JP5369478B2 - 研磨装置 - Google Patents

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本発明は、修正研磨等を行うための研磨装置に関する。
研磨装置には、被研磨物よりも小さな球状の研磨部を有した研磨工具を用いて、被研磨物の表面(被研磨面)が所望の形状になるように研磨を行うものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。このような研磨装置によれば、曲面状の被研磨面を研磨することが可能であり、また、被研磨面に対する部分的な修正研磨を行うことも可能である。このような研磨装置による研磨は、研磨部が一定の研磨圧力で被研磨面に倣うようにして研磨を行うのが一般的である(例えば、特許文献2を参照)。
特開平10−146748号公報 特開平5−57606号公報
しかしながら、このような研磨装置においては、研磨圧力を一定とし、被研磨面の形状に応じて研磨工具の移動速度を変化させていたため、被研磨面における凸部(研磨量の多い部分)で研磨工具の移動速度が低下し、研磨に時間を要して効率が悪くなるという問題があった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、研磨時間を短縮した研磨装置を提供することを目的とする。
このような目的達成のため、本発明に係る研磨装置は、被研磨物を保持する保持機構と、前記保持機構と対向するように設けられたヘッド部と、前記被研磨物を研磨するための研磨部を有し、前記ヘッド部に回転可能に保持された研磨工具と、前記研磨工具を回転駆動する回転駆動機構と、前記研磨工具の前記研磨部を前記被研磨物の被研磨面に押圧させる押圧機構と、前記押圧機構により前記被研磨面に押圧された前記研磨部を前記被研磨面に沿って相対移動させる移動機構と、前記回転駆動機構により前記研磨工具を回転させる作動、前記押圧機構により前記研磨部を前記被研磨物の被研磨面に押圧させる作動、および前記移動機構により前記研磨部を前記被研磨面に沿って相対移動させる作動を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記研磨部を前記被研磨面に沿って相対移動させる移動速度が略一定になるように前記移動機構の作動を制御するとともに、前記研磨工具の回転速度および前記研磨部を前記被研磨物の被研磨面に押圧させる押圧力の少なくとも一方がターゲット面の高さと予め取得した前記被研磨面の高さとの差に対応するように前記回転駆動機構および前記押圧機構の作動を制御し、前記押圧機構が、前記押圧方向に延びて設けられたガイドシャフトと、前記ガイドシャフトに前記押圧方向へスライド移動可能に取り付けられるとともにバランスウェイトにより重力補償されたスライドプレートと、前記スライドプレートに前記スライド移動させる方向への押圧力を加える空気圧シリンダとを備えて構成され、前記ヘッド部は、前記スライドプレートに取り付けられており、前記制御部は、前記空気圧シリンダに供給される空気圧力を制御して前記スライドプレートを介して前記ヘッド部に前記スライド移動させる方向への押圧力を加えて、前記ヘッド部に保持された前記研磨工具の前記研磨部を前記被研磨物の被研磨面に押圧させる作動制御を行うようになっている。
本発明によれば、研磨時間を短縮することができる。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本発明を適用した研磨装置1の概略構成を図1に示す。研磨装置1は、マスク基板10を支持するXYZステージ20と、XYZステージ20と対向するように設けられたヘッド部30と、ヘッド部30に回転可能に保持された研磨工具40と、研磨工具40の先端部に設けられた研磨部材42をマスク基板10の上面(被研磨面11)に押圧させる押圧機構50と、XYZステージ20の移動速度や、研磨工具40の回転速度、押圧機構50による研磨圧力等、研磨装置1の作動を制御する制御部60と、これらが取り付けられる筐体部65とを主体に構成される。
マスク基板10は、石英ガラス等を用いて薄板状に形成され、このマスク基板10には、露光装置を用いて半導体ウェハの表面に回路パターンを転写するためのマスクパターンが形成される。本実施形態の研磨装置1は、マスクパターンを形成する前のマスク基板10の表面(被研磨面11)に対し、所定の平坦度を得るための修正研磨を行うものである。
XYZステージ20は、マスク基板10の下面を真空吸着する真空吸着機構(図示せず)を内部に有し、研磨対象面となる被研磨面11が上側を向くようにマスク基板10を略水平な状態で吸着保持する。また、XYZステージ20は、図示しないサーボモータやボールネジ等を用いて、X,Y,Z方向に平行移動可能に構成され、XYZステージ20に吸着保持されたマスク基板10を研磨工具40に対して所望の位置に(X,Y,Z方向に)相対移動させることができるようになっている。なお、本実施形態において、図1における左右方向をX方向とし、図1における紙面と垂直な方向をY方向とし、図1における上下方向をZ方向とする。
ヘッド部30は、ヘッド本体31と、ヘッド本体31に回転可能に取り付けられたチャック32とを有して構成される。ヘッド本体31には、ベアリング機構(図示せず)等が内蔵され、チャック32が回転可能に取り付けられる。チャック32は、研磨工具40を着脱自在に保持し、これにより研磨工具40がヘッド部30に回転可能に保持される。また、ヘッド本体31にはサーボモータ33が取り付けられており、このサーボモータ33は、チャック32とともに当該チャック32に保持された研磨工具40を回転駆動する。
研磨工具40は、図2にも示すように、棒状部材41と、研磨部材42とを有して構成される。棒状部材41は、棒状に延びるように形成され、先端部に研磨部材42が取り付けられるとともに、基端側がチャック32に連結保持される。そのため、研磨工具40は、ヘッド部30により、棒状部材41の長手方向に延びる中心軸Aを中心に回転可能に保持され、棒状部材41の先端部で回転する研磨部材42により、マスク基板10に対する研磨が行われる。研磨部材42は、例えば独立発泡構造を有する硬質ポリウレタンを用いて、マスク基板10よりも小さい球状に形成され、接着等により棒状部材41の先端部に取り付けられる。
押圧機構50は、スライドプレート51と、スライドプレート51が取り付けられるガイドシャフト52と、スライドプレート51を下方に押圧する空気圧シリンダ53とを主体に構成される。スライドプレート51は、筐体部65におけるXYZステージ20の上方に配設され、ヘッド部30がXYZステージ20と対向するように取り付けられる。ヘッド部30が取り付けられたスライドプレート51は、筐体部65に固設された左右2本のガイドシャフト52,52に、上下方向(Z方向)にスライド移動可能に取り付けられており、スライドプレート51とともにヘッド部30が上下方向にスライド移動可能となる。左右のガイドシャフト52,52はそれぞれ、上下に延びる棒状に形成され、互いに平行となるように筐体部65に取り付け固定される。
また、ヘッド部30が取り付けられたスライドプレート51は、バランスウェイト(図示せず)および左右のワイヤ54,54によって重力補償がなされている。すなわち、各ワイヤ54の一端側はスライドプレート51と連結されるとともに、他端側はガイドローラ55に巻き掛けられて背面側のバランスウェイト(図示せず)と連結されている。なお、ガイドローラ55は、筐体部65の上部に固設されたブラケット66に回転可能に取り付けられている。
空気圧シリンダ53は、ロッド部がスライドプレート51と連結され、空気圧を利用してスライドプレート51を下方に押圧する。これにより、スライドプレート51およびヘッド部30を介して、空気圧シリンダ53により研磨工具40の研磨部材42をマスク基板10の被研磨面11に押圧させることが可能になる。なお、空気圧シリンダ53は、電空レギュレータ56(図3を参照)を介してエアタンク等の空気圧源(図示せず)と接続されており、当該空気圧源から電空レギュレータ56を介して空気圧シリンダ53に圧力空気が供給されるようになっている。
制御部60は、図3に示すように、XYZステージ20(サーボモータ等)と電気的に接続されており、XYZステージ20に駆動信号を出力してXYZステージ20の位置および移動速度を制御する。また、制御部60は、ヘッド部30のサーボモータ33と電気的に接続されており、サーボモータ33に回転駆動信号を出力してサーボモータ33の回転速度を制御する。さらに、制御部60は、電空レギュレータ56と電気的に接続されており、電空レギュレータ56に圧力制御信号を出力して空気圧シリンダ53に供給する空気圧力(すなわち、マスク基板10に対する研磨圧力)を制御する。また、制御部60には、例えばレーザー干渉計等の形状測定装置70と電気的に接続されており、形状測定装置70から研磨対象となるマスク基板10の表面(被研磨面11)の形状測定データ(例えば、マスク基板10の表面高さ等)が入力されるようになっている。
以上のように構成された研磨装置1を用いて、マスク基板10の修正研磨を行うには、まず、図示しない搬送装置によりマスク基板10をXYZステージ20上に搬送し、XYZステージ20にマスク基板10を吸着保持させる。このとき、装置外部の形状測定装置70から制御部60に、研磨対象となるマスク基板10の形状測定データが入力される。なお、形状データの入力は、研磨開始前であればいつでも構わない。XYZステージ20上にマスク基板10を搬送すると、制御部60の作動制御により、XYZステージ20を移動させてマスク基板10を所定の研磨開始位置に位置させる。マスク基板10が研磨開始位置に位置すると、制御部60の作動制御によって、サーボモータ33により研磨工具40を回転させるとともに、空気圧シリンダ53により研磨工具40の研磨部材42をマスク基板10の被研磨面11に押圧させる。
サーボモータ33によって回転する研磨部材42をマスク基板10の被研磨面11に押圧させると、この状態で、制御部60は、XYZステージ20に横方向(図2の場合、−X方向)へ移動させる制御を行う。これにより、マスク基板10の修正研磨が開始され、研磨部材42は、例えば図2に示す場合、被研磨面11の左端から右端へ相対移動し、その後、被研磨面11の右端に位置すると、Y方向の位置を変えて、被研磨面11の右端から左端へ逆方向に相対移動し、このような相対移動を繰り返すことで被研磨面11の全面を走査するように研磨する。
このような研磨を行うとき、制御部60は、マスク基板10の移動速度(すなわち、マスク基板10上の研磨部材42の移動速度)が略一定になるようにXYZステージ20の作動を制御するとともに、凹凸のある被研磨面11の形状を平坦な形状に修正するため、被研磨面11の形状に応じて研磨圧力および研磨工具40(研磨部材42)の回転速度を変化させるように押圧機構50(空気圧シリンダ53)およびサーボモータ33の作動を制御する。具体的には、例えば次の(1)式のように表わされるプレストンの式を利用して、研磨圧力(および研磨工具40の回転速度)を求める。
Q=K×P×V …(1)
ここで、Qを研磨速度とし、Kを比例係数とし、Pを研磨圧力とし、そしてVをマスク基板10に対する研磨部材42の相対移動速度とする。制御部60は、まず、研磨部材42の移動速度および回転速度がともに一定、すなわち、相対移動速度Vが一定であるとして、研磨速度Qから研磨圧力Pを求める。必要な研磨速度Qは、形状測定装置70から入力された形状測定データに基づく被研磨面11の高さと、平面となるターゲット面12の高さとの差に基づいて求めることができるので、被研磨面11の形状(高さ)に応じて研磨圧力が求まることになる。なお、被研磨面11の形状(高さ)に応じた研磨圧力Pや研磨工具40の回転速度等は、予め形状測定装置70から形状測定データが入力されるので、研磨開始前に求めておくことができる。
そして、求めた研磨圧力Pが、マスク基板10にダメージを与えない限界となる所定の許容圧力以下である場合、求めた研磨圧力Pを研磨圧力として採用し、当該研磨圧力が得られるように電空レギュレータ56に圧力制御信号を出力する。また、研磨部材42の回転速度に関しても、先に一定であるとした回転速度が得られるようにサーボモータ33に回転駆動信号を出力する。また、研磨部材42の移動速度に関しても、一定の移動速度が得られるようにXYZステージ20に駆動信号を出力する。
一方、求めた研磨圧力Pが許容圧力よりも大きい場合、許容圧力を研磨圧力として採用し、プレストンの式を利用して、研磨速度Q、研磨部材42の移動速度、および許容圧力(=研磨圧力P)から研磨部材42の回転速度を求める。そして、許容圧力が得られるように電空レギュレータ56に圧力制御信号を出力するとともに、求めた回転速度が得られるようにサーボモータ33に回転駆動信号を出力する。また、研磨部材42の移動速度に関しても、一定の移動速度が得られるようにXYZステージ20に駆動信号を出力する。
このように、本実施形態の研磨装置1によれば、制御部60が、研磨部材42の移動速度が略一定になるようにXYZステージ20の作動を制御するとともに、研磨圧力および研磨工具40の回転速度が被研磨面11の形状に応じて変化するように押圧機構50(空気圧シリンダ53)およびサーボモータ33の作動を制御するため、被研磨面11の形状に拘わらず研磨部材42の移動速度が略一定にできることから、修正研磨に要する研磨時間を短縮することが可能になる。
また、被研磨面11の形状に応じた研磨圧力が所定の許容圧力よりも大きくなるとき、研磨圧力が当該許容圧力となるように押圧機構50(空気圧シリンダ53)の作動を制御することが好ましく、このようにすれば、研磨圧力が過大となってマスク基板10にダメージを与えてしまうことを防止することができる。
また、研磨工具40が、棒状部材41と、マスク基板10よりも小さい球状に形成されて棒状部材41の先端部に設けられた研磨部材42とを有して構成されることが好ましく、このような研磨工具40を備えた研磨装置1において、より高い効果を得ることができる。
なお、本実施形態においては、押圧機構50として空気圧シリンダ53の作動を制御しているため、研磨圧力の制御遅延が発生してしまう。そこで、制御部60は、研磨圧力の制御遅延を考慮して押圧機構50の作動を制御することが好ましい。具体的には、制御遅延をΔTとし、研磨部材42の移動速度をUとしたとき、先に求めた研磨圧力が適用される修正研磨位置に到達する前の距離SがS=U×ΔTとして求められるので、当該前の距離Sに達したら対応する圧力制御信号を電空レギュレータ56へ出力することが好ましい。これにより、研磨精度を向上させることができる。なお、制御遅延ΔTは実測で求められる。
なお、上述の実施形態において、XYZステージ20およびマスク基板10を移動させることで研磨部材42を被研磨面11上で移動させるようにしているが、これに限られるものではなく、マスク基板10を固定として、ヘッド部30および研磨工具40を移動させるようにしてもよい。
また、上述の実施形態において、マスク基板10を修正研磨する場合を例に説明を行ったが、これに限られるものではなく、例えば、半導体ウェハやレンズ等の表面を研磨する場合にも、本発明を適用可能である。
本発明に係る研磨装置の概略図である。 研磨工具の近傍を示す拡大図である。 制御部の制御ブロック図である。
符号の説明
1 研磨装置
10 マスク基板(被研磨物) 20 XYZステージ(移動機構)
30 ヘッド部 33 サーボモータ(回転駆動機構)
40 研磨工具
41 棒状部材 42 研磨部材(研磨部)
50 押圧機構
53 空気圧シリンダ 56 電空レギュレータ
60 制御部

Claims (5)

  1. 被研磨物を保持する保持機構と、
    前記保持機構と対向するように設けられたヘッド部と、
    前記被研磨物を研磨するための研磨部を有し、前記ヘッド部に回転可能に保持された研磨工具と、
    前記研磨工具を回転駆動する回転駆動機構と、
    前記研磨工具の前記研磨部を前記被研磨物の被研磨面に押圧させる押圧機構と、
    前記押圧機構により前記被研磨面に押圧された前記研磨部を前記被研磨面に沿って相対移動させる移動機構と、
    前記回転駆動機構により前記研磨工具を回転させる作動、前記押圧機構により前記研磨部を前記被研磨物の被研磨面に押圧させる作動、および前記移動機構により前記研磨部を前記被研磨面に沿って相対移動させる作動を制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、前記研磨部を前記被研磨面に沿って相対移動させる移動速度が略一定になるように前記移動機構の作動を制御するとともに、前記研磨工具の回転速度および前記研磨部を前記被研磨物の被研磨面に押圧させる押圧力の少なくとも一方がターゲット面の高さと予め取得した前記被研磨面の高さとの差に対応するように前記回転駆動機構および前記押圧機構の作動を制御し、
    前記押圧機構が、前記押圧方向に延びて設けられたガイドシャフトと、前記ガイドシャフトに前記押圧方向へスライド移動可能に取り付けられるとともにバランスウェイトにより重力補償されたスライドプレートと、前記スライドプレートに前記スライド移動させる方向への押圧力を加える空気圧シリンダとを備えて構成され、
    前記ヘッド部は、前記スライドプレートに取り付けられており、
    前記制御部は、前記空気圧シリンダに供給される空気圧力を制御して前記スライドプレートを介して前記ヘッド部に前記スライド移動させる方向への押圧力を加えて、前記ヘッド部に保持された前記研磨工具の前記研磨部を前記被研磨物の被研磨面に押圧させる作動制御を行うことを特徴とする研磨装置。
  2. 前記被研磨面の高さは、前記被研磨面の形状測定に基づいて求められることを特徴とする請求項1に記載の研磨装置。
  3. 前記制御部は、前記差に対応する前記圧力が所定の許容圧力よりも大きくなるとき、前記圧力が前記許容圧力となるように前記押圧機構の作動を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の研磨装置。
  4. 前記制御部は、前記押圧機構による押圧作動の制御遅延を考慮して前記押圧機構の作動を制御することを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の研磨装置。
  5. 前記研磨工具は、棒状に延びる棒状部材をさらに有し、前記研磨部が前記被研磨物よりも小さい球状に形成されて前記棒状部材の先端部に設けられており、前記棒状部材の長手方向に延びる中心軸を中心に回転可能に前記ヘッド部に保持されることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の研磨装置。
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