JP2005177925A - 研磨加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 特にスモールツールを用いる研磨加工において、加工精度を向上させ、また加工時間を短縮させる。
【解決手段】 被研磨物体の形状と目標設計形状との差から研磨加工によって除去すべき除去形状を演算し、研磨工具と被研磨物体との間の押圧荷重に対応する接触面形状と該接触面における圧力分布を演算し、該除去形状と圧力分布とを用いて目標設計形状を得るための研磨条件を演算し、該研磨条件を用いて被研磨物体を研磨する。
【選択図】 図1

Description

本発明は研磨加工方法に係り、さらに詳しくは光学素子、または光学素子成型用金型を製造するために、高い形状精度が要求される研磨加工方法に関する。
カメラ、顕微鏡などに用いられる光学素子、あるいは光学素子成形用金型の製造過程において用いられる研磨加工では、被加工物体側の光学面の形状が光学性能に大きく影響するため、高い形状精度が要求される。この高い形状精度を実現するために光学素子、または光学素子成形用金型の研磨工程においては、スモールツールを用いた研磨加工が採用されている。
このスモールツールを用いた研磨加工とは、被研磨物体よりも直径が小さい研磨工具(以下スモールツールと呼ぶ)に回転運動を与え、所望の除去量を得るように設定された研磨条件でスモールツールを駆動することによって、被研磨面の形状を修正し、最終的に目標の形状精度、および表面粗さまで仕上げる研磨加工のことである。この加工法では研磨工具と被研磨面との接触する部分が微小であり、除去量を変化させるための研磨条件を細かく調整することによって、自由な形状を創成することが可能である。その反面、研磨条件の種類や決定回数が増大し、研磨条件の設定が複雑になるという問題点がある。
このため実際の研磨加工では、加工者の経験に基づいて研磨条件を設定することが多く、被研磨面の形状の精度は作業者の技能に左右されるところが大きい。また、非回転非軸対称面など複雑な表面形状を有する光学素子、またはそのような光学素子の成形用金型においては、被研磨面上の位置によって曲率が変化し、その結果、研磨工具と被研磨面との間の接触状態が変化するために、研磨加工後の形状を精度よく予測することが困難であった。そこで実際の加工現場では、一度の加工で研磨すべき除去量を少なく設定し、加工を行う毎に被研磨面の形状を確認しながら研磨条件を再設定する工程を繰り返し、所望の形状精度を得ている。このためスモールツールを用いた研磨加工には膨大な作業時間を要するという問題点もあった。
このような研磨加工方法に関する従来技術として次の文献がある。
特開2002−346899(P2002−346899A)号 曲面加工法、及び加工装置 特開平11−126765号 研磨シミュレーション方法および研磨シミュレーション方法を記録した記録媒体および研磨方法
特許文献1には、あらかじめ被研磨物体と同じ材料の基準面を加工して除去形状を求め、被研磨面の形状、特に曲率半径に応じて除去量と加工条件との関係を補正することで、加工面の形状にかかわらず、所望の除去量、または除去深さを得る技術が開示されている。
しかしながらこの文献では、曲率に対する補正関数(相似倍率)を精度よく求めるために基準面の加工を多数回行う必要がある。また、研磨工具の形状が変わるたびに単位除去形状を求める必要があり、基準面の加工回数はさらに膨大になり、加工材料面のコストや、作業者の負担が増すという問題点があった。
特許文献2には、例えば半導体デバイスの製造工程において用いられるケミカル・メカニカル・ポリッシング(CMP)を用いた研磨方法のシミュレーションにおいて、研磨工具と被研磨物体との間に生ずる接触圧力を演算し、その圧力値から研磨加工後の形状を演算する技術が開示されている。しかしながらこのシミュレーションでは、研磨工具と被研磨物体との接触部(以下、接触面と呼ぶ)の形状を研磨工具の寸法から計算しており、接触面の形状は変化しないものと仮定している。すなわちスモールツールを用いた研磨加工のように、被研磨面の曲率や研磨工具の押し付け方向によって接触面の形状が変化する場合については、考慮されていないという問題点があった。
このように従来においては、例えば接触面形状の変化を考慮して加工後の形状や研磨条件を演算する手法が存在しなかった。研磨加工における除去量は研磨工具と被研磨物体との接触状態に左右されるため、接触面の形状は除去量を演算する際に必要な情報である。この情報が欠けているため、従来技術としてのスモールツールを用いた研磨加工においては、加工後の被研磨面の形状や研磨条件を精度よく演算できないという問題点があった。
本発明の課題は、上述の問題点に鑑み、研磨工具との接触による被研磨面の変形によって決まる接触面形状と接触面における圧力分布を用いて、精度よい加工を実現するための研磨条件を設定可能とすることである。
さらに本発明の課題は、目標設計形状までの加工を複数回数に分けて、それぞれの加工ごとに被研磨面の形状と接触圧力分布から研磨条件を設定して、加工を行うことによって、さらに研磨加工の精度を向上させ、また加工に必要な時間を短縮することである。
図1は本発明の研磨加工方法の原理的な機能ブロック図である。同図は研磨工具と被研磨物体とを接触させつつ、相対移動させて被研磨物体を研磨する研磨加工方法の機能ブロック図である。
図1においてまず1で、被研磨物体の形状と目標設計形状との差から、研磨加工によって除去すべき除去形状が演算され、2で研磨工具と被研磨物体との接触面における圧力分布が演算される。この圧力分布の演算においては研磨工具、例えばポリッシャと被研磨物体、例えばワークとの間の押圧荷重やその方向に対応して、例えば被研磨面の変形によって決まる接触面における圧力分布が演算される。
そして3で除去形状と圧力分布との演算結果を用いて、目標設計形状を得るための研磨条件、例えば研磨工具、あるいは被研磨物体の走査軌跡、走査速度、あるいは滞留時間分布などが演算され、4で演算された研磨条件を用いて被研磨物体の研磨が行われる。
また発明の実施の形態においては、上述のような研磨加工方法における研磨工具と被研磨物体との接触面における圧力分布の演算に先立って、研磨工具と被研磨物体との間に加えられる荷重、および荷重の加わる方向を初期条件として与えることもできる。
また実施の形態においては、前述のような研磨加工方法を用いて光学素子を研磨して製造することもできる。
さらに実施の形態においては前述のような研磨加工方法を用いた研磨加工装置によって被研磨物体を研磨することもできる。
本発明によれば、研磨工具と被研磨物体との接触面の形状に応じて圧力分布を演算するために、スモールツールを用いた研磨加工のように研磨工具と被研磨物体との接触状態が変化するような加工においても目標の設計形状を得るための研磨条件を精度よく設定することが可能となる。
また本発明においては、研磨工具と被研磨物体との間の押圧荷重やその方向を数値解析を行うための初期条件として与えているため、接触面の形状、および圧力分布をさらに精度よく演算することができる。
また本発明の研磨加工方法を用いる光学素子、および光学素子成形用金型の研磨加工装置によって、精度よく研磨された光学素子、および光学素子成形用金型の作成が可能となる。
まず本発明において用いた研磨加工装置の概略構成について説明する。図2は、被研磨物体、すなわち加工物体を支持して加工物体を必要に応じて回転させ、また駆動する加工物体駆動装置の構成を示し、図3は研磨工具を支持し、それを必要に応じて回転、駆動する研磨工具駆動装置の構成図である。
図2において被研磨物体、すなわちワーク10は加工物体回転機構11の上に取り付けられ、加工物体駆動機構12によって、例えばある一方向に平行移動させることが可能となっている。
図3の研磨工具駆動装置において、研磨工具としてのポリッシャ15は研磨工具回転機構16によって支持されると共に、例えば一定回転数で回転可能となっており、また研磨工具駆動機構17によって、例えばある一定方向に移動、すなわち走査可能となっている。さらにポリッシャ15に対しては、図2のワーク10と接触して研磨を行う場合に、ワーク10の被研磨面に対して垂直な方向に荷重を生じさせるために、荷重制御機構18が備えられている。
図2の加工物体駆動装置と図3の研磨工具駆動装置とを適当な位置関係に配置して、ポリッシャ15がワーク10の表面を研磨可能とすることによって、ワーク10の被研磨面の研磨が行われる。ポリッシャ15は、例えばポリウレタンのような弾性を有する材質であり、ポリッシャ15とワーク10との間には研磨砥粒と研磨液が介在する状態で研磨が実行される。
図2と図3の装置を組み合わせて、ワーク10とポリッシャ15とが接触した状態で、ポリッシャ15は研磨工具回転機構16によって所定の回転数、例えば100rpmで回転しながら、研磨工具駆動機構17によってあらかじめ定められた走査軌跡を描きながらワーク10の表面上を移動する。ワーク10は加工物回転機構11によって所定の回転数、例えば100rpmで回転する。本発明においてはワーク10、およびポリッシャ15の回転数と押圧荷重、および押圧方向が一定となるように制御して、ポリッシャ15の走査速度、すなわち移動速度を調整することによってワーク10を所望の形状とする加工が行われる。研磨砥粒としては粒形1μmの酸化セリウムを用い、研磨加工中は常に一定量となるように、研磨液で稀釈されて研磨面上に供給される。
以後、本発明の実施形態を実施例1から実施例3に分けて説明する。まず実施例1において、例えば直径20mmの円柱状のワーク10の底面の研磨加工を行い、曲率半径120mmの球面形状に加工した。実施例1では、この研磨加工を1回の研磨で行うための研磨条件が演算され、その研磨条件を用いて実際の研磨加工が行われる点に特徴がある。
図4は実施例1に対応する研磨加工装置の構成例のブロック図である。同図において、測定装置20は必要に応じて研磨加工面の形状を測定するものであり、結果の測定形状データは演算装置21と、有限要素法シミュレータ22に与えられる。有限要素法シミュレータ22は、前述のように被研磨面に対する研磨工具の押圧方向やその荷重などによって変化する被研磨面における接触圧力分布を計算し、その結果を演算装置21に与える。演算装置21は、測定装置20から与えられる測定形状データと、有限要素法シミュレータ22の出力としての接触圧力分布を用いて、被研磨物体に対する研磨条件を決定し、研磨装置23は決定された研磨条件によって研磨加工を実行する。
図5は、実施例1における研磨条件決定処理のフローチャートである。このフローチャートについて説明する前に、被研磨物体の研磨除去量を決定するプレストン定数を同定するための前加工について説明する。
一般的に研磨加工における研磨除去量δはプレストン定数kを用いて次の経験式によって与えられる。
δ=k・t・V・P ・・・・ (1)
ここでPは被研磨物体に作用する圧力、Vは研磨工具と被研磨物体との接触相対速度、tは加工時間に相当する、後述する滞留時間である。
一般にプレストン定数kは研磨工具と、被研磨物体と、砥粒の種類や量によって決定される。実施例1ではポリッシャ15の走査速度を1mm/secに設定して、研磨加工前のワーク10を研磨し、その研磨後に得られた加工面の形状と加工前の形状との差からkの値を同定した。この研磨におけるポリッシャ15、およびワーク10の回定数や、押圧荷重の値やその方向、砥粒の種類、および量は前述の条件と同じである。なおこの研磨は前述のようにプレストン定数kを決定するためのものであり、実際に研磨加工すべきワーク10をそのまま用いるのではなく、同一材料の被研磨物体に対する研磨を同一条件で行って、プレストン定数kを同定することもできることは当然である。
プレストン定数kの同定のための研磨の終了後に、図5のフローチャートに従って研磨条件の決定が行われる。まずステップS1で必要除去形状δ0(x)の計算が行われる。図4で説明したように最初に測定装置20、例えば触針式測定器を用いて加工面の形状の測定が行われる。実施例1ではワーク10に回転運動を与えているため、創成される被研磨面の形状は回転軸対称となる。図6、および図7はこの研磨加工に対する計算法の説明図である。図6に示すように、実施例1における演算ではワーク10の回転中心を通り、ポリッシャ15の走査方向に平行な断面を対象として計算を行った。
また前述のように被研磨面の形状が回転軸対称となるため、図7に示すように研磨工具、すなわちポリッシャ15の走査方向をX軸として、X軸のみを考え、加工面を0.1mmの間隔で分割し、各分割位置における測定形状f(x)と設計形状g(x)との差から、設計形状を得るために必要な除去形状をδ0(x)を次式によって求めた。
δ0(x)=f(x)−g(x) ・・・・ (2)
図5のステップS2で初期条件の入力が行われる。この初期条件としては、研磨工具、すなわちポリッシャ15、被研磨物体、すなわちワーク10の寸法や、それらの材料定数、それらの間に生じる荷重、および荷重の加えられる方向が与えられる。前述のようにスモールツールを用いた研磨加工では、研磨工具の被研磨面への押圧方向などによって大きな影響を受ける。このため荷重の大きさや荷重の加えられる方向が初期条件として与えられることによって、接触形状と圧力分布の演算が正しく行われることになる。
図5のステップS3で接触圧力分布の計算が行われる。この計算は前述のように、図4の有限要素法シミュレータ22によって有限要素法を適用して実行される。すなわちワーク10やポリッシャ15の寸法などを用いて有限要素法モデルが作成され、これにワーク10とポリッシャ15の材料定数や接触境界条件を与えることで実行される。ワーク10、およびポリッシャ15の材料定数とはヤング率やポアソン比などであり、これらの値は別に材料試験を行うことによって求められる。また境界条件とは接触面と垂直な方向にはワーク10とポリッシャ15の間にお互いにくい込みを許さず、接触面と平行な方向には摩擦係数を与えることである。さらに荷重制御機構18によって加えられる押圧荷重100gfと押圧方向、ここでは45°が設定される。
このような条件のもとで有限要素法による解析を行うことによって接触境界条件を満足するようなワーク10とポリッシャ15の変形形状、すなわち接触面形状と、接触境界面での圧力分布が求められる。
なお、ここで演算された有限要素法適用結果、すなわち研磨加工面の変形形状(接触形状)と接触圧力分布は、ハードディスクなどの記憶装置内にデータベースや近似関数として保存し、以降の演算においてはこの記録装置からそれを読み出してそれを利用することもできる。また有限要素法による演算結果は、必要に応じてディスプレイなどに表示することもできる。
続いて図5のステップS4で、(2)式によって求められた必要除去形状、すなわち研磨加工において除去されるべき形状δ0(x)を得るための滞留時間の分布が求められる。実施例1では、図3で説明したようにポリッシャ15をその走査方向に連続的に移動させる。しかしながらある距離移動させるごとに速度の切替を行うものとし、その速度の切替間隔、すなわち切替を行う距離の間隔をLとし、このLのそれぞれの区間ではそれぞれ走査速度を一定としてポリッシャ15を移動させる。この切替間隔Lでポリッシャが移動している時間を滞留時間と呼ぶことにする。例えば、走査速度F1で間隔Lをポリッシャが移動している間の滞留時間t1はL/F1となる。
図6、および図7で説明したように、ポリッシャ15はx方向に走査されるため、走査速度を切り替える間隔Lをx座標に対応させることによって、各xの値に対応する滞留時間は、目標の設計形状を得るために行われるべき研磨加工における滞留時間分布を与えることになる。
その滞留時間分布t(x)は、(1)式と(2)式を用いることによって次の(3)式によって与えられる。
t(x)=δ0(x)/[k{VW(x)+VP(ξ)}・P(x)]
・・・・(3)
ここでVw(x)は計算位置xにおけるワーク10の周速を表し、VP(ξ)は計算位置ξにおけるポリッシャ15の周速を表す。ただし、ξはポリッシャ15とワーク10との接触面との中心を原点とした時のx方向と同一の座標方向を持つ、ポリッシャ15に対応する局部的な座標である。
このようにして滞留時間分布t(x)が計算されると、これを用いて図5のステップS5で接触面形状と対応して走査プロフィール、すなわち走査速度分布F(x)の作成が行われる。実施例1ではワーク10とポリッシャ15ともが共に回転しているため、滞留時間がそのまま研磨加工時間となるわけではなく、ワーク10が1周する間にポリッシャ15と接触している時間がどれだけあるかを示す比率を求め、さらにワーク10の回転数も考慮して実際の加工時間を考え、前述の速度切替を行う間隔(距離)Lを用いて走査速度分布F(x)を求めることが必要となる。
すなわちシミュレーションから求められる接触面の形状と、ワーク10上のポリッシャ15の位置とから、ワーク10とポリッシャ15との接触時間とワーク10の一周の時間との比が求められ、ワーク10の回転数、滞留時間分布t(x)、および前述の速度切替間隔を用いて走査速度分布F(x)を求めることができる。
以上のように実施例1における研磨条件、すなわち実際には走査速度分布F(x)が決定されると、この条件が図4の研磨装置23に与えられて被研磨物体の研磨が行われる。図8はこの研磨加工の説明図である。前述のように実施例1では、研磨加工前の最初の被研磨面の形状f(x)に対応して圧力分布の計算が行われて、一回の研磨加工により、必要除去形状δ0(x)を除去するための研磨加工が行われ、目標の設計形状g(x)が得られる。
このように実施例1では、ワーク10とポリッシャ15の形状と押圧荷重、およびその方向の入力によって、被研磨面が曲率を有するような形状においても、接触圧力分布の演算結果を用いて研磨条件を決定するため、スモールツールを用いる研磨加工法における研磨条件を精度よく算出することが可能となり、また被研磨面の測定から研磨加工の終了までの時間が従来技術に比べて半分以下となることが判明した。
次に実施例2について説明する。実施例2では、直径30mmの超硬のワークを研磨加工することにより、ワーク10の回転中心を通る断面の形状が次の近似公式で与えられる回転軸対称曲面を創成した。
Figure 2005177925
前述のように実施例1では、1回の研磨加工によって目標とする設計形状を得るための加工が行われたが、実施例2では目標の設計形状を得るための研磨加工の回数を複数回、例えば10回に設定して研磨加工が行われる点に特徴がある。ワークやポリッシャの駆動については図2、図3と同じとし、研磨砥粒には粒形1μmのダイヤモンド砥粒を用いた。
図9は実施例2に対応する研磨加工装置の構成ブロック図であり、図10は研磨条件決定処理のフローチャートである。図9においてN回、例えば10回のそれぞれの加工に対応する研磨条件の決定のために、演算装置21による研磨回数n回目の加工後の面形状の演算と、有限要素法シミュレータ22の接触圧力分布の演算とが、走査回数(走査パス)N回分だけ繰り返され、その演算の終了後に研磨条件が研磨装置23に与えられて実際の研磨加工が行われる。
図10の処理の開始前に、実施例1におけると同様にプレストン定数kの同定が行われる。その後にステップS11で必要除去形状δ0(x)の計算、ステップS12で初期条件の入力が実施例1に対応する図5と同様に行われ、ステップS13で初期形状に対応する接触圧力分布の計算が行われる。この計算も基本的に実施例1におけると同様である。
続いてステップS14でδ0(x)/Nの除去量を得るためのn回目の加工における滞留時間分布が次式によって求められる。
n(x)=δ0(x)/[N・k・{VW(x)+VP(ξ)}・Pn(x)]
・・・・ (5)
さらにステップS15で走査プロフィール、すなわちn回目の加工における走査速度分布Fn(x)が実施例1におけると同様に求められ、ステップS16でn回の研磨加工後の形状が演算される。なお(5)式内のPn(x)はステップS14の滞留時間分布計算の前にステップS13で求められる接触圧力分布である。
その後ステップS13からS16までの処理が、合計でN回だけ繰り返され、研磨条件の演算処理が終了する。すなわち、ステップS13では、まず1回の研磨加工が行われた後の形状演算結果、すなわちステップS16の演算結果が再度有限要素法プログラムに入力され、t1(x)秒後におけるワーク10とポリッシャ15の間の接触圧力分布が演算されることになる。
図11は実施例2における研磨加工方式の説明図である。初期形状f(x)から目標設計形状g(x)を得るまでに、図11では3回の圧力分布の演算に対応して3回の研磨加工が行われることになる。図10ではこの3回の加工に対応してステップS13からS16までの処理が繰り返されることになる。そしてステップS16で必要な演算処理が終了すると、各走査回数における走査速度分布Fn(x)が図9の研磨装置23に入力され、ワーク10の研磨が実行される。この実施例2では研磨が進むにつれて、ワーク10とポリッシャ15との接触状態の変化を考慮することが可能となり、実施例1に比べてさらに高い精度で研磨加工を実行することができると共に、被研磨面の初期測定から研磨加工の終了までの時間は従来技術の1/3程度とすることができることが判明した。
最後に実施例3について説明する。実施例3における基本的な動作は実施例2におけると同様であるが、実施例3では複数回の走査パスのうち1回目の走査速度分布が演算された時点で、実際にその条件を用いて研磨加工を行い、その加工後の被研磨面の実際の測定形状と、1回の走査パスの後の被研磨面の形状の演算結果との差を算出し、その差を減少させるための補正関数を演算して、2回目以降の走査パスにおける研磨条件の決定にその補正関数を用いることによって、研磨工具の劣化など、予測が困難な研磨条件の変化を補正して研磨加工を行う点に特徴がある。
図12は実施例3に対応する研磨加工装置の構成を示し、図13は研磨条件決定処理のフローチャートを示す。図12の研磨加工装置の構成は実施例2に相当する図9と基本的に同様であるが、研磨装置23から最初の測定形状データだけでなく、1回の研磨加工、すなわち走査パス終了時点で測定装置20に対して指示が与えられ、1回目の研磨加工によって得られた被研磨面の形状測定結果が測定形状データとして演算装置21と有限要素法シミュレータ22に与えられる点が異なっている。
実施例3では直径15mmの超硬のワーク10を研磨加工して、(4)式で表される回転軸対称曲面を創成した。研磨工具や研磨砥粒については実施例2におけると同様である。
図13において、まずステップS21からS26において図10と同様の処理が実行され、ステップS26で1回の研磨加工、すなわち1回目の走査パスが実行された後の被研磨面の形状の演算が行われる。
ステップS25で走査プロフィールの作成、すなわち走査速度分布が決定されると、ステップS27で並行してその条件における研磨加工が行われ、その結果とステップS26における形状演算結果を用いて、ステップS28で補正関数の演算が行われる。
すなわち、(1)式を用いて1回目の研磨加工、すなわち走査パス1回目の滞留時間t1(x)による研磨加工によって除去される除去形状と、1回目の研磨加工後の被研磨面の実測形状f’(x)とを用いて、補正関数C(x)が次式から演算される。
f’(x)=C(x)・k・{VW(x)+VP(ξ)}・P1(x)・t1(x)
・・・・ (6)
その後、図13のステップS29からS31において、残りのN−1回の走査パスのそれぞれに対応して接触圧力分布、滞留時間分布、および走査プロフィールの演算が行われ、その終了後に実際のN−1回の研磨加工が行われるが、このステップS29からS31までの演算においてはこの補正関数C(x)を用いて滞留時間分布と走査速度分布の演算が行われる。図14は図13の処理によって決定された研磨条件を用いた研磨加工の説明図である。
このように実施例3によれば、最初の走査パスに対して演算された研磨条件を用いて実際に被研磨面の加工が行われ、加工後の実際の形状と演算結果との形状が比較され、研磨工具の劣化などの予測できない影響を排除することが可能となり、実施例1、2と比べてさらに加工精度の向上が期待される。
本発明は研磨加工、特にスモールツールを用いた研磨加工法によって製品を製造するすべての産業において利用することができ、精密な研磨加工が必要とされる光学素子、または光学素子成形用金型の製造産業においては特に利用価値が大きい。
本発明の研磨加工方法の原理的な機能ブロック図である。 本発明における加工物体駆動装置の構成例を示す図である。 研磨工具駆動装置の構成例を示す図である。 実施例1における研磨加工装置の構成を示す図である。 実施例1における研磨条件演算処理のフローチャートである。 実施例1におけるポリッシャとワークの接触状態を示す図(その1)である。 実施例1におけるポリッシャとワークの接触状態を示す図(その2)である。 実施例1における加工方式の説明図である。 実施例2における研磨加工装置の構成を示す図である。 実施例2における研磨条件演算処理のフローチャートである。 実施例2における研磨加工方式の説明図である。 実施例3における研磨加工装置の構成を示す図である。 実施例3における研磨条件演算処理のフローチャートである。 実施例3における研磨加工方式の説明図である。
符号の説明
10 ワーク
11 加工物体回転機構
12 加工物体駆動機構
15 ポリッシャ
16 研磨工具回転機構
17 研磨工具駆動機構
18 荷重制御機構
20 測定装置
21 演算装置
22 有限要素法シミュレータ
23 研磨装置

Claims (4)

  1. 研磨工具と被研磨物体とを接触させつつ、相対移動させて被研磨物体を研磨する研磨加工方法において、
    前記被研磨物体の形状と、目標設計形状との差から研磨加工によって除去すべき除去形状を演算し、
    研磨工具と被研磨物体との間の押圧荷重に対応する接触面形状と、該接触面における圧力分布を演算し、
    該除去形状と圧力分布とを用いて目標設計形状を得るための研磨条件を演算し、
    該研磨条件を用いて被研磨物体を研磨することを特徴とする研磨加工方法。
  2. 前記研磨工具と被研磨物体との間の押圧荷重に対応する接触面形状と、該接触面における圧力分布の演算に先立って、研磨工具と被研磨物体との間に生じる荷重、および荷重の加わる方向を初期条件として与えることを特徴とする請求項1記載の研磨加工方法。
  3. 請求項1記載の研磨加工方法により研磨されて製造されることを特徴とする光学素子、または光学素子成形用金型。
  4. 請求項1記載の研磨加工方法を用いて、被研磨物体を研磨することを特徴とする研磨加工装置。

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