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1(a)、(b)の各図は、本実施例の回折光学素子(以下、DOEと称する)10を示す概略図である。図1(a)に示すように、本実施例のDOE10は円形の形状を有する。
また、図1(a)において、点線で示した同心円は、後述する第1の回折格子の形状を模式的に表したものである。
図1(b)は、DOE10の断面図である。図1(b)に示すように、DOE10は、第1の基板1と第2の基板2を有し、第1の基板1と第2の基板2の間には回折格子部3が設けられている。ここで、図1(b)に示したOは、DOE10の中心軸を表している。DOE10を撮像装置等の光学系に用いる場合、DOE10は中心軸Oと光学系の光軸が一致するように配置される。
回折格子部3の拡大図を図2に示す。
なお、図2は回折格子部3の模式図であり、実際の寸法とは異なる。回折格子部3は、第1の回折格子4と、第2の回折格子5と、膜6を有する。
第1の回折格子4は第1の基板1に設けられている。第1の回折格子4の波長550nmにおける屈折率はnである。
また、第1の回折格子4は、格子面4aと格子壁面4bを交互に有しており、鋸刃状の回折格子(ブレーズ構造)となっている。
ここで、格子面4aとは、鋸刃状の回折格子を構成する面のうち面法線と中心軸Oが成す角度が小さい方の面であり、格子壁面4bとは鋸刃状の回折格子を構成する面のうち面法線と中心軸Oが成す角度が大きい方の面である。
また、第2の回折格子5は第2の基板2に設けられている。第2の回折格子5の波長550nmにおける屈折率はnである。nはnよりも小さくなっている。
また、第2の回折格子5は、第1の回折格子4と同様に、格子面5aと格子壁面5bを交互に有しており、鋸刃状の回折格子(ブレーズ構造)となっている。
ここで、格子面5aとは、鋸刃状の回折格子を構成する面のうち面法線と中心軸Oが成す角度が小さい方の面であり、格子壁面5bとは鋸刃状の回折格子を構成する面のうち面法線と中心軸Oが成す角度が大きい方の面である。
図1(a)において点線で示した複数の円は、第1の回折格子4の格子面4aと格子壁面4bの境界を表したものである。図1(a)に示すように、第1の回折格子4は中心軸Oを中心とした同心円状の回折格子となっている。これは第2の回折格子5についても同様であり、第2の回折格子5は中心軸Oを中心とした同心円状の回折格子となっている。
また、第1の回折格子4の格子面4aと格子壁面4bの境界のうち、最も中心軸Oから離れている境界の半径はrmaxである。
図1(a)に示すように、第1の回折格子4および第2の回折格子5の格子ピッチを中心軸Oから離れるにつれて徐々に変化させることで、回折格子部3にレンズ作用(光の収斂作用や発散作用)を具備させることができる。
膜6は第1の回折格子4と第2の回折格子5の間に設けられている。本実施例において第1の回折格子4および第2の回折格子5は、共に膜6に密着するように構成されている。このとき、第1の回折格子4の谷部を結んだ包絡線と第2の回折格子5の谷部を結んだ包絡線の距離がDOE10の格子厚さdとなる。
以下の説明では、膜6において格子面4aと格子面5aの間に形成されている膜を膜6aと称する。また、膜6において格子壁面4bと格子壁面5bの間に形成されている膜を膜6bと称する。中心軸Oからrなる距離だけ離れた位置での波長550nmにおける膜6aの屈折率をn(r)とする。
また、中心軸Oからrなる距離だけ離れた位置での波長550nmにおける膜6bの屈折率をn(r)とする。
また、中心軸Oからrなる距離だけ離れた位置における膜6aの厚さをd(r)とする。膜6aの厚さとは格子面4aの面法線方向の厚みである。
また、中心軸Oからrなる距離だけ離れた位置における膜6bの厚さをd(r)とする。膜6bの厚さとは、格子壁面4bの面法線方向の厚みである。
なお、図2に示すように、DOE10において膜6aは格子面ごとに複数存在している。このため、n(r)およびd(r)は膜6aが存在するようなrに対して定義される離散的な値である。また、膜6bは格子壁面ごとに複数存在している。このため、n(r)およびd(r)は膜6bが存在するようなrに対して定義される離散的な値である。
DOE10において、第m次の回折光の回折効率が最大となる条件は次の式(1)で与えられる。
Φ(λ)=−(n(λ)−n(λ))×d=mλ (1)
Φ(λ)は回折格子部3によって生じる光路長差の最大値を表している。
またλは光の波長を表しており、n(λ)は第1の回折格子4の波長λにおける屈折率、n(λ)は第2の回折格子5の波長λにおける屈折率である。
式(1)におけるmは回折次数であり、任意の整数値をとる。式(1)では、第1の回折格子4から第2の回折格子5へ向かって中心軸Oに平行な光が入射したときに、中心軸Oに近づく方向に回折する場合の回折次数を正(m>0)とし、中心軸Oから離れる方向に回折する場合の回折次数を負(m<0)としている。
DOE10は、式(1)に基づいて特定の回折次数(例えばm=1)における回折効率を高めるように設計される。ただし、現実には格子壁面4bや5bの周辺を透過する光束の波面には位相の乱れが生じる。このため、この位相の乱れが無視できない程に大きくなると、実際の回折効率は式(1)の光路長差から見積もった回折効率よりも低くなってしまう。そこで、DOE10では以下の条件式(2)を満たすような膜6bを設けている。
<n<nha (2)
ここで、nhaは膜6bの波長550nmにおける屈折率n(r)をrに対して平均した値である。なお、nhaは格子面ごとに複数存在する膜6bの屈折率の和を格子面の数で除すことで得ることができる。
なお、格子面ごとに複数存在する膜6bの屈折率の和をとる際には、各膜6bの代表点における屈折率をn(r)の代表値として用いれば良い。
式(2)を満たすことにより、膜6bは導波路として機能する。格子壁面4bおよび格子壁面5b付近に入射した光束の一部は、膜6bの内部に閉じ込められて、膜6b内を伝播するようになる。これによって格子壁面4bや5bの周辺を透過する光束における位相の乱れを低減することができ、結果としてDOE10の回折効率を高めることができる。
このような膜6bを格子壁面4bと格子壁面5bの間に設ける場合、格子面4aと格子面5aの間にも膜が形成されることを許容することで、DOE10を容易に得ることができる。
しかしながら、格子面4aと格子面5aの間に屈折率の大きな膜が形成されると、DOE10の格子面における反射率が増大してしまい、フレアやゴーストが生じ得る。
そこで、DOE10の格子面における反射率を低減するために、膜6aは以下の条件式(3)と式(4)の少なくとも一方を満たすように設けられている。
sa<nha (3)
0<dsa<dha (4)
ここで、nsaは格子面ごとに複数存在する膜6aの屈折率の和を格子面の数で除した値である。dsaは格子面ごとに複数存在する膜6aの厚さの和を格子面の数で除した値である。dhaは格子壁面ごとに複数存在する膜6bの厚さの和を格子壁面の数で除した値である。
なお、格子面ごとに複数存在する膜6aの屈折率の和をとる際には、各膜6aの代表点における屈折率をn(r)の代表値として用いれば良い。格子面ごとに複数存在する膜6aの厚さの和をとる際には、各膜6aの代表点における屈折率をd(r)の代表値として用いれば良い。
また、格子壁面ごとに複数存在する膜6bの厚さの和をとる際には、各膜6bの代表点における屈折率をd(r)の代表値として用いれば良い。
式(3)について説明する。格子面4aと膜6aの界面における反射率は、第1の回折格子4と膜6aの屈折率の差が小さいほど小さくなる傾向がある。同様に、格子面5aと膜6aの界面における反射率は、第2の回折格子5と膜6aの屈折率の差が小さいほど小さくなる傾向がある。
したがって、式(3)を満足するように膜6aを設けることで、DOE10の格子面における反射率を低減することができる。ここで、DOE10の格子面における反射率とは、膜6aと格子面4aの界面における反射光と、膜6aと格子面5aの界面における反射光の干渉を考慮した正味の反射率を指す。
次に、式(4)について説明する。格子面における反射率の波長依存性は、膜6aの厚さが薄いほど小さくなる傾向がある。反対に、膜6aの厚さが厚くなると、一部の波長に対して格子面における反射率が大きくなってしまう。
したがって、式(4)を満足するように膜6aを設けることで、第1の回折格子4と第2の回折格子5の間に一様な厚さを有する膜を設ける場合と比較して、格子面における反射率の波長依存性を低減することができ、広い波長帯域で反射率を低くすることができる。
上述した式(3)および式(4)の少なくとも一方を満たしていれば、格子面における反射率を低減することができるが、式(3)と式(4)をともに満たすことが好ましい。
なお、DOE10が式(4)を満たしている場合、以下の条件式(5)を満たすことが好ましい。
0.1<dsa/dha<0.9 (5)
sa/dhaを式(5)の下限よりも大きくすることで、DOE10を製造する際に膜6aと膜6bの厚さの制御を容易に行うことができる。
したがって、DOE10を容易に製造することができる。
また、dsa/dhaを式(5)の上限よりも小さくすることで、格子面における反射率の波長依存性をより低減することができる。
なお、式(5)の範囲は好ましくは以下の式(5a)の範囲とすると良い。
0.3<dsa/dha<0.85 (5a)
また、DOE10の格子面における反射率をより低減するためには、以下の条件式(6)を満足することが好ましい。
(n+n−2n(r))<0.3 (6)
式(6)は、格子面ごとに存在する複数の膜6aのそれぞれについて、膜6aの屈折率と第1の回折格子4および第2の回折格子5の屈折率の差が小さいことを表している。式(6)の上限値を上回るほどに膜6aの屈折率と第1の回折格子4および第2の回折格子5の屈折率の差が大きくなると、DOE10の格子面における反射率を十分に低減することが困難となる。
このため、少なくとも一部のrにおいて式(6)を満たすことで、格子面における反射率をさらに低減させることができる。
なお、より好ましくはrの値に依らず式(6)を満足すると良い。
また、DOE10の格子面における反射率は、格子面4aと膜6aの界面で生じた反射光と、膜6aと格子面5aの界面で生じた反射光の干渉によって決まる。ゆえに、反射率は膜6aの厚さに依っても変化する。
したがって、厚さ格子面における反射率をより低減するためには、以下の条件式(7)を満足することが好ましい。
[sin{α×d(r)}×{n+n−2n(r)}]<0.2 (7)
ここで、d(r)はnm(ナノメートル)を単位とした値であり、αは0.016564nm−1である。厚さ
式(7)はより好ましくは式(7a)の範囲、さらに好ましくは式(7b)の範囲とすると良い。
[sin{α×d(r)}×{n+n−2n(r)}]<0.16 (7a)
[sin{α×d(r)}×{n+n−2n(r)}]<0.12 (7b)
さらに、膜6bにおける光の閉じ込め効果を高めつつ格子面における反射率をより低減するためには、以下の式(8)を満たすことが好ましい。
|(2nsa−n−n)/(nha−n)|<5 (8)
式(8)の分子は、膜6aの屈折率と第1の回折格子4および第2の回折格子5の屈折率の差であり、式(8)の分子の絶対値が小さいほど反射率は小さくなる傾向がある。
また、式(8)の分母は膜6bの屈折率と格子壁面4bの屈折率の差である。式(8)の分母の値をある程度大きくすることで光の閉じ込め効果を大きくすることができる。
したがって、式(8)を満たすことで膜6bにおける光の閉じ込め効果を高めつつ格子面における反射率をより低減することができる。
式(8)はより好ましくは以下の式(8a)の範囲とすると良い。
|(2nsa−n−n)/(nha−n)|<3 (8a)
また、膜6bの光の閉じ込め効果をさらに向上させて格子壁面4bおよび格子壁面5bにおいて生じる不要光をより低減するためには、好ましくは式(9)を、より好ましくは式(9a)を満たすと良い。
0.5≦d(r)/W≦2 (9)
0.75≦d(r)/W≦1.75 (9a)
式(9)におけるWは、TE偏光に関するカットオフ幅Wc,TEとTM偏光に関するカットオフ幅Wc,TMを用いて以下の式(10)で与えられる値である。
=(Wc,TE+Wc,TM)/2 (10)
ここで、Wc,TEおよびWc,TMについて説明する。上述のように第1の回折格子4、膜6b、第2の回折格子5は、式(2)を満たしている。このとき、格子壁面に着目すると、第1の回折格子4と膜6bと第2の回折格子5は、非対称な3層平板導波路を構成しているとみることができる。
一般に、導波層(導波路として機能する層)の屈折率をn、クラッド層(導波層を挟みこんでいる層)の屈折率をnc1、nc2としたとき、非対称な3層平板導波路の固有値方程式は以下の式(11)及び(12)で与えられることが知られている。ただし、n>nc1>nc2である。なお、式(11)はTEモード、式(12)はTMモードに対応している。
Figure 0006929350
Figure 0006929350
ここで、Wは導波層の厚みであり、βTMはTM偏光の伝搬定数、βTEはTE偏光の伝搬定数である。また、kは光の波長をλとしたときk=2π/λなる式で与えられる値である。
このとき、単一モードが発生するカットオフ幅を考えると、TE偏光について式(13)、TM偏光について式(14)が得られる。
Figure 0006929350
Figure 0006929350
ただし、κは次の式(15)で、δは式(16)で与えられる値である。
Figure 0006929350
Figure 0006929350
本実施例においては、nc1が第1の回折格子4の屈折率n、nc2が第2の回折格子5の屈折率n、波長550nmにおけるnが膜6bの屈折率n(r)に対応している。
ゆえに、式(13)および(14)を用いることでDOE10におけるWc,TEおよびWc,TMを求めることができる。
DOE10においては、膜6bの厚さd(r)を、上述のようにして得られたW程度の厚さにすることで、膜6bにおける光の閉じ込め効果をより大きくすることができる。一方、式(9)の上限値上回るまたは下限値を下回る場合、膜6bにおける光の閉じ込め効果を十分に大きくすることが困難となる。
このため、少なくとも一部のrにおいて式(9)を満たすことで、回折効率をさらに向上させることができる。また、DOE10に対して斜めに光が入射した場合においても、格子壁面において生じる不要光をより低減することができる。
なお、好ましくはrの値に依らず式(9)を満足すると良い。
なお、DOE10を全体として見た場合の膜6bの光の閉じ込め効果の大きさは(nha−n)×dhaの値で見積もることができる。膜6bにおける光の閉じ込め効果をより大きくするためには、以下の式(17)を満たすことが好ましい。
7<(nha−n)×dha<30 [nm] (17)
(nha−n)×dhaの値を式(17)の範囲とすることで膜6bにおける光の閉じ込め効果をより大きくすることができ、回折効率をより向上することができる。
また、DOE10に対して斜めに光が入射した場合においても、格子壁面において生じる不要光をより低減することができる。
式(17)は、好ましくは以下の式(17a)の範囲とするとよい。
10<(nha−n)×dha<20 [nm] (17a)
また、膜6bにおける光の閉じ込め効果の偏光依存性を低減させるためには、比屈折率差は小さいことが好ましい。一方、比屈折率差が小さくなりすぎると膜6bにおける光の閉じ込め効果が小さくなる。すなわち、膜6bの導波路としての機能が低下する。
そこで、膜6bにおける光の閉じ込め効果を維持しつつ偏光依存性を低減するためには、以下の式(18)を満たすことが好ましい。
0.005<Δ<0.045 (18)
ここで、Δは比屈折率差である。比屈折率差Δは以下の式(19)で与えられる。
Figure 0006929350
Δを式(18)の下限値よりも大きくすることで、膜6bにおける光の閉じ込め効果の偏光依存性を低減させることができる。また、Δを式(18)の上限値よりも小さくすることで、膜6bにおける光の閉じ込め効果を十分に大きくすることができる。
なお、式(18)は好ましくは以下の式(18a)の範囲とするとよい。
0.007<Δ<0.042 (18a)
さらに、波長700nmにおけるΔの値よりも、波長400nmにおけるΔの値を小さくすることが好ましい。これによって膜6bにおける光の閉じ込め効果の波長依存性を低減することができる。
次に、DOE10を製造する方法について説明する。
まず、第1の回折格子4にスパッタリングや蒸着等を用いて一様に膜を成膜する。その後、格子面4a上に成膜された膜と、格子壁面4b上に成膜された膜の屈折率が式(3)と式(4)の少なくとも一方を満足するように屈折率および厚さを調整することで、膜6を得ることができる。
屈折率および厚さを調整する方法の一例としては、リソグラフィー法やナノインプリント法等を用いて、格子壁面4b上に成膜された膜のみに保護層を設けた後エッチングを行う方法がある。これによって、格子面4a上に成膜された膜のみの実効的な屈折率を変化させたり、厚さを変化させたりすることができる。
なお、リソグラフィー法やナノインプリント法等を用いて格子面4a上に成膜された膜のみに保護層を設けた後、エッチングを行うことで格子壁面4b上に成膜された膜のみの実効的な屈折率を変化させたりたり、厚さを変化させたりしても良い。
このようにして、式(3)と(4)の少なくとも一方を満足する膜6を形成することができる。
このように膜6を形成したのち、第2の回折格子5を形成することによって、DOE10を得ることができる。
なお、DOE10を製造する方法は、上述した製造方法に限定されるものではない。
また、DOE10における第1の回折格子4、第2の回折格子5、膜6を構成する材料は、式(2)を満足すれば特に限定されない。ただし、第1の回折格子4を構成する材料の屈折率分散と第2の回折格子5を構成する材料の屈折率分散は異なっていることが好ましい。具体的には、以下の条件式(20)、(21)を満たすことが好ましい。
νd>35 (20)
νd<25 (21)
ここで、式(20)におけるνdは、第1の回折格子4のアッべ数である。
また、式(21)におけるνdは、第2の回折格子5のアッべ数である。
なお、ある媒質のアッべ数はフラウンホーファー線のg線、F線、d線、C線に対する該媒質の屈折率をそれぞれNg,NF,Nd,NCとしたとき、次式(22)で与えられる。
νd=(Nd−1)/(NF−NC) (22)
これによって、可視波長の全域(400〜700nm)でより高い回折効率を得ることができる。
さらに、より高い回折効率を得るためには、第1の回折格子4と第2の回折格子5は、λ=550nmにおいて以下の条件式(23)を満足する整数mが存在するように設計することが好ましい。
0.960≦(n−n)×d/(m×λ)≦1.040 (23)
これにより、m次の回折光の回折効率をより高めることができる。
光学系の一部にDOE10を用いる場合、DOE10を透過する光の量はDOE10の周辺部よりも中心部の方が多い。このため、DOE10の周辺部における反射光よりもDOE10の中心部における反射光の方がフレアやゴーストの原因となりやすい。
一方、図1に示すDOE10のように第1の回折格子4が曲率を有する場合、蒸着等を用いて第1の回折格子4上に膜を成膜すると第1の回折格子4の中心部における厚さと周辺部における厚さは異なる場合がある。この場合、以下の条件式(24)を満たすように膜6aの厚さを調節することが好ましい。
sc<dse (24)
ここで、式(24)におけるdscは、DOE10の中心部における膜6aの厚さの平均値であり、r=0からr=rmax/3までの範囲でd(r)を平均した値である。
また、式(24)におけるdseは、DOE10の周辺部における膜6aの厚さの平均値であり、r=2rmax/3からr=rmaxまでの範囲でd(r)を平均した値である。
式(24)を満たすことで、DOE10の中心部において反射率の波長依存性をより小さくすることができ、より広い波長範囲において反射率を低減させることができる。これによって、DOE10を光学系の一部に用いる際に、DOE10の格子面における反射光に起因するフレアやゴーストの発生をより低減することができる。
また、図1に示すDOE10のように回折格子部3が曲率を有しているような場合、膜6を形成する際に、特にDOE10の周辺部において厚さの製造誤差が大きくなる傾向がある。このため、膜6bの屈折率の変化による光の閉じ込め効果の変化を低減するためには、以下の条件式(25)を満足することが好ましい。
hc<dhe (25)
ここで、式(25)におけるdhcは、DOE10の中心部における膜6bの厚さの平均値であり、中心軸Oからの距離が0以上rmax/3以下である範囲でd(r)を平均した値である。また、式(25)におけるdheは、DOE10の周辺部における膜6bの厚さの平均値であり、中心軸Oからの距離が2rmax/3以上rmax以下である範囲でd(r)を平均した値である。
式(25)を満足することは、膜6bの厚さはDOE10の中心部よりもDOE10の周辺部の方が厚いことを表す。このように膜6bの厚さを調整し、DOE10の周辺部における膜6bの屈折率nheをDOE10の中心部における膜6bの屈折率nhcよりも小さくすることで、膜6bの厚さの変化による光の閉じ込め効果の変化を低減することができる。これによって、DOE10を容易に製造することができる。
なお、DOE10の周辺部における膜6bの屈折率nhcは中心軸Oからの距離が0以上rmax/3以下である範囲でn(r)を平均した値である。また、nheは、DOE10の周辺部における膜6bの厚さの平均値であり、中心軸Oからの距離が2rmax/3以上rmax以下である範囲でn(r)を平均した値である。
次に、本実施例のDOE10の特性について述べる。
DOE10において、第1の回折格子4はジルコニア(ZrO)の微粒子を混合させたアクリル系の樹脂により形成されている。第1の回折格子4の屈折率は、波長550nmにおいて1.6230、フラウンホーファー線のd線に対して1.619である。
また、第1の回折格子4のアッべ数νdは43.2であり、部分分散比θgFは0.564である。ここで、部分分散比θgFとは、フラウンホーファー線のg線、F線、d線、C線に対する媒質の屈折率をそれぞれNg,NF,Nd,NCとしたとき、次の式(26)で与えられる値である。
θgF=(Ng−NF)/(NF−NC) (26)
第2の回折格子5は酸化インジウムスズ(ITO)の微粒子を混合させたアクリル系の樹脂により形成されている。第2の回折格子5の屈折率は、波長550nmにおいて1.5724、フラウンホーファー線のd線に対して1.566である。
また、第2の回折格子5のアッべ数νdは19.0であり、部分分散比は0.418である。
薄膜6はアルミナ(Al)とジルコニア(ZrO)を混合した材料を用いて形成されている。
また、格子厚さdは10.79μmであり、格子ピッチは100〜3000μmである。
図3(a)に、本実施例のDOE10における膜6aの波長550nmの光に対する屈折率n(r/rmax)と、膜6bの波長550nmの光に対する屈折率n(r/rmax)を示す。図3(a)においてn(r/rmax)は実線で、n(r/rmax)は点線で示している。
なお、上述したようにn(r/rmax)はrに対して定義される離散的な値である。図3(a)では、それぞれのrに対応するn(r/rmax)の値を実線で結んで示している。これはn(r/rmax)についても同様であり、それぞれのrに対応するn(r/rmax)の値を点線で結んで示している。
図3(a)からわかるように、ほぼ全域でn(r/rmax)よりもn(r/rmax)の方が小さくなっている。また、n(r/rmax)をrに対して平均した値であるnsaは1.6216、n(r/rmax)をrに対して平均した値であるnhaは1.6807となっており、DOE10は式式(3)を満足している。
なお、式(3)を満足していればDOE10の全体としての反射率を低減できるため、図3(a)に示すようにDOE10の一部においてn(r/rmax)がn(r/rmax)よりも小さくなっていても良い。
また、n(r/rmax)はrが大きくなるに従って増加するように変化している。n(r/rmax)はrが大きくなるに従って減少するように変化している。すなわち、DOE10の中心から周辺にかけて膜6aの屈折率は増加し、膜6bの屈折率は減少している。
図3(b)に、本実施例のDOE10における膜6aの厚さd(r/rmax)と、膜6bの厚さd(r/rmax)を示す。図3(b)においてd(r/rmax)は実線で、d(r/rmax)は点線で示している。
なお、上述したようにd(r/rmax)はrに対して定義される離散的な値である。図3(b)では、それぞれのrに対応するd(r/rmax)の値を実線で結んで示している。これはd(r/rmax)についても同様であり、それぞれのrに対応するd(r/rmax)の値を点線で結んで示している。
図3(b)に示すように、中心軸Oからの距離に依らずd(r/rmax)はd(r/rmax)よりも大きくなっている。また、d(r/rmax)をrに対して平均した値であるdsaは193nm、d(r/rmax)をrに対して平均した値であるdhaは268nmとなっており、本実施例のDOE10は式(4)を満足している。
また、d(r/rmax)とd(r/rmax)は、共に中心軸Oから離れるに従って増加するように変化している。すなわち、DOE10の中心から周辺にかけて膜6aおよび膜6bの厚さは厚くなっている。
図4に、本実施例のDOE10におけるd(r/rmax)、TE偏光のカットオフ幅とTM偏光のカットオフ幅の平均値Wおよびd(r/rmax)/Wを示す。点線で示したd(r/rmax)および一点鎖線で示したWは左側の縦軸を参照する。実線で示したd(r/rmax)/Wは右側の縦軸を参照する。
図4に示す通り、DOE10は式(9)を満足している。
図5に、n(r/rmax)とnの差に、d(r/rmax)を乗じた値とrの関係を示す。図5に示す通り、(n(r/rmax)−n)×d(r/rmax)の値はrに依らず略一定であり、式(17)の範囲を満足している。
図6に、式(7)の値とrの関係を示す。図6に示すように、DOE10はrに依らず式(7)を満たしている。
図7に、本実施例のDOE10の格子面における反射率とrの関係を示す。図7に示すように、DOE10の格子面における反射率はrに依らず2%以下と低い値となっており、反射率を低減させることができていることがわかる。
次に、実施例2のDOEについて説明する。本実施例のDOEは、実施例1と同様に、図2に示すような構成となっている。第1の回折格子4および第2の回折格子5は実施例1と同様の光学定数を有しており、膜6aおよび膜6bの屈折率や厚さのみが実施例1と異なっている。
図8(a)に、本実施例のDOE10における膜6aの波長550nmの光に対する屈折率n(r/rmax)と、膜6bの波長550nmの光に対する屈折率n(r/rmax)を示す。図8(a)においてn(r/rmax)は実線で、n(r/rmax)は点線で示している。
図8(a)からわかるように、本実施例のDOE10では、中心軸Oからの距離に依らずn(r/rmax)よりもn(r/rmax)の方が小さくなっている。
また、n(r/rmax)をrに対して平均した値であるnsaは1.5298、n(r/rmax)をrに対して平均した値であるnhaは1.6840となっており、本実施例のDOE10は式(3)を満足している。
また、n(r/rmax)はrが大きくなるに従って増加するように変化している。n(r/rmax)はrが大きくなるに従って減少するように変化している。すなわち、本実施例のDOE10では、DOE10の中心から周辺にかけて膜6aの屈折率は増加し、膜6bの屈折率は減少している。
図8(b)に、本実施例のDOE10における膜6aの厚さd(r/rmax)と、膜6bの厚さd(r/rmax)を示す。図8(b)においてd(r/rmax)は実線で、d(r/rmax)は点線で示している。
図8(b)に示すように、中心軸Oからの距離に依らずd(r/rmax)はd(r/rmax)よりも大きくなっている。また、d(r/rmax)をrに対して平均した値であるdsaは153nm、d(r/rmax)をrに対して平均した値であるdhaは246nmとなっており、本実施例のDOE10は式(4)を満足している。
また、d(r/rmax)とd(r/rmax)は、共に中心軸Oから離れるにつれて増加するように変化している。すなわち、本実施例のDOE10では、DOE10の中心から周辺にかけて膜6aおよび膜6bの厚さは共に厚くなっている。
図9に、本実施例のDOE10におけるd(r/rmax)、TE偏光のカットオフ幅とTM偏光のカットオフ幅の平均値Wおよびd(r/rmax)/Wcを示す。点線で示したd(r/rmax)および一点鎖線で示したWは左側の縦軸を参照する。実線で示したd(r/rmax)/Wは右側の縦軸を参照する。
図9に示す通り、本実施例のDOE10は式(9)を満足している。
図10に、本実施例のDOE10におけるn(r/rmax)とnの差に、d(r/rmax)を乗じた値とrの関係を示す。図10に示す通り、(n(r/rmax)−n)×d(r/rmax)の値はrに依らず略一定であり、本実施例のDOE10は式(17)の範囲を満足している。
図11に、本実施例のDOE10における式(7)の値とrの関係を示す。図11に示すように、本実施例のDOE10はrに依らず式(7)を満たしている。
図12に、本実施例のDOE10の格子面における反射率とrの関係を示す。図12に示すように、DOE10の格子面における反射率はrに依らず2%以下と低い値となっており、本実施例のDOE10においても、格子面における反射率を低減させることができている。
次に、実施例3のDOEについて説明する。本実施例のDOEは、実施例1や実施例2と同様に、図2に示すような構成となっている。第1の回折格子4および第2の回折格子5は実施例1や実施例2と同様の光学定数を有しており、膜6aおよび膜6bの屈折率や厚さのみ実施例1および実施例2と異なっている。
図13(a)に、本実施例のDOE10における膜6aの波長550nmの光に対する屈折率n(r/rmax)と、膜6bの波長550nmの光に対する屈折率n(r/rmax)を示す。図13(a)においてn(r/rmax)は実線で、n(r/rmax)は点線で示している。
図13(a)からわかるように、本実施例のDOE10では、中心軸Oからの距離に依らずn(r/rmax)よりもn(r/rmax)の方が小さくなっている。
また、n(r/rmax)をrに対して平均した値であるnsaは1.5099、n(r/rmax)をrに対して平均した値であるnhaは1.6890となっている。従って、本実施例のDOE10は式(3)を満足している。
また、n(r/rmax)はrが大きくなるに従って増加するように変化している。n(r/rmax)はrが大きくなるに従って減少するように変化している。すなわち、本実施例のDOE10では、DOE10の中心から周辺にかけて膜6aの屈折率は増加し、膜6bの屈折率は減少している。
図13(b)に、本実施例のDOE10における膜6aの厚さd(r/rmax)と、膜6bの厚さd(r/rmax)を示す。図13(b)においてd(r/rmax)は実線で、d(r/rmax)は点線で示している。
図13(b)に示すように、中心軸Oからの距離に依らずd(r/rmax)はd(r/rmax)よりも大きくなっている。また、d(r/rmax)をrに対して平均した値であるdsaは127nm、d(r/rmax)をrに対して平均した値であるdhaは223nmとなっている。従って、DOE10は式(3)を満足している。
また、d(r/rmax)とd(r/rmax)は、共に中心軸Oから離れるにつれて増加するように変化している。すなわち、本実施例のDOE10では、DOE10の中心から周辺にかけて膜6aおよび膜6bの厚さは共に厚くなっている。
図14に、本実施例のDOE10におけるd(r/rmax)、TE偏光のカットオフ幅とTM偏光のカットオフ幅の平均値Wおよびd(r/rmax)/Wを示す。点線で示したd(r/rmax)および一点鎖線で示したWは左側の縦軸を参照する。実線で示したd(r/rmax)/Wは右側の縦軸を参照する。
図14に示す通り、本実施例のDOE10は式(9)を満足している。
図15に、本実施例のDOE10におけるn(r/rmax)とnの差に、d(r/rmax)を乗じた値とrの関係を示す。図10に示す通り、(n(r/rmax)−n)×d(r/rmax)の値はrに依らず略一定であり、本実施例のDOE10においても式(17)の範囲を満足している。
図16に、本実施例のDOE10における式(7)の値とrの関係を示す。図16に示すように、本実施例のDOE10においてもrに依らず式(7)を満たしている。
図17に、本実施例のDOE10の格子面における反射率とrの関係を示す。図17に示すように、DOE10の格子面における反射率はrに依らず2%以下と低い値となっており、本実施例のDOE10においても、格子面における反射率を低減させることができている。
以上の実施例1乃至3のDOEにおける種々の値を次の表1にまとめて示す。
なお、表1に示した各値は、波長550nmにおける値である。
Figure 0006929350
次に、実施例4の光学系について説明する。屈折光学素子とDOEを共に用いることで、光学系の色収差を低減することができることが知られている。本実施例の光学系も、DOEによって色収差を低減している。本実施例の光学系は、例えば撮像装置の光学系として用いることができる。
図18に本実施例の光学系100を示す。本実施例の光学系100は、複数の光学素子101を有している。複数の光学素子101のうちの1つはDOE10となっており、その他は屈折光学素子(レンズ)となっている。本実施例におけるDOE10は、上述した実施例1乃至3のいずれかと同様の特性を有している。
また、図18において102は絞り、103は結像面を表している。
実施例1乃至3で述べたように、DOE10では格子面における反射率を低減している。これによって、DOE10の格子面における反射光に起因したフレアやゴーストの発生を低減することができる。これによって、高品位な像を得ることができる。
なお、本実施例では、絞り102の近傍に配置された平板ガラスにDOE10を設けているが、本発明はこれに限定されない。DOE10をレンズの凹面又は凸面上に設けてもよい。
また、本実施例では光学系100が1つのDOE10を有する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。光学系100は複数のDOEを有していても良い。
次に、実施例5の光学系について説明する。本実施例の光学系は、例えば双眼鏡の光学系として用いることができる。
図19に本実施例の光学系200を示す。本実施例の光学系200は、対物レンズ部201と、プリズム205と、接眼レンズ部206を有する。207は瞳面である。
対物レンズ部201は、屈折光学素子(レンズ)とDOE10を有する。これによって結像面203における色収差を低減している。本実施例におけるDOE10は、上述した実施例1乃至3のいずれかと同様の特性を有している。
実施例1乃至3で述べたように、DOE10では格子面における反射率を低減している。これによって、DOE10の格子面での反射光に起因したフレアやゴーストの発生を低減することができる。これによって、本実施例の光学系200においても高品位な像を得ることができる。
なお、本実施例では、対物レンズ部201に配置された平板ガラスにDOE10を設けているが、本発明はこれに限定されない。DOE10をレンズの凹面又は凸面上に設けてもよい。
また、本実施例では光学系200が1つのDOE10を有する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。光学系200は複数のDOEを有していても良い。
また、本実施例では、対物レンズ部201にDOE10が配置されている場合について説明したが、プリズム205の表面や接眼レンズ206にDOE10を配置しても良い。ただし、DOE10を結像面203よりも物体側に設けることで、対物レンズ部201における色収差を低減することができるため、DOE10は結像面203よりも物体側に設けることが好ましい。
また、本実施例では、双眼鏡の観察光学系について説明したが、本発明の回折光学素子は、望遠鏡等の光学系にも適用することができる。
また、さらにはレンズシャッターカメラやビデオカメラなどの光学式ファインダにも適用することができる。
次に実施例6の撮像装置について説明する。
図20は、本実施例の撮像装置としてのデジタルカメラ300である。デジタルカメラ300は、レンズ部301に前述した実施例4の光学系100を有する。また、光学系100の結像面103には、CCDやCMOSセンサなどの撮像素子303が、本体部302に配置される。
デジタルカメラ300が光学系100を有することで、フレアやゴーストの発生を低減した高品位な画像を得ることができる。
なお、図20では、本体部302とレンズ部301が一体となった例を示しているが、撮像装置本体に対して着脱可能なレンズ装置に本発明を適用してもよい。このようなレンズ装置は、例えば一眼カメラ用の交換レンズとして用いられる。この場合、図20は、光学系100を有するレンズ装置301が撮像装置本体302に装着されている状態と見ることもできる。
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について説明したが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の組合せ、変形及び変更が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために以下の請求項を添付する。
10 回折光学素子
4 第1の回折格子
5 第2の回折格子
6 膜

Claims (15)

  1. 複数の第1の格子壁面及び複数の第1の格子面を含む第1の回折格子と、
    複数の第2の格子壁面及び複数の第2の格子面を含む第2の回折格子と、
    前記複数の第1の格子壁面及び前記複数の第2の格子壁面に接する複数の第1の膜と、
    前記複数の第1の格子面及び前記複数の第2の格子面に接する複数の第2の膜とを有し、
    前記複数の第1の膜の波長550nmに対する屈折率の平均値をnha、前記複数の第2の膜の波長550nmに対する屈折率の平均値をnsa、前記第1の回折格子の波長550nmに対する屈折率をn、前記第2の回折格子の波長550nmに対する屈折率をn 、前記複数の第1の膜の厚さの平均値をd ha 、前記複数の第2の膜の厚さの平均値をd sa とするとき、
    <n<nha
    sa<nha
    0.1<d sa /d ha <0.9
    なる条件式を満たすことを特徴とする回折光学素子。
  2. 7<(nha−n)×dha<30 [nm]
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の回折光学素子。
  3. Figure 0006929350

    とするとき、
    0.005<Δ<0.045
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の回折光学素子。
  4. |(2nsa−n−n)/(nha−n)|<5
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の回折光学素子。
  5. 前記第1及び第2の回折格子は、共通の中心軸に対して同心円状であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の回折光学素子。
  6. 前記中心軸からの距離がrとなる位置における前記第2の膜の波長550nmに対する屈折率をn(r)とするとき、
    (n+n−2n(r))<0.3
    なる条件式を満たすことを特徴とする請求項に記載の回折光学素子。
  7. 前記中心軸からの距離がrとなる位置における前記第2の膜の厚さをd(r)[nm]、波長550nmに対する屈折率をn(r)、α=0.016564nm−1とするとき、
    [sin{α×d(r)}×{n+n−2n(r)}]<0.2
    なる条件式を満足することを特徴とする請求項又はに記載の回折光学素子。
  8. 前記中心軸からの距離がrとなる位置における前記第1の膜の厚さをd(r)[nm]、波長550nmに対する屈折率をn(r)、λ=550[nm]、W=(Wc,TE+Wc,TM)/2、
    Figure 0006929350

    とするとき、
    0.5≦d(r)/W≦2
    なる条件式を満たすことを特徴とする請求項乃至のいずれか一項に記載の回折光学素子。
  9. 前記中心軸からの距離がrとなる位置における前記第2の膜の厚さをd(r)、前記中心軸から最も離れている前記第1の格子面及び前記第1の格子壁面の境界の半径をrmax、前記中心軸からの距離が0以上rmax/3以下となる範囲におけるd(r)の平均値をdsc、前記中心軸からの距離が2rmax/3以上rmax以下となる範囲におけるd(r)の平均値をdseとするとき、
    sc<dse
    なる条件式を満たすことを特徴とする請求項乃至のいずれか一項に記載の回折光学素子。
  10. 前記中心軸から距離がrとなる位置における前記第1の膜の波長550nmに対する屈折率をd(r)、前記中心軸から最も離れている前記第1の格子面及び前記第1の格子壁面の境界の半径をrmax、前記中心軸からの距離が0以上rmax/3以下となる範囲におけるd(r)の平均値をdhc、前記中心軸からの距離が2rmax/3以上rmax以下となる範囲におけるd(r)の平均値をdheとするとき、
    hc<dhe
    なる条件式を満たすことを特徴とする請求項乃至のいずれか一項に記載の回折光学素子。
  11. 前記第1及び第2の膜は、互いに同じ材料で構成されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の回折光学素子。
  12. 前記第1及び第2の膜は、Al とZrO を混合した材料で構成されていることを特徴とする請求項11に記載の回折光学素子。
  13. 請求項1乃至1のいずれか一項に記載の回折光学素子と、光学素子とを有することを特徴とする光学系。
  14. 請求項1乃至1のいずれか一項に記載の回折光学素子と、撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置。
  15. 請求項1に記載の光学系を有し、撮像装置に対して着脱可能であることを特徴とするレンズ装置。
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